人類には早すぎる映画『極道大戦争』ネタバレなし感想+(中盤まで)ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:8/10(一般の方にとっては0点)
一言感想:原点回帰しすぎ
あらすじ
無理。いろいろと無理(言語化が)。
『藁の楯』『神さまの言うとおり』の三池崇史監督最新作です。
えーと、初めに言っておきます。この映画、一般の方には全力でおすすめしません!
こんな映画がシネコンでかかっているというのは奇跡というか、狂っているというか、もう何がなんだか・・・。
何がすごいって、基本的にお話のほうが意味不明で破綻しているんです。
本作の設定はカタギ(一般人)が噛まれたらヤクザバンパイアになるというすでにどうかしているものなのですが、一応初めのほうはバンパイアになった主人公が己の生きる道を探していくというまとも(?)なプロットがあります。
しかし、後半に連れて伏線やらメッセージ性やらがどこかへ全部吹き飛んでいくというすさまじさ。とても正気とは思えません。
さらにはPG12指定ギリギリのエロ(女性が性的に虐げられる描写)あり。
笑いを通り越してドン引きするギャグもたっぷり。
しかも、三池監督のホラー演出が炸裂して、序盤にやけにテンポが悪いところがあります(役者の演技のおかげで楽しめますが)。
三池監督のこのクセを知らないでいると、かなりびっくりするでしょう(だいたい悪い意味で)。
しかし、三池監督にとっては(キャッチコピーで謳われているように)確かに原点回帰なんです。
いまでこそメジャーな映画も撮りまくっている、一般人にもよく知られている監督なのですが、そのキャリアでは『極道戦国志 不動』『FULL METAL 極道』『極道恐怖大劇場 牛頭(GOZU)』という気が狂った作品も手がけています。
![]() | 谷原章介 4104円 powered by yasuikamo |
![]() | うじきつよし 5184円 powered by yasuikamo |
![]() | 曽根英樹 2027円 powered by yasuikamo |
『極道戦国志 不動』は若き日の谷原章介がイケメンが台無しすぎる演技を見せたり、2m近い転校生が現れたり、近所の子どもの趣味が「生首サッカー」だったり、始終キムチを食べ続ける変態がいる、あたまのおかしい映画です(←ネタバレ、エロ注意)。
『FULL METAL 極道』はうじきつよしが怪しげなプラグを脳に挿入され、桁外れのパワーを手に入れて、兄貴殺しの復讐劇を開始し、生首が夜のネオン街を舞い、ヤクザ事務所にナイスゴールする、あたまのおかしい映画です。(←ネタバレ注意)
『極道恐怖大劇場 牛頭GOZU』は姉が乳をピューピュー出したり、弟を乗馬鞭でバシバシしたり、乳を瓶詰めにして売ってたり、弟がチューチュー寝乳したりする、あたまのおかしい映画です。
で、『極道大戦争』もこれらのキチ◯イ映画のように「極道」というタイトルがついているわけですよ。そういうことです。
まあ本作はPG12指定どまりなのでこれらの変態度に比べたらまだマシですが、じゅうぶんおかしいからね。
さらに、「極道」という名前がついていなくても、三池監督はあたまのおかしい一家の顛末を描く『ビジターQ』や岡田以蔵が時空を超えて有名キャストをぶっ殺しまくるだけの『IZO』というキ◯ガイ映画を撮っています。
おわかりいただけただろうか。
『忍たま乱太郎』『風に立つライオン』は三池監督の本来の姿じゃないんですよ。こっちなんですよ。
そんなキチガ◯方面の三池作品が大好きな変態映画ファンにとって、『極道大戦争』はきっとごほうびみたいな映画になるでしょう。
ていうかね、本作は伝説的映画にして大傑作『DEAD OR ALIVE 犯罪者』のラストのような展開がぶっ続く映画なんですよ。
![]() | 哀川翔.竹内力.石橋蓮司.杉田かおる.小沢仁志 3030円 powered by yasuikamo |
本作を知らない方に説明すると、観た人すべてが「ラストが、ラストが・・・」「ラストはなんじゃありゃ」「ラストで意識が飛びそうになった」とラストのすさまじさを語る一方で、その内容は決して口にすることがないというとんでもない映画です。
2時間観続けてた結果がラストのアレ・・・。もう、映画好きなら一度は観て欲しいです。
まとめると、『極道大戦争』はそんな三池監督の作風が大好きな人にとっては大興奮できるごほうび映画、一般の方にとってはまごうことなきク◯映画、ということです。
試写会では最終的に40~50人は途中で帰った(!)という有様だったらしいです。
本作が、いかにオススメできない代物か、おわかりいただけだろうか(わかってほしい)。
個人的に絶望したのは、松本人志監督の『R100』における「いま揺れている?」のセリフと同じような意味のない伏線があったこと。
いや、さすがに『R100』よりは意味はあったけど、これは三池監督の完全な自己満足作品なので、『R100』のク◯っぷりと大して変わらないよね。
市原隼人が主演のため、本作を観た女性や子どももたくさんいると思うのですが、おそらく鑑賞後は般若のようなツラになったのではないでしょうか。三池監督、罪作りすぎです。
なんでこんな映画を作ったんだ?と思われるかもしれませんが、それは三池監督のメッセージにより氷解します。
「映画は知らないから観に行くものだったのに、いつのまにか安心できて裏切られないものを観に行くものになっていると思うんです。そこで、『極道大戦争』を観て『えっ、なんだこれ!』『こんな映画作って怒られないんだ!』って思ってもらえると、この映画も役に立ったと言えるかな(笑)」
そうなんです。三池監督はかつての情報のない時代にあった、とんでもない映画にぶち当たる体験をしてほしかったんです。
たとえば地上波でとんでもないグロい映画を観たり、なんの前情報もなく観た映画がとんでもなくエロかったり・・・
そんな古き良き(?)映画文化を、現代によみがえらせてくれたのが『極道大戦争』なんです。
『アナ雪』ってすごくヒットしているよね!これだったら久しぶりに映画館行こうかな〜と思っている一般の方にはわからない価値観でしょう。
それが三池監督のロックンロール。
やっぱり自分が楽しんでいるだけの松本人志とは違うな。一生ついていきます。大好きです。
一般の方に唯一おすすめできる要素は、豪華キャストによる演技、そして迫力のアクション描写ですね。
市原隼人は
リリー・フランキーやピエール瀧は『凶悪』のときと変わらず悪そうだし(ただし出番は少ない)、
さらには『TOKYO TRIBE』で小学生男子にしか見えない容姿&すごすぎるアクションで度肝を抜いた坂口茉琴が、今回はガチの男の子役で出演しています。

『TOKYO TRIBE』もすさまじい勢いで万人向けでない作品だったので、こっちが気に入れば『極道大戦争』もイケるのかもしれません。
『ザ・レイド』のヤヤン・ルヒアンが相変わらずの速すぎる体術を披露してくれるのも素晴らしかった!
あまりに話がアレだったとしても、ここだけで満足する人もいるのではないでしょうか。ていうか初登場時の出で立ちがおかしいんですけど。
あと高島礼子がすげー格好いいアネゴを演じているなーっと思ったら、よく見ると役名が男性名で、一人称が「オレ」で、しかも「若頭」という設定です。この映画では彼女は男なんです。
いやいや、どう見ても女性でしょうが、どういうことだよとツッコミを入れるでしょうが、恐ろしいことに本作ではそのソリューションがなにひとつ用意されていません。
しかも、「高島礼子が男役に挑戦した」という記事が提供社の都合により削除(!)されています。
怖い・・・怖いよ・・・どういうことだよ・・・マジで意味でわからないので、誰か助けてください。
ともかく、近年まれに見る珍作であり、◯チガイであり、人類には早すぎる映画です。
しつこいようですが、本気でおすすめしません。
こんなの、デートで観たら即別れを切り出される、家族で観たら一家離散レベルです(それは言い過ぎ)。
三池監督のあたまのおかしい映画に取り憑かれた、超コアな映画ファンだけが観にいきましょう。
それにしても、三池監督だけでなく脚本を書いた山口義高さんもどうかしていますね(褒め言葉)。
おかしい人たちによる、おかしい人たちのための、おかしい映画。それを期待する人は玉砕覚悟でぜひ劇場へ。
以下、中盤まで少しネタバレしてみます↓だけど終盤の展開については書きません。本作のキチガ◯度を知りたい方はどうぞ。
〜謎の組織は謎のまま〜
映画ではヤクザヴァンパイアの敵となる、謎の組織みたいなのが出てきます。
すげえ臭いカッパとか、英語しかしゃべらないのになぜか日本語を理解できているヴァンパイアハンターっぽいのとかがその一員です。
で、こいつらの正体についてはとくに何もわかりません。
ていうかカッパやヴァンパイアハンターは、終盤とくに戦わずにフェードアウトしているよね。脚本の投げやりっぷりが半端ねえ。
組織のメンバーで活躍しているのは、ヤヤン・ルヒアン演じる「狂犬」。その出で立ちはアキバボーイです。※電車男ではありません。
大笑いしたのは、こいつが初登場時に寂れた商店街で「ココハアキハバラデスカー」と聞いて油断させて、急に「キエー!」と言いながら蹴りを放つこと。ひでえ。たぶんアキバボーイの格好をした理由はそれがすべてなんだろうな。
あ、こいつは後で服装が変わるんですが、なぜその服装になったのか、その服装の意味はなんだったのか、さっぱりわかりません(この映画はそんなんばっかりです)。
〜日活への敬意〜
主人公と狂犬が闘うシーンのバックでは、日活っぽい映画のポスターやキャッチコピーが見えます。<怪しいコピーがチラリ
これも、「とんでもない映画にぶち当たる体験をしてほしい」三池監督の願いが現れているようですね。
〜ドン引きギャグ〜
まあ作中では、
女子高生「2年3組っていうチンケな組のもんです」→「そりゃお前クラスだろ!」とツッコむとか、
真剣に喧嘩しているところにダイナマイトを乗せたおもちゃの車がやってくるとか、
主人公がヴァンパイアの力で生卵を目玉焼きにするとか、
ふつうに笑えるギャグもあります。
しかし、以下のふたつはちょっとアレすぎたぜ。
・地下ではカタギが「食料」として飼われており、なぜか編み物を延々と続けている。
さらに渡辺哲さんが「右の足を踏まれたら、左の足も差し出さない」というテロップに従うギャグがあるんですが、高度すぎて笑えねーよ(元ネタはキリスト教の「右の頬をぶたれたら、左の頬を差しだしなさい」)
・高島礼子がカタギを土から育てる
中盤、高島礼子演じる若頭は、「しょうじきファーム」と書かれたビニールハウスで、土に牛乳をまいて、「カタギを育てるんだよ!」と高らかに笑います。<土に牛乳をまいて笑う高島礼子
<こんなに立派なカタギが生えてくるそうです。
狂っているよ!
フォローをしておくと、作中ではカタギがみんなヤクザヴァンパイアになりつつあり、「ヤクザはカタギがいないと生きていけない」ということがたびたび提示されています。
だから若頭は、カタギをどうにかして手に入れたかったというわけ。
若頭がこんな狂った行動をしていたのは、「脳みそが溶けていたから」と納得できる・・・わけねえだろ!(中盤には高島礼子の脳みそが溶けて、耳から脳みそが出まくるシーンがあります)
あと、父を殺されて復讐を誓うマサルくん(坂口茉琴)は主人公に「こいつにはまだやることがある」と諭されて高島礼子を襲うのですが、そいつ父のかたきちゃうやん!(父を殺したのはヴァンパイアハンター)。
あーもー意味わかんねー。
〜KAERUくん無双〜
しかし、そんな狂いかたはこの映画ではほんの序の口。
真におかしくなるのは、キレキレの格闘技をくり出す着ぐるみの「KAERUくん」が登場してからです。<移動手段はチャリ
<めっちゃ強い
こんなの絶対おかしいよ。
そんな強すぎるKAERUくんを倒すために送られたのは、マシンガン武装をしたデコトラでした。<デコトラ到着
<発射!
これにはさすがのKAERUくんも・・・と思いきや、ヌンチャクさばきでマシンガンの弾をすべてはじくのでした。<KAERUくんに銃は効かない。
KAERUくんのすごさはそれだけではなく、なんと人を操る超能力も使えます。
さらにヤクザの舎弟はKAERUくんに手榴弾を投げるのですが、KAERUくんはその手榴弾を足に乗せてロケットのように飛びます。<飛びます。
格闘技もマシンガンも手榴弾も効かない。こんな奴に勝てるわけねえよ・・・。
『ドラゴンボールZ 復活の「F」』のゴールデンフリーザ様の5億倍は絶望を与えてくれますね。
だが、主人公は勇敢にもKAERUくんに立ち向かう!
そして、なんと、KAERUくんは着ぐるみを脱ぐのだ!
その中身とは、ああなんと!
・・・・この先の展開は魂が抜けるかと思いましたので、レビューは勘弁してください。
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KAERUくんの正体↓
<この人(一応ネタバレ?注意)>
(C)2015「極道大戦争」製作委員会
冒頭のリリー・フランキーとピエール瀧の直接対決で既に大爆笑な私には最高な映画でした。
ヤヤン・ルヒアンがインフィニット・ストラトス(アニメ)のショッパー持って出てきた時もなかなかの笑撃でした。
アクションキレッキレ過ぎて缶バッチのキャラまでは特定できませんでしたが・・・
後半のヤヤン・ルヒアンの服装は
元々日本文化の服装(アキバファッション)だったのが、ヤクザヴァンパイアになって日本風衣装が進化したイメージですかね。
地下でで編み物をしているのは元ヤクザで、ヤクザだと味が不味くて栄養価が低いから編み物させて更生させて(栄養価&味を上げて)るんでしたよね。狂ってる。
睨んだだけで硬直させるKAERUくんのチートっぷりも凄いですし、てか最後意味不明すぎるwww
前の週がラブライブと海街diaryで可愛いは正義!みたいな感じからの
翌週マッドマックス、虎影、極道大戦争を固めてくるあたり日本映画業界のマッドさを本気で疑いますw
>『TOKYO TRIBE』
役者さん達の熱演怪演が凄いって所も共通点だと思います。これだけでも観て良かった!ってかもう一回観ますし、ブルーレイ買います!ああ、来週から夏休み映画が始まるのにリピートしたい作品多過ぎの6月が終わる!!
>おそらく鑑賞後は般若のようなツラになったのではないでしょうか。
ファンの皆様ごめんなさい。本作の隼人兄いには抱かれても良いってか抱いてください!お願いしますッ!!
(冒頭の銭湯シーンは御褒美過ぎました・・・)
>坂口茉琴
この人こそヴァンパイアになってもらって、一生こんな怪演を魅せて欲しいです!!
>『ザ・レイド』のヤヤン・ルヒアン
こんな作品なのに、アジアのアクションスター超新星である、この人を呼べるというだけで三池監督凄いです!
>高島礼子
自分もアネゴかと思ってました。女性が組の若頭って良いと思うけどなー。国の政策なんか知ったこっちゃ無いくらい、めっちゃ輝いてましたよ!!
<こんなに立派なカタギが生えてくるそうです。
余談ですが、ブリーフ着用でオッパイ(男の子です!)を隠してるのは、来月の15日から子どもの裸の写真を持ってると罪になるからでしょうか。てか、昭和の映画はけっこうスッポンポンの子ども出てくるよなー。
>〜KAERUくん無双〜
実は「中の人」経験が有りまして。ガチャピンやふなっしー、あれ絶対に中身も妖怪です・・・。
とにかく万人にお奨めしにくいですけど、万人に四の五の言わずとにかく観ろ!そして人類を超越するんだ!と言いたい怪・・・名作です!!
観た人がすくないんだよなあ・・・どちらかというと罵詈雑言が聞きたい(笑)のですが、おふたりとも気に入ったようでなによりです。
> ヤヤン・ルヒアンがインフィニット・ストラトス(アニメ)のショッパー持って出てきた時もなかなかの笑撃でした。
そりゃわかんねーっすよ(笑)。
> 地下でで編み物をしているのは元ヤクザで、ヤクザだと味が不味くて栄養価が低いから編み物させて更生させて(栄養価&味を上げて)るんでしたよね。狂ってる。
あれもカタギにさせる手段ですよね。
> 前の週がラブライブと海街diaryで可愛いは正義!みたいな感じからの
> 翌週マッドマックス、虎影、極道大戦争を固めてくるあたり日本映画業界のマッドさを本気で疑いますw
このコンボは本当に最高でした。
> 余談ですが、ブリーフ着用でオッパイ(男の子です!)を隠してるのは、来月の15日から子どもの裸の写真を持ってると罪になるからでしょうか。てか、昭和の映画はけっこうスッポンポンの子ども出てくるよなー。
ああ、あれ隠しているんだw
> >〜KAERUくん無双〜
> 実は「中の人」経験が有りまして。ガチャピンやふなっしー、あれ絶対に中身も妖怪です・・・。
あんなキレキレの動き、どんなにがんばっても無理です・・・