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『ズートピア』のソフト版がついに発売!&さらに気づいた盲点の記事を書いたよ!&民朗さんのラジオ評論ベスト10

8月24日(水)はあの大傑作『ズートピア』のソフト版の発売日ですよ!


未公開シーンのほか豪華特典盛りだくさんということで、一家に一本、全人類が必携と言えるでしょう(ダイレクトマーケティング)。



さてさて、発売を記念して、シネマズ by 松竹で以下の記事を書きました↓
<遂にDVD発売!『ズートピア』じっくり観てほしい細かすぎる5つの盲点! | シネマズ by 松竹>
※2ページ目からはネタバレ注意、3ページに至ってはオチまで書いているのでマジで注意!

※本レビューといままでに書いた記事一覧はこちら↓
『ズートピア』差別と偏見を描いた大傑作の理由を全力であげてやる(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

ついでなので、記事にちょっと補足。
ヒッピーっぽいヤクのヤックスが、ジュディに向かって「クッキーは買わないよ!」と言っているのはどういう意味なのかなあ……と思って調べてみたのですが、これはアメリカのガールスカウトがクッキーを売る活動をしていることが元ネタなんですね。
これは、小さくてかわいいジュディを、ガールスカウトの女の子と勘違いした(またはからかった)シーンなんですね(ジュディはそういう見た目で判断されることを嫌っているんだけど)。


※こちらの動画でもそのシーンが観られます。


※特典の未公開シーンのひとつが公開!

そして、『シン・ゴジラ』といい本作といい、スタッフが本気で世界観と設定を作り上げ、計算され尽くした脚本があってこそ、「何度観ても楽しめる」作品が生まれるんだな・・・と改めて感慨深くなりました。

ヌートリアを写り込ませて何度も観るたびに発見があるようにしよーぜとほざいた映画とは志から違うわけですよ!(いまだにコイツに対しては憎しみが消えません)
ヒーローマニア -生活- DVDマニアック・エディション<設定は大好きだし、期待した映画だったんだけど・・・。


さてさて、今回の記事の項目「3.ライオンハート市長とベルウェザー副市長にはモデルがいた?」については、じつはあるお方に許可をいただき、その評論を大いに(←ここ重要)参考にさせていただきました

そのお方とは「民朗」さん。映画はもちろん政治や音楽にめっぽう詳しく、そのラジオ評論は自分の見識がいかに浅いかを思い知らされる、素晴らしいものばかりなのですよ!

観たままホラーショー<こちらのブログでラジオ評論されています。

※大いに参考(というより引用レベル)にしたのはこちらのラジオ評です↓
第82回映画批評 『ズートピア』にはディズニー・スタジオの「実力」と「限界」を同時に感じる: ホラーショー!民朗の観たまま映画批評
(アメリカの共和党と共産党についても踏み込んで解説されているので、よく聴いておくように!)

※ちなみに、記事ではこちらのハッシュタグからの情報も参考にしています。どちらも超楽しいよ↓
ハッシュタグ #ズートピア版細かすぎて伝わらない萌え選手権
ハッシュタグ #ズートピアで学ぶ英語と文化


せっかくですので、ここからまったく頼まれていないのに、(ズートピアを除いた)個人的な歴代「聴いてよかった、素晴らしき民朗さんの映画評論ベスト10」をあげます!

以下の評論はその映画を観てからだとめっちゃ楽しめるよ!


10位  『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 自尊心という名の毒
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [Blu-ray]
作中に登場する『愛について語るときに我々の語ること』を絡めた批評。さらに作品の奥行きがわかります。
最後のほうに自分の意見を引用してくださってありがとうございまーす!過去には『アシュラ』を「ヒナタカさんが紹介されていたから観ようと思った」と言ってくれてうれしかったなあ。
あと、民朗さんは本題に入る前に、そのほかの映画も短く評論しているのですが、ここでの『ジュピター』評もめっちゃ共感しました。笑いの方向に。


9位 『天空の蜂』 名作小説のメルトダウン
天空の蜂 [DVD]
酷評ですが、「原作のエッセンスはちゃんと拾ってんじゃん」と褒めてもいます。
堤幸彦の演出がいかにアレかを具体的に言ってくれているので、とってもストレス解消できるよ!


8位 『インヒアレント・ヴァイス』を観る前に ― トマス・ピンチョンとPTAの関係性
インヒアレント・ヴァイス [DVD]
『インヒアレント・ヴァイス』そのものではなく、その原作者のトマス・ピンチョンって何者?ということを解説しています。
民朗さんの説明自体はめっちゃわかりやすいんだけど、聴いたところで「なるほど、わからん」になる。文学にエントロピーを取り入れたってどういうことなの・・・。
あと、その著書は文庫で出ている『競売ナンバー49の叫び』以外、3千円、4千円代の価格が当たり前になっていてマジで手が出ません。


7位 『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』はオリジナルの見事なアップデート版!
映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生 [DVD]
これはもう内容そのものよりも、自分の感想とカブりすぎてビビった。ていうか民朗さん自身もヤバイってつぶやいていたもう結婚しなきゃいけないな。
評論の内容は、自分が触れていないところも隅々まで手が届いております。


6位 『くちびるに歌を』 誰がために歌うのか
くちびるに歌を DVD 通常版
吹奏楽経験者であり、現在進行形でもジャズバンド活動をしている民朗さん「ならでは」の評。
オールタイムベスト級の作品ということも相まって、アツさがにじみ出ております。
自分も『自閉症の僕が跳びはねる理由』が大好きです。多くの人に一度は読んでほしいな。
民朗さんには、ぜひ同じ三木孝浩監督作品である『青空エール』も評してほしいです。


5位  『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』 原作への❝愛❞と❝理解❞は似ている様で違うんだ!
I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
もうね、これはスヌーピーおよび『ピーナッツ』ってどんなんなの?っていう初心者から超おすすめできる評論です。
映画ファンから超嫌われていた『STAND BY ME ドラえもん』との比較も完璧。
キャラクターの魅力から何から何まで全方位的に解説されているので、ぜひ。
あと、自分も「ペパーミント・パティ」というキャラが『ピーナッツ』でいちばん大好きなので、カブったときはうれしかったです。


4位 『インサイド・ヘッド』は『トイ・ストーリー』の正当後継作品だ!
インサイド・ヘッド (字幕版)
「職場の仲間とどうやって仕事をしていくか」を描いているという評論が完璧!「膝を打つ思い」というのはこういうことを言うんだ!
「カナシミ」の存在意義についてもきっちり評していることがいいなあ・・・民朗さんのやさしい人柄が表れています。


3位  『ウエスト・サイド物語』を音楽と共に延々と語る1時間
ウエスト・サイド物語 [DVD]
「音楽映画ベストオブベスト」に挙げた作品を、トランペットとピアノを片手に批評する斬新すぎる批評。
でも専門的になりすぎずすげえわかりやすい!音楽についてまったく知らない方、『ウエスト・サイド物語』を知らない方もぜひ!
前半はいいところで切れるので、そのまま記事のリンク先から後編も続けてお聴きください。


2位  『寄生獣』 逆襲の山崎貴
寄生獣 DVD 通常版
何より聴いて欲しいのは、民朗さんにとって、原作漫画がとても大切な作品になった、その理由。
これを話すかどうかをかなり悩まれたそうですが、自分は心の底から言ってくれてよかったと思いました。そういう暗い気持ちは、多くの人が抱えているはずだから。
あと、山崎貴監督は映画秘宝(雑誌)の取材に対してそんなリアクションしていたのかと驚いたな〜けっこうノリのいい人かも。


1位  『サウルの息子』は強制収容所の地獄を“地獄のまま”見せつける
サウルの息子 [DVD]
これはもう、主人公の行動はそういうことかーーーーーーーー!!!!!!!!!!と大・納・得!!!!したので、映画を観た方は全員聴け!義務だ!
映画評を聴いて(読んで)うれしくなるのは、その映画が訴えていることが、パッと明るくなるように「見える」こと。その醍醐味を味わえるでしょう。
民朗さんがアウシュヴィッツに訪れたときの写真とともにお聴きください。


そんなわけで『ズートピア』をほっぽいて、民朗さんのすんばらしさを紹介しましたが、そんぐらいおもしろいので聴けこのやろう。

あとはラジオでない漫画評もおもしろいですよ。本当自分と好みがダダかぶりだなあ↓
大してヒーローに詳しくない人間による『僕のヒーローアカデミア』紹介
アニメ放送記念? いま一度『僕のヒーローアカデミア』の主人公・緑谷出久を読み解く
全ての“ものがたり”への讃歌 漫画『月光条例』の紹介
まあまあ音楽に詳しい人間による『四月は君の嘘』紹介

そんな自分も、初期のころの評論を全然聴いていないことに気づいた(ひどい)ので、これから聴きますよ!

※ちなみに自分も駄作をいっしょに語っていたりします↓
ヒナタカさんと送る観たまま映画批評:後編 『信長協奏曲(コンツェルト)』

※あと、みんなが気になるのはこの映画の評だよね。こちらも大好きですよ↓
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は現代に甦った『網走番外地』だ!
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2016-08-23 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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『COP CAR コップ・カー』ケヴィン・ベーコン萌え映画(ネタバレなし感想+カワイイシーンベスト3)

劇場で観たのに感想を書くタイミングを逃していたCOP CAR コップ・カーのレンタル&販売が8月2日より開始されていたので紹介します!

※「キラキラベーコンステッカー」のデザインが超ステキなんですけど!

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:あらかわいい

あらすじ


クソガキどもが警察車両をパクったので、そこはかとなくクズな警官のケヴィン・ベーコンが追いかけます。




えーとすみません、紹介すると言っておいて、あらすじの通り超絶シンプルな内容のため、とくに書くことはありません

(1)上映時間は88分と超コンパクト
(2)単純明快なハラハラドキドキのサスペンス映画
(3)PG12指定でちょっとバイオレンス、放送禁止用語が出てくるシーンもあり
(4)coco 映画レビューで91%などかなり高評価
(5)子どもたちがかわいい
(6)ケヴィン・ベーコンはもっとかわいい

お伝えしたいことは以上となっております。
とくに(6)はヤバイよ!「ふつうにケヴィン・ベーコンが好き」な自分でさえ萌え萌えだったんだから、ファンであればもうビチョ濡れになるんじゃないでしょうか(下品な表現)。

こう見えてお間抜けなキャラのケヴィンベーコンだよ!<こう見えてドジっ子です。

監督のジョン・ワッツが本作の高評価を受けて、2017年夏に日本公開予定の『スパイダーマン:ホームカミング』を担当することになって嬉しい限り。
こういう低予算出身の監督が、ビッグバジェットの映画も手がけることになるアメリカンドリームはさらに増えるといいですね(例:ジュラシック・ワールド)。

あと、あらすじにはクソガキと書いてしまいましたが、実際の彼らは「悪ぶれることに憧れる少年」であって、そんなにクソでもないです。

コップ・カーいい子達?<じつはいい子たち?

冒頭でこの子たちがする「卑猥な言葉を言いまくるゲーム」では、彼らが閉鎖的な田舎で育ったため、ストレスを発散する場所がない、という状況を示しているようにも思えるのです。
この冒頭のゲームにより、彼らが警察車両をパクっておおはしゃぎするのも、なんとなく納得できるようになっているのがいいですね。

あとは、ケヴィン・ベーコンファンは女房を質に入れてでも観て、単純にハラハラしたい人にも超オススメってことで。ぜひレンタル店へ。

以下、ケヴィン・ベーコンに萌えたシーンベスト3です 当然大いにネタバレです↓

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2016-08-05 : 旧作映画紹介 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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dtvドラマ『テラフォーマーズ 新たなる希望』は林遣都と菅谷哲也ファンにとって必見作!

いろんな意味で話題沸騰の、4月29日(金・祝)公開の映画『テラフォーマーズ』。その前日譚となるドラマ『新たなる希望』がdtvで公開されていたので観てみました。

テラフォーマーズ新たなる希望

※dtvとは……映像配信サービス。映画、ドラマ、ライブ映像、マンガなどの豊富なジャンルがスマートフォン、PC、TVで楽しめる。お試し初回31日間は無料だよ!

以前紹介した『アイアムアヒーロー はじまりの日』でも思ったのですが、こうした「劇場公開前のドラマ」は、2時間という映画の枠では収まらなかった原作マンガの魅力を補完できる内容である、と強く感じました。

その補完された魅力とは、ミッションに赴く者みんなが、いわゆる人生の負け組であるということ。
『テラフォーマーズ』の原作マンガでは、みんな一様に金がなく、火星への派遣ミッションに参加する理由は「金のため」であるという描写があるのです。


単純に貧乏というわけではありません。
金がない理由は、それぞれの国での事情、過去に犯してしまった過ちなど、さまざまです。
彼らはかなりの「後ろめたさ」や「深刻な過去」を持っているのです。

スクリーンにかじりついて観る映画で、これらの描写をひとつずつ描いてしまうと冗長になってしまうでしょう。
しかし、前日譚となるこうしたドラマでその要素を落とし込むことで、結果的に映画の上映時間はタイトに引き締まり、かつ原作マンガの魅力を取りこぼすこともない。
これには、マーケティング(宣伝)上の戦略というよりも、確かな原作への敬意が見えるのです。


本作『新たなる希望』でおもしろいのは、火星へ赴く者たちを「選定」していくというプロット。
彼らはもともと人生の負け組なのに、さらにこのミッションでもふるいにかけられて脱落していくのです。

この選定試験で敗れた者は、負け組中の負け組。
彼らが抱えた理由は「なんとかして救われてほしい」と願いたくなる深刻なものであるのに、運命は彼らを容赦なく突き落とすのです。

残酷な物語ではありますが、本作を観ておくと、映画で「火星のミッションに行けた者」がどれだけの覚悟を持っていたか、そしてどれだけの人間の「犠牲」の元でここに訪れたか。
それがわかるのではないでしょうか。

タイトルは『新たなる希望』というスター・ウォーズっぽいものだけど、実際は絶望的な物語。しかし、最後には逆説的に適したタイトルである、と思えるのも見事です。


ただ……その意義と精神性は素晴らしいのですが、作品としておもしろいかと問われると、この『新たなる希望』はイマイチです。
厳しかったのが、悪い邦画特有の「気持ちをベラベラしゃべって訴える」シーンが多かったこと。
あまりに演劇的で不自然、記号的な描写になっており、感情移入が妨げられるのです。

そもそも、限られた場所で訓練をしたり、登場人物がケンカをして自滅していくような内容です。
モンスターが登場したりするギミック、難解なテストをされるという要素もありませんし、登場人物の行動理由が理解し難いところもある。
サスペンスとしては、どうにも歯切れが悪く感じてしまいました。


ただ、それでも本作をオススメしたいのは、林遣都菅谷哲也いうイケメンの演技がすんばらしかったから。
彼らはかなーりイヤな奴、というかイケメンが台無しなクズ演技をしているんですよ。

林遣都1st写真集「Clear」(DVD付) (Angel works) TERRACE HOUSE PREMIUM テラスハウス プレミアム※彼らは普段はイケメンです。

林さんの人を見下した態度、菅谷さんの「グェッハッッハ」な笑い方には感動させられました。
これ女性ファンが減るかもしれないけど、自分はむしろファンになったよ!
さらに熟年肉体派の伊藤英明VS若手肉体派の菅谷哲也のバトルが観られるのですからたまりません。


残念なのが、この林遣都さんと菅谷哲也さんのふたりが、映画『テラフォーマーズ』本編に出演されていないということ。

本編では小栗旬や山下智久などの超豪華な俳優が勢ぞろいしており、そこにこのふたりが出演できなかったということは、ドラマ『新たなる希望』で参加者が脱落していく内容とシンクロしているかのようです。
彼らの俳優としての魂が感じられ、なんとも胸が熱くなりました。

※参考↓
『テラフォーマーズ/新たなる希望』、菅谷哲也インタビュー「僕が変形したい虫は…」 | シネマズ by 松竹


↓視聴、情報はこちらで
<テラフォーマーズ_新たなる希望特集|動画を見るならdTV【お試し無料】>

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2016-04-23 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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dtvで観ることができる『アイアムアヒーロー はじまりの日』が良作POVホラーだったという話

4月23日(土)より公開される映画『アイアムアヒーロー』。じつはその前日譚となるドラマ『はじまりの日』がdtvで4月9日より配信されています。

アイアムアヒーローはじまりの日

dtvとは……映像配信サービス。映画、ドラマ、ライブ映像、マンガなどの豊富なジャンルがスマートフォン、PC、TVで楽しめる。お試し初回31日間は無料だよ!

こうした公開前に前日譚となるドラマを展開するということは、過去にも『悪の教典』『クロユリ団地』、最近では『進撃の巨人』『黒崎くんの言いなりになんてならない』でもありましたね。

こうしたドラマ版は、いまやスマホやPCで簡単にワンクリックで鑑賞できる時代。
劇場で観る映画への盛り上がりのため、それに関した特別なドラマを観るということも、作品の楽しみかたのひとつなのです。


さてさて、この『はじまりの日』を観てみて驚きました。だってPOV(Point Of View 主観視点)のホラーだったのですから。

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※POVホラーの例

また、「この映像は後ほど見つかった映像資料である」と初めに説明されるので、ファウンド・フッテージ(埋もれた映像という設定のフィクション作品)でもあるのです。
以下、内容を解説してみます。


〜『はじまりの日』は原作マンガにあった「日常の崩壊」の魅力を補完している〜

なぜ『はじまりの日』がPOV作品になっているのか?と言えば
(1)映画『アイアムアヒーロー』の本編がゾンビにより世界が崩壊した後の出来事だから
(2)その「日常の崩壊」を描くために、人々の生活に根ざした記録映像という設定にした
(3)低予算で製作できるから
というのがおもな理由なのでしょう。
※正確には本作に登場するのはゾンビではなく、ZQN(ゾキュン)という化け物。感染するにつれて言語や行動に異常が生じていくのも特徴です。


(1)および(2)についてちょっと説明します。
じつは、『アイアムアヒーロー』の原作マンガは、はじめの1巻は丸ごと「日常がゾンビに侵食されつつある」という、おとなしくも、おぞましい描写が続いています。

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平たく言えば、原作マンガでは物語の序盤でほとんどゾンビが出てこないわけです。
こう聞くと退屈な描写に聞こえるかもしれませんが、その「底知れない不安感」は、原作マンガの大きな魅力だったのです。

しかし、原作をそのまま映画化すると、原作の序盤の「何も起こらないけど不安に感じる」という描写は退屈に感じてしまうでしょうし、2時間という尺ではとても収まりません。

(映画本編をまだ観ていないので断定できないのですが)おそらく映画版は、原作マンガの魅力でもあった「何も起こらないけど不安に感じる」という描写を、エンターテインメントに特化するために少なくしているでしょう。
劇場というハコで映えるアクション映画としては、これは仕方がないことです。

ともすれば、「世界が終わる寸前の日常(の崩壊)」を描いたこの『はじまりの日』は、原作マンガの魅力を補完してるともとれるのです。
ここには、確かな「映画の前のドラマ化」の意義を感じたのです。


〜原作マンガにない魅力をも描いている〜

『はじまりの日』では、病院、公園、テレビニュース……あらゆるものが恐怖に侵食されていく様子がまざまざと映し出していきます。
原作マンガにもそれに似たような描写はあったのですが、(映画本編で活躍する)看護師がいる病院のエピソードは『はじまりの日』オリジナルのものです
(しかも原作者の花澤健吾さんが監修を務めています)

原作マンガの藪(本名は小田つぐみ)看護師はひょうひょうとして力強い女性でしたが、この『はじまりの日』ではそれなりの気弱さも見せているということがまた魅力的。
しかも長澤まさみさんがめっちゃかわいい(ここ重要)。
原作の小田つぐみというキャラが好きだったという方、長澤まさみのファンにもおすすめなのです。

あと、ローカル番組の「バスアイドル」として山崎紘菜さんが出演されているのもいいですね。こっちもめっちゃかわいいですよ。

注目女優・山崎紘菜さんにインタビュー 『dTV』オリジナルドラマ『アイアムアヒーロー はじまりの日』が本日より配信スタート | ガジェット通信


〜ぶっちゃけ作品の質としてはどうなの?〜

作品のランタイムは1時間と少々ですが、さまざまな場所での恐怖映像を展開することで、飽きないように工夫されています。
ついでにゾンビ映画につきもののグロ描写もしっかりあります。
ゾンビ映画でうれしいお約束である「籠城」のシーンももちろんあります。
終盤には予想をいい意味で裏切る展開も用意されています。

「なんでTV局のディレクターがひとりで取材に来ているの?」「子役の演技がちょっと不安定」「どう見ても背景が合成じゃん」などのツッコミどころもありますが、全体的には十分に恐怖演出がよくできているPOV作品でした。
(正直、アイドルがきゃっきゃと自撮りをするシーンなどはめちゃくちゃ退屈でしたが・・・)
何より、ゾンビの役者たちの演技が相当エゲツなかったので、この手の低予算ホラー映画が大好きな自分としては満足できたのです。

とくに恐ろしかったのは、「ひとりで公園に犬の散歩に来た男性がスマホで撮った映像」でしょうか。
この「視界が限定していること」「肝心なところは見せない」ことで、ここまで恐怖感が煽られるのですね。

「映画と同じ世界観で起こった、別の事件」を、POVホラー作品として垣間見ることができることが『はじまりの日』の大きな魅力といえるでしょう。
(長澤まさみさんも「ひとつの作品をいろんな角度から見られることがおもしろい」とコメントしています)

ちなみに本作の監督は、『放送禁止』シリーズの長江俊和さんだったりするのです。

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長江監督であれば、このクオリティーは納得。POVホラーファンにも、映画『アイアムアヒーロー』をより楽しみたい人にも、オススメですよ。

『はじまりの日』の鑑賞はこちらで↓
アイアムアヒーロー特集|動画を見るならdTV【お試し無料】

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2016-04-09 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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『花とアリス殺人事件』は『リップヴァンウィンクルの花嫁』が合わなかった方にこそ観てほしいという話(+道満晴明先生のマンガ版レビュー)

リップヴァンウィンクルの花嫁』は、
絶賛の声が相次ぎ
パンフレット(Amazonでは値段が高騰)は売り切れ続出、
評判のよさを聞きつけた映画ファンが押し寄せて満席の回もあるなど、
各地で話題沸騰でうれしい限りですね。

公開館数が現在わずか24館であるため、中には車で片道3時かけて観に行った方(コメント参照)もいるのですが、満足されたようで何よりです。


さてさて、ここでひとつ苦言を呈しておきたいです。

お前らが!
『リップヴァンウィンクルの花嫁』を話題にするのはもちろんいいんだけど!
岩井俊二監督の前作『花とアリス殺人事件』(2015年公開)をなぜ観ていないんだよと!

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本作は岩井俊二監督がはじめて手がけたアニメ作品で、名作『花とアリス』の前日譚です。
この時点で映画ファンも、アニメファンも全員観るはずだよね☆と思っていたのですが、この映画のよさを語り合ったことは皆無でした(みんな観ていないから)。

なんでだよ!「ガルパンはいいぞ」と言いつつ何回も同じアニメを観に行くくらいだったら、こっちも観ろよ!(※ガルパンもいい作品だったので好きです)。

なんでアニメファンも『花とアリス殺人事件』を観ないんだ。萌え萌えな女の子がいないからか
いや、だったら『花とアリス殺人事件』こそ、岩井監督のロリコン趣味が出まくっている素晴らしい萌えアニメだと思うんだけどなあ。


なお、『リップヴァンウィンクルの花嫁』は個人的に邦画史上類をみない大傑作だと思っているのですが、“合わない”人もいます。
なぜなら主人公が精神的に弱すぎるから。
この主人公に感情移入できない、しかもとことん彼女をとことん痛めつける物語に拒否反応を覚える方は多いのです。

※合わなかった人の例(若干ネタバレ注意)↓
「リップヴァンウィンクルの花嫁」感想-この世界は優しい : 頭の中もハッピーな人

しかし、『花とアリス殺人事件』は主人公のアリスと花の両方が「強い」のです。言い換えれば「傍若無人」です。
主人公ふたりは問題を自分で解決しようとするし、ときには他人の意見を聞こうともせずに自分を押し通す。『リップヴァンウィンクルの花嫁』の主人公とは、真逆のような性格なのです。

なにせ、本作のキャッチコピーはこうなのですから。

史上最強のひきこもり、花。
史上最強の転校生、アリス。
二人が出会ったとき、世界で一番小さな殺人事件が起こった。


ね、『リップヴァンウィンクルの花嫁』の弱々しさ、はかなさなんてちっとも感じないでしょう。

岩井俊二監督作品はわりと好き嫌いが分かれる傾向にあるのですが、『花とアリス殺人事件』はその中ではかなり万人向けの部類です。
『花とアリス』を観ていなくても楽しめますし、まあなんだ、観ろよ


そういや2015年には『百日紅~Miss HOKUSAI~』という、これまたぜんぜん観られていない秀作アニメがあったなあ。
こちらも年間ベスト級に大好きな作品なので、いや、もうほら、観ようぜ(しつこい)。

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<閑話休題>



さてさて、前置きが長くなりましたが、『花とアリス殺人事件』はマンガ版もオススメしておきたいです。

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本の帯には、こう書かれています。

thIMG_0093.jpg

岩井監督も黙認!? わりと自由なコミカライズ!

うん、まあ、内容は「わりと」どころか最大限に自由になっていました

↓以下はマンガの内容紹介

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2016-04-05 : 旧作映画紹介 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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大炎上中の乙武洋匡氏のすごさがわかる映画3選! 障がい者はいいやつばかりじゃないんだぞ!

乙武洋匡さんが不倫報道で炎上どころか火だるまになりましたね。

五体不満足 完全版 (講談社文庫)
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※アマゾンレビューも真っ赤に燃えています。

五体不満足にも関わらず、5人(それ以上)の女性を満足させたことは、良くも悪くも「すごい」と思うところでしょう。

今回の不倫報道には心の底から幻滅しましたが、向上心とバイタリティーに溢れる乙武さんのことが大好きだった(過去形)ので、今回は改めて乙武さんのすごさがわかる映画を3つ紹介します。

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2016-03-28 : 旧作映画紹介 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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「シネマズ by 松竹」で「ダメ人間 or 生きててよかった」映画の連載を始めました

今日は業務報告ー!
映画サイト「シネマズ by 松竹」にて連載を始めました。

第1回の記事で紹介した映画は『バッファロー'66』(製作:1998年)です。

バッファロー'66 [DVD]
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個人的お気に入り度:9/10

一言感想:ダメ人間でよかった(この映画のよさがわかったから)


あらすじ


ニューヨークのとある刑務所から出所したビリー(ヴィンセント・ギャロ)は、故郷に帰ろうとしていた。
しかし、ビリーはこの5年間は政府の仕事で遠くへ行っていた、しかも妻もいるのだと、両親に嘘をついていた。
ビリーはダンス教室でレッスン中だったレイラ(クリスティーナ・リッチ)と出会うのだが……。




記事はこちら!↓
<愛おしいダメ人間映画『バッファロー’66』の魅力を振り返る | シネマズ by 松竹>

そんなわけで、これからも「ダメ人間を主人公としいている映画」 or 「生きててよかったと思える映画」について、毎週水曜日11時より更新予定です。

今回お仕事をいただけたのは、シネマズ by 松竹の編集長である柳下修平さんのおかげです。本当にありがとうございます&ご迷惑おかけします。

↓ハイセンスな予告はこちら


さてさて、それだけで終わっては申し訳ないので、以下からは2014年(2年前)の映画プレゼンで使った、スライドの一部をご紹介します(こちらでも『バッファロー'66』を紹介していたので)。

↓以下プレゼンの内容(一部)。 少しだけ『バッファロー'66』の内容に触れているのでご注意を。

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テーマ : 映画レビュー
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2016-02-24 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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『ドリームキャッチャー』命より爪楊枝を大切にする映画(ネタバレなし感想+珍シーンを紹介)

メリー★クリスマース!カップルはこの世からけし飛べ

みんなクリスマスに何するのかな?
え?恋人とイルミネーションを観に行くって?そうかそうか!(般若なようなツラで)

そんなみんなのために、一昨年の『バッドサンタ』(続編製作決定おめでとう!)、昨年の『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』に引き続き、クリスマスに観るのにピッタリなとってもハートフルな映画を紹介するね!

今回はすごーく夢をもらえる内容だよ★
なにせ、タイトルが『ドリームキャッチャー』なんだからね!

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個人的お気に入り度:7/10(真面目なホラーを期待すると0点)

一言感想:この映画のジャンルがわからん・・・

あらすじ


ジョンジー、ヘンリー、ピート、ビーバーの4人の少年は、ある日、知的障害を持つ少年ダディッツをいじめから助けた。
4人はそのとき、ダディッツから不思議な力を分け与えられ、その秘密を共有することで強い絆が結ばれた。
20年後、大人になった4人は北方の森にある狩猟小屋で再会することになった。それは彼らにとって毎年恒例の楽しいイベントのはずだったが…。




…すいまセーン…ボクウソついてまーした…。本作はハートフルでも夢にあふれた内容でもございません。
むしろ、ハリウッドきっての大珍作として知られているのです。

まあともかく本作の予告編と冒頭(プレビュー)を観てみてくださいよ。





うんうん、謎に包まれたホラーな寒々しいホラーな印象がありますよね。
はいそこぜんぜん違う
とは言え、予告編は一切嘘はついていないのですが・・・こいつに騙された人がむしろうらやましいですね。だってこんなにも脱力感を得られる映画はそうそうないよ。

何がすごいって、前半の人間ドラマ×ホラーテイストから一転、後半がすげえアホらしいというかすさまじい展開になること。
みんなのシネマレビューでは「広げた風呂敷がうまく畳めてない」「支離滅裂」「後半の脱力感は高級フランス料理のデザートがガリガリ君だったみたいな感じ」などの凄まじいワードが並んでいます。

でも自分はこの映画が大好き。
せっかく張った伏線の回収のぶん投げっぷりとか、あらゆるジャンルを詰め込んでそのどれもが破綻している様とか、珍作映画ファンにはたまらないポイントが満載なのですから。

また、名優のモーガン・フリーマンが完全にあたまがおかしくなったジジイとして登場しているのも見逃せませんね。

クズなモーガンフリーマン<冷酷な軍人です。

モーガン・フリーマンは同じくスティーブン・キング原作の『ショーシャンクの空に』でやさしい老人役を演じていたんのですが・・・そのギャップにも注目です。


この時期(2015年の年末)に本作を紹介するのには、もうひとつ理由があります。
それは本作の監督・脚本・製作が、大ヒット中の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に脚本家のひとりとして参加しているローレンス・カスダンだから。

カスダンは『帝国の逆襲』と『ジェダイの帰還』の脚本家でもあり、それはもう『スター・ウォーズ』が大好きなわけで・・・本作では『スター・ウォーズ』っぽいワイプでの画面切り替えがあったりするのです。

場面転換<こうやって画面を切り替えます

本作は2003年の大作映画なのですが、どこか古き良きB映画な印象があるのは、こいつのせいだと信じて疑いません。
カスダンは2018年公開予定のハン・ソロを主人公にした『スター・ウォーズ』のスピンオフ映画で引退するとのことですが、またこいつのような素敵な珍作を手掛けてほしいなあ・・・。


ぜひ、なかのよい友だちといっしょに酒を飲みつつ、ツッコミを入れつつ観てほしいですね。
こいつはシラフじゃなくて、ハイな気分で鑑賞したほうが間違いなく楽しめるので。
珍作映画ファンは一生に一度は観ておくべきでしょう。冗談抜きでおすすめしますよ。

↓以下は映画の珍作なポイントをちょっとだけネタバレで紹介。たぶん読むと興味が出てくると思うよ。

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2015-12-24 : 旧作映画紹介 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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『Mommy/マミー』ラストの選択は愛か希望か? 2通りの考察(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

遅ればせながら、現在DVD/Blu-rayが発売中のMommy/マミーの感想です。

Mommy/マミー [DVD]
個人的お気に入り度:8/10

一言感想:この法律がなくてよかった・・・のかも

あらすじ


とある架空のカナダで―
発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律「S-14法」案が可決された。

シングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルヴァル)は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の息子・スティーヴ(アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン)とふたりで生活していた。
ダイアンは勝手なスティーブの行動に振り回されてばかり。
そんな折、ふたりはとなりに住む高校教師・カイラ(スザンヌ・クレマン)と知り合う。




本作の監督はグザヴィエ・ドランという、まだ26歳の超・俊英です。
自分は監督の過去作(『マイ・マザー』『わたしはロランス』『トム・アット・ザ・ファーム』)を観ておらず、今回が初ドランだったわけですが、これを本当に26歳(撮影時は25歳)が撮ったのかよと疑わざるを得ないです。

その画作り、話運びは洗練されており、巨匠のジャン=リュック・ゴダールにも例えられています(ちなみにドラン監督自身はそこまでゴダール作品に詳しくなく、ヌーヴェルヴァーグもそれほど観ていないらしい)。
じっくりと登場人物の心理をみせるその作風は、テレビで気軽に観られるようなドラマとはまったく違う、まさしく「映画」と呼べる重圧さがありました。


本作『Mommy』で特徴的なのは、画面が真四角であることです。

画面が真四角1<マジでこういう画面構成です。

テレビはだいたい横:縦=4:3、映画はだいたい1.33:1ですが、本作は完全に1:1。目の錯覚で、少し縦のほうが長く見えるでしょう。
これがどう映画に影響するかと問われれば・・・第一印象はすげえ窮屈でした。

このおかげで画は登場人物の顔のアップばかり。
物語が「シングルマザーの母親が、ひどい行動をしてばかりの息子に苦しめられる」ということもあり、観ていてけっこうシンドイものがありました。

しかし、この画面構成にも確かな意図が感じられます。
それは、登場人物の「どこへも行けない」ような閉塞感を表しているかのよう。
顔のアップの画があることで、より表情の変化に注目して観ることができるでしょう。

ドラン監督はこの画作りを「肖像画(ポートレイト)」に例えていました。
肖像画には、「その人」を感じさせる何かのパワーを感じますよね・・・。じっくりと「見つめて」映画を観ることをおすすめします。


映画本編は、本当にツライ(褒め言葉)内容でした。
息子は注意欠陥多動性障害(ADHD)で、常識はずれのこと、相手の気持ちを考えない行動をしてばかり。
母親はそれでも息子を愛している・・・のだけど、ただ困らされるだけでなく、ときには命の危険をも感じるシーンがあるんですよね。

その鬱屈した環境で・・・「発達障がい児の親が本当に困った状況になったら、法的手続きをせずにその子どもを施設に放り込んでもいいよ」とする、架空の法律が可決されます
母親は、この法律に則り、息子を入院させるか、それとも愛を持って育てるか、の選択をせまられるわけです。

世間一般的には、母親が育児を放棄するなんて、とんでもないことでしょう。
しかしこの映画では、障がい者との生活は、綺麗事や努力だけではどうにもならない、甘いものではないということをこれでもかと教えてくれます。

この映画の息子の行動は、限りなく母親を追い詰めます。
「これなら息子を入院させたくなっても、仕方がないな」と納得できるように、とことん母親をいじめ抜いている作品と言い換えてもいいでしょう。

この映画で思い出したのは、知的障がい児との鬱積した生活を描いた名作『ギルバート・グレイプ』でした。

ギルバート・グレイプ [DVD]
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この映画では、ずっと知的障がい児の面倒を見てきた優しい兄が、ついに暴力を振るってしまうというシーンがあります。
そのシーンはあまりにも悲しいけど、その後の映画の展開を観れば、知的障がいの身内を持つ家族へのやさしいメッセージを感じられるのかもしれません。

本作『Mommy』もそれと同様。あえて辛い障がい児との生活を描くことで、世の中の障がい児を持つ親にエールを贈っているように思えるのです。



また、(映画の良し悪しとは関係ないことですが)本作でADHDが誤解されてしまう可能性があります
本作に登場する息子は傍若無人、自分勝手で暴力的という性格ですが・・・これのみがADHDの症状というわけではありません。

ADHDとされるのは、物を片付けることができなかったり、物事の優先順位がつけられなかったり、たまに素っ頓狂な行動をしたりといったことで、その症状の重さもさまざま。
ADHDの人の中には温和な方もいますし、むしろ誰しもがADHDに関わる(そうなっているかもしれない)要素を持っていると言っても過言ではありません。
現に、大人になってからADHDと認定される、いままで気づかなかったという方も多いのですから。

告白すると、自分もADHDの症状を持っています。
忘れ物は多いし、部屋はなかなか片付けられないし、注意力は散漫だし、優先順位をつけるのなんか下手くそ中の下手くそです。
だけどこの映画の息子のように、人を殴ったりなんかしません。

この映画のADHDも間違いというわけでもないのですが、「こんな暴力的になるのがADHDの症状なんだ」「怖いな」と思ってほしくはないのです。
症状に苦しみ、なんとか社会生活で生きていこうと頑張っている方もいるのですから。

↓ADHDについて知りたい方は、以下のサイトをおすすめします。
<ADHDとは?|どんな症状なの?|大人のためのADHD情報サイト>



本作はとても好き嫌いの分かれる内容だと思います。
「親と子のかけがないのない愛!」なんてハートフルな映画ではありません。
楽しい映画を期待する人にはもちろん向かないし、息子だけでなく母親の行動にも不快感を覚える人も少なくないでしょう。

それでも自分は、本作を発達障がい者が身内にいる家族に観て欲しいです。
結末も含めて賛否両論ではありますが、このラストだからでこそ見えてくるものがあるはずです。

なお、はじめに26歳の俊英監督!と書いてしまいましたが、ドラン監督は「“若手”という形容によってイメージが限定されてしまうのは嫌なんだ」とインタビューで答えています。
本作は一切の先入観なしに、純粋な「母と子のドラマ」に期待して観るのがいいのかもしれません。

「涙のクライマックスが2回来る」という触れ込みは伊達ではありません。
辛いけれど、心に響く映画を観たい方におすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ちょっと性的なことも書いているのでご注意を。

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2015-12-13 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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『デジモンアドベンチャー tri. 第1章「再会」』構造的欠陥を抱えた作品?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

ちょっと遅れましたが、今日の映画感想はデジモンアドベンチャー tri. 第1章「再会」です。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:ファンに後ろ足で砂をかけているような……

あらすじ


八神太一ら「選ばれし子どもたち」が、異世界・デジタルワールドへ渡ったあの夏の冒険から6年が経った。
突如、お台場の街にデジタルモンスターが出現し、街は破壊され、人々は大混乱に陥ってしまう。
モンスターを見かけた太一は、その暴走を止めるために単身その姿を追いかけるのだが……。




※今回はほとんど否定的なことばかり書いているので、作品が好きな方にはごめんなさい。

絶大な人気を誇っていた『デジタルモンスター』のアニメ版、『デジモンアドベンチャー』の最新作です。

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テレビアニメの1期は1999〜2000年、2期は2000〜2001年に放送されていたので、約14年ぶりの復活になるわけですね。
なんとこの『tri.』シリーズは全6章構成。一応劇場版の体裁を取っていますが、第1章の上映からわずか1ヶ月後にソフト版が発売されるという展開がされています。

デジモンアドベンチャー tri. 第1章「再会」 [Blu-ray]
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※12月18日発売、作品のためになるレビューあり。

過去作と異なるのは、小学生だったメンバーが、高校生に成長しているということ(しかも、第2期の最終話のラストシーンへと繋がる物語となっている)。
これはリアルな時間の経過と、作品のテーマを絡めた大傑作『トイ・ストーリー3』を彷彿とさせたので、期待していたのですが・・・。
正直、かなり残念な結果でした。本作にはどう考えてもアツくなれない、構造的な欠陥があると思います。
その理由を以下に書いてみます。


(1)主人公が戦いに消極的
主人公・太一は高校生になり、友人たちのスケジュールが合わないことなど、「大人になったこと」「どうにもならないこと」へのジレンマを抱えています。
さらに太一は街を破壊するモンスターに遭遇し、何にもできないと知りながらそれを追いかけます。
今回は、主人公が「ひとりでは何もできない存在」になっているというわけですね。

そうであったら、彼が再び仲間たちや、いっしょに冒険をしたデジモンたちに再会して、「もう一度みんなで戦おう!」な展開があってしかるべき・・・なのですがそんなふうにはならなかったです。
この主人公がけっきょくウジウジしてばっかりというのは、誰が得する展開なのでしょうか。


(2)「再会」のシーンをないがしろにしすぎ
『デジモンアドベンチャー』の主要キャラは8人います。パートナーのデジモンを含めれば16キャラです。『ドラえもん』の5人とは比べものになりません。
全6章もあるんだから少しくらい出し惜しみをしてもいいと思うんですが、今回で全員出てきてしまいました

それは「再会」というタイトルなんだし、1作目で一挙登場にするファンサービスだとは納得できます。でも・・それにしては再会シーンがやっつけで愛を感じられませんでした。
いくらキャラが多いからって、これはない。それぞれの活躍も描き切れているとは言えません。
このタイトルに期待しているファンほど、不満を感じるのではないでしょうか。


(3)進化シーン、フラッシュバッグを繰り返しすぎ
本作では、デジモンのキャラごとに尺を取ってそれぞれの進化シーンをバッチリ見せます。
デジモン進化〜◯◯!→デジモン進化〜◯◯!→デジモン進化〜◯◯!→と繰り返されます。
「もうええわ」な気分になるのは当たり前です。

まあそれはファンサービスだからまだいいよ。だけど太一の「街が破壊されちゃった!」というフラッシュバックを連発するのはマジでやめてよ。


(4)戦闘シーンがおもしろくない
バトルでは「デジモンたちの必殺技が効かない!」というパターンがやけに多いのですが、その解決方法を模索することがほとんどありません。
技名を叫ぶシーンがなく、人間たちが機転を利かせるシーンも少ないため、どうにも盛り上がりません。


(5)新キャラに魅力がない
『tri.』で初登場となる新キャラまでいるのですが、本作だけでは単なる不思議ちゃんであり、なんの魅力も感じられません。


要するに、主人公がウジウジしすぎ、「再会」というタイトルに見合うアツいシーンがないのです。


いいところもあります。
バンド活動をしていたり、受験生になっていて将来を考えなくてはならなくなっていたりなど、キャラの変化がわかるのは素直にうれしいですし、(1)に描いたような太一のウジウジも理解はできるようになっています。

お台場周辺のシーンが多いため、ちょっとした観光気分も味わえるだけでなく、「知っている場所にデジモンが現れる」という画の魅力にもなっています。

あとはやっぱり超名曲の主題歌「Butter-Fly」が復活したことですね。

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ちょっと歌い方が原曲と異なっていたりと、評判は決して芳しくはないのですが、ここは素直に和田光司さんの活動再開を喜びたいです。


前作から6年後という設定を踏まえ、まだガラケーの時代になっているのもいいですね。
2000〜2001年から6年後→2006年前後はまだガラケー全盛期。LINEもなくて、みんなメールで連絡を取っている。
現実の時代に完全に合わせるのではなく、『デジモンアドベンチャー』という世界観を大事にした時間経過を描いているのです。

そういえば、『ガラスの仮面』で主人公が年を取っていないのに、携帯電話や薄型テレビが出てきたのにゲンナリしたなあ・・・。1970年代の連載初期は、ガチャガチャとダイヤルを回すタイプのテレビだったのにね。


また、批判意見の多い声優の入れ替えと、キャラクターデザインの変更は、個人的には問題ありませんでした。

プロの声優さんはちゃんと役に合った演技をされています。
少年たちは当然「声変わり」をしているわけですし、そのままのキャストではむしろ違和感たっぷりになってしまうでしょうしね。
参考→<【インタビュー】花江夏樹×細谷佳正インタビュー『デジモンアドベンチャー tri.』に出演 | TV LIFE>

キャラデザインは熱心なファンほど「誰だお前」な感じになっちゃっているようで・・・。ニコニコ動画ではもとのキャラっぽくした動画が投稿され、大賛同を受けている状況です。



正直に言うと、自分は『デジモンアドベンチャー』にそれほど思い入れがあるわけでもありません(何話か観た程度)。
でも初代『デジタルモンスター』(電子玩具)で遊んでいましたし、細田守監督による『ぼくらのウォーゲーム』は大興奮した作品だったんです。

デジタルモンスター Ver.1 (ブラウン) デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!/デジモンアドベンチャー【劇場版】 [DVD]<どっちもいい思い出

そのため、少しでも知っているキャラの成長と、作品のおもしろさの両方を期待していたら・・・どっちもダメだったというのはやはりガッカリでした。

そもそも、『デジモンアドベンチャー』はどちらかといえば「明るく夢のある子ども向けアニメ」だと思うんです。
そこに重くるしい大人向けの題材を持ち込んだのは一種の冒険なのでしょうが・・・やはり観客のニーズにはマッチしていないでしょう。

また、本作では固有名詞や、キャラを知っていることを前提としたセリフがあるために、一見さんにはやや取っつきづらい印象があります。
『デジモンアドベンチャー』という作品はいまや少しマニアックな位置付けに思えていたので、この復活を機に、作品を知らない方にも作品の魅力をアピールできれば・・・と勝手に考えていたのですが、これではそれも叶わないでしょう。ていうか最近は妖◯ウォッ◯のひとり勝ちすぎるんだよ。


まあでも、まだ全6章のうちの1作目です。
これから主人公の成長が描かれるというのならこのウジウジっぷりも納得できるし、↑に描いたような不満点なんかどこぞに吹き飛んでしまうのかもしれません。
しかし・・・全6章も付き合うというのは、ファンにとっても(期間的にも金銭的にも)ちょっと躊躇してしまうかもしれませんね。

『デジモンアドベンチャー』好きにも、そうでもない人にも微妙な作品ですが、過度に期待をしないぶんにはオススメします。
エンドロール後にもおまけがありますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短いです。

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2015-12-06 : 旧作映画紹介 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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『キング・オブ・エジプト』(吹き替え版)
『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
『葛城事件』
『TOO YOUNG TO DIE!』
『貞子 vs 伽椰子』
『ヒメアノ~ル』
『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
『クレしん ユメミーワールド』
『バットマン vs スーパーマン』
『ドラえもん 新・日本誕生』
『X-ミッション』
『オデッセイ』

<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『アメリカン・スナイパー』

<2014年下半期>
『ベイマックス』
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『MONSTERZ』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

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