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ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

1000万ヒットありがとう&ブログを引っ越します!

※2021年11月追記:新しいブログは諸事情により閉鎖しました。記事のアーカイブは残しているので、いつかどこかで発表できるようにします。

当ブログが1000万ヒットを達成しました!

このブログを始めたのが、2010年10月末。ほぼ丸6年かかっての1000万ヒットか……感慨深いですね。
これまで続けてこれたのも、読者の方々、ブログでコメントをしてくれる皆さんがいたおかげであります。本当にありがとうございます。
2016-10-13 : 映画感想 : コメント : 8 : トラックバック : 0
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映画『アングリーバード』マッドなアクションがイカれすぎだぜ!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はアングリーバード(原題:The Angry Birds Movie)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:いや、怒れよ!

あらすじ


浜辺でひとりで暮らす、太いまゆを持つ赤い鳥・レッドは嫌われ者だった。
ある日、村に素性の知れないみどりのブタたちがやってくる。レッドは彼らに不信感をつのらせるが……。




世界中で30億ダウンロードを誇る超大ヒットゲームの映画化作品、全米での興行成績もまずまず、だけど日本では10位スタートってどういうことなんですか?(回答者のいない疑問)

いやこれおもしろいんですよ?本作の魅力については以下にも書きました。
<『アングリーバード』はストレスを溜めている方は必見!『マッドマックス』並にイカれた(褒め言葉)映画だ! | シネマズ by 松竹>

いや本当、「怒りん坊の主人公の鳥が怒りの感情をコントロールして成長する話」なのかと思っていたら全然違ったのでびっくりですよ。
むしろ主人公が作中一番の常識人で、そのほかの鳥のほうが押し並べて性格が悪く、むしろ主人公に「怒れよ!」と言いたくなる内容なんだもん。

アングリーバード常識人の主人公<むしろあんまり怒っていない主人公

この映画の欠点は、この主人公が周りから浮きまくるという展開がいくらなんでもストレスフルすぎるということ。
もちろんそれは物語上必要なものなのですが、くっそ性格が悪い鳥たちだけじゃ飽き足らず、途中から登場する見た目も行動も何もかもがウザい「みどりのブタたち」にはイライライライライライライライライラしました。

アングリーバードのみどりのブタ<300回くらいはぶん殴りたい

また、中盤までのギャグの半分くらいは、子ども向けにシフトしすぎてあんまりおもしろくはありません。
「伝説の鳥がおしっこをする」というシーンは予告編で見せすぎじゃないかなあ(本編でもおもしろくない)……あの予告のおしっこシーンのせいで客足が鈍ったのだと邪推してしまいます。

しかしそれらのストレスも終盤のための「溜め」。すべてを吹っ飛ばす、原作ゲームを大迫力の映像に仕上げた「巨大パチンコアクション」(しかもアホなくらいぶっ続く)には「YEAAAAAAAAHHHHH!」と叫びそうになりましたよ!(周りのお客さんに迷惑なので止めましょう)

パチンコで飛びます<この後は超爽快!

これはスタッフのあたまがおかしいなあと心底思った(超絶褒めています)アクションばっかりだった『ペット』、および『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に匹敵する興奮がありました。いやマジで。

以下の本編映像も公開されたので、そのマッドっぷりをお楽しみください(若干ネタバレ注意)。



このアクションを予告で伏せていたのはネタバレ防止のための英断かもしれないけど、こっちを予告に使ったら観る人が増えたかもしれないなあ……。

そんなわけで、物語やキャラ設定に若干の物足りなさも感じなくはないですが、子どもはケラケラ笑いながら楽しめて、大人はマッドなアクションに興奮しつつもしんみりしたドラマにも共感できる、という理想的なファミリー映画です。
かなり万人向けの作品と言えるでしょう。
字幕版の上映が皆無なのは残念ですが、吹き替え版のクオリティは文句無しですよ。

そうそう、3D効果も抜群ですよ。ぜひ3D版を選択し空を飛ぶ爽快感をぜひ味わってください。
エンドロール後にもおまけがありますよ!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-10-07 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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『高慢と偏見とゾンビ』原点にリスペクトしすぎ(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は高慢と偏見とゾンビ(原題:Pride and Prejudice and Zombies)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:マジメか!

あらすじ


18世紀のイギリス、その地では大量のゾンビがはびこっており、リジー(リリー・ジェームズ)ら5人姉妹は少林寺拳法とナイフ術を駆使してゾンビと戦う毎日を過ごしていた。
ある日、リジーは大富豪の騎士であるダーシー(サム・ライリー)と出会うが、その高慢な態度にリジーは苛立ちをつのらせる。




ジェーン・オースティンによる名著『高慢と偏見』の物語にゾンビを登場させちゃった愉快な映画です。
この1行でもう紹介を終わってもいい気がします。

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今回は、詳しい解説と見所を以下に書きました↓
<『高慢と偏見とゾンビ』をもっと楽しむための5つのポイント>

要するに、
本作はほとんど『高慢と偏見』まんまであり、
真面目な恋愛話に半ば無理やりゾンビがねじ込まれるのが楽しい、
『プライドと偏見』を観ておくとおもしろさが5割増しする
ということですよ!

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さてさて、上の記事では存分に褒めたので(そんなに褒めていない気もするけど)で、こちらではちょっと残念だったことを書きます。

何より、ゾンビ映画なのに血しぶきや臓物がほとんど出てこないんですよね。
記事に書いた通り、B吸映画にせずに格調高く仕上げたのは本作の美点なのですが、やはり自分はアホアホグログロ悪趣味B吸ゾンビ映画のほうが好きなのだと再認識しました(身も蓋もない発言)。

展開も『高慢と偏見』をなぞりすぎるがあまり、パンチ力が足りません。
ゾンビ映画だったらこれもほしいなーあれもあるといいなーという希望が、メロドラマが主体であるために叶えられないんですよね。
それでいて、せっかく張った伏線が生かされていないところもあるし……もう少しハジけてくれてもいいんだけどな。

自分がこの映画で一番好きだったのは、ゾンビそのものではなく、豪華な衣装に身を包んだ女性たちがナイフを脚に忍ばせたり、女性たちのお茶会かと思っていたらライフルを磨いていたり、会話をしながらカンフーバトルをするといった狂った(超褒めています)世界観だったりします。
オープニングでの舞台説明は頭がクラクラするくらいアホらしい(超褒めています)ので最高だったぜ!

少林寺拳法で戦うヒロイン<この世界の常識

あ、そうそう、作中では日本語を話すシーンがひとつだけあるのですが、かなり高度なヒアリング能力が問われます。
まあ字幕はあるんだけど、それがなかったらマジで何言ってんだかわかんないよ。

そんなわけで、そこそこ以上にはおすすめ。
ゾンビ好きな男の子と、ラブストーリー好きな女の子の両方の需要を満たせるので、デートにもどうぞ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ すぐ終わります。

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2016-10-05 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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『ハドソン川の奇跡』究極の「時間」の演出とは(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はハドソン川の奇跡(原題:Sully)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:構成の力を思い知らされる「いぶし銀」な秀作!

あらすじ


2009年1月15日、真冬のニューヨーク。
ベテラン操縦士のサリー(トム・ハンクス)が操縦する旅客機に鳥が突っ込み、エンジンが停止状態になってしまう。
サリーはハドソン川での着水を試みるが……。




名匠の誉れ高いクリント・イーストウッド監督の最新作です。

本作は実際に起こったハドソン川での不時着水事故を題材にしているので、どうしてもその内容がネタバレしてしまっています。

しかも、機長が着水までの判断に要した時間はわずか208秒です。
この時点で本作は「パニック映画」というジャンルとして、2時間弱の映画としては成り立ちません。

しかしそこはイーストウッド監督。この題材でも、その作家性が如実に現れまくったすんばらしい映画に仕上がっていました。


何がすごいか、まずはその映画としての構成の力です。

本作では時系列をズラしつつ、「回想」として飛行機事故を映していきます。
そして、それぞれが同じ飛行機事故を描いているはずなのに、それぞれでまったくその印象が異なっているんです

それでいて、印象が異なったとしても、あくまで映画が描いているのは主人公のサリー機長の内面です。
わずか96分のランタイムで、彼がどういう人物なのかを「徐々に」知っていくことができるこの構成の力には脱帽するしかありませんでした。

細かいセリフにもとても気が利いており、ひとつとして無駄なシーンはありません。
イーストウッド監督は83歳になってもなおも映画業界の最前線にいるお方であり、その作品には映画としてのおもしろさがギッキリと詰まっている、と認識を新たにした次第です。

また、イーストウッド監督作品は、『アメリカン・スナイパー』の評で書いた通り、英雄を単なる英雄として描きません(むしろ英雄が英雄であるがゆえに苦しんでいる)。
戦争映画でない本作でも同様で、サリー機長は「英雄」と書かれていた新聞を見てもいい顔はしません。
この点でもイーストウッド「らしさ」をはっきりと感じることができました。


言わずにはいられないのは、主人公のトム・ハンクスを始めとした俳優陣の「抑えた」一方での熱のこもった名演です。
副機長を演じたアーロン・エッカートとトム・ハンクスの掛け合いは「本当にこいつら昔からの仲良しなんだな」とさえ感じさせてくれました。

ハドソン川1<このおじさんコンビ大好き!

じつは本作はイーストウッド監督とトム・ハンクスが初タッグを組んだ作品なんですね(けっこう意外)。

それにしても、トム・ハンクスは本当『プライベート・ライアン』『キャプテンフィリップス』に続き、「キャプテン」の役が似合うなあ。こうまで心優しく頼れるキャラばかり演じていると、そろそろゲスい悪役が見たくなりますね(無茶な注文)。
ちょっと話題になった、「神田の居酒屋に現れたトム・ハンクスの違和感のなささすぎる写真」であっても、いい人オーラが出まくっているんだもん。
そうそう、有名俳優以外でも、乗客一人一人にいたるまで、存在感のある演技をしてくれるのがうれしいですね。
あの「ゴルフに間に合わせるため、無理に搭乗した父と子2人」のキャラとか大好きだったもん。

なお、本作は事故を再現するため、マジでその事故が起きたハドソン川のほぼそのまんまの場所で撮影をしています

さらに、フェリーの船長は、プロの俳優が演じているのではなく、本当に事故で救助をしていたその人だったりするのです(エンドロールの役名でも「HERSELE」「HIMSELF」、つまり本人役と書かれている人が多い!)
みんなが、この生還とサリー機長を讃える映画が製作されることを喜ばしく思っているんだなあ……素晴らしいことです。


なお、実在のサリー機長は、自身の業績を「ハドソン川の奇跡」と呼ばれることに拒否反応を示しています。
なぜかと言うと、「奇跡」という言葉は本来起こり得ないものであり、サリー自身がやったことは「最善」で確かな方法であったから。

邦題はこんなことになっちゃいましたが(仕方がない気もするけど)、本編ではそのプロとしてのサリー機長の判断を、ときに誠実に、ときには「疑わしく」描いていきます(←これこそがおもしろい!)
見終われば、サリーのやったことが「奇跡ではない」と明確に感じられることでしょう。

ちなみに、原題の「Sully」は主人公のニックネームそのままですが、動詞してのSullyには「傷つける」「誹謗中傷する」という意味もあります。
製作者がその意味をタイトルに込めたかは定かではないですが、どちらにせよこちらは映画の内容を的確に、シンプルに捉えたタイトルと言えるでしょう。


個人的には「クライマックスの演出はこうであってほしかった!」という不満はありますが、それ以外はもう文句のつけようもありません。
あくまで主題は人間ドラマですが、事故のシーンの迫力、その画としての説得力もものすごいので、ぜひ音響の整ったスクリーンで観ましょう。

地味な作風に思われるかもしれませんが、そのぶん映画としての魅せかた、上手さがよくわかる作品です。
小難しさはないので、大人はもちろん中・高校生の若者にも大プッシュでオススメです!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-10-04 : 映画感想 : コメント : 18 : トラックバック : 0
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『真田十勇士』堤幸彦と構造的欠陥を抱えた脚本のコンボ(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は真田十勇士です。


個人的お気に入り度:3/10

一言感想:俺の心を裏切った


あらすじ


ウソを本当にしてやるぜ!→ウソでも本当でもどっちでもよくなる話。




映画ファンからは蛇蝎のごとく嫌われている、堤幸彦監督の最新作です。
しかし、いくら嫌いな監督だからって、ハナから駄作だと決めつけてかかるのはよくないと思うんですね。

ひょっとすると楽しめるかもしれない、1周回っておもしろいかもしれない。
先入観なしに映画を観て、ちゃんと評価をしようと!と思ったら案の定裏切られたので、ボスにトリッシュを強奪されたブチャラティのような気持ちになってしまいました。やっぱりこいつ嫌いだよ!※画像出展はこちら

本作については『聲の形』に引き続き、ラリーBさんと大いに語っております。



※基本的にド酷評です(この映画が好きな人には本当すみません)
※なんだか酷評するのが楽しくなってヘラヘラしていてすみません
※7分50秒ごろから超ネタバレ注意


もう本当に素晴らしかったですね(皮肉)。
具体的な問題点は以下です。

(1)構造的欠陥を抱えた脚本
(2)安定のTSU☆TSU☆MI☆演出
(3)死者を冒涜する精神性

「チッ」と舌打ちをしながら映画を観たのは初めてです(←周りのお客さんに迷惑なので、絶対にマネをしてはいけません)。
総じてストレスを溜めたい方にオススメと言えますね(棒読み)

さてさて、それぞれの問題点を具体的に書いていきます。


(1)構造的欠陥を抱えた脚本

えーとですね、本作は「実在する真田幸村が本当はボンクラで、なあなあでやったことがうまくいっていただけだった!」→「だけどそれを突き通してしまえばいいんだ!」という論理展開がされるんです。
これだったら、「ウソを突き通す」もしくは「ウソを認めて、本物の知将になる」ということが話のゴールになるはずですよね。
しかーし、この映画では終盤で明後日の方向にお話がお進みになりまして、すんげえ不愉快かつ納得しづらいことになるのです。

(2)安定のTSU☆TSU☆MI☆演出

堤幸彦はその過剰な演出やらハズしたギャグなどがおもに批判を受けているポイントですが、今回もそんな堤イズムが大判ぶるまいですよ☆
終盤ではもはや目を疑うような編集がございまして、展開の適当さも相まって怒りのボルテージが上がりまくりました。

(3)死者を冒涜する精神性

いや、これはヒドい。
この映画では戦地の真っ只中で誰かが死にそうになる→ほかの誰かが抱きかかえて号泣する、というダメな日本映画にありがちなシーンが出てくる(←ある意味ネタバレだけどいいや)んですけど、そういうシーンでの悲しみの感情を台無しにする展開が続くので死ぬかと思いました。


そんなふうにド酷評をしながらも、お気に入り度が3点止まりなのは、中盤まではけっこうおもしろかったから。
前述の(1)構造的欠陥を抱えた脚本が終盤になるまで顔を出しておらず、話のテンポもいいためにとりあえず退屈はしなかったんです。

松坂桃李のキレ演技はなかなかだし、大島優子のくノ一はかわいいし(キャラ的には言いたいこともあるけど……)、松平定知のハマりすぎなナレーションもいいではないですか。

真田十勇士かわいいのが救い<大島優子はかわいい、それでいい。

そしてG指定で許されている意味がわからない残虐描写がたっぷり
これはおそらく演出も含め『バトルロワイヤル』『仁義なき戦い』的な深作欣二作品へのリスペクトなのでしょうね。

あとアクション担当の演者さんには、動ける方がたくさんいてよかったですね。
マンガ的なキャラが、現実ではありえねーアクションをしまくるのも楽しいです。
エンタメに徹しようという気概は存分に(むしろ過剰なくらいに)感じられました。


ただし、アクションは『300(スリーハンドレッド)』なスローモーションの連続で台無しです。

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あのね、『300』のスローは「原作のコミックの絵を「止め絵」として再現する」という目的もありましたし、そのスピード感を相対的に際立たせるという意味でとても効果的だったんです。
だけど、その演出をただ模倣しただけでは、「ふつうにしろや!」とイラつくだけなんです。

しかもアクションのカメラワークも「杜撰」としか言いようがないものだったし……。
堤監督はアクション稽古のときは「ドロンします」という札を置いていなくなりましたとか言ってるくらいなので、アクションのディテールなんてどうでもいいのでしょう。
せっかくのたくさんのエキストラ、巨大なセットももったいないです。

そうそう、この仕事してなさすぎな脚本を手がけたお方は誰かな〜と思ったら、いままでほぼ舞台のみ、映画の脚本を担当されていないお二方でした(そもそも本作は舞台版がほぼ同時に展開されています)。
なるほど、だから誰かがしゃべる→その話を聞いて「と、いうことが言われているのじゃが〜」とほざくという、舞台でしかありえない演出があったんですね。それは映画ではやめてくれませんかね。

あと2時間15分という上映時間もビミョーに長いです。
終盤の展開をタイトにまとめたら、2時間以内に収まると思うんだけどな。


自分は真田十勇士にも歴史にもまったく詳しくないので、単純に娯楽作としての出来を期待していました。
でもまあ、終盤の展開のおかげで総合的にはムカついてしょうがないというのが結論です。

でも、わりとソコソコのレベルでおすすめします。
初登場7位、2週目から9位と、大作映画としては大苦戦しているので応援したくなりました?(疑問系)
天空の蜂』に引き続き、「なぜ映画ファンは堤幸彦が嫌いなのか」を知れる絶好のチャンスですよ!(そんなチャンスはいらんかもしれんが)

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 文句しか言ってません。『レザボアドッグス』と『スティング』という名作映画のネタバレに触れているのでご注意を。

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-10-03 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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『映画 聲の形』が超絶大傑作であり、すべての人に観てほしい5つの理由(ネタバレなし感想)

今日の映画感想は聲(こえ)の形です。


個人的お気に入り度:10000000000/10

一言感想:生きててよかった

あらすじ


小学生の石田将也は大嫌いな退屈から逃れるため、聴覚障がいを持つ女の子の西宮硝子をいじめていた。
石田はそのいじめの責任を負わされ、クラスから孤立し、反対にいじめられるようになってしまう。
5年後、高校生になった将也は、硝子のもとを訪ねるが……。




同名のベストセラーコミックの映画化作品です。


本作については、Twitterの映画仲間であり、ブログ読者であるラリーBさんと大いに語りました。



※11分20秒ごろからラストを含む超絶ネタバレ全開注意
※ネタバレなしでも「ハッピーエンドかバッドエンドか」というところには触れています
※後半ではネタバレ記事に書く予定の「原作との違い」を語りまくっています。

ちょっと今回は語りたいことが多すぎるので、ネタバレなしでも存分に長く書くぞ!覚悟しろ!


(1)本質的なテーマは聴覚障がいやいじめじゃない!

本作は聴覚障がい者へのいじめが描かれており、そこがどうしても目立っていますが、本質的なテーマは障がいやいじめではなく、“繋がりたいのに繋がれない”という“コミュニケーション”であるということ、そしてコミュニケーションによる“許し(赦し)”や“自己肯定”の物語が紡がれている、ということを強く訴えておきたいです。

いじめの話と聞いて、「辛い作品なんだろうな」「鬱になっちゃったらどうしよう」と身構えている方はたくさんいるでしょうが、そう思った人にこそ観てほしいです。
確かに辛く、苦しいシーンも多いのですが、こうした“後ろ向き”な感情があるからこその、ラストの感動があり、前向きになれるメッセージを受け取ることができるのですから。

『聲の形』は原作マンガでも映画でも「いじめをしたやつの反省や弁明なんて聞きたくない」という批判があります。
それは正しいですし、普通の感覚です(作中にはそのことを吐露する登場人物もいます)。
しかし、自分はそこに踏み込んで、いじめっ子の気持ちと、罪の意識、そして“許し”という、この世でもっとも難しく、何よりの問題解決の方法を、深く、細やかに描いたことに感動しました。

追いつこうとする聲の形<主人公は、聴覚障がいを持つ女の子をいじめていました。

本作の脚本を手がけた吉田玲子さんは、「許しがたいことはたくさんある。でも、観終わった方が、自分で自分のダメなところを、他人の嫌な部分を、少しでも許せるようになって、少し好きになってもらえたらなぁと思っています」と語っています。

まったくその通りで、『映画 聲の形』を観た後は、少しだけでも(欠点を含めた)自分のことを好きになれますし、他人の嫌な部分も受け入れられるようになるのではないでしょうか。

そして、『映画 聲の形』で何よりも思ったことは、「死にたい」「自分に価値がない」と思うことは、この世のどんなことよりも悲しいことだということです。

そういう気持ちになる少年少女はたくさんいます。そうして傷ついた子どもたちに、ぜひこの映画を観て欲しいです。
自己や他者を肯定でき、よりよいコミュニケーションができるようになるだけでなく、いじめや自殺をこの世から少しだけ減らす“力”を、この映画は持っています(←断言)。

聲の形軽い気持ちのいじめ<いじめに苦しんだ人にも観てほしい……


(2)原作からの取捨選択が完璧、そして映画でしかできない表現があった!

原作は、全7巻と最近のマンガにしては短めでした。
しかし、2時間余りの映画に落とし込むのは難しかったことでしょう。原作の要素を削りすぎると“説明不足”になり、かといって描きすぎると“詰め込みすぎ”になるのですから。

『映画 聲の形』は、その“マンガの映画化”において、エピソードの取捨選択、再構築、そして“映画でしかできない表現で言葉よりも雄弁に語る”ことにおいて、完璧であると感じました。

おそらく、映画を観た後に原作マンガを読むと、「あのシーンもこのシーンもマンガにない!」「映画で説明のなかったシーンの印象が、マンガで説明されていることそのままだった!」と驚けるのではないでしょうか。
『映画 聲の形』はモノローグを最小限に止め、言葉で語らずとも、映画としての演出、登場人物の行動、ちょっとした表情の機微で、原作の内容を見事に表現しているのです。

『君の名は。』が過剰なまでの力強い言葉と怒涛の展開で攻めるエンタメ作品なら、こちらは“言葉で語りすぎない”文芸的な作品の趣きを感じさせます
まさに“映画ならではの表現”のおもしろさ、素晴らしさに溢れているのです。
アニメーション作品ではありますが、その繊細さは実写作品となんら変わりない、いや、それ以上であると感じました。

聲の形青空<この「一面の青空」も山田尚子監督のこだわり

そういえば、原作には猫カフェの店員さんの「(猫は)言葉が通じないから考えさせてくれるというか、想像の余地があるのがとてもいいですね」というセリフがありました。
これは映画版の魅力そのものです。映画ならではの演出により、「想像」をさせるのが素晴らしいのです。


(3)美しい音楽により、“補聴器で拾う音”を体感しろ!

『映画 聲の形』の大きな魅力になっているのは、牛尾憲輔さんによる美しい音楽です。

映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light[形態A]
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※楽曲の試聴が可能。劇中ではお店のBGMとして使われていた「(i can) say nothing」、劇中で使われていない「speed of youth」なども名曲です!

劇中の音楽に耳を澄ましてみると、ピアノのペダルを踏むときの「カタッ」という音や、「サーッ」という雑音が聞こえてきたりします

これは、まるで“補聴器をつけている人が聞く音”と同じようです。
補聴器はその構造上、聞きたい人間の声だけでなく、どうしてもそのほかの音(雑音)も増幅して拾ってしまうのです。

牛尾さんは、この補聴器の特性に注目して、ピアノを解体し、中にマイクを設置することで、雑音を含んだ音を録音したのです。
劇中の音楽で、補聴器をつけている人(聴覚障がいを持つ人)が“聞いている”ものを実感できる……これはものすごいことなのではないでしょうか。

『君の名は。』のRADWIMPSの楽曲に感動した人にも、ぜひこの楽曲の数々を堪能してほしいです。
「こんな音楽の形があるんだ」と映画音楽の多様性、『聲の形』という作品といかにこの楽曲がマッチしているかを実感できるでしょうから。

また、牛尾さんは画家のジョルジョ・モランディの静物画の“影”、あるいはヴィルヘルム・ハンマースホイの“光”の描き方などを、音へとコンバートするという音作りもされていたのだとか。どういうことなの。

ジョルジョ・モランディ Hammershoi and Europe<こういう絵画を音楽に取り入れています。

さらに、劇中ではバッハの「インベンション」という“練習曲”が使われています。



この曲を用いた理由は、物語が“主人公の石田が外の世界に触れていくための練習”という側面を持っているからなのだそうです。
劇中で「インベンション」がどのように使われているかは、サウンドトラックを聴くなどして、確認してみてください。

※こちらのインタビュー記事を参考にさせていただきました↓
<映画「聲の形」牛尾憲輔インタビュー 山田尚子監督とのセッションが形づくる音楽 | アニメ!アニメ!>


(4)善と悪、偽善は明確に分けることができないことを描いている

“偽善”という言葉があります。
それはうわべだけとり繕って、その行動や言動が本心や良心によるものではない、ということを差します。
本作に登場する川井(メガネの女の子)の行動や言動を見て、“なんだこの偽善者は!”と憤る方は多いのではないでしょうか。

しかし、原作者の大今良時さんは、「聲の形 公式ファンブック」にて、川井の行動を「ナチュラルであり流した涙も純度100%である」と明言しています
 
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ほかにも、植野(なんでも正直に言ってしまう黒髪ロングの子)の行動は、彼女なりの「自分が思う正しい行動」に思えます。
いかに不器用で、誰かを深く傷つけたとしても……。

こうした面から考えると『聲の形』で訴えられているのは、善や悪、偽善は、誰にも線引きして分けることはできない、ということです。
他人にとって“偽善”に思えることは、本人にとっては純粋な気持ちの“善”かもしれない。
はたから見れば“悪”に思えることも、それは正しいと思ってやったこともかもしれない、と。

また、「聲の形 公式ファンブック」には、「(ヒロインの)西宮は植野を一番の理解者だと思っている」「自分にここまで踏み込んでくることに感動している」とも書かれていています。
マザー・テレサが「愛の反対は憎しみではなく無関心」と言っていたように、じつは憎しみのようにぶつけるコミュニケーションも、本人にとってはうれしいことかもしれないのです。

『映画 聲の形』は、原作を読んでいない人も、いや原作を読んでいない人にこそ観て欲しいです。
なぜなら、登場人物たちに先入観がないと、「こいつは嫌なやつだな」「あいつは偽善者っぽいな」と感じていることができ、それこそが感情を揺さぶってくるはずですから。
ぜひ、主人公の石田と同じように、「いい意味での疑心暗鬼」になってほしいです。


(5)10代20代だけじゃなくて、すべての人に観て欲しい!

とにかく、原作を読んでいない人に観てほしい、すべての世代の人に観てほしいんです。
アニメーション作品ということもあり、観客は10代20代の若者が多いようですが、彼らに独占させておくのはもったいないんですよ!

小学生であれば、どんな道徳の授業よりもいじめを“してしまう”心理を学ぶことができ、その問題解決の方法を探すことができるでしょう。
高校生であれば、いまの人間関係を見つめ直し、幸せに生きるヒントを見つけられるでしょう。
大人であれば、過去に起こったことを思い出し、昔の友人に会おうとするきっかけになるかもしれません。
子を持つ親であれば、子どもとの接し方で、学べることがきっとあるはずです。

劇中には、性格の似ている、自身の人生と重なる登場人物がきっといるはずです。
前述したように、自己や他者を少しだけ肯定することも、できるようになるでしょう。

極めて普遍的なコミュニケーションの悩みを描いているので、自身の人生に当てはまりまくることも本作のすぐれたところ。忘れていたトラウマが呼び起こされるというのも特筆に値します。
原作ではそうでもなかったのに、映画の力ってすげえよ!


ここで恐縮ですが、どうでもよい自分語りをさせてください。

自分は、否応がなしに、かつての小学校時代を思い出しました。
その記憶の中には、自分がいじめられただけでなく、誰かをいじめてしまったものもありました。

記憶が蘇って感じたのは、いじめられたことよりも、いじめたことのほうが、はるかに辛い、ということでした。
しかも、“いじめた”という記憶があるだけで、悲しいことにそのいじめた相手が、いまとなっては誰かもわからない、謝ることができないのです。

劇中で、主人公の石田は自身がいじめてしまった相手に会いに行きましたが、それはとても勇気がいることです。
そうしていじめてしまった相手と再会し、謝ることができるというのは、幸せなことなのではないでしょうか。

この映画を観て、自分は小・中・高といっしょだった友人と、連絡を取ってみよう、と思いました。
その友人とは仲がよかったのですが、時々いじめられてしまっていて、涙を流すほど悲しかったときもありました。
しかし、その友人は家庭環境が複雑だったり、学校で問題を起こしたりなどで、何かに傷ついていたために誰かを傷つけていた、と思わせることもありました。

残念ながら、自分はその友人の気持ちをちゃんと聞くことも、支えになることもできませんでした。
高校時代の後半から、その友人関係はフェードアウトし、そのまま話すことも、再会することもなかったのです。

あのとき、友人はどう思っていたのか、どうして欲しかったのか、それを聞いてみたい、と思いました。
どうなるかはわかりません、“会わないほうがよかった”となるかもしれません。それでも、会ってみたい、そのことが、友人の救いになるかもしれない……。
この『映画 聲の形』はそこまでの気持ちを呼び起こしてくれました。


そんなわけで『映画 聲の形』は自分にとって一生大切にしたい映画です。10点満点で100億点付けている時点でわかってよ!(←めんどくさい訴え)

『君の名は。』に熱狂している若者も「『君の名は。』をもう3回観ちゃいました!」「何度観ても飽きません☆」って言っているだけでなくて、『聲の形』も観ろよ!(←『君の名は。』を5回観ている自分が言えることではありません)


そうそう、じつは『君の名は。』劇中での旅行先の飛騨と、『聲の形』の舞台の大垣市は、同じ岐阜県にあります。
飛騨古川駅大垣駅は、電車で3時間離れてはいますが、もし聖地巡礼(作品の舞台を旅行すること)をするならば、ふたつの作品の場所をいっしょに行ってみるといいのではないでしょうか(ていうかたぶん自分が行きます)。

『君の名は。』聖地巡礼の参考リンク↓
<映画「君の名は。」に一部イメージとして登場する飛騨市を満喫しよう!>
<「君の名は。」飛騨市パネル展|イベント|飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」>(10月30日まで)

『聲の形』聖地巡礼の参考リンク↓
<聲の形 舞台ガイド|大垣・西美濃観光ポータル「水都旅(すいとりっぷ)」>(原作マンガが参考)
<スタンプラリー専用アプリダウンロードページ | 聖地巡礼マップ>(10月2日まで)↓
<「聲の形」“聖地”撮影で限定グッズ 大垣市が企画>(11月30日まで)

聲の形満開の桜<聖地巡礼に行きたくなる美しい風景


また、ピアノ主体の音楽、主張をぶつけ合う登場人物、疑心暗鬼になってしまうこと、コミュニケーションの問題が描かれるなど、じつは同日に公開された『怒り』とも共通点が多かったりします。
本当に、日本映画が好きな人にこそ、観てほしいです。

同監督と脚本家のタッグ『映画 けいおん』や『たまこラブストーリー』も大好きな作品でしたが、本作はそれをはるかに超えた、アニメ映画という枠を超えた大傑作となりました。

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公開当時の感想→<訪れる変化 映画「たまこラブストーリー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー>

物語の着地点がやや捉えづらいことや、登場人物が苦しむ描写がうますぎて胃が痛くなる、主張やエゴを押し付け合うという作風は確かに好き嫌いは分かれますが、それも含めて作品の魅力です。

上映館が121館とわずかながら異例とも言えるヒット、公開12日目にして興行収入が10億円を突破しているというのもうれしいですね。

あ、そうそう、『君の名は。』と『聲の形』が大ヒットしていることは本当に喜ばしいんだけど、たまには『ももへの手紙』『虹色ほたる』『百日紅』『花とアリス殺人事件』など秀作であったのにコケてしまったアニメ映画があったことを思い出してください。そろそろ上映が終わりそうな『レッドタートル』もね。

まだまだ劇場の満席が続くと思われますので、ぜひ予約のうえでの鑑賞を。
すべての人に、本気でおすすめします!

(ちょっと長くなりすぎたので、ネタバレは別記事で書きます。あと3回目を観てくるので)

↓おすすめのすんばらしいレビューの数々。みんな長くて熱いな!
映画感想:聲の形 ~人間賛歌~ | 光光太郎の趣味部屋
映画『聲の形』感想 〜コミュニケーションの残虐性と尊さ【ネタバレ】 | しのの雑文部屋(超絶ネタバレ)
映画『聲の形』感想 - 沼の見える街
秋の感動作2本立て 『怒り』と『聲の形』: ホラーショー!民朗の観たまま映画批評

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2016-09-29 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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『怒り』疑うことと、信じること(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想怒りです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:信じるって難しい(いや、簡単かも)

あらすじ


東京・八王子で凄惨な殺人事件が起き、その現場には「怒」の血文字が残されていた。
その事件から1年、千葉の漁港に住む洋平(渡辺謙)の娘である愛子(宮崎あおい)は、田代(松山ケンイチ)と名乗る青年と恋仲になる。
時を同じくして、東京、沖縄でも、「殺人犯と疑わしき男」がフラッと現れるのだが……。




本作は、BL(ボーイズラブ)な要素があるため、SNS上で大いに話題を集めています。

Twiiterの検索候補には「怒り BL」とか「綾野剛 受け」とか出てきますからね。どんな形でも映画が話題になるのはいいことです(たぶん)。

このあたりのBL要素、本作のテーマ、役者などの魅力、ネタバレなしの原作小説との違いについては以下にも書きました↓
<『怒り』BL全開な綾野剛に萌えた理由と、“信じる”難しさを描いた傑作であった5つの理由 | シネマズ by 松竹>

まあなんつーか、綾野剛が可愛すぎて新しい扉を開いてしまいそうなんですよ。

ベストカップル綾野剛と妻夫木聡<ベストカップル

そんなわけで、綾野剛と妻夫木聡のカップリングに期待する人は絶対に観に行きましょう。



さてさて、本作は吉田修一の同名小説の映画化作品であり、監督は『フラガール』『許されざる者』の李相日(り そうじつ)です。

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この原作者と監督のタッグは、興行収入20億円近いヒットを記録した『悪人』以来6年ぶりとなります。

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この機会に『悪人』を観てみたのですが……好きな人にはごめんなさい、これはあまり肯定できる内容ではなかったです。
なぜなら、人を殺した主人公(妻夫木聡)を善、大学生(岡田将生)と殺された女性(満島ひかり)を超クズに描くという、「観客に想像の余地を残さない」作風だったからです。
これは「本当の悪人は誰か」(を観客に考えてもらう)というテーマとも矛盾していないでしょうか。
自分の不満は、以下の論理的かつ明確な記事でもよくわかるので、ぜひ読んでみてください(ネタバレ全開)
<悪人 [映画感想] | にわか映画ファンの駄目な日常>

しかし、今回の『怒り』はこの不満が完全に解消されていました。
終盤ギリギリまで「信じた人が殺人犯か否か」ということが明確にされないため、ずーっと「この人を信じていいのか」という疑心暗鬼に追い込んでくれるからです

これは、推理小説によくある「犯人が誰かを当てる」という要素と同じようで、ちょっと違います。
観客はほんのちょっとだけの「情報」や、登場人物の「些細な言動やしぐさや特徴」をもとに、その人物を信じるかどうかに迫られるのです。

この疑心暗鬼に陥ることが、まさに「この人は殺人犯なのか」と考える登場人物にシンクロしていきます。
「感情移入をする」「登場人物と自分を同調させる」という映画の醍醐味を、存分に味わうことができるでしょう。

この親子共演怒り<この親子関係も身につまされるなあ……。

PG12指定ではやや甘い性的なシーンもありますが、それは作品に必要なものです。

3つの物語を(ほぼ)同時並行で描くという構成、編集も見事に成功しています。

撮影と照明は「極上」と呼んでもいいほどの美しさがありました。

坂本龍一のピアノ主体の音楽は、『レヴェナント』以上に心をかき乱してくれます。

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2時間22分という上映時間ですが、その長さを感じさせません。
豪華すぎる俳優陣の演技を期待する人、重圧な映画を求める方に、ぜひおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-09-27 : 映画感想 : コメント : 12 : トラックバック : 0
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『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』ジジイ萌えを開拓せよ!(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はBFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:スピルバーグなんだからみんな観よう!

あらすじ


ロンドンの児童養護施設で暮らしている10歳の女の子ソフィー(ルビー・バーンヒル)は、身長約7メートルの巨人BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(マーク・ライランス)と出会う。
巨人の国へ連れて行かれたソフィーは、BFGが子どもたちに夢を吹き込む仕事をしていることを知る。




嘆かわしい!ああまったく嘆かわしい!なんでわしはこんな国に生まれてしまったんや!
何がって、本作『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』がせっかくのスティーブン・スピルバーグ監督の最新作なのに、興行収入が8位スタートだということですよ!

まあ嘆かわしいは言い過ぎなのですが、もうちょっと話題になってもいいと思うんだけどなあ。
本作の魅力については、以下にもこれでもかと書いています↓
<『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』いまだからでこそ観てほしい5つの理由 | シネマズ by 松竹>

要するに、本作は『インディ・ジョーンズ』『未知との遭遇』『E.T.』のスピルバーグ節が炸裂しているんですよ!

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 [Blu-ray]未知との遭遇 スペシャル・エディション [SPE BEST] [Blu-ray]E.T. [Blu-ray]<全部の要素があります。

しかもディズニー映画ならではのファンタジックさもあいまって、美しさとワクワクに惚れ惚れするという展開が待ち受けているんですよ!
これだけでも観てほしいし、子どもに大いにオススメできるんだけどな。

本作の原作は、ロアルド・ダールによる児童小説『BFG オ・ヤサシ巨人』です。

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この機会に原作を読んでみたのですが、映画はかなり原作に忠実です。
ストーリーラインはほぼ同じで、英語の言葉遊びもしっかり日本語(字幕or吹き替え)でわかるように表現されていました。

BFGは人間とは違ってちゃんとした教育を受けていないため、しょっちゅういいまつがい(言い間違い)をしてしまいます。たとえば、「ヘリコプター→ヘッピリコプター」とかね。ああ、かわいいなあ、もう。

それ、それなんですよ、このおじいちゃん巨人がかわいいことが最高に魅力的なんですよ!

カワイイ巨人<BFGの肩に乗れちゃう!

いつでも女の子味方<BFGは女の子の味方!

だってこのBFGは、ちょっと変わっているけど気は優しくて、ほかの巨人からはいじめられていて、それでいて主人公の小さな女の子を守ろうとするんですよ。むしろお前を守りたくなるわ!母性本能がくすぐられるわ!

かねてから自分は2次元のアニメの萌え萌えな女の子よりも、ジジババがかわいいことに気づいてほしいと訴えてきましたが(※そんなに言ってません)、本作はそんなジジイ萌えの極致なんですよ!

もしジジイ萌えが流行っていたらさー本作は女子高生を中心に人気を博してさー『君の名は。』を打ち破ったかのかもしれないのになー(※BFGが好きすぎてだいぶあたまがおかしくなっています)

そして、無垢な子どもが本作を観れば、リアルじっじとばっばにもっともっとやさしくなれるでしょう。みんなが幸せになるじゃないか!

そんなわけで、本作は「ジジイ萌え」を開拓できる映画として、多くの方に観てほしい所存でございます。


本作の難点は、何よりも目新しさがないということ。
上の記事で書いた通り、スピルバーグ監督の手で、児童文学の名作を忠実に映画化する、ということに意義のある作品であり、その「保守的」であることがむしろ作品の魅力ではあるのですが、続々と革新的な作品が生まれている現代では、少しパンチが足りないようにも思えます。

これはイコール、奥深さを求めているオトナにはちょっと物足りない、という意味でもあるんですよね。

ギャグのレベルはおならぷうであり、物語のシンプルさもはっきり「子ども向け」なのですから。
上の記事で書いたような「ダークさ」も、原作からちょっと薄味になっています。『チャーリーとチョコレート工場』くらいエグいこともしてほしかったですね。

それでも大人に注目してほしいのは、会話シーンからアクションに至るまで、「長回し」が多いこと
この長回しにより、巨人の部屋の中の「空間の広がり」を感じられること、まるで観客自身が小さくなって「探検できる」感覚になれるのがうれしいですね。

なお、本作は『E.T.』でスピルバーグとタッグを組んだ、脚本家メリッサ・マシスンの遺作です。
最後に遺したのが、朋友とともにつくった『E.T.』の魅力が詰まった作品であったというのが、スピルバーグファンとしてはなんとも感慨深いものがあります。

ぜひぜひ、お子さん、お孫さんをお持ちの方は、ご一緒にご覧ください。
誰にでも分け隔てなく楽しめるので、『君の名は。』や『映画 聲の形』が満席だったときの代替案として観るのもおすすめです。

※以下はネタバレですが、そんなに言うこともないので超短いです↓

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2016-09-21 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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『レッドタートル ある島の物語』亀は“孤独”の象徴か(映画ネタバレなし感想+ネタバレ解釈&レビュー)

今日の映画感想はレッドタートル ある島の物語です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:この作風こそが大切だった

あらすじ


無人島にたどり着いた男は脱出を試みるが、なぜかいかだを壊され島に引き戻されてしまう。
絶望的な状況に置かれた男の前に、ひとりの女が現れて……。




フランス発、あのスタジオジブリが共同製作を務めたアニメ作品です。
本作の監督であるマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット(←言い難い)は、シナリオ、絵コンテから効果音・音楽に至るまでスタジオジブリと何度も打ち合わせを重ね、なんとオファーから10年の歳月をかけて完成させたのだとか。

この『レッドタートル』のもっとも大きな特徴は、全編にセリフがないということでしょう。
吹き替えや字幕もいらない、そのままグローバルに展開できる映画なのです。
そういえば、今年は『父を探して』という同じくセリフなしのアニメ映画が公開されていましたね。

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『レッドタートル』と『父を探して』で思ったことは、アニメと「セリフなし」という作風は相性がいいということでした。

実写ではできないイマジネーション溢れる画は、言葉をかぶせなくても「それ」だけで訴えられるものがあります。
そこには、画からいろいろな想像を膨らませるという、小説などでは決して感じられるないおもしろさが存在しています。

音楽も落ち着いており、そこには「癒し」の効果もあるよう。ゆったりとした映画を観たい方にはうってつけと言えるでしょう。

ドゥ・ヴィット監督はこの作品を通じて、「人間性を含めた自然への深い敬意、そして平和を思う感性と生命の無限さへの畏敬の念を伝えたい」と語っています。

そのことを感じるのはもちろんですが、個人的にこの作品で描かれていることは「孤独」だと思いました。
もちろん人によってさまざまな解釈があるでしょう。
ぜひ、ご自身の感性で、作品を読み解いてみることをおすすめします。

レッドタートル1<赤い亀の解釈も人によって違うはず。

また、スタジオジブリが海外の監督をプロデュースしたのは初めてとのことですが、過去には他社が制作した映画のビデオを販売するレーベル「ジブリCINEMAライブラリー」も展開していたりします。
その1作品、『キリクと魔女』はマイナーだからと言って切り捨てるのはあまりに惜しい傑作だったので、ぜひ多くの人に観て欲しいです。

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なお、『キリクと魔女』も含めいままでのジブリ作品は子どもから大人まで楽しめる作品だったのですが、『レッドタートル』は子どもにはおすすめしません
落ち着いた島や海の画ばかりでバリエーションは少なく、あまり劇的な展開もないので、「ジブリだから」と言って小さい子を連れて行くとグズってしまう可能性が高いでしょう。
小学校高学年以上推奨、という感じですね。

大人にとっても、到底万人向けとは言えない内容です。
「解釈をぶん投げ」スタイルは観る人を選びまくることは間違い無し。
怒涛の展開と力強い言葉で攻めてきた『君の名は。』の後に観ると、余計に面食らうのではないでしょうか。

ドゥ・ヴィット監督の短編作『岸辺のふたり』を観ても、そのことはよくわかるでしょう。



でも、どちらがいい、悪いというわけでなく、それは「作風」を突き詰めた結果にあらわれたものです。
『レッドタートル』は、映画(アニメ)という芸術の多様性を知らしめてくれるでしょう。

個人的には『ファインディング・ドリー』で同時上映された短編『ひな鳥の冒険』(傑作!)が好きだった人にオススメしたいですね。
波打ち際の画、訴えられていること、ちょっとかわいい生き物がでてくることにはかなり似たものを感じました。



そのほかで似ていると思ったのは、やはりサバイバルものであり、「孤独」との戦いが描かれた『キャスト・アウェイ』ですね。

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積極的なオススメができるかと言えば否、ですが一風変わったアニメ、ジブリ作品の新機軸を観たい方はぜひ劇場へ。
上映時間が81分と短く、空いた時間に気軽に観られるのも長所ですよ。

※お子さんにはこちらもオススメです↓
<『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』が必見である5つの理由 | シネマズ by 松竹>

※『レッドタートル』はカンヌ国際映画祭の「ある視点」特別賞というややマニアックな賞を受賞している時点で、玄人向けだったことがわかりますね。「ある視点」ある才能賞を受賞したこんな映画も同じ日(9月17日)に公開されています↓
<『トレジャー オトナタチの贈り物。』が“奇妙”で“おもしろい”5つの理由 | シネマズ by 松竹>

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-09-17 : 映画感想 : コメント : 9 : トラックバック : 0
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『四月は君の嘘』いかに原作に対して不誠実かを全力で語る(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は四月は君の嘘です。


個人的お気に入り度:2/10

一言感想:うそだろ承太郎


あらすじ


広瀬すずがウジウジしている山崎賢人を振り回してから死ぬ話。




あまりに映画がつまらないので、スタンド使いの見分けかたを言われてつい鼻を触ってしまったポルナレフのような気持ちになってしまいました。※画像出典はこちら
「これは何かの間違いだ」「嘘だ」と思いながら観ていましたよ、ええ。

本作は同名のコミックを原作としていますが、読んでいても読んでいなくても映画の展開に腹が立つという素敵な内容となっていましたよ、ええ。


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※自分は観ていなかったのですが、アニメ版は大好評だったんですね。

えーと、予備知識なく映画を観たい方には申し訳ないですが、今回は「ネタバレなし」のはずの記事の前半でも、予告編でわかることはバラしていきますのでご了承ください。
ていうかこの予告編で起承転結のすべてがわかるね。そして地雷臭がすごいよ。




さてさて、恒例の問題点をレッツ箇条書き★

(1)青春物語の魅力が満載だった原作がケータイ小説に退化
原作の大きな魅力は、思春期の主人公の「挫折からのカムバック劇」、一癖も二癖もあるキャラクターたちとの「ライバルと高め合う」という要素だと思っていたんです。
しかし、この映画ではその要素がスポイルされ、ヒロインの「不治の病」という要素が強調されまくっています。
つまりは、さまざまな要素のあった素晴らしい原作が、ケータイ小説並みの「死んじゃったからかわいそう」という短絡的な内容になってしまっているんです。
2時間に収めなければならない映画とはいえ、これは愚策としか言いようがありません。

(2)ロジックのおかしい展開がある
主人公が初めてヒロインの伴奏をするシーンから、「へっ?」と声が出そうになりました。
詳しくは↓のネタバレで書きますが、原作でしっかりしていた描写なのに、なぜこうなった。

(3)説明しまくっているのに説明不足
この映画はナレーションがそこそこ多くて説明過多……な印象があるかと思いきや、原作のセリフのほんの一部分を抜き出してきたために意味不明になっているというシーンがありました。
映画だけ観て「聞こえなくなるのは、贈り物だよ」の意味がわかる人は皆無でしょうに……。説明不足なんてレベルじゃない。「台詞を抜き出しゃいい」としか思ってない。


あとね……原作ファンの方には申し訳ないのですが、原作にも個人的にけっこう苦手な要素があったんです。
そして、この映画ではその苦手だった要素が根こそぎ増幅されまくっていました。

(1)ポエミーなセリフの数々
これは実写で観ると違和感バリバリだろうなーと思っていたら、予想以上でした。
もちろん好きなセリフもとても多かったのですが、前述の通り映画では「そこだけを記号的に切り出す」ため、受け入れ難くなっています。

(2)ヒロインの浮世離れした性格
ヒロインのかをりは、猪突猛進・自由人なキャラでした。
これが実写になると、そのエキセントリックさが強調されすぎて、どうにも感情移入が阻まれました。

(3)ヒロインの「死んでしまう病気」の病名が明かされていない
「死ぬ」という重い事実を扱っているのですから、現実にある病気を扱って、リアルにしてほしかったというのが正直なところです。

これらの要素が増幅されたのは脚本のせいだけではありません。かをりを演じた広瀬すずの演技も影響しています。
映画ではかをりは甲高い声で、主人公の男の子を振り回す発言をしまくるため、はっきり言ってそのキャラクターには恐怖を覚えるほどでした。
マンガチックな演技、「な"ん"で"よ"ー!」という絶叫もやりすぎでしょう。

四月は君の嘘狂気を感じる広瀬すず<自由すぎて怖いヒロイン

広瀬すずは同じ漫画原作作品でも、『ちはやふる』では魅力的な女主人公を演じていたのに、本作ではなんだか怖い女になっちゃっているのは……彼女の責任というだけでなく、演技指導にも問題があると思う。

で、主人公の有馬公生を演じた山崎賢人が原作以上にウジウジしすぎなうえ、ミスキャストにしか思えないのも辛いものがありました。

そもそもの問題は、原作では14歳という主人公たちの「幼い」年齢が重要であったはずなのに、映画ではこのキャスティングのために無理やり17歳という設定にしてしまっていること
ポエミーなセリフも、ヒロインの浮世離れした性格も、「14歳」なら納得できた、だからこそ物語の魅力があった、というのは多くの原作ファンが思うことでしょう。

同じ音楽映画でも、『くちびるに歌を』などでは、スター俳優を無理やり当てはめず、原作通りに中学生役を、同じ年代の子どもたちに演じさせていました。
本作にも、話題優先ではない、そのようなキャスティングこそを重要視するべきだったのではなかったでしょうか。

あと、登場人物がいつでもメイクをばっちりきめていることがわかってしまうのも辛かったです。
ヒロインは死に瀕したとき、手術の直前でもしっかりメイクしているし!

広瀬すずのメイク<手術前でもこんなメイクでした。

自分は、別に「誰かが死んでしまう」難病映画が嫌いというわけではありません、描き方次第で、その題材でも素晴らしい作品はちゃんと生まれます。
たとえば『おにいちゃんのハナビ』は死の悲しみそのものよりも、死者を送る意味がある「花火」の意義を描いた作品であったし、『半分の月がのぼる空』はとあるトリックこそに感動させられる作品になっていました。

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『半分の月がのぼる空』では、ヒロインがメイクをしなくなり、ボロボロになった肌を見せるという病気の描写もしっかりしています。こういうディテールは、かなり大事だと思うのです。

あと、2016年はこれからも『湯を沸かすほどの熱い愛』『バースデーカード』『泣き虫ピエロの結婚式』『ボクの妻と結婚してください。』『聖の青春』と余命宣告モノが続々と公開されます
……これらの作品はちゃんとしているといいなあ……(切実)
『湯を沸かすほどの熱い愛』は試写会で絶賛の嵐となっているので、かなり期待しています。


グダグダと書いてきたのでまとめましょう。
この映画『四月は君の嘘』は、青春物語の魅力に溢れた原作を、「死んじゃったらかわいそう」なケータイ小説型テンプレートに当てはめたため、極めて原作に対して不誠実な作品になったということです。

終盤30分は、「あともうちょっとで死ぬ」「だからウジウジする」という描写ばかりで、死んだ目になりましたよ、ええ。
こうして「感情の描き方が一辺倒で、観客の心を揺れ動かしてくれない」というのはダメだなあ……さまざまな感情をジェットコースターのように届けてくれる『君の名は。』を観たあとだったので、余計にそう思いました。


いいところもあります。
江ノ島が見える海岸や清水ヶ丘公園のロケーション、編集やカット割りの上手さ、演奏シーンにしっかり尺を取ること、ちゃんと四季を感じられることはよかったです。

何よりも映像はとても美しく仕上がっており、決して見所がないわけではありません。
逆に言えば、監督、脚本(あとはプロデューサーも?)以外は、とても素晴らしい仕事をされています。

四月は君の嘘神奈川<こういう画は素直に大好き

脇を固める友人役の、石井杏奈と中川大志も素晴らしかったですね。本作(あくまで映画の)主人公ふたりはどっちも嫌いになったのですが、こちらは原作同様に大好きになれました。

四月は君の嘘ふたりの友人<このふたりが心の支えでした。

えーと、まあとりあえずオススメしません。
本作を観ると、2016年の二大傑作青春映画(マンガ原作)『ちはやふる』『青空エール』の素晴らしさが相対的にわかるでしょう。その目的以外で観るのはやめておきましょう。

この映画で何よりも感謝したいことは、苦手意識を持っていた原作を最後まで読むきっかけになったこと。
本当に原作は素晴らしい作品でした。本当に原作「は」素晴らしい作品でした(大切なことなので2回)。
うん、原作かアニメを堪能しましょう!

※原作の魅力を余すことなく解説された記事↓
まあまあ音楽に詳しい人間による『四月は君の嘘』紹介: ホラーショー!民朗の観たまま映画批評

以下、結末も含めてネタバレです↓

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Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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