黒歴史熟女恋物語「千年の恋 ひかる源氏物語」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
邦画が盛況している昨今。
さまざまなジャンルが網羅され、古今東西あらゆる文学作品が映像化されてきました。
世界的に有名な文学作品「源氏物語」が幾度も映像化されるのも、当然のことでしょう。
昨年(2011年)にも「源氏物語 千年の謎」が公開されました。
しかしこの映画の評判はあまりよろしくない。
劇場に観に行った妹に聞いたところ「生田斗真だけは面白かった」という始末です。
そんな中途半端な駄作なら観たくないなーと思うことは当然。
どうせならすさまじい駄作を観た方が得した気になるってもんです。
そんなわけで、本日は東映創立50年を記念して送り出された究極レベルの駄作「千年の恋 ひかる源氏物語」(製作:2001年)をレビューします。
個人的お気に入り度:1/10
一言感想:熟女がいっぱい不倫日記
あらすじ
天海祐希がひかる源氏をやって女性をとっかえひっかえ!YEAH!
あーもうすげーつまんなかったです。
この映画のどこがだめって、美術以外全部だめと言えるレベル。
ものすごく豪華キャスト&金かかっているのに勿体なさすぎます。
さっそくキャストを紹介してみましょう。
主人公・光源氏を演じるのは天海祐希です。
<どう見ても女性です。
・・・まあこれに関しては批判するものでもありません。
もともと宝塚出身で男役も演じてこられたわけですし、美青年である光源氏の役にはマッチしていると思います。
しかしそれ以外の豪華キャストがなんじゃこりゃ状態
紫式部を演じるのは吉永小百合、清少納言を演じるのは森光子です。
吉永小百合さんは当時56歳、森光子さんは当時81歳です。

お若く見えますが、いくらなんでもそれは無理あるだろ。
他にも六条御息所を演じる竹下景子(48歳)、源典侍を演じる岸田今日子(71歳)など熟女オールアラウンド。
天海祐希はこれらの女性と夜を共にしまくります。
つまりありとあらゆる有名な熟女とのベッドシーンを演じるわけです。
その趣味の人は多いに気に入ると思います。
あ、ちなみに今なら発禁になりそうな少女のセミヌードシーンまであります。
幅広い需要に応えていますね(棒読み)。
吹飯ものなのが、揚げ羽の君(オリジナルキャラクター)を演じる松田聖子(39歳)。
もともと登場人物が多い源氏物語に新キャラを追加する意味がわかりません。
しかも実際の彼女の出演シーンはもっと意味がわかりません。観たときは軽く昇天するかと思いました。
話も問題です。
とにかくこの映画はひかる源氏が次々女性と寝まくる内容です。
原作がそうなのでしかたないところもあるけど、この映画ではそのエロ描写がばかりが際立っています。
また、この映画の主人公は2人います
①物語を書いた紫式部
②物語の中の光源氏
映画はこの2人の物語をダイジェスト形式で交互に見せるのですが、シーンごとのつながりが悪く、エピソードが乱雑に思えます。
その上映時間は2時間23分。
テンポはそこまで悪くないはずなのに、展開にダイナミズムがないのでとにかく退屈です。
ちなみにこの脚本を書いたのはなんと「北京原人~Who are you?」の人!
すばらしい才能の持ち主だと思います。
○○周年記念作品には「幻の湖」「アトランティス」など、歴史に名を残す駄作ばかりなのは何故なんでしょうね・・・。
まあ本当つまらない、すべてが低俗な映画なのでおすすめしませんが、こうしたゲーム機で言うところのバーチャルボーイみたいな黒歴史をかいま見るのも楽しいかもしれません。
一応笑えるシーンも多いですが、それら全てがー100度くらいの寒さの引き笑い。
これからの暑い季節にはにはぴったりの内容ですよ。
以下、容赦なくネタバレです↓でも読んでいいです
さまざまなジャンルが網羅され、古今東西あらゆる文学作品が映像化されてきました。
世界的に有名な文学作品「源氏物語」が幾度も映像化されるのも、当然のことでしょう。
昨年(2011年)にも「源氏物語 千年の謎」が公開されました。
しかしこの映画の評判はあまりよろしくない。
劇場に観に行った妹に聞いたところ「生田斗真だけは面白かった」という始末です。
そんな中途半端な駄作なら観たくないなーと思うことは当然。
どうせならすさまじい駄作を観た方が得した気になるってもんです。
そんなわけで、本日は東映創立50年を記念して送り出された究極レベルの駄作「千年の恋 ひかる源氏物語」(製作:2001年)をレビューします。
![]() | 吉永小百合 4329円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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個人的お気に入り度:1/10
一言感想:熟女がいっぱい不倫日記
あらすじ
天海祐希がひかる源氏をやって女性をとっかえひっかえ!YEAH!
あーもうすげーつまんなかったです。
この映画のどこがだめって、美術以外全部だめと言えるレベル。
ものすごく豪華キャスト&金かかっているのに勿体なさすぎます。
さっそくキャストを紹介してみましょう。
主人公・光源氏を演じるのは天海祐希です。

・・・まあこれに関しては批判するものでもありません。
もともと宝塚出身で男役も演じてこられたわけですし、美青年である光源氏の役にはマッチしていると思います。
しかしそれ以外の豪華キャストがなんじゃこりゃ状態
紫式部を演じるのは吉永小百合、清少納言を演じるのは森光子です。
吉永小百合さんは当時56歳、森光子さんは当時81歳です。

お若く見えますが、いくらなんでもそれは無理あるだろ。
他にも六条御息所を演じる竹下景子(48歳)、源典侍を演じる岸田今日子(71歳)など熟女オールアラウンド。
天海祐希はこれらの女性と夜を共にしまくります。
つまりありとあらゆる有名な熟女とのベッドシーンを演じるわけです。
その趣味の人は多いに気に入ると思います。
あ、ちなみに今なら発禁になりそうな少女のセミヌードシーンまであります。
幅広い需要に応えていますね(棒読み)。
吹飯ものなのが、揚げ羽の君(オリジナルキャラクター)を演じる松田聖子(39歳)。
もともと登場人物が多い源氏物語に新キャラを追加する意味がわかりません。
しかも実際の彼女の出演シーンはもっと意味がわかりません。観たときは軽く昇天するかと思いました。
話も問題です。
とにかくこの映画はひかる源氏が次々女性と寝まくる内容です。
原作がそうなのでしかたないところもあるけど、この映画ではそのエロ描写がばかりが際立っています。
また、この映画の主人公は2人います
①物語を書いた紫式部
②物語の中の光源氏
映画はこの2人の物語をダイジェスト形式で交互に見せるのですが、シーンごとのつながりが悪く、エピソードが乱雑に思えます。
その上映時間は2時間23分。
テンポはそこまで悪くないはずなのに、展開にダイナミズムがないのでとにかく退屈です。
ちなみにこの脚本を書いたのはなんと「北京原人~Who are you?」の人!
すばらしい才能の持ち主だと思います。
○○周年記念作品には「幻の湖」「アトランティス」など、歴史に名を残す駄作ばかりなのは何故なんでしょうね・・・。
まあ本当つまらない、すべてが低俗な映画なのでおすすめしませんが、こうしたゲーム機で言うところのバーチャルボーイみたいな黒歴史をかいま見るのも楽しいかもしれません。
一応笑えるシーンも多いですが、それら全てがー100度くらいの寒さの引き笑い。
これからの暑い季節にはにはぴったりの内容ですよ。
以下、容赦なくネタバレです↓でも読んでいいです
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名誉の行く先 実写映画版「テルマエ・ロマエ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「テルマエ・ロマエ」です。
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:前半ほっこり、後半はちょっとシンドい
あらすじ
古代ローマ。浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、ローマでの公衆浴場のあり方に疑問を抱いていた。
ある日彼は、浴場の底に空いた穴に引きずり込まれてしまう。
たどり着いた場所は、何と現代の日本の銭湯。
そこにいたのは、彼の知らない「平たい顔族(日本人)」だった。
ルシウスは漫画家志望の真実(上戸彩)と出会うのだが・・・
大人気コミック「テルマエ・ロマエ」の実写映画版です。
マンガ大賞2010を受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞も受賞など、その人気と面白さは推して知るべしもの。
自分もこのコミックが大好きなので、期待を胸に込めて観ました。
でも、うーん、うーん・・・出来は悪くないのですが、細かいところで満足できない内容でした。
原作の素晴らしいところは、「古代ローマ人の浴場設計士が、現代の日本の風呂にまつわる技術に感動する」ということにあると思います。
この映画でもそれは忠実。
原作に即したシーンはしっかりと再現されているし、映画独自のアイディアもあってほっこりと楽しませてくれます。
ドラマROME [ローマ]から流用させてもらったセットや、美術は完璧と言える出来栄え。日本映画でよくここまでやってくれたと思います。
このぶっ飛んだアイディアだけで秀逸なのですが、作者ヤマザキマリさんの豊富な知識の上に成り立っているので、さらに説得力があるのです。
風呂を愛する気持ちはローマ、日本ともに共通。
思えばどちらも火山国(作中にも富士山とヴェスビオス火山が似ていると言うシーンもありました)ですし、その風習は両者が似た環境にあることによるのでしょう。
だから主人公のリアクションに笑いながらも、同時に納得してしまうのです。
笑いどころが老若男女を問わないところも、この映画の長所でしょう。
本国イタリアでも大評判というのも嬉しいですね
そして主演(ローマ人)に阿部寛という配役が完璧すぎます。
この濃い顔はただでさえ日本人離れしているし、彫りも深いので日本人の顔を「平たい!」と言うのに説得力があります。
コメディアンっぷりがいかんなく発揮されていてそれだけでも楽しいのです。
このために鍛えたという肉体美も、ファンにとっては垂涎ものでしょう。
個人的には竹内力の使い方も好きです。
ある意味もったいないんですが、彼にはこれくらいがちょうどいいと思います(失礼)。
さて、原作ファンにとっては懸念材料であるのが、映画のオリジナル要素である「上戸彩演じるヒロインとのエピソード」だと思います。
原作でも4巻からテコ入れっぽいヒロインが投入され、つまらなくなったと嘆く人が多かったのです(自分もそれには同意します)。
やっぱりこの作品は
①ローマの設計士が風呂のアイディアに悩む
②タイムスリップしてアイディアに感動
③アイディアを持ち帰ってハッピーエンド
という展開がこそが肝。それ以外は野暮に感じるというのも致し方がないでしょう。
しかし、映画という媒体である以上、一貫したストーリーも欲しいと感じてしまいます。
原作のマンネリズムとも言える小話と、起承転結のあるストーリーは水と油のようなもの。
これが上手くいくかによって、映画の出来が変わってくると思います。
実際に映画を観てみると、意外とこのオリジナル要素も効果的に働いている印象でした。
田舎者を演じる上戸彩は可愛いし、(強引ながらも)映画独自のメッセージもあるし、ローマの時代背景をもとにした展開もある。
この手の原作改変ものとしては十分検討していると思います。
すさまじいツッコミどころもあるんですけど、まあ許容範囲です。
ただし終盤の展開は期待はずれ。
結末へ至る展開が面白いとは思えませんでした。
中盤までは温泉につかっているかのようなまったりとした雰囲気ですが、終盤のハードな展開にはちょっと息苦しさも覚えてしまいます。
原作のエピソードを多分に詰め込んでいるせいか、けっこう多めな配役を使い切れていなかったりするし、登場人物の行動に納得しがたい部分もあります。
せっかく一貫した物語を作り出したのに、カタルシスに乏しくなっています。
最後にまた疲れを癒すような展開が欲しかったです。
個人的にクラシック(オペラ)をコメディシーンで使うのもちょっと苦手。
これは「のだめカンタービレ」を撮った監督の持ち味でもあるのでしょう。
原作の再現度はかなりのものですし、観た後は銭湯or温泉に行きたくなる作品であることは間違いないです。
漫画を読んでいても読んでいなくても十分楽しめるでしょう。
撮影場所に行ってみるのもいいかもしれません
↓
北温泉(看板も立てられている)
富士箱根伊豆国立公園
伊香保温泉
熱川バナナワニ園
そうそう、この映画版で最も感心したのは「吹き替え」の描写です。
ローマでの台詞は、観客にわかるように日本語で話されるのですが、よく見ると口の動きと台詞があっていないのです。
つまりラテン語で話しているのを、日本語に置き換えていますよ、ということを示しています。
そういう細かい気遣い、大好きです。
以下、ネタバレです↓映画を観てからご覧ください
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:前半ほっこり、後半はちょっとシンドい
あらすじ
古代ローマ。浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、ローマでの公衆浴場のあり方に疑問を抱いていた。
ある日彼は、浴場の底に空いた穴に引きずり込まれてしまう。
たどり着いた場所は、何と現代の日本の銭湯。
そこにいたのは、彼の知らない「平たい顔族(日本人)」だった。
ルシウスは漫画家志望の真実(上戸彩)と出会うのだが・・・
大人気コミック「テルマエ・ロマエ」の実写映画版です。
![]() | ヤマザキマリ 714円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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マンガ大賞2010を受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞も受賞など、その人気と面白さは推して知るべしもの。
自分もこのコミックが大好きなので、期待を胸に込めて観ました。
でも、うーん、うーん・・・出来は悪くないのですが、細かいところで満足できない内容でした。
原作の素晴らしいところは、「古代ローマ人の浴場設計士が、現代の日本の風呂にまつわる技術に感動する」ということにあると思います。
この映画でもそれは忠実。
原作に即したシーンはしっかりと再現されているし、映画独自のアイディアもあってほっこりと楽しませてくれます。
ドラマROME [ローマ]から流用させてもらったセットや、美術は完璧と言える出来栄え。日本映画でよくここまでやってくれたと思います。
このぶっ飛んだアイディアだけで秀逸なのですが、作者ヤマザキマリさんの豊富な知識の上に成り立っているので、さらに説得力があるのです。
風呂を愛する気持ちはローマ、日本ともに共通。
思えばどちらも火山国(作中にも富士山とヴェスビオス火山が似ていると言うシーンもありました)ですし、その風習は両者が似た環境にあることによるのでしょう。
だから主人公のリアクションに笑いながらも、同時に納得してしまうのです。
笑いどころが老若男女を問わないところも、この映画の長所でしょう。
本国イタリアでも大評判というのも嬉しいですね
そして主演(ローマ人)に阿部寛という配役が完璧すぎます。
この濃い顔はただでさえ日本人離れしているし、彫りも深いので日本人の顔を「平たい!」と言うのに説得力があります。
コメディアンっぷりがいかんなく発揮されていてそれだけでも楽しいのです。
このために鍛えたという肉体美も、ファンにとっては垂涎ものでしょう。
個人的には竹内力の使い方も好きです。
ある意味もったいないんですが、彼にはこれくらいがちょうどいいと思います(失礼)。
さて、原作ファンにとっては懸念材料であるのが、映画のオリジナル要素である「上戸彩演じるヒロインとのエピソード」だと思います。
原作でも4巻からテコ入れっぽいヒロインが投入され、つまらなくなったと嘆く人が多かったのです(自分もそれには同意します)。
やっぱりこの作品は
①ローマの設計士が風呂のアイディアに悩む
②タイムスリップしてアイディアに感動
③アイディアを持ち帰ってハッピーエンド
という展開がこそが肝。それ以外は野暮に感じるというのも致し方がないでしょう。
しかし、映画という媒体である以上、一貫したストーリーも欲しいと感じてしまいます。
原作のマンネリズムとも言える小話と、起承転結のあるストーリーは水と油のようなもの。
これが上手くいくかによって、映画の出来が変わってくると思います。
実際に映画を観てみると、意外とこのオリジナル要素も効果的に働いている印象でした。
田舎者を演じる上戸彩は可愛いし、(強引ながらも)映画独自のメッセージもあるし、ローマの時代背景をもとにした展開もある。
この手の原作改変ものとしては十分検討していると思います。
すさまじいツッコミどころもあるんですけど、まあ許容範囲です。
ただし終盤の展開は期待はずれ。
結末へ至る展開が面白いとは思えませんでした。
中盤までは温泉につかっているかのようなまったりとした雰囲気ですが、終盤のハードな展開にはちょっと息苦しさも覚えてしまいます。
原作のエピソードを多分に詰め込んでいるせいか、けっこう多めな配役を使い切れていなかったりするし、登場人物の行動に納得しがたい部分もあります。
せっかく一貫した物語を作り出したのに、カタルシスに乏しくなっています。
最後にまた疲れを癒すような展開が欲しかったです。
個人的にクラシック(オペラ)をコメディシーンで使うのもちょっと苦手。
これは「のだめカンタービレ」を撮った監督の持ち味でもあるのでしょう。
原作の再現度はかなりのものですし、観た後は銭湯or温泉に行きたくなる作品であることは間違いないです。
漫画を読んでいても読んでいなくても十分楽しめるでしょう。
撮影場所に行ってみるのもいいかもしれません
↓
北温泉(看板も立てられている)
富士箱根伊豆国立公園
伊香保温泉
熱川バナナワニ園
そうそう、この映画版で最も感心したのは「吹き替え」の描写です。
ローマでの台詞は、観客にわかるように日本語で話されるのですが、よく見ると口の動きと台詞があっていないのです。
つまりラテン語で話しているのを、日本語に置き換えていますよ、ということを示しています。
そういう細かい気遣い、大好きです。
以下、ネタバレです↓映画を観てからご覧ください
ほのぼのスプラッター「タッカーとデイル」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
DVDで観た「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」の感想です。
*レンタルはTSUTAYAオンリーです
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:すげえ可哀想・・・
あらすじ
仲の良い中年男性のタッカーとデイルは、休暇で憧れの別荘に訪れていた。
2人はそこで出会った大学生の集団に、殺人鬼ではないかと疑われてしまう。
タッカーとデイルは溺れかけた女子大生を助けるのだが、さらに誤解を招く結果となり・・・
うわー!すげー面白えー!
超低予算かつB級臭ぷんぷんの作品ですが、間違いなく隠れた良作コメディです。
Rotten Tomatoesの高評価も大納得でした。
映画のプロットは「心優しい中年男性が殺人鬼と勘違いされちゃったせいで、次から次へと人が死んでいく」というもの。
この映画で秀逸なのは、そんな普通に考えれば起こり得そうもない事態にわりと説得力があることです。
ありえない設定だけど、ぎりぎりの線で納得できる点もある。
「そんなわけないじゃん」というバカバカしさもあり、「でもそうしてしまうかも・・・」というもっともに感じる部分もある。
そのさじ加減が絶妙です。
素晴らしいのは伏線の使い方の上手さ。
ちらっと見せたアイテムや言動が後半の展開に生きています。
「アホな学生たちがキャンプ」「やばそうな奴が乱暴に車を追い越す」「殺人鬼が棲んでいそうな小屋」とかホラー映画の「あるある」も満載なのも嬉しいところ。
そして時折見せるモテない中年男性の悲哀。
デール(太った方)はその風貌と引っ込み思案な性格のおかげで女性と上手く話せません。
タッカー(痩せた方)はそんな親友を気遣い、ときには言い過ぎなぐらいのアドバイスをします。
この2人の掛け合いだけでも楽しいです。
そればかりか、自分を卑下してばかりのデールが、後半に大きく成長する姿はガチで感動します。
こんな映画(←失礼)で泣かされるとは思いませんでした。
ちなみに原題は「Tucker and Dale vs Evil」。
見たところタッカーとデイルも大学生も勘違いしただけであり、Evil(悪)と呼べそうな者はいないように見えます。
でも観終わって観るとこの原題にもちゃんと意味があることがわかるのです。
R15+も納得のスプラッター描写アリアリ&人がポンポンとテンポ良く死んでいくという点では悪趣味ですが、全体的な雰囲気はほのぼのとしています。
いや人が死んでいるのにそんなこと言うのもアレなのはわかっています。
正直あまりに登場人物たちが共倒れしまくるので、笑う前に可哀想にもなってきます。
それでもほっこりと癒されてしまう、後味爽快な作品に仕上がっているのです。
映画ファンであればあるほどオススメです!
しっかしこういう「モテないけど女性に優しい中年男性」って可愛いよね。
自分はピュアなおっさんが大好きです。
以下はちょっとネタバレ 核心部分は反転しています↓
![]() | アラン・テュディック 2966円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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個人的お気に入り度:8/10
一言感想:すげえ可哀想・・・
あらすじ
仲の良い中年男性のタッカーとデイルは、休暇で憧れの別荘に訪れていた。
2人はそこで出会った大学生の集団に、殺人鬼ではないかと疑われてしまう。
タッカーとデイルは溺れかけた女子大生を助けるのだが、さらに誤解を招く結果となり・・・
うわー!すげー面白えー!
超低予算かつB級臭ぷんぷんの作品ですが、間違いなく隠れた良作コメディです。
Rotten Tomatoesの高評価も大納得でした。
映画のプロットは「心優しい中年男性が殺人鬼と勘違いされちゃったせいで、次から次へと人が死んでいく」というもの。
この映画で秀逸なのは、そんな普通に考えれば起こり得そうもない事態にわりと説得力があることです。
ありえない設定だけど、ぎりぎりの線で納得できる点もある。
「そんなわけないじゃん」というバカバカしさもあり、「でもそうしてしまうかも・・・」というもっともに感じる部分もある。
そのさじ加減が絶妙です。
素晴らしいのは伏線の使い方の上手さ。
ちらっと見せたアイテムや言動が後半の展開に生きています。
「アホな学生たちがキャンプ」「やばそうな奴が乱暴に車を追い越す」「殺人鬼が棲んでいそうな小屋」とかホラー映画の「あるある」も満載なのも嬉しいところ。
そして時折見せるモテない中年男性の悲哀。
デール(太った方)はその風貌と引っ込み思案な性格のおかげで女性と上手く話せません。
タッカー(痩せた方)はそんな親友を気遣い、ときには言い過ぎなぐらいのアドバイスをします。
この2人の掛け合いだけでも楽しいです。
そればかりか、自分を卑下してばかりのデールが、後半に大きく成長する姿はガチで感動します。
こんな映画(←失礼)で泣かされるとは思いませんでした。
ちなみに原題は「Tucker and Dale vs Evil」。
見たところタッカーとデイルも大学生も勘違いしただけであり、Evil(悪)と呼べそうな者はいないように見えます。
でも観終わって観るとこの原題にもちゃんと意味があることがわかるのです。
R15+も納得のスプラッター描写アリアリ&人がポンポンとテンポ良く死んでいくという点では悪趣味ですが、全体的な雰囲気はほのぼのとしています。
いや人が死んでいるのにそんなこと言うのもアレなのはわかっています。
正直あまりに登場人物たちが共倒れしまくるので、笑う前に可哀想にもなってきます。
それでもほっこりと癒されてしまう、後味爽快な作品に仕上がっているのです。
映画ファンであればあるほどオススメです!
しっかしこういう「モテないけど女性に優しい中年男性」って可愛いよね。
自分はピュアなおっさんが大好きです。
以下はちょっとネタバレ 核心部分は反転しています↓
正統派に見えてぶっとんでいるグルメ漫画「おすもじっ」レビュー
「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」「めしばな刑事タチバナ」など、近年「B級グルメ」を題材にしたマンガが人気を博しています。
では正統派のグルメ漫画は注目されていないのか?というと確かにその通り。
でも今でも面白い漫画はあるんです。
今日はそんなグルメ漫画「おすもじっ! ~司の一貫~」をご紹介します。
タイトルの「おすもじ」とは京ことばでお鮨を意味します。
主人公の「司(つかさ)」と「寿(ひさし)」をつなげると「寿司」となるように、とことんお鮨の魅力を追求することをテーマとした作品になっています。
とりあえずストーリー紹介を。
「司」は女の子なのですが、ある理由により男性としてしか、お客の前に立てなくなってしまいます。

女であることを捨て、気丈に振舞う彼女。
しかし親方がぎっくり腰になり、お店を回すために人を雇わなければならなくなります。
↓
では正統派のグルメ漫画は注目されていないのか?というと確かにその通り。
でも今でも面白い漫画はあるんです。
今日はそんなグルメ漫画「おすもじっ! ~司の一貫~」をご紹介します。
![]() | 鹿賀 ミツル 440円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
![]() ![]() ![]() |
タイトルの「おすもじ」とは京ことばでお鮨を意味します。
主人公の「司(つかさ)」と「寿(ひさし)」をつなげると「寿司」となるように、とことんお鮨の魅力を追求することをテーマとした作品になっています。
とりあえずストーリー紹介を。
「司」は女の子なのですが、ある理由により男性としてしか、お客の前に立てなくなってしまいます。

女であることを捨て、気丈に振舞う彼女。
しかし親方がぎっくり腰になり、お店を回すために人を雇わなければならなくなります。
↓
彼女の世界にある救い 映画「KOTOKO」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「KOTOKO」です。
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:苦手・・・だけど見届けたい
あらすじ
KOTOKO(Cocco)は幼い息子を一人で育てていた。
しかしその強迫観念から、しだいに精神的な異常をきたし、奇行を重ね、ついには幼児虐待の疑いをかけられてしまう。
彼女の歌に惚れ、追いかけてきたという男・田中(塚本晋也)は彼女を心配するのだが・・・
「鉄男」「双生児~GEMINI~」の塚本晋也監督最新作にして、シンガーソングライターのCoccoの初主演作です。
同名の歌手がいらっしゃいますが、映画とは無関係です(でも公式ページにコメントを寄せています)。
「KOTOKO」とは主人公の名前です。演じているCocoと同じくアルファベット表記にしているのですね。
さて映画の感想なのですが・・・これは好き嫌いがはっきりわかれる作品だと思います。
一番の理由が主人公のキャラクターの描き方です。
KOTOKOは一貫して情緒不安定な女性として描かれています。
とにかくわめき、怒鳴り散らし、外界の人間を避けていきます。
さらにはリストカットを行い、周りの人間を精神的にも物理的にも痛めつけるのです。
このキャラクターは演じているCoccoそのものの投影でしょう。
実際にCoccoは自傷行為の常習者で、拒食症にもかかっていたそうですし、何らかの発達障害を抱えていたのだと思います。
こういった方の全てを受け入れる度量は自分にはありませんが、拒絶することもしたくはありません。
彼女の苦しみ、抱える問題を、とにかく辛かったけれども最後まで見続けようと思いました。
しかし映画を観終わってみると、どうしても納得できない「しこり」のようなものが残ってしまいました。
なぜなら、この映画はあくまでKOTOKOの主観で、KOTOKOの価値観だけで語られているようにしか思えなかったからです。
周りにKOTOKOを否定する人間は一人もいません。
KOTOKOは敵意をむき出しにするのに、周りの人間は何があっても優しいのです。
これではKOTOKOが周りから何もされていないのに、勝手に苦しんでいるようにしか見えないのです(実際そんな内容になっています)
全くこの主人公に共感することができない、できそうもないのは明らかにこの映画の欠点だと思います。
ただし、この描写にも肯定すべき点があります。
それはこの作品が統合失調症を描いているものであることです。
統合失調症の精神症状として、誇大妄想や幻覚などがあります。
序盤からKOTOKOに見えているものも、その症状を表しているのです。
統合失調症のことをよく知っている、または経験がある方には、この映画も違った見方ができるものと思います。
また、統合失調症は原因も不明であることが多いようです。
KOTOKOのバックボーンや、何故子どもに愛憎の念を抱いたかが語られないのも、そのためのものでしょう。
ストーリーそのものも気になります。
この映画は「妄想」「現実」が入り乱れており、「ブラック・スワン」のようにどれが本当で、どれが偽物であるかの判別が難しくなっています。
それは効果的に働いてはいるのですが、展開のダイナミズムは乏しいと言わざるを得ません。
不快に感じる「轟音」も響きわたります。
それは彼女の心情を如実に表しているものなのですが、辟易してしまう人が多いでしょう。
そして暴力。
リストカットの場面は思わず目を背けてしましたが、それ以外にもPG-12指定では甘いと思われる暴力的なシーンがたくさんあります。
精神的に成熟していない方が観るにはおすすめできません。
ここまで難点ばかりをあげましたが、それでも素晴らしいと思えることがこの映画にはたくさんあります。
ひとつは言わずものがな、主演のCoccoです。
演技ももちろんなのですが、その「歌」を聞くと圧倒されることは間違いありません。
もうひとつはラストです。
何気ない、ほんのちょっぴりのシーンに、この上ない感動を覚えました。
前述の感情移入を拒絶するかのようなKOTOKOのキャラクターも、このためのものだったのかもしれません。
Coccoや塚本晋也監督のファンは是が非でも観るべきですが、その他の人には絶対におすすめしません。
でもこの切り裂くような映像表現、ほかの映画では成し得ない独特の空気は映画館で観るべきものです。
正直好きじゃない、だけど、忘れることができない。
そう思える作品になりました。
以下は結末も含めてネタバレです、映画をご覧になった方だけお読みください↓
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:苦手・・・だけど見届けたい
あらすじ
KOTOKO(Cocco)は幼い息子を一人で育てていた。
しかしその強迫観念から、しだいに精神的な異常をきたし、奇行を重ね、ついには幼児虐待の疑いをかけられてしまう。
彼女の歌に惚れ、追いかけてきたという男・田中(塚本晋也)は彼女を心配するのだが・・・
「鉄男」「双生児~GEMINI~」の塚本晋也監督最新作にして、シンガーソングライターのCoccoの初主演作です。
同名の歌手がいらっしゃいますが、映画とは無関係です(でも公式ページにコメントを寄せています)。
「KOTOKO」とは主人公の名前です。演じているCocoと同じくアルファベット表記にしているのですね。
さて映画の感想なのですが・・・これは好き嫌いがはっきりわかれる作品だと思います。
一番の理由が主人公のキャラクターの描き方です。
KOTOKOは一貫して情緒不安定な女性として描かれています。
とにかくわめき、怒鳴り散らし、外界の人間を避けていきます。
さらにはリストカットを行い、周りの人間を精神的にも物理的にも痛めつけるのです。
このキャラクターは演じているCoccoそのものの投影でしょう。
実際にCoccoは自傷行為の常習者で、拒食症にもかかっていたそうですし、何らかの発達障害を抱えていたのだと思います。
こういった方の全てを受け入れる度量は自分にはありませんが、拒絶することもしたくはありません。
彼女の苦しみ、抱える問題を、とにかく辛かったけれども最後まで見続けようと思いました。
しかし映画を観終わってみると、どうしても納得できない「しこり」のようなものが残ってしまいました。
なぜなら、この映画はあくまでKOTOKOの主観で、KOTOKOの価値観だけで語られているようにしか思えなかったからです。
周りにKOTOKOを否定する人間は一人もいません。
KOTOKOは敵意をむき出しにするのに、周りの人間は何があっても優しいのです。
これではKOTOKOが周りから何もされていないのに、勝手に苦しんでいるようにしか見えないのです(実際そんな内容になっています)
全くこの主人公に共感することができない、できそうもないのは明らかにこの映画の欠点だと思います。
ただし、この描写にも肯定すべき点があります。
それはこの作品が統合失調症を描いているものであることです。
統合失調症の精神症状として、誇大妄想や幻覚などがあります。
序盤からKOTOKOに見えているものも、その症状を表しているのです。
統合失調症のことをよく知っている、または経験がある方には、この映画も違った見方ができるものと思います。
また、統合失調症は原因も不明であることが多いようです。
KOTOKOのバックボーンや、何故子どもに愛憎の念を抱いたかが語られないのも、そのためのものでしょう。
ストーリーそのものも気になります。
この映画は「妄想」「現実」が入り乱れており、「ブラック・スワン」のようにどれが本当で、どれが偽物であるかの判別が難しくなっています。
それは効果的に働いてはいるのですが、展開のダイナミズムは乏しいと言わざるを得ません。
不快に感じる「轟音」も響きわたります。
それは彼女の心情を如実に表しているものなのですが、辟易してしまう人が多いでしょう。
そして暴力。
リストカットの場面は思わず目を背けてしましたが、それ以外にもPG-12指定では甘いと思われる暴力的なシーンがたくさんあります。
精神的に成熟していない方が観るにはおすすめできません。
ここまで難点ばかりをあげましたが、それでも素晴らしいと思えることがこの映画にはたくさんあります。
ひとつは言わずものがな、主演のCoccoです。
演技ももちろんなのですが、その「歌」を聞くと圧倒されることは間違いありません。
もうひとつはラストです。
何気ない、ほんのちょっぴりのシーンに、この上ない感動を覚えました。
前述の感情移入を拒絶するかのようなKOTOKOのキャラクターも、このためのものだったのかもしれません。
Coccoや塚本晋也監督のファンは是が非でも観るべきですが、その他の人には絶対におすすめしません。
でもこの切り裂くような映像表現、ほかの映画では成し得ない独特の空気は映画館で観るべきものです。
正直好きじゃない、だけど、忘れることができない。
そう思える作品になりました。
以下は結末も含めてネタバレです、映画をご覧になった方だけお読みください↓
微妙な職権乱用「ブラック&ホワイト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「Black & White ブラック & ホワイト」(原題:This Means War)です。
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:え?その女でいいの?
あらすじ
FDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)はCIAの腕利きの名コンビ。
しかし闇商人を拉致するミッションに失敗し、2人は内勤を命じられてしまう。
そんな折、タックは出会い系サイトでローレン(リース・ウィザースプーン)と知り合う。
しかしその後すぐに、FDRもローレンをナンパしてしまったのだ。
ローレンを巡って、2人の戦いが勃発する。
「チャーリーズ・エンジェル」「ターミネーター4」のマックG監督最新作です。
いいですよ~。十分楽しかったです。
でもこれを映画館で観る価値があるかと言えば、ちょっとビミョーかも。
典型的な「レンタルで十分」と言われてしまうような作品だと思います。
話はテンポよく進むのだけど、その分深みは全くございません。
よくも悪くも一人の女性にイケメン2人があーだこーだ言っている内容です。
しかし伏線はひとつを除いてうまく使われているし、ラストの展開~オチまでもよくひねりが効いています。
何より2人の男が「似た者同士」なのが面白い。
正反対の性格のように見えて、実はお互いのことをよくわかっていて、だからでこそ最大の恋のライバルとして立ちはだかる。
この2人の行動を見るだけで何ともニヤニヤしてしまいました。
頭を使わないバカ映画を期待して観ると十分楽しめるでしょう。
今作の問題は以下のようなもの
①アクション&斬新なアイディアの量自体が少なく、面白みがない
2人はCIAの立場を使って、一人の女性を手に入れようとします。
しかしその方法が監視するとか、盗聴するとかそのレベル止まりなのです。
あっと驚く秘密兵器みたいなのは登場しません。
「そのスパイ道具をこんなくだらないことに使うのかよ!」みたいな展開を期待していた自分には肩すかしです。
キャッチフレーズの「史上最大の職権乱用」は誇大広告もいいとこです。中途半端。
アクションもラストの展開以外は凡庸です。
②2人の行動の説得力が足りない
2人のイケメンCIAが、1人の女性を巡って戦うのが基本のプロット。
しかし悲しいかな、この「ローレン」という女性に魅力があるように全く思えません。
特に「FDR」側との馴れ初めはひどくって、こんな女好きにならねーだろ!って誰もがなると思います。
ローレンをただの嫌な女として描かないのは好印象だったのですけれどね。
③敵なんかいたっけ?
この映画は妙な三角関係に焦点を当てています。
一応その他にもCIAに敵対する悪役がいるのですが、絶望的なぐらい存在感がありません。おまけレベル。
④下ネタ成分が多め
気にならない人は全く気にならないでしょうが、笑いどころがすぐに下ネタに走るのはあんまり好きではありません。
「ブラック&ホワイト」という邦題もちょっと的外れ。
「似たもの同士」の男主人公を描く作品には合致していないと思います。
しかも同名の台湾ドラマが存在するしなあ。
こういう明るくて、内容が(いい意味で)ないコメディ映画は観たあとで記憶があっという間になくなります。
でも、それはそれで作品の長所です。
「ジョンカーター」「バトルシップ」「タイタンの逆襲」などの現在のハリウッド大作連発の中で、あえてこういう小粒な作品を選ぶのもアリかと思われます。
デートムービとして是非どうぞ。
以下、ネタバレです 結末に触れまくっています↓
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:え?その女でいいの?
あらすじ
FDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)はCIAの腕利きの名コンビ。
しかし闇商人を拉致するミッションに失敗し、2人は内勤を命じられてしまう。
そんな折、タックは出会い系サイトでローレン(リース・ウィザースプーン)と知り合う。
しかしその後すぐに、FDRもローレンをナンパしてしまったのだ。
ローレンを巡って、2人の戦いが勃発する。
「チャーリーズ・エンジェル」「ターミネーター4」のマックG監督最新作です。
いいですよ~。十分楽しかったです。
でもこれを映画館で観る価値があるかと言えば、ちょっとビミョーかも。
典型的な「レンタルで十分」と言われてしまうような作品だと思います。
話はテンポよく進むのだけど、その分深みは全くございません。
よくも悪くも一人の女性にイケメン2人があーだこーだ言っている内容です。
しかし伏線はひとつを除いてうまく使われているし、ラストの展開~オチまでもよくひねりが効いています。
何より2人の男が「似た者同士」なのが面白い。
正反対の性格のように見えて、実はお互いのことをよくわかっていて、だからでこそ最大の恋のライバルとして立ちはだかる。
この2人の行動を見るだけで何ともニヤニヤしてしまいました。
頭を使わないバカ映画を期待して観ると十分楽しめるでしょう。
今作の問題は以下のようなもの
①アクション&斬新なアイディアの量自体が少なく、面白みがない
2人はCIAの立場を使って、一人の女性を手に入れようとします。
しかしその方法が監視するとか、盗聴するとかそのレベル止まりなのです。
あっと驚く秘密兵器みたいなのは登場しません。
「そのスパイ道具をこんなくだらないことに使うのかよ!」みたいな展開を期待していた自分には肩すかしです。
キャッチフレーズの「史上最大の職権乱用」は誇大広告もいいとこです。中途半端。
アクションもラストの展開以外は凡庸です。
②2人の行動の説得力が足りない
2人のイケメンCIAが、1人の女性を巡って戦うのが基本のプロット。
しかし悲しいかな、この「ローレン」という女性に魅力があるように全く思えません。
特に「FDR」側との馴れ初めはひどくって、こんな女好きにならねーだろ!って誰もがなると思います。
ローレンをただの嫌な女として描かないのは好印象だったのですけれどね。
③敵なんかいたっけ?
この映画は妙な三角関係に焦点を当てています。
一応その他にもCIAに敵対する悪役がいるのですが、絶望的なぐらい存在感がありません。おまけレベル。
④下ネタ成分が多め
気にならない人は全く気にならないでしょうが、笑いどころがすぐに下ネタに走るのはあんまり好きではありません。
「ブラック&ホワイト」という邦題もちょっと的外れ。
「似たもの同士」の男主人公を描く作品には合致していないと思います。
しかも同名の台湾ドラマが存在するしなあ。
こういう明るくて、内容が(いい意味で)ないコメディ映画は観たあとで記憶があっという間になくなります。
でも、それはそれで作品の長所です。
「ジョンカーター」「バトルシップ」「タイタンの逆襲」などの現在のハリウッド大作連発の中で、あえてこういう小粒な作品を選ぶのもアリかと思われます。
デートムービとして是非どうぞ。
以下、ネタバレです 結末に触れまくっています↓
抱腹絶倒なオトナのラブコメ「ラブアゲイン」ネタバレなし感想+お気にいりシーン
DVDで観た「ラブ・アゲイン」(原題:CRAZY, STUPID, LOVE.)の感想です。
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:こじれていく人間関係がめっちゃ面白い!
あらすじ
キャル(スティーヴ・カレル)は妻の浮気により離婚をつき出されてしまう。
今まで順風満帆な人生を送っていたキャルは、バーでそのことを愚痴っていた。
それを聞いていたジェイコブ(ライアン・ゴズリング)はキャルをモテ男にしようと画策する。
一方キャルの息子・ロビーは、ベビーシッターのジェシカに恋をして、猛烈なアタックをかけていた。
しかしジェシカの好きな相手はキャルだった。
ジェシカはロビーの求愛を頑なに断るのだが・・・
やべえ!これはオススメです!面白すぎる!
ゲラゲラ笑えて最後にはホロリ。最高級に楽しめたラブコメでした。
メインのプロットは「モテない中年男性が、離婚を突き出した妻を見返すためにモテようと奮起する」というもの。
映画はそれだけでは終わらず、20代の女性やティーンエイジャーの恋愛にもスポットを当てています。
それらのエピソードはお互いを邪魔していませんし、観ていて混乱することはありません。
むしろだんだんにこんがらがっていく人間関係を見るだけでニヤニヤが止まらないのです。
そして後半のあの展開。
こればっかりはネタバレできません。
もう本当腹が痛くなるくらい笑いました。
このシーンへの伏線もたっぷりなんですよね。
脚本は傑作アニメ「塔の上のラプンツェル」を手がけたダン・フォーゲルマンです。
違うジャンルでここまで面白い話を書けるなんてすごい!
出演陣も超豪華です。
「ドライヴ」で主演を務めたライアン・ゴズリング、
「ヘルプ」のエマ・ストーン、
スティーヴ・カレルに、ジュリアン・ムーアに、ケヴィン・ベーコンまで。
「ベスト・キッド」「ダーティ・ダンシング」に関する話題もあるので、映画ファンならより楽しめるでしょう。
なんでこの映画の上映館が日本では少なかったんでしょうか・・・
これほどの名優を集めた上に、大傑作な映画はなかなかないですよ。
性的な話題も多いですが、幅広い世代が共感できる作品ですので、若い人も是非。
中年男性であれば観ないと損だと断言します。
以下、作中のシーンがちょっとだけネタバレ↓後半の展開については書いていません。
![]() | スティーブ・カレル 2917円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
![]() ![]() ![]() |
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:こじれていく人間関係がめっちゃ面白い!
あらすじ
キャル(スティーヴ・カレル)は妻の浮気により離婚をつき出されてしまう。
今まで順風満帆な人生を送っていたキャルは、バーでそのことを愚痴っていた。
それを聞いていたジェイコブ(ライアン・ゴズリング)はキャルをモテ男にしようと画策する。
一方キャルの息子・ロビーは、ベビーシッターのジェシカに恋をして、猛烈なアタックをかけていた。
しかしジェシカの好きな相手はキャルだった。
ジェシカはロビーの求愛を頑なに断るのだが・・・
やべえ!これはオススメです!面白すぎる!
ゲラゲラ笑えて最後にはホロリ。最高級に楽しめたラブコメでした。
メインのプロットは「モテない中年男性が、離婚を突き出した妻を見返すためにモテようと奮起する」というもの。
映画はそれだけでは終わらず、20代の女性やティーンエイジャーの恋愛にもスポットを当てています。
それらのエピソードはお互いを邪魔していませんし、観ていて混乱することはありません。
むしろだんだんにこんがらがっていく人間関係を見るだけでニヤニヤが止まらないのです。
そして後半のあの展開。
こればっかりはネタバレできません。
もう本当腹が痛くなるくらい笑いました。
このシーンへの伏線もたっぷりなんですよね。
脚本は傑作アニメ「塔の上のラプンツェル」を手がけたダン・フォーゲルマンです。
違うジャンルでここまで面白い話を書けるなんてすごい!
出演陣も超豪華です。
「ドライヴ」で主演を務めたライアン・ゴズリング、
「ヘルプ」のエマ・ストーン、
スティーヴ・カレルに、ジュリアン・ムーアに、ケヴィン・ベーコンまで。
「ベスト・キッド」「ダーティ・ダンシング」に関する話題もあるので、映画ファンならより楽しめるでしょう。
なんでこの映画の上映館が日本では少なかったんでしょうか・・・
これほどの名優を集めた上に、大傑作な映画はなかなかないですよ。
性的な話題も多いですが、幅広い世代が共感できる作品ですので、若い人も是非。
中年男性であれば観ないと損だと断言します。
以下、作中のシーンがちょっとだけネタバレ↓後半の展開については書いていません。
かつて戦艦に乗っていた人へ「バトルシップ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「バトルシップ」です。
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:見事なドンパチオンリー映画
あらすじ
無職のアレックス・ホッパー(テイラー・キッチュ)は、兄の強い薦めにより軍隊に入隊する。
訓練中彼はナガタ(浅野忠信)と出会うが、性格の異なる2人は喧嘩になってしまう。
そのことでアレックスは退役を告げられることになるかもしれない、と兄に宣告される。
そんなとき、宇宙から未確認の飛行物体が近づいていた・・・
「キングダム」「ハンコック」のピーター・バーグ監督最新作です。
いやーすげー楽しかったです。
「戦艦がとりあえず戦っていれば満足なんだろ?」という需要にしっかりと応えた、素敵なアメリカ万歳映画に仕上がっています。
何より主人公がアホで周りの信頼がゼロ、というのがいいですね。
ニートの上に貯金が65ドルしかなく、ドジで、その上悪びれる様子もない(でも彼女からはなぜかモテモテ)。
何の共感も持てないほどのすさまじいボンクラ具合なのですが、そんな彼が成長していく姿はなんともほほえましいのです。
冒頭20分はそんな能無し主人公の描写ばかりが続くので、なんの映画を見に来たのかわからなくなりますが、これはこれで面白いのでよし。
戦闘のバリエーションの多さも魅力の一つです。
艦隊の人間描写だけでなく、外界の人間たちの奮闘を描いているのがとてもいい。
画や展開が一本調子でないので、飽きにくいつくりになっています。
映画の元ネタは実はボードゲームです。
<こんなの
このゲームの要素がどこにあんねんと思われるところでしょうが、ちゃんとあります。
ゲーム感覚で楽しめる映画なのです。
もうひとつ嬉しいのが浅野忠信さんの大活躍!
「マイティ・ソー」ではひどい扱いでがっかりしましたが、本作では準主役級と言ってよいほどです。
ほかのところでも日本がとってもフィーチャーされています。
これはかつて真珠湾でアメリカと日本が交戦した歴史を踏まえ、アメリカと日本が共闘する映画を作りたかった、という監督の意向によるものです。
ところどころ日本語も聞けるので、ある意味日本人がこの映画を最も楽しめるでしょう。
高尚なテーマや人間ドラマはほとんどなく、お話は当然のようにスッカスカな印象です。
でもそれがいい。
この手の映画に登場人物の葛藤やら人間ドラマはそれほど重要ではありません。
すごく深刻な事態が起きているのに、どこかお気楽で楽しいのはこの映画の長所でしょう。
少々残念なのが、その内容に反比例して上映時間が2時間10分と長いこと。
観たあとの疲労度はハンパないと思うので、体調のよいときにご覧ください。
あとツッコミどころも満載です。
大体世界侵略の危機を海兵隊&民間人だけで対応しているのが無茶なんですが、まあこれはそういう映画なんですからしょうがない。でもNASAぐらいは仕事しろ。
とにかく、地球侵略系ムービーとしてとっても面白い作品です。
同じようなジャンルに「世界侵略:ロサンゼルス決戦」「スカイラインー征服ー」もありますが、個人的にはそれよりも満足感は高かったです。
破壊されまくりなアクションを観たいなら是非どうぞ。
エンドロール後にもおまけがある(アナウンスなし)ので最後まで観ましょう!
以下、ネタバレです 結末に触れまくりです↓
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:見事なドンパチオンリー映画
あらすじ
無職のアレックス・ホッパー(テイラー・キッチュ)は、兄の強い薦めにより軍隊に入隊する。
訓練中彼はナガタ(浅野忠信)と出会うが、性格の異なる2人は喧嘩になってしまう。
そのことでアレックスは退役を告げられることになるかもしれない、と兄に宣告される。
そんなとき、宇宙から未確認の飛行物体が近づいていた・・・
「キングダム」「ハンコック」のピーター・バーグ監督最新作です。
いやーすげー楽しかったです。
「戦艦がとりあえず戦っていれば満足なんだろ?」という需要にしっかりと応えた、素敵なアメリカ万歳映画に仕上がっています。
何より主人公がアホで周りの信頼がゼロ、というのがいいですね。
ニートの上に貯金が65ドルしかなく、ドジで、その上悪びれる様子もない(でも彼女からはなぜかモテモテ)。
何の共感も持てないほどのすさまじいボンクラ具合なのですが、そんな彼が成長していく姿はなんともほほえましいのです。
冒頭20分はそんな能無し主人公の描写ばかりが続くので、なんの映画を見に来たのかわからなくなりますが、これはこれで面白いのでよし。
戦闘のバリエーションの多さも魅力の一つです。
艦隊の人間描写だけでなく、外界の人間たちの奮闘を描いているのがとてもいい。
画や展開が一本調子でないので、飽きにくいつくりになっています。
映画の元ネタは実はボードゲームです。

このゲームの要素がどこにあんねんと思われるところでしょうが、ちゃんとあります。
ゲーム感覚で楽しめる映画なのです。
もうひとつ嬉しいのが浅野忠信さんの大活躍!
「マイティ・ソー」ではひどい扱いでがっかりしましたが、本作では準主役級と言ってよいほどです。
ほかのところでも日本がとってもフィーチャーされています。
これはかつて真珠湾でアメリカと日本が交戦した歴史を踏まえ、アメリカと日本が共闘する映画を作りたかった、という監督の意向によるものです。
ところどころ日本語も聞けるので、ある意味日本人がこの映画を最も楽しめるでしょう。
高尚なテーマや人間ドラマはほとんどなく、お話は当然のようにスッカスカな印象です。
でもそれがいい。
この手の映画に登場人物の葛藤やら人間ドラマはそれほど重要ではありません。
すごく深刻な事態が起きているのに、どこかお気楽で楽しいのはこの映画の長所でしょう。
少々残念なのが、その内容に反比例して上映時間が2時間10分と長いこと。
観たあとの疲労度はハンパないと思うので、体調のよいときにご覧ください。
あとツッコミどころも満載です。
大体世界侵略の危機を海兵隊&民間人だけで対応しているのが無茶なんですが、まあこれはそういう映画なんですからしょうがない。でもNASAぐらいは仕事しろ。
とにかく、地球侵略系ムービーとしてとっても面白い作品です。
同じようなジャンルに「世界侵略:ロサンゼルス決戦」「スカイラインー征服ー」もありますが、個人的にはそれよりも満足感は高かったです。
破壊されまくりなアクションを観たいなら是非どうぞ。
エンドロール後にもおまけがある(アナウンスなし)ので最後まで観ましょう!
以下、ネタバレです 結末に触れまくりです↓
大赤字も超・納得「ジョン・カーター」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「ジョン・カーター」です。
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:愛おしい底抜け大失敗作
あらすじ
ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)は甥のエドガーに一冊の本を残していた。
そこに記されていたのは、想像だにしないジョンの冒険譚だった。
13年前。
生きる目的を見失っていた元英雄のジョン・カーターは、未知の力により惑星・バルスームへと飛ばされる。
映画史上最高の赤字を出すとか出さないとかという噂が香ばしい本作。
きっと観たら意外に面白くて「赤字にするなんてとんでもない!」って言えるのだろうと予想していましたが、すみませんこりゃ赤字になるわと思えました。
ま~いろいろと難点をあげてみましょう。
①ツッコミどころが満載
やべえってこれ。
もともと荒唐無稽な設定なので序盤はそんなに気にならなかったのですが、途中から脚本の大味っぷりがマイケル・ベイ臭を帯びてきます。
ストーリーの主軸があっちこっちにぶれるので、どうにも盛り上がりません。
さらに終盤はすさまじいまでのゴリ押しっぷりで、ゲラゲラ笑って観ていたのですが、劇場で笑っていたのは自分だけでした。
すべりっぷりもマイケルさんらしいですね。
②人物関係が意外と複雑な上に浅い
惑星バルスームに暮らす人々の対立関係が少し複雑です。
・人間型の人種「ゾダンガ」と「ヘリウム」が対立
・異星人っぽい姿の「サーク」は第三勢力で、中立的な立場
・法衣姿の「マタイ・シャン(サーン)」はゾダンガに手を貸している
この構図を把握するのにちょっと時間がかかります。
それ自体はいいんだけど、それに反比例して人物描写が浅すぎます。
悪役はマタイ・シャン役のマーク・ストロング以外、恐ろしく魅力がありません
③固有名詞が多い。
カタカナのことばが大量に出てきますが、この把握がちょっと面倒です。
サークとかサーンとかイスとかその他もろもろが「どういう意味だっけ?」となりがち。
バルスームはバスルームと言いたくなります。
主人公の呼び名も3種類もあるし、もう少し取捨選択できないもんかなあ・・・
④主人公の性格がアグレッシブ
主人公はひょんなことから未知の惑星で戦いに身を投じます。
そこの重力が低いため大ジャンプできたりと大活躍。
いわばコーヤコーヤ星に降り立ったのび太状態です。
でもちょっと野蛮すぎじゃ・・・
主人公らしい知的さはほとんどなく、そこらじゅうで暴れまくっている印象です。
この主人公の性格には肯定的な意見もあるし、納得できる部分も大いにあるんですけどね。
⑤この映画誰をターゲットにしてんのさ
少なくともあんまり家族向けでないことは確か。
ちょっと残酷なシーンもあったりします(日本では全年齢指定だけど、本国ではPG-13)
異星人の造形も決して可愛らしいものではありません。むしろグロテスクです。
前述のとおり話も単純じゃないし、大人であっても観る人を選びます。
これだけお金をかけた超大作にもかかわらず、好き嫌いが分かれまくるであろう要素ばかりなのはどうかと思うんだけど。
でも個人的には、この映画そんなに嫌いになれません。
ツッコミどころは勢いで乗り切る力強さ、お金を湯水のように使った世界観とアクション、オチの意外性など見どころは満載です。
娯楽性の強さは「ファインディング・ニモ」「ウォーリー」を手がけたアンドリュー・スタントン監督ならでは。
同じくピクサー作品で名を挙げたブラッド・バード監督は「ミッションインポッシブル ゴースト・プロトコル」で大成功を収めているので、これに懲りずに実写映画を作っていってほしいですね。
でもこの映画の続編はポシャると思います(全3部作の予定です)。
原作はエドガー・ライス・バローズによる小説です。
「スター・ウォーズ」や「アバター」に影響を与えたとされる作品で、今でも根強い人気を誇っています。
何度も映画化の話が出ては消えての状態だったので、今回の実写映画は「やっと」のことだったのです。
結果は見ての通りだったけど・・・
「大味ハリウッド底抜け大作」を期待する人には大いに楽しめるでしょうし、こんだけすがすがしいまでの失敗作を劇場で観れるのはこれが最初で最後かもしれません。
自分は2Dで観たのですが、3Dを意識した画が多いので3Dで観る価値も十分あるでしょう。
劇場でジョン・カーターを観ようじゃありませんか!
*以下は結末も含めてネタバレです。むしろ突っ込みどころ↓
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:愛おしい底抜け大失敗作
あらすじ
ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)は甥のエドガーに一冊の本を残していた。
そこに記されていたのは、想像だにしないジョンの冒険譚だった。
13年前。
生きる目的を見失っていた元英雄のジョン・カーターは、未知の力により惑星・バルスームへと飛ばされる。
映画史上最高の赤字を出すとか出さないとかという噂が香ばしい本作。
きっと観たら意外に面白くて「赤字にするなんてとんでもない!」って言えるのだろうと予想していましたが、すみませんこりゃ赤字になるわと思えました。
ま~いろいろと難点をあげてみましょう。
①ツッコミどころが満載
やべえってこれ。
もともと荒唐無稽な設定なので序盤はそんなに気にならなかったのですが、途中から脚本の大味っぷりがマイケル・ベイ臭を帯びてきます。
ストーリーの主軸があっちこっちにぶれるので、どうにも盛り上がりません。
さらに終盤はすさまじいまでのゴリ押しっぷりで、ゲラゲラ笑って観ていたのですが、劇場で笑っていたのは自分だけでした。
すべりっぷりもマイケルさんらしいですね。
②人物関係が意外と複雑な上に浅い
惑星バルスームに暮らす人々の対立関係が少し複雑です。
・人間型の人種「ゾダンガ」と「ヘリウム」が対立
・異星人っぽい姿の「サーク」は第三勢力で、中立的な立場
・法衣姿の「マタイ・シャン(サーン)」はゾダンガに手を貸している
この構図を把握するのにちょっと時間がかかります。
それ自体はいいんだけど、それに反比例して人物描写が浅すぎます。
悪役はマタイ・シャン役のマーク・ストロング以外、恐ろしく魅力がありません
③固有名詞が多い。
カタカナのことばが大量に出てきますが、この把握がちょっと面倒です。
サークとかサーンとかイスとかその他もろもろが「どういう意味だっけ?」となりがち。
バルスームはバスルームと言いたくなります。
主人公の呼び名も3種類もあるし、もう少し取捨選択できないもんかなあ・・・
④主人公の性格がアグレッシブ
主人公はひょんなことから未知の惑星で戦いに身を投じます。
そこの重力が低いため大ジャンプできたりと大活躍。
いわばコーヤコーヤ星に降り立ったのび太状態です。
でもちょっと野蛮すぎじゃ・・・
主人公らしい知的さはほとんどなく、そこらじゅうで暴れまくっている印象です。
この主人公の性格には肯定的な意見もあるし、納得できる部分も大いにあるんですけどね。
⑤この映画誰をターゲットにしてんのさ
少なくともあんまり家族向けでないことは確か。
ちょっと残酷なシーンもあったりします(日本では全年齢指定だけど、本国ではPG-13)
異星人の造形も決して可愛らしいものではありません。むしろグロテスクです。
前述のとおり話も単純じゃないし、大人であっても観る人を選びます。
これだけお金をかけた超大作にもかかわらず、好き嫌いが分かれまくるであろう要素ばかりなのはどうかと思うんだけど。
でも個人的には、この映画そんなに嫌いになれません。
ツッコミどころは勢いで乗り切る力強さ、お金を湯水のように使った世界観とアクション、オチの意外性など見どころは満載です。
娯楽性の強さは「ファインディング・ニモ」「ウォーリー」を手がけたアンドリュー・スタントン監督ならでは。
同じくピクサー作品で名を挙げたブラッド・バード監督は「ミッションインポッシブル ゴースト・プロトコル」で大成功を収めているので、これに懲りずに実写映画を作っていってほしいですね。
でもこの映画の続編はポシャると思います(全3部作の予定です)。
原作はエドガー・ライス・バローズによる小説です。
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「スター・ウォーズ」や「アバター」に影響を与えたとされる作品で、今でも根強い人気を誇っています。
何度も映画化の話が出ては消えての状態だったので、今回の実写映画は「やっと」のことだったのです。
結果は見ての通りだったけど・・・
「大味ハリウッド底抜け大作」を期待する人には大いに楽しめるでしょうし、こんだけすがすがしいまでの失敗作を劇場で観れるのはこれが最初で最後かもしれません。
自分は2Dで観たのですが、3Dを意識した画が多いので3Dで観る価値も十分あるでしょう。
劇場でジョン・カーターを観ようじゃありませんか!
*以下は結末も含めてネタバレです。むしろ突っ込みどころ↓
グルメ漫画の臨界点超えやがった「花のズボラ飯」第20話レビュー
忘れたころに再開!「花のズボラ飯」2巻収録の第20話のレビューです。
<いままでのレビューはこちら>
時はクリスマス直前。
主人公・花はまわりの景色にときめきながら帰宅途中でした。

うんうん、「クリスマスの飾り付け早いって!」な感じはよくわかります。
このムードが嬉しくてしょうがない花は、その感情を隠せないのです。
いつものお店で焼きたてクッキーを買ったら、さらに幸せな気分になってしまいます。

ああもう、楽しそうでうらやましいですね。
↓
<いままでのレビューはこちら>
時はクリスマス直前。
主人公・花はまわりの景色にときめきながら帰宅途中でした。

うんうん、「クリスマスの飾り付け早いって!」な感じはよくわかります。
このムードが嬉しくてしょうがない花は、その感情を隠せないのです。
いつものお店で焼きたてクッキーを買ったら、さらに幸せな気分になってしまいます。

ああもう、楽しそうでうらやましいですね。
↓
特撮とB級映画の華麗な融合「電人ザボーガー」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
DVDで観た「電人ザボーガー」の感想です。
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:最高の愛を感じる特撮大作×超B級
あらすじ
秘密刑事の大門豊は、父の残したロボットであり相棒でもあるザボーガーと共に、悪のサイボーグ組織・シグマと戦う日々を送っていた。
激闘の中、大門はシグマのメンバー・ミスボーグを救い、奇妙な交流が芽生え始めるのだが・・・
なんだよこれ!めちゃくちゃ面白いじゃないかよ!
冒頭10分から興奮が止まらず、面白さはそこからノンストップ。
心の底から素晴らしい映画でした。
映画のもととのなる特撮テレビ番組は全く知らないですし、特撮そのものになじみがなかったのですが、それでも大いに楽しむことができました。
それは監督が特撮ものの魅力をしっかりとわかっているからなのでしょう。
ちょっと安っぽいのに、展開は熱い。
ロボットのアクションは格好いい。
ロマンスや主人公の葛藤も描かれている。
子どものころに観た、特撮ヒーロー作品の面白さを思い出させてくれます。
監督は「片腕マシンガール」「ロボゲイシャ」などで知られる井口昇。
映画のタイトルが示すとおり、B級映画を地でいく作品群が映画ファンに大いに愛されています。
その監督が特撮ものを撮ると、これまた「監督らしさ」がそこらじゅうにお目見えしています。
すなわちB級映画らしいエロやグロが顔を出しているのです。
特撮ものなのに、独自の悪趣味な世界観で好き勝手やってくれています。
なんとかG(全年齢)指定で許されるぐらいのギリギリさ。個人的にはギリギリアウトな気がします。
そのB級テイストが特撮ものっぽさを邪魔していることもなく、ものすごくマッチしています。
特撮もので血しぶきが飛ぶとかどう考えてもおかしいのですが、すぐ慣れます。いやマジで。
真に素晴らしいのはそのストーリー。
「青年編」「中年編」の2部構成で、壮大なドラマが築かれているのです。
青年編で主人公がしたことが、中年編で大きな意味を持ちます。
クラマックスではもうガチ泣きするくらいの勢いを持つ展開が巻き起こり、これ以上ない終焉を迎えるのです。
悪いことは言いません。この映画必見です。
そりゃあB級映画っぽいエログロ、全編に溢れる(いい意味での)バカバカしさ、笑っていいのかよくわからないギャグなど人を選ぶ要素が目白押しですが、ハマる人には最高の作品になると思います。
「主人公が声でロボットに命令をする」という点ではジャイアントロボを思い出しました。
昭和のヒーローに憧れていた人も、気にいるかもしれませんよ。
以下は少しだけネタバレで作中のシーンを紹介↓ストーリー展開についてはほとんど書いていません。
![]() | 板尾創路 5131円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
![]() ![]() ![]() |
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:最高の愛を感じる特撮大作×超B級
あらすじ
秘密刑事の大門豊は、父の残したロボットであり相棒でもあるザボーガーと共に、悪のサイボーグ組織・シグマと戦う日々を送っていた。
激闘の中、大門はシグマのメンバー・ミスボーグを救い、奇妙な交流が芽生え始めるのだが・・・
なんだよこれ!めちゃくちゃ面白いじゃないかよ!
冒頭10分から興奮が止まらず、面白さはそこからノンストップ。
心の底から素晴らしい映画でした。
映画のもととのなる特撮テレビ番組は全く知らないですし、特撮そのものになじみがなかったのですが、それでも大いに楽しむことができました。
それは監督が特撮ものの魅力をしっかりとわかっているからなのでしょう。
ちょっと安っぽいのに、展開は熱い。
ロボットのアクションは格好いい。
ロマンスや主人公の葛藤も描かれている。
子どものころに観た、特撮ヒーロー作品の面白さを思い出させてくれます。
監督は「片腕マシンガール」「ロボゲイシャ」などで知られる井口昇。
映画のタイトルが示すとおり、B級映画を地でいく作品群が映画ファンに大いに愛されています。
その監督が特撮ものを撮ると、これまた「監督らしさ」がそこらじゅうにお目見えしています。
すなわちB級映画らしいエロやグロが顔を出しているのです。
特撮ものなのに、独自の悪趣味な世界観で好き勝手やってくれています。
なんとかG(全年齢)指定で許されるぐらいのギリギリさ。個人的にはギリギリアウトな気がします。
そのB級テイストが特撮ものっぽさを邪魔していることもなく、ものすごくマッチしています。
特撮もので血しぶきが飛ぶとかどう考えてもおかしいのですが、すぐ慣れます。いやマジで。
真に素晴らしいのはそのストーリー。
「青年編」「中年編」の2部構成で、壮大なドラマが築かれているのです。
青年編で主人公がしたことが、中年編で大きな意味を持ちます。
クラマックスではもうガチ泣きするくらいの勢いを持つ展開が巻き起こり、これ以上ない終焉を迎えるのです。
悪いことは言いません。この映画必見です。
そりゃあB級映画っぽいエログロ、全編に溢れる(いい意味での)バカバカしさ、笑っていいのかよくわからないギャグなど人を選ぶ要素が目白押しですが、ハマる人には最高の作品になると思います。
「主人公が声でロボットに命令をする」という点ではジャイアントロボを思い出しました。
昭和のヒーローに憧れていた人も、気にいるかもしれませんよ。
以下は少しだけネタバレで作中のシーンを紹介↓ストーリー展開についてはほとんど書いていません。
温故知新と心機一転「アーティスト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「アーティスト」です。
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:映画の魅力が詰まっている!
あらすじ
ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)はサイレント映画の大スター。
女優志望のペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)はひょんなことからジョージと知り合い、新聞にそのことを大きくはやし立てられた。
そのさなか、映画はサイレントからトーキーへの転換が行われようとしていた。
かたくなにトーキーを否定し、あくまでサイレントにこだわるジョージは、自らサイレント映画の傑作を撮ろうと画策する。
一方ペピーはトーキー映画の女優として成功を掴もうとしていた。
これはよかった!
「今の時代にサイレント×モノクロの映画を作った」だけででなく、斬新なアイディアが盛り込まれているところが秀逸です。
このアイディアは詳しく言うとネタバレになってしまうので、予備知識を入れずに観ることをおすすめします。
舞台はトーキー映画へと観客の興味が移り変わりつつあるハリウッドです。
ちなみに制作国はアメリカではなくフランスです。
「ヒューゴの不思議な発明」ではハリウッドがフランス映画の魅力を描くのに対し、今作ではフランスがハリウッド映画の魅力を描くのです。
劇中に登場するサイレント映画と同じく、この映画では声が出ません。
一部は字幕で表現されるのですが、それ以外の台詞は脳内で補うしかないのです。
それで映画の内容がわかるのか?と言われると、これがちゃんと理解できるし、とても楽しいんですよね。
「こう言っているんだろうな」「ああ、この表情はこういうことなんだな」と想像する作業がすごく面白いのです。
小説の挿絵がないことでかえって想像が膨らむような、
ファミコン時代のRPGが演出が少ないぶんだけ自分で設定を考えることであるような、
そんな「想像の楽しさ」を教えてくれます。
当時の人は役者の仕草や表情、劇中の音楽を頼りにこうして映画を観ていたのだな、と思うとけっこう羨ましい気がします(生のオーケストラ付きだし)。
この作業の面白さを知れただけでも、この映画に感謝をしたくなるのです。
でもやっぱり「声がない」ことに物足りなさがあることも事実。
「これはこれでいいけど、やっぱり声が欲しいなあ」というジレンマは多くの人が感じることだと思いますが、これに映画はアイディアで応え、ジレンマそのものをトーキー映画へと移り変わる時代を利用して描いていることが素晴らしいです。
古きよき映画のシミュラークルっぽくはありますが、実は革新的な映画です。
この映画がオスカーを受賞したのは、単なる懐古主義に留まらず、温故知新の考えのもとで新しい映画を作ったことにあるのだと思います。
同じ時代背景、トーキー映画の出現により衰退していく人間を描いた作品に「サンセット大通り」があります。
傑作と名高い作品であり、結末はアーティストと大きく異なります。
「雨に唄えば」も合わせて、この時代の映画事情を見比べてみるのも面白いかもしれません。
とにかく、幸福な気分になれる素敵な映画に仕上がっています。
当時のことを知らなくても、新しいこと、古いことの両方の魅力を知れる本作は、映画ファンであればあるほど必見と言えます。
「音」が重要な作品なので、DVDであると魅力は下がってしまうでしょう。
ぜひ劇場でご堪能あれ。
以下は結末も含めてネタバレです、鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:映画の魅力が詰まっている!
あらすじ
ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)はサイレント映画の大スター。
女優志望のペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)はひょんなことからジョージと知り合い、新聞にそのことを大きくはやし立てられた。
そのさなか、映画はサイレントからトーキーへの転換が行われようとしていた。
かたくなにトーキーを否定し、あくまでサイレントにこだわるジョージは、自らサイレント映画の傑作を撮ろうと画策する。
一方ペピーはトーキー映画の女優として成功を掴もうとしていた。
これはよかった!
「今の時代にサイレント×モノクロの映画を作った」だけででなく、斬新なアイディアが盛り込まれているところが秀逸です。
このアイディアは詳しく言うとネタバレになってしまうので、予備知識を入れずに観ることをおすすめします。
舞台はトーキー映画へと観客の興味が移り変わりつつあるハリウッドです。
ちなみに制作国はアメリカではなくフランスです。
「ヒューゴの不思議な発明」ではハリウッドがフランス映画の魅力を描くのに対し、今作ではフランスがハリウッド映画の魅力を描くのです。
劇中に登場するサイレント映画と同じく、この映画では声が出ません。
一部は字幕で表現されるのですが、それ以外の台詞は脳内で補うしかないのです。
それで映画の内容がわかるのか?と言われると、これがちゃんと理解できるし、とても楽しいんですよね。
「こう言っているんだろうな」「ああ、この表情はこういうことなんだな」と想像する作業がすごく面白いのです。
小説の挿絵がないことでかえって想像が膨らむような、
ファミコン時代のRPGが演出が少ないぶんだけ自分で設定を考えることであるような、
そんな「想像の楽しさ」を教えてくれます。
当時の人は役者の仕草や表情、劇中の音楽を頼りにこうして映画を観ていたのだな、と思うとけっこう羨ましい気がします(生のオーケストラ付きだし)。
この作業の面白さを知れただけでも、この映画に感謝をしたくなるのです。
でもやっぱり「声がない」ことに物足りなさがあることも事実。
「これはこれでいいけど、やっぱり声が欲しいなあ」というジレンマは多くの人が感じることだと思いますが、これに映画はアイディアで応え、ジレンマそのものをトーキー映画へと移り変わる時代を利用して描いていることが素晴らしいです。
古きよき映画のシミュラークルっぽくはありますが、実は革新的な映画です。
この映画がオスカーを受賞したのは、単なる懐古主義に留まらず、温故知新の考えのもとで新しい映画を作ったことにあるのだと思います。
同じ時代背景、トーキー映画の出現により衰退していく人間を描いた作品に「サンセット大通り」があります。
![]() | グロリア・スワンソン 1178円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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傑作と名高い作品であり、結末はアーティストと大きく異なります。
「雨に唄えば」も合わせて、この時代の映画事情を見比べてみるのも面白いかもしれません。
とにかく、幸福な気分になれる素敵な映画に仕上がっています。
当時のことを知らなくても、新しいこと、古いことの両方の魅力を知れる本作は、映画ファンであればあるほど必見と言えます。
「音」が重要な作品なので、DVDであると魅力は下がってしまうでしょう。
ぜひ劇場でご堪能あれ。
以下は結末も含めてネタバレです、鑑賞後にご覧ください↓
暴力×雰囲気映画「ドライヴ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「ドライヴ」です。
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:話がすごくつまらなくてびっくりした・・・
あらすじ
ドライバー(ライアン・ゴズリング)は昼はスタントマンと自動車修理、夜は犯罪者を逃走させることを生業としていた。
ドライバーは同じアパートに住むアイリーン(キャリー・マリガン)と出会う。
会うたびに親密になっていく2人だったが、ある日服役中のアイリーンの夫スタンダードが舞い戻ってくる。
スタンダードは獄中でボディガードを雇ったために多額の借金を背負っていた。
強盗をしようとするスタンダードのため、ドライバーは無償で逃走させることを約束する。
予告編で「これは玄人向けの深い内容の映画だろう」と勝手に想像していたのですが、その期待はちょっと裏切られました。
シャープな画や、不安感をあおるような音楽は難解映画の大御所デヴィッド・リンチ監督を思わせますが、今作の物語はシンプルでわかりやすいものです。
バイオレンスなアクションと人間模様を描いていく、まっとうなクライム・ムービーになっています。
映画の特徴を言えばそれはもう簡単でして「雰囲気は最高だけど、話はつまらない」です。
人によって
①映像や音楽
②ストーリー
のどちらを重視するかは異なりますが、この映画は明らかに①ばかりが魅力になっていて、②は全くの期待外れでした。
ストーリーは「孤高の主人公が愛するもののために命をかけて戦う」という典型的なもの。
それでも心理描写やキャラクターの性格が十分に描けていたらよかったのですが、残念ながらこの映画の登場人物には魅力をあまり感じることができませんでした。
特に敵キャラクターは残念。
ロン・パールマン、アルバート・ブルックスというベテランが揃っているのに、あまりの魅力の薄さに愕然としました。
前半に主人公との掛け合いがあるのですが、伏線があまり張られておらず、成功しているとは言えません。
この映画では強い相手を倒すだとか、そういうことに重きに置いておらず、あくまで主人公「ドライバー」を描きたかったのでしょう。
主人公を演じたライアン・ゴズリングの演技は格別です。
キャラクターの過去は一切描かれず、寡黙で感情をあまり表にださないのに、彼の優しさと、容赦をしない凶暴性が表情からみてとれます。
また主人公の行動以外で、普通のクライム・ムービーでは必ずと言っていいほど描くことを、「あえて描かない」ことが多いのです。
このドライバーのキャラクターと構成は、この映画の独特な雰囲気を作り出すのに一役買っています。
音楽が素晴らしかったですね。
心臓の音のような重低音、テクノ調の音楽はハイセンスで作品にマッチしています。
画づくりもこれまた最高です。
陰と陽のコントラストはまさに「映像美」と言うにふさわしい出来です。
個人的には「ドアノブのアップ」や、地味ながら「スーパーでのカメラワーク」に感心しました。
カーチェイスシーンもすごい!
「ワイルド・スピード」のような頭空っぽで観られるような車の吹っ飛びではなく、「知的さ」まで感じられる雰囲気です。
ここのカメラワークと、緩急のつけ方も文句の言いようがありません。
だからでこそ、話のつまらなさは至極残念です。
「一昔前のヤクザ映画」な印象で、ありきたりで、ひねりがあまりにもありません。
「シンプルなストーリーだからでこそ他の部分が映える」という意味ではいいのかもしれないけど、やっぱり自分は映画にはストーリーの魅力はあってしかるべきだと思います。
映像面に非凡さがあるのは誰もが認めるところなので、監督の次回作では脚本を練り上げて欲しいな、と思います。
R15+指定も当然なグロシーンもありますが、その量は少なく描写もあっさりぎみなので、それほど後には残りません。
映画の雰囲気を重視する人や、「寡黙な男の美学」を感じたい方には最高の一本になる可能性はあるので、成熟した大人には是非オススメします。
以下は結末を含めてネタバレです。あまりストーリーには語ることがないので今回はちょっと短め↓
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:話がすごくつまらなくてびっくりした・・・
あらすじ
ドライバー(ライアン・ゴズリング)は昼はスタントマンと自動車修理、夜は犯罪者を逃走させることを生業としていた。
ドライバーは同じアパートに住むアイリーン(キャリー・マリガン)と出会う。
会うたびに親密になっていく2人だったが、ある日服役中のアイリーンの夫スタンダードが舞い戻ってくる。
スタンダードは獄中でボディガードを雇ったために多額の借金を背負っていた。
強盗をしようとするスタンダードのため、ドライバーは無償で逃走させることを約束する。
予告編で「これは玄人向けの深い内容の映画だろう」と勝手に想像していたのですが、その期待はちょっと裏切られました。
シャープな画や、不安感をあおるような音楽は難解映画の大御所デヴィッド・リンチ監督を思わせますが、今作の物語はシンプルでわかりやすいものです。
バイオレンスなアクションと人間模様を描いていく、まっとうなクライム・ムービーになっています。
映画の特徴を言えばそれはもう簡単でして「雰囲気は最高だけど、話はつまらない」です。
人によって
①映像や音楽
②ストーリー
のどちらを重視するかは異なりますが、この映画は明らかに①ばかりが魅力になっていて、②は全くの期待外れでした。
ストーリーは「孤高の主人公が愛するもののために命をかけて戦う」という典型的なもの。
それでも心理描写やキャラクターの性格が十分に描けていたらよかったのですが、残念ながらこの映画の登場人物には魅力をあまり感じることができませんでした。
特に敵キャラクターは残念。
ロン・パールマン、アルバート・ブルックスというベテランが揃っているのに、あまりの魅力の薄さに愕然としました。
前半に主人公との掛け合いがあるのですが、伏線があまり張られておらず、成功しているとは言えません。
この映画では強い相手を倒すだとか、そういうことに重きに置いておらず、あくまで主人公「ドライバー」を描きたかったのでしょう。
主人公を演じたライアン・ゴズリングの演技は格別です。
キャラクターの過去は一切描かれず、寡黙で感情をあまり表にださないのに、彼の優しさと、容赦をしない凶暴性が表情からみてとれます。
また主人公の行動以外で、普通のクライム・ムービーでは必ずと言っていいほど描くことを、「あえて描かない」ことが多いのです。
このドライバーのキャラクターと構成は、この映画の独特な雰囲気を作り出すのに一役買っています。
音楽が素晴らしかったですね。
![]() | Soundtrack 975円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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心臓の音のような重低音、テクノ調の音楽はハイセンスで作品にマッチしています。
画づくりもこれまた最高です。
陰と陽のコントラストはまさに「映像美」と言うにふさわしい出来です。
個人的には「ドアノブのアップ」や、地味ながら「スーパーでのカメラワーク」に感心しました。
カーチェイスシーンもすごい!
「ワイルド・スピード」のような頭空っぽで観られるような車の吹っ飛びではなく、「知的さ」まで感じられる雰囲気です。
ここのカメラワークと、緩急のつけ方も文句の言いようがありません。
だからでこそ、話のつまらなさは至極残念です。
「一昔前のヤクザ映画」な印象で、ありきたりで、ひねりがあまりにもありません。
「シンプルなストーリーだからでこそ他の部分が映える」という意味ではいいのかもしれないけど、やっぱり自分は映画にはストーリーの魅力はあってしかるべきだと思います。
映像面に非凡さがあるのは誰もが認めるところなので、監督の次回作では脚本を練り上げて欲しいな、と思います。
R15+指定も当然なグロシーンもありますが、その量は少なく描写もあっさりぎみなので、それほど後には残りません。
映画の雰囲気を重視する人や、「寡黙な男の美学」を感じたい方には最高の一本になる可能性はあるので、成熟した大人には是非オススメします。
以下は結末を含めてネタバレです。あまりストーリーには語ることがないので今回はちょっと短め↓
子どもも楽しめるけど非道徳的なアニメ「ももへの手紙」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「ももへの手紙」です。

個人的お気に入り度:7/10
一言感想:堅実さ重視の「田舎暮らし」アニメ
あらすじ
小学六年生の女の子「もも」は瀬戸内海の島・汐島に母親のいく子と共にやってくる。
ももは父親を事故で失い、約束を破ったことに対して最後にひどいことを言ってしまっていた。
父親が残していた手紙の内容は「ももへ」と一言だけ。
彼女は、父親がなんて書きたかったのかを知りたがっていた。
ももは、家の中で誰かの気配を感じ始める。
はじめは影のようなものだったが、次第にその姿がはっきりとしていき・・・
面白いアニメ映画でした。
今作は「田舎に引っ越してきた女の子が人外のものと出会い、交流する」という内容。
多くの方は「となりのトトロ」を連想しそうな内容であり、目新しさもそれほど感じません。
それは裏を返せば王道ということ。
誰もが楽しめる物語であることは間違いありません。
父を失った少女の心の変化がしっかりと描かれていますし、妖怪たちのコミカルな動作や立ち振る舞いもクスクス笑えます。
アニメーションとしても確かな出来栄え(制作期間はなんと7年!)で、キャラクターもよく動きます。
特筆すべきはその心理描写。
映画を観る前は無表情っぽく思えた主人公も、実際はとっても表情豊かです。
見た目が全然可愛くない妖怪たちも、何とも愛おしい。
驚いたり、わめいたり、喜んだり、その描写がとっても丁寧なのです。
その表情の描きわけ、心理描写の上手さは、沖浦啓之監督の前作「人狼(じんろう)」から引き継がれたものです。
ももへの手紙は子どもからお年寄りまで分け隔てなく楽しめる作品ですが、こちらの作品は人を選びます。
押井守脚本による「赤ずきん」になぞらえたストーリーや、その重苦しい雰囲気は拒否反応を起こす方も多いでしょう。
PG-12指定では甘いと思える殺人描写が出てきますので、大人のみの鑑賞をオススメします。
楽しい作品である「ももへの手紙」にも「父親の死」という重い題材が出てきてますし、登場人物にはどこか「陰り」があるようにも感じました。
これは監督の作家性でもあるのでしょう。
自分はこの映画を観て、「トトロ」よりも「かみちゅ」という深夜アニメ作品を思い出しました。
瀬戸内海に面している舞台設定など、多くの共通点があるように思いました(作品のトーンは全く異なりますが)。
こちらも子どもが観ても楽しめる質の高いアニメーション作品なので、「かみちゅ」が好きな人には「ももへの手紙」を、「ももへの手紙」が好きな人にも「かみちゅ」をオススメしたいと思います。
ただ、映画としては残念に感じたこともいくつかあります。
ひとつが「主人公が妖怪と交流して成長する」という最も重要であるであろう要素が、ちょっと中途半端に思えることです。
この原因は妖怪たちが「いいやつ」なんかじゃないことが大きいです。
つーかめっちゃ迷惑なやつらです。
あまりにやっていることが非道徳的です。教訓に残ることもほとんどしてくれません。
自分はこいつらのこと嫌いじゃありませんが、憤りを感じる人もいると思う。
主人公の健気さと対比するように傍若無人な妖怪たちをみると、すでに妖怪たちより人間として出来ている主人公の成長話に説得力がありません。
もう少し妖怪たちの「いいところ」を観たかったのは自分だけではないと思います。
ラストにちょっとしたスペクタクルも用意されているのですが、この行動をするまでの説得力も薄く感じます。
「どうやって〇〇したの?」と誰もが気になる部分が端折られていて、どうにもスッキリしないのも残念でした。
他はとても堅実的な仕上がりで、伏線もしっかり張られている作品です。
それだけに、大事な部分に違和感を覚えるのは惜しいと言うほかありません。
いろいろ言いましたが、のんびりと楽しめるアニメ作品が観たい方には大プッシュでオススメできます。
作中の舞台「汐島」は架空の島ですが、モデルになっているのは大崎下島です。
映画そのままの風景が見られますので、映画を観たあとに旅行してみるのもいいでしょう(そのコンセプトの特集も組まれています)。
その風景の美しさは、きっと忘れられないものだと思います。
以下は少しだけですがネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

個人的お気に入り度:7/10
一言感想:堅実さ重視の「田舎暮らし」アニメ
あらすじ
小学六年生の女の子「もも」は瀬戸内海の島・汐島に母親のいく子と共にやってくる。
ももは父親を事故で失い、約束を破ったことに対して最後にひどいことを言ってしまっていた。
父親が残していた手紙の内容は「ももへ」と一言だけ。
彼女は、父親がなんて書きたかったのかを知りたがっていた。
ももは、家の中で誰かの気配を感じ始める。
はじめは影のようなものだったが、次第にその姿がはっきりとしていき・・・
面白いアニメ映画でした。
今作は「田舎に引っ越してきた女の子が人外のものと出会い、交流する」という内容。
多くの方は「となりのトトロ」を連想しそうな内容であり、目新しさもそれほど感じません。
それは裏を返せば王道ということ。
誰もが楽しめる物語であることは間違いありません。
父を失った少女の心の変化がしっかりと描かれていますし、妖怪たちのコミカルな動作や立ち振る舞いもクスクス笑えます。
アニメーションとしても確かな出来栄え(制作期間はなんと7年!)で、キャラクターもよく動きます。
特筆すべきはその心理描写。
映画を観る前は無表情っぽく思えた主人公も、実際はとっても表情豊かです。
見た目が全然可愛くない妖怪たちも、何とも愛おしい。
驚いたり、わめいたり、喜んだり、その描写がとっても丁寧なのです。
その表情の描きわけ、心理描写の上手さは、沖浦啓之監督の前作「人狼(じんろう)」から引き継がれたものです。
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ももへの手紙は子どもからお年寄りまで分け隔てなく楽しめる作品ですが、こちらの作品は人を選びます。
押井守脚本による「赤ずきん」になぞらえたストーリーや、その重苦しい雰囲気は拒否反応を起こす方も多いでしょう。
PG-12指定では甘いと思える殺人描写が出てきますので、大人のみの鑑賞をオススメします。
楽しい作品である「ももへの手紙」にも「父親の死」という重い題材が出てきてますし、登場人物にはどこか「陰り」があるようにも感じました。
これは監督の作家性でもあるのでしょう。
自分はこの映画を観て、「トトロ」よりも「かみちゅ」という深夜アニメ作品を思い出しました。
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瀬戸内海に面している舞台設定など、多くの共通点があるように思いました(作品のトーンは全く異なりますが)。
こちらも子どもが観ても楽しめる質の高いアニメーション作品なので、「かみちゅ」が好きな人には「ももへの手紙」を、「ももへの手紙」が好きな人にも「かみちゅ」をオススメしたいと思います。
ただ、映画としては残念に感じたこともいくつかあります。
ひとつが「主人公が妖怪と交流して成長する」という最も重要であるであろう要素が、ちょっと中途半端に思えることです。
この原因は妖怪たちが「いいやつ」なんかじゃないことが大きいです。
つーかめっちゃ迷惑なやつらです。
あまりにやっていることが非道徳的です。教訓に残ることもほとんどしてくれません。
自分はこいつらのこと嫌いじゃありませんが、憤りを感じる人もいると思う。
主人公の健気さと対比するように傍若無人な妖怪たちをみると、すでに妖怪たちより人間として出来ている主人公の成長話に説得力がありません。
もう少し妖怪たちの「いいところ」を観たかったのは自分だけではないと思います。
ラストにちょっとしたスペクタクルも用意されているのですが、この行動をするまでの説得力も薄く感じます。
「どうやって〇〇したの?」と誰もが気になる部分が端折られていて、どうにもスッキリしないのも残念でした。
他はとても堅実的な仕上がりで、伏線もしっかり張られている作品です。
それだけに、大事な部分に違和感を覚えるのは惜しいと言うほかありません。
いろいろ言いましたが、のんびりと楽しめるアニメ作品が観たい方には大プッシュでオススメできます。
作中の舞台「汐島」は架空の島ですが、モデルになっているのは大崎下島です。
映画そのままの風景が見られますので、映画を観たあとに旅行してみるのもいいでしょう(そのコンセプトの特集も組まれています)。
その風景の美しさは、きっと忘れられないものだと思います。
以下は少しだけですがネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓
勝利の証 映画「ヘルプ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」(原題:The Help)です。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:差別を笑い飛ばす強さ!大好きです!
あらすじ
作家志望のスキーター(エマ・ストーン)は、黒人のメイドが当たり前の環境で過ごしてきた。
大学から地元のミシシッピー州へ戻った彼女は、白人社会にいるメイドたちが置かれた立場に、憤りを感じるようになる。
このことを公表するため、スキーターはメイドのエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)にインタビューを試みる。
しかし、彼女たちにとって真実を語ることは、生き死にに関わる問題でもあった。
一方、エイビリーンの親友のミニー(オクタヴィア・スペンサー)は、白人のトイレを使ったがために解雇されてしまうのだが・・・
いやーこれは面白い!
黒人への差別という題材ですが、雰囲気は重くならず、軽快です。
予告では地味な印象でしたが、映画を観てみるとこひとときも飽きることがない展開の面白さ、巧みな構成で魅せてくれます。
上映時間は2時間半と長めですが、その時間を感じさせません。
もっと観ていたい、と思うくらいこの映画の登場人物が大好きになりました。
原作はキャスリン・ストケットによる小説です。
映画は原作ファンにとっても納得の出来であるようです。
映画を観たあとに、細かなエピソードを小説で補完するのもよいでしょう。
舞台は1960年代のミシシッピー州ジャクソン。
原作者も、監督のテイト・テイラーもここの出身です。
キング牧師によるI Have a Dreamが演説される少し前であり、KKK団によるメドガー・エヴァーズの暗殺事件などが起こった、黒人差別の転換期と言える時期の物語になっています。
ミシシッピー州は黒人差別が他より根強い地域で、黒人は白人家庭でメイド(アメリカでは『ヘルプ』と呼ぶ)になることが当たり前になっています。
問題は、そこに人権という感覚がまるでないこと。
白人は黒人メイドに家事洗濯その他もろもろを頼むのに、同じ食器は共有せず、同じテーブルで食事をすることはありません。
さらには黒人が社会的地位の向上をはかることも認めらていません。
恐ろしいのはこれらがジム・クロウと呼ばれる法律で取り締まられているということ。
作中の登場人物が言うように、今の状況を公表すれば生きる場所を失うかもしれないのです。
その中で彼女ら(=作家志望の主人公とメイドたち)がどうやって差別と向き合い、戦っていくか。
是非劇場でご覧になってほしいです。
この映画は登場人物が多めで、それぞれのキャラクターを頭に入れていたほうがよいでしょう。
以下にメインで活躍する5人の登場人物をあげてみます。

<スキーター>
黒人たちの声を集めた本を出版しようと奔走する。母親に男っ気がないことをいじられている。

<エイビリーン>
心に傷のある女性だけど、気丈。

<ミニー>
毒舌家。すぐ「あの奥さんは〇〇でね~」とか言うので怒られないか心配。

<ヒリー>
婦人会のリーダーであり、差別主義者の悪役。いろんな意味で気の毒な人。

<シーリア>
見た目はデヴィ夫人みたいですが、実は誰よりも純粋な女性。
これら+脇役のキャラクターそれぞれが、個性的かつ魅力的です。
個人的に一番好きなのはシーリアとミニーの関係。
この2人の掛け合いが微笑ましくてしょうがなかった。
差別問題に詳しくなくても、問題なく映画は楽しめます。
登場人物にこれ以上なく共感できるこの作品は、秀逸なヒューマンドラマとして老若男女にオススメです!
以下、ネタバレです 結末に触れているので鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:差別を笑い飛ばす強さ!大好きです!
あらすじ
作家志望のスキーター(エマ・ストーン)は、黒人のメイドが当たり前の環境で過ごしてきた。
大学から地元のミシシッピー州へ戻った彼女は、白人社会にいるメイドたちが置かれた立場に、憤りを感じるようになる。
このことを公表するため、スキーターはメイドのエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)にインタビューを試みる。
しかし、彼女たちにとって真実を語ることは、生き死にに関わる問題でもあった。
一方、エイビリーンの親友のミニー(オクタヴィア・スペンサー)は、白人のトイレを使ったがために解雇されてしまうのだが・・・
いやーこれは面白い!
黒人への差別という題材ですが、雰囲気は重くならず、軽快です。
予告では地味な印象でしたが、映画を観てみるとこひとときも飽きることがない展開の面白さ、巧みな構成で魅せてくれます。
上映時間は2時間半と長めですが、その時間を感じさせません。
もっと観ていたい、と思うくらいこの映画の登場人物が大好きになりました。
原作はキャスリン・ストケットによる小説です。
![]() | キャスリン・ストケット 720円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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映画は原作ファンにとっても納得の出来であるようです。
映画を観たあとに、細かなエピソードを小説で補完するのもよいでしょう。
舞台は1960年代のミシシッピー州ジャクソン。
原作者も、監督のテイト・テイラーもここの出身です。
キング牧師によるI Have a Dreamが演説される少し前であり、KKK団によるメドガー・エヴァーズの暗殺事件などが起こった、黒人差別の転換期と言える時期の物語になっています。
ミシシッピー州は黒人差別が他より根強い地域で、黒人は白人家庭でメイド(アメリカでは『ヘルプ』と呼ぶ)になることが当たり前になっています。
問題は、そこに人権という感覚がまるでないこと。
白人は黒人メイドに家事洗濯その他もろもろを頼むのに、同じ食器は共有せず、同じテーブルで食事をすることはありません。
さらには黒人が社会的地位の向上をはかることも認めらていません。
恐ろしいのはこれらがジム・クロウと呼ばれる法律で取り締まられているということ。
作中の登場人物が言うように、今の状況を公表すれば生きる場所を失うかもしれないのです。
その中で彼女ら(=作家志望の主人公とメイドたち)がどうやって差別と向き合い、戦っていくか。
是非劇場でご覧になってほしいです。
この映画は登場人物が多めで、それぞれのキャラクターを頭に入れていたほうがよいでしょう。
以下にメインで活躍する5人の登場人物をあげてみます。

<スキーター>
黒人たちの声を集めた本を出版しようと奔走する。母親に男っ気がないことをいじられている。

<エイビリーン>
心に傷のある女性だけど、気丈。

<ミニー>
毒舌家。すぐ「あの奥さんは〇〇でね~」とか言うので怒られないか心配。

<ヒリー>
婦人会のリーダーであり、差別主義者の悪役。いろんな意味で気の毒な人。

<シーリア>
見た目はデヴィ夫人みたいですが、実は誰よりも純粋な女性。
これら+脇役のキャラクターそれぞれが、個性的かつ魅力的です。
個人的に一番好きなのはシーリアとミニーの関係。
この2人の掛け合いが微笑ましくてしょうがなかった。
差別問題に詳しくなくても、問題なく映画は楽しめます。
登場人物にこれ以上なく共感できるこの作品は、秀逸なヒューマンドラマとして老若男女にオススメです!
以下、ネタバレです 結末に触れているので鑑賞後にご覧ください↓