オーディンの使い 映画版「悪の教典」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「悪の教典」です。
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:エクセレ~ント(主に三池崇史監督が)!
あらすじ
英語教師の蓮実聖司(伊藤英明)は『ハスミン』というニックネームで呼ばれ、生徒たちから圧倒的な人気を集めていたが、その正体は他人への共感能力に乏しい人格障害者であった。
蓮実は自身や学校に降りかかるトラブルを排除するために、次々と殺人を犯しては隠蔽していたのだ。
数学教師の釣井(吹越満)をはじめ、生徒の圭介(染谷将太)も蓮実のことを調べようとする。
一方、蓮実のもとには美彌(水野絵梨奈)という生徒が、体育教師の柴原 (山田孝之)にセクハラを受けていることを相談するために訪れていた・・・
貴志祐介の小説を原作とした映画です。
内容は「容姿端麗・頭脳明晰・人望も厚い人気教師が実はサイコパスであり、つぎつぎと生徒と教師を惨殺していく」というインモラルなものです。
映像化を手がけたのは三池崇史監督。
今でこそ年に数本のメジャー作品を世に送り出すヒット・メーカーですが、そのキャリアでは「オーディション」「殺し屋1」など、グロテスクなバイオレンス作品も数多く手がけています。
本作はそんな三池監督の久々のR15+指定作品。
宣伝で指定を受けたことを大きくアピールしてるだけのことはあり、そこには妥協はありません。
世間一般の観客を無視したような悪趣味(褒めことば)な映像に圧倒される、濃密な時間を過ごさせていただきました。
本当にこの監督に、この作品を撮ってもらって良かったと思います。
氏の才が本領発揮されるのは、こうしたモラルが欠如しまくった作品にあると、本作を観て感るはずでしょう。
まさに本作は、長らく三池監督のファンが待ち望んだ作品と言えそうです。
この本編のみを観た方には「ただの頭のおかしい教師が生徒を殺しまくる内容にしか思えない」と感じる人も多いことでしょう。
その感想は正しいです。
映画本編のみでは教師・蓮実の計算高さや人の心を掌握する印象に乏しく、行き当たりばったりに殺人を犯しているようにしか見えません。
人物描写も簡略化されているために、「何故教師・蓮実が殺人を犯すのか」「どうして人を意のままに操れるのか」という点においては説明不足とも言えるとも思います。
しかし、自分はこれを肯定的に捉えたいです。
もともと主人公は他者への共感能力に乏しいサイコパスであるので、普通の人間が思うような殺人への罪悪感がありません。
その人物に、『なぜ』と問うことにはそもそも意味がないのです。
「『なぜ』なのかがわからない」ということは、ある意味で最も恐ろしいことです。
ただ「邪魔だから殺す」という、徹底的に感情移入を拒むかのような主人公の姿に、自分は身震いするほどの恐ろしさを感じました。
小説よりも省略や簡略された部分が多くなることにより、主人公の異常性を描くことおいては成功しているのではないでしょうか。
「異常性」そのものは、事件が起こる前でも、彼の乗っているボロボロの車(ハイゼット)や住まいで十二分わかると思います。
ただやはり前半の人物描写にダイジェスト感が否めないのも事実。
生徒にセクハラをするクズ体育教師(山田孝之)の描写などは明らかに足りていないし、主人公を追い詰めるようなサスペンスの面白さはあまり感じません。
リアリティは感じないし、けっこうツッコミどころも多いです。
個人的には、伏線がわかりやすすぎるのも気になりました。
肝心の後半の殺戮シーンでも不満点があります。
詳しく書くとネタバレになるので↓に描きますが、これは三池ファンにとっても肩すかしかもしれません。
そんな弱点も多い作品ですが、ここまでひどい(褒めことば)映画をメジャー系の作品で観れることに嬉しさを感じざるを得ません。
三池崇史監督のファンにとっては必見作ですが、インモラルな内容を嫌う方は絶対に観ないほうがいいです。
宣伝で女子高生が「怖かった~」なんて楽しそうに語っていますが、本編はマジでゲンナリする内容で、若い子にはトラウマになりかねませんて。
ちなみにグロだけでなく、性的な面でも15禁な描写があるので要注意。
加えて主演の伊藤英明はしょっちゅうヌードを披露します。ファンサービスにぬかりがないですね。
また本作の前日談として、「悪の教典 序章」があります。
*BeeTVでも配信されています
監督は本編の三池崇史ではなく、野本史生という別の方。
内容もR15+指定になるような過激な画はなく、加えて「二階堂ふみ」「染谷将太」や「山田孝之」など本編に出てくる出演者は姿を見せません。
一本のドラマとしても物足りない印象ですが、数学教師の釣井(吹越満)や、生徒の蓼(KENTA)の内面を知る上では価値のある一本です。
この序章を観ていないと本編の展開がわからないということは全くないので、無理に事前に見る必要はありません。
しかし、本編では描かれなかった(小説にもある)釣井の過去の物語は重要であるので、映画本編を観たあとでもよいので観てみることをおすすめします。
賛否両論であること(否の意見が多いこと)も、この映画にとっては勲章ものでしょう。
そんなAKB48の大島優子さんが涙ながらに退場してしまうほどの問題作なので、オススメするのはちょっと・・・・いや、でも、やっぱり(悪趣味な方限定で)オススメ!映画館で是非!でもデートで観るんじゃないぞ!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:エクセレ~ント(主に三池崇史監督が)!
あらすじ
英語教師の蓮実聖司(伊藤英明)は『ハスミン』というニックネームで呼ばれ、生徒たちから圧倒的な人気を集めていたが、その正体は他人への共感能力に乏しい人格障害者であった。
蓮実は自身や学校に降りかかるトラブルを排除するために、次々と殺人を犯しては隠蔽していたのだ。
数学教師の釣井(吹越満)をはじめ、生徒の圭介(染谷将太)も蓮実のことを調べようとする。
一方、蓮実のもとには美彌(水野絵梨奈)という生徒が、体育教師の柴原 (山田孝之)にセクハラを受けていることを相談するために訪れていた・・・
貴志祐介の小説を原作とした映画です。
![]() | 貴志 祐介 730円 powered by yasuikamo |
内容は「容姿端麗・頭脳明晰・人望も厚い人気教師が実はサイコパスであり、つぎつぎと生徒と教師を惨殺していく」というインモラルなものです。
映像化を手がけたのは三池崇史監督。
今でこそ年に数本のメジャー作品を世に送り出すヒット・メーカーですが、そのキャリアでは「オーディション」「殺し屋1」など、グロテスクなバイオレンス作品も数多く手がけています。
本作はそんな三池監督の久々のR15+指定作品。
宣伝で指定を受けたことを大きくアピールしてるだけのことはあり、そこには妥協はありません。
世間一般の観客を無視したような悪趣味(褒めことば)な映像に圧倒される、濃密な時間を過ごさせていただきました。
本当にこの監督に、この作品を撮ってもらって良かったと思います。
氏の才が本領発揮されるのは、こうしたモラルが欠如しまくった作品にあると、本作を観て感るはずでしょう。
まさに本作は、長らく三池監督のファンが待ち望んだ作品と言えそうです。
この本編のみを観た方には「ただの頭のおかしい教師が生徒を殺しまくる内容にしか思えない」と感じる人も多いことでしょう。
その感想は正しいです。
映画本編のみでは教師・蓮実の計算高さや人の心を掌握する印象に乏しく、行き当たりばったりに殺人を犯しているようにしか見えません。
人物描写も簡略化されているために、「何故教師・蓮実が殺人を犯すのか」「どうして人を意のままに操れるのか」という点においては説明不足とも言えるとも思います。
しかし、自分はこれを肯定的に捉えたいです。
もともと主人公は他者への共感能力に乏しいサイコパスであるので、普通の人間が思うような殺人への罪悪感がありません。
その人物に、『なぜ』と問うことにはそもそも意味がないのです。
「『なぜ』なのかがわからない」ということは、ある意味で最も恐ろしいことです。
ただ「邪魔だから殺す」という、徹底的に感情移入を拒むかのような主人公の姿に、自分は身震いするほどの恐ろしさを感じました。
小説よりも省略や簡略された部分が多くなることにより、主人公の異常性を描くことおいては成功しているのではないでしょうか。
「異常性」そのものは、事件が起こる前でも、彼の乗っているボロボロの車(ハイゼット)や住まいで十二分わかると思います。
ただやはり前半の人物描写にダイジェスト感が否めないのも事実。
生徒にセクハラをするクズ体育教師(山田孝之)の描写などは明らかに足りていないし、主人公を追い詰めるようなサスペンスの面白さはあまり感じません。
リアリティは感じないし、けっこうツッコミどころも多いです。
個人的には、伏線がわかりやすすぎるのも気になりました。
肝心の後半の殺戮シーンでも不満点があります。
詳しく書くとネタバレになるので↓に描きますが、これは三池ファンにとっても肩すかしかもしれません。
そんな弱点も多い作品ですが、ここまでひどい(褒めことば)映画をメジャー系の作品で観れることに嬉しさを感じざるを得ません。
三池崇史監督のファンにとっては必見作ですが、インモラルな内容を嫌う方は絶対に観ないほうがいいです。
宣伝で女子高生が「怖かった~」なんて楽しそうに語っていますが、本編はマジでゲンナリする内容で、若い子にはトラウマになりかねませんて。
ちなみにグロだけでなく、性的な面でも15禁な描写があるので要注意。
加えて主演の伊藤英明はしょっちゅうヌードを披露します。ファンサービスにぬかりがないですね。
また本作の前日談として、「悪の教典 序章」があります。
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*BeeTVでも配信されています
監督は本編の三池崇史ではなく、野本史生という別の方。
内容もR15+指定になるような過激な画はなく、加えて「二階堂ふみ」「染谷将太」や「山田孝之」など本編に出てくる出演者は姿を見せません。
一本のドラマとしても物足りない印象ですが、数学教師の釣井(吹越満)や、生徒の蓼(KENTA)の内面を知る上では価値のある一本です。
この序章を観ていないと本編の展開がわからないということは全くないので、無理に事前に見る必要はありません。
しかし、本編では描かれなかった(小説にもある)釣井の過去の物語は重要であるので、映画本編を観たあとでもよいので観てみることをおすすめします。
賛否両論であること(否の意見が多いこと)も、この映画にとっては勲章ものでしょう。
そんなAKB48の大島優子さんが涙ながらに退場してしまうほどの問題作なので、オススメするのはちょっと・・・・いや、でも、やっぱり(悪趣味な方限定で)オススメ!映画館で是非!でもデートで観るんじゃないぞ!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓