ヤクザの子ども 映画版「任侠ヘルパー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「任侠ヘルパー」です。
個人的お気に入り度:3/10
一言感想:ヤクザ映画としても社会派映画としてもちょっと・・・
あらすじ
コンビニ店員として働く元・ヤクザの翼彦一(草なぎ剛)は強盗に入った老人(堺正章)に店の金を渡したことから刑務所送りになる。
獄中で再会した老人は、あるヤクザの組長(宇崎竜童)を頼れるように手はずを整えてくれる。
身寄りのない彦一は組長を頼るが、持ちかけられた仕事は、破産した老人たちを劣悪な介護施設に放り込み、年金や生活保護費を絞り取るという悪質なものだった。
ドラマ「任侠ヘルパー」の映画版です。
ドラマは裸になって何が悪い草なぎ剛の復帰作であり、ヤクザが介護に奮闘するという奇抜な設定で人気を博していました。
こういう「ドラマの映画化」作品は、その多くがドラマの延長線上にあり、後日談だったり完結編だったりします。
しかしこの作品は、ドラマを観ていなくても全く問題ないつくりになっています。
設定も物語もイチからリセットされている印象で、登場人物は主人公ともう一人を除きすべてが初登場です。
本作のタイトルに「劇場版」「映画版」などとついていないのも、ドラマを観ていない人にも楽しんでほしいという制作者側の願いがあったのだと思います。
しかし、ドラマを観ていないのに言うのも申し訳ないのですが・・・この映画はつまらなかったです。
理由のひとつが映画の軸がブレていること。
本作のストーリーの軸は
①ヤクザである主人公の成長物語
②介護制度の現状と打開
③ヤクザとの抗争
などがあるのですが、そのすべてが中途半端に終わっており、カタルシスがありません。
もうひとつはリアリティのなさ。
もともとが荒唐無稽な設定なので、それを観客に納得させるだけの説得力が必要だと思います。
しかし、本作は現実的に考えればありえない展開がとても多いです。
もちろんフィクション映画なので、多少のファンタジーらしい要素は目をつぶるべきなのでしょうが、これは許容範囲を超えまくっています。
恐ろしいことに、本作の主人公はヘルパーらしいことをほとんどしません。
覚えている限りそのシーンは1、2カ所。あとはヤーさんらしくボコったり命令したりしているだけです。
このヤクザならではの暴力的なシーンも、多くの人には不快に思われるでしょう
致命的なのは終盤の展開のつまらなさ。
これは心底がっかりしました。
良いところもいっぱいあります。
介護の問題点や、年金や生活保護費を不正に受給している施設を糾弾する描写はとても意味のあることです。
本作に登場する、放置されて人の住むような場所ではない状態になっている介護施設も、それを端的に表すことに成功しています。
しかし前述の通り、それ以上の描写はほとんどなく、結局は中途半端に終わってしまっています。
役者も素晴らしいです。
特に草なぎ剛はいつもの温厚なイメージとは違い、本物のヤーさんにしか見えません。ぜひ「アウトレイジ」の続編に出演してほしいと思えました。
しかしそのキャラクターには、(物語のせいで)そこまでの魅力を感じられませんでした。
こうした欠点がとても多いために映画としての魅力に乏しく、TVドラマのスペシャル版程度かそれ以下の満足感しか得れませんでした。
非常に残念です。
介護の実状や仕事についてもちゃんと描けているとはいえないため、介護に携わる人や、福祉の仕事をしている人に勧めたいとも思えません。
役者のファン、ドラマのファンのみにオススメします。
余談ですが、介護を描いた漫画作品に「ヘルプマン」があります。
こちらは素晴らしい作品で、介護の現状を描いただけでなく、一人の青年の成長物語としても優れています。
一巻のラストシーンが実に感動的なので、是非手にとってほしいです。
本作で感じたのは、「任侠」と「ヘルパー」が「弱者を救う」ということで共通しており、それを融合させるアイディアは秀逸であること。
そして、それをうまく成立させるのは難しいということでした。
西谷弘監督の次回作に期待しています。
↓以下、ネタバレです。結末にふれています。 メタメタに書いているので、この映画が好きな人にはごめんなさい。
個人的お気に入り度:3/10
一言感想:ヤクザ映画としても社会派映画としてもちょっと・・・
あらすじ
コンビニ店員として働く元・ヤクザの翼彦一(草なぎ剛)は強盗に入った老人(堺正章)に店の金を渡したことから刑務所送りになる。
獄中で再会した老人は、あるヤクザの組長(宇崎竜童)を頼れるように手はずを整えてくれる。
身寄りのない彦一は組長を頼るが、持ちかけられた仕事は、破産した老人たちを劣悪な介護施設に放り込み、年金や生活保護費を絞り取るという悪質なものだった。
ドラマ「任侠ヘルパー」の映画版です。
ドラマは
こういう「ドラマの映画化」作品は、その多くがドラマの延長線上にあり、後日談だったり完結編だったりします。
しかしこの作品は、ドラマを観ていなくても全く問題ないつくりになっています。
設定も物語もイチからリセットされている印象で、登場人物は主人公ともう一人を除きすべてが初登場です。
本作のタイトルに「劇場版」「映画版」などとついていないのも、ドラマを観ていない人にも楽しんでほしいという制作者側の願いがあったのだと思います。
しかし、ドラマを観ていないのに言うのも申し訳ないのですが・・・この映画はつまらなかったです。
理由のひとつが映画の軸がブレていること。
本作のストーリーの軸は
①ヤクザである主人公の成長物語
②介護制度の現状と打開
③ヤクザとの抗争
などがあるのですが、そのすべてが中途半端に終わっており、カタルシスがありません。
もうひとつはリアリティのなさ。
もともとが荒唐無稽な設定なので、それを観客に納得させるだけの説得力が必要だと思います。
しかし、本作は現実的に考えればありえない展開がとても多いです。
もちろんフィクション映画なので、多少のファンタジーらしい要素は目をつぶるべきなのでしょうが、これは許容範囲を超えまくっています。
恐ろしいことに、本作の主人公はヘルパーらしいことをほとんどしません。
覚えている限りそのシーンは1、2カ所。あとはヤーさんらしくボコったり命令したりしているだけです。
このヤクザならではの暴力的なシーンも、多くの人には不快に思われるでしょう
致命的なのは終盤の展開のつまらなさ。
これは心底がっかりしました。
良いところもいっぱいあります。
介護の問題点や、年金や生活保護費を不正に受給している施設を糾弾する描写はとても意味のあることです。
本作に登場する、放置されて人の住むような場所ではない状態になっている介護施設も、それを端的に表すことに成功しています。
しかし前述の通り、それ以上の描写はほとんどなく、結局は中途半端に終わってしまっています。
役者も素晴らしいです。
特に草なぎ剛はいつもの温厚なイメージとは違い、本物のヤーさんにしか見えません。ぜひ「アウトレイジ」の続編に出演してほしいと思えました。
しかしそのキャラクターには、(物語のせいで)そこまでの魅力を感じられませんでした。
こうした欠点がとても多いために映画としての魅力に乏しく、TVドラマのスペシャル版程度かそれ以下の満足感しか得れませんでした。
非常に残念です。
介護の実状や仕事についてもちゃんと描けているとはいえないため、介護に携わる人や、福祉の仕事をしている人に勧めたいとも思えません。
役者のファン、ドラマのファンのみにオススメします。
余談ですが、介護を描いた漫画作品に「ヘルプマン」があります。
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こちらは素晴らしい作品で、介護の現状を描いただけでなく、一人の青年の成長物語としても優れています。
一巻のラストシーンが実に感動的なので、是非手にとってほしいです。
本作で感じたのは、「任侠」と「ヘルパー」が「弱者を救う」ということで共通しており、それを融合させるアイディアは秀逸であること。
そして、それをうまく成立させるのは難しいということでした。
西谷弘監督の次回作に期待しています。
↓以下、ネタバレです。結末にふれています。 メタメタに書いているので、この映画が好きな人にはごめんなさい。
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