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時空を超えてまた会おう 映画「クラウドアトラス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はクラウド アトラスです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:ハリウッド大作なのに実験しすぎ(いい意味で)


あらすじ


1892年、弁護士のアダム・ユーイング(ジム・スタージェス)は拷問を受けていた奴隷の男を見ていた。
1931年、音楽家のロバート・フロビッシャー(ベン・ウィショー)はとある著名な作曲家に師事する。
1973年、女性記者のルイサ・レイ(ハル・ベリー)はエレベーターに乗り合わせた初老の男・ルーファス・シックススミス(ジェームズ・ダーシー)から思いもよらぬことを聞く。
2012年、編集者のティモシー・カベンディッシュ(ジム・ブロードベント)は、作品のヒットに喜ぶに喜べない事態に陥いってしまう。
2144年、クローン少女のソンミ451(ペ・ドゥナ)は同僚の女性にとある映画を見せてもらう。
2321年、島の男ザックリー(トム・ハンクス)は崩壊した文明で懸命に生きていた。

場所も時代も異なる6つの物語、その物語の登場人物たちは、皆どこかでつながっていた。




「マトリックス」のウォシャウスキー姉弟 と、「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァによる最新作です。
原作はデイヴィッド・ミッチェルによる上下巻からなる大作小説です。

デイヴィッド・ミッチェル
1995円
powered by yasuikamo

この「クラウドアトラス」が特徴的なのは、時空を超えた6つの物語が展開していることです。
その6つの物語は以下のようなものです。

① 1849年 南太平洋諸島 数奇な航海物語 
② 1936年 イギリス 幻の名曲の誕生秘話
③ 1973年 カリフォルニア 原子力発電所の恐るべき陰謀
④ 2012年 イギリス 平凡な編集者の類希な冒険
⑤ 2144年 ネオソウル クローン少女の革命
⑥ 2321年 ハワイ 崩壊後の地球の行方 
*各タイトルはパンフレットに記載されていたものです。

物語はそれぞれ独立していながら、過去の物語は未来の物語へと影響を及ぼしています。
そして描かれるのは輪廻転生永劫回帰
日本人であればこのことから、漫画「火の鳥」や「百億の昼と千億の夜」を思い浮かべるでしょう。

そして、この映画版では原作から大胆な改編をしているところがチャレンジャブルです。
その改編とは、上記の①~⑥の物語を描く順番を大きく変えていることです。

<小説>
上巻:①→②→③→④→⑤→⑥と物語の「前半」が展開する
下巻:⑥→⑤→④→③→②→①と物語の「後半」が展開する

<映画版>
①~⑥全てを同時進行で描く
(ただし、タイトルが出てくるまでの描写は時間軸が前後している)

映画版は「ひとつの物語がちょっとだけ進んだと思ったら、また違う物語(時代)に飛んで、その物語がちょっとだけ進んだら、また別の物語に飛ぶ」のです。

小説版では登場人物の軌跡をじっくりと追い、映画では同時並行で描くことで視覚的に面白い編集をしているといえます。
「映画でしかできないことをやろう」という制作者の意気込みが伝わってきました。

そして物語を平行して描くことの効果は、視覚的な面白さだけにとどまりません。
この構成によって、6つの登場人物の「つながり」がわかるのです。

小説でも映画でも、過去から未来へと影響を与える「もの」がたくさん登場します。
それは本だったり、音楽だったり、神として崇める存在だったり、はたまた登場人物の行動そのものだったりします。
映画はその大胆な構成により、「もの」が物語をつなぐ「橋」としてしてより際だつようになっています。
これは本作のもっとも優れた点であるでしょう。

この構成で、自分は映画「メメント」を思い出しました。
メメントは「未来から過去に巻き戻っていく」という構成がとられた作品で、難解ながらも、その独創的なアイディアから数多くのファンを生み出しました。

メメントで「普通の時系列になおしたらわかりやすい映画だろうなあ」と思った方が多いように、クラウドアトラスも6つの物語を順番に描けばシンプル極まりない映画になると思います。
しかし、普通に順番通りに物語を描いただけでは面白くありません。
そうした凡庸さを避け、大胆な実験(構成)をしただけでも、自分はこの映画を賛美したくなるのです。


ただし、この構成は諸刃の剣でもあります。
舞台と物語があっちへこっちへ飛ぶのではじめは混乱するでしょうし、「ぶつ切れ」な印象は否めません。
「観たかった物語が突如とぎれてしまう」「6つのも物語が一緒に展開されるので、ついて行くのが大変」と、もどかしさを感じる人もいるでしょう。
ひとつひとつの物語はわかりやすいとはいえ、あまり映画を観慣れない方には到底おすすめできるものではありません。

上映時間が2時間52分というのもおすすめしにくい理由になってしまいます。
テンポがとてもよく上映時間中は飽きることはありませんし、むしろ原作をここまで圧縮していることが超絶技巧としか思えないのですが、やはりダレてしまう方も多いと思います。


しかし、映画を観慣れている映画ファンには是非劇場で観てほしい作品です。
この映画は哲学的で、とてもテクニカルで、他の映画にはない魅力があります。
その描写が示すテーマとは、物語が伝えたかったこととはなにかと、観た後に考えてみるのもよいでしょう。

自分は監督ならではオタク趣味が爆発していることも大好きでした。
「ネオソウル」の造形は「ブレードランナー」そのものですし、数々のSFアイテムは好きな人ならたまらないはずです。

もうひとつ面白いのは、役者たちがそれぞれの物語で全く違うキャラクターを演じていることです。
トム・ハンクスハル・ベリーは全ての物語で登場していますし、3つの時代に登場するペ・ドゥナも存在感抜群。その特殊メイクでの「なりきり」具合はファンなら必見です。
その答えは公式ページのキャスト紹介Wikipedia(←どちらもネタバレ注意)で確認できるので、映画を観終わったあとに確認してみるのもよいでしょう。


ちなみに「Cloud Atlas」というタイトルは、一柳慧による楽曲「雲の表情」からつけられています。
こちら↓で聞けますが、この映画で用いられている楽曲とは印象が正反対です。
<Cloud Atlas I & III - YouTube>
一柳慧さんはあのオノ・ヨーコの最初の夫とも知られています。


本作は残念ながら本国では興行的に失敗し、TIME誌の2012年の映画ワースト1位に選ばれRotten Tomatoesの評価も賛否両論と不遇の扱いを受けています。
しかし、ハマる人には最高の作品になる可能性があります。
ハリウッド大作とは思えないほど実験的な作品ですが、それを期待している人は是非劇場へ足を運んでみてください。
エンドロールがはじまってすぐにおまけがあるので、席を立たないほうがいいですよ。

予告編の出来も素晴らしいので、ぜひこちらで(ネタバレ注意)↓
<映画『クラウド アトラス』長&超 予告編【HD】 - YouTube>

(追記)本作は劇場公開時にはPG12指定でしたが、ソフト版ではR15+指定になっています。
作中の暴力&性描写の過激さを思えばR15+のほうが適当だと思います。ご注意を。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にお読みください↓ めちゃくちゃ長いです。

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テーマ : 映画
ジャンル : 映画

2013-03-17 : 映画感想 : コメント : 15 : トラックバック : 4
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<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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