ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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スーパーイリュージョンビリヤード漫画「ハスラーボーイ」レビュー

映画「グランド・イリュージョン」はスピード感あふれる展開、奇想天外なマジックの数々が楽しい娯楽作品でした。

個人的にも大好きな映画なのですが、観た方の意見の中には否定的なものもありました。
その主たる原因の多くは「いくらなんでもトリックがあり得なすぎる」というものでした。

でも作品というものは、ある程度の「細けえことはいいんだよ!」というケレン味ごり押しする展開があってこそだと思うのです。

本日はあり得なすぎるイリュージョンが楽しめる漫画「ハスラーボーイ」をご紹介します。

ハスラーボーイ1

この漫画は100人に聞けば、100人が存在を知らないでしょう。
それもそのはず、1987年11月号の「月刊少年ジャンプ」に掲載された読み切り作品なのですから。

しかし内容はぶっ飛んでおり、当時の少年たちに深すぎる印象を残していたのでした。

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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

2013-10-30 : いろいろコラム : コメント : 3 : トラックバック : 0
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あなたのために 映画「劇場版 魔法少女まどかマギカ叛逆の物語」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:わけがわからないよ(特に終盤が)


あらすじ


何を言ってもネタバレになるので書けません。




オタク界隈で絶大な人気を誇るアニメ「魔法少女まどか✩マギカ」の劇場版です。

悠木碧
26250円
powered by yasuikamo

少し前に、TV放映されたものの総集編である「[前編] 始まりの物語/[後編] 永遠の物語」も公開されましたが、本作はその物語の続きである完全新作となっています。

この「まどか✩マギカ」を知らない方にかいつまんで説明すると、魔法少女というファンシーな題材を用いながらも、少女たちが残酷な運命に立ち向かっていくという、たいへん趣味のよろしい内容になっています。
その可愛い絵柄とタイトルからは想像もできないグロテスクな要素もあり、前回の劇場版をほのぼのアニメと勘違いして観に来た親子連れが気まずくなったことも話題になりました。


さて、この劇場版ですがかなり意味がわかりません

この手のアニメの劇場版においてはもはや常識ですが、本作は一見さんの鑑賞にはまったく向いていません
少なくとも1回はTV放送全話か、過去の劇場版を観ておく必要がありますし、観たとしても後半の展開には頭に「?」マークがついてしまうことは必死です。
この印象は昨年の問題作「「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」とそっくりでした。

膨大な量のセリフで状況の説明はしてくれますし、さすがに「エヴァQ」ほどは難解ではありません。
それでも登場人物の行動原理は理解しにくいですし、「ついてこれる人だけついてこれればいい」と観客を突き放した姿勢は、明らかにこの映画の欠点だと思います。
「難解だからでこそ、ファン同士で語り合うことができる」という魅力があるのはわかるのですが、それにしたってこれはやりすぎに感じてしまいました。


ネガティブな印象ばかり描いてしましたが、本作は今までの物語を観てきた人にとって、劇場で鑑賞する意義のある作品です。

理由のひとつが、その美しい背景・ビジュアルです。
劇団イヌカレー」という団体による、絵本のようであり、紙芝居のようでもある世界観は、ほかのアニメでは感じることのできない魅力に溢れています。

おなじみのキャラクターの活躍は(TV放送版とは違った形で)存分に描かれていますし、なおかつTV放送版を観てこその驚ける展開も用意されています。
展開そのものがしっかり理解できる前半は、ワクワクしながら観ることができました。

TV版のキャラクターを借りながら、長編となる映画ならではの哲学や思想があらわれているという点では「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を思い出させました。
単純な物語に飽き飽きしている人にとっては、満足感の高い作品でしょう。


今までのあらすじも途中で簡単に説明されるので、一度観た人であれば直前にTV放送版(もしくは劇場版)を復習する必要はないかもしれません。
(先にこの「叛逆の物語」を観てしまうと、TV放送版の内容がネタバレしてしまいますので、その点でも今までのシリーズを事前に観ておいたほうがいいでしょう)

TV放送版にモヤモヤを覚えた人にとっては観なくてはならない内容なのでしょうね。
賛否両論であることをふまえて、独自の解釈をしながら観ることをおすすめします。

↓用語などの復習はこちらで(TV放送版のネタバレ注意)
<魔法少女まどか☆マギカ WIKI - 用語集>
↓ネタバレ無しで参考になる記事
<「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」 - エキサイトニュース>


余談ですが、「魔法少女が残酷な目にあう」という作品は本作だけではありません。
極黒のブリュンヒルデ」では魔法使いと呼ばれる女の子たちが理不尽に抹殺されていきます。
魔法少女・オブ・ジ・エンド」ではゾンビと化した魔法少女が人を残虐に殺しまくる様が描かれています。
*「うた∽かた」という作品もまどかマギカに似ている(←クリックするとネタバレ注意)そうです。
魔法少女って、大変なんですね。

↓以下は結末も含めてネタバレです。 鑑賞後にご覧下さい 今までのシリーズのネタバレもたっぷりなのでご注意を

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-10-28 : 映画感想 : コメント : 16 : トラックバック : 0
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いま、君が見ている 映画「グランド・イリュージョン」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はグランド・イリュージョン(原題:NOW YOU SEE ME)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:海のような広い心を持てば、きっと楽しめる!


あらすじ


とある4人が、マジシャンチーム「フォー・ホースメン」を結成した。
リーダーのダニエル(ジェシー・アイゼンバーグ)、メンタリストのメリット(ウディ・ハレルソン)、脱出マジックを得意とするヘンリー(アイラ・フィッシャー)、カードマジックの奇才ジャック(デイヴ・フランコ)で構成されたメンバーは、ショーでパリの銀行をこの場で襲ってみせると公言する。
そして彼らは見事に金を盗み出し、警察に逮捕される。
警察のローズ(マーク・ラファロ)とその相棒となったアルマ(メラニー・ロラン)は彼らに尋問をするが、そのトリックは見破れないままだった・・・




こりゃ面白い!おすすめです!
徹頭徹尾楽しめる痛快娯楽作でした。

本作は公の場でいとも簡単に金を盗み出してしまうマジシャンチームと、警察&マジックの種明かしをする男のバトルが描かれるというシンプルなプロットです。
マジシャンチームは警察を翻弄しまくり、まさにやりたい放題です。これが痛快でたまりません。

映画の魅力のひとつは美しいイリュージョンシーンの数々です。
カット割りやカメラワークもかなり大胆になっており、ぼうっと見ているだけでも楽しめます。

そのビジュアルの面白さは、主人公たち4人の人となりを紹介するオープニングからノンストップ。
彼らが行うマジックは「種明かし」をされてしまうのですが、その過程までもが映像の魅力に溢れています。
肉弾戦あり、カーチェイスもありとサービス精神が旺盛です。
テンポも抜群によく、退屈さとは無縁の勢いにワクワクが止まりませんでした。


まあ、はっきり言って主人公たちが行うマジックは「そりゃ無理だろ!」と思ってしまうトリックばかりですw
展開には強引さを感じますし、オチにもいろいろと納得できないところもあります。
リアリティや緻密に計算された脚本を期待するとガッカリすること必死です。

個人的に気になったのは、メンバーの一人がメンタリズムと称して催眠術をかけまくることでしょうか。
本作のアドバイザーには世界的マジシャンのデヴィッド・カッパーフィールドが、字幕監修には日本のメンタリストであるDaigoが名を連ねていますが、きっと映画を観て「こんなことできないよ」とツッコミを入れたに違いありません(超失礼)

しかしここは「すごいマジックを見てやるんだ!」と思わなきゃソンです。
「なんだよ、メチャクチャなトリックばかりじゃん」とシラケずに、数々のマジックとその種明かしを観て「うおー!こいつらすげー!」と興奮できる心の広さを持てば問題ありません。
少年のような心を持っている人ほど、きっと楽しめるでしょう。


キャストも豪華で、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、「ダークナイト」の執事のおじいさんを演じていたマイケル・ケインやバットマンの片腕であったモーガン・フリーマンまで登場します。
ジェシー・アイゼンバーグはいままではオタクっぽい役を演じていることが多かったですが、今回は女性を簡単にオトすジゴロっぽくなっています。
早口でベラベラしゃべるそのキャラクターは変わっていませんが、雰囲気はぐっとお洒落になっているおかげで、十分にイケメンに見えます。

単純な娯楽作品ではありますが、しっかりとしたメッセージ性もあることも好感触です。
これから観る方は、警察のローズと、その相棒のアルマの会話に注目してみることをオススメします。

ちなみに本作の原題は「NOW YOU SEE MEE」です。
それはマジシャンが「こっちを見て」と相手の目を向けさせるマジックの常套句で、実際は「NOW YOU DON'T(ほら消えた)」と続きます。
しかしこの映画の「NOW YOU SEE MEE」の意味はそれだけではありません。
そのことばが示しているものは、終盤の展開できっとわかることでしょう。

観ている最中に彼らのトリックを予想してみるもよし、誰か黒幕なのかを推理してみるのもよし、ただ何も考えずに見るのもよいでしょう。
トリックのヒントをひとつ出すとしたら、作中でも言われている「ミスディレクション」があります。
目の前ばかりに気をとらわれずに、多角的に物事を見れば、そのトリックも見破れるのかもしれません。
(ただし、作中でトリックが明かされないままになっているマジックもあるのでご注意を)

「楽しかったね~」といい気持ちで劇場をあとにできる万人向けの作品です。
デートには大推薦です。
子どもも楽しめると思いますが、少しだけ性的な話題もあるのでご注意を(どぎついものではないです)。
「最近面白いマジックショーを見ていないな」と思う方は、是非ご覧あれ。

↓以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧下さい

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テーマ : 映画レビュー
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2013-10-26 : 映画感想 : コメント : 20 : トラックバック : 0
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PDA最強説 映画版「人類資金」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は人類資金です。


個人的お気に入り度:2/10

一言感想:
何がなんだかわからない



あらすじ


佐藤浩介と森山未來がボケとツッコミを繰り返しながら世界を旅する話。




あまりに映画の内容が理解不能なので、監禁した人間の言動の意味がわからないデスノートのLのような気持ちになってしまいました。

一般の人にはなじみがない「金融」をエンターテイメントに仕上げるのは、難しいことだと思います。
この映画はその過程が完全に失敗しています。
なにせ、説明台詞が多いにも関わらず内容が理解ができないのですから。

まず、展開がいくらなんでも大雑把すぎます。
ツッコミどころだらけで、金融の話を抜きにした部分もお粗末と言うほかありません。
中二病チックな問題解決の過程や方法、その結末も納得が全くできないものでした。

物語の根幹となるはずの「M資金の奪還」という話はどこへやらで、ようやく本筋に帰ってくるのは上映時間が残りわずかのときというとんでもない事態になっています。

テンポがひどく悪いのも問題です。
よくわからない人物がよくわからない(演出不足のせいで理解できない)話をくどくどと繰り返すので、退屈極まりないです。

個人的に最悪だったのが、PDAというデバイスの使い方です。
スマートフォンの時代にあえてこれをキーアイテムとして使った理由の説明もされるのですが、これが全く納得できませんでした。

さらにアクションシーンの出来もよくないです。
これはカメラワークの悪さも原因でしょう。
「引き」ばかりであると、ここまでアクションの魅力がなくなってしまうのだと思い知りました。

いい部分もあります。
本作の問題提起とメッセージは、とても尊いものです。
阪本順治監督は「闇の子供たち」でも貧困と搾取される者たちの無念を描いており、その精神は本作でも変わっていません。

もうひとつは主人公の一人を演じた森山未來の存在感です。
フィッシュストーリー」でもみせた運動能力、卓越した英語の発音、そしてその演技力はさすがと言うしかない素晴らしさです。
彼のファンであれば、十分に観る価値のある作品です。

ほかもかなりの豪華キャストで、豊川悦司(以下トヨエツ)、観月ありさ香取慎吾仲代達矢、さらにはユ・ジデヴィンセント・ギャロまで出てきます。

でもトヨエツとギャロのファンは観なくていいです。
トヨエツの出演シーンはごくわずかですし、ギャロはほとんど電話でブツブツしゃべっているだけです。
さらに電話以外のギャロの出演シーンも、何かしゃべるたびにその辺をトコトコ歩くので、テンポの悪さに拍車をかけてイライラすること必死です。なんで出演したの。

トータルでは、ひどくつまらない駄作と言うしかありません。
観ている間は退屈しないだけ、まだ「ガッチャマン」のほうがマシかもしれません。
ただ、佐藤浩市やその他キャストがツッコミ待ちの失笑ギャグをぶちかますバカ映画としてはそこそこ楽しめるのではないでしょうか。

原作のボリュームからして、2時間そこそこで収めるのはそもそも無理な話だったのかもしれません。

読んでおくとちょっとだけでも楽しめるかもしれないリンク↓
<公式ページの用語解説>
<[人類資金] | マイナビニュース>

以下、結末も含めてネタバレです↓ 容赦なくツッコミを入れているので、この映画が好きな人にはごめんなさい。

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-10-23 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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映画バカたちの破天荒人情劇「蒲田行進曲」ネタバレなし感想+お気に入りシーン

地獄でなぜ悪い」があまりにも面白かったので、その元ネタのひとつである「蒲田行進曲」(制作:1982年)を観ました。

松坂慶子
1763円
powered by yasuikamo

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:うるせー(特に主人公が)


あらすじ


東映京都撮影所は、大作「新撰組」の撮影に沸いていた。
映画の売りは、高さ数十メートルの階段から転がり落ちるという「階段落ち」のクライマックスだった。

誰が階段落ちをするかをもめている最中、映画で主役をつとめていた銀四郎(風間杜夫)は大部屋俳優のヤス(平田満)にとんでもないお願いをする。
銀四郎は、子を身に宿している恋人の女優・小夏(松坂慶子)を、出世のためにヤスに押し付けたのだ。




滅茶苦茶面白い!
涙あり、笑いありの痛快娯楽作品です!

みなさまは「蒲田行進曲」というタイトルを観てどのような印象を持つでしょうか。
自分の印象は「観ていてほんわかする人情劇」のようなイメージでした。
そして実際に映画を観ているとぜんぜん違うんでやんの

まずこの映画、登場人物がぎゃーぎゃー叫ぶのでとにかくうるさいです。
展開は破天荒かつ、テンポもよいです。
そして映画バカばっかり出てきます
「地獄でなぜ悪い」の印象とそっくりです。

冗談抜きで今まで観た映画の中で、もっとも観る前と観たあとの印象が違う映画でした。
「蒲田行進曲」というタイトルでは今の若い人は観る気がしないのではないでしょうか。こんなに面白いのになあ・・・

ちなみに蒲田行進曲とはかつて東京に存在していた蒲田撮影所のテーマ曲のことです(ただし本作の舞台は京都で、東映京都撮影所がモデルになっています)。
それをタイトルに冠しているだけあって、作品は映画への賛歌に満ちています。
映画を仕事にしたい方、映画が大好きな方にとっては一度は観ておいて損はないでしょう。

暴力的なシーン、松坂慶子のセミヌードシーンがあったりするので、お子様の鑑賞にはご留意を。

以下、展開が少しだけネタバレです↓ ラストにも少しだけ触れているので、予備知識なく観たい方はご注意ください。

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テーマ : 映画レビュー
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2013-10-22 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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普通の人も、こわい 映画「凶悪」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、映画凶悪を劇場で観ました。

凶悪ー画像


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:直接的な描写よりも人の心がエグい・・・


あらすじ


ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)が書いた手紙を受け取り、刑務所に面会に訪れる。
須藤は藤井に、ある男が娑婆で暮らしていること許せないと告げる。
その男は「先生」と呼ばれていた・・・・




人が映画を観て得るものには、どんなものがあるでしょうか。
たとえば「胸躍る冒険が観たい!」「素敵な恋愛を観たい!」という夢を叶えるのも、映画の持つ力のひとつでしょう。

この「凶悪」はそういった「良い子」の映画とは一線を画す内容です。
この映画はとにかく悪い人間の、悪しき所業の数々を見せ続けます。
ひたすらエグく、観ていていや~な気分になる作品です。マジで吐き気を催した部分もあります。
こんなものを、お金を払って、時間を費やして観る価値があるのか?と問われるかもしれません。

しかし、本作はそんじょそこらの映画よりも、はるかに観る価値があると思わせる作品でした。
なにせ、「人間の心のエグさ」をすさまじい方法で描いているのですから。
しかも作中に出てくる殺人鬼だけでなく、「普通の人」の闇の部分をも暴くのです。

長年生きていると、人間ってそんな美しいもんじゃないな、嫌な部分もいっぱいあるな、と思ってしまうこともあります。
そうなると「人間って素晴らしい」「人生って素晴らしい」という訴えや主張に、ある種の懐疑心を持ったり、斜に構えていしまうこともあると思います。
それには、人間の「闇」の部分から目を背けていることも理由にあるのではないでしょうか。

この映画はその人間の闇の部分を暴くことで、「人間って、みんなが思っているよりもさらにエグいぞ!」ということを教えてくれます。
作品を観たあとには物事の善悪や、そして(観た自分自身も含む)人の持つ恐ろしさを考えてしまうでしょう。
こうしたイヤな部分を観てこそ、人間というものの本質がわかり、生きていく糧になるのではないでしょうか。
残酷でグロテスクな内容ですが、確かな意義を感じるのです。

本作が作品として優れているのは、前述のとおりの人の残酷さを描いていることがひとつ、さらに以下のことが理由にあります。

①とある特徴的な構成が成功している
②主人公の境遇など、脚本の細かい部分が緻密な計算のもとにつくられている
③役者たちの演技がすさまじい

②は史実を記録した原作から、大胆な脚色がなされています(そのため、本作は「史実をもとにしたフィクション」になっています)。

580円
powered by yasuikamo

ほかにも原作との違いは多々あるのですが、この②で描かれる「主人公の妻の一言」には身震いがするほどの衝撃を受けました。

③は本当にすさまじいです。
ピエール瀧の非道な殺人鬼、リリー・フランキーの「笑顔」には戦慄すること必死です。
この演技を観たら、「冷たい熱帯魚」のでんでんがそうだったように、ほかでどんな役を演じても裏で殺人をしている極悪人にしか見えなくなってしまいそうです。
しかもこの2人は現在公開中の「そして父になる」にも出演しているんだよなあ・・・
ピエール瀧が人を殺すときに言う「ぶっ込む」というワードの怖さも、忘れられそうにありません。

この「凶悪」はとても観る人を選ぶ作品でもあります。
デートに選んだら相手はどん引きすること必死です。
ザ・R15+なシーンが満載で、女性や高齢者への暴行も直接的に描かれているので、それを絶対に観たくないという人にはおすすめしません。

それでも本作は、映画を観慣れている方にこそおすすめしたい傑作であると思います。
現在は多くの場所で上映が終了してしまいましたが、10月25日まで上映しているところ、セカンド上映をするところもあるので、近くで上映していたらぜひ足を運んでみてください。

この映画を観た後は、自分が「闇」の部分に踏み込んでいないことが、いかに幸せかを思い知らされるかもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-10-20 : 旧作映画紹介 : コメント : 15 : トラックバック : 0
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ツギハギだらけMIB 「ゴースト・エージェント R.I.P.D.」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はゴースト・エージェント R.I.P.D.です。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:話に興味ないけど別にいいや


あらすじ


幽霊刑事がゴーストを退治します。




えー予告編や公式ページを観て「適当にアクションやっていてあとは観た記憶が即効で無くなるB級映画」をご想像される方がきっと多いと思います。
いやー全く失礼な話ですよ。映画を観ずに先入観を持ってしまうのってよくないと思いますよ。
そして実際に映画を観てみるとすみません全くもってその通りでした

この映画を観た記憶に関わる脳細胞がどんどん死んでいっているのを感じます。
もう考察やら感想やら書いても仕方がない感じなので、もういいですかね。楽しいB級映画を観たい人は観に行ってもよし、以上

と・・・これだけで終わってしまうのもさすがにアレなので、内容を少し書いてみます。

基本の物語は
・主人公が死ぬ→復活して悪霊を狩ることを専門とする部署「R.I.P.D」に就職する
・癖がありすぎな髭面の相棒とゴーストを「成仏」させていく
とシンプルです。一応主人公の元・相棒との因縁とかもありますが刺身のツマみたいなもんです。

同名のアメリカンコミックを原作としています。

ピーター・M・レンコフ
1890円
powered by yasuikamo

原作から散々言われいていることですが、本作は「メン・イン・ブラック」のパクリ亜流の作品としか思えません。
凸凹コンビの活躍を描いていますし、彼らが狩る「悪霊」は宇宙人と言われても問題なさそうなビジュアルだし、彼らの「本部」の見た目もそっくりです。
宣伝でそれを隠す気は全くないようで、「ゴースト版メン・イン・ブラック」というキャッチコピーまであるくらいです。

デジャヴを感じるのはそれだけでなく、他にも「ゴーストバスターズ」「ゴースト/ニューヨークの幻」さらには「アベンジャーズ」のかほりがしますw
もはや新鮮味皆無で、いろんな映画をツギハギしたあげくに中途半端になっているどうしようもなさはある種の愛らしさを感じられるでしょう?(疑問形)

なに気にお金をかけまくっているアクションとビジュアル(おかげで興行収入は大失敗✩)、ジェフ・ブリッジスライアン・レイノルズケヴィン・ベーコンなどの豪華キャストも楽しい要素のひとつです。

難点は、娯楽映画のくせにちっともハラハラしないこと。
主人公の2人はほぼ無敵状態だし、ゴーストたちは「成仏弾」の一発であっさり消えちゃうので、駆け引きとかが全然ありません。

あと相棒のロイ(ジェフ・ブリッジス)がすげえウザい
ぴーちくぱーちくしゃべり倒しているのでイライラすること必死です(作中でもツッコまれているけど)
メン・イン・ブラックのトミー・リー・ジョーンズのような紳士らしさは微塵も期待しないほうがいいでしょう。

ちなみにR.I.P.D.とは、「Rest In Peace Department」の略です。
英語で「安らかに眠れ」を意味するRest In Peaceと、「警察署」を意味するPolice Departmentを組み合わせた造語なのだとか。

映画で教訓を得たい方、メッセージ性を期待する人にはまったくもって向きません。
予告編の「てめえら、いい加減に成仏しやがれ!」というナレーションにビビっときた方にのみオススメします。
2Dで観ましたが、それなりに3D映えしそうな画もありましたよ。

以下、結末も含めてネタばれです 鑑賞後にご覧下さい↓

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テーマ : 映画レビュー
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2013-10-18 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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動き出した時間 「キッズリターン2 再会の時」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はキッズリターン 再会の時です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:前作にあった魅力は半減、しかし役者は素晴らしい


あらすじ


「キッズリターン」の物語から10年後―
シンジ(平岡祐太)はボクシングの道に進んでいたが、試合では負けてばかりだった。
マサル(三浦貴大)はヤクザとなり、出所をしたばかりだった。
うだつがあがらない2人は、偶然再会を果たすのだが・・・




北野武監督の傑作青春映画「キッズリターン」の続編です。

金子賢
2968円
powered by yasuikamo

1996年の作品なので、17年も経っているのですね。
その時間経過を反映したように、本作は前作の10年後の物語が描かれています。


「キッズリターン」を観た方であれば「あれひとつできれいに完結しているのに、続編をつくる意味があるのか」と思う方も多いでしょう。
その要因のひとつが、前作の印象的なラストシーンです。
それは「主人公たちのその後を観客たちに想像をさせる」ものであり、「人によって解釈が異なる」でもある、とても印象深いものでした。

個人的にも前作(のラストシーン)が大好きだったので、この続編の製作のニュースを聞いたときには喜びよりも「えっ?」という困惑と不安のほうが大きかったです。
その不安は、残念ながら映画本編を観ても拭いきれるものではありませんでした。

映画の製作には北野武監督は関わっていません。
久石譲のテーマ曲も使われていません。
キャストも総入れ替えされています。
まるで二次創作のような雰囲気さえ感じました。

清水浩監督は長年北野武監督のもとで助監督を務めていた方ですし、「キッズリターン」への愛情を確かに感じます。
しかし、前作のようなギラギラとした熱量は感じられず、物語の魅力に乏しいまま終わっているのは残念でした。


良いところもたくさんあります。

筆頭に上がるのが、主演の2人の好演です。
平岡祐太は前作のシンジに、三浦貴大も前作のマサルに見えます。
3ヶ月のトレーニングをした平岡祐太のボクシングシーンは圧巻で、スローモーションなどの演出を使うことなく、迫力ある試合の様子が撮られています。
ほかのキャストも、中尾明慶倉科カナベンガル小倉久寛杉本哲太など、若手からベテランまで実力派ぞろいです。
特に市川しんぺー演じるダメおやじがハマり役すぎて感動を覚えるほどでした。

音楽も前作に負けず劣らず魅力的でした。
遠藤浩二による楽曲は前作のテーマ曲に似た雰囲気もあり、実に効果的な使われ方をしていました。


中盤までは展開が冗長で、後半の展開に煩雑さを感じてしまうのも事実です。
興行収入も伸び悩んでいるようなので応援はしたいのですが、青春映画としての面白さを期待する人にはあまりおすすめはできません。

しかし、役者たちのファンにはおすすめします。
これ一本で完結していますし、前作の出来事もセリフで説明してくれるので、前作を観ていなくても楽しめるでしょう。

前作のファンの方でも、パラレルワールドのような出来事が描かれていると思えば、充分に楽しめるのではないでしょうか。
とくに本作のラストシーンは、前作を観ていたほうがより感慨深いと思いますよ。

本作は、落ち込んでいる人間が這い上がろうとする物語です。
日常で嫌なことがあったり、挫折を味わった人にとっては、とても勇気づけられる内容かもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短めです。

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2013-10-17 : 映画感想 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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持っていた才能 映画「クロニクル」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

首都圏で2週間の限定公開の予定でしたが、拡大公開された映画クロニクルを観ました。

3388円
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個人的お気に入り度:9/10

一言感想:大切なことを教えてくれる最高峰の青春映画だ!


あらすじ


高校生のアンドリュー(デイン・デハーン)、マット(アレックス・ラッセル)、スティーブ(マイケル・B・ジョーダン)の3人は、道のはずれにあった「穴」に入ったことをきっかけに超能力に目覚める。
子どものようにテレキネシスで遊ぶ3人だったが・・・




素晴らしい作品です!おすすめです!

これはあまり予備知識を入れずに観たほうがよい映画なのではないかと思います。
○○に似ているとか、途中の○○しているシーンがよかったなど、そういう情報を仕入れない方が、高揚感あふれるの数々のシーンをより楽しめるのではないでしょうか。

メインの登場人物が3人で、なおかつキャラクターの魅力があることも長所のひとつです。紹介してみます。

デインデハーン<アンドリュー:いじめられっ子で友達がマット以外にいない

アレックス・ラッセル<マット:アンドリューのいとこで、ちょっとチャラい

マイケルBジョーダン<スティーブ:政治家志望の人気者

個人的に注目して欲しいのは、彼らが言う何気ない台詞の数々です。
そのほとんどは意味もなさそうなつぶやきなのですが、それが青春の輝きをあらわし、ときには終盤の展開に生かされています。
主人公のいとこのマットが中盤に寝転びながら言ったあの一言、終盤にカメラに向かって言ったあの一言に、忘れらなくなるほどの感動を得ることができました。

ほかにもアンドリューの「部屋」はよく注目して観てもらいたいですし、「哲学」に詳しい方であればより作品を理解できるでしょう。
娯楽性が抜群であるだけでなく、テーマをより掘り下げるだけの奥深さを感じます。
これはまさに映画でしか成し得ない体験です。

また本作は「クローバーフィールド」や「プロジェクトX」でも用いられていたP.O.Vという手法により作られています。
P.O.Vとは簡単に言えば「映画の登場人物がビデオ撮影したものをそのまま映画にする」というもので、低予算で撮れる上に、チープな印象をごまかすことができるので数多くのフォロワーを生むことになりました。

この「クロニクル」はそういった多くのP.O.V映画とも一線を画しています。
まずわりとお金はかかっています
たとえば「パラノーマル・アクティビティ」の制作費はわずか1万2000ドルですが、この「クロニクル」の制作費は1200万ドルです。
1000倍のお金がかかっているだけあって、P.O.V方式の映画とは思えないほどの迫力ある映像もたっぷりありました。

さらにP.O.V方式により、より主人公たちの心情をより知ることができるように思えます。
主人公たちはときにはカメラに向かって胸の内を語り、ときにはカメラそのものに嫌悪感を覚えるようになります。
この主人公たちの「距離感の近さ」が、本作の魅力のひとつでしょう。
高校時代に苦い経験をしたことがある人にとっては、感情移入すること必死です。

何より本作で描かれるテーマが素晴らしいです。
簡単に言ってしまえば「非暴力の訴え」であるのですが、この物語はそのことを、これ以上ない方法で教えてくれます。
本作はPG12指定で少し性的な話題や残酷な描写もありますが、ぜひ子どもにも観てほしいと思えました。

地方で公開が開始されたとはいえ、その期間はわずか2週間です。
せっかく1000円で観れることですし、近くで上映されているのであれば、迷わず足を運ぶことをおすすめします。

自分にとって、「クロニクル」は「好き」「面白い」以上の「大切」な映画です。

以下、結末も含めてネタバレです 本当に素晴らしい映画なので未見の方は読まないでください!

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テーマ : 映画レビュー
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2013-10-16 : 旧作映画紹介 : コメント : 12 : トラックバック : 0
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隠された記憶 映画「トランス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はトランスです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:夢と現実が交錯するダニー・ボイル節全開サスペンス


あらすじ


競売人のサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)は突如オークション会場に訪れたギャング集団から絵画を守りきり、英雄として新聞記事に載ることになった。
しかし、当の絵画はどこかに消え失せた上、サイモンはギャング一味と協力して絵画を盗み出そうしていた犯人にすぎなかった。
ギャングのリーダー・フランク(ヴァンサン・カッセル)は絵画のありかを聞き出すためにサイモンに拷問をかけるが、サイモンは頭部に受けたショックにより絵画の場所の記憶がなくなっていた。
サイモンとフランクは記憶を呼び覚ますため、催眠療法士のエリザベス(ロザリオ・ドーソン)を雇うのだが・・・




トレインスポッティング」「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督最新作です。

ダニー・ボイル監督の特徴といえば、その卓越した映像センスと音楽との融合が筆頭にあがります。
まるで音楽のPVを観ているかのような画面構成、テンポ、そして場面にマッチした音楽は多くの映画ファンをとりこにしました。

本作にもダニー・ボイル節は大盤振る舞いで、「鏡」を巧みに使ったきらびやかな映像、そしてスタイリッシュな音楽は観る人を陶酔させるでしょう。

Various Artists
1163円
powered by yasuikamo

さて、監督の作品は「スラムドッグミリオネア」「127時間」とメジャー系のものが続いていましたが、この「トランス」は(ある意味で監督らしい)クセが強く、万人向けではない作風になっています。

まず、本作に「消えた絵画がどこにあるかを推理するサスペンス」を期待すると確実に裏切られます。
なにせ本作で紡がれる物語は「主人公とギャングのリーダーと催眠療法士の女性が、いろいろやって主人公の記憶を取り戻そうとする」ものなのですから。
そしてその過程の延長線上に、予想もしない真実が隠されているというのが基本のプロットです。

真実が明かされるまではしっかり伏線が仕込まれていますし、こうしたサスペンスの結末を推理したい方、二転三転する展開が好きな方であれば存分に楽しむことができるでしょう。
監督の処女作「シャロウ・グレイブ」と同じく、メインの登場人物が3人とシンプルであることも長所のひとつです。

ただし本作はいまひとつ展開の整合性に乏しく、真実が明かされてもスッキリしない印象を持ちました。

このモヤモヤ感には、そもそもの「夢か現実かわからない」作風が関係していると思います。
「夢か現実かわからない」というのは、サスペンスの整合性をなくしてしまい、「なんでもあり」になってしまう諸刃の剣のように感じるのです。

「あのシーンはこういうことだ」と考察をする魅力にも乏しいですし、展開がかなり捻られている終盤は「話についていくのがやっとだ」と思う方も多いでしょう。

理路整然としたサスペンスが好きな自分としては物足りなさも感じましたが、監督のファンであるなら劇場で観る価値がある作品です。
R15+指定だけあって、終盤にはエロもグロもあるので苦手な方はご注意を。
監督らしく、ラストはなかなか洒落ていますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め。いきなりオチ部分を書いています。

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2013-10-15 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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映画のためなら、死んでもいい!「地獄でなぜ悪い」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は地獄でなぜ悪い(英題:Why don't you play in hell?)です。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:地獄で全然かまわないよ!(面白いから)


あらすじ


ヤクザの武藤(國村隼)と池上(堤真一)は激しい抗争を繰り広げていた。
武藤の娘のミツコ(二階堂ふみ)は抗争から抜け出し、気弱な青年・橋本公次(星野源)に彼氏のふりをしてくれと頼んだ。
平田(長谷川博己)率いる映画バカが集まった集団「ファッ○ボンバーズ」は、メンバーの一人が脱退する事態に陥っていた。
出会うはずのない人間たちが出会ったとき、予想もしなかった事態が起きる!




最高に面白かった!
簡単には観たあとの興奮が冷めない、最強クラスの娯楽映画です!

本作の監督は「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」の園子温です。

園子温監督のテイストはとにかく「極端」です。
具体的に言えば、登場人物がぎゃぎゃー叫びます。
ふつーの人間はほとんど登場せず、どこかみんな狂気をはらんでいます。
展開も「リアリティなぞシカト」です。

それなのになぜこんなにも面白いか?と言えば、その表現方法が突き抜けているからです。
「勢い」で展開を乗り切り、有無を言わせないパワーを画面からひしひしと感じます。
これも園監督が自身の作風を愛し、映画という娯楽を愛しているからでこそでしょう。

この映画はそんな園子温監督の集大成と言えます。
なにせ作中に「映画バカ」の集団が登場し、「二度と忘れられない映画」を撮るという、映画好きの、映画好きによる、映画好きのための映画なのですから。
これは園監督による「ニュー・シネマ・パラダイス」でもあるのです。

ニューシネマ~をはじめ、作中で映画作成の現場を描いてきた作品はたくさんありますが、この「地獄でなぜ悪い」はそれらの作品とも一線を画しています。

凡百な映画にない要素のひとつが、血がブシュー!首チョンパ!なバイオレンスシーンが満載なことです。
これはあまりにバカバカしすぎて笑ってしまいます。
つまりは人が残虐に死にまくるのに、それを観てゲラゲラ笑うというとっても教育上よろしくない映画です。
これがなぜPG12指定なのか理解できません。
映倫によると「すべてのシークエンスがコメディだと理解した」ということでPG12止まりになったそうですが、少なくともR15+にしないと、マジで子どもに悪影響を与えてしまいますってば・・・

さらに作中で作られる映画は「ただの映画」ではありません。
詳しく言うとネタバレになるので↓に書きますが、「ありえない(褒めことば)」展開が待ち受けている、とだけ言っておきます。
ここに至るまでの過程、そして結末に、身震いするほどの感動を覚えました。

そして本作は好き嫌いがものごっそいわかれます
言わずもがな残酷描写が苦手な方は避けたほうがいいですし、登場人物が叫びまくるのも人によってはゲンナリでしょうし、監督は豪華キャストを招きながら好き勝手やっているので「自己満足」に思う方もいるかもしれません。

しかし、好き勝手やりながらも、「とにかく客を楽しませてやろうじゃないか!」というサービス精神に溢れ、そして映画を愛する人に向けてのメッセージが、自分は大好きでした。
豪華キャストと好き勝手にやっている点では「R100」と一緒ですが、スタンスが全く異なるのです。

ヒミズ」「希望の国」と連続して「園子温監督らしくない真面目な映画」を観続けていた一ファンとしては「おかえり!」という印象です。
こういう破天荒で滅茶苦茶な映画こそが、園子温監督の真骨頂でしょう!

キャストが総じて素晴らしいのですが、特筆すべきはヤクザを演じた堤真一、ヤクザの娘を演じた二階堂ふみ、映画バカ集団のリーダーを演じた長谷川博己でしょう。

堤真一はその「顔芸」だけで抜群に面白いです。
二階堂ふみは大変エロいです。
長谷川博己による「映画好きのマシンガントーク」も感動するしかない素晴らしさでした。

映画バカの役<映画バカ役の長谷川博己さん。こんな狂った役観たことないよ!

また、子役の原菜乃華さんが死ぬほど可愛かったです。

はらちゃん<天使?

豪華でありながらも、適材適所を考えたキャスティングがされていると感じました。

星野源による主題歌も素晴らしかったです。
作中でも星野源は重要な役として登場し、かなりのハマリっぷりを見せてくれました。

ともかく「地獄でなぜ悪い」は、映画バカの自分にとっては、後半に涙が止まらなくなる傑作でした。
深作欣二監督へのリスペクトがあったり、「キル・ビルVol1」っぽいシーンがあったりするのもたまりません(注:キル・ビルに似ているのは偶然だそうです)。

これが好きだと言ったり気軽におすすめしたら人格を疑われてしまいそうな作品ではありますが、「そんなもん知らん!好きな人が好きでいればいい!」とも思ってしまいます。

園子温監督のファンは迷わず劇場へ。
園監督のファンでなくても、普通の映画に飽き飽きしている人におすすめします。でもデートや家族で観るんじゃないぞ!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-10-13 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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映画好きによる映画好きのためのラジオを「民朗」さんとともに録りました

みんなのシネマレビュー」で映画評を書かれている「民朗」さんとご一緒し、ラジオを録らせていただきました。ありがとうございます!
どこかに依頼したわけではなく自分たちで録ったものです。
ものごっそい色んなところが拙い&自己満足上等な感じ(民朗さんのトーク部分除く)ですが、よかったら時間のあるときに聞いてみてください。なにせ30分少々しゃべっているので。

<ホラーショー!民朗の観たまま映画批評 : 第53回映画批評 ゲスト・ヒナタカさんと送る映画談義>

↓以下には紹介した映画のアフィリエイトを載せておきます。

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2013-10-12 : いろいろコラム : コメント : 3 : トラックバック : 0
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飛べない鳥はボンクラ男子 映画「ブルー 初めての空へ」ネタバレなし感想+お気に入りシーン

10月5日からイオンシネマ系列限定で劇場公開中の映画ブルー 初めての空へ(原題:Rio)をDVDで観ました。

ジェシー・アイゼンバーグ
3220円
powered by yasuikamo


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:イケてない鳥の素敵なアドベンチャーだ!


あらすじ


アオコンゴウインコのブルーは、ミネソタ州の小さな町にある本屋で、飼い主リンダと仲良く暮らしていた。
ブルーは読書家で、人間顔負けの知識を持っていたが、生まれてこのかた空へ飛んだことがなかった。
ある日ブルーとリンダのもとに、鳥類学者のチュリオがやってくる。チュリオはアオコンゴウインコを絶滅の危機から救うため、ブラジルへ招待したいと言うのだが・・・




超オススメです!
ものすんごく面白かった!

本作の原題は「Rio」と超シンプル。これはブラジルの都市リオデジャネイロを意味しています。
その名のとおり、鳥のブルーがリオデジャネイロでハラハラドキドキの冒険を繰り広げるというスタンダードな娯楽作品となっています。

面白いのは、この主人公のブルーが典型的なモテない系の男子だということです。
インコのブルーは女の子に対して気のいいセリフを言えません。
そればかりか、自分のを知識をぶつくさ言ってしまってデート相手をウンザリさせちゃうような「理屈っぽさ」があるのです。
世の中の非リア充な男子は共感すること必死でしょう。

さらに上手いのは、鳥だけでなく、人間のほうでもカップルを登場させていることです。
こっちの人間の男もたいがいボンクラでイケていなので、「鳥も人間もおんなじなんだな」とより鳥たちにもシンパシーを得ることができるのです。

人間は人間同士でしか話せない、動物は動物としか話せない、という「暗黙のルール」を作り出していることもよかったです。
この手の動物を擬人化させた映画では当たり前のようなことでもありますが、自分は「スチュアート・リトル」の「動物と人間が話しているのに誰も疑問に思わず、説明もない」というのがちょっと苦手だったので、嬉しかったのです。

ミュージカルの数々も楽しくって仕方がありません。

Various Artists
1025円
powered by yasuikamo

声優陣がかなり豪華で、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイ、「ジャンゴ 繋がれざるもの」のジェイミー・フォックスなどの歌声を聞くこともできます。
今回劇場でかかるのは日本語吹替版のみですが、吹替版でも(一部を除き)ミュージカルシーンは原語で聞くことができるので問題ないでしょう。
吹き替え版も、主人公役の山口勝平をはじめ有名どころがそろっているので、声優ファンの方も納得であると思います。

また、「動物の密猟への批判」というメッセージ性もあります。。
映画に登場するアオコンゴウインコは実際に絶滅が危惧されており、教育上にもとてもよい作品だと思います。

そして何より、見所満載のアクションシーンが素晴らしかったです。
宮崎駿作品のような奥行のあるアクション、「空」を意識した画がてんこ盛りで、高揚感が抜群です。
自分はDVDで観てしまいましたが、これは劇場で観ると感動もひとしおでしょう。

2016年にはリオデジャネイロオリンピックも開催されますので、いち早くリオの雰囲気を知りたい方にもうってつけなのではないでしょうか。
もちろん、インコ好きの方も必見です(最近は「インコ臭」がブームになっているようですし)。

この映画が制作されたのは2011年です。
本国で高い評価を得ながらも、日本ではビデオスルーの憂き目にあった作品でした。

ソフト化されてから2年近くが経過してからの劇場上映というのも、珍しいことです。
これは「隠れた名作」と謳われてきたこと、根強いファンからの応援があってこそのことでしょう。

ちなみに続編の「Rio 2」も来年全米で公開予定です。これも日本で公開して欲しい!

上映は期間限定ですので、是非近くで上映している方はお早めに劇場へ足を運んでみてください。
今なら入手困難な「インコアイス」が、映画とコラボした特別アイスを劇場で食べることができますよ。

個人的には現在公開されている同じくファミリー向け映画の「ミニオン危機一発」よりも面白いと思います。
デートでも家族で観ても、間違いのない1本です!

以下はほんの少しだけ内容がネタバレです↓ 内容の紹介程度にとどめていますが、予備知識なく観たい方は要注意

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2013-10-10 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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今一番応援したい映画館「シネマルナティック」紹介+イベント「愛媛ヌーヴェルバーグ2013」について

ミニシアターで映画を観ることが大好きです。
ミニシアターには映画が好きな人が集まる親しみやすい雰囲気、その多様性など、シネマコンプレックスにはない魅力があります。

本日紹介するのはそんなミニシアターのひとつ、愛媛県松山市にあるシネマルナティック(正式名称は「シネマルナティック湊町」)です。


ビルの2階にあります    入口はこんな感じ


「シネマルナティック」は1992年に生まれた映画館で、当時から地元の人たちに愛されてました。

そして、東京でミニシアターが相次いで閉館になったように、シネマルナティックの経営もとても厳しくなっています。
少し前までは、「シネリエンテ」という劇場とともにいくつかのスクリーンで映画を公開していましたが、現在のスクリーンはたったひとつになってしまいました。

そのため、熱心な映画ファンの方々が「シネマルナティックを守る会」を発足させました
<シネマルナティック-Twitter>
「守る会」がつくられる劇場とはいうのは、いままで聞いたことがありません。
*「フォーラム福島」にも福島フォーラムの存続・発展を支援する会というものがあるそうです。
*京都には元・立誠小学校 特設シアターという劇場もあります。


サービスも面白く、なんとすべての座席に座布団が用意されていたりします

座布団完備<座布団完備

ほかにも、通常は公開時には姿を消してしまう「映画のチラシ」が、公開後もふつうに置かれていたりもします。
劇場には自動販売機が設置しており、座席にはホルダーも設置しているので、飲み物を持って入ることも可能です。

基本料金が1700円と少しだけリーズナブルだったり、月曜日がメンズデーのため1000円で鑑賞できたり、使用期限のないお得な回数券も買うことできるなど料金面のサービスも充実しています。


場所が少々わかりにくかったり、火曜日が休館であったり、上映時間のぎりぎりまでドア(フロア)の外で待たなければならないことが多いなど、多少の不便さを感じることもありますが、それを含めて好きになれる魅力があるのです。

ちなみに火曜日が休館で、上映時間のぎりぎりまで待たなければならないのは、代表の方が全て一人で取り仕切っているからです。
日に日に観に来る人が減る中での経営は、とても厳しいものであったことでしょう。

私は人生の半分以上を愛媛県松山市で過ごしてきました。
子どもの頃から慣れ親しんできた映画館が、シネマルナティックでした。

苦しい中でも経営を続けられ、そして好きでいてくれる方が多い「シネマルナティック」を、これからも応援しています。
ぜひ映画好きの方に、愛媛県松山市にお越しの際はお立ち寄りいただきたいところです。


そして直前の宣伝になって申し訳ありませんが・・・今週末には「愛媛ヌーヴェルバーグ2013」というイベントが企画されています

イベントの内容は、愛媛にまつわる映画の上映、映画業界で活躍する愛媛県出身の方々の公演、交流会などです。
その上映作品、ゲストの方々が実に魅力的ですので、簡単ではありますが紹介してみます。

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2013-10-08 : いろいろコラム : コメント : 5 : トラックバック : 1
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究極の自己満足映画?「R100」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はR100です。


個人的お気に入り度:2/10

一言感想:作品に言い訳しないでよ・・・


あらすじ


大手デパートの販売員の片山(大森南朋)は異様なSMクラブ「ボンテージ」の会員になる。
はじめは日常で現れる女王様たちからのプレイに快感を覚える片山だったが、女王様は彼の職場にも現れ、そして彼の家族をも脅かしていく・・・




大日本人」「さや侍」の松本人志監督最新作です。

松本人志はご存知のとおり、もともとお笑いの舞台で確固たる地位を築いた生粋のコメディアンです。
まったく土俵の違う「映画」という舞台での活躍は人々を驚かせ、また作品の異質さが賛否両論(だいたい否)を呼びました。

松本監督は第1作「大日本人」でやりたいようにやりました。
次回作の「しんぼる」ではほぼコントだけに始終したシロモノを世に送り出しました。
「さや侍」ではちょっとまともな映画を撮ろうとしました。

この「R100」はそんな試行錯誤を繰り返してきた松本人志監督の集大成と言ってよいでしょう。
なぜなら、やりたいようにやった上で、作中で「俺の映画は誰もわからんでもいいねん」ということを主張するのですから。

ネタバレになるのでどうやって主張したかは↓に書きますが、これはもはや「言い訳」と言っても過言ではありません。
まるで松本監督の「どうせ世間はわからずに批判ばっかりするんやろ?」「俺の映画なんやから、見る目がない客はわからんでもいいねん」というつぶやきが作品から聞こえてくるようです。

これはしてはいけないことだと思います。
言い訳をしてなんになるのでしょうか。
観客は納得するのでしょうか。
面白いか面白くないか以前に、観る人を楽しませるために映画を作っている人たちに失礼なレベルだと思えました。

作品としては面白い部分もあります。
そのひとつが日常が非日常に侵食されていく恐怖です。
強制的に「SMプレイ」を迫る女王様が唐突に現れ、徐々に日常生活が脅かされていく様子は不安を煽り、そして戦慄させます。

観ているうちに、何が現実で、何が虚構かわからなくなる「あいまいさ」も面白いです
後半の展開をとにかく破天荒にして、誰も観たことのない「規格外」の作品にしようとする気概も感じられます。
恐らく松本監督はデヴィッド・リンチ監督のような摩訶不思議な世界観を目指したのでしょう。

しかし総合的に観ると、ただの独りよがりで、監督の自己満足に始終している作品としか思えません。
エロやグロもR15+というレーティングにしてはおとなしめで、突き抜けてはいません。
ホラーとしてもコメディとしても中途半端で、不条理な世界観も魅力が薄いままでした。

個人的には女王様を演じていた豪華キャストの魅力を活かしきれていないことも残念でした。
特に出オチでも盛大に笑えるはずの片桐はいりさんの出演シーンはもっと面白くできたと思うんだけど・・・

タチが悪いのが、そういった作品の特性を前述のとおり言い訳をして「自己満足でいいねん」と開き直っていることです。
観客はお金を払って、時間を使って観に来ているのに、それをあだで返すような主張です。
これにはゲンナリせざるを得ませんでした。

自分はお笑い芸人の「ダウンタウン」としての松本人志が大好きでした。
「ごっつええ感じ」は子どものころに観て大笑いしていました。
「ガキの使い」の「絶対に笑ってはいけない○○」も毎年楽しみにしていました。
「ダウンタウンDX」で何かをしゃべるたびにクスクス笑っていました。

でも松本人志監督の映画は「もうじゅうぶん」です。
楽しめる気がしませんし、そもそも監督が権力を盾にして自己満足で作っているので「楽しませる気さえない」のです。
不覚にも面白いと思ったところもあったのでお気に入り点数は2点にしておきましたが、作り手(監督だけ)のスタンスとしては史上最悪の映画だと思います。

そんなわけで誰にもオススメできない作品ですが、いままでの松本人志監督作品に「波長」があった方は観てみるのもよいでしょう。
「絶対に笑ってはいけない○○」「大日本人」「しんぼる」を彷彿とさせるシーンもありますよ。

豪華キャストのファンの方、松本人志監督作品が肌に合わない方にとっては「滑りっぱなしのコントをスクリーンで観る」という地獄のような時間を過ごしてしまうかもしれません・・・。

監督の意志などはこちらでご覧ください↓
松本人志監督 第4作「R100」 願わくは「無の状態で見てほしい」 - MSN産経ニュース
松本人志監督、最新作『R100』は「精神的3D映画」|ニュース@ぴあ映画生活
松本人志、新作でしてやったり!「『ざまあみろ』って思いました」 - シネマトゥデイ
『R100』松本人志監督&大森南朋 単独インタビュー - Yahoo!映画

以下、結末も含めてネタバレです↓

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2013-10-05 : 映画感想 : コメント : 19 : トラックバック : 0
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それで許してくれるの? 映画「謝罪の王様」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は謝罪の王様です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:謝ってもダメなこともあるよね・・・


あらすじ


黒島譲(阿部サダヲ)は、謝罪で物事を解決する「東京謝罪センター」の所長だった。
黒島のもとに、ヤクザの車に追突事故を起こし、賠償金を請求されていた帰国子女・典子(井上真央)がやってくる。
典子は黒田に助けられたことをきっかけにセンターのアシスタントとなり、2人はセクハラで訴えられた下着メーカー社員の沼田(岡田将生)、息子が暴力事件を起こしてしまった大物俳優の南部(高橋克実)、とある外交問題を起こしてしまった映画プロデューサー・和田(荒川良々)など、さまざまな人々の問題の解決に乗り出すのだが・・・




舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」に続く、水田伸生監督×宮藤官九郎脚本×阿部サダヲ主演という布陣で制作された映画です。

宮藤官九郎は先日最終回を迎えたばかりの超人気ドラマ「あまちゃん」でも脚本を担当していました。
このドラマ終了と共に公開するタイミングが実に上手いと思います。
豪華なキャスティングも含めて、多くの方が注目している作品でしょう。

そして宮藤官九郎のファンにとって、この作品は納得の仕上がりなのではないでしょうか。
徹頭徹尾、宮藤官九郎らしいギャグとクセが満載なのですから。

映画に登場するのは、架空の職業である「謝罪師」です。
その名のとおり、謝罪で物事を解決するというのがこの仕事の目的で、その破天荒な行動がギャグになっているのです。
しかもギャグになっているだけでなく、そこには明確なメッセージ性もあります。
描かれているのは「謝罪」という行為の美徳です。

「謝る」ということは日本人の特性のひとつで、欧米諸国からみると異様に映ることがことが多いようです。
その理由のひとつが、「謝ってしまうと非を認めたことになり、裁判のときに不利になってしまうことが多いから」というものです。
近年では「アイム・ソーリー・ルール」というものがアメリカの多くの州で規定されており、少しづつ謝ることも多くなっていったようです。
しかし、簡単に謝ることに抵抗を覚える方もまだまだ多いことでしょう。

そして謝ることを躊躇してしまう人にとって、この映画は痛快に思えるのではないでしょうか。
作中で提示される「謝りたい人が謝れば、世界はもっと平和になれる」というまるで絵空事のような台詞が、本当にそうであると思わせる力がこの作品にはあります。
「謝罪」というある意味デリケートな行動を破天荒なコメディにしてしまい、さらに人に謝りたいという想いを起こさせてくれるのが、この映画の最も優れた点でしょう。

この映画の特徴を一言で表すなら「極端」です。
作中に出てくる謝罪には中途半端なのは存在せず、「謝罪がオーバーすぎてギャグになっている」「謝罪が失礼すぎてギャグになっている」のほぼ2択しか存在しません。

この描写こそが作品の面白さでもあるのですが、諸刃の剣でもあります。
なにせ言い換えれば「謝っているのにふざけている」という映像を延々と見せられるのですから。
もちろんそのムカツキ具合も作中で存分にツッこまれています。
しかし、これを笑って許せるか、許せないかで、本作を楽しめるか否かの「ふるい」にかけられると思います。
予告編で岡田将生が壁ドンしながら言っている「なんか・・・しゃーせんでした」が笑えない方は素直に観るのをやめたほうがいいかもしれません。

もうひとつの特徴としてあるのは、伏線がものすごく多く使われている作品だということです。
物語は6つのストーリーが次々と展開するオムニバス形式になっているのですが、これらは完全に独立しているわけではなく、どこかでそれぞれに影響を与えています。
さらに時系列をずらした構成により、そのつながりがよくわかるのです。

その伏線はほぼすべてがバカバカしい(褒めことば)のですが、とあることばや行動が「そういう意味だったのか!」と気づくことができる気持ちよさがあります。
映画の脚本には伏線があってこそ!と思っている方にとって、この映画はより面白く観れるでしょう。

個人的にものすごく残念だったこともあります。
作中で提示されているテーマはとても志が高いものなのですが、その主張と矛盾してしまっている展開があったのです。
謝罪で物事を解決していくのは痛快なのだけど、いくつかの場所で「それでいいの?」と思ってしまうモヤモヤが残ってしまいました。

明らかに謝っても許されないこともあるような?それで許していいのか?と少し現実的に考えてしまったところもありました。
作中には「セクハラ」「暴行事件」など、現実で多くの方が苦しんでいる案件もあるので、不愉快に感じてしまう方も多いと思います。
まあこれは映画なので、リアリティなんか気にしない!とにかく楽しければ良い!というニュアンスで観ることをおすすめします。

余談ですが、漫画の「どげせん」の作者が本作を盗作であると訴えたことも話題になりました。

RIN
620円
powered by yasuikamo

自分もこの漫画を読んでいたのですが、映画を観てみるとこの2つはあんまり似ていませんでした。

「どげせん」はマジでほぼ土下座だけで物事を解決する内容(笑)で、主人公は高校の教員という設定です。
「謝罪の王様」は土下座だけを解決の方法としていませんし、登場人物や物語にもちゃんと独創性があります。
後に作者がパクっていませんと謝罪してなによりです。
また、「どげせん」も十分どうかしている(褒めことば)作品ですが、土下座で超常現象が起きるという内容の漫画「謝男(シャーマン)」も存在しています。
土下座ってすごいんですね(違った方向に)。

ともかく、「謝罪の王様」は謝罪をエンターテイメントとして魅せることに抵抗がない方には存分におすすめできる内容です。
でも、宮藤官九郎のおフザけ具合が許せない方は避けたほうが吉です。
中学生円山」に比べれば下ネタは少なめですが、小学生レベルの下ネタがしつこいほど繰り返されることもあるので、これも苦手な方はご注意を。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-10-03 : 映画感想 : コメント : 10 : トラックバック : 0
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<2016年下半期>
『聲(こえ)の形』
『スーサイド・スクワッド』
『キング・オブ・エジプト』(吹き替え版)
『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
『葛城事件』
『TOO YOUNG TO DIE!』
『貞子 vs 伽椰子』
『ヒメアノ~ル』
『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
『クレしん ユメミーワールド』
『バットマン vs スーパーマン』
『ドラえもん 新・日本誕生』
『X-ミッション』
『オデッセイ』

<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『アメリカン・スナイパー』

<2014年下半期>
『ベイマックス』
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『MONSTERZ』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

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