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海賊たちの血 映画「キャプテン・フィリップス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はキャプテン・フィリップスです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:海賊にはなりたくないな・・・


あらすじ


コンテナ船マークス・アラバマ号は、ケニアに援助物資を運ぶために出航した。
船がソマリア沖に入ったとき、武器を所持していた4人の海賊が襲撃にかかる。
船はあっという間に占拠され、船長のフィリップス(トム・ハンクス)はクルーを救うために奮闘する。





これはすごい!おすすめです!

本作で描かれるのは、ソマリア沖で2009年4月12日に実際に起きた事件です。
徹底的にリサーチされ、とことんリアリティを重視した「船長と海賊の戦い」は圧巻の一言。濃密な時間を過ごさせていただきました。

そのリアリティに一役買っているのが、トム・ハンクスの卓越した演技力です。
トムは役作りのために本物のフィリップス船長に会い、その人となりをじゅうぶんに知ってから演技に臨んだそうです。
船長の持つ感情はとても複雑なものなのですが、トムは表情でその心中を雄弁に語ってくれました。

海賊を演じた4人の無名の役者たちの演技も、文句のつけようがありません。
その「目」で語る演技、その凶暴さや時折見せる人間味は簡単に出せるものではありません。
臨場感を出すために、トムとこの海賊たちは襲撃されたシーンの撮影で初めて顔を合わせたのだとか。
劇中でトムは海賊の襲撃に困惑した表情を浮かべていましたが、これは演技ではないガチのリアクションだったのです。

ポール・グリーングラス監督の演出も非常に効果的です。
矢継ぎ早にカットが次々と変わるためにスピード感抜群、登場人物の「目線」に立ったカメラワークはスリル満点です。

事件の途中で船長の家族の描写や、事件を知った一般の人々の姿を一切出さなかったこともよかったです。
フィリップス船長の恐ろしい体験は、あくまで彼のまわり(クルーや海軍)でしか起きていない事実です。
そのほかの描写が入り込んでしまうと、観客は少し客観的な立場で映画を観てしまうのではないでしょうか。
この映画は、船長が陥った絶望的なシチュエーションを、これ以上ない方法で疑似体験させてくれるのです。

ちなみに原案となった本には、映画で描かれなかった家族のことが細やかに記載されているようです。

リチャード フィリップス
882円
powered by yasuikamo
こちらを読めば、物語を別の角度から知ることができるでしょう。

難点は、観客にかかるストレスが多すぎることです。
上映時間は2時間14分とやや長めです。
閉所恐怖症の人は避けた方がいいかもしれません。
後半のキツすぎる展開には(精神的にも肉体的にも)グッタリしてしまうかもしれません。
これは映画が優れている証拠でもありますし、その後に訪れるラストのために必要なものです。
本作は、なるべく体調を整えてから観たほうがよいでしょう。

ちなみに(作中でも少しだけ言及されていますが)ソマリアの漁師が海賊をすることになった理由は、外国船が魚の乱獲をして生活が困窮したためというのが一般的のようです。
しかし、アメリカはソマリアへ支援物資を送っていた事実もあります。
この映画で描かれる事件はアメリカに非のない一方的な略奪です。

それでも、この映画では海賊を単純な悪としては描きません。
精錬された人物描写により、海賊側にも感情移入ができるようになっているのです。
凡百な「アメリカ万歳」な映画とは一線を画す、とても意義のある作品だと思いました。

世界の問題を考えるきっかけになるだけのパワーがある作品ですので、若い人にもぜひ観てほしいです。
観ていてドキドキする娯楽作品としても抜群に優れているので、デートにもじゅうぶんにおすすめできます。
ダイ・ハード」のような「知略」のあるアクション映画を期待する人にとっても必見の内容です。
船長が海賊に言った数々のことばを考えてみると、作品により奥行きを感じられるでしょう。

個人的には漫画の「ワンピース」が好きで、海賊に憧れるような子どもに観せたいと思いました(←悪趣味)(ワンピースは海賊の略奪行為を正当化しているような内容ではありませんが)。
これが本物の海賊であり、憧れるようなものではないと・・・どんな忠告よりも、この映画は雄弁に語ってくれるでしょう。

ソマリア沖の海賊に関する参考↓
ソマリア沖の海賊 - Wikipedia
ソマリア沖・アデン湾の海賊等事案の現状と取り組み | 外務省
アフリカの角における不朽の自由作戦 - Wikipedia
モガディシュの戦闘 - Wikipedia

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-11-30 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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偶然の大安売り 映画「すべては君に逢えたから」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はすべては君に逢えたからです。


個人的お気に入り度:3/10

一言感想:受けそうなマーケティングをしたのはわかるけど・・・


あらすじ


デザイン会社の社長である玉木宏が、売れない役者の高梨臨に猛烈アタックをしかけたり、
遠距離恋愛をしている東出昌大と木村文乃がすれ違いしまくったり、
養護施設の女の子が純粋にサンタを信じていたり、
倍賞千恵子が駆け落ちの思い出を語ったり、
元・新幹線の運転手の時任三郎が、全然苦しむ様子がないのに余命が3ヶ月の便利病気になったりする話。




*メタメタに書いているのでこの映画が好きな人にはごめんなさい

おかえり、はやぶさ」「ドラッグストア・ガール」の本木克英監督の最新作です。
*管理人は「踊る」シリーズの本広克行監督と勘違いしていました。申し訳ないです。

本作のマーケティングは非常にわかりやすいものになっています。

玉木宏というイケメンに迫られる展開があれば女の子はみんな観に来るだろー
難病ものを入れときゃみんな泣くだろー
ファミリー層に向けて子どものエピソードも入れときゃいいだろー
ご年配の恋愛を描けばお年寄りも見に来るだろー

そんな一般層に受けそうな要素を詰め込み、名作「ラブ・アクチュアリー」を目指して制作され、興行成績初登場8位という爆死を遂げたのがこの映画です。

これは昨年の女子に受けそうなテーマを詰め込んで、2012年のこの映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞に選ばれた「新しい靴を買わなくちゃ」にそっくりです。

大ヒットドラマ「半沢直樹」を手がけた福澤克雄さんは「最後は自分が面白いと思うものを作るしかないと思った」と語っています。
今の時代に本当に受ける内容、面白い内容というのはそういうものなのではないでしょうか。
いくら「大衆が好きそうな要素」を詰め込んでもいい結果にならないことを、この映画は身をもって教えてくれました。


マーケティングのことはさておき、映画本編もまったく納得ができない仕上がりになっています。
何が悪いって、描くべき登場人物の背景が浅いことです。

この映画に出てくる登場人物はすべて「記号的」で、エピソードを動かすために存在しているにすぎず、人間味が感じられません。
優れた映画は登場人物のちょっとしたことばや癖でその人となりや背景を感じさせるのですが、本作はそうした工夫が少なく、あったとしても単純です。
多くの登場人物が入り乱れる群像劇とはいえ、これはあまりに人物描写が足りないでしょう。

提示された問題やトラブルが、その後何もなかったかのように扱われているのもひどく不満に感じてしまいました。

舞台に用意した東京駅も、登場人物が東北大震災の復興事業に関わっていることも、ほとんど物語に影響していないことも残念です。
この映画は、舞台が東京でなくても成立してしまいます。

あ、ちなみに「6つのオムニバスエピソード」と言っていますが、実質5つです。
1つが水増し程度のエピソードだったのは全く想定外でした。

個々のエピソードは失笑を我慢することを強いられます。
特に「遠距離恋愛」のエピソードのオチはため息まじりに笑うしかありませんでした(←迷惑なのでマネをしないように)。

地味にショックだったのが、現在ドラマ「ごちそうさん」にも出演している東出昌大さんの演技がわりと下手だったことです。「桐島、部活やめるってよ」では全然そんな印象はなかったのに・・・
配役では高梨臨木村文乃のイメージが被りまくっているのも気になりました。

おすすめはしませんが、玉木宏の一挙一動をギャグとして楽しめる方は観てもいいのではないでしょうか。

フォローをしておくと、メインである玉木宏のエピソードは突っ込みどころはあれど、ふつうに面白かったです。
各エピソードのつながりもそれなりに描かれていましたし、登場人物の配置はきちんと整理されていました。


最後に・・・こういう日本映画は本当に「泣かせ」に走ろうとするのはやめてほしいです。
映画というのは、脚本が優れていれば自然に感動でき、涙を流せるものです。
物語を練り上げることにかまけて、音楽で無理矢理盛り上げて、登場人物が泣くことで「誘い泣き」をさせようとするのは底が浅すぎます。

ひょっとすると、この手の映画をつくる人々は、こういう「泣かせ」がないとお客は感動できないと思っているのでしょうか。
そうであるなら、悲しい話です。

以下、結末も含めてネタバレです↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-11-28 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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冒険の果てに 映画「メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はメタリカ・スルー・ザ・ネヴァーです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:メタリカを知らないとちょっとしんどいかな・・・


あらすじ


世界的なヘヴィメタルバンド・メタリカのライブが行われようとしていた。
スタッフの青年トリップ(デイン・デハーン)は、メンバーにとって重要なカバンを取ってくるように指示される。
その先で起こる事件は、予想もつかないものだった。





超有名ヘヴィメタバンド「メタリカ」を描いた映画です。

本作は、ショーをそのままスクリーンで観るライブビューイングでも、メンバーの人生を描いたドキュメンタリー作品でもありません。
メタリカのライブシーンを見せながらも、それと平行して青年の奇妙な冒険が描かれるという、特殊な内容になっているのです。

その青年を演じるのが、「クロニクル」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 」で一躍脚光を浴びたデイン・デハーンです。
彼の台詞はごく少ないのですが、表情で語る演技力、その存在感は格別です。
青年が体験する美しいビジュアルで描かれる冒険は、彼のファンであれば多いに楽しめるものでしょう。

しかし、本作はやはり「音楽映画」でした。
メインとなるのは、その青年の冒険ではなく、あくまでもメタリカによるライブシーンなのです。
描かれる割合はライブ:冒険=9:1くらいのものでした。

メタリカにあまり興味がない人が観ると、その割合に戸惑うのではないでしょうか。
反対に、メタリカの大ファンであり、ライブこそを楽しみしている人にとっては、青年の冒険が煩わしく感じてしまうかもしれません。

「大迫力のライブ×アクション映画」というのは本作のウリですが、諸刃の剣のように思えてしまいます。
バーレスク」はファンでなくても存分に楽しめる内容でしたが、それに比べると本作は敷居が高いと言わざるをえません。

しかし、これも「今までにない映画を作りたい!」という情熱を感じました。
青年の冒険とライブは一見関係のない出来事のように見えますが、実はとある「つながり」があります。
映し出されるメタファーの数々は、深読みするほどに楽しめるでしょう。

また、驚いたのがライブ会場の数々のギミックです。
観客を驚かせるための工夫が次々に出てくるので、これはメタリカに興味がない人にとっても大いに楽しむことができるでしょう。

また、メタリカは意外と(失礼)紳士的なバンドであることがわかりました。
「うるさい音」「汚いことばばかり言っている」イメージ(超失礼)だったのですが、観客への接し方、メロウな曲には「優しさ」を感じました。
終盤のとある展開は、その最たるものでしょう。

残念だったのが、あまり3Dの効果がなかったことです。
ステージのギミックがかなり面白いので、もっと3Dで魅せてくれると嬉しかったですね。

また、「THIS IS IT」でも不満だったことなのですが・・・・作中の歌に日本語字幕がついていないのですね。
3D映画ですし、字幕なんて邪魔だという意見もごもっともなのですが、個人的には歌の内容をもっと知るために字幕がほしいと何度も願ってしまいました。
ちなみに青年の行動は、作中の歌詞の内容に沿ったものでもあるようです。

せめてどの曲がどの名前なのか知りたかったなあ。
曲目は、以下サウンドトラックという名のライブアルバムでも確認できます。

メタリカ
2640円
powered by yasuikamo

メタリカのファンの方には最高にカッチョイイライブを体験できるので、大プッシュでおすすめです。
デイン・デハーンのファンの方へは(彼の出番は少ないので)あまりおすすめしませんが、ヘヴィメタやロック音楽がよほど嫌いでないかぎりは楽しめるでしょう。

メタリカのことをもっと知りたい方は、評判がとてもいいドキュメンタリー作品「真実の瞬間」を合わせて観てみるのもいいかもしれません。

ジェームス・ヘットフィールド
4179円
powered by yasuikamo

メタリカをほとんど知らない自分でも、その歌声、かき鳴らすギターの音にはしびれました。
ぜひ、音響設備がよい環境で観てください。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-11-27 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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罪と罰の意味 映画「かぐや姫の物語」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はかぐや姫の物語です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:様々な思いがめぐる、新たな竹取物語


あらすじ


今は昔、竹取の翁(おきな)という者が光り輝くたけのこを切ると、中から美しい姫が姿をあらわした。
姫はすぐに赤ん坊の姿になり、翁とその妻・媼(おうな)は大切に育てることになった。
姫は集落の捨丸(すてまる)やまわりの子どもたちとともに、山々で楽しく暮らしていくのだが、その生活は長くは続かなかった・・・




すごくよかった!おすすめです!

本作が原作としているのは、ご存知であろう「竹取物語」です。
日本最古の物語と言われるこの竹取物語は、実は謎が多い作品です。

「なぜかぐや姫は月に帰らなければならないのか?」
「なぜ地球にやってきたのか?」
「なぜかぐや姫は求婚してきた男たちに無理難題をしかけるのか?」

この「かぐや姫の物語」で、高畑勲監督はその謎に対して明確な回答を用意しています。
きっと「竹取物語にこれほどの奥行きがあるものなのか!」と驚けることでしょう。

そこにはほんの少しだけSFの要素が入っていたりもします。
1987年にも「かぐや姫は実は宇宙人だった」という設定の日本映画も制作されていました。

<このジャケットで「かぐや姫」だってよ・・・

竹取物語がSF作品だというのは、ごく一般的な認識なのかもしれませんね。


この「かぐや姫の物語」のもっとも優れているところは、主人公のかぐや姫にとても感情移入がしやすいことです。
かぐや姫はとことん愛らしく、ときには感情を爆発させ、ときには両親への愛情を確かめる・・・大人から子どもまで、抵抗なく受けいられるキャラクターが創造されていました。

自分の勝手な印象としては、かぐや姫は「求婚してきた男に無理難題を与える悪い女」でした。
しかしこの物語では、かぐや姫が無理難題を与えるシーンであっても、彼女のことは嫌いになれませんでした。
かぐや姫のイメージを覆しているだけでも、自分はこの物語が好きになってしまうのです。

そんな彼女に、(本作のキャッチコピーである)「姫の犯した罪と罰」という悲劇が襲います。
なぜ「罪」と「罰」の両方を背負わなければならないのかーこのことに、本作のテーマが凝縮されています。
その意味を、ぜひ観て確認していただきたいです。

また、びっくりしたのが「性」にまつわるエピソードがあったことです。
これは、子どもに見せても全く問題はないように、「大人にだけわかる」ように描かれているのが見事だと思いました。


声優陣もとても豪華で、風立ちぬの棒読み庵野秀明のような声に違和感のあるキャラクターはひとりもいませんでした。
本作はプレスコという絵のない状態で先に台詞を収録する手法がとられており、2011年に声の収録がされていたために故・地井武男さんも声優に参加しています。
ご存命のころの元気な声を聞けて、とても嬉しく思いました。

また、「女童(めのわらわ)」という「猫の恩返し」の「ナトル」にそっくりなキャラクターが大好きになりました。

女童<女童      ナトル 猫の恩返し<ナトル

見た目だけでなく性格も似ていました。
こういう可愛くて、ひょうひょうとしているマスコットキャラは観ていてほっこりします。

音楽も素晴らしいものでした。

久石譲
2900円
powered by yasuikamo
ときには明るく、ときには不気味さを感じさせる音楽は、決して主張しすぎることなく作品の雰囲気にマッチしていました。


難点は、かぐや姫がまわりの環境に抑圧される描写が多く、少し重々しい雰囲気が漂っていることです。
かつてのジブリ作品のような、胸躍る冒険は期待しないほうがよいでしょう。
繊細な描写を理解でき、かぐや姫の心情をより考えることができる大人のほうが、より楽しめる映画かもしれません。

もちろん子どもにとっても、水彩画のような絵が動くという面白さ、かぐや姫と個性豊かな周りの人々の魅力に、きっと気づけるはずです。
ただ、上映時間が2時間12分と長いので、あまり小さい子だと途中でぐずってしまうかもしれません(事前のトイレも必須です)。


本作は制作に8年、制作費が50億という莫大な労力と費用がかけられています。
そもそもの竹取物語の映画化という企画は50年以上前にもあり、この作品は「やっと」完成した作品です。
その努力の結晶は、スクリーンでこそ堪能するべきものでしょう。

本作のテーマは、昨年の秀作「アシュラ」を思い出させました。
観る人によっていろいろな解釈が思い浮かぶ、とても奥の深い作品です。

事前に竹取物語を知っておくと、より楽しめるかもしれません。
<こちらで現代語訳が読めます>
<Kindle版は無料ダウンロードができます>

以下の書籍も、作品を理解するのに役立つでしょう。

powered by yasuikamo

また、本作の劇場用パンフレットには制作にかかわる裏話、本編では描かれなかった物語も記載されています。
作品をより深く知りたい方は、ぜひお買い求めになって、熟読することをおすすめします。

観た人と、上映後は語り合いたくなってしまうことは必死です。
お友達とでも、デートでも、家族とでも、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-11-23 : 映画感想 : コメント : 23 : トラックバック : 0
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本当にいいやつ? 映画「マラヴィータ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はマラヴィータ(英題:The Family)です。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:設定が面白いのに、もったいない


あらすじ


ブレイク一家はヴェルヌイユに引っ越して来た。
一家の父・ジョバンニ(ロバート・デ・ニーロ)は元マフィアであり、8年前に仲間を密告したために命を狙われていた。
ジョバンニはFBIの保護を受けることとなり、彼を見張るスタンスフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、ジョバンニに目立たないようにと忠告する。
しかし、嫁のマギー(ミシェル・ファイファー)や2人の子ども、そしてジョバンニは周りの人間たちに対してマフィアならではの攻撃性を見せるのだった・・・




レオン」「フィフス・エレメント」のリュック・ベッソン監督最新作です。

本作はマフィア映画に多大なリスペクトを捧げています。
主人公を演じるのが「アンタッチャブル」「ゴッドファーザー PartII」でマフィアを演じていたロバート・デ・ニーロというのがその最たるものでしょう。
さらに作中では「デニーロ自身が主人公を演じていた映画を観る」という展開まであります。

そして、本作は「(元)マフィア一家の日常」を描くという一風変わった娯楽作になっています。
マフィア映画に詳しいほど、この映画はより楽しめるでしょう。

しかし、マフィア映画への愛情を感じる反面、物語のほうはかなり物足りません。
工夫をすれば、
「一見普通の家族が実はマフィアだった」というギャップを売りにしたコメディにもできるはずですし、
「普通になれないイレギュラーの人々」という悲しみを描いた人間ドラマにもできるはずですし、
「家族で力を合わせて奮闘する」アクション満載の痛快な物語にもできるはずです。

その要素はあるにはあります。
しかし、どれも「少しずつだけ描いている」ためか、中途半端さが否めませんでした。
せめて、もう少し中盤の登場人物の行動が、ラストの展開に生かされていたらよかったのですが・・・

たとえば、同じように社会になじめない家族を描いた傑作アニメ「Mr.インクレディブル」では、一家の個性、家族の絆がしっかりと描かれています。
何度観ても新しい発見があるMr.インクレディブルに比べると、マラヴィータはあらゆる点で「もったない」と思わずにはいられませんでした。
マフィア映画好きに向けた「小ネタ」を仕込むのは大いに結構なのですが、もう少し脚本のほうを練ってほしかった、というのが本音です。

この映画で痛快なのが、マフィア一家の彼らが「気に入らないやつを痛い目にあわせる」という展開です。
日頃からムカツク人が周りにいるのであれば、ちょっとスッキリできるのかもしれません。

ちなみにタイトルの「Malavita」とはイタリア語で「裏社会」という意味です。
そして作中に登場する犬の名前でもあります。
はたしてマフィア一家が「裏社会」に生き続けるのか、それとも平穏な日常を手に入れることができるのか・・・それを楽しみに観てみるのがよいでしょう。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-11-22 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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おばあちゃん萌え傑作恋愛映画「燦燦 -さんさん-」ネタバレなし感想+お気に入りシーン

今日の映画感想は燦燦 -さんさん-です。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:みんなめっちゃ可愛い


あらすじ


鶴本たゑ(吉行和子)は夫を亡くし、どこか物足りない思いを抱えながら日々を過ごしていた。
そんなときに彼女は、婚活場に飾ってあったウェディングドレスを見て心をときめかせる。
77歳の彼女が、はじめての婚活に挑むー




超おすすめです!これはめちゃくちゃ面白いよ!

本作の物語は「77歳のおばあちゃんが婚活に挑む」というものです。
この時点で「年甲斐もなく」「みっともない」と思われるかもしれませんが、本作にはそんな価値観を壊すだけの力強いメッセージを感じました。

そこには、強がりなんてものは感じません。
本作の主人公は、自分自身が燦燦と輝くために婚活をして、幸せになるための冒険をするのです。

本作は恋愛ものとして優れています。
ほんの少しのすれ違いや、心の揺れ動き、そして絵に描いたようなツンデレまで出てくるので、観ていてニヤニヤが止まりませんでした。
主人公を演じる吉行和子さんがまた可愛くって仕方がありません。その一挙一動に「おばあちゃん萌え」を感じざるを得ませんでした。

コメディ映画としても面白いです。
自分の歳や病気を皮肉ったギャグって普通は笑いにくいと思うのですが、これは本当に気兼ねなく笑えます。
こうしたギリギリのラインを保ったギャグであると、本当に楽しいのですね。

婚活の裏側を覗けることも楽しいです。
おそらく「あるある」がたくさんあり、実際にも映画で登場したようなご高齢の婚活者もいらっしゃるでしょう。
実際に婚活をされた方が観ると、いろいろと思い当たる節があるかもしれません。

なおかつ「老い」と「死」を描いたドラマとしても優れています。
本作では「残り時間は少ない」や「この先はない」などの、ご高齢ならではの悩みや葛藤が登場しています。
婚活で出会った運命の相手は主人公にどう言ったのか、主人公はなぜ夫と死別したのかー
そのエピソードの描き方はこれ以上のものはないと思える素晴らしさでした。

これだけのことを描いておいて、上映時間が81分というのもすごい!
本作に比べると、ただただ冗長な映画がなんて多いことだろうかと、思い知らされました。
ラストシーンも大好きです!

今作の監督・脚本・原案を手がけた外山文治さんは、まだ33歳の俊英です。
この先のご活躍を、もっと追いかけたくなりました。

また、作中で脇役のおじいちゃん、おばあちゃんたちを演じたさいたまゴールド・シアターの方たちの活動も全力で応援をしたくなりました。
みんな生き生きと、楽しそうに演技をされていました(演技とは思えないくらいに)。

そして・・・この映画の最大の難点はその公開時期であると思います。
ただでさえこうした地味な(あえて失礼な表現を使っています)日本映画は注目されにくいのに、なぜ「くじけないで」「ペコロスの母に会いに行く」という、同じく高齢者を主人公とした映画と同じ日に公開してしまったのでしょうか。

客層がかぶるために、まずます観られなくなってしまうことは明白です。
まだ公開から1週間もたっていないのですが、よほど観られていないのか1日の上映回数が激減しています。
これはもったいないと言わざるを得ません。

とにかく、ご高齢の方はもちろん、若い人にも大プッシュでおすすめします。
夫婦やカップルで観る映画としては最高でしょう。
今からだと、観る時間の都合がつきにくいのが残念で仕方がありません。

これから公開する劇場もあるので、ぜひチェックしてみてください。
とにかくおすすめです!(3回目)

以下は序盤のみがネタバレ&以降の展開もほめのかす程度にネタバレ↓
今回は観ている人が少ないと思うので、結末などは書きません。
以下は作中で面白かったシーンをちょこっとだけ載せています。
これで興味が出たら、ぜひ劇場へ。もちろん以下を読まずに観たほうが、より楽しめると思いますよ。

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2013-11-21 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 1
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あなたの詩 映画版「くじけないで」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はくじけないでです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:武田鉄矢のダメ息子がハマり過ぎ


あらすじ


柴田トヨ(八千草薫)は夫に先立たれ、無気力になっていた。
そんな折、無職でギャンブルばかりしている息子・健一(武田鉄矢)は、新聞の詩の広告を見てトヨに詩を書いてもらうことを思いつく。




柴田トヨによる同名の詩集を原作とした作品です。

柴田トヨ
680円
powered by yasuikamo

映画には続編となる詩集「百歳」の内容も含んでいます。

自分もこの本が大好きです。
短い詩の中でも、柴田トヨという人の優しさが伝わってきます。
お年を召した方にこういうことを言ってあげたい、こういう人の接したかたをしたいと、生きるヒントをもらうことができました。

詩集という、ひとつの物語として成り立たないものを映画化するにあたり、本作は数多くの工夫を凝らしています。
その工夫のひとつが、主人公の息子をダメ人間として描いていることです。
この映画の息子・健一は職を転々とし、なおかつ競輪場へ通い詰めるギャンブル好きです。
子どもに対して大人げない言動をしたり、無職なのにいばりちらしたりと・・・なかなかひどい(褒めことば)ものでした。

ダメ人間として描くことにより、母親の息子を思いやる気持ち、その無償の愛がより際立っています。
作中にも登場する「くじけないで」の詩もそんなダメダメな人(だけではないけど)に寄り添う内容であるので、より共感できるようになっています。

そのダメ人間を演じるのが武田鉄矢というのが、いい配役であると思いました。
本作で武田さんは「今のは金八先生に見えたのでやり直しです」と、何回もダメ人間を演じるためのダメ出しをもらったそうです。
その甲斐あって、ちゃんと本当のダメ人間に見えました。
武田さんがハローワークのお姉さんと話すシーン、母親に小遣いをせびるシーンのダメさだけでも観る価値があります。

ほかの役者もとても魅力的です。
柴田トヨを演じる八千草薫さんは可愛いですし、壇れいさんはとても奇麗であるし、ほかにもでんでん芦田愛菜までも出演するなど、とても豪華です。
個人的にはお医者さんの配役にちょっと笑ってしまいました。

もうひとつ本作で特徴的なことは、回想シーンの比重がとても多いことです。
回想シーンは現在の物語と平行して描かれるのですが、この構成が少々特殊です。
これにより主人公の内面をより深く知ることができるため、上手い手法であると思いました。

難点は、上映時間が2時間15分と長めなことです。
繊細な描写が魅力的な作品ですが、展開のヤマやタニがあまりないので、やはりダレてしまう方も多いと思います。
また、映画を観慣れていない方には、特徴的な構成に少し戸惑うかもしれません。

自分が観た回のお客さんは見事なまでにお年を召した方ばかりでしたが、若い人にもぜひ観てほしい作品です。
作中に提示される「人生の先輩」からのメッセージは、きっと心に響くでしょう。

この映画の最も素晴らしいところは、原作にあった詩の内容が、作中の物語と密接にからんでいることだと思います。
「この詩はこういう人に向けられたものなのか」「これは自分の状況に似ているな」などと、物語を通じて詩の新たな解釈を与えてくれます。

原作ファンの方は、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。
もちろん原作を読んでいなくても楽しめますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 著作権の関係上、作中の詩は一部のみを書いています。ご了承ください。

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2013-11-20 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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子どもがいないからでこそ 映画版「四十九日のレシピ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は四十九日のレシピです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:子どもを持たないすべての人に観てほしい!


あらすじ


百合子(永作博美)は夫(原田泰造)の不倫を知り、離婚届を突き付けてきて田舎に帰って来た。
そのときに家にいたのは、ロリータファッションに身を包んだイモ(二階堂ふみ)だった。
百合子は父の良平(石橋蓮司)とともに、イモが亡き妻の乙美から預かっていた「四十九日はみんなで大宴会を」と書かれたカードを見て驚くのだが・・・




百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督最新作です

本作はある特定の人々に明確なメッセージを送っています。
その特定の人とは、子どもを持たない(または産んだことがない)大人たちです。

本作の主人公の百合子は、不妊症のために子どもを持つことができません。
その母親である乙美も、四十九日のレシピを残したまま、子どもを産むことがないまま亡くなってしまいます。

百合子は母親が残したメッセージ「四十九日はみんなで大宴会を」ということばをみたことを契機に、母親の「年表」をつくりはじめます。
しかし、驚くほどに書くべきことが見当たりません。
百合子ははここで「子どもを産んだことのない母親の人生って空白ばかりなのね・・・」とつぶやきます。

子どもを持たないでいると、そのぶん確かに人生の経験が少なくなってしまうかもしれません。
「子どもを産むことこそが女性の役割である」だとか、「結婚もせずに大人になっているなんて」などの価値観がいまだ残っていることも、事実でしょう。

しかし、この作品では「子どもを持たなくても、できることがある」というとても尊いメッセージを送ってくれるのです。
この作品の登場人物と同じように子どもを持たない(持てない)大人たちに、あたたかな視線を送っているだけでも、自分はこの作品が好きになってしまうのです。
作中のことばを噛み締めれば、よりそのことが感じられるでしょう。

役者も総じて素晴らしかったです。
永作博美さんは「八日目の蝉」と同じく「子どもを持つ者に嫉妬する」という役柄ですが、その感情を見事に表現しきっています。ていうか43歳とは思えないほど可愛いです。

「不思議ちゃん」を演じた二階堂ふみもめちゃくちゃキュートです。
ロリータファッションが半端なく似合っていますし、少し舌足らずなしゃべり方も実に魅力的です。

岡田将生は日系ブラジル人(三世)というどう考えても無理がある役どころなのですが、カタコトの日本語も含めてムチャブリに見事に対応しきっています。
役者のファンにとっては、是が非でも映画館に足を運ぶべきです。

ただ、本作はエピソードの積み重ねがやや淡白で、クライマックスの描写も物足りなく感じました。
繊細な描写はこの作品の長所ですが、そのぶん肝心な部分が少しわかりにくく、唐突に感じてしまうところが出てきてしまっているのはやはり短所でしょう。
このあたりは、伊吹有喜による原作小説を読めば、より理解できるのかもしれません。

伊吹 有喜
630円
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また、タイトルには「レシピ」とありますが、映画においしそうな料理の描写はほとんどありません(せいぜい序盤のラーメンくらい)。
南極料理人」のような「観ていておなかが減ってしまう」要素を期待していた自分は、ちょっと肩すかしに感じてしまいました。

興行成績は芳しくないようですが、人生に疲れた大人にこそ観ていただきたい良作です。
観た後は、亡くなった人(そばにいる人でも)「年表」をつくって、その人生を顧みたくなってしまうかもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-11-18 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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悪いことばかりじゃない 映画版「ペコロスの母に会いに行く」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はペコロスの母に会いに行くです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:「認知症ギャグ」が面白すぎる!


あらすじ


雄一(岩松了)は、漫画を描いたり、音楽活動をしながら、サラリーマンとして長崎で働いていた。
彼の愛称は「ペコロス」。雄一は見事なハゲ頭を持っており、まるでそれは小さなタマネギを意味する「ペコロス」のようであったことから、この名前がついたのだ。
雄一は、父の死を契機に認知症を発症した母みつえ(赤木春恵)の面倒をみていたが、その症状は次第に悪化をしていく。




岡野雄一による同名のコミックエッセイの映画化作品です。

岡野 雄一
1260円
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原作は可愛く、笑えて、そしてほろりと涙を流せる素晴らしいエッセイでした。
はじめは自費出版で世に出されたにも関わらず、地元の長崎でベストセラーとなり、amazonのレビューでも絶賛の声が相次いでいます。

そしてこの映画版でも、原作のメッセージ性、その面白さが十二分に受け継がれていました。
その面白さの理由のひとつが、認知症の方の行動を明るく笑えるギャグにしていることです。

認知症は一度発症してしまうと、その症状は悪化をしていくか、よくても横ばいになるだけで、奇麗に治ったりするものではありません。
実際に認知症の行動で悩まされている方にとって、そのことはとても重く、苦しいものでしょう。
「認知症の行動を笑いに変えるなんて不謹慎だ」と思われる方もいるかもしれません。

しかし本作にそんな心配は無用です。
「勘違い」や「誇張」などのコメディのツボはしっかりと押さえられています。
認知症によって起こる数々の事件、そのシチュエーションは気兼ねなく笑えます。

しかも原作よりもグレードアップしているギャグもありました。
原作を読んだ方には「あ、あのシーンだ」と思えますし、「こうくるか!」とより笑えると思います。

そして本作は、「ボケるのも、悪かことばかりじゃないかもしれん」というメッセージを送ってくれます。
それは決して強がりではなく、作品を通じて「そうかもしれないなあ」としみじみ思えるものです。
実際に認知症で苦しんでいる人にとって、どれほど勇気づけられることばでしょうか。
それだけで、この作品が好きになってしまうのです。

キャストも豪華で、ベテランの岩松了赤木春恵は特に自然な演技をみせています。
さらに主人公のハゲ仲間(笑)として温水洋一竹中直人までもが登場します。
役者のファンにとっても見所がある作品でしょう。

難点もあります。
ひとつが、クライマックスの展開が原作を読んでいない方には少し伝わりにくいことです。
これは映画オリジナルの要素なのですが、個人的にはあまり乗り切れませんでした。

また、肝心な場面で協賛している会社の広告がデカデカと映り込むのがかなり興ざめです。
そこでアピールしても、いい広告にならないと思うのだけどなあ・・・

どちらかと言えばクスクスと笑えるギャグのほうがメインの作品なので、「大号泣の感動」を期待すると少し肩すかしかもしれません。

それでも、本作は老若男女に受け入れられる、心優しいヒューマンドラマとして存分におすすめします。
観た後は親孝行をしたくて仕方がなくなってしまうでしょう。
落ち込んでいるときに観ると、ちょっと前向きになれる作品であるとも思いますよ。

エンドロールの途中から「おまけ」がありますので、ぜひ最後までご覧ください。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 少しだけ原作の内容にもふれているのでご注意を。はじめに下ネタがあります。

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2013-11-17 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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死を見つめて・・・ 映画「悪の法則」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は悪の法則(原題:The Counselor)です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:はっきりしなさすぎ&哲学的すぎ


あらすじ


「カウンセラー」と呼ばれる弁護士(マイケル・ファスベンダー)は、恋人ローラ(ペネロペ・クルス)にプロポーズをして、人生の絶頂期にいた。
カウンセラーは実業家のライナー(ハビエル・バルデム)、裏社会のビジネスに携わるウェストリー(ブラッド・ピット)と手を組み、利益率4000%の麻薬取引に手を染める。
しかし、運び屋である男が何者かに殺され、運ばれるはずの麻薬が盗まれてしまう。
その男は偶然にも、カウンセラーが弁護を担当していた受刑者の息子であった・・・




グラディエーター」「プロメテウス」のリドリー・スコット監督最新作です。

まず、観ていてハラハラするサスペンスを本作に期待すると確実に裏切られます。
物語の大半を占めるのは登場人物たちの会話劇と、哲学的な思想の提示なのですから。

画面に映り込む様々なメタファーや、登場人物が意味深に語ったことばはその後の展開を暗示していたりします。
この映画は物語の面白さよりも、そうした「人間」に関する哲学的な考察を重視していると言ってよいでしょう。

ふつうの映画にある状況説明をわざと省いているような印象さえあります。
肝心の「カウンセラーが手を染めた闇のビジネス」の内容さえ深く語られません(せいぜいわかるのは↑のあらすじに書いたことくらいです)。
その後の状況も台詞で語られる場面が多く、ものすごく展開が理解しがたい内容でした。

脚本をつとめたコーマック・マッカーシーは、「ノーカントリー」の原作小説を手がけています。
ノーカントリーもまた、作中にメタファーが多分に盛り込まれた玄人向けの作品でした。
その作風は一部の映画ファンには喜ばれることかもしれませんが、娯楽作品を期待する方には不向きです。

自分は未見でしたが、今年公開された「ジャッキー・コーガン」も似た作風のようです。
こちらも豪華キャスト(ブラッド・ピット)を招いておいて、メタファーばかりで娯楽性を無視しまくっており、一般の方からの評価は惨憺たるものでした。
参考→<ぶっちぎりで変な映画『ジャッキー・コーガン』 - くりごはんが嫌い>


予告編にある「究極の『悪』を操るのは、誰?」というテロップや、公式ページのイントロダクションにある「最後に明かされる衝撃的な真実に触れたとき、あなたはあらがう術もなく『悪の法則』の虜になってしまうに違いない』ははっきり言って詐欺です

黒幕は序盤からしっかりと示されますし、観てすぐに驚けるような結末ではありません。
これは配給会社か、または宣伝の内容を提案した人の責任でしょう。
予告編のセンスは大好きなのですが・・・ちなみに予告編で使われているAWOLNATIONの楽曲は本編に使われてません。
<AWOLNATION - Sail (Official) - YouTube>

さらに作中で、スペイン語で会話をするワンシーンが訳されていないままになっているのも気に食わないです(ご丁寧に映画がはじまる前に『お断り』が表示されます)。
その会話の内容は海外のWkipediaなどでも書かれてなかったので知りようがありません。これも作品のモヤモヤっぷりを加速させる要因になっているように感じます。


豪華キャストに惹かれて観に来た、というだけでは期待を裏切られること必死です。
少なくとも、デートには全くおすすめできません。
外国人のイケメンが活躍するデート向けの映画が観たいのであれば「グランド・イリュージョン」を選びましょう。

R15+指定の理由にはエロもグロもあるのでご注意を。
エロ描写では「想像させる」シーンが強烈で、殺人の描写には悪趣味な「こだわり」を感じてしまいました。

これは成熟した大人がひとりで観て、自身の死生観や生き方について思いなおす、という作品なのでしょう。
個人的には、哲学的な思想そのものには好きなものが多くありました。
それを理解できれば、作品に奥行きを感じられると思います。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 未成年者にはふさわしくない記述がありますのでご注意ください。

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2013-11-15 : 映画感想 : コメント : 20 : トラックバック : 0
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主君のために 映画版「清須会議」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は清須会議です。


個人的お気に入り度:3/10

一言感想:会議そのものがつまらないってどういうことなの・・・


あらすじ


本能寺の変によって織田信長がこの世を去り、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)がそれぞれ後見人として名乗りをあげた。
勝家は信長家の三男・信孝(坂東巳之助)を、秀吉は次男・信雄(妻夫木聡)を後継者として指名する。
両者はそれぞれの方法で、味方となる人物を探すのだが・・・




THE 有頂天ホテル」「ステキな金縛り」の三谷幸喜監督・脚本最新作です。

本作で描かれるのは、本能寺の変が起こった後の、戦国武将・織田信長の跡継ぎを決めるための5日間の様子です。
その本題となる清洲会議は実際にあった出来事であり、重要な歴史上の1ページとして扱われていました。
三谷幸喜はこれを大胆に解釈して原作小説を書き上げています。

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歴史はその多くが戦争によって変わりましたが、本作は人間同士の話である「会議」によって主導権が動く様を描いています。
武器もなく、血も流さない、人間同士のぶつかり合いこそが世の中を変えるということが、この清須会議の面白さなのだと思います。


しかし、個人的にこの映画はつまらないと感じてしまいました。

理由のひとつが、コメディとして笑えないことです。
笑いのほとんどは、「滑って転ぶ」などの直接的かつ短絡的なものです。
あとは突然「いいよ」「トロくさ!」などの現代風の言葉遣いになったりするものばかりです。
妻夫木聡のバカ殿っぷりは楽しかったのですが・・・

何より、物語そのものが「相手の見ていないところで裏をかく」というあまり気持ちいいものではないので、いくらコメディシーンを連発されてもうれしくないのです。
本作は痛快愉快に感じるシーンが少なく、とても陰湿な印象を受けました。

そして「会議の面白さ」を期待すると確実に裏切られるでしょう。
物語の大半は、「柴田勝家と羽柴(豊臣)秀吉が、会議に至るまでに味方をたくさんつけようと頑張る」というものです。
たった1日だけ行われる会議には、逆転劇のカタルシスなどは全くありません。
ただただ、すでに勝敗が決まっている消化試合を見ているような感覚でした。

三谷幸喜は脚本家として、傑作法廷サスペンス「十二人の怒れる男」のオマージュ作品である「12人の優しい日本人」で会話劇を描いていました。

塩見三省
2193円
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二転三転する逆転劇が魅力的な秀作として知られており、この「清須会議」でもそうした痛快さを求めた方はきっと多いことでしょう。
それは期待をするべき方向が違っていた、というだけのことなのかもしれません。

「総勢26名のオールスターキャスト」も魅力のひとつですが、残念ながら物語に生かせているとは思えません。
たとえば膨大な数のキャラクターが出てくる群像劇「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」は、それぞれのキャラクターがどこかで影響を与え、とんでもない結末につながっていくという面白さがありました。

一方「清須会議」の登場人物は、それぞれが一本の糸のような直線的な行動ばかりで、幾重にも折り重なるような脚本の妙を感じません。
作中で物語にほとんど影響しない人物が何人もいたことも残念でした。

上映時間も2時間18分と大変長く、着地点も不明確になりがちなので、よけいに冗長に感じてしまいました。


反面よいと感じたところは、これほどの登場人物が入り乱れているのにも関わらず、人間関係が比較的把握しやすいことです。
ネットでは「予習が必要」というご意見が多かったのですが、自分は決してそうは思いません。
主として動くのは柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)の2名のみで、それ以外のキャラクターはどちらかの味方になるという塩梅なので、大きく混乱することは少ないでしょう。

役所柴田  VS  大泉秀吉  

*基本的な構図はこれだけ、あとの登場人物は「おまけ」みたいなものです。

ただ、信長家の人間が、それぞれ「信長(のぶなが)」「信忠(のぶただ)」「三十郎信包(さんじゅうろうのぶかね)」「信孝(のぶたか)」「信雄(のぶかつ)」とかなりややこしいです。
「こいつは信なんだっけ?」となりがちなので、メインで活躍する以下の3人だけでも把握しておくとよいかもしれません。

三十郎いせたに<三十郎信包(伊勢谷友介):信長の弟。変わり者。

ちゃんとしているのぶたか<信孝(坂東巳之助):信長家の三男。まとも。勝家が味方につけようとする。

バカの妻夫木<信雄(妻夫木聡):信長家の次男。バカ。秀吉が味方につけようとする。

*ちなみに子ども時代の江(ごう)もチラッと登場します
お市の方と秀吉の関係も知っていると、より楽しめるかもしれません

役者たちの中では、豊臣秀吉を演じた大泉洋さんのムカつき具合、意外にも(失礼)剛力彩芽さんの雰囲気がとてもよかったです。
まあ松山ケンイチ天海祐希など、もったいなさすぎる役柄の方もいましたが・・・

おすすめしませんが、豪華キャストのファンである方、三谷幸喜の作品はすべて網羅したいという方は観てみるのもよいかと思います。
愉快なコメディではなく、政治のためにドロドロになっていく人間関係の面白さを期待すれば、楽しめるかもしれません。

↓以下、結末も含めてネタバレです

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2013-11-14 : 映画感想 : コメント : 10 : トラックバック : 0
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ひとりじゃない 映画版「ルームメイト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はルームメイト(2013)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:完全に騙された・・・・


あらすじ


派遣社員として働いている春海(北川景子)は交通事故に遭い、入院先で仲良くなったの看護師の麗子(深田恭子)誘いにのりルームシェアをはじめる。
しかし麗子の言動や行動には不可解なことが多く、やがて常軌を逸していく。
春海は事故の加害者であった謙介(高良健吾)に助けを求めるのだが・・・




オトシモノ」「今日、恋をはじめます」の古澤健監督最新作です。
Another」にはひどくがっかりしたのですが、この映画はとても面白かったです。

同じ題名のハリウッド映画がありますが、本作はそれとは全くの無関係です。
原案は故・今邑彩による小説です。

今邑 彩
820円
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*amazonレビューにはすさまじいネタバレがあるのでご注意ください

あくまでも「原案」ですので、登場人物の設定やオチは小説と映画では全く異なります
この原作小説を読んだ方にとっても、この映画は別の物語として楽しめるでしょう。

「ルームメイト」というタイトルだけではわかりませんが、本作のジャンルはホラー・サスペンスです。

面白いのが、作品に隠されている真実の提示方法が実に上手いことです。
このオチにつながるヒントは作中に無数にちりばめられているのですが、自分はすっかりだまされてしまいました。

ミスリーディングが巧みで、かつ「思わせぶりな行動があったけど、実は何もなかった」というようなこともありません。
すべてのシーンに意味があり、それをよく考えてみると、真実にたどり着けるという構成になっています。とても観客に対してフェアです。

少し現実離れしているところがあるので、リアリティをとにかく重視する人には向きません。
しかし、この手の「シックス・センス」や「ユージュアル・サスペクツ」などの衝撃のオチ(どんでん返し)が好きな人にはぞんぶんにおすすめできます。
ただただ騙される快感に酔うのもよし、観ながら「騙されてやるものか」と考えを巡らせてみるのもよいでしょう。

ルームシェアは最近になって若者の間で流行りはじめましたが、違法となる物件や、人間関係のこじれなどでトラブルも相次いでいます。
「都会に出たらルームシェアがしたい!」と思っている方は、この映画を観るとその考えを改めてしまうかもしれません。

主演の美女二人の演技力も格別です。
個人的にはブライアン・デ・パルマっぽいスプリット・スクリーンの演出も魅力的でした。

良質なサスペンス映画を期待して、ぜひ劇場に足を運んでみてください。
PG12指定だけあって人が傷つけられるシーン、性的なシーンもあるのでお子様の鑑賞にはご注意を。
なるべく予備知識なく観ることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ いきなりオチ部分を書いているので、未見の方は絶対に読まないように!

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2013-11-13 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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子どもが本当に大切なの? 映画版「ハダカの美奈子」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はハダカの美奈子です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:こういう親にはなりたくないかな・・・・


あらすじ


「痛快!ビッグダディ」の物語から10年。離婚して小豆島を離れた美奈子(中島知子)は、介護施設で働きながら子育てをしていた。
美奈子のもとに、5年前に家を飛び出した長男シオン(菅谷哲也)から結婚の知らせが届く。
美奈子とその家族は、結婚を祝うためにシオンのもとへと旅立つ。




どうしよう・・・意外と面白かった・・・・
冗談抜きで、映画としては至極まっとうな作りになっていて、楽しめました。
今年の「この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞」の有力候補ですが、映画って観てみないとわからないものですね。


原作はタレントの美奈子による自伝本です。

林下 美奈子
1260円
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自分は原作を読んでいなかったのですが、「思春期の子どもがいるにもかかわらず、自分の性体験を赤裸々に語っている」という内容だと聞いて読む気がしませんでした。

彼女はネット上で大いに嫌われていますし、個人的にも好きではありません。
辛い経験を経て、それでも多くの子どもを育てているのは確かに尊いことですが、それ以上に「無責任」「自己中心的」「子どもを人生の材料としか思っていない」と感じる方が多いでしょう。

そして本作は、そんな美奈子を全肯定する内容です。
つまり、(あまりこのことばは使いたくないけど)(語弊もあるとは思いますが)本作は究極のDQN礼賛映画です。

DQN(ドキュン)・・・それなりに流行ったネット用語。「非常識で知能が乏しい者」「ヤンキーみたいな風貌の人間」を指す蔑称。

子どもがみんな「キラキラネーム」ですし、子どもはあの映画みたいに親を名前で呼び捨てにします。
そしてセックスするときは避妊はせず、悪びれることもなく、たくさん子どもを産むという内容です。
人によっては不愉快きわまりないでしょう。

この内容を鼻で笑える大人ならよいですが、アイデンティティが確立していない子どもに観せるのは危険です。
いっそR15+指定にしてもよかったのではないでしょうか(しかもR18+バージョンが公開するらしいし)。

当然のことですが、子どもをたくさん産むと、教育費や食費がかさんで大変です(そのことは作中にも提示されます)。
子どもを産むために生活基盤を整えるのは当たり前のことですが、この作品では「そんなの考えるのは後回し」に思えてしょうがないです。
せめて子どもには避妊について教えてやってください。

そしてすさまじいのがクライマックスです。
これはもう笑いをこらえるのが大変でした。


あの騒動を起こしていた中島知子の演技も悪くないと思いましたし、子役も皆いい演技をしています。
作品のキーパーソンを演じた螢雪次朗も、抑えた演技がとても魅力的でした。

途中でロードムービーの要素があるのも面白いし、伏線もしっかり使われています。
不覚にも、涙腺がゆるんでしまったところもありました。
監督・脚本を手がけた森岡利行さんの作品を、もっと観たくなりました。

痛快!ビッグダディ」が好きだった方であれば、その「その後」を描いた物語としても楽しめるでしょう。

本作は多くのことを事実よりも美化しているとは思うのですが、それも肯定的に捉えたいです。
たとえば「誰も知らない」は実際の事件をもとに作られた映画ですが、実際は非道な正確だった長男を、心優しい人間として描いています。
この作品でも、多くの人から嫌われている美奈子を「いい人」と描く映画があってもいいじゃないか、と思えたのです。
まあ、近未来の物語であると知ったときには悪い意味での驚きを隠せませんでしたが・・・

子どもをたくさん産んでもかまわないって主張している映画ですので、それをどうしても肯定できない人にはおすすめしません。
しかし、美奈子のファンであるという方、またはその主張を笑い飛ばせる覚悟がある人にとっては、観てみるのもよいと思いますよ。

以下、結末も含めてネタバレです↓ 

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2013-11-11 : 映画感想 : コメント : 11 : トラックバック : 0
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悲劇の理由 リメイク版「キャリー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はキャリー (2013)です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:キャリーが可愛すぎる・・・

あらすじ


いじめられっ子の女子高生・キャリー(クロエ・グレース・モレッツ)は、激しい興奮状態に陥ると発動するテレキネシスを持っていた。
つらい日々を送るキャリーは、ある日女生徒たちの憧れの的であるトミーからプロムに誘われる。
それはいじめを傍観していた同級生のスーが、キャリーのためにと思って頼んだことだった。
しかし裏では、キャリーへのいじめの首謀者・クリスが残酷ないたずらを考えていた・・・




スティーヴン・キングによる同名の小説を原作とした映画です。
1976年にもブライアン・デ・パルマ監督により映画化されています(2002年にもTV映画化されていたそうです)。

シシー・スペイセク
909円
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この1976年版(以下、旧作)はスティーブン・キング原作の作品の中でも評価が高い一本で、数多くの映画ファンを魅了してきました。

このキャリーを語るにおいて欠かせないのが、青春映画の側面がとても強い作品であるということです。
主人公のキャリーはいじめられっ子の上、狂信的な母親から「女性にとって必要な知識」を教えられていません。
ちゃんと彼女を見てくれている学校の先生もいるのですが、それでも最後にはさらなる悲劇が彼女を襲うのです。

キャリーは、あまり「ホラー」を期待して観る作品ではないと思います。
少なくとも、怖いシーンを観てキャーキャー言うようなアトラクション的な映画ではありません。
これは主人公の気持ちを繊細に描き、そしてクライマックスで爆発させた、切なく悲しい物語なのですから。


さて、この2013年版(以下、新作)は原作の映画化というよりも、旧作のリメイクであるであると強く思わせる作品になっています。
大筋のプロットは旧作とほぼ同じで、キャラクターの配置や、印象的なシーンもほぼそのままです。

主演のクロエ・グレース・モレッツは「リメイクではなく原作の再解釈」と語っていますが、自分はそうとは思えません。
原作小説は「すでに起こっている事件を、新聞記事やインタビューにより回想する」という実験的な作品であり、旧作はそれを映画として観やすいように工夫して構成されていたのですから。
この新作「キャリー」は、旧作のスピリットを全面的に受け継いだ映画と言えるでしょう。


しかしこの新作は、インパクトやその奥深さでは旧作より劣っていると言わざるを得ません。

その理由のひとつが、主演のクロエ・グレース・モレッツいくらなんでも可愛すぎることです。
演技面では挙動不審で不器用な女の子をとても上手く表現しているのですが、容姿が良すぎて全然いじめられっ子に見えません。
彼女はめっちゃ肩幅も広いので、いじめっ子を余裕でぶん殴って倒せそうに見えますw
キック・アスヒットガールのイメージのせいだけではないでしょう。

旧作のシシー・スペイセクがすさまじいまでのはまり役だったのに対し、新作でのキャリーはミスキャストであると思わせてしまうのが、一番の欠点でしょう。

キャリー映画1<旧作   キャリー映画2<新作

またキャリーの葛藤や苦しみ、超能力の発現の過程も若干描き方が異なっており、全体的にライトな印象になっています。
旧作ではキャリーの悲しみが胸に突き刺さるようにまで感じられたのですが、新作はそこまででもないのです。

これはクロエを主演に迎え、キャリーのキャラクターそのものが少し変わったためのようにも思えます。
旧作のキャリーは弱々しかったのですが、新作のキャリーはちょっと強気です。
新作の監督キンバリー・ピアース は、「ボーイズ・ドント・クライ」でも問題に立ち向かう人間を描いていました。
監督の正義感や作品への思い入れが、今回のキャリーのキャラクターを作り上げたように思えます。

ちなみにキャリーの母親役のジュリアン・ムーアは最高に役にはまっていました。


新作ならでは良い部分もあります。
そのひとつが、旧作に比べてはるかにとっつきやすくなったということです。
具体的には、同級生の「スー」の立ち位置が旧作よりはるかにわかりやすくなっています。
旧作のスーは善玉か悪玉か判別しにくいキャラであったので、今の世代に受け入れられるための良い変更点だと思いました。
ほかの登場人物の描写もスッキリまとめてあるため、観ていて混乱することはありません。
少し冗長さがあった旧作に比べ、編集がスピーディーになって観やすくなっているのもよかったです。

ほかにも追加されたシーン、変更されたシーンがいくつかあります。
とってつけたようなものが多かったのは残念ですが、旧作を観ていると「おっ」と驚けるシーンもあるので、旧作のファンにとっても観る価値がある一本でしょう。


旧作との比較ばかりになってしまいましたが、この新作からはじめてキャリーを観る人には、ホラーと青春要素を兼ね備えた映画として存分におすすめします。
新作を観てから、旧作を観てみるのもよいでしょう。
新作はよりわかりやすく旧作はより奥深く、と印象だったので、ふたつを見比べることによってより作品を深く理解できると思います。

ちなみに新作はPG12指定で、残酷描写はもちろん性的な話題や描写もあるので、小学生以下のお子様にはとてもおすすすめできません。
ちなみに旧作はR15+指定でした(たぶん冒頭で少女のヌードシーンがばっちり映っているせい)。
テーマのことを思えば若い人にも観てほしい映画ですが、くれぐれもご注意を。

以下、結末も踏めてネタバレです、観賞後にご覧ください↓ 旧作との比較も書いている(旧作の内容が少しだけネタバレする)のでご留意ください

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夢をあきらめられない人に 映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はばしゃ馬さんとビッグマウスです。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:心から応援して、本当にイタくて、そして涙を流して・・・


あらすじ


馬淵は脚本家志望の34歳。10年以上も脚本を書き続けているが、コンクールの一時審査にも通らない有様だった。
天童は口だけは達者な「自称天才脚本家」の28歳。彼は一度も脚本を書いたことがないのに、上から目線で他人の脚本を語るのだった・・・




人が映画を観る理由は、「観たことのないファンタジーを観たい」「素敵な恋愛を観たい」など、様々です。
この「ばしゃ馬さんとビッグマウス」はそういう「夢のある」作品群とは違います。

なにせこの映画が描いているのは、「シナリオコンクールに10年以上落ち続けている脚本家志望の女性の奮闘+α」なのですから。
この映画はとことん「夢にやぶれている人」を描いているのです。

人は生きているうちに、何かをしたい、成し遂げたいと思うことが多々ありますが、それが達成できるのはほんの一握りです。
本作は、そんな一握りからこぼれ落ちた大多数の人生を、とても丁寧な描写によって教えてくれるのです。

これはかつて夢に破れた方、これから夢を追いかけようとしている人にとって、きっと「糧」になるでしょう。
クスクス笑え、ときには登場人物を本気で応援する娯楽作でありながら、心を動かされっぱなしの青春映画でした。


本作の監督は、「さんかく」でコアな映画ファンを虜にした吉田恵輔です。

高岡 蒼甫
3698円
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監督の持ち味は、ほんの少しの台詞のおかしみや、登場人物の変化をじっくりと描いた、その繊細さにあります。
時に笑い、時に心が締め付けられそうになる・・・とても感情を刺激してくれるのです。

そして「イタさ」も満載です。
登場人物の行動や言動が本当にイタくて、「もうやめてあげて!」と言いたくなることのオンパレードでした。
これもある意味意地悪なんですが、それ以上の優しさも垣間見えました。

「ばしゃ馬さん」を演じた麻生久美子、「ビッグマウス」を演じた安田章大も素晴らしかったです。
麻生久美子はとことん不器用な(しかもちょっとめんどくさい)女性を、安田章大はとことん軽薄で頭の悪そうな青年を見事に演じています。

ばしゃ馬さんは、はじめはビッグマウスの「他人の批判をするだけで脚本を書かない」ことを嫌うのですが、徐々にこの関係が変わってくる過程にはニヤニヤが止まらず、時には涙を流してしまいました。

また、作中に登場する介護の現場やシナリオスクールの描写がリアルすぎて驚愕しました。
丁寧な取材と、作り手の実体験こそがこの映画を生んだのだと実感できました。


難点は、負けている人たちの日常をとことん描いている作品であるため、物語の起伏が少ないと感じてしまう可能性があることでしょうか。
(上映時間も約2時間と、この手の映画にしては長めです)

その日常にもほんのちょっとの変化がいくつも見えますし、伏線もしっかり使われていて、何より台詞の数々が抜群に面白いので、(個人的には)全く退屈することはありませんでした。
その「王道」から離れている話作りは優れている点ですが、人によっては受け入れられない短所でもあるでしょう。

何かに挫折したことがある人にとっては「あるある」の連続で、共感すること必死です。
しかし、人生をちゃんと計画通りに、順風満帆に送れている人にとっては共感しにくいでしょう(もっとも、そんな人はそれほどいないと思いますが)。
その意味では、少し観る人を選んでしまう作品かもしれません。


これは、映画でこそ作れる作品なのだと思います。

TVドラマでは、「史上最高の名医」「必ず勝訴をする弁護士」など、その道のプロフェッショナルや何かに秀でた人間が出てくることがとても多いです。
それは、視聴者に「面白い」と思われるために必要な要素であるからです。それがなければすぐに打ち切りになるか、その前に企画自体が通らないでしょう。

この「ばしゃ馬さんとビッグマウス」はそういったしがらみから離れています。
「ばしゃ馬さん」は秀でていることはなく、長年努力を続けたあげくに「才能がない」と自分を責めることまでします。
「ビッグマウス」はある意味もっとダメな、「口先だけ」の人間です。
これは監督が優しい目線で、そんな「負けた人」や「ダメな人」たちにエールを送っている、とても尊い作品でした。

残念ながら興行成績は芳しくないようですが、一人でも多くの方に観て欲しい傑作です。
キャッチコピーの「人生、シナリオ通りには進まない」に共感を覚えたのであれば、迷わず劇場に足を運ぶことをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-11-08 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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ごり押しお気楽アクション映画「2ガンズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は2ガンズです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:観た後に何にも残らない(ほめ言葉)

あらすじ


デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグがコンビを組んで銀行強盗をするんだけど、あの組織とか組織とかあの組織とかが盗んだ金を奪おうとしてしっちゃかめっちゃかになる話。




仲が良く、趣味の悪い男同士で、何も考えずに観られる映画がないかなーとお探しであれば、これをチョイスすればとりあえずはOKです。

仲が悪いんだか良いんだか微妙なコンビが、撃ち合ったりギャグをかましたりするだけの単純娯楽作です。本当これ以上書くことがなくなってしまう勢いです。


本作は4300万ドルの大金を、4つの組織それぞれが奪い合うというプロットです。
三つ巴ならぬ四つ巴の攻防が描かれ、さらに一癖も二癖もあるデンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグのコンビが戦いの中心に配置されています。

こう書くと複雑すぎて混乱する内容に思われるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
キャラクターの描写はシンプルにまとまっていますし、個性豊かなので対立の構図は把握しやすいでしょう。
単純に楽しめる内容にするために、わかりやすい編集と構成がなされているのは優れた点であると思います。


問題はシンプルかつライトすぎて、キャラクターに奥行きが感じられないことです。
また、相手を陥れるための知略や戦略は皆無と言ってよく、敵も味方もほぼごり押しで相手に立ち向かっています。

そのごり押しっぷりもギャグにしているのはよかったのですが、知的なゲームを期待するとがっかりすることは間違いありません。
このことも「楽しければそれでいいや」と広い心を持てば問題ないでしょう。


また、日本ではなぜかG(全年齢)指定ですが、動物が傷つけられるシーンがあり、銃殺のシーンが非常に多いのでPG12指定と思って観ることをおすすめします。
だいたい主人公たちがすることが銀行強盗なので、教育上悪いことこの上ないですしね。

こんなふうに銀行強盗をする映画です。<楽しく銀行強盗をする映画です

ちなみに本作は「やられたらやり返す」という展開ばかりの映画です。だいたい1.5倍返しくらいしています。
映画「42」で「やりかえさないこと」にフラストレーションを持たれた方は、これを観てストレス解消をするのもいいかもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2013-11-07 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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好きすぎて絞れない個人的SF映画ベスト10

毎年恒例の「男の魂に火をつけろ!」さんの人気企画:〇〇映画ベスト10に参加いたします。

今回の対象となる映画はSF映画です。
<投票はこちらでどうぞ!>

SFかあ・・・SFって「宇宙もの」だけでなく、「超能力もの」や「タイムトラベルもの」があるなど幅広いから、なかなか選ぶのが大変そうですね(楽しいけど)。

選定の際には、「みんなのシネマレビュー」のSF映画のジャンルに絞ったランキングを見てみるもよいのではないでしょうか。
<こちらをご参考にどうぞ>

そんなわけで、以下個人的SF映画ベスト10です。

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2013-11-05 : いろいろコラム : コメント : 9 : トラックバック : 0
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強さと優しさ「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々2:魔の海」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はパーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:なかなか「普通」から脱却しないファンタジー

あらすじ


ハーフゴッドのパーシー(ローガン・ラーマン)が済む訓練所が、突如「コルキスの牛」に襲われた。
それをきっかけにモンスターを締め出していたバリアが破られ、それを守ってきた「タレイラの木」も枯れようとしていた。
パーシーたちはタレイラの木を復活させるため、魔の海にある「黄金の毛皮」を探す旅に出る。




児童書原作のファンタジー映画「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」の続編です。

ローガン・ラーマン
1486円
powered by yasuikamo

主人公の名前をタイトルに関しているティーン向けの作品ということもあり、「ハリーポッター」の亜流でだと思っている方も多いことでしょう。

主人公が有名人の息子だったり、学校(訓練所)で訓練していたり、女の子と男の子一人づつで仲良しトリオを組んでいるなど、作品の中にもたくさん共通点がありました。


もちろん本作ならではの要素もあります。
そのひとつが(すげーびっくりしたのですが)魔法をあんまり使わないことです。
主人公の主な武器は「簡単に収納ができる便利な剣」だし、仲間たちも棒や体術を使って戦っていました。これ本当にファンタジー映画か。

主人公は一応水を操ることもできるのですが、当然海のない場所では全然力が使えませんw
この手のファンタジー映画の中では、かなり弱い主人公なのではないでしょうか。
後にドラえもん的な便利アイテムが出てきたのは嬉しかったのですけどね。


もうひとつの特徴は、ギリシャ神話をモチーフとしていることです。

主人公は海の神ポセイドンと人間の子どもである「ハーフゴッド」であるという設定ですし、ほかにも神の子どもにあたる人物、ケンタウロスなどの神話に登場するキャラクターたちがたくさん出てきます。
物語や設定はもはや元のギリシャ神話なんて関係ないレベルですが、これはこれで楽しいものです。


ただし、やはりと言うべきか、物語やビジュアルは既視感ありまくりで、独自性は感じませんでした。
主人公たちの旅路は「仲間たちとパーティーを組んで、途中でモンスターと戦って、アイテムを手に入れて、ボスキャラのいる場所を目指す」というまるでRPGのストーリーのようです。

主人公の葛藤や成長もライトなノリで、そこに深みはありません。
一番はじめのバトルや中盤のタクシーのシーンは楽しいのですが、それ以外は新鮮味に乏しく感じてしまうのは明らかな欠点でしょう。


また飛び出す武器、水しぶきなどの3D演出が非常に優れているので、3D版を充分におすすめできます。

3D感抜群<3D感抜群

この「ステンドグラスで物語を説明する」シーンの奥行き感はかなりのもので、これだけでも3Dを選んだ甲斐がありました。


また、本作の吹き替え版ではいろんな意味で有名な「宮野真守」が主人公の声をつとめているので、声優ファンにとっても観る価値のある映画でしょう。

そして、あのゆるキャラのふなっしーまでもが声優に参加しています。

ふなっしーず<いろんな意味でイレギュラー

ふなっしーが演じているのはちょい役ですし、いろんな意味でハマっていたので存分にアリだと思えました。
宮野真守がふなっしーにダメ出ししているのも面白いですね。


結論としては、はじめて劇場で映画を観る子どもには大いに楽しめるけど、映画を観慣れている大人にはやや物足りない、という印象です。
ファンタジー映画は小粒なものから大作まで幅広く作られているので、これからは革新的な作風が求められるのかもしれません。

前作を観ていなくても楽しめますし、テンポがよいのでひとまず退屈はしないでしょう。
無難に楽しめるファンタジー作品としておすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ いつもよりもユルい感じでお送りします。

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2013-11-04 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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もっと頑張れ(いろんな意味で) 「悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

11月2日にDVD&ブルーレイが発売された悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲(原題:Texas Chainsaw 3D)の感想です。

アレクサンドラ・ダダリオ
3669円
powered by yasuikamo

個人的お気に入り度:5/10

一言感想:オリジナルへの敬意は感じられるけど、ちょっとおとなしめ


あらすじ


レザーフェイスが40年ぶりにチェンソーを振り回します。




秀作ホラー「悪魔のいけにえ」の正統的な続編です。

悪魔のいけにえの続編には、過去にコメディホラーへと変貌を遂げた「悪魔のいけにえ2」がありましたが、本作はそれをなかったことにしています。
まるでターミネーター3と4の関係みたいですね。

本作は思い切り「続編だと主張する」作品であり、なんと前作「悪魔のいけにえ」のラストの1時間後から始まるという内容です。
本作を先に見てしまうと、前作のラストのみならず印象的な展開がネタバレしまくってしまうので、前作を見てから鑑賞したほうがいいでしょう。

肝心の映画の出来は、正直可もなく不可もなくという印象です。
オリジナルのギラギラした熱量は感じません。
勢いを感じるシーンも少なくR18+というレーティングにしては残虐描写もおとなしめに感じました。

しかし脚本は思いのほかしっかりしていますし、オリジナルへのリスペクトをしっかり感じるのも事実。
リメイクの「テキサス・チェーンソー」より、やっぱり「悪魔のいけにえ」だよね!と思う方に存分におすすめできる内容です。

また本作の3D版のディスクは、日本国内では販売されないそうです。
自分は劇場で本作を観ていたのですが、正直3Dが効果的だったのは計3カ所しかなかったので、2Dで充分かと思います。
劇場公開版には「飛び出す」という邦題がついいたのに・・・「ファイナルデッドブリッジ」「ジャッジ・ドレッド」など、ちゃんと3Dを生かした悪趣味グロ映画がもっと出てきてほしいところです。

自分は見逃してしまったのですが、エンドロール後もおまけがあるので、最後までご覧ください。

以下は盛大にネタバレです 鑑賞後にご覧下さい↓ 

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2013-11-03 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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やり返さない勇気 映画「42 世界を変えた男」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は42 世界を変えた男です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:野球のサクセスストーリーではなく、人種差別と戦う物語


あらすじ


ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は周囲に反対される中、黒人選手を野球チームに招き入れることを決意する。
選手の名前はジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)。彼は短気なところがあるが、強い信念を持つ屈強なプレイヤーだった。
リッキーはジャッキーに決して暴力を振るうなと忠告する。しかしジャッキーがグラウンドに立つたびに、白人たちからはヤジが飛び、相手チームも侮辱のことばを浴びせられるのだった。




実在の野球選手ジャッキー・ロビンソンを描いた伝記映画です。

タイトルの「42」とはジャッキーの背番号であり、彼のメジャー出場後50年が経ってから、唯一の全球団での永久欠番になったものです。
彼の功績をたたえ、黒人のジャッキーがはじめてメジャーリーグに出場した4月15日に、球団のみんなが「42」の背番号のユニフォームを着るようになったそうです。

イチロー42イチローも着ていた「42」

なぜジャッキー・ロビンソンがそこまでの選手になったのかを、この映画はとても丁寧な描写で教えてくれます。

本作で描かれているのは、戦争で日本が降伏したばかりの1945年から、わずか2年間の出来事です。
そのころは黒人への人種差別がまだ根強く、ジム・クロウという法律までもが彼らの生活を脅かしていました。

その世の中で、たった一人の黒人プレイヤーとして、ジャッキーはグラウンドに立ちます。
当然のように観客、相手チーム、そしてチームメイトまでもがジャッキーを蔑み、罵倒します。
強い信念を持つ彼にとって、それを耐え忍ぶことは難しいことだったでしょう。

そんなジャッキーを陰で支えるのは、名優ハリソン・フォード演じるブランチ・リッキーです。
リッキーはブルックリン・ドジャースゼネラルマネージャーで、周りの反対をものともせず、ジャッキーを球団に招き入れます。
リッキーが最初にジャッキーに告げた助言は、「やり返さない勇気を持て」ということでした。

やり返さない勇気<やり返さないことも、勇気だ

もしジャッキーが暴力でやり返してしまえば、黒人選手たちのチャンスも、黒人の子どもたちの夢も奪うことになります。
最近では「やられたら、やり返す。倍返しだ!」というセリフが流行ったりもしましたが、この映画で描かれるのはそれとは全く逆のことなのです。

この物語の素晴らしいところは、その点にあります。
ジャッキーはその「やり返さない勇気」を持つことで、周りの人々を少しずつ変え、野球ファン(ファンでなくとも)の黒人たちにも勇気を与えます。

そしてジャッキーは南北戦争のころから続いていた人種差別にまで多大な影響を与えます。
ジャッキー(とリッキー)が邦題にあるような「世界を変えた男」へと成長していく過程は、多くの人に感動を与えることは間違いありません。


難点は、野球の試合にダイジェスト感が否めないことです。
いくつもの試合の、ジャッキーが活躍するわずかな時間のみを切り取った印象で、そこには「すごい野球の試合を観た」という興奮は感じられません。
野球のファンであればあるほど、この点は不満に思うのではないでしょうか。
全体的に淡々としているので、盛り上がりに欠けると感じてしまう方もいると思います。

しかしそれも、濃密な人間ドラマを描いた結果であるので、大きな欠点ではありません。
演出はおとなしめですが、そのぶん繊細な描写で感動を与えてくれます。
スポーツ映画としてではなく、不当な差別に立ち向かう人々の姿を描いた作品を期待することをおすすめします。


ちなみに本作は野球のことをほとんど知らなくても楽しめます(最低限のルールがわかっていれば問題ないでしょう)。
ジャッキー・ロビンソンの前知識も全く必要ではありません。むしろ何も知らない方が「こんなすごい選手がいたのか!」とより感動できるのではないでしょうか。

テーマを思えば子どもにも是非薦めたいのですが、本作は会話シーンが多いので、子どもには少し退屈なのかもしれません。
役者のほんの少しの表情の変化や、奥深い台詞を楽しむことができる、大人同士の鑑賞をおすすめします。

ジャッキー・ロビンソンの書籍(amazon)↓
ジャッキー・ロビンソン―人種差別をのりこえたメジャーリーガー
背番号42 メジャー・リーグの遺産 ジャッキー・ロビンソンとアメリカ社会における「人種」
黒人初の大リーガー―ジャッキー・ロビンソン自伝
ジャッキー・ロビンソン物語

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧下さい↓

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2013-11-02 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 1
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『ベイマックス』
『ゴーン・ガール』
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『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
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『渇き。』
『MONSTERZ』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
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『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
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『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
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