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手に入れた美と失ったもの 映画版「利休にたずねよ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は利休にたずねよです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:特殊な構成と、後半の雰囲気は賛否ありそう


あらすじ


利休(市川海老蔵)は嵐の日に切腹をしようとしていた。
「別れに嵐はつきもの」と言う利休に寄り添う妻の宗恩(中谷美紀)は「あなたは茶の一杯に精進してきたのに・・・」という無念を口をする。
物語は利休のこれまでの行動をたどり、切腹に至るまでの謎を解き明かしていく。





実在の茶人である千利休を主人公にした映画であり、直木賞を受賞した同名小説を原作とした映画です。

山本 兼一
880円
powered by yasuikamo

本作は一見すると伝記映画のようですが、少しずつ謎を解き明かしていくミステリーの要素もあります

その謎とは、利休という人物そのものです。
物語は利休の切腹の日からはじまり、いったん時代がさかのぼり、徐々にその切腹の日に近づいていくという構成がとられています
つまり、切腹の日→二十一年前→十二年前→・・・・と、徐々にあらかじめ知らされている「死」へと近づいていくのです。

切腹する寸前の利休はもの静かで、感情移入の余地を許さないまでに人間味が感じられません。
なぜそのような人物になったのか?
この映画は、いくつもの「物」「ことば」を先に提示しておき、後にその「答え」を教えてくれるのです。

本作の時系列のずらし方を観て、「メメント」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
およそ時代劇とは思えない構成は、よく言えば挑戦的、悪く言えばとっつきづらいものでしょう。
個人的には「メメント」と同等なまでに意味のある、賞賛すべき構成であると思いました。


豪華なキャストも魅力のひとつでしょう。
利休を演じた市川海老蔵は役作りにあたり茶道に勤しんでおり、清閑なたたずまいの新たな利休を見せてくれました。
テキーラを灰皿に茶を椀に注ぐ所作だけでもさすがの貫禄です。
「この映画は海老蔵ありき」と言いきっていいほどに、文句のない役柄でした。

また、映画「清須会議」と時代背景が被っているのも面白いです。
織田信長亡き後の利権争いをしていること、豊臣秀吉が権力を握るための算段をしていることが共通しています。
キャストも伊勢谷友介中谷美紀が両者で出演しており、違った「顔」を見せてくれるのが嬉しかったです。

個人的なMVPだったのは、豊臣秀吉を演じた大森南朋でした。
陽気でありながらも、嫌らしさが垣間見える秀吉のキャラクターは、清須会議の大泉洋に匹敵(あるいはそれ以上)するほどにはまっていました。


難点もあります。
本作はとても落ち着いた「静」の印象が強いのですが、終盤に少しこの「静」を打ち破る展開があるのです。
この展開も大いに意味があることなのですが、どちらかと言えば「今までのいい雰囲気が壊れてしまった」とネガティブな捉え方をされやすいものであるように感じました。

「間」をとても大切にしている作品なので(茶道の所作など)、少し退屈に感じてしまうところがあるかもしれません。
展開そのものよりも、役者の演技や台詞のひとつひとつを楽しむべき映画なのでしょう。

利休にまつわるエピソードがあまり語られていないのも賛否がある点かもしれません。
有名な黄金の茶室はごくわずかにしか触れられませんし、宗恩が後妻であることや「おさん」が先妻の子であることなどは作中で示されていません。
これは作品を引き締めるために余計な描写を省いたと肯定的に捉えることもできますが、利休をよく知っている方には物足りない点であるでしょう。

また、本作の否定的な意見には利休の「凄さ」が伝わりにくいというものもあったのですが、作中にはちゃんとその力を示す描写はあります。
しかし直接的な描写ではないため、利休の魅力がわからないと感じる方が多いのもやむを得ません。

朝鮮と日本の関係において、史実とは異なる(やや日本が悪と捉えられてしまう)描きかたをされているのも、人によっては不愉快に思うところでしょう。


本作は「はっきり」登場人物の想いや考えを台詞に出すことがほとんどありません。
なぜその行動をしたのか、その行動の意味は何であるのかなど、観る人によって様々な疑問が生まれ、想像することのできる優れた映画です。
そのぶん敷居が高い作品ではありますが、単なるエンターテイメントで終わらない、奥が深い内容を求める方におすすめします。

本作のテーマにあるのは「美の追求であり」であり、探るのはその美の根源となる事実です。
利休が思う美は、肯定すべきものか、それとも理解できないことなのかー
それは、観る方それぞれが考えるべきことです。

また、タイトルは「たずねよ」とひらがなになっています。
そこには「疑問を訊く」という意味である「尋」の字、「会うためにその人のいる所に行く」という意味の「訪」の字のどちらもあてはまるのではないでしょうか。
映画を観ると、利休に(どちらの意味でも)たずねたくなってしまうかもしれません。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2013-12-11 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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『るろうに剣心』
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