必要な人「武士の献立」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「武士の献立」です。
個人的お気に入り度:4/10
一言感想:献立を考えて欲しかったな・・・
あらすじ
春(上戸彩)は幼いころから食いしん坊であったが、たぐいまれな料理の才があった。
ある日春は加賀藩で料理方を務める舟木伝内(西田敏行)にその腕前を見込まれ、息子の安信(高良健吾)への嫁にもらいたいと懇願される。
しかし春はその気の強さから、「出戻り」をした身であり、安信が4つも年下ということからも、その結婚には乗り気ではなかった。
一方、安信は元々剣術の道に進もうとしていたのだが、兄の急死により渋々家を継ぐことになった身の上だった。
そのため、安信の料理の腕は人並み以下だったのだ。
物語上のつながりはありませんが、同じく江戸時代の加賀藩の武士を描いていた「武士の家計簿」の続編にあたる作品です。
個人的に、武士の家計簿は不満の多い作品でした。
その理由は、「主題となるはずの家計簿に関わる展開が少なく、悲劇的な物語の割合が多すぎる」ということです。
タイトルに冠していることに焦点を当ててほしいというのは、作品に触れる方の多くが願うことでしょう。
それに応えていない内容であったので、とても残念に思ってしまったのです。
この「武士の献立」も、同じ不満が出てきてしまっています。
予告編などでは「夫婦が手を取り合い、夫が立派な『包丁侍』を目指すコメディ」を思わせますが、実際は政治色の強い悲劇こそが作品の中心に居座っているのです。
その悲劇とは加賀騒動によるものです。
この要素が出てくるたびに「夫が料理人として頑張る」という話がどこかに消え失せてしまうため、夫婦の物語としても、料理人としての物語としても、楽しめなくなってしまいます。
もちろん加賀事件を描いた理由もちゃんとあります。
しかし、ただただ「期待をしていた主題の魅力を削いでしまう」というデメリットばかりを感じてしまいました。
そのため、本作の「料理」の要素は中途半端に終わっています。
青年の料理人としての成長は「薄味」に感じる程度にしか語られません。
驚いたことに、作中にタイトルにあるはずの「献立」を考えるシーンはほぼ皆無です。
せめて、「おいしそう」と思わせるシーンがあれば良かったのですが、作中では料理そのものがあまりクローズアップされていなかったため、そうは思えませんでした。
様々な要素を詰め込みすぎたために、要であるはずの料理や献立の要素の魅力がなくなっているのは、かなり致命的なのではないでしょうか。
加賀騒動の話においても、「対決」や「決戦」など、盛り上がるであろう部分を省略している(ように思える)のも気になります。
これでは、退屈してしまうのも仕方がないのではないでしょうか。
一本の映画としては、決して出来の悪い作品ではありません。
時代劇に初めて本格的に出演した高良健吾は優しくも不器用な青年を好演していますし、上戸彩も「姉さん女房」の雰囲気にとても合っています。
人間関係は充分に描かれていますし、夫婦が手を取り合いながら成長をしていく描写も、料理をつくるシーンも、確かにあります。
しかし、それらの魅力を押しつぶしてしまうほどに悲劇的な要素が強すぎるため、どうしても「思っていた映画と違う」という不満が先に出てきてしまうのです。
どうあっても、この点だけは受け入れることはできませんでした。
また、Charaによる主題歌はミスマッチに感じる人が多いのかもしれません。
<『武士の献立』×主題歌Chara「恋文」コラボ映像 - YouTube>
エンディングのために編曲されていたためか、自分はそこまで非難するほどでもないと感じました。
繰り返しになりますが、「夫婦が手を取り合い、夫が立派な『包丁侍』を目指すコメディ」はあまり期待できません。
本作はむしろ「ドロドロした人間関係が描かれるシリアルな時代劇」と言ってもよいでしょう。
後者を期待すれば、楽しめるのかもしれません。
でも、やはり多くの方が期待するのは・・・前者のような気がします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:4/10
一言感想:献立を考えて欲しかったな・・・
あらすじ
春(上戸彩)は幼いころから食いしん坊であったが、たぐいまれな料理の才があった。
ある日春は加賀藩で料理方を務める舟木伝内(西田敏行)にその腕前を見込まれ、息子の安信(高良健吾)への嫁にもらいたいと懇願される。
しかし春はその気の強さから、「出戻り」をした身であり、安信が4つも年下ということからも、その結婚には乗り気ではなかった。
一方、安信は元々剣術の道に進もうとしていたのだが、兄の急死により渋々家を継ぐことになった身の上だった。
そのため、安信の料理の腕は人並み以下だったのだ。
物語上のつながりはありませんが、同じく江戸時代の加賀藩の武士を描いていた「武士の家計簿」の続編にあたる作品です。
個人的に、武士の家計簿は不満の多い作品でした。
その理由は、「主題となるはずの家計簿に関わる展開が少なく、悲劇的な物語の割合が多すぎる」ということです。
タイトルに冠していることに焦点を当ててほしいというのは、作品に触れる方の多くが願うことでしょう。
それに応えていない内容であったので、とても残念に思ってしまったのです。
この「武士の献立」も、同じ不満が出てきてしまっています。
予告編などでは「夫婦が手を取り合い、夫が立派な『包丁侍』を目指すコメディ」を思わせますが、実際は政治色の強い悲劇こそが作品の中心に居座っているのです。
その悲劇とは加賀騒動によるものです。
この要素が出てくるたびに「夫が料理人として頑張る」という話がどこかに消え失せてしまうため、夫婦の物語としても、料理人としての物語としても、楽しめなくなってしまいます。
もちろん加賀事件を描いた理由もちゃんとあります。
しかし、ただただ「期待をしていた主題の魅力を削いでしまう」というデメリットばかりを感じてしまいました。
そのため、本作の「料理」の要素は中途半端に終わっています。
青年の料理人としての成長は「薄味」に感じる程度にしか語られません。
驚いたことに、作中にタイトルにあるはずの「献立」を考えるシーンはほぼ皆無です。
せめて、「おいしそう」と思わせるシーンがあれば良かったのですが、作中では料理そのものがあまりクローズアップされていなかったため、そうは思えませんでした。
様々な要素を詰め込みすぎたために、要であるはずの料理や献立の要素の魅力がなくなっているのは、かなり致命的なのではないでしょうか。
加賀騒動の話においても、「対決」や「決戦」など、盛り上がるであろう部分を省略している(ように思える)のも気になります。
これでは、退屈してしまうのも仕方がないのではないでしょうか。
一本の映画としては、決して出来の悪い作品ではありません。
時代劇に初めて本格的に出演した高良健吾は優しくも不器用な青年を好演していますし、上戸彩も「姉さん女房」の雰囲気にとても合っています。
人間関係は充分に描かれていますし、夫婦が手を取り合いながら成長をしていく描写も、料理をつくるシーンも、確かにあります。
しかし、それらの魅力を押しつぶしてしまうほどに悲劇的な要素が強すぎるため、どうしても「思っていた映画と違う」という不満が先に出てきてしまうのです。
どうあっても、この点だけは受け入れることはできませんでした。
また、Charaによる主題歌はミスマッチに感じる人が多いのかもしれません。
<『武士の献立』×主題歌Chara「恋文」コラボ映像 - YouTube>
エンディングのために編曲されていたためか、自分はそこまで非難するほどでもないと感じました。
繰り返しになりますが、「夫婦が手を取り合い、夫が立派な『包丁侍』を目指すコメディ」はあまり期待できません。
本作はむしろ「ドロドロした人間関係が描かれるシリアルな時代劇」と言ってもよいでしょう。
後者を期待すれば、楽しめるのかもしれません。
でも、やはり多くの方が期待するのは・・・前者のような気がします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
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