嘘を愛する理由 映画版「カノジョは嘘を愛しすぎてる」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「カノジョは嘘を愛しすぎてる」です。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:少女漫画の映画化作品として最高峰!
あらすじ
サウンドクリエイターの小笠原秋(佐藤健)は人気バンド「CRUDE PLAY」に楽曲を提供していたが、ビジネス優先の音楽業界に嫌気がさしていた。
そんな折、秋は自分が口ずさんでいた曲を聞いていた女子高生・小枝理子(大原櫻子)に一目惚れをされる。
理子は歌を愛する女の子で、プロデューサーの高樹(反町隆史)は彼女のバンドをデビューさせようとするのだが・・・
これは面白い!おすすめです!
いつもだったら鼻で笑うような内容(←失礼)なのですが、とことんツボを押さえた出来で存分に楽しむことができました。
原作は青木琴美による同名の少女漫画です。
*Kindle版は期間限定で1〜3巻が無料
自分は原作を未読だったのですが、映画を観るだけでも「これは少女漫画だ」と思える作風に仕上がっていました。
具体的に言えば、イケメンがイケメンすぎる台詞を吐きます。
イケメンたちが主人公の女の子を「僕のものだ」と取り合おうとします。
イケメンが主人公だけに弱みを見せて「守ってあげたい」と思わせます。
もうキュンキュンくるシーンのオンパレードで、ニヤニヤしながら観ることができました。
女の子にモテたい男子は、これを観て研究すればいいんじゃないかと思います(成功するかは別問題だけど)。
これらの描写は成熟した大人なら「ないない」と笑うところかもしれませんが、これでいいんじゃないでしょうか。
映画というのはときには「理想」を描き、「夢」を見せてくれる媒体です。
イケメンと素敵な恋に落ちるという女の子の夢を叶えているという点だけでも、この映画は成功していると思います。
本作で描かれているテーマは、恋愛以外にももうひとつあります。
それは「売れているクリエイターの苦悩」です。
これだけだと「なんだよその贅沢な悩み」と思われるかもしれませんが、その苦悩の理由はとても親近感がわく、共感できるものでした。
そこで見えてくるのは、近年の音楽業界の変貌、音楽を仕事にしていきたい人々の想いです。
今の世の中は、スマートフォンを少し操作するだけで音楽が手に入り、いつでも聞けるという「手軽さ」があります。
主人公の秋(佐藤健)は「それが悪いという訳じゃないけど、ただ消費をされていく商品のように感じてしまうんだ」と語ります。
音楽が手軽になっただけ、「商品」扱いされてしまうー
それは確かに音楽を生業としている人にとっては、避けようのない事実なのかもしれません。
主人公が抱える悩みは、それだけではありません。
その理由は、ぜひ映画を観て確認してほしいと思います。
音楽業界の裏側を覗けるだけでも面白いのですが、作中の楽曲の出来も抜群に優れています。
楽曲を担当した岩崎太整さん(プロデューサーは亀田誠治さん)はドラマをはじめ、映画「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」でも提供をしており、その手腕はさすがというほかありません。
作中に登場するバンドの「CRUDE PLAY」と「MUSH&Co.」は、作品とリンクするように現実でもデビューをしています。
どちらも大ヒットしても納得できるクオリティでした。
これは、岩井俊二監督作品に登場した架空のバンドである「リリィ・シュシュ」「YEN TOWN BAND」が、同じく現実でもデビューしたことを彷彿とさせます。
そして、観た方のほぼ全員が思うであろうことは、ヒロインの大原櫻子の歌唱力でしょう。
彼女は5000人のオーディションから勝ち上がった新人であり、歌唱力こそが配役につながったそうです。
そのちょっと舌足らずなしゃべりかたも可愛いですし、彼女が「やっと」歌うシーンには鳥肌が立ちました。
これからの活躍も期待できる、大正解と思える采配でした。
小泉徳宏監督は、同じく音楽を題材とした映画「タイヨウのうた」でも、当時からシンガーソングライターとして活躍していたYUIを主演女優として迎えていました。
音楽こそが主役となっている映画で、歌声こそを大事にした配役をしていることは、何よりも賞賛すべきことなのではないでしょうか。
脚本、音楽、役者の演技だけでなく、画づくりも実に魅力的でした。
本作ではいろいろなシーンで「光」が強調されています。
これもまた岩井俊二作品を彷彿とさせるもので、回想シーンでのきらびやかな日常や、主人公の心変わりを見事に表現しきっています。
これから観る人は、ぜひその「光」にも注目してほしいと思いました。
いやあ、ほんっとうに映画って観なければわからないものです。
同じく音楽を題材とした「NANA -ナナ- 」はあまり好きではなかったですし、本作も「どうせ都合の良いように作られている浅い内容なんだな」と思い込んでいました(←超失礼)。
しかし、脚本の出来、音楽へ込められた制作者の想いは「本物」です。
「カノジョは嘘を愛しすぎてる」という思わせぶりなタイトルの意味もちゃんとありますし、少女漫画の「浅さ」を笑ってしまう人にこそおすすめしたいと思えました。
そうそう、実は作中に少女漫画チックな展開をイジるシーンもあります。
秀作「サニー 永遠の仲間たち」も韓流ドラマによくある展開をイジっていましたが、それに通ずる面白さです。
主人公のもとへバンドのメンバーが迎えにくるシーンだけでも爆笑ものでした。
デートには大推薦です。
佐藤健のイケメンっぷりを堪能したい女の子は、絶対に劇場で観るべきです。
男子にとっても、大原櫻子の可憐さを観るだけでも価値のある一本でしょう。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:少女漫画の映画化作品として最高峰!
あらすじ
サウンドクリエイターの小笠原秋(佐藤健)は人気バンド「CRUDE PLAY」に楽曲を提供していたが、ビジネス優先の音楽業界に嫌気がさしていた。
そんな折、秋は自分が口ずさんでいた曲を聞いていた女子高生・小枝理子(大原櫻子)に一目惚れをされる。
理子は歌を愛する女の子で、プロデューサーの高樹(反町隆史)は彼女のバンドをデビューさせようとするのだが・・・
これは面白い!おすすめです!
いつもだったら鼻で笑うような内容(←失礼)なのですが、とことんツボを押さえた出来で存分に楽しむことができました。
原作は青木琴美による同名の少女漫画です。
![]() | powered by yasuikamo |
自分は原作を未読だったのですが、映画を観るだけでも「これは少女漫画だ」と思える作風に仕上がっていました。
具体的に言えば、イケメンがイケメンすぎる台詞を吐きます。
イケメンたちが主人公の女の子を「僕のものだ」と取り合おうとします。
イケメンが主人公だけに弱みを見せて「守ってあげたい」と思わせます。
もうキュンキュンくるシーンのオンパレードで、ニヤニヤしながら観ることができました。
女の子にモテたい男子は、これを観て研究すればいいんじゃないかと思います(成功するかは別問題だけど)。
これらの描写は成熟した大人なら「ないない」と笑うところかもしれませんが、これでいいんじゃないでしょうか。
映画というのはときには「理想」を描き、「夢」を見せてくれる媒体です。
イケメンと素敵な恋に落ちるという女の子の夢を叶えているという点だけでも、この映画は成功していると思います。
本作で描かれているテーマは、恋愛以外にももうひとつあります。
それは「売れているクリエイターの苦悩」です。
これだけだと「なんだよその贅沢な悩み」と思われるかもしれませんが、その苦悩の理由はとても親近感がわく、共感できるものでした。
そこで見えてくるのは、近年の音楽業界の変貌、音楽を仕事にしていきたい人々の想いです。
今の世の中は、スマートフォンを少し操作するだけで音楽が手に入り、いつでも聞けるという「手軽さ」があります。
主人公の秋(佐藤健)は「それが悪いという訳じゃないけど、ただ消費をされていく商品のように感じてしまうんだ」と語ります。
音楽が手軽になっただけ、「商品」扱いされてしまうー
それは確かに音楽を生業としている人にとっては、避けようのない事実なのかもしれません。
主人公が抱える悩みは、それだけではありません。
その理由は、ぜひ映画を観て確認してほしいと思います。
音楽業界の裏側を覗けるだけでも面白いのですが、作中の楽曲の出来も抜群に優れています。
楽曲を担当した岩崎太整さん(プロデューサーは亀田誠治さん)はドラマをはじめ、映画「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」でも提供をしており、その手腕はさすがというほかありません。
作中に登場するバンドの「CRUDE PLAY」と「MUSH&Co.」は、作品とリンクするように現実でもデビューをしています。
![]() | CRUDE PLAY 1180円 powered by yasuikamo |
![]() | MUSH&Co. 1012円 powered by yasuikamo |
どちらも大ヒットしても納得できるクオリティでした。
これは、岩井俊二監督作品に登場した架空のバンドである「リリィ・シュシュ」「YEN TOWN BAND」が、同じく現実でもデビューしたことを彷彿とさせます。
そして、観た方のほぼ全員が思うであろうことは、ヒロインの大原櫻子の歌唱力でしょう。
彼女は5000人のオーディションから勝ち上がった新人であり、歌唱力こそが配役につながったそうです。
そのちょっと舌足らずなしゃべりかたも可愛いですし、彼女が「やっと」歌うシーンには鳥肌が立ちました。
これからの活躍も期待できる、大正解と思える采配でした。
小泉徳宏監督は、同じく音楽を題材とした映画「タイヨウのうた」でも、当時からシンガーソングライターとして活躍していたYUIを主演女優として迎えていました。
![]() | YUI 4239円 powered by yasuikamo |
音楽こそが主役となっている映画で、歌声こそを大事にした配役をしていることは、何よりも賞賛すべきことなのではないでしょうか。
脚本、音楽、役者の演技だけでなく、画づくりも実に魅力的でした。
本作ではいろいろなシーンで「光」が強調されています。
これもまた岩井俊二作品を彷彿とさせるもので、回想シーンでのきらびやかな日常や、主人公の心変わりを見事に表現しきっています。
これから観る人は、ぜひその「光」にも注目してほしいと思いました。
いやあ、ほんっとうに映画って観なければわからないものです。
同じく音楽を題材とした「NANA -ナナ- 」はあまり好きではなかったですし、本作も「どうせ都合の良いように作られている浅い内容なんだな」と思い込んでいました(←超失礼)。
しかし、脚本の出来、音楽へ込められた制作者の想いは「本物」です。
「カノジョは嘘を愛しすぎてる」という思わせぶりなタイトルの意味もちゃんとありますし、少女漫画の「浅さ」を笑ってしまう人にこそおすすめしたいと思えました。
そうそう、実は作中に少女漫画チックな展開をイジるシーンもあります。
秀作「サニー 永遠の仲間たち」も韓流ドラマによくある展開をイジっていましたが、それに通ずる面白さです。
主人公のもとへバンドのメンバーが迎えにくるシーンだけでも爆笑ものでした。
デートには大推薦です。
佐藤健のイケメンっぷりを堪能したい女の子は、絶対に劇場で観るべきです。
男子にとっても、大原櫻子の可憐さを観るだけでも価値のある一本でしょう。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓