ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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だっふんだ 映画「キカイダー REBOOT」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はキカイダーREBOOTです。


個人的お気に入り度:3/10

一言感想:原作で描かれたのはそういうことじゃ・・・


あらすじ


キカイダーが善と悪で悩むよりも、女子大生が自分の将来について悩む割合のほうが高い話。




*メタメタに書いているのでこの映画が好きな方、製作者の方にはごめんなさい。

石ノ森章太郎の漫画、およびそれを原作とした特撮シリーズ「人造人間キカイダー」のリブート作品です。

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自分は特撮シリーズを観ていた世代ではないですが、原作漫画は読んでいました。

原作は、並あるSFロボットものとは一線を画す内容です。
主人公のキカイダーことジローは、アンドロイドでありながら「良心回路」という善の心を持っています。
しかし、この善の心は“不完全”であり、ジローはヒロインや第3者に危害を加えるようになってしまいます。

作品の根底にあるのは、童話(ディズニー映画)の「ピノキオ」。ご存知のとおり、ピノキオは人間になりたいことを願っており、ピノキオの良心はコオロギというかたちで登場してます。

ここで定義される「機械」とは、「ただただ命令を聞くだけのロボット」。反対に、善の心を持ち、悪い命令を聞かないのであれば、それは人間の心を持っていると同等だとされるのです。
しかし、ジローは良心回路が壊れれば、「機械」と同等に悪いことをしてしまう。まさにピノキオと同じ状態なのです。

キカイダー01<ピノキオと同列に語られる主人公。

悩み続けたジローが、どのようにして人間の心に向き合っていくか……そこが見所になっています。
そして、ジローは物語の最後で衝撃的な行動を起します。
やや唐突ではありますが、哲学的かつ深い余韻を残すラストは、SF好きにこそ観てほしいと思えるものでした。


で、今回の映画版にもそういう要素を期待していたですが、清々しいまでに裏切られました

何が悪いって脚本が悪い。
登場人物の理解不能な行動、設定の矛盾、登場人物が自分の想いをベラベラとしゃべるスタンス(これは特撮ものではむしろ熱いはずなんだけど)など、原作のことを抜きにしてもいろいろヒドいです。

何より残念なのが、上記であげたような原作の奥深さがこれっぽちも描かれていないことです。
詳しくはネタバレになるので↓に書きますが、がっかりを通り越して絶望を感じるほどでした。

基本的に主人公たちがうじうじ悩むばかりの話なのですが、ヒロインの女子大生が自分の将来について悩むシーンがクローズアップされまくったのはマジでウンザリしました。
ヒーローものにおいて、その需要があるとは思えません。

ウンザリした点のもうひとつが、やたら現代の文化を悪者にしたがることです。
脚本を書いた人は、スマートフォンやインターネットが大嫌いなんだと伝わってきました。伝えてほしかったのはそこじゃねえよ。


いいところもあるんです。
まず、アクションのクオリティは存分に高く、CGも含めて安っぽさを感じさせません。
入江甚儀演じるキカイダーと高橋メアリージュン演じる女ターミネーターとの肉弾戦など、絵面だけで楽しめるシーンもじゅうぶんにあります。

脇をかためるおじさん俳優陣も見所のひとつ。鶴見辰吾本田博太郎石橋蓮司などの大ベテランの出演だけでわりと楽しめます。
意外(失礼)だったのは、光明寺博士役の長嶋一茂がハマりまくっていたこと。けっこう俳優としてオールラウンダーなのかもと思えました。

こうみょうじはかせ<言われなきゃ気づかないかも?

何より、「新 仮面ライダーSPIRITS」などで知られる、村枝賢一さんによる新しいキカイダーのビジュアルが最高に格好いいです。
原作漫画では、キカイダーは自分の身体を醜いと思っているのですが、今回ではそんな悩みはなさそうですね。

IMG0192.jpg<旧バージョン IMG0190.jpg<新バージョン


この時代に、古き良きSF(特撮)ヒーローを蘇らせようというコンセプトの本作を、自分は応援したいと思っていました。
若い人にとってはあまり興味を持たない内容かもしれない、興行成績も芳しくないかもしれない、だからでこそ人にも薦めるようにしたいと……

でも、肝心の作品が良くなければ人にはとてもオススメはできませんね。
脚本担当の人は「電人ザボーガー」の爪の垢を煎じて飲みつつ、原作を読み返してください。

以下、結末も含めてネタバレです↓

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2014-05-29 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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今すぐにでも 映画「チョコレートドーナツ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、映画チョコレートドーナツ(原題:ANY DAY NOW)の感想です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:ただの泣ける映画とは、ちょっと違う


あらすじ


1979年のカリフォルニア。
ゲイバーでショーダンサーをしているルディ(アラン・カミング)は、弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)とカップルになる。
ある日ルディは、ダウン症の少年マルコ(アイザック・レイヴァ)と出会う。マルコは、母親が薬物中毒のために逮捕され、見捨てられてしまったのだ……




Twitterなどで見かける限り、本作を「泣ける映画」であると思って観ている人が多いようです。
そこを期待しても、裏切られることはないでしょう。
本作はゲイカップルの苦悩と、ダウン症を持つ少年の交流を描いており、彼らに感情移入をすると涙腺がついつい緩んでしまいます。

自分には「泣ける」こと以上に、重要なメッセージを持つ作品であると思いました。
そのメッセージを示すのが、原題の「Any day now」。「今すぐにでも」を意味するこのことばは、作中で歌われる曲「I shall be released」の歌詞に登場しています。
この「今すぐにでも」には、「今いる世界が変わってほしい」という想いが込められているのではないでしょうか。

物語の舞台である1970年代はゲイへの偏見がまだ厳しい時代であり、ダウン症の少年を引き取る(親権を認める)だけでも注目と軽蔑の的になり、認められることがとても難しくなっています。
作中では、「ゲイには何でも無理よ」という台詞があるほどです。

また、描かれてるのはゲイやダウン症の子どもだけではなく、「物事の解決のためには、どのようにすればよいのか」という大局的なメッセージにまでおよんでいます。
もうひとりの主人公のポールが裁判で訴えたことは、例えようもないほどの「愛」に満ちており、幸せのための手段を教えてくれるように感じられるのです。

特筆すべきは、むやみに大仰にせず、ごく静かに「事実」を知らせる演出がされていることでしょう。
これは、「泣かそうとする」シーンでおおげさな音楽を流し、登場人物がさめざめと泣くような邦画の演出にうんざりしている人に観てほしいです。
ラストの演出により、この映画で描く「主題」がはっきりと浮かび上がりました。


観る人によって、捉え方が異なる映画です。
障がい者を描いた映画であり、ゲイ・ムービーであり、「家族」も描いています。
個人的には、この映画はやはり「家族」の物語であると感じました。
(たとえ血がつながっていなくとも)子に対する親の無償の愛が描かれていることが、何よりも尊く感じられたからです。

似た作品には、レズビアンの親を描いた「キッズ・オールライト」、または漫画作品の「ニューヨークニューヨーク」が思い浮かびました。

羅川 真里茂
720円
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終盤には、「チョコレートドーナツ」と同じように、ゲイのカップルが親に恵まれなかった子どもを引き取るエピソードが出てきます。
引き取られた子どもが主張する「巡り合わせ」ということばは、「チョコレートドーナツ」の主題にも通ずるものがありました。ぜひ、読んでほしいです。


そして本作の素晴らしいところがもうひとつ。それは音楽!
主人公を演じるアラン・カミングがゲイバーで過去の名曲たちを高らかに歌うのですが、その歌詞が映画の物語(主人公の想い)とシンクロしているのです。

アラン・カミング自身の歌唱力により、作中でプロの歌い手を目指していることの説得力が感じられるだけでなく、より主人公に感情移入させてくれます。
また、アラン・カミング自身はバイセクシュアルであり、同性婚をしていたりします。
今回の役はまさにハマリ役。彼以上の適役はいないでしょう。

秀作ではありますが、展開には少なからず好き嫌いがわかれます。
単なる娯楽映画ではなく、心に残るメッセージ性の強い映画を期待する人におすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-05-27 : 旧作映画紹介 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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チャゲアスのPV「On Your Mark」は今でこそ観るべき“復活”を感じさせる作品です!

5月17日にCHAGE and ASKAのASKAが覚せい剤取締法違反の罪で逮捕されました。
超有名なアーティストとはいえ、「また芸能人がクスリで逮捕かあ」と、とくに興味を示さなかった人も少なくないでしょう。

しかし、この騒動はとあるアニメ作品にまで飛び火しており、映画ファンにとってもただならぬ自体になっています。

その作品とは、CHAGE and ASKAのプロモーションビデオとして制作されていた「On Your Mark」。監督・脚本はなんと宮崎駿です。
隠れた名作として知られる本作ですが、今回の騒動を受けて、「宮崎駿監督作品集」への収録が中止となってしまったのです。
50068円
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おかげで、amazonでは「キャンセルしました」「On Your Markが入っていないのなら買いません!」というコメントが大量に投下。さらに発売日も5月から7月へと大幅にずれ込み、作品の売り上げを大幅に落としかねない事態になっています。


「On Your Mark」は、そもそも観る機会が少ない作品でした。
1995年に劇場で「耳をすませば」と同時上映され、1996年にレーザーディスク、1997年にVHSでリリースされて以来、長らくDVDでの発売がありませんでした。

9480円
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そのファンの要望にやっと応えたのが、2005年に発売されたDVD「ジブリがいっぱいSPECIALショートショート」でした。

CHAGE&ASKA
15800円
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「On Your Mark」の上映時間はわずか6分30秒なので、ジブリ作品の中でもあまり目立たず、こういうかたちのリリースになるのはやむを得ないことでしょう。

今回の「宮崎駿監督作品集」では、「On your Mark」が初めてBlu-rayの画質で観られるはずでした。
しかし現実は、丸ごと作品をカット&発売延期&お値段据え置きという仕打ち。購買意欲が下がってしまうのも致し方ないでしょう。

さらに、今回の逮捕を受けてCHAGE and ASKAの音楽・映像・関連商品は軒並み販売中止されてしまったために、上記の「ジブリがいっぱいSPECIALショートショート」も5月20日に出荷停止となりました。
おかげでソフトはプレミア化、定価3800円であったソフトの値段は1万5000円以上にまでふくれあがっています。
今後、さらに「On Your Mark」を観る機会が減ってしまうのは、想像に難くありません。

これはもったいなさすぎます。
なぜなら、「On Your Mark」はひとつの映像作品としての出来の良さもさることながら、今の日本人にこそ観てほしいと思えるメッセージが内包された、優れた作品であるからです。

(↓以下は「On Your Mark」の内容が少しだけネタバレしているので、未見の方はご注意を)

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2014-05-22 : いろいろコラム : コメント : 9 : トラックバック : 0
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浮世絵で描かれるダメ学生 漫画「磯部磯兵衛物語」レビュー

漫画雑誌を読んでいると、ひとつかふたつくらいカラーが違う作品がありますよね。
本日は、少年ジャンプを読んでいると否応なく目に入ってくる異質過ぎるギャグ漫画作品「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」をご紹介します。

仲間 りょう
432円
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まあ何が異質って絵ですよね。浮世絵じゃん。
日本が誇る芸術である浮世絵をギャグ漫画として落とし込むという発想。そんなの考えつく人が存在するのでしょうか(いただんだけど)。

で、本編はどうなっているかというと、1ページ目からこんな感じです。


春画拾った春画拾った

春画て。*春画・・・江戸時代のエロ本

じつはこの漫画は、浮世絵という絵柄で、学生のダメさを描く作品だったのです。

↓*以下、若干下ネタがあります

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2014-05-19 : いろいろコラム : コメント : 5 : トラックバック : 0
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「スパイダーマン3」と「アメイジング・スパイダーマン2」には“詰め込み”により描かれるテーマがある

現在公開中の「アメイジング・スパイダーマン2(以下、アメスパ2)」はもうご覧になりましたでしょうか。

個人的には好きな映画なのですが、世間の評価はわりと賛否両論。その理由の多くは「詰め込みすぎて散漫になっている」ということでした。
物語の主軸が多すぎて、とっちらかった印象を感じる方が多いようです。

しかし、自分はこの詰め込みまくりなことにも、意味があるように感じられるのです。
本日は、アメスパ2と同じく詰め込みっぷりが賛否両論を呼んだサム・ライミ版「スパイダーマン3」(制作:2011年)の内容を振り返ってみます。

トビー・マグワイア
991円
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*2014年5月17日現在、Huluでも視聴可能です。

個人的お気に入り度:6/10

一言感想:感情のコントロールって、難しい


あらすじ


マルコ(トーマス・ヘイデン・チャーチ)が刑務所から脱獄した。彼はスパイダーマンことピーター(トビー・マグワイア)のおじさんを殺した犯人であった。
マルコは脱獄中、不幸にも事故に巻き込まれ、「サンドマン」というモンスターに変身してしまう。
同じころ、父親をピーターに殺されたと信じたハリー(ジェームズ・フランコ)は、彼に奇襲をしかける。




本作には以下の物語が詰め込まれています。

1.ピーターによる、べンおじさんを殺した犯人への復讐
2.父親の復讐に燃えるハリーの葛藤
3.ヒロイン・MJの自立と決意
4.新ヒロイン・グウェンの冒険
5.カメラマン・エディの葛藤
6.脱獄囚・マルコの悲哀
7.謎の生物・ヴェノムの暗躍

うそみたいだろ……これ1本の映画の中でやっているんだぜ……
こんだけ入れまくっていたら、そりゃ散漫な印象もあるというものです。

でも、これだけの描写を詰め込んでいる理由は、作品のテーマを描きたかったためだからなのではないでしょうか。
そのテーマが何であったのか、以下に記します。

↓以下はスパイダーマン3の内容がかなりネタバレ。アメスパ2のネタバレにふれるところは反転して表示しています。未見の方は読まないほうがいいかもしれません

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-05-17 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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身を滅ぼす虚栄心 映画「ブルージャスミン」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はブルージャスミンです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:ざまあ


あらすじ


ジャスミン(ケイト・ブランシェット)は夫のハル(アレック・ボールドウィン)とニューヨークでセレブリティな生活を送っていたが、ある日すべてを失い、サンフランシスコに暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに居候をはじめる。
ジャスミンは一文無しになっても虚栄心の固まり。彼女自身も神経をすり減らしていった……




アニー・ホール」「ミッドナイト・イン・パリ」のウディ・アレン監督最新作です。

映画を観て「思っていた印象と違っていた」ということはよくありますが、この「ブルージャスミン」はそういう観る前とのギャップが激しい映画の極地なのではないでしょうか。
タイトルやポスターから、オシャンティーで爽やかな内容を期待しているときれ~に裏切られる、キッツい映画なのです。

何がキツいって、まずそのプロット。主人公のジャスミンはゴージャスな生活を満喫していたのですが、ある日すべてを失って一文無しになってしまいます。
彼女はそんな状況にも関わらず“ぜいたく癖”が抜けず、庶民的な暮らしを蔑み、さらにはまた優雅な暮らしを目指そうとします。

それは、イタいを通り越して笑うしかないと思えるもの。
「金持ちでイイ気になっていた女が大転落」という様子をまざまざと見せられるので、他人の不幸が好きだという人にとっては「ざまあ」とニヤニヤしながら見れるでしょう。

観た人みんなが思うであろうことは、主人公を演じたケイト・ブランシェットのすさまじさ。
この作品で30近い賞にノミネートされることもうなずける怪演で、“スゴ味”をきかせたときのツラは子どもが見たら泣くレベルでした。

このツラ※普段は美人さんです

思えば、ケイト・ブランシェットはエリザベス女王を演じていたこともありましたし、もともと「お高くとまっている」イメージもあったのですよね。
はまり役ということばだけではおさらまない彼女の演技だけでも、劇場で観る価値があります。


タイトルの「Blue Jasmin」は、考えてみると奥深いものがあります。

ジャスミンの花言葉には「素直」「可憐」「温情」「気だてのよさ」などがあり、映画の主人公の性格とは正反対です(アマリリスの花言葉のほうが正しそう)。
これは、そのような性格でありたいと願う彼女の滑稽さを示しているようにも思いました。
事実、主人公の本名はジャネットで、わざわざ彼女は「平凡すぎる」という理由でジャスミンに改名していますからね。

ブルーという色が示しているのは、「ブルーな気分」などと用いられている「憂鬱」でしょう。

また、ブルーは作中で重要なファクターとして機能している「ブルームーン」という楽曲のことも指しています。
これはThe MarcelsSam CookeBobby VintonChris Isaakなどの名だたるアーティストがカバーしてきた名曲です。

once in a blue moon」には「めったにない」という意味があり、ブルームーンは主人公の体験する不幸な状況を指しているのかもしれません。
また、カクテルのブルームーンは2つの正反対の意味を持っていることでも有名で、ひとつは『完全な愛』、もうひとつは『あなたの告白は受け入れられない』『話したくない』だそうです。
Blue Moonの歌詞も、いろいろと映画の内容とシンクロしています。
映画を観終わったあとに、「ああ、ブルームーンの意味って……」といろいろ考察を巡らせることができるでしょう。


ちなみに、本作には元ネタがあって、それはバーナード・L・マドフの詐欺事件です。
映画の主人公の境遇は、このバーナードの奥さんとちょっと似ています。
バーナードの奥さんは詐欺事件のことを何も知らず、生まれてこのかた仕事どころか家事もしたことがないような人間だったそうですから……。

もうひとつの元ネタが、映画にもなった戯曲「欲望という名の電車」です。

ヴィヴィアン・リー
1000円
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「ブルージャスミン」と「欲望という名の電車」は、転落した主人公が妹の家に転がり込んでくるというプロット、努力も何もせず何も知り得なかったことの愚かさを描いていることが共通しています。


この作品は、ぜひ女性にこそ観てほしいと思います。
偏見を言ってしまって申し訳ないのですが、女性の中には「年収1000万円以上の男性と結婚したい」などと、いわゆる「玉の輿」を狙っている人もいます。
そこまで極端でなくても、それなりの収入のある男性を見つけて一生安泰になりたい、楽して暮らしたい、と思っている女性は少なくないはずです。

そういう女性が本作を観ると「これは自分で努力しなきゃヤバい」と必ず思うはず。本作で描かれているのは、「夫の金でのうのうと暮らしていた、何も努力をしてこなかった女の姿」なのですから。
女性に限らず、若い方が観ればいい教訓になるはずです。

そのほかにも「浮気をすることはアホらしい」「簡単に人を信用してはダメ」「見栄を張ってもいいことなんかない」などと、人生の身になる教訓が盛りだくさんです。
映画は娯楽ではありますが、けっこう役に立つことだって、教えてくれるのです。


難点は、主人公をとことんいじめぬく内容なので、この主人公が嫌いになれない(共感してしまう)人にとっては、ツラい映画になってしまうかもしれないことでしょうか。
また、序盤から過去と未来が交互に描かれる構成になっているので、慣れるまでに時間がかかってしまうかもしれません。

しかし、「少女漫画のような素敵な恋なんてク○だ!」と思っている人にとっては最強レベルで溜飲を下げられる激辛恋愛映画です。
「人生にはそれなりのスパイスが必要」と思っている人も、ぜひ劇場へ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-05-15 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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守られてしまった伝統 映画「肉」ネタバレなし感想+タイトルの意味

今日の映画感想は(原題:We Are What We Are)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:タイトルオチじゃなかった


あらすじ


ニューヨーク州北部の田舎町。慎ましく暮らしているようなパーカー家には、とある“秘密”があった。
嵐が町にやってくる最中、長女のアイリス(アンバー・チルダーズ)と次女ローズ(ジュリア・ガーナー)のもとに、とある哀しい知らせが届く。




肉て
映画のタイトルが肉て。たった一文字。タイトルだけで否応なしに見たくなりますね(なるか?)
レースがあしわられている字体も素晴らしいセンスだと思います。

肉フォント<このフォントほしい

さて、タイトルオチのようではありますが、作品自体は俗っぽい印象はまったくありません。
それどころか、芸術性のある、格調高いホラー作品となっていました。

監督は、隠れたヴァンパイア(ゾンビ)映画の秀作「ステイク・ランド 戦いの旅路」のジム・ミックル
この作品と「肉」に共通しているのは、絶望的な状況にいる登場人物の“哀しさ”が物語の主軸に置かれていることです。

主人公たちは自分が望んでいない状況にいて、そこでの“生き方”を模索しようとしています。
積極的にその苦しい状況からの脱却を図るのではなく、ある種の“諦め”もありながらも、もっと幸せな場所(方法)があるのではないかと模索しているのです。

この作風は好き嫌いがわかれると思いますが、自分は好きです。
人間って、そんなに簡単には今ある状況から逃げたり、環境を変えたりはできないものです。
これはある意味でリアル。自分の人生や今の状況に満足がいっていない(でも変える勇気がない)人にとっては、より感情移入をしてしまう内容なのかもしれません。

「肉」の主人公ふたり(娘ふたり)が苦しんでいる理由は、一家の伝統とされている“しきたり”です。
それは残酷で、とてもじゃないけど精神を正常に保つのは無理と思えるもの。そのしきたりの内容は多くの人が早い段階で察しがつくでしょうが、映画を観るまでは知らないほうがいいでしょう。

この映画が上手いのは、その“秘密”の内容をじわじわと見せていくこと。
むやみにグロテスクなシーンのオンパレードにはなっておらず、端々でそれを“感じさせる”のです。
美しい画も相まって、ホラーというよりも上質なミステリーのような印象もありました。

ただ、物語としてはさほど大きな驚きを与えてくれませんでした。
脇役を含めた登場人物がうまく機能しておらず、展開にもやや不自然な点がみられます。
R18+指定のわりには残酷なシーンも少なめなので、タイトルで想像するようなゲロゲログロんちょな悪趣味映画を期待すると肩すかしに感じてしまうかもしれません。

そして賛否両論必死のラストシーン。これが好きか嫌いかと言われると、自分は好きなんですけど、人にはとてもおすすめできないなあ……

個人的に好きだったのが、オカルト的な設定にもかかわらず、“秘密”について医学的な見知が与えられたこと。
こういうホラー映画はだいたい警察や科学的な要素がかなり無能だったりしますが、医学という人間の英知を極めた分野が物語に影響を与えているのは、なかなかに気が利いていました。

余談ですが、新宿武蔵野館では額に“肉”と書いたら割引となるキャンペーンが実施中です。恥ずいわ
そんなひとりキ○肉マンごっこをしなければならないこの割引キャンペーンですが、水性ペンで書いてトイレで落とせばいい話ですので、やってみてもいいと思いますよ。

さらに余談。ジム・ミックル監督って「ネズミゾンビ」というこれまたタイトルオチっぽい映画を撮っていたんですね。

ニック・ダミチ
4104円
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こういう狙っている層がまるわかりのB級ホラーって大好きですよ。

ホラーとしてはあまり怖くありません。
”美しい姉妹の哀しい物語”を期待する人におすすめします。

以下は作中の“秘密”の内容がネタバレ↓
今回は観ている人が少ないと思いますので、オチなどはネタバレしていません。ただし、そのほかの展開は少しネタバレしているので、予備知識なく観たい方はお控えください。

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-05-13 : 映画感想 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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誇り高き仕事 映画「WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はWOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:伊藤英明、おいしすぎ


あらすじ


大学受験に失敗したユウキ(染谷将太)は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムへの参加を決める。
向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの超・ド田舎。過酷なプログラムと粗野な先輩ヨキ(伊藤英明)のしごきのおかげで早くも帰りたくなるユウキだったが、パンフレットに載っていた可憐な女の子・ナオキ(長澤まさみ)に出会って……?




ウォーターボーイズ」「ロボジー」の矢口史靖最新作にして、三浦しをんの小説を原作とした映画です。

三浦しをん
669円
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テーマは“林業”。
作品の魅力は、それを仕事にしなければ一生知り得ることのない、林業の世界を教えてくれることです。

本作は林業にまつわるネタにより構成されています。
それは「あるある」なエピソードであったり、林業を営む者にとってはごくありふれた光景だったり、村社会ならではの風習だったりします。
都会ではまず体験できない、貴重なでもちょっとイヤな世界を知ることができました。

矢口監督は「ハッピーフライト」でも“仕事の裏側”を覗かせてくれました。
それは、その仕事をしている人にとってはあまたりまえの日常だけど、知らない人にとっては新鮮な体験です。
「しんどうそうだな」「大変そうだな」とにわか知識以下の認識でない人たちに、肩をはらず、クスクス笑えるエピソードととも仕事のことを教えてくれるー
そんな優しさと楽しさに溢れた作品でした。

豪華キャストも魅力のひとつです。
暗〜い役を演じることが多かった染谷翔太はいい感じにチャラい少年を好演していますし、優香も女優としてしっかりした仕事を披露してくれています。
なんと言っても、今作最大のはまり役なのは伊藤英明でしょう。見た目は超イケメンで筋肉モリモリないい男……なのですが、じつはなかなかにアレな役柄でした。
ワイルド過ぎ<ワイルドすぎ
悪の教典」のと同格かそれ以上の強烈な印象を与えてくれたので、ファンは必見です。

ただ、エピソードが積み重なり、大きな物語のうねりがある“映画”としての面白さはいまひとつでした。
小ネタはほぼスベり知らずの面白さですし、チャラチャラした主人公の成長もしっかり描かれているのですが、主軸となる物語には説得力に欠けているのです。
林業の面白さを伝えることを目的としているところもあるので、そこを重要視しなくてもいいとは思うのですが、やはり映画ならではのダイナミズムを感じたいのは観客の欲張りなところ。この作品は満腹にはさせてくれず、腹七分目くらいで止まってしまったのは惜しいところです。

また、このタイトルはちょっと独創的すぎなのでは・・・
GOOD JOBにかけたダジャレに、神去(かむさり)という読みにくさ、“なあなあ”というテキトーを意味することばのトリプルコンボ。このタイトルのおかげで観に行く人が少なくなるというのは考え過ぎなのでしょうか。
そんなことを考えているのは自分だけかもしれないので、アンケートもつくってみました↓




この作品は、今年公開された「銀の匙 Silver Spoon」が好きな人には、かなり楽しめるのではないでしょうか。
どちらも肉体労働を強いられる、“自然”を相手にした職業が描かれており、作中には林業と農業の違いについて語られる場面があったりします。

これを機に、若者が林業に興味を持ってくれるとうれしいですね。
本作は文部科学省とタイアップしていますし、この映画に携わったひとたちも、きっと若者が次世代の林業を継いでくれることを期待しているでしょう。

映画では林業のいいところばかりでなく、むしろシンドイことばっかり描いています。
これって、夢を持つ若者にとってはとてもフェアであると思います。

世にある職業や大学のパンフレットには“いいこと”しか書かれておらず、仕事のシンドさなんか書いていません。
しかし、映画が見せてくれるのは、悪いことも含めた自然体の仕事の姿。映画は若者に仕事を教えてくれる媒体として、とっても優れているのだと実感しました。

そんなわけで、本作は若者にこそおすすめします。
説教くささや押し付けがましさもほとんどないですし、クスクス笑えるコメディを期待しても楽しめるでしょう。
あと、後半には意外と下ネタが多い(ドギツイものではないです)ので、小さなお子さんをお持ちの方はご注意を。

また、本作は公式ページがやたら手が込んでいて、何となく見ているだけでもものすごく楽しいです。
舞台となる神去(かむさり)村の地図があったり、PRODUCTION NOTESでは撮影裏話が詳細に書かれている(←ネタバレ多数なので注意)ので、映画を観た後にチェックしてみることをおすすめします。

エンドロール後にもおまけがあるので、途中でお帰りなきよう。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
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2014-05-10 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 1
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あたりまえが、いちばんこわい 映画「アクト・オブ・キリング」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、劇場で観たアクト・オブ・キリングの感想です。

←この巨大な魚はトバ湖にある廃墟となったレストランだそうです。

個人的お気に入り度:6/10

一言感想:怖いけど、滑稽


あらすじ


60年代のインドネシアでは、共産主義者を対象とした大虐殺が行われていた。
しかし、その実行者たちは罪に問われることはなく、いまも“国民的英雄”として楽しげに暮らしていた。
映画作家のジョシュア・オッペンハイマーは、殺人部隊のリーダーであったアンワル・コンゴにこう提案する。
「あなたが行った虐殺を、今一度再現してみませんか」とー




9・30事件後にインドネシアで起こった、100万人規模の大虐殺を描いた作品です。

本作は歴史的事実をそのまま映画化した作品ではありません。
ジャンルとしてはドキュメンタリー。その内容は、映画作家がその虐殺を行った“英雄たち”に「映画であのときの虐殺を再現しましょう」と提案→みんなノリノリで殺人者を演じるというもの。
あまりにヤバい内容なので、エンドロールでの現地のスタッフの名前はことごとく「Anonymous(匿名)」になっていたりします。

ほんものの殺人者であるはずの彼らが、まるで俳優気取りで、嬉々として殺人者を演じているのです。
いやいや、おかしいだろ、と思うところですが、彼らにとってはこれが「あたりまえ」だったのでしょう。

60年代のインドネシアではプレマンと呼ばれるヤクザがはびこっていました。
プレマンや青年団に共産主義者を虐殺させるのは、反勢力を弾圧するための手段。テレビでもその行為は賞賛され、その行為はあらゆる点から肯定されるのです。

この映画で、自分は「ヴィンランド・サガ」という漫画作品を思い出しました。
この作品ではヴァイキング(海賊)が略奪・殺人をくり返すさまが描かれており、主人公がその行為を「ヴァイキングにとってはあたりまえなんだ。息を吸って吐くようなもんだ。どんなことであれ、あたりまえであることをやめるのは難しい」と語るシーンがあります。

虐殺をしたと言えども、それがみんなに英雄的な行為として認められれば、それも「あたりまえ」になってしまうのではないでしょうか。
この映画では、男たちが嬉々として殺人に加担したことを誇らしげに語るという常軌を逸したシーンばかりが映し出されるのですが、これも彼らにとっては「あたりまえ」なのでしょう。なんとも、ぞっとする事実です。

何より観ていて怖かったのが、これだけインモラルな内容であるのに、ちょっと笑ってしまうところがいくつもあったことです。
それは画がシュールすぎることだけでなく、殺人者本人を演じているのに「俺も俳優か~」と楽しそーにしていたりするのが滑稽だからです。
いやいや、お前はマジモンの殺人者だろ、楽しそうなのはおかしいだろ、とツッコミたくなることは必死。作中では彼らの行為に対して否定をする者がほぼ皆無なため、全編で「ツッコミ不在の恐怖」を感じざるをえませんでした。

ただ、中盤までは上記のような“勘違いしたおっさん”のしゃべりが延々と続くので、かなり退屈に感じてしまいました。
ドキュメンタリーという作品の都合上仕方がないのかもしれませんが、映画として面白くなるまでに時間がかかってしまうのはやはり弱点であると思います。
娯楽要素もほぼないので、かなり人を選ぶ作品であるでしょう。

個人的には苦手な作品でしたが、終盤の30分には眠気が完全に吹き飛ぶほどの面白さと衝撃がありました。
これは“できすぎ”に思えるくらいのもの。本作はこれだけのために観る価値があると断言できます。

「おっさんたちが2時間かけて虐殺を楽しそうに語る」映画と認識して相違ありません。つまり、死ぬほど胸くそが悪くなります
観た後に体調を崩す方もいらっしゃるのことですので、心に余裕があるときに観ることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
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2014-05-07 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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神への反抗 映画「プリズナーズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はプリズナーズです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:宗教色が強いなあ・・・


あらすじ


ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)の幸せな日常は突如として一変した。
感謝祭の日、6歳の娘のアナと、その友人の子どものジョイのふたりが姿を消したのだ。
警官のロキ(ジェイク・ギレンホール)は青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、物的証拠は何も出てこなかった。
アレックスの釈放に納得がいかないケラーは、常軌を逸した行動をおこす。




傑作ミステリー「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作です。

本作の売りのひとつが、ヒュージャックマンジェイク・ギレンホールという、実力と人気を兼ね備えた俳優がW主演をしていること。格好いいことはもちろん、誘拐事件に立ち向かう人間を鬼気迫る演技で魅せてくれました。
ふたりとも時間経過とともにどんどん疲れていっているように見えることもすごい。役への没入感は並々ならぬものでした。

脇役もヴィオラ・デイヴィスマリア・ベロなど実力派が勢揃い。ポール・ダノに至ってはもはや原型がわからなくなるほどの役柄を演じきっています。
役者の演技を堪能したい人にとっては、必見の内容でしょう。

しかし、本作を役者のファンに気軽におすすめできるかと言えば、それは否。
とても重苦しく、観ていて辛い描写が満載だからです。

主人公のケラーは自分の娘を誘拐され、その無事のためならどんな手段をもいとわないようになっていきます。
はじめはケラーに同情し、その行動に理解できていたのですが、やがて感情移入を阻むほどに常軌を逸していきます。
もともと悪人でない主人公が、どんどんと悪いほうの選択をしていくのは、観ていられないほどに辛いものがありました。

好き嫌いのわかれる点のもうひとつが、宗教色が濃いことです。
ケラーが敬虔なキリスト教徒であり“主の祈り”を捧げていること、もうひとりの主人公の刑事の名前が北欧神話の神である“ロキ”であること、そして終盤にわかる真実など……それら宗教的なメタファーが数多く登場するのです。
これは日本人にはいまいちピンとこない感覚であるので、観終わってもモヤモヤが残ってしまう人が多いのかもしれません。

しかし、本作にはそのあたりの難点が気にならないくらいのミステリーとしてのおもしろさがあります。
子どもふたりはどこに誘拐されているのか?
誰が真犯人なのか?
誘拐した理由は?
そのあたりの疑問の答えをなかなか出さず、ときにはちょっぴりとだけ見せたりして、結末までグイグイと引っ張ってくれます。
上映時間は2時間32分と長尺なのですが、その長さを感じさせません。

また、映画のテクニックとして「登場人物が知らないことを観客が知っている」ということがあるのですが、本作はそのテクニックの極地とも言えるシーンばかりです。
心の中で「おいおい、そこはダメだって~」「何で気づかないんだよ!」とツッコミを入れるほどじれったくもあり、否応無しにドキドキしてしてしまいます。

本作の予備知識として入れておくのは、あらすじ程度でじゅうぶん。前述のとおりミステリーとしての側面が強い作品なので、観る前のネタバレは厳禁です。

残念だったのが、事件の解決の経緯に違和感を覚える部分があったこと。宗教的な描写にひっぱられるあまり、物語の整合性に欠いている印象がありました。
本作は細かいことを気にせず、主人公の気持ちにとことん入り込んで観たほうがよいでしょう。

また、本作は子どもがいる人こそに観てほしい作品です。
子どもが誘拐されてしまった登場人物の苦しさがよりわかるでしょうから。観た後は、当たり前のように子どもがいる生活が、きっとかけがえのないものに思えるはずです。

ゴールデンウィークに観るには重過ぎる内容なのかもしれませんが、演出の緩急のつけかたが上手いこともあり、意外と疲労感はなく観れました。
PG12指定だけにエグいシーンもあり、作品のジャンルはホラーと言ってもいいほど怖いので、お気をつけを。

また、タイトルの「prisoners」の意味は“囚人”。複数形になっているとおり、prisonerにあたる者は作中で何人も登場します。
誰が囚われ人であったのか、観たあとに考えてみることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-05-05 : 映画感想 : コメント : 9 : トラックバック : 0
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訪れる変化 映画「たまこラブストーリー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はたまこラブストーリーです。

映画「たまこラブストーリー」 [Blu-ray]
ポニーキャニオン (2014-10-10)
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個人的お気に入り度:9/10

一言感想:よい日本映画を観たなあ・・・※アニメです


あらすじ


高校3年生の大路もち蔵は、恋心を抱いている幼なじみの女の子・北白川たまこに、東京の大学に進学することを伝えようとしていた。
その決意とは裏腹に、なかなかもち蔵は言い出せない。バトン部の部長・常盤みどりは、そんなもち蔵を見かねて後押ししようとするのだが……




テレビアニメ「たまこまーけっと」の続編となる劇場用作品です。

洲崎綾
4760円
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テレビ版は、かわいい女の子を愛でるためのアニメでした(異論は認めます)。
タイトルも「まーけっと」がひらがなになっているだけあって話もとてもかわいらしく、何も考えなくてもゆる〜く楽しめる、仕事疲れの人を癒してくれる作品でした。

さて、この劇場版がどうなっているかと言うと……いや本当にびっくりしました。度肝を抜かれました。
結論を言います。

①古き良き日本映画好きなら観に行け
②青春映画が好きなら観に行け
③ていうか映画が好きなら観に行け

そう、本作は(実写の)映画好きの琴線に触れる作品だったのです(注:これはアニメ作品です)。

本編には、優れた映画にこそある画と演出がふんだんにありました。

「アップ」や「引き」を意識し、細かいこだわりが満載の画、
ことばにしなくてもちょっとした表情の変化でわかる登場人物の想い、
ときおり入る尊いメッセージ、
少年少女ならではの、二度と戻ってこない青春を描き、
なにげない日常の中で、本人にとっては一大事が起こってしまうさまー

それは、まさに繊細な日本映画でした(注:これはアニメ作品です)。
作中の舞台は現代に設定されていますが、「糸電話」や「ラジカセ」といった昭和時代のアイテムも登場するので、物語の素朴さもあいまって昔懐かしの青春映画を観ているかのようにも感じました。

懐かしい糸電話

また、夕焼け色に染まる川(モデルは加茂川)の画の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。
ここはロングショットで撮られており、映画好きであればよりその巧みさに気づけるのではないのでしょうか。

山田尚子監督は、よっぽど青春映画が好きなのでしょう(「映画 けいおん! 」では女子高生がいちばん輝いている時期を撮りたかったと語っています)。
映画というものは、なかなか体験できないことを、スクリーン上で見せてくれます。
本作では、かけがえのない青春の1ページを追体験させてくれました。
これだけで、本作にありがとうと言いたいです。


さて、カタカナでド直球のタイトルが示すとおり、本作の物語はストレートなラブストーリーです。
軽いネタバレかもしれませんが言ってしまいます。
本作は恋愛映画でありながら、一度としてキスをするシーンは出てきません
恋人同士がラブラブになったりする恋愛ではまったくないのです。

それでも、本作は間違いなくラブストーリーでした。
なぜかというと、恋をしたことによりすれ違いや、苦しさや、簡単にことばにできない複雑な感情をしっかり描いているからです。

あと、恋をしている少年少女がかわいいのなんの。
主人公のたまこはもちろん、友だちのみどり、恋心を告白しようとしているもち蔵(すげえ名前)もほんとうにかわいいです。
アニメならではの“萌え”も合わさって、ニヤニヤできることは間違いありません。


テーマには、“変化”と“日常を保つ”というものもあります。
主人公のたまこは、自分の住む商店街(モデルは出町柳商店街)の人々が大好きで、変わらない日々を愛しています。
しかし、彼女も高校3年生になり、まわりの変化をなかなか受け止められなくなってしまいます。

変わることはうれしくもあるけど、同時に怖くもあるし、拒絶したくなることもある。
このテーマは極めて普遍的で、多くの人が共感できることでしょう。

そして、この物語は登場人物の“成長”として昇華されます。
主人公がどう変わったのか、まわりの人たちはどう思ったのか。
それを、ぜひ見届けてください。


難点をあげるとすれば、“アニメでこそ”の描写が少ないように感じられることでしょうか。
本作は吉田玲子さんによる脚本をそのままに、実写映画にしても成立してしまいそうな勢いです。

しかし、映画を観終わると、そんな難点はどうでもよくなってしまいました。
作品には、映画、漫画、小説、音楽などさまざまな表現方法があり、今回はたまたまアニメという媒体で、最高のパフォーマンスでもって素晴らしい作品をみせてくれた、ということだけなのですから。
むしろ、アニメでここまで繊細な作品がつくられことが、うれしくて仕方がありません。

主人公のたまこを演じていた洲崎綾さんによる主題歌「プリンシプル」もよかったですね。

900円
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映画を観た後は、その歌詞に想いを馳せてみることをおすすめします。


そんなわけで、これは大プッシュでおすすめです。
上映時間はわずか82分。そのうち5分間は本筋とは関係ない短編作品「南の島のデラちゃん」ですから、本編は80分を切るほどの短い作品です。
それでも話はしっかりまとまっており、青春映画として、恋愛映画として、申し分のない完成度。じんわりと、心に残る作品になっています。

なお、物語は独立しているのでテレビアニメ版を観ていなくても楽しめます
2〜3話ほど観て、雰囲気を把握しておく程度で問題はないでしょう。

作中で大きな事件がなかなか起こらない作品なので、人によっては退屈してしまうかもしれません。
ノリもどちらかと言えばライトなので、深い感動を求めると少々肩すかしなのかもしれません。
しかし、登場人物のわずかな変化や心情を考えてみると、その魅力に気づけるはずです。

上映劇場は全国で24館とわずかですが、アニメファンだけに独占させておくのはもったいないです。
岩井俊二や、大林宣彦といった監督の作品が好きな人も、きっと気に入ると思います。
今恋をしている人、恋をしたときのことを思い出したい人、ふだんアニメを観ない人も、ぜひ作品にふれてみてください。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-05-03 : 映画感想 : コメント : 10 : トラックバック : 0
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あるべき格闘の姿 映画「テルマエ・ロマエ2」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はテルマエ・ロマエIIです。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:お風呂の素晴らしさがあればいいや


あらすじ


古代ローマで浴場設計技を生業としているルシウス(阿部寛)は、コロッセオで闘うグラディエーターの傷を癒やすための浴場建設の命を受ける。
頭を悩ませた彼はまたもや現代の日本へタイムスリップ。そこで相撲取りが通う銭湯で新たなアイディアをみつける。
また、日本でお風呂専門のライターとなっていた真実(上戸彩)は、ケイオニウス(北村一輝)が疫病にかかって亡くなることをルシウスに告げる。




ヤマザキマリコミックを原作とした実写映画の第2弾です。
<前作のレビュー>

阿部寛
2982円
powered by yasuikamo
*前作はHuluでも視聴可能です。

この作品の素晴らしいところは、古代のローマ帝国の浴場設計士が現代の日本のお風呂にタイムスリップ→感動してその技術をもれなくパクるというプロット。
古代ローマも日本もお風呂を大事にしていることは共通。作品に触れたあとは、きっと日本のお風呂の良さに気づけることでしょう。

この実写化において何よりも賞賛すべきなのは、日本映画で古代ローマを再現したことでしょう。
今回は日本初となるブルガリアで海外撮影を行い、セットのクオリティは軒並みならないものになっています。
お風呂という庶民的なものをテーマとしながら、これだけの巨費をかけたロケーションが行われた映画というのは後にも先にもないでしょうね。

さて、本作の感想をかいつまんで言えば、
①前半が面白くて、後半がつまらない
②原作そのままのところが面白くて、映画オリジナルのところがつまらない
③お風呂を舞台としたギャグが面白くて、シリアスなドラマがつまらない
と、まあ、前作とまったく変わっておりませんでした。

ドラマの部分の出来の悪さはけっこう致命的で、少し考えただけでもおかしいところがいくつも思い浮かびます。
映画である以上は大きなストーリーの流れをつくらないといけませんし、もともと破天荒な設定の中でドラマを築くのは確かに難しいのでしょう。
でも、これはちょっと許容範囲を超えています。
作中の主張である「戦争で血を流すよりも、人を癒す風呂のほうこそがローマには必要だ!」をもう少し掘り下げればもっと面白くなったと思うのだけど……

ドラマにおいてよかったのは、日本の相撲を尊い文化として作品に取り入れたこと(これは映画オリジナル)、前作でまったくいいところがなかったキャラクター・ケイオニウス(北村一輝)がしっかり活躍してくれたことでしょうか。いや、そのケイオニウスのストーリーがいまひとつなのですが。

もうひとつ気になったのは、ギャグにおいて気軽に笑えない部分が増えたこと。
具体的に言えば“奴隷”の描写です。
主人公のルシウスは日本のさまざまな電気で動く機械を見て「奴隷が頑張っているんだな」と妄想します。
そこは笑えますが、古代ローマでそのアイディアを持ち帰ると、奴隷たちが日本の機械を再現するため、過酷な労働を強いられているシーンが何度も出てくるのです
これは奴隷に対してのいじめに思えてしまい、ひいてしまいます。
原作にはこのような描写はほとんどなかった(あえて描かないようにしていた)と思うのですが、なぜ映画ではそこを強調してしまったのでしょうか……。

誰も寝てはならぬ」「モルダウ」などの有名なオペラ曲が使われていていることも魅力のひとつですが、タイムスリップのたびに現れるオペラ歌手のギャグもあまり笑えません(ごめんなさい)。

それでも、古代ローマ人が日本の文化に戸惑うギャップは相変わらず笑えますし、主役の阿部寛の顔芸だけで楽しめてしまうのは事実。本作はドラマのほうを期待せず、それだけを目的として観ることをおすすめします(もともとそういう人がほとんどだろうけど)。

個人的に好きだったのは、ポスターと予告編に映画のパロディがあったことです。

テルマエ2 ポスター    スターウォーズっぽいスター・ウォーズのパロディ
<しかも十戒が混じっている。


テルマエロゴ    ターミネーター2ロゴ
テルマエ2ポスターその2  全裸のターミネーターターミネーター2のパロディ

未知との遭遇未知との遭遇

まあ、これらの映画パロディは本編にはなかったのですけどね。

一応続きものなので、前作を観てから劇場に足を運ぶことをおすすめします。
ラストは、わりと意外な展開が待っていますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-05-01 : 映画感想 : コメント : 21 : トラックバック : 1
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『キング・オブ・エジプト』(吹き替え版)
『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
『葛城事件』
『TOO YOUNG TO DIE!』
『貞子 vs 伽椰子』
『ヒメアノ~ル』
『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
『クレしん ユメミーワールド』
『バットマン vs スーパーマン』
『ドラえもん 新・日本誕生』
『X-ミッション』
『オデッセイ』

<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『アメリカン・スナイパー』

<2014年下半期>
『ベイマックス』
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『MONSTERZ』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
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