神への反抗 映画「プリズナーズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「プリズナーズ」です。
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:宗教色が強いなあ・・・
あらすじ
ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)の幸せな日常は突如として一変した。
感謝祭の日、6歳の娘のアナと、その友人の子どものジョイのふたりが姿を消したのだ。
警官のロキ(ジェイク・ギレンホール)は青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、物的証拠は何も出てこなかった。
アレックスの釈放に納得がいかないケラーは、常軌を逸した行動をおこす。
傑作ミステリー「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作です。
本作の売りのひとつが、ヒュージャックマンとジェイク・ギレンホールという、実力と人気を兼ね備えた俳優がW主演をしていること。格好いいことはもちろん、誘拐事件に立ち向かう人間を鬼気迫る演技で魅せてくれました。
ふたりとも時間経過とともにどんどん疲れていっているように見えることもすごい。役への没入感は並々ならぬものでした。
脇役もヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロなど実力派が勢揃い。ポール・ダノに至ってはもはや原型がわからなくなるほどの役柄を演じきっています。
役者の演技を堪能したい人にとっては、必見の内容でしょう。
しかし、本作を役者のファンに気軽におすすめできるかと言えば、それは否。
とても重苦しく、観ていて辛い描写が満載だからです。
主人公のケラーは自分の娘を誘拐され、その無事のためならどんな手段をもいとわないようになっていきます。
はじめはケラーに同情し、その行動に理解できていたのですが、やがて感情移入を阻むほどに常軌を逸していきます。
もともと悪人でない主人公が、どんどんと悪いほうの選択をしていくのは、観ていられないほどに辛いものがありました。
好き嫌いのわかれる点のもうひとつが、宗教色が濃いことです。
ケラーが敬虔なキリスト教徒であり“主の祈り”を捧げていること、もうひとりの主人公の刑事の名前が北欧神話の神である“ロキ”であること、そして終盤にわかる真実など……それら宗教的なメタファーが数多く登場するのです。
これは日本人にはいまいちピンとこない感覚であるので、観終わってもモヤモヤが残ってしまう人が多いのかもしれません。
しかし、本作にはそのあたりの難点が気にならないくらいのミステリーとしてのおもしろさがあります。
子どもふたりはどこに誘拐されているのか?
誰が真犯人なのか?
誘拐した理由は?
そのあたりの疑問の答えをなかなか出さず、ときにはちょっぴりとだけ見せたりして、結末までグイグイと引っ張ってくれます。
上映時間は2時間32分と長尺なのですが、その長さを感じさせません。
また、映画のテクニックとして「登場人物が知らないことを観客が知っている」ということがあるのですが、本作はそのテクニックの極地とも言えるシーンばかりです。
心の中で「おいおい、そこはダメだって~」「何で気づかないんだよ!」とツッコミを入れるほどじれったくもあり、否応無しにドキドキしてしてしまいます。
本作の予備知識として入れておくのは、あらすじ程度でじゅうぶん。前述のとおりミステリーとしての側面が強い作品なので、観る前のネタバレは厳禁です。
残念だったのが、事件の解決の経緯に違和感を覚える部分があったこと。宗教的な描写にひっぱられるあまり、物語の整合性に欠いている印象がありました。
本作は細かいことを気にせず、主人公の気持ちにとことん入り込んで観たほうがよいでしょう。
また、本作は子どもがいる人こそに観てほしい作品です。
子どもが誘拐されてしまった登場人物の苦しさがよりわかるでしょうから。観た後は、当たり前のように子どもがいる生活が、きっとかけがえのないものに思えるはずです。
ゴールデンウィークに観るには重過ぎる内容なのかもしれませんが、演出の緩急のつけかたが上手いこともあり、意外と疲労感はなく観れました。
PG12指定だけにエグいシーンもあり、作品のジャンルはホラーと言ってもいいほど怖いので、お気をつけを。
また、タイトルの「prisoners」の意味は“囚人”。複数形になっているとおり、prisonerにあたる者は作中で何人も登場します。
誰が囚われ人であったのか、観たあとに考えてみることをおすすめします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:宗教色が強いなあ・・・
あらすじ
ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)の幸せな日常は突如として一変した。
感謝祭の日、6歳の娘のアナと、その友人の子どものジョイのふたりが姿を消したのだ。
警官のロキ(ジェイク・ギレンホール)は青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、物的証拠は何も出てこなかった。
アレックスの釈放に納得がいかないケラーは、常軌を逸した行動をおこす。
傑作ミステリー「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作です。
本作の売りのひとつが、ヒュージャックマンとジェイク・ギレンホールという、実力と人気を兼ね備えた俳優がW主演をしていること。格好いいことはもちろん、誘拐事件に立ち向かう人間を鬼気迫る演技で魅せてくれました。
ふたりとも時間経過とともにどんどん疲れていっているように見えることもすごい。役への没入感は並々ならぬものでした。
脇役もヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロなど実力派が勢揃い。ポール・ダノに至ってはもはや原型がわからなくなるほどの役柄を演じきっています。
役者の演技を堪能したい人にとっては、必見の内容でしょう。
しかし、本作を役者のファンに気軽におすすめできるかと言えば、それは否。
とても重苦しく、観ていて辛い描写が満載だからです。
主人公のケラーは自分の娘を誘拐され、その無事のためならどんな手段をもいとわないようになっていきます。
はじめはケラーに同情し、その行動に理解できていたのですが、やがて感情移入を阻むほどに常軌を逸していきます。
もともと悪人でない主人公が、どんどんと悪いほうの選択をしていくのは、観ていられないほどに辛いものがありました。
好き嫌いのわかれる点のもうひとつが、宗教色が濃いことです。
ケラーが敬虔なキリスト教徒であり“主の祈り”を捧げていること、もうひとりの主人公の刑事の名前が北欧神話の神である“ロキ”であること、そして終盤にわかる真実など……それら宗教的なメタファーが数多く登場するのです。
これは日本人にはいまいちピンとこない感覚であるので、観終わってもモヤモヤが残ってしまう人が多いのかもしれません。
しかし、本作にはそのあたりの難点が気にならないくらいのミステリーとしてのおもしろさがあります。
子どもふたりはどこに誘拐されているのか?
誰が真犯人なのか?
誘拐した理由は?
そのあたりの疑問の答えをなかなか出さず、ときにはちょっぴりとだけ見せたりして、結末までグイグイと引っ張ってくれます。
上映時間は2時間32分と長尺なのですが、その長さを感じさせません。
また、映画のテクニックとして「登場人物が知らないことを観客が知っている」ということがあるのですが、本作はそのテクニックの極地とも言えるシーンばかりです。
心の中で「おいおい、そこはダメだって~」「何で気づかないんだよ!」とツッコミを入れるほどじれったくもあり、否応無しにドキドキしてしてしまいます。
本作の予備知識として入れておくのは、あらすじ程度でじゅうぶん。前述のとおりミステリーとしての側面が強い作品なので、観る前のネタバレは厳禁です。
残念だったのが、事件の解決の経緯に違和感を覚える部分があったこと。宗教的な描写にひっぱられるあまり、物語の整合性に欠いている印象がありました。
本作は細かいことを気にせず、主人公の気持ちにとことん入り込んで観たほうがよいでしょう。
また、本作は子どもがいる人こそに観てほしい作品です。
子どもが誘拐されてしまった登場人物の苦しさがよりわかるでしょうから。観た後は、当たり前のように子どもがいる生活が、きっとかけがえのないものに思えるはずです。
ゴールデンウィークに観るには重過ぎる内容なのかもしれませんが、演出の緩急のつけかたが上手いこともあり、意外と疲労感はなく観れました。
PG12指定だけにエグいシーンもあり、作品のジャンルはホラーと言ってもいいほど怖いので、お気をつけを。
また、タイトルの「prisoners」の意味は“囚人”。複数形になっているとおり、prisonerにあたる者は作中で何人も登場します。
誰が囚われ人であったのか、観たあとに考えてみることをおすすめします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
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