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あたりまえが、いちばんこわい 映画「アクト・オブ・キリング」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、劇場で観たアクト・オブ・キリングの感想です。

←この巨大な魚はトバ湖にある廃墟となったレストランだそうです。

個人的お気に入り度:6/10

一言感想:怖いけど、滑稽


あらすじ


60年代のインドネシアでは、共産主義者を対象とした大虐殺が行われていた。
しかし、その実行者たちは罪に問われることはなく、いまも“国民的英雄”として楽しげに暮らしていた。
映画作家のジョシュア・オッペンハイマーは、殺人部隊のリーダーであったアンワル・コンゴにこう提案する。
「あなたが行った虐殺を、今一度再現してみませんか」とー




9・30事件後にインドネシアで起こった、100万人規模の大虐殺を描いた作品です。

本作は歴史的事実をそのまま映画化した作品ではありません。
ジャンルとしてはドキュメンタリー。その内容は、映画作家がその虐殺を行った“英雄たち”に「映画であのときの虐殺を再現しましょう」と提案→みんなノリノリで殺人者を演じるというもの。
あまりにヤバい内容なので、エンドロールでの現地のスタッフの名前はことごとく「Anonymous(匿名)」になっていたりします。

ほんものの殺人者であるはずの彼らが、まるで俳優気取りで、嬉々として殺人者を演じているのです。
いやいや、おかしいだろ、と思うところですが、彼らにとってはこれが「あたりまえ」だったのでしょう。

60年代のインドネシアではプレマンと呼ばれるヤクザがはびこっていました。
プレマンや青年団に共産主義者を虐殺させるのは、反勢力を弾圧するための手段。テレビでもその行為は賞賛され、その行為はあらゆる点から肯定されるのです。

この映画で、自分は「ヴィンランド・サガ」という漫画作品を思い出しました。
この作品ではヴァイキング(海賊)が略奪・殺人をくり返すさまが描かれており、主人公がその行為を「ヴァイキングにとってはあたりまえなんだ。息を吸って吐くようなもんだ。どんなことであれ、あたりまえであることをやめるのは難しい」と語るシーンがあります。

虐殺をしたと言えども、それがみんなに英雄的な行為として認められれば、それも「あたりまえ」になってしまうのではないでしょうか。
この映画では、男たちが嬉々として殺人に加担したことを誇らしげに語るという常軌を逸したシーンばかりが映し出されるのですが、これも彼らにとっては「あたりまえ」なのでしょう。なんとも、ぞっとする事実です。

何より観ていて怖かったのが、これだけインモラルな内容であるのに、ちょっと笑ってしまうところがいくつもあったことです。
それは画がシュールすぎることだけでなく、殺人者本人を演じているのに「俺も俳優か~」と楽しそーにしていたりするのが滑稽だからです。
いやいや、お前はマジモンの殺人者だろ、楽しそうなのはおかしいだろ、とツッコミたくなることは必死。作中では彼らの行為に対して否定をする者がほぼ皆無なため、全編で「ツッコミ不在の恐怖」を感じざるをえませんでした。

ただ、中盤までは上記のような“勘違いしたおっさん”のしゃべりが延々と続くので、かなり退屈に感じてしまいました。
ドキュメンタリーという作品の都合上仕方がないのかもしれませんが、映画として面白くなるまでに時間がかかってしまうのはやはり弱点であると思います。
娯楽要素もほぼないので、かなり人を選ぶ作品であるでしょう。

個人的には苦手な作品でしたが、終盤の30分には眠気が完全に吹き飛ぶほどの面白さと衝撃がありました。
これは“できすぎ”に思えるくらいのもの。本作はこれだけのために観る価値があると断言できます。

「おっさんたちが2時間かけて虐殺を楽しそうに語る」映画と認識して相違ありません。つまり、死ぬほど胸くそが悪くなります
観た後に体調を崩す方もいらっしゃるのことですので、心に余裕があるときに観ることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-05-07 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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<2015年下半期>
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『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
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『箱入り息子の恋』
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『横道世之介』
『脳男』
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<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
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『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
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<2012年上半期公開>
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『メン・イン・ブラック3』
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『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
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<そのほか>
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