ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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ずっと夢を見ている 映画「渇き。」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は渇き。です。


個人的お気に入り度:測定不能/10

一言感想:なんでこれ18禁じゃないの・・・


あらすじ


元刑事の藤島昭和(役所広司)は別居中の元妻の桐子(黒沢あすか)から、娘の加奈子(小松菜奈)がいなくなったと告げられる。
昭和が加奈子について調査をしていくと、加奈子の今まで知り得なかった“正体”が明らかになっていった。
3年前。中学生の「ボク」(清水尋也)は藤島加奈子に恋いこがれていたのだが……




*今回は記事の前半部分にも、少しネタバレ(ヒロインの正体)に触れているところがあるので、予備知識なく観たい方はご注意ください

下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督最新作です。

とりあえず全体の印象がどうとか役者の演技がどうとか言う前に、これだけは言っておきます。
エログロ描写が苦手な人は絶対に観るな!

これはヒドい(ある意味ほめことば)です。
直接的な残酷描写がありありで、血がぶしゃぶしゃ飛ぶだけではありません。
女性を性的に辱める場面があるわ、少女売春やドラッグ描写がてんこもりだわ、この世の“社会悪”で煮詰めたような映画なのです。

この映画の何よりの問題は、なぜかR15+指定止まりになっていることです。
ドラッグやセックスの描写のインモラルっぷりはR18+指定であった「ウルフ・オブ・ウォールストリート」と大差ありませんし、テーマのエグさは「冷たい熱帯魚」に匹敵します。さらに、性の対象となっている登場人物に中学生がたくさんいるだけにさらにヤバさは加速しています。

中島監督らしく、このエログロ描写をポップな音楽や映像で装飾しており、そこにはある種のドラッグやエロや残虐描写への“賛美”があるようにも感じられます。倫理的に最悪(ある意味ほめことば)です。

使われている音楽は、原作にあったヒップホップだけなく、Jポップやダブステップなど多種多様。ときに暴力的に感じるほどに痛烈な印象を残してくれています。
選曲についてはこちらで(微ネタバレ注意)→<【曲リスト】中島哲也『渇き。』の選曲がぶっ飛んでいる… | Qetic - >

R15+指定で許されているのを1万歩譲って容認するとしても、学生限定試写会学生早割1000円キャンペーンとかやっているのは明らかにおかしいです。
同じくR15+指定だった監督の前作「告白」はそこまでキツいエログロ描写はなかったので、今回も大丈夫だろうと思っている人も立ち止まったほうがいいです。

日本の映倫が甘いのはいまにはじまったことではありませんが、「セッションズ」などの性を真摯に描いている作品や、「トガニ 幼き瞳の告発」という子どもへの性的虐待を描いた社会派の作品を安易にR18+指定にしちゃうこともあるしなあ……ちゃんと見極めてほしいものです。

自分は、この映画を観た後に原作小説を読みました。

深町 秋生
802円
powered by yasuikamo

この原作は、よくある「映像化不可能と謳われた~」という宣伝文句が使われていましたが、その理由がわかりました。
それは予算の問題とか小説の表現を映像化するのが難しいとかとかではなく、単純に中学生が○○○する描写がヤバすぎてアウトだったからなのですね。
でもこの映画ではその中学生が○○○する描写を(多少間接的にしながらも)しっかり描写。本当、なぜ18禁じゃねえんだよ。

大筋は映画と小説でほぼ同じですが、細部の描写はかなり異なっています。
原作との差異についてはこちらも参照(微ネタバレ注意)→<映画『渇き。』と原作『果てしなき渇き』の違い - 破壊屋ブログ>


この映画のもうひとつの特徴は、登場人物のほぼ全員が狂っていること
役所広司演じる主人公は作中で「ク○が!」と何十回も言っていますし、一見まともに見えた登場人物も“裏の顔”を持っていたりしますし、作中ではキ○ガイという放送禁止用語を何回も聞くことができます。

ヒロインである藤島加奈子は、「愛する娘は、バケモノでした」というキャッチコピーにあるように、(映画版では)頭のネジがふっとびまくっているサイコパスです。

映画版では、この藤島加奈子に関する情報がより少なく、「なぜ藤島加奈子がそんなひどいことをするのか」という理由がわかりません。
悪の教典」でも思ったことなのですが、「“なぜ”がわからない」ということは、もっとも恐ろしいことです。
映画での藤島加奈子は、徹底的に感情移入を拒むような、悪魔のようなキャラクターでした。
彼女を演じた小松菜奈は演技経験がなかった新人とのことですが、すさまじい存在感を見せてくれます。

ちなみに、原作では藤島加奈子が“怪物”なった理由、キャラクターそのものが映画よりも詳しく描かれています。
しかし、映画だけを観たほうが、このヒロインをより恐ろしく感じられるのではないでしょうか。

渇きのポス<この宣伝用ポスター、本物の捜索願いと思う人もいるのでは・・・

そんな作品なので、本作の評価は間違いなく賛否両論でしょう。
このキ○ガイっぷりに興奮した悪趣味な方は絶賛したとしても、中身のない低俗で下劣な映画と蔑まれても無理はありません。
これまでの三大賛否両輪映画は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「リリイ・シュシュのすべて」「キル・ビル Vol.1」だと思っていましたが、新たに四天王として「渇き。」を加えてもいい感じです。
宣伝でも、賛否両論であることをむしろ売り文句にしているありさまでした。

自分は、あまりのもエログロ、多用しすぎに思える顔のアップカットの連続、音と映像のジェットコースター、あまりに不愉快な内容を目の当たりにして観た後はへとへとになり、「この映画嫌い」と素直に思いました
中島監督は、もともとポップな描写の中にしっかりとした人間ドラマがあり、カタルシスに溢れていることが魅力だと思っていたのですが、今回は園子温監督ばりの悪趣味かつ極端な描写ばかりで、コレジャナイ感がけっこうありました。

でも、観ている間は圧倒される勢いがあり、おもしろいと感じたのも事実です(そんなんだから点数がつけられませんでした)。
後半がやや冗長だったり、サスペンスとしてはエピソードが積み重ねってくるおもしろさが希薄という欠点はあるものの、いままでにない映画体験をしたいという方は観て損はないでしょう。
観た後は、「こんな地獄のような世界に縁がなくてよかった」と思えるかもしれません(そういう意味ではじつは教育的?)

役所広司が史上最高に狂っていて、脂汗を流し、どんどん汚くなっていく話です。
オダギリジョー妻夫木聡二階堂ふみと言った豪華キャストもヒドい(ほめことば)役を演じています。

キツい描写はもちろんですが、本作は過去と現在が同時並行で描かれるという特殊な構成であり、始終ハイテンションな雰囲気なので、ついていくがやっとだという方も多いことでしょう。
気合を入れて観ることをおすすめします。

言うまでもないですが、家族や恋人同士で観ることは、自信を持っておすすめいたしません。
女の子どうしで観たら泣いたという意見もあることですし、親御さんで、もし高校生くらいのお子さんがこの映画を観ようとしているなら、とりあえず止めてください。そういう映画です。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 原作の内容も少しだけネタバレしているので、未読の方はご注意を

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2014-06-28 : 映画感想 : コメント : 14 : トラックバック : 0
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2本立て×2週間上映の名画座「ギンレイホール」の記事を書きました。

All Aboutで映画記事を書きました。

<2週間興行の理由は? 飯田橋ギンレイホールを紹介>

『午前0時のフィルム映写会』は本日27日と明日28日にも開催。
以降のライアンアップにスポ根映画の名作が並んでいたり、「ゆれる」という玄人向けの作品があることが見逃せません。なにより、デジタルでなくフイルムでの上映なのがうれしいですね。

記事には書いていませんが、ギンレイホールは屋外での上映イベントも開催していて、芝生に寝っころがって映画を観ることができたのだとか。それまたやってほしいです。
今後も名画座について特集したいので、おすすめの劇場がありましたら、ぜひ教えてください。

公式サイト↓
飯田橋ギンレイホール

おすすめ↓
vol.08 飯田橋ギンレイホール|違いのわかる映画館
1万円で映画が見放題!?名画座 飯田橋ギンレイホールの魅力 - NAVER まとめ

以前の名画座の記事↓
2本立て上映の理由とは?老舗映画館「目黒シネマ」紹介
2014-06-27 : いろいろコラム : コメント : 8 : トラックバック : 0
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墓標の日付の意味 映画「LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はLUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:こういうのが観たかった


あらすじ


ルパン三世と次元大介は東ドロア共和国で秘宝を奪うことに成功する。
しかし、逃げ先にはなぜか必ず警察が逃げ場所を知っているかのように迫っており、さらに凄腕の殺し屋・ヤエル奥崎に次元が撃たれてしまう。
ルパンと次元は事件の真相を追うのだが……




超おすすめします
これはもう、「最近の軟弱なルパン三世はルパン三世じゃない!ハードボイルドで格好いいルパンが観たい!」と思っている方は女房を質に入れてでも観るべきでしょう。

本作は深夜アニメとして放送されていた「峰不二子という女」の続編です。

栗田貫一
9980円
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自分はこのシリーズは未見でしたが、峰不二子がルパンたちと出会う前の物語が描かれており、画も原作のルパン三世をフィーチャーした大人向けの内容なのだとか。
この作品でキャラクターデザイン・作画監督を務めた小池健は、本作では監督・演出・キャラクターデザイン・メカニックデザイン・作画監督までを担当しています。

「次元大介の墓標」の印象は、とにかく“かっこういい”のひと言につきます。
原作を意識した作画は精錬されており、敵に至るまでしっかりとキャラ造形がしてあり、終盤への伏線も充分。演出、脚本にまったくムダがありません
本作の上映時間は、合わせた50分少々(オープニングやエンドロールを除けば50分未満)なのですが、長編映画にひけを取らないほどの満足感がありました。

また、本作には「ルパンVS複製人間」へのリスペクトを十二分に感じました。

山田康雄
3240円
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「複製人間」と「次元大介の墓標」は画だけでなく、ルパンと次元の関係も似ています。
ふたりはちょっとドライに見えながらも、己の信条を持ち行動しているのです。

ルパン三世のファンにとって、「『カリオストロの城』は本当のルパンじゃない、複製人間がもっともルパンらしい」ということはよく語られているのですが、本作はそうしたファンの溜飲を下げてくれることは間違いありません。

……なのですが、本作の最大の難点は、現在新宿バルト9でしか上映しておらず、しかも2週間限定の公開ということです。
7月12日、19日から上映劇場が増えるのですが、これほどまでに優れている作品を観ることが叶わない状態になっているのはもったいないと言わざるを得ません。

また、本作のレーティングはPG12指定。
不二子ちゃんがかなりセクシーな感じになるので、お子様の鑑賞には注意したほうがよいでしょう。
このオトナ向けの描写も、古参のルパンファンに向けたものに思えてうれしくなります。

ほかの不満点は、背景にある国家の問題が台詞だけの描写に留まっていること、もっと長い時間観たいと思うことと、前・後篇の構成になっているため劇場で観ると少々テンポを削いでしまう印象があること。映画ならではのボリュームを感じにくいのは、やはり欠点なのかもしれません。

また、本作を観るときは、タイトルにもなっている次元大介の墓標に書かれている“日付”に注目してみることをおすすめします。
これには、とっても素敵な意味があるのです。

ルパン三世ファンにとっては大満足。そうではない一般の方も楽しめること間違いなし。
ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」に感じていた物足りなさは、この作品が完全に払拭してくれました。
次元ファンにとって、かっこよさはもちろん、史上まれにみるくらい次元の素顔が見れる(いつもは帽子で目が隠れている)作品なので必見でしょう。

長らくルパンの短編ものは「死の翼アルバトロス」が最高傑作だと思っていましたが、本作はそれに匹敵します。これでいかに実写版『ルパン三世』が駄作だったとしてもダメージ少なくてすむぜ!
全国一律1300円という低料金で観ることができます。近くでやっていたらぜひ。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!

以下、結末も含めて盛大にネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は観ている人が少ないと思うのですが、ラスト付近の展開には触れざるを得ないので。

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テーマ : 映画レビュー
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2014-06-26 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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仲間のために 映画「300 帝国の進撃」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は300(スリーハンドレッド) 帝国の進撃(原題: 300: Rise of an Empire)です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:筋肉の不足は美女でカバー


あらすじ


アテナイのテミストクレス将軍(サリヴァン・ステイプルトン)は、一般市民から成るギリシャ連合軍を率いて、ペルシャ帝国の軍船に勝負を挑もうとしていた。
相手は、ペルシャ帝国の女指揮官・アルテミシア(エヴァ・グリーン)。彼女はギリシャの兵に家族を殺され、自身も陵辱を受けたため、復讐に燃えていた。




ムキムキマッチョな男たちが戦う素敵な作品「300」の7年ぶりの続編です。

ジェラルド・バトラー
1490円
powered by yasuikamo

前作の何が素敵って
・筋肉
・絵画のような美しいビジュアル
・スローモーションを駆使したアクション
・グロてんこ盛り
・あと筋肉
です。

実在の都市国家・スパルタの男たちが血みどろの戦闘をくり広げるさまは、生やさしいアクション映画に飽き飽きしていていた人々を夢中にさせました。
原作がフランク・ミラーによるコミックなだけに、歴史に忠実だとかリアリティだとかよりも、妙な妖術使いなどの破天荒な敵が出てきたりする(いい意味で)マンガ的な展開になっていることも魅力のひとつ。
ザック・スナイダー監督の洗練されたアクション描写と演出も、これ以上のない化学反応を起した秀作でした。

続編となる今作では、ザック・スナイダーは監督ではなく脚本・製作へと仕事を変えています。
今回はスパルタの300人の男たちが主役ではないので、「300」というタイトルもある意味的外れです(今作の原作コミックのタイトルは「Xerxes」)。
そんなわけで、前作のよさが失われていないかと思っていたのですが……その不安は半分当たって、半分外れていました。

よいところでは、やはりビジュアル面。
血は思う存分にバシャバシャ、腕や首が飛びまくる残虐さも含めて、決して前作に負けていません。
今回のおもな舞台は海、サラミスの海戦を描いているだけあり、地上戦であった前作との差別化も図られています。

また、今作の魅力として多くの人があげるであろうことは、エヴァ・グリーン演じるアルテミシアのキャラクターでしょう。
もくずにしちゃえ<華奢だけど剣も強い
彼女については過去もしっかり描かれており、敵ながら感情移入ができました。

不満点でいちばんに思い浮かぶのが、前作とスローモーションの演出が少し変わっていたことです。
前作は、“スローをアクションのすごいところで止める→アクションが終わるとすぐに通常どおりのスピードに戻す”と、スローをスピード感を描くために使うという、秀逸な演出がなされていました。
しかし、今作では“見せ場”のシーンでスローを用いるのみで、前作のようなアクションの躍動感が感じにくいのです。
あまり意味がなさそうなシーンでもスローを使ったりしており、テンポを殺しているようにも思えました。

もうひとつの不満が、サリヴァン・ステイプルトン演じる主人公にあまり魅力がないこと。
脳みそまで筋肉でできんじゃねーかと思わせる前作の主人公・レオニダスに比べ、今回の主人公・テミストクレスはキチンと戦いの前に作戦を立てる“知略派”の指揮官のはずなのですが、残念ながら映画を観てもそうは思えないのです(理由はネタバレ部分で書きます)。
その“葛藤”の描写もあまりおもしろいものではなく、敵のアルテミシアに完全にキャラ負けしていたのは残念です。

不満はあれど、前作が好きな人にはおすすめします。
前作に比べるとキャストの筋肉具合はまあまあのレベルですが、その筋肉の不足はエヴァ・グリーンの魅力でカバーしています。
話の物足りなさも「血みどろアクションがあればいいや」と思えば充分許容範囲です。
また、本作は前作の出来事と同じ時間軸で物語が進むため、前作の予備知識があったほうがより楽しめるはず(もちろん前作のラストも思い切りネタバレしてしまっています)。なんとなく覚えているくらいでいいので、前作を観てから鑑賞したほうがいいでしょう。

また、本作は3D版を存分におすすめします
スローとの相性もよく、むしろ今回のスローはこのためのものだったのではないかと思えてくるほど。
血が画面に向かって飛んできたり、あるはずのないカメラに血がつく描写も大好きでした。

ザ・R15+な作品なので、いっしょに観に行く相手は慎重に選びましょう。おすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 前作の展開もネタバレしています。

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2014-06-25 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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失敗してもいい 映画「ホドロフスキーのDUNE」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はホドロフスキーのDUNE(原題:JODOROWSKY'S DUNE)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:あたまおかしい(ほめことば)


あらすじ


映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーは、フランク・ハーバートの小説『DUNE』を原作とした大作SFを製作するはずだった。
しかし、その計画は撮影を目前にして頓挫する。それはなぜかー
ホドロフスキーや、プロデューサーのミシェル・セイドゥーは、その一連の騒動を語る。




みなさまは、アレハンドロ・ホドロフスキー監督をご存知でしょうか。
アナと雪の女王」で久しぶりに映画館に行ったんだ〜などと宣う、映画をあまり観ない一般の方はまずご存知ないでしょう。

まあ簡単に言えば、あたまがおかしい作品ばかり撮っている方です

たとえば、代表作のひとつ「エル・トポ」では、しょっぱなから全裸の少年が馬に乗って登場します。

<主人公の後ろに全裸の少年が……

「ホーリーマウンテン」はもっと狂っていて、中盤で錬金術を使ってウ○コを金に変えるという小学生並みの発想のシーンが出てきます。

<このビジュアルからすでに異質

しかもエログロもてんこ盛りで、作品のレーティングはどちらもR15+指定。真っ赤なペンキのような血がドバドバ出てきます。
カルト映画というジャンルの一人者と言える、上級者向けにもほどがある監督なのです。

そんな頭のネジが10本くらい吹っ飛んでいる監督が作ろうとしていたのが、SFの名作として知られるフランク・ハーバートの小説「DUNE」を原作とした映画作品でした。なんと、それはまだ1977年の「スターウォーズ」が世に出る前のことだったのです。

「DUNE」は映画史に残る大作になるはずでしたが、結局世に出ることはなく、お蔵入りとなってしまいます。
その理由を解き明かすのが、この「ホドロフスキーのDUNE」という作品なのです。

……とまあ、前提でここまで言えば、なんでこの企画が頓挫したか、だいたいわかりますよね。
原因は、間違いなくホドロフスキー監督自身にあるのです。

ホドロフスキーの映画作りの情熱は並々ならぬですが、そのやり方はイッちゃっています。
この監督が「DUNE」の映画作りにおいてどれだけムチャクチャをやったかは、観てのお楽しみです。


本作はドキュメンタリー作品ですが、そうとは思えないほど破天荒で、展開の起伏ありありで、なおかつ笑える作品に仕上がっています

自分はドキュメンタリー作品は少し苦手で、その理由は「人々が話し続けるのが退屈」という身勝手すぎるものでした。
この作品もドキュメンタリー作品の例に漏れず、人が事実をつぎつぎにカメラの前でしゃべりまくる作風です。

しかし、一向に退屈することはありませんでした。
それは、(企画がポシャるという)ゴールが明確なストーリーラインがあることと、エピソードのひとつひとつがいままで聞いたことがないくらいに狂っているからでしょう。
映画が作られる過程を丁寧に追うことはもちろん、なおかつ「ホドロフスキー監督はつぎはどんなあたまがおかしいことを言うんだろう」とワクワクできるのです。

最高だろ?<気さくだけど、どうかしています

ホドロフスキーの言動がアレすぎて、劇場からはクスクス、ときには劇場が割れんばかりの爆笑が起こりました。
これは映画製作の裏側を覗きたい映画ファンこそ、きっと楽しめる作品でしょう。

また、意外とよかったのが音楽。この手のドキュメンタリー作品はそもそもBGMが一切ないということもあるのですが、本作ではアンビエント風な楽曲がとても心地よく、作品にリズム感を与えています。
ドキュメンタリー作品が苦手だという方にも、受け入れられやすいのではないでしょうか。


誤解を恐れずに言うなら、映画だけでなく、優れた芸術作品を世に出す人はどこか気が違っているところがあるのだと思います。
多くの人員を使い、お金を使い、自分が作りたいものを持てる力を振り絞って作るなど、ふつうの人にはできるものじゃありません。
しかもホドロフスキー監督は明確に「ビジネスよりも芸術が絶対に優先」という心情を持って映画作りに励んでいます。
こうした考えがあるからこそ、人々の記憶に残る作品が作れるのでしょう。


これはおすすめです。
もちろんホドロフスキー監督や映画作りにまったく興味がないという人には積極的に観てとは言えませんが、それらを知りたいという人にとってはものすごくおもしろく観れるはずです。

予備知識として入れておいたほうがいいのは、
・前述の「エル・ポト」や「ホーリーマウンテン」
・ホドロフスキーが敬愛していたバンド・デシネ作家のジャン・ジロー(ペンネームは“メビウス”)
・「オンリー・ゴッド」などの作品で知られる映画監督ニコラス・ウィンディング・レフン
デヴィッド・リンチが監督した映画「デューン/砂の惑星
くらいでしょうか。

<あれ?映画作られている?

そのほかでは、およそ芸術やサブカルチャーに詳しくない人でも知っている人物がゴロゴロ出てきたりします。

さらには、この映画にはものづくりをしている人すべてに観てほしいメッセージがあります
予告編の最後で宣言されている「あなたに勇気を与える映画」はダテではありません。
何かひとつのものをやり遂げたいと思っている人の背中も、きっと押してくれるでしょう。

わずか90分の時間で、元気いっぱいになれる素敵な映画です。
上映劇場は決して多くはありませんが、近くでやっていたら、ぜひ。

以下は結末も含めてネタバレです 鑑賞後に読むことをおすすめします↓

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2014-06-22 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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善き人間のために 映画「ノア 約束の舟」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はノア 約束の舟(原題:NOAH)です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:スペクタクル<人間のドロドロ


あらすじ


ノア(ラッセル・クロウ)は夢の中で、洪水により世界が終わるのを目の当たりにした。
それを神からの使命と感じたノアは、家族と岩の巨人「ウォッチャー」と協力し、巨大な方舟を造り上げる。




レスラー」「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督最新作です。

旧約聖書の「創世記」に記された「ノアの方舟」伝説は、およそ聖書に詳しくない方にとっても聞いたことがあるでしょう。
その物語は、神様が「人間が堕落しきっているから、洪水を起こして一度全滅させちゃおう。でもまじめなノアの一家だけは助けてあげよう。ついでに動物たちを助けてもらおう」と思って、ノアに方舟をつくらせるというもの。神様って勝手ですね。

主人公のノアのキャラクターの描写は聖書にはほとんどなかったために、アロノフスキー監督は主人公の人物像を大胆に脚色しています。

どういう人物かということを具体的に言うとネタバレになってしまうので↓に書きますが、とりあえず言えるのは、本作のノアはこの神様からのムチャぶりにめちゃくちゃ悩むということです。
予告編などで「天地創造を描く壮大なドラマ」を期待している人も多いでしょうが、実際はこの脚色のおかげで、親父が自分の使命について葛藤しまくる描写に多くの時間を割いた、非常にミニマムな内容になっています。

これは人間の内面を深くえぐって描く、アロノフスキー監督の作風らしいのですが、重く、苦しく、観ていてちっとも楽しくありません。
爽やかさなどかけらもない、ドロドロした作風なので、かなり好き嫌いのわかれる映画なのは間違いないでしょう。
この聖書の“曲解”を好まない人、「こんなの俺のイメージしていたノアのキャラと違う」と憤慨する人も少なくないはず。
実際にイスラム教圏では上映禁止が相次ぎ&キリスト教徒からも反発の声が出ていたりします。


また、本作は聖書をもととしているので、予備知識が必要だと思われる方も多いでしょう。
その点での敷居は、意外と低く感じました。

「創世記」に記されている「禁断の果実」や「カインとアベル」のことは劇中で簡潔に説明されています。
“蛇”がサタンを示していることや、カインの子孫で鍛冶屋であるトバルカインのことなどは知っておいたほうがいいでしょうが、聖書を知らなくても楽しめるつくりになっているのは本作の長所。それでも不安な方は、こちら↓を読むなどして予習をしておくとよいでしょう。
<「観る前の10の予備知識」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画>

個人的に残念だったのは、肝心の「サバイバル」の描写がほとんどないことです。
方舟に乗るときの食料はどうしているのか、方舟での長い月日をどう過ごしているのか、そのあたりの「実際にこういう事態になったらどうなるだろう」という、“知りたい”と思えた細かい描写が希薄なのです。

多くの人は、よく知っているノアの方舟がどれだけのリアリティをもって映像化されているかを期待されているのではないかと思います。
しかし、実際は監督が得意とするドロドロした人間の葛藤や軋轢を描くばかり。人によってはウンザリしてしまうのではないでしょうか。

しかし、その人物の“葛藤”の解釈はとてもおもしろいです。
その考えは「人は生きるに値するべきか」という哲学的なことに及んでおり、勧善懲悪の物語とはまったく異なる“価値観”を浮き彫りにします。
新たな解釈で描かれたノアのキャラクターは、確かな見応えがありました。

この作品で思い出したのが、手塚治虫のマンガ「火の鳥 黎明編」。終盤の展開には、読んだ方はデジャヴを感じるかもしれません。

ちなみに、アロノフスキー監督は「ファウンテン 永遠につづく愛」という仏教の輪廻転生について描いた作品も撮っています。

ヒュー・ジャックマン
991円
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こちらも「火の鳥」を思わせる、監督ならではの宗教観が満載の観る人を選ぶ作品でした。

「リアリティのあるサバイバル」「家族の絆の物語」「巨編スペクタル」のどれを期待しても、おそらく裏切られてしまうのではないでしょうか。
デートや家族で観るにはおすすめできません。
アノロフスキー監督のファン、聖書の“曲解”を許せる人、人間の根本に迫る哲学的な内容を求める人は、ぜひ劇場へ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-06-17 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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中途半端タイタニック 映画「ポンペイ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はポンペイです。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:全部災害でドーン!


あらすじ


復讐とか恋愛とか政治とかいろいろやっていたけど結局火山が噴火したから逃げる話。




映画界には、ポール・(すごいほうの)・アンダーソン監督と、ポール・(ダメなほうの)・アンダーソン監督が存在するそうです。

前者はポール・トーマス・アンダーソン監督。
マグノリア」や「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などの技巧を凝らした重圧な作風が、映画ファンをうならせています。

後者はポール・W・S・アンダーソン監督。
バイオハザード」や「デス・レース」などの底抜けアクションを得意とし、なんだかんだで映画ファンから愛されています。

で、この「ポンペイ」はそんなダメなほうの監督の作品なのですが、まあ確かにダメだよねという印象に落ち着きました。しょうがないね。

致命的なのは、本作にまったくオリジナリティが感じられないことです。
「身分の違う男女が恋に落ちたけどその後に歴史的な災害がふたりを襲う」というプロットはまんま「タイタニック」ですし、
「家族を殺された古代の剣闘士が闘技場で戦う」は「グラディエーター」ですし、
「とりあえず災害でドーン!みんな逃げろー!」は「2012」をはじめとしたローランド・エメリッヒ監督作品のそれです。

で、それらを100分という短い尺で描くのですからそりゃ中途半端になるよなと思いますって。

さらに、
身分違いの恋→災害でドーン!
政治的な話→災害でドーン!
復讐の話→災害でドーン!
とすべてのドラマが災害で全部ブッ潰れる(←ある意味ネタバレ)のですからまったく盛り上がりがありません。

「タイタニック」が優れていたのは、たっぷりの時間をかけて主人公の男女ふたりに感情移入をさせる要素を盛り込んでおり、予期しない災害を見据えた悲劇がしっかりと構築されていたからです。
対して「ポンペイ」は、「なんだかあんまりドラマつくれかったけど、もういいや、ストーリー的にめんどくさいやつみんな災害で殺しちゃえ」にしか思えないのです。

これって、エメリッヒ監督の作風そのまんまです。
災害があってこそのドラマをつくるのではなく、災害がドラマを壊してしまうというのは、歓迎できるものではありませんでした。


それでも、それなりに楽しめる作品に仕上がっているのは、古代のポンペイの美術の数々、監督ならではのアクション描写とテンポのよさ、じゅうぶんな迫力をもってつくられた大災害のシーンがあってのこと。
災害のシーンのCGを最小限に止めたということにはこだわりが感じられますし、そこには安っぽさは感じられません。お話のほうが全部チープなんだけどさ。

有名なキャストはあまり出ていませんが、「マトリックス」のトリニティ役のキャリー=アン・モスの出演、「24 -TWENTY FOUR- 」のキーファー・サザーランドが悪役で出てくることも見逃せない要素です。


おそらく、パッと見の印象がカブり気味の「ノア 約束の舟」と「300 帝国の進撃」がすぐに公開することもあり、興行収入は伸びないのでしょう。

しかし、エメリッヒ監督っぽい「わー迫力だけはすごいやーあーこいつ死にそーだなーあーやっぱり死んだーあーそーだよねー」みたいな底抜けディサスター・ムービーに飢えている人には必見作です。おすすめですよー(投げやり)。

以下、結末も含めてネタバレです↓

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2014-06-13 : 映画感想 : コメント : 9 : トラックバック : 0
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彼が見せてくれた世界 映画「グランド・ブダペスト・ホテル」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はグランド・ブダペスト・ホテルです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:お菓子のような映画かと思いきや、毒入り



あらすじ


1932年、ズブロフカ共和国にあるグランド・ブダペスト・ホテルを仕切るコンシェルジュのグスタヴ(レイフ・ファインズ)は、多数の“おばさま”を中心とした客たちをもてなしていた。
しかし、常連客のマダム(ティルダ・スウィントン)が亡くなったことにより、グスタヴは殺人容疑者となってしまう。グスタヴはベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)とともに、真犯人を見つけだし、己の威厳を取り戻そうとするのだが……




ファンタスティックMr.FOX」「ムーンライズ・キングダム」のウェス・アンダーソン監督最新作です。

本作は、非常に特徴的な映画です。

その理由のひとつが、シュテファン・ツヴァイクの人生をもとに作られた映画であること。
ツヴァイクは現在ほとんどの人が存在すら知りませんが、1930年代は著名だった作家であり、著名人とのネットワークを持ち、戦争を反対していた人物だったのだとか。
本作の主人公・グスタヴの姿はツヴァイクそのもの。多数の著名人との交流を持つことはもちろん、その生きざまには多くの共通点がありました。

物語は、ツヴァイクの著作「昨日の世界」ををもととしている部分もあります。

シュテファン ツヴァイク
3456円
powered by yasuikamo

ほかにも「心の焦躁」「変身の魅惑」という著作も参考にしているのだとか。
本作はフィクションでありながらも、ウェス監督が敬愛する作家の人生を投影した作品でもあるのです。

映画には史実をもととしたメタファーが出てきます。
たとえば、タイトルにあるブダペストは言わずもがなハンガリーの首都です。
ハンガリーは多民族国家としても有名であり、そのまま多種多様な人間が集まるホテルのことを示しています。

さらにさらに、ハンナ・アーレントの著作「イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告」や、イレーヌ・ネミロフスキーの「フランス組曲」をナチスへの反応について参考にしているのだとか。

このあたりは、<町山智浩が語る『グランド・ブダペスト・ホテル』の元ネタとテーマ>を聴くとすごくわかりやすいです。
本作が海外の批評家から大絶賛を受けているのは、そうしたフィクションとは思えないほどの、当時の世界情勢がリサーチがなされていたためでもあるのでしょう。


さて、そんな世界情勢やら知られざる作家やらの情報が詰め込まれているので、難解な堅っ苦しい映画かと思われるかもしれませんが、ぜんぜんそんなことはありません。
↑のような情報をまったく知らなくても(知ったほうがより楽しめるけど)映画はおもしろく観れるはず。
とにかくテンポがよく、娯楽性抜群。決して「れきしのおべんきょう」には傾くことなく、妙ちきりんな人物ばかりを描く群像劇的として楽しく仕上げられていました。

物語で見逃せないのは、偏屈なコンシェルジュのグスダヴと、もうひとりの主人公とも言えるロビーボーイのゼロとの交流を描いていること。
ウェス監督は「東欧を背景としたことに歴史的、社会的な意図はなくて、ツヴァイクの個人的な思い入れが大きかった」とインタビューで語っています。
ゼロは監督自身が投影されたキャラクターであり、憧れの人物であるグスダヴと仲よくなりたい(=モデルとなった人物であるツヴァイクと語らいたい)という想いのあらわれのようにも感じました。

登場人物が非常に多い作品なので、観る前は覚えきれるかなとか、混乱しないだろうかと心配もしましたが、それも無問題でした。だって、誰ひとりかぶらないほどキャラが濃いのですから

それを演じる豪華過ぎるキャストも魅力のひとつ。ハーヴェイ・カイテルエイドリアン・ブロディウィレム・デフォージュード・ロウビル・マーレイエドワード・ノートンとベテランが勢揃いしています。
たとえばティルダ・スウィントンは「スノーピアサー」で出っ歯のオバちゃんを演じていましたが、今作は80歳オーバーのおばあちゃんを演じていたりします。最近変な役ばかりですね。
正直出番が少なすぎて印象に残らないキャラも多いのですが、「この人がこんな役で?」っていう印象まで楽しんでしまうのが吉です。


そして、画づくりに触れないわけにはいけません。
色とりどりの美術はもちろん、とことん「正面」「真横」からとらえた画、シンメトリー(左右対称)な構図など、一目見ただけで「あ、ウェス・アンダーソン監督だ」と思える要素ばかりです。
ロケ地であるドイツのゲルリッツの町並みもとっても魅力的。観ているだけで楽しくなります。

さらに今作では、作中で描かれる時間軸によってアスペクト比(画面比率)を変えるという試みもされています。
メインで描かれるのは1932年の物語で、そのときの画面比率は1.33:1。カラー作品ではありますが、「アーティスト」のような昔の映画へのリスペクトにも感じました。

音楽の魅力も忘れてはいけません。

Various Artists
942円
powered by yasuikamo

どこかロシア民謡を思わせる曲調と楽しさで、本作のかわいらしい印象に一役買っています。

また、本作には唐突な残酷描写があります。前知識なく観るとギョッとすることは間違いないでしょう。
なぜか日本ではG(全年齢)指定ですが、子どもが観るとトラウマになりかねません。多少下ネタも含まれていることですし、PG12指定と思って観ることをおすすめします。


はっきり言って、ものすごく好き嫌いがわかれる映画です。
作風はブラックよりのコメディなので笑えない人には笑えないでしょうし、色彩感覚も観る人によっては気持ち悪いと感じるかもしれないですし、なんとなくポスターを観て「おしゃれでかわいいかも〜」とお菓子のような映画を期待するとちょっと血の味がするじゃねえかってツッコミたくなるかもしれません。

しかし、この“毒々しさ”もこの映画の魅力のひとつ。
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」のような群像劇が好きな人も、きっと気に入るでしょう。
甘々なお菓子だけじゃもの足りない、ビターな苦みを期待する人におすすめします。

そうそう、エンドロールは最後まで観ましょう。そうすると、ちょっと幸せになれるかもしれませんよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
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2014-06-11 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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ラストにはふたつの解釈? 映画「青天の霹靂」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、映画青天の霹靂の感想です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:優しさ、詰まっています


あらすじ


場末のマジックバーで働く、さえないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)は、ある日40年前にタイムスリップしてしまう。
行き場も帰る場所も失った晴夫は、浅草ホールで働こうとするのだが……




お笑い芸人・劇団ひとりが監督・原作・脚本(橋部敦子と兼任)、さらには出演を務めた作品です。

芸能人が映画を作った例としては、最近では品川ヒロシ松本人志、マイナー(?)なところでは野生爆弾川島の「ミステイクン」がありました。
この「青天の霹靂」は、そうした“作品群の中でも、もっとも一般の方に受けいられやすい作品なのではないでしょうか。

むやみな暴力描写も、わかりにくさも、押しつけがましさもありません。
あるのは堅実な映画作りと、劇団ひとり監督ならではの優しさでした。

物語に登場するのは、いわゆる「負け組」で、人生がちっともうまく行っていない人間です。
金も女もなくて、後輩にバカにされ、40歳にもなってボロいアパートに住んでいて・・・

監督は、そういう人たちのことを、愛してやまないのだと思います。
自身は芸人として大成功をおさめていますが、芸人として生きるうえで、そういう人たちをたくさん見てきたのでしょう。

映画で投げかられるメッセージは、自分をついていないと思う人、自分の不幸を呪う人にこそ観てほしい、尊いものでした。
「青天の霹靂」というタイトルに見合ったような、清々しい感動と後味が、そこにはありました。


この作品はいわゆるタイムスリップものであり、物語には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」っぽさを感じます。
それプラスで感じるのは、「男はつらいよ」のような人情劇。監督は、本作の主人公に「生きていたら渥美清にオファーしたかった」と語っているほど。日本映画のリスペクトも確かに感じました。

映画はどちらかと言えば後者の日本映画らしい人情劇がメインなのですが、タイムスリップものとての視点も忘れずに描いています。
これは自分の勝手な考えにすぎないのかもしれませんが、結末には2通りの考えかたがあるのではないでしょうか。
結末に物足りなさを覚えた人も、ぜひラスト付近の会話を思い出してみることをおすすめします。


少し気になったのは、「わざわざ独り言にしてしまう」シーンが多いこと。
主人公を演じる大泉洋さんはその表情だけで感情を表現しきっているのですが、そのほとんどに独り言で「どう思っているか」を説明で加えてしまいます。
そこは映画でしか表現できない「役者の演技」があるのですから、台詞で表現する必要もないのでは、と感じる部分が少なくなかったのです。

ほかにも、終盤の演出が長めで少しもたつきを感じたり、中盤で音楽と台詞のバランスが悪く感じた(音楽が大きすぎて台詞が聞き取りにくい)箇所もありました。
大泉洋さんにオーラがありすぎて、ちっとも「しゃべり下手な場末のマジシャン」に見えないのも問題かも。どうみたって口がうまそうですもの(笑)。
内容はストレートかつわかりやすさを重視しているような内容なので、繊細かつ奥深い日本映画を期待している人には、少し肩すかしなのかもしれません。


それでも、これはおすすめです。
主要登場人物を3人に絞ったおかげもあり、展開には無駄がなく、上映時間も100分を切るほどにコンパクト。
演出にも初監督作品とは思えない非凡さが現れてみました。

何度も脚本を推敲したり、編集なしの本物のマジックを大泉洋さんに練習してもらって撮影するなど、映画づくりに対して「本気」が伝わってくる点ばかりです。
「また芸人の作った映画か」と思わずに(むしろそう思った人こそ)、この映画を観てほしいです。

映画の予告編では「過去にタイムスリップしたときに○○○と○○○に?」ってことがアナウンスされていますが、そこを知らないとより驚けて、楽しめるかもしれませんね。


関係ない話をして恐縮ですが、このブログのタイトルは劇団ひとりさんの小説「陰日向に咲く」が元ネタです。
今回の映画でも、「陰でほそぼそと生きようとしている人にも、日が当たることもあるー」とエールを送っていることは共通。このブログは、そんなふうに、マイナーだけれども優れた作品を紹介したいと思ってはじめたところもあります。ダメ映画をイジってばかりなのは気のせいです。
そんな劇団ひとりさんの優しさが大好きです。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-06-08 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 1
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過ぎ去りし過去 映画「X-MEN: フューチャー&パスト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はX-MEN: フューチャー&パスト(原題:X-Men: Days of Future Past)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:大風呂敷が広がっていくなあ・・・


あらすじ


2023年の未来。「センチネル」と呼ばれるロボットのために世界は壊滅の危機に陥っていた。
この状況から脱するため、キティ・プライド(エレン・ペイジ)の能力を使い、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)の意識だけが過去に送られた。

目的は、ことの発端となったミスティーク(ジェニファー・ローレンス)によるトラクス博士(ピーター・ディンクレイジ)の暗殺を止めること。
しかし、若き日のプロフェッサーXことチャールズ(ジェイムズ・マカヴォイ)は仲間のミュータントを失ったことにより自分の殻に閉じこもっていた。




(コメントでいろいろと補足をいただき、追記しています。ありがとうございました!)

世界的ベストセラーアメリカン・コミック「X-メン」を原作とした映画シリーズの最新作です。

本作が特徴的なのは、“絶望的な未来を救うために過去を変えようとする”という、「ターミネーター」のようなプロットです。
このために、本作は「X-MEN:ファイナル ディシジョン」「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」両方の続編となっています。

シリーズの時系列を並び替えると、こんな感じでしょうか。
1「ウルヴァリン:X-MEN ZERO(オープニング)」
2「X-MEN:ファースト・ジェネレーション
3「フューチャー&パスト(過去)」←本作
4「ウルヴァリン:X-MEN ZERO(本編)」
5「X-MEN」
6「X-MEN2」
7「X-MEN: ファイナル ディシジョン
8「ウルヴァリン:SAMURAI
9「フューチャー&パスト(未来)」←本作
けっこうややこしいですね。

本作の欠点は、時系列を観ればわかるとおり、ほかの作品との関連が深く、シリーズを観ていないと楽しみにくことです。
最低限の説明は入れてくれるのですが、それでもキャラクターの行動理由は過去作品を観ていないとわかりにくいでしょう。
作中のキャラクター“プロフェッサーX”と“マグニートー”との確執の理由を知るためだけでも、「ファースト・ジェネレーション」を観てみることをおすすめします。

シリーズのキャラクターがたくさん登場するため、どうしてもひとりひとりの活躍の場が少なく、感情移入しにくくなっているのも残念なところ。脚本段階で大活躍をする予定だったのに「ちょい役」で終わってしまったキャラも多いそうです。
次回作では、キャラに満遍なく活躍の企画が与えられるといいですね。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」でも思っていたのですが、アメリカン・コミック原作の映画の世界観は、どんどん広がりを見せています。
「X−MEN」は原作シリーズがそもそもたくさん存在するため、これからも続編やスピンオフ作品がたくさん登場するのでしょう。
新しくシリーズに触れようとしている人にとっては、敷居が高くなってしまうのかもしれません。


本作の原作は、原題と同じタイトルのアメリカンコミックです。

クリス・クレアモント
2916円
powered by yasuikamo

原作ではミュータントたちが留置所に入れられるという設定でしたが、映画ではロボットに世界が壊滅の危機に陥っているという設定に変更されました。
また、過去に送られるのはキティ・プライドという女性キャラクターでしたが、映画で過去に送られるのは人気キャラクター“ウルヴァリン”にバトンタッチしています。
この変更は賛否ありそうですが、SF映画としての見栄えと、観客が好きなキャラの活躍を優先した結果なのでしょう。


最大の見所は、シリーズ最大の巨費をかけて実現したアクションシーンの数々です。
観た人のすべてが気に入るであろうことは、“クイックシルバー”というキャラクターの大活躍でしょう。
瞬きすることも惜しいと思わせる「調理場」のシーンは、ぜひ映画館で体験してほしいです。

新たな人間ドラマも構築されており、“プロフェッサーX”と“マグニートー”の確執は物語に厚みを与えています。
その点においては前作「ファースト・ジェネレーション」のほうが濃密に描かれてはいましたが、新たなふたりの関係の追い求めたい人にとっては必見の内容でしょう。

本作を含めたX−MENの特徴は、ミュータントして誕生した者たちが差別の対象となっていること、実際の歴史に即した事件が登場することです。
“過去”の舞台はベトナム戦争が勃発した後ですし、ほかにも世界中の人が衝撃を受けた事件が登場します。これは観てのお楽しみです。

*以下の意見もいただきました
プロフェッサーとマグニートーがそれぞれキング牧師マルコムXに喩えられるように、 Xメンはアメリカのマイノリティの方々が経験してきた様々な差別問題を内包しているように見えます。
初期三部作や今回の作品で描かれている「ミュータントという自分たちとは異なる何か」に対する恐怖が、
結果的にミュータントを排斥しようとしている人類に跳ね返ってきているというのも、皮肉なメッセージのように感じます。

余談ですが、本作でシリーズの監督に復帰したブライアン・シンガー監督はゲイであることをカミングアウトしたことでも有名です。
*老マグニートーを演じたイアン・マッケランもゲイであり、擁護活動をしているそうです。

豪華な俳優陣も魅力のひとつ。
ヒュー・ジャックマンジェームズ・マカヴォイマイケル・ファスベンダーといった実力派、ジェニファー・ローレンスニコラス・ホルトといった若手もそろい踏み。なお、悪の科学者であるタラスク博士を演じたピーター・ディンクレイジさんは実際に小人症の俳優です。

また、吹き替えほかで批判を浴びまくっている剛力彩芽さんですが、今回のミスティーク役では大きな成長が観られたのだとか。
ファンも聞いたことのないオ・ト・ナの声を披露しているそうなので、意外と吹き替え版を選んでみるのもアリなのかもしれません。

2Dで観ましたが、3Dで観たいと思える画は数える程度だったので、今回は2Dでもいいでしょう。
エンドロール後のおまけもありますので、お見逃しなく。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
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2014-06-01 : 映画感想 : コメント : 15 : トラックバック : 0
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剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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