ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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アニメ版寄生獣のミギーと同じように異形のバケモノがかわいい声だった例

日本が誇る大傑作マンガ「寄生獣」のアニメ版の配役にびっくりしました。

なんと、“ミギー”を平野綾さんが演じるというのです。

はるひ   <同じ声です。

参考↓
<アニメ『寄生獣 セイの格率』10月より放送開始>
<【寄生獣】TVアニメ版のメインビジュアル解禁 どうしてこうなった>

涼宮ハルヒはかつて「ただの人間には興味ありません。 この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい」と言いましたが、自分が寄生生物になるとはなかなかウィットの効いたジョークですね。
ミギーって、もっと渋くて格好いい声のイメージだったんだけどなあ。

(追記)アンケートも設置してみました


風立ちぬ」の庵野秀明並にトチ狂った配役かと思うところですが、じつはアニメでこういう怪物にかわいい声をあてている例はほかにもありました。本日はそれをご紹介しましょう。

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2014-07-30 : いろいろコラム : コメント : 5 : トラックバック : 0
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その存在意義 映画「GODZILLA ゴジラ(2014)」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はGODZILLA ゴジラです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:タイトルに“VS”をつけるべきじゃ……?

※これほど短期間にたくさんの、しかも長文のコメントをいただいたのははじめてのことです。ありがとうございます。
本作は人によって感じかたがさまざま。「おもしろかったよ!」と思う方はぜひコメント欄をごらんください。


※7月30日にネタバレを追記し、思い返すと気に入った部分もあったのでお気に入り度を1点あげました。いろいろとブレていてすみません。

あらすじ


1999年、フィリピンの炭鉱を調査していた科学者・芹沢博士(渡辺謙)は巨大な生物の“さなぎ”のような化石を発見する。
同じころ、日本の雀路羅(じゃんじら)市にある原子力発電所に勤務するジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン)は、謎の振動を観測した発電所で、とある決断に迫られてしまう。

2014年、ジョーの息子であり軍の爆弾処理班のフォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、日本に暮らすジョーが警察に逮捕されたという知らせを受けるのだが……




モンスターズ / 地球外生命体」のギャレス・エドワーズ監督の最新作にして、日本が誇る傑作映画「ゴジラ」のリブート作品です。

宝田明
4125円
powered by yasuikamo

自分の感想はこちら→<怪獣映画であり反戦映画 初代「ゴジラ(1954)」>

今回のゴジラには、文句をいろいろぶつくさ言いたいです。
とりあえず、出てくる怪獣がゴジラだけじゃないということにびっくりしました。

今作のタイトルはただ「GODZILLA ゴジラ」ですが、本作はゴジラ以外のとある怪獣が大暴れしていて、へたすりゃゴジラより目立っている始末。
じつは、本国やアジア版の予告、アジア版のポスターではちゃんとゴジラ以外の怪獣が出てくることが明らかにされていました。





こっちのポスターのほうが正しい<左の方どなた?

こちらも参照→<新怪獣「MUTO」の顔や姿が明らかになった最新「GODZILLA」映像まとめ見>

しかし、日本版の予告ではこの怪獣が出てくることがまったく明らかにされていない!
それどころか公式サイトに一切この怪獣の情報がありません。なぜか日本だけひた隠しにしています。

もうひとつ指摘すると「世界が終わる、ゴジラが目覚める。」というキャッチコピーも的外れ。
本作には人が死ぬシーンが多いものの、そんなに世界が終わってしまうほどの終末感はないのです。

この日本の宣伝方法はちょっとない……というか軽く、詐欺じゃないかと思いました。
初代「ゴジラ」は、ゴジラただ1匹が登場する作品です。
初代ゴジラのファンの中には、“VS”シリーズになったことでゴジラの持つ“哀しさ”がスポイルされたということを嘆く方もおり、今回もゴジラのみの活躍を期待していた方も少なくないと思います。


残念なことに、本作では初代ゴジラの持っていた哀しさもぜんぜん描かれていません
初代のゴジラは「人間の水爆実験によって生み出された」という設定でしたが、今作では「ゴジラを倒すために水爆を使った」という正反対の設定に変わっています。
初代の主人公のひとりである“芹沢博士”は複雑な想いをゴジラに持っていましたが、今作の芹沢博士にはそういった思想がとってつけたようなエピソードでしか出てきていないのです。

ほかの怪獣の登場のことを思えば、この設定の変更にはしっかりした意図が感じらます。
しかし、欧米メディアの“日本版の風刺が滑稽なほど弱まっている”と酷評されたように、初代にある反核(反戦)のメッセージが希薄になったという欠点のほうが目立ってしまった印象でした。

本作を観て、ゴジラ以外の怪獣が出るのは次回作からでもよかったのではないか、と思う方は少ないないでしょう。
(大ヒットしているので続編の公開は決定済み)(続編ではモスラ、ラドン、キングギドラが出てくるそうです)



そういう初代との比較を考えなくても、1本の娯楽映画としてもいろいろと問題があります。

まず“見せ場”のシーンが人間ドラマでジャマをされること。
この映画は“溜め”が長く、前半ではゴジラを含めた怪獣がなかなか姿を見せません。
その溜めをゴジラによる街の破壊シーン、または後半の大バトルでスッキリと消化してくれればよかったのですが、そのバトルの合間にも人間たちのドラマが挿入されたり、バトル自体がカットされたりするのでブツ切れな印象がありありでした。

ジャマなだけでなく、その人間ドラマそのものも、おもしろくはありませんでした。
親子の確執の描写は中途半端で、伏線も生かせているとは言いがたいですし、人間たちの作戦が「危機がせまってきたからとりあえず対応した」程度の行き当たりばったりものとしか感じられませんでした。

肝心の怪獣のバトルも問題で、暗いシーンが多いためにかなり観にくくなっています。
(これは「パシフィック・リム」でも感じていた不満点ではありますが、パシリムにはそんな不満をぶっ飛ばすサービス精神があったのであまり気にしていませんでした)。


いいところもあります。
「ゴジラが出てくるまでの時間が長い」ということは初代でも同様のことでしたし、溜めまくることで、“ついに”出てきたときの高揚感に一役買っています。

そして、本作のもっとも優れたところは「怪獣がついに出てくるシーンの演出が抜群に上手い」ことだと断言します。
“チラ見せ”も含めて、文句のつけようがありません(その前にほかの怪獣が出ちゃっているのが台無しな気もするけど)。
ゴジラの造形、そして“咆哮”もすばらしいものでした。

ほかの怪獣が出てくることも、初代のゴジラへの恐怖と、“VS”シリーズの「ゴジラが人間の味方をする」という両方の要素を入れたかった“欲張り心”だと思えば、ゴジラファンも溜飲を下げられるのかもしれません。

ラストの展開にも賛否がありますが、これは自分は好きです。
ここにも、ほかの怪獣を登場させた意図がしっかりと感じられました。


しかし、初代ゴジラに感動を覚えていた自分にとっては、はっきり「がっかり」と言える作品でした。
正直、観ている間はローランド・エメリッヒ版のゴジラのほうが楽しかったです(あくまでも観ている間は)(観た後にはひっでえと思った)(あくまでもバカ映画として)。

マシュー・ブロデリック
1963円
powered by yasuikamo

ゴジラの見た目はただの大トカゲだし、初代のメッセージ性やリスペクトなんて皆無に等しいし、評判は極めて悪いですが自分は嫌いじゃないですよ(あくまでも別物として)(ゴジラとしては最低の作品だけど)。

3Dを生かしているシーンはあまり感じられなかったので、今回は2Dでもいいでしょう。
吹き替え版で観たのですが、その出来はまずまずと言ったところ。
字幕版では登場人物が珍妙な(聞き取りにくい)日本語を話しているそうなので、その珍要素を期待する人は字幕版をチョイスしましょう。

かなり凄惨な津波の被害も描かれているのでご注意を。

おすすめしませんが、“VS”シリーズが好きな方にとっては観る価値がある作品でしょう。
怪獣バトルは大スクリーンでこそ楽しめる迫力が、十二分にありますよ(暗いけど)(見た目の迫力に反して、展開がいまひとつのためアツくなれないのだけど)。

↓以下は結末も含めてネタバレです 観賞後にご覧ください

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-07-27 : 映画感想 : コメント : 24 : トラックバック : 0
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笑顔になれない 映画「エスケイプ・フロム・トゥモロー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はエスケイプ・フロム・トゥモローです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:ハハッ(ひき笑い)


あらすじ


家族とともに“夢の国”のテーマパークに訪れたジムは、電話で前ぶれなく会社からクビを宣告されてしまう。
ジムはその後から美女ふたりを追いかけ、ときおり奇妙な妄想を見るようになるのだが……




※某企業がとっても怖いので伏せ字満載でお届けします。

この映画は世界一有名なテーマパーク・ディズ○ーランドでゲリラ(無許可)撮影をして完成した作品です。

D社が著作権に厳しいことは周知のとおり。
ニコニコ動画でD社に関係した動画が投稿されると「うp主は削除されました。」「夢の国チキンレース」「手の込んだ自殺」というタグがつけられるくらい、ケンカを売るのはヤバい行為なのです。

製作者は命が惜しくないのか、ポスターから挑発している始末でした。

あのねずみ<あのネズミの手っぽい

ついでに本国の公式サイトでは“訴えられてない日数カウンター”を設置していました。

訴えられません<まだ訴えられていません

公式Twitterもあのネズミの「ハハッ」という笑い声をふつうに使っていたりと危険なかほり。ムダに心配になりますね。

ブログで<なんか怖い……

映画の出来や志はともかく、そのチャレンジ精神は認めるべきところでしょう。
撮影中はそれなり苦労したそうで、同じ場所を何度も出入りしていたら怪しまれたりもしたのだとか。まあそのくらいですんでよかったよね。


さて、肝心の映画の内容なのですが……予告編を観て、幻想的で、ダークな美しさを感じられる作品を期待する方はとりあえず観るなと言っておきます。

恐ろしいことに、作中の6割くらいがおっさんが夢の国でスケベな妄想をするシーンです。前半話進まねえし。
しかも、ゲ○やう○こが笑いどころとして出てきてすげえ汚いです。笑えねえし。

そりゃ100点満点で5点つける人(←ネタバレ注意)だっていますよ。
R15+指定は当然。良い子はおとなしく「マレフィセント」をチョイスしましょう。


そんな文字通りク○な内容なのですが、個人的にはこれがけっこう楽しめてしまいました。

なぜかと言うと、単純にモノクロの画で本国のディ○ニーランドを探検するだけでけっこうおもしろいから。
「あ、ここ日本と同じだ」と気づいたり、モノクロならではのいつもとは違った雰囲気があったり、家族で遊園地を訪れたときの“あるある”もあったりするので、展開がダラダラしていても意外と退屈しないのです。

本国の夢の国を知っていると、より楽しめるのかもしれません。
<本国のディズ○ーランドをよく知る人のとても参考になる感想はコチラ>(ほんの少しだけネタバレ注意)
正直、この映画はディズ○ーランドを舞台にしていなかったら、観れたもんじゃなかったでしょう

伏線もそれなりに張っており、撮影や編集や演出にも安っぽさを感じません(一部合成っぽいところもあったけど)
テーマも明確で、しっかり製作者のメッセージは伝わってきました(そのメッセージがいいものかどうかは別の問題)。

本作が描いているのは「裏の顔」です。
夢の国であっても○ィズニーにまつわる都市伝説はいろいろとありますし、事故だって起こりますし、数日前に本国では小児性愛者のキャストが逮捕されたりもします。
本作ではそうした“一見美しいものの裏側の醜さ”をただただ描きたかったのでしょう。

音楽もよかったですね(むしろ音楽でごかましているとも言う)。どこか本家を思わせるものでありながら、ギリギリの線でパクっていない絶妙さがありました。

1350円
powered by yasuikamo

まれに見る低評価を見てむしろわくわくしていたのですが、ク○映画好きとしてはまだまだこんなもんじゃ満足できませんね(どうかしている発言)。


そんなわけでそこそこ誉められるポイントもあるのですが、この映画の最大の問題は主演のおっさんの魅力のなさだと思います。
おっさんが美女ふたりを追い回すくだりは心底どうでもいいし、胸毛がぼーぼーで絵ヅラがすげー悪いし、性格もただのダメオヤジで威厳のかけらもないです。
観ているこっちはモノクロの美しいディズニーランドを冒険したいのに、こいつの妄想でむしろジャマされてしまう印象さえありました。

一方、子役はすっごくかわいいのでこっちのほうが主役のほうがよかったんじゃないでしょうか。オヤジの汚さをそれなりに相殺してくれました。

女の子<KAWAII!

また、いろいろなところで中途半端というところも大きな欠点。ジャンルすら不明確です。
うまくやれば、ディ○ニーランドで阿鼻叫喚の地獄絵図を展開するホラーにもできたでしょうし、ミッ○ーやグー○ィーやくまの○ーさんが襲ってくる不条理なブラックコメディにもできたはず。

しかし、できあがった映画はどちらの方向にも振り切れておらず、その印象をひと言で表すと「変な映画」だけで終わってしまいます。
せっかくゲリラ撮影したのに、もったいないですね。


どうでもいいですが、この映画にはひとつ謎があります。
前述のミッ○ーマウス風のポスター、なぜか日本版だと指が5本になっているのです。

あのねずみ2<本家では指は4本です。

これはあまりに本家に似せすぎるとヤバいという“逃げ”なのかなあ。そこで日和らなくてもいいのに……
※ゲーム「Left 4 Dead」のパッケージのように、4本指であることに差別的な意味があり規制されたのでは?とコメントをいただきました。

<海外版   <日本版

結論を言うと、まったくもっておすすめしません(笑)。
でも、映画が終わったときのあの「やるせなさ」を体験するだけでも観る価値はあると思いますし、それほどディズ○ーをディスっている印象もないので、ディズニ○好きも観てみてもいいのではないでしょうか。

ちなみに、この映画は昨年の超駄作「R100」に似ています。嫌いな方は観ないほうがいいでしょう。
主人公が現実逃避しして妄想に囚われるプロットといい、子どもが重要な役割になることといい、ギャグの下品さといい、わりと共通点が多いのです。
まあ、ちゃんと観客を楽しませようとする気概が感じられるだけ、R100よりは2億倍くらい、いい映画だと思いますけどね。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-07-24 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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謎を解き明かす鍵 映画「複製された男」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は複製された男(原題:Enemy)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:どういうことなのかさっぱり……(観た直後の感想)


あらすじ


歴史講師のアダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)は、同僚から何気なく教えられたDVDを観て、劇中の端役の俳優が自分自身と瓜二つであることに気づく。
アダムは同じ声、同じ顔を持つ彼、アンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール)と会おうと試みるのだが……




灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督最新作です。
監督の前作、前々作は比較的わかりやすい作品であったので、今作もド直球のミステリーを期待する人は多いことでしょう。
その期待は、かなり裏切られてしまうのではないでしょうか。
この「複製された男」は、かなり意味不明な作品なのです。

一応「主人公が瓜二つの男を偶然見つけ、困惑しながらも会いにいく」というシンプルなプロットがあるものの、意味があるのかないのかわからない奇妙なシーンがつぎつぎに映し出され、結末はもちろん“過程”でさえも、観る人によって解釈がわかれる作品になっているのです。

邦題は「複製された男」というクローン人間を思わせるものですが、本作のジャンルはSFではないですし、「じつは宇宙人が男を複製していました」なんていうオチがつくこともありません。

これは「マルホランド・ドライブ」や「オンリー・ゴッド」のように“観る人に解釈をぶん投げ”系のミステリー
好き嫌いがわかれまくる作品には違いありません。

原作はジョゼ・サラマーゴによる小説です(原題はThe Double)。

ジョゼ サラマーゴ
2376円
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自分は原作は未読でしたが、映画には原作にはなかった「蜘蛛」の描写がプラスされ、また原作からいくつかの要素が省かれているそうです。

本作の弱点は、90分という短い上映時間にも関わらず間延びしているように感じられること。ストーリーに劇的な変化があまり起こらない作品でもあるのです。
そこは、作品に漂う不穏な雰囲気、主演のジェイク・ギレンホールの卓越した演技でグイグイ引っ張ってくれる……はずだったのですが、さすがに「主人公が自分と瓜二つの男に会いにいく」というだけの話では間を持たせてはくれず、だらんと伸びきってしまってしまった印象でした。

監督ならではの緊張感ある演出や、セピアっぽい彩りの画はなかなかに魅力的でした。
舞台のカナダのトロントは、画が暗すぎてpm2.5に汚染されまくった中国みたいになっていましたけど……

トロントです*汚染されているわけではありません

解釈をいろいろと考えてみると、奥深い映画です。
なぜ瓜二つの男が存在するのか?
母親の助言の意味は?
序盤の謎の部屋の意味は?
観ている間(観た後)に、それを推理してみるのもまた一興です。

キャラクターを確認してみましょう(以下の説明にネタバレはありません)。

じぇいく1<アダム:大学で歴史を教えている

メアリー<メアリー:アダムの彼女

じぇいく2<アンソニー:アダムと瓜二つの三流俳優

ヘレン<ヘレン:アンソニーの妻で、妊娠6ヵ月

お母さん<キャロライン:“息子”のことを心配する母親

主要登場人物はたったのこれだけ。このために、頭の中で物語を整理しやすいのは親切ですね。

わかりやすい作品を求める方、映画を観てすっきりしたい方には、全力でおすすめしません。
ドッペルゲンガーもののひとつではあるのですが、あまり“怖さ”にも期待しないほうがいいでしょう(不気味さは存分にあるのですが)。
R15+指定納得のエロもあるので、デートにもあまり適していません。

これはひとりで観てあれこれ考えるか、内容を語り合える友だちと観るべき作品です。
ドゥニ監督のファン、わかりやすい映画に飽き飽きしている方は、ぜひ劇場へ。

以下、結末も含めてネタバレで内容の解説です 鑑賞後にご覧ください↓ この解釈も正しいものとは限りませんが、参考までに。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-07-21 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 1
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ずっと覚えている 映画「思い出のマーニー」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は思い出のマーニーです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:アニメでできる、最高の感情表現


あらすじ


12歳の少女・杏奈(アンナ)は、ぜんそくの療養を目的に、親戚の大岩夫婦が暮らす海沿いの村にやって来た。
ある日、アンナは湿っ地(しめっち)の屋敷に住む、きれいなブロンドの少女・マーニーと出会う。
上手く人と付き合えなかったアンナは、マーニーとはとても仲よくなることができた。しかし、ふたりの周りではつぎつぎと不思議な出来事が起きて……




借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督最新作です。

本作は「アリエッティ」「コクリコ坂から」などとは違い、宮崎駿高畑勲がまったく作品に関わっていません。
本格的なスタジオジブリの“世代交代”を感じさせるとともに、新たなチャレンジとも言うべき作品でもあるでしょう。

原作はジョーン・G・ロビンソンによる同名の児童文学です。

ジョーン・G・ロビンソン
1512円
powered by yasuikamo

映画が原作ともっとも違うのは、その舞台です。
原作の舞台はイギリスのノーフォーク群の架空の街・リトルオーバートン (モデルはバーナムという地方)でしたが、映画の舞台は北海道の釧路地方になっています
映画の作品の年代ははっきりしていませんが、作中で「いまどき手紙なんていいじゃない」という台詞があり、旧式の携帯電話(コードレスホン?)が登場することから1990年代~現代と考えていいでしょう。

「アリエッティ」も舞台を日本に変えており(こちらも原作はイギリスの児童文学)賛否を呼びましたが、この「思い出のマーニー」は日本を舞台したことにあまり違和感がなく、むしろ物語にいい効果を与えているように思いました。

主人公のアンナは、社会とうまくなじめない少女です。
そして、アンナが出会う不思議な少女・マーニーもとある悩みを抱えています。

米林監督は、「大人の社会のことばかりが取り沙汰される現代で、置き去りにされた少女たちの魂を救える映画を作れるか―」ということを自分に課しています。
この物語は少女たちのふれ合いを通じて、現代に普遍的にある、少女たちの悩みと成長を繊細に綴った作品なのです。
その年代の子どもはもちろん、かつてそうであった女性(もちろん男性にも)観てほしい作品であると思いました。


本作が何より優れているのが、巧みな心理描写です。
主人公のアンナがまわりとなじめないこと、“ふつう”になれないことはわかりやすい説明がされるのですが、この映画はたとえそれらの説明がなくても、表情や演出だけでアンナの心理状態を知ることができるでしょう。

アンナはマーニーは会話をしていくうちに、いろいろな想いが変わっていきます。
原作にあったこの繊細さ、おもしろさをアニメという題材で見事に描いていることに、感動しました。
ジブリ史上、もっとも“心の揺れ動き”を重視した作品と言えるでしょう。


また、本作はじつはミステリー要素が強い作品でもあります。
アンナがはじめてマーニーに出会ったとき「あなた、ほんとうの人間?」と聞いたように、少女・マーニーはどこか浮世離れした、幻のような存在です。
彼女は何者であるのか?どうして湿っ地の屋敷に住んでいるのか?
そうした情報をはじめはごく少なく提示して、徐々に真実を解き明かしていく過程も巧みでした。

この謎を解き明かす過程は原作とはちょっと違っているのですが、自分は映画版の描きかたのほうが好きです。
本作はなるべく予備知識を入れず観ると、よりミステリー要素を楽しめるのではないでしょうか。
また、本作のWikipediaのあらすじには結末のネタバレが思いきり載っているので、作品に触れる前に読まないことをおすすめします。


「湿っ地屋敷」をはじめとした、美しい画の数々もすばらしいものでした。

しめっち<これは行ってみたい……

北海道の地では度重なるロケハンが行われており、美術監督して種田洋平が関わっています。
田舎のゆったりとした雰囲気を感じたい人にも、ぴったりな作品です。

プリシラ・アーンによる主題歌「Fine On The Outside」もすばらしかったですね。



プリシラ・アーン
831円
powered by yasuikamo
プリシラ・アーン
2400円
powered by yasuikamo

<歌詞><和訳>
「これからも外側(Ouside)にいたっていい」という歌詞は、主人公アンナの想いとマッチしています。

今回は英語歌詞の主題歌でしたが、プリシラ・アーンは「Natural Colors」をはじめたアルバムで、日本語で日本の名曲をカバーしていたりします。


Priscilla Ahn
3450円
powered by yasuikamo

<参考>
中にはジブリの名曲まで!
2013年末に三鷹の森ジブリ美術館でミニコンサートを実施したことから今回の起用となったそうですが、これ以外は考えられないほどの人選だったと思います。


本作は、ジブリ初のWヒロインにより、男女の恋とは違った形の“愛”を描いています。
ディズニー映画の「アナと雪の女王」や「マレフィセント」でも、Wヒロインでその愛を描いたように、近年は王子様とお姫様の恋なんかではなく、もっと普遍的で身近な“愛”を描くのがトレンドなのかもしれません。
これは(子どもにとっても)現実的な問題が多い現代ならではの風潮なのかも……いいことであるとも思うのですが、いまの子どもが夢見るばかりではいられないような印象も受けて、ちょっぴり切なくなりました。

また、本作は各所で百合(ガールズラブ)っぽいという感想を聞きますが、個人的にはそこまのものでもないと思います。
確かに、原作より百合要素はグレードアップしていますし、本作のボツコピーに「ふたりだけのいけないこと」(←これはアウトだろ)があったように、製作者側もそれを意識しまくっていたところはあるようです。
しかし、映画を最後まで観ると、単純な「女の子どうしの愛情(友情)」だけを描いている作品ではないと気づけるはずです。あ、でもやっぱり百合要素を期待する人にもおすすめします(どっちだよ)。


本作は、「天空の城ラピュタ」にあったような、“胸躍る冒険”“敵との激しいバトル”などはまったく描かれません。
それどころか、「となりのトトロ」の空を飛ぶシーンのような、“子どもの夢を叶える”ような要素すらありません。
アニメならでは、ファンタジーならではの“楽しさ”を感じたい人にとっては、本作をイマイチに感じてしまうのかもしれません。
主人公の性格は暗く、物語も決して楽しいことばかりではないのですから……

でも、自分はこの映画が大好きです。
原作にあった少女の繊細な心の変化は余すことなく描かれていますし、ほんの少しの物語の変更は、物語を改悪することなく、むしろ完成度を高めているように思いました。

中盤までは伏線を張り、主人公の心のうちを描く描写が続くので、あんまり小さい子だと退屈してしまうかもしれませんが、それも大切なものです。
家族でも、デートで観ても、観賞後に「あれはこういうことだよね」「あのときのあの気持ちはわかるなあ」といった、登場人物の心の変化を語り合う楽しみもあるでしょう。
好き嫌いのわかれる作品でもあるでしょうが、“繊細な心の変化”を大切に思うすべての人に、おすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 原作との違いも少しだけ書いているので、未読の方はご注意を。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-07-20 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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あのころの自分に 映画「リアリティのダンス」ネタバレなし感想

今日の映画感想はリアリティのダンス(原題:LA DANZA DE LA REALIDAD)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:ショタコン大歓喜


あらすじ


1920年代、軍事政権がはびこるチリのトコピージャで、アレハンドロ・ホドロフスキー(イェレミアス・ハースコヴィッツ)は、その鷲鼻と白い肌のために“ピノキオ”と呼ばれてからかわれていた。
さらに、ホドロフスキーは共産主義者の父ハイメ(ブロンティス・ホドロフスキー)に暴虐的にふるまわれ、アレハンドロを自分の父親の生まれ変わりだと信じる母サラ(パメラ・フローレス)にも、ある出来事があったために冷たくあしらわれ、陰鬱とした少年時代を過ごさざるを得なかった。
父ハイメは独裁政権に反対し、大統領・イバニェスの暗殺を試みるのだが……




カルト映画の監督の代表として愛され続けている変態アレハンドロ・ホドロフスキーの23年ぶりの最新作です。

23年前の作品というのが、日本では劇場公開されなかった「The Rainbow Thief」。
ちなみに同年には「Abelcain(アベルカイン)」という「エル・トポ」の続編にあたる作品も制作される予定でしたが、残念ながら休止してしまっています
さすがコアな監督、「ホドロフスキーのDUNE」でも描かれたように、その作品を観ることすら難しいのですね。

さて、本作「リアリティのダンス」は「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」に比べると幾分敷居が低い作品に仕上がっていると思います。
思春期手前の少年の悩みは感情移入しやすいものですし、社会主義の人間が独裁政権下に置かれている状況もわかりやすいです。ホドロフスキー監督作品の入門としてはもっともオススメできるのではないのでしょうか。

でも、その変態度はまったく変わっていません
ときどき入るエログロはともかく、中盤のとある“奇跡”には99.9%くらいの人がドン引きするでしょう。
R15+指定は当然(むしろ甘い)、くれぐれもお子様は観てはいけません。
渋谷UPLINKでは修正(ぼかし)なしの18禁版も上映されているようです。

もうひとつ変態くさいなあと思ったのが、やたら主人公の少年が脱いだり、身体を触られる描写があることです。思い切り犯罪のにおいがします

むねさわる<女装した少年の胸をさわるホドロフスキー監督

映画を撮るという建前で、裏で妙なことしてないかと心配になりました。いやもう表で十分しているか。
プーチン大統領は少年のお腹にキスをしてスキャンダルになりましたが、映画では許されるんですね。
そのケがない人は、こちらも正しくドン引きしましょう。

強烈なキャラクターも多い作品ですが、特筆すべきは主人公の母親でしょう。
なにせ、しゃべるときに必ずオペラ調になるのですから。

りあ8<こんな母親やだ

母親を演じたパメラ・フローレスは本物のオペラ歌手。こんな仕事がくるなんて、夢にも思っていなかったでしょうね。
ちなみに、作中ではホドロフスキー監督の息子たち(本物)が重要な役として登場しています。

りあ4 りあ3 りあ2<ぜんぶ監督の息子です。

ホドロフスキーの息子のひとりが、映画ではホドロフスキーの父親を演じているという、なんだかややこしいことになっていますね。

ちなみに、5人のも息子を持つホドロフスキー監督ですが、1995年に事故で息子のひとり亡くしたときには、人を癒すためにのアートをつくり、人々が抱える心理的な傷を癒す“サイコマジック”をあみだしたりもしたのだとか。変態だ変態だとばかり思っていましたが(変態だけど)、その息子への愛はとても大きいものなのでしょうね。


本作は、一見すると「監督自身の少年時代を描く」自伝的な作品のように思えますが、じつはいろいろとウソを盛りまくっています
実際に監督が生まれ育ったのはチリのトコピージャで相違ないのですが、監督は1929年生まれなので、作中の設定だとまだ生まれたばかり(もしくは生まれてもいない)です。
当然、ホドロフスキー監督は作中で描かれる世界恐慌などは知りません。
現実離れした、ファンタジーのような展開もときおり顔を出します。

ただし、父親が元サーカス団員だったことなどは事実ですし、作中では実在の政治家カルロス・イバニェス・デル・カンポが登場します。
本作は事実を元としながらも、監督のイマジネーションが多分に注ぎ込まれている作品なのです。

映画の何が真実で、何がウソであるのかは、同名の自伝本を読めばわかるでしょう。

アレハンドロ・ホドロフスキー
3240円
powered by yasuikamo

本の後半では、映画では描かれてはいない、ホドロフスキーの心理療法士と活動が詳細に記載されているそうです。
<くわしくはコチラを参照>(pdfファイル)。

監督は「これは魂を癒す映画、私の家族を映画の中で再生し、私の魂を癒す映画でもあった」とも語っています。
映画版は、ホドロフスキーの実際の辛い少年時代を、ほんの少しの“理想”で装飾している作品とも言えるのかもしれません。


テンポがゆったり目な作品なので、ちょっと退屈な部分もありましたが、ホドロフスキーらしい変態シーンの数々には眠気も吹っ飛びました。
映画をあまり観ない方には全力でおすすめしません(監督のほかの作品よりはマシとはいえ、上級者向けすぎるから)。
ホドロフスキーのファン、ショタコンを自覚する方、ほかにはない独創的な作品を観たい方は、ぜひ劇場へ。

エンドロール後すぐにもう1シーンあるので、途中でお帰りなきよう。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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テーマ : 映画感想
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2014-07-18 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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調和のために 映画「ダイバージェント」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はダイバージェントです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:中二病と体育会系って相性悪くない?


あらすじ


最終戦争から100年後の未来。復興を果たした人類は、16歳で受ける選択の儀式によって、人類を軍隊・警察にあたる“勇敢”、慈悲深く政権を運営する“無欲”などの5つの派閥に振り分け、そこで人生を全うすることを強制していた。
16歳になったトリス(シェイリーン・ウッドリー)も選択の儀式を迎えるが、どの共同体にも適さない異端者“ダイバージェント”であると診断されてしまう。ダイバージェントが政府に抹殺される運命にあることを知った彼女がとった選択とは……?




「自分には隠された能力があるかもしれない」「ふつうの生き方なんてまっぴらごめんだね」などと考えたことがある方はきっと多いことでしょう。
そんな思春期のころの特有の病・中二病は万国共通らしく、若者を狙い撃ちにしたヤング・アダルト小説を原作とした映画は本国アメリカで大ヒットを記録しています。

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トワイライト」ではイケメン吸血鬼に一方的に惚れられる主人公を描き、「ハンガーゲーム」では殺し合いの場に身を置かなければならない悲劇のヒロインを描き、この「ダイバージェント」ではふつうの“型”にはまらない“異端者”としての主人公が描かれています。
そんな“特別な自分”を夢描く作品群は、中二病患者にとって至福のものなのでしょう。大人の鑑賞に堪えうるかは別の話だけど。

本作で描かれる世界観は、5つの派閥に人間が分けられてしまうというディストピアです。

だいば9<こんなんで分けられるの?

すべての人は16歳のときにどの派閥に属するかを決めないといけず、一度派閥を選択すると変更不可能。人生やり直し禁止の一本道。仕事が合わなくても転職禁止。イヤなら“無派閥”として速攻ホームレス行きです。こんな世界マジでいやですね。

主人公はそんな中で、中二病を体現した存在”ダイバージェント”と診断されてしまいます。
おもしろいのはここからで、なんと主人公は異端者でありながらバリバリ体育会系の派閥に身を置くことになるのです。
しかも、主人公は体育会系の組織でイケメンコーチの厳しい指導に耐え続け強くなっていきます。どこのスポ根マンガだよ。

だいば3<コーチにこんな言い方をされつつ強くなっていきます。

ていうか、中二病患者の「自分にはどこかに隠された力がある!特別なんだ!」という考えと、体育会系組織の「根性がないやつはここから出ていけ!」という考えってすごく相性が悪いと思うのですが……なんで主人公はこんな選択をするんだと多くの方が思うことでしょう。そのギャップを楽しみ、理由を予想してみることをおすすめします。

本作にはツッコミどころも満載です。
そもそもの5つの派閥だって「そんなに単純に分けられるわけねーじゃん」と思いますし、続々と設定に変な穴が見えてくるのである意味飽きません。
致命的だと感じたのが、ダイバージェントがなぜ恐れられているかという理由が不足していたことです。
トランセンデンス」と同様に、“未知”のものに対する恐怖というものがあったのかもしれませんが、それだけで社会的に抹殺しなければならないという根拠にはならないように思うのです。

ちなみに、5つの派閥があると言いながら、物語に関与しているのは“無欲”と“勇敢”と“博学”の3つしかありません。そこは続編の「叛乱者」に期待、というところでしょうか。

オリジナリティもそれほどなく、近未来で管理社会に置かれる人々の姿は「未来世紀ブラジル」や「TIME」を思わせました。
映画をよく観ている方にとっては、凡庸な作品としてしか映らないのかもしれません。

しかし、自分はけっこう気に入りました。
ダイバージェントとして診断された主人公がそれを隠しながらピンチを切り抜けていくさまはおもしろいですし、荒廃した街でパルクール(フリーランニング)をするという画も楽しく仕上がっています。

意外によかったのが、音楽でした。

ダイバージェント
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ハンス・ジマージャンキーXLがタッグを組んで製作されていて、ときおり入るボーカル曲も違和感なく作品にとけ込んでいます。
音楽が列車の音とシンクロしているという「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のような演出もみられたのも印象的でした。

あまり出来のよい映画だとは思いませんが、「ハンガーゲーム」が好きな人にはおすすめします。
ヒーローもの×スポ根ものという、日本の王道のアニメっぽさも随所に感じるので、それらが好きな人も気に入るかもしれませんよ(『PSYCHO-PASS サイコパス』というアニメにも似ているらしいです)。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-07-16 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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その人生のままで 映画「怪しい彼女」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は怪しい彼女(原題:수상한 그녀、英題:Miss Granny)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:若いばかりが、華じゃない


あらすじ


70歳のマルスン(ナ・ムニ)は、口が悪いが憎めない性格の持ち主。彼女はその息子(ソン・ドンイル)を国立大学の教授になるまでに女手一つで育て上げた苦労人だった。
ある日、マルスンは写真館で遺影のつもりで写真を撮るのだが……写真を撮り終えると、なんとマルスンは20歳の自分(シム・ウンギョン)に戻っていた!




トガニ 幼き瞳の告発」のファン・ドンヒョク監督最新作です。

本作の物語は、70歳のおばあちゃんがある日突然20歳に若返っちゃうというものです。
ビッグ」が12歳の少年が30歳になっちゃったギャップをギャグとして描いたように、本作では“年齢の違い”によるギャグがふんだんに盛り込まれています。
主人公は見た目は20歳なのに、やたら性格がキツくて、おせっかいで、そこかしらに人生の厚みを感じまくるのです。
周りはかわいい女の子と思って接しているのに、中身は毒舌のおばあちゃん(根は優しい)。そこから来る登場人物の戸惑いや驚きにクスクス笑わせてもらいました。

観た人すべてが思うのは、その“見た目はハタチ、中身はばばあ”を演じたシム・ウンギョンの芸達者っぷりでしょう。
彼女は「サニー 永遠の仲間たち」や「王になった男」になった男でも、その存在感を見せつけていました。

怪しい3<「サニー」では幽霊が憑依した演技をするちょっとアレな女の子
怪しい2<「王になった男」ではおしとやかな侍女
怪しい6<「怪しい彼女」では……

うん、いい感じに残念な美人(ほめことば)になっていて素敵ですね。これからの活躍にも大期待です。


本作は、音楽の魅力もとっても大きくなっています。
シム・ウンギョンは吹き替えを使わずに、自身で歌のトレーニングを積んだうえで歌唱を披露しています。
しかも、歌詞は物語と絶妙にシンクロしています。
これは今年の秀作「チョコレートドーナツ」を思わせるものでした。

ちなみに、アイドルグループのリーダーであるB1A4のジニョンが重要な役として出演するばかりでなく、作中の楽曲の作詞を手がけていたりします。
イケメン&韓流好きなおばさまはキュンキュンくること必死でしょう。


本作でモチーフになっているのは傑作「ローマの休日」です。

オードリー・ヘップバーン
433円
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主人公が20歳になったきっかけはオードリー・ヘップバーンの写真でしたし、その後の展開も思い切りパロディにしちゃっています。
本作ではちゃんと恋愛要素もあるので、かつてオードリーに自分を重ね合わせた乙女の方にとっても満足できる内容でしょう。

“主人公が家族と接するけど、家族は主人公が誰かがわからない”という点では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「青天の霹靂」を思わせました。

本作では、かつての貧しかった韓国の事情を物語に取り入れていることも巧みです。
主人公は悪態をつきまくってはいるけど、それは辛い時代を生き、苦労を重ねたからでこその“親心”によるものでもあるのでしょう。
※当時の韓国の事情はこちらを参照↓
<マルスンさんが若かりしあの頃 公式サイトのコラム>

自分は、この意地悪ばあさん(見た目ハタチ)のことが嫌いになれず……いや、むしろ大好きになってしまいました。

ただ、物語を思い返すと、「サニー」や「トガニ」ほどの完成度だとは思いませんでした。
ほんの少しだけ物語に違和感を覚えるという“ひっかかり”の数が多く、中盤は少々間延びを感じ、ラストに至る展開もいまひとつ乗り切れなかったのです。
「細かいことを気にするな」と言われればそれまでなのですが、これはちょっと許容範囲を超えていました。
テーマの描き方、伏線のいくつかが本当に上手かっただけに、これは悔やまれます。
本作は、あまり物語の整合性などは考えず(もともと荒唐無稽な話ですし)に観たほうが楽しめるのかもしれません。

しかし、本作は観る人を選びません。
ほんの少し下ネタはありますが、どぎついものではありません。
主人公の破天荒なキャラの魅力はどの世代の人も分け隔てなく通じるものでしょう。
テンポもよく、小難しさは皆無。なにより見ていて楽しいのでデートでも家族とでも大推薦できます。

また、本作には“老い”というテーマも内包しています。
そこを明るいギャグとして描き、ときには“重い”話題を盛り込んでいるのも本作の魅力のひとつ。
コメディだけでなく、きちんと社会派の要素も取り入れているのです。ここは「トガニ」の監督らしさを感じました。

こうした作品を観ると、韓流ブームがどうとかよりも、優れた作品をつぎつぎ生み出している韓国の映画界は侮れないと改めて思いました。
とにかく楽しく、おおいに笑えるコメディ映画を期待する方は、ぜひ劇場へ。
エンドロール後にとあるメッセージがあるので、できれば最後まで観ることをおすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-07-13 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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まとめアプリ「Qrank」で映画ランキングを書いています。

現在、“まとめ”ランキングをつくってみんなで見ることのできるアプリQrank (クランク) で、いろんなトピックの映画ベスト3を書いています。

勘違いだめ

Qrankの魅力は、いろいろな“ランキング”や“まとめ”のトピックを読んで楽しむことはもちろん、自由に“答え”を投稿できること。
ほかのユーザーが出したトピックに対して、自分なりのランキングで答えることができたりします。

トピックの種類は豊富にもほどがあり、
やっぱりかっこいい!昭和の俳優ジブリアニメで友達になりたいキャラは?などの映画ネタはもちろんたくさんあります。
孤独のグルメで実際に行きたいお店ランキング最高の男ランキング【クローズ & worst 編】というマンガネタも豊富。
シングルマザーが恋をするときのタブーラブラブだったのに一気に冷めた彼氏の許せない言動は?という女性向けのネタもあります。

パソコンでも<コチラ>から見ることができますが、やはりアプリに特化したサービスなので、スマートフォンやタブレットでアプリをダウンロードして見たほうがより楽しめるでしょう。
ぜひ「QRANK」でアプリを検索してみてください。iOSよりAndroidをおすすめします(そちらのほうが見やすいので)。

自分が投稿したトピックは以下からどうぞ↓
<1ページ目のヒナタカさんのアクティビティ | ランキングのQrank [クランク]>

あ、せっかくなので、話題にもほどがある議員・野々村竜太郎っぽく主人公が泣き叫ぶ映画を3つ選んでみました

q1.png

<こちらから読めます>

質問には誰でも自由に書き込めるので、よかったら野々村議員っぽい映画をみなさんも選んで投票してみてくださいね(誰もいないか)
※追記:民朗さんが竜太郎議員っぽい映画と、完成までにいろいろと問題があった映画ベスト3と、サントラ=新作アルバム? 有名アーティストが音楽を手がけた映画ベスト3を投票してくださいました!
自分がネタを投稿するのは今月までですが、映画ファンならずとも気軽に楽しめるQrankはおすすめのアプリです。ぜひお試しを。

参考↓
<ビットセラー、ランキングを使ったまとめを作れるアプリ「Qrank」 - TechCrunch>
2014-07-12 : いろいろコラム : コメント : 3 : トラックバック : 0
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守ってくれていた 映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はオール・ユー・ニード・イズ・キル(原題: Edge of Tomorrow)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:セーブポイントないの?


あらすじ


近未来の地球。侵略者“ギタイ”と人類は激しい攻防を続けていた。
期せずとして“初年兵”として戦場に送られたウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)は、すぐに命を落とす。しかし、彼の目の前には1日前の光景が広がっていた……
タイムループの世界にとらわれ、戦闘と死を繰り返すケイジは、“戦場の雌犬”と呼ばれるリタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)と出会うのだが……




ボーン・アイデンティティー」「Mr.&Mrs.スミス」のダグ・リーマン監督最新作です。
日本人にとってうれしいのは、本作が日本の小説家・桜坂洋による同名のライトノベルを原作としていることです。

桜坂 洋
626円
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ジャンルはSFであり、ループもののひとつ。名作「恋はデジャ・ブ」をはじめとして、同じ時間を何度もくり返すという作品はこれまでに何度も作られていますが、本作はその時間を人間とエイリアンとの死闘の最中という世界観に落とし込んでいるのがユニークです。
しかも1日がくり返してしまう“スイッチ”は「死ぬ」こと。この映画のルールは「死んだらはじめからやり直し」なのです。

多くの人が、まるでテレビゲームのようだと思うことでしょう。
ビジュアルは「ギアーズ オブ ウォー」や「HALO」に似ていると言われていますし、「ドラクエ」の堀井雄二や「メタルギア」小島秀夫といったゲームのトップクリエイターが大絶賛していたりします。

自分はこの映画を「昔のやたら難易度が高いファミコンゲーム」っぽいと思いました。
“何度も死んで突破口を見つける”なんて、「魔界村」や「魂斗羅」のそれではありませんか。
しかもこのゲームは“ゲームオーバーになったら1面からやり直し”。魔界村はコンテニュー制ですし、魂斗羅には“その場復活”システムがあるので、難易度はそれよりも上かもしれません。
マゾい難しさがあるゲームが好きな人にとって、きっと気に入ることでしょう。
※「デモンズソウル」っぽいというコメントをいただきました。

映画でも小畑健が作画を手がけたマンガ版でも、その基本となる「ゲームっぽい雰囲気」はしっかり踏襲されていました。

小畑 健
460円
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<コチラで試し読みができます>
このマンガ版はかなり原作に忠実であり、原作ファンにとっては大納得の内容でしょう。
しかし、映画版は原作とぜんぜん違います



あまりネタバレしていない範囲での原作orマンガと、映画との違い

・主人公は原作は少年兵だったけど、映画版ではおっさん(トム・クルーズだからね!)
・原作はクールでストイックな作品だったけど、映画版では笑えるシーンも満載
・主人公のまわりのキャラ設定がぜんぜん違う
映画の主人公がループする回数を数えない
・ヒロインとの出会い方、キャラもかなり違う
・くり返す1日の描写もぜんぜん違う
・敵の名前が映画では「mimic」になっている(字幕では“ギタイ”。意味するところは同じ)
・原作にあった“日本”を感じさせるエピソードは、映画では違ったかたちでちょっとだけ出るのみ



ここまで変わると、原作への冒涜だとかせっかくの原作のよいところを殺してしまっているとかいろいろ言われそうですが、ご安心を。
本作はその改変がものすごく上手く、ハリウッドの娯楽映画のテイストにあわせるのはもちろん、むしろ原作よりも優れていると感じた部分も多かったのです。

おっさんのトム・クルーズが“初年兵”として戦場に行く流れはごく自然ですし、1日をくり返すことを生かしたギャグにはキレがあります。
変更を加えつつも原作をしっかりリスペクトした面も見られます。

個人的に、映画の原作とのもっとも大きな違いは、主人公がループする回数を数えないことだと思います。
原作では主人公のループする日にちが増えるたびに絶望感や疲弊が増していくという効果がありましたが、映画であえて回数を数えないということをしっかり展開に生かしています。
その展開がどういったものなのかは、ぜひ映画を観て確認してほしいです。

あとね、原作にはメガネで三つ編みで童顔でドジッ子というこの世のあざとさを集合させたような萌えキャラ“シャスタ”が登場しているのですが……

シャスタ<マンガ版でのシャスタ

これが映画だとどうなったかと言うと、こんな感じです。

映画のシャスタたん<カーター博士(ノア・テイラー

あんまりだよ
<こういう気分にもなる>とコメントをいただきました
いやーそりゃーハリウッド映画でドジッ子少女が出てくるのは違和感あるかもしれないけどさー、観たかったのは三つ編みであってオヤジのヒゲじゃないって言うかさー。


ちなみに、映画版の原題は「Edge of Tomorrow」。
edgeの意味は「刃、へり、危機」。
“明日の(必ず訪れる)危険”を意味するこのタイトルにも、とても味があります。

しかし、自分は原作ままのタイトル「All You Need Is Kill」のほうが好きです。
このタイトルの元ネタは、ビートルズの名曲「All You Need Is Love」で間違いないでしょう。



この曲のタイトルが「愛こそすべて」なら、こちらのタイトルは「殺すこと(獲物)がすべて」です。
※killは、Linuxコマンド集の“kill”(プロセスおよびジョブを強制終了する)も示しているのではとコメントをいただきました。

All you need is loveの歌詞にはこうあります。

No one you can save that can't be saved.
助けらない人を救おうったって無理な話さ


これって、主人公とヒロインの関係を皮肉っているように思えるのです。
原作では主人公とヒロインの関係がとてもウェットで切ないのですが、映画ではギャグも交えて人間関係をサラッと描いている印象でした。タイトルを変更したのは、作風が変化したためだったのかもしれませんね。


兎にも角にも、これはおすすすめです。
ミッション:8ミニッツ」ほどの理路整然とした巧みさはないまでも、そこはアクションとアイデアといい意味での“軽さ”が存分にカバーしています。

また、本作は3D版を十分におすすめできます
主人公が戦闘機から落下するときのライブ感はかなりのもの。戦闘の迫力を期待しても裏切られることはないでしょう。

齢50を超えたトムさまの相変わらずのカワイさを堪能したい方、テレビゲームが大好きな方、子どもから大人まで楽しめる一本。四の五の言わずに、ぜひ劇場へ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-07-10 : 映画感想 : コメント : 12 : トラックバック : 0
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アンケート“つぎに「アナと雪の女王」の連続興行成績1位を止める映画はどれだと思いますか?”の結果について

2014年7月第1週、ずっと日本の連続興行収入1位を記録し続けてきた「アナと雪の女王」がついに首位陥落。1位が「マレフィセント」、2位が「オール・ユー・ニード・イズ・キル」という結果になりました。

興行7月初週Movie Walkerより

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は本国ではあまりヒットしていなかったのですが、観た人の評価がすこぶるよく、日本原作、トム・クルーズ主演ということで、大きく受け入れられてよかったです。

「アナと雪の女王」の累計興行収入は246億円を突破。日本の歴代2位、272億円の「タイタニック」には届いていないですが、まだまだ伸びそうですね。
ここまで来ると7月16日にDVDが発売する(映画館に行く人が減る?)のがちょっともったいない気もします。


さて、じつはこのブログで“つぎに「アナと雪の女王」の連続興行成績1位を止める映画はどれだと思いますか?”というアンケートを取っていました。その結果がおもしろかったのでご紹介します。↓

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2014-07-08 : いろいろコラム : コメント : 4 : トラックバック : 0
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呪いをときたくて 映画「マレフィセント」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はマレフィセントです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:新感覚ツンデレ


あらすじ


ムーア国は人間のいる世界とは違い、みんな信頼で結ばれていた世界だった。
そこに住む妖精のマレフィセントは、ある日人間の男の子のステファンと出会う。

時が経ち、王となったステファン(シャールト・コプリー)の娘が生まれ、城では祝賀会が開かれる。
漆黒に衣装に身を包んだマレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は、オーロラ姫に16歳から永遠の眠りについてしまう呪いをかけた。
なぜマレフィセントは呪いをかけたのかーその謎が明らかになる。




最近のディズニー作品はおとぎ話を皮肉るのがトレンドのようです。
プリンセスと魔法のキス」では王子様なんか待たずに努力をするプリンセスが描かれ、「魔法にかけられて」ではプリンセスを現実の世界に登場させるギャップをギャグにして、「アナと雪の女王」では王子様とお姫様のものとは違う“愛”を描きました。
目の前の問題に立ち向かおうとする主人公の姿が描かれるのは、夢見るばかりではいられない現代の風潮を反映したものなのかもしれません。

本作「マレフィセント」が原作としているのは、ヨーロッパの童話・民話の「眠れる森の美女」をもととした1959年公開のアニメーション作品です。

ディズニー
3196円
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50年余りの時を超えて、本作では敵キャラクターのマレフィセントを主役に迎えました。
これも、いままでのディズニー映画の枠から外れた作品を作りたいという気概のあらわれなのでしょう。

断っておきますと、本作は“同じ物語を違う目線で描く”作品ではありません。
作品そのものを大胆に変え、新たな物語が構築されているのです。

マレフィセントは本作では“魔女”ではなく“妖精”。彼女の生い立ちをじっくり描くことで、悪役ながら感情移入ができるキャラクターに仕上がっていました。
自分はヤッターマンよりもドロンボー一味ほうれんそうマンよりもかいけつゾロリのほうが好きなので、この“悪役を主役に迎える”という点でも本作が大好きになってしまうのです。
ちなみに、maleficentの意味は「有害な、悪事を行う」。彼女が本当に悪なのかは、映画を観終わればわかることでしょう。

マレフィセントを演じるアンジェリーナ・ジョリーはまさにハマり役。
その“笑み”の演技はさることながら、顔の輪郭まで再現していますから。

ビフォアマレ  アンジーマレマレ<ほぼ完璧

すばらしいのは、彼女がバリバリのツンデレっぷりを見せること。具体的にどういうツンデレ態度をとるのかは観てのお楽しみ。史上最高に萌えるアンジーを堪能できました。

もうひとりだけ魅力的なキャラをあげるのなら、カラスのディアヴァル(サム・ライリー)です。
彼はマレフィセントに仕える部下でありながら、彼女のツンデレ具合を見抜いていたりします。

イケメソカラス<ザッツイケメン

また、本作は吹き替え版もまったく違和感がない出来のよさなので、お子様をお持ちの場合でなくても吹き替え版を選択してみることをおすすめします。
自分は吹き替え版の配役を知らなかったので、エンドロールでその配役に驚きました。
もうひとりの主人公・オーロラ姫役のエル・ファニングを演じるのは上戸彩、“3人の妖精”は福田彩乃ひとり3役をこなしています

独り三役<じつはひとりが声を使い分けていました。

言われないとまず気づかないでしょう。芸能人が吹き替えをすることが嫌いな人にとっても、今回は問題なく観れるはずです。

2Dで観たのですが、本作には空を飛ぶシーンや、3Dを意識した画がそれなりにあるので3D版を観る価値は十分にあるでしょう。
「アバター」のスタッフによる美しい画だけで96分の上映時間を飽きずに楽しめるので、お子様にもおすすめできます(ただし意外と激しい戦闘シーンもあるので、あんまり小さい子だと泣いちゃうかも)。

本作で描かれるのは、いままでのディズニー映画とは少し違う“愛”です。
これは子どもよりも、むしろ大人のほうが共感してしまうものなのではないでしょうか。
これは「アナと雪の女王」でも描かれたこと。“愛”そのものの多様性を示す本作が大好きになれました。

難点は、後半の展開にそこそこ強引さを感じることでしょうか。
物語の整合性が気になる人に人にとっては大きなマイナスポイントになってしまうのかもしれません。
あと、シャルト・コプリー演じる王様は初登場時からちょっと老け過ぎかなあ……もう少し時間の経過を感じさせるメイクなりをしてもよかったのかもしれません。

デートや家族で観る映画のチョイスとしても文句なし、「アナと雪の女王」が好きな方にとっても観て損はないでしょう。すてきなおとぎ話が観たい人はもちろん、男女の愛に「ケッ」と思ってしまうひねくれた人も、ぜひ劇場へ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 原作アニメとの違いにもほんの少しだけ触れています。

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2014-07-05 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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人間の矛盾 映画「トランセンデンス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はトランセンデンスです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:もっと話し合おうよ・・・


あらすじ


科学者ウィル(ジョニー・デップ)と妻エヴリン(レベッカ・ホール)は、人間を超越する人工知能を創りだそうとしていた。
そんな折、ウィルはテロ組織“RIFT”に撃たれ、銃弾に含まれていたポロニウムにより中毒を起こし、余命幾ばくもないと告げられる。
エヴリンは友人のマックス(ポール・ベタニー)とともに、ウィルを開発研究中の人工知能“PINN”へのアップロードを試みるのだが……




本作がテーマとしているのは“技術的特異点”です。
何やら難しそうなことばですが、その意味を簡単に言えば“人工知能が進化しすぎて、いつか人間を超える時がくる”ということです。
この作品では技術的特異点のことを“超越(Transcendence)”と呼び、人間以上の頭脳と力を持つ人工知能が生まれる経緯と、その顛末を描いています。

優れたコンピューターが脅威になるというSF作品は数多く、「ターミネーター」や「マトリックス」などはその代表でしょう。
現実でも、人工知能が人間の脅威になるという懸念はされています。
具体的には、以下の記事を読めばわかりやすいでしょう。
<A I は怖い? - Chikirinの日記>

ミスの責任は誰が取るのか?人間の仕事がなくなってしまうのではないか?
すごい人工知能生まれるからと言って、よろこんでばかりはいられないのです。

本作では、そうした人間よりも優れた人工知能が生まれることによる問題や、未来への可能性を提言しようとしていたのでしょう。
しかし、その試みはわりと失敗していたようでした。
その理由をひとつずつ振り返ってみましょう。


①人工知能がちっとも脅威に思えない

この手の映画で、この要素が希薄なのはかなり致命的なのではないのでしょうか。
この作品ではテロ組織はじめ主人公の周りの人間は「ヤベーってアレ!なんとか消滅させないと!」と主張しまくるのですが、具体的な人工知能を脅威と感じるべき要素が少な過ぎるため、観ているこっちは「ほっとけばええやん」としか思えません。
※作中で「人間は未知のものを恐怖に感じる」と、人々が人工知能を脅威に感じる理由が語られているとご指摘を受けました

この作品に必要なのは、「人工知能が脅威になった過去」なのではないでしょうか。
そうした歴史があれば、テロ組織へも、テロ組織に加担する人々には少しは感情移入できたでしょう。
しかし、作中で話題になっているのはY2K(2000年問題)や「猿の脳を人工知能にアップデートしたら……」というエピソードくらいなんだよなあ……

②テロ組織の主張に同意できない

人工知能が脅威に思えないだけでなく、反対勢力であるはずのテロ組織の行動にまったく説得力がありません。
以下の動画でも犯行声明を出していますが、内容が具体的でないので同意しかねます。



こいつらの主張よりも秘密保護法のトンデモ内容のマンガのほうが信じられるくらいです(信じないけど)。
しかも作中でテロ組織は人を殺しまくり(作中でも主人公にそのことをツッコまれる)で、ちっとも人工知能そのものや開発者と話し合いの場を持たず、攻撃しまくっています。人工知能よりお前らのほうが5億倍は迷惑です。
いや……テロってそんなもんなのかもしれないけどさ。
主張がはっきりしているぶん野々村竜太郎議員よりマシなのかもしれません。

③誰に感情移入すればいいのかわからない

この映画では、人工知能サイドか、テロ組織サイドのどちらが善玉なのかわかりにくいため、どっちを応援していいかわからなくなります。
ふつうに考えれば人殺ししまくっているテロ組織のほうが悪役のはずですが、映画ではずっと「人工知能ヤベーって、あいつぜってー悪者だって」って主張しているのです。
これは映画を観終われば意味があることだとわかるのですが、どちらかに感情移入できないのは娯楽としてはちっとも楽しくないのです。

④SFだからってなんでもできすぎ

この映画では描かれるのは“すごい人工知能”のはずなのですが、後半ではぜんぜん違う方向のSF描写が進化しまくります。
多くの人が「人工知能よりそっちのほうがすげーじゃん!」とツッコむことでしょう。こりゃダメだ。

⑤展開都合よすぎ

「なんでその状況でその考えがおよぶのか」「なんでその状況でその行動をするんだ」とツッコミ出したらキリがない感じでした。


そんなこんなで、批評家から酷評されてしまい、興行成績も大惨敗だったのが残念ながら理解できてしまう内容でした。
製作費1億ドル、ジョニー・デップ主演最新作、クリストファー・ノーラン製作、脚本が(優れているという意味での)“ブラックリスト”に選ばれるなど、大作らしさを随所に感じる期待作だったはずなのに……

でも、個人的にはけっこう好きなところもあります。

そのひとつが“人間は矛盾を抱えている”というテーマです。
人工知能はプログラミングによって動いている、とことん論理的な存在です。
しかし人間はそうではなく、論理的でない、矛盾した行動を取るのです。
ここを人間と人工知能との違いとして、作品の展開に生かしているのは上手いと感じました。
まあ、本作に論理的矛盾がありまくるのは容認できませんでしたけど。

もうひとつは「コンピューターに自我があるのか」という疑問を物語に盛り込んでいること。
コンピューターの考え→プログラミングされたものなら、自我とは呼べません。
しかし、そもそも“自我”とは何なのか?人間にだって自我があることを照明することはできないのではないか?
そんな哲学的な考察が楽しめるのです。
こちらは以下の記事を読めば、さらにおもしろく感じられるはずです(猿のエピソードの意味もこちらを参照)↓
<WIREDスペシャルページ「2045年、人類はトランセンデンスする?」 « WIRED.jp>(作中でも雑誌の“WiIRD"が登場しています)。


多くの人にとっては手あかのついた設定を無駄遣いした駄作と感じるかもしれませんが、テーマそのものは優れていたので自分は本作を“意欲作”と取りたいです。
同時期に公開し、同じく人工知能を描いた「her/世界でひとつの彼女」のほうが作品として優れているのは間違いありませんが、SF好きならそれなりに気に入るのかもしれません。

あと、はじめに日本語吹き替えで「トランセンデンスにようこそ」とナレーションが入るのにびっくりました。



もともとは、作中でも出演しているモーガン・フリーマンがこのナレーションを担当していたのですね。吹き替え版はともかく、字幕版はモーガン・フリーマンのままでいいのに……

あと、ジョニー・デップファンの方へ。
本作のジョニデ様は大半がしかめっつらで、とくに萌えるシーンはありませんでした(大半でコンピューター化しているし)。ファンの方にはあんまりおすすめできませんので、ご注意を。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2014-07-05 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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君はきっとそこにいる 映画「her/世界でひとつの彼女」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はher/世界でひとつの彼女(原題:her)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:恋は“主観”でいいのかも


あらすじ


そう遠くない未来のロサンゼルス。代筆ライターのセオドア(ホアキン・フェニックス)は長年連れ添った妻のキャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、満たされない毎日を送っていた。
そんな折、セオドアは人工知能型OSのサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。セオドアは、次第に“声”だけの彼女に夢中になっていく……




マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」のスパイク・ジョーンズ監督最新作です。

本作のジャンルはSFであり、このうえない純愛が描かれたラブストーリーでもあります。

妻とわかれ、傷心中の主人公が見つけたのは、100万人のプログラマーにより構築された人格の集合体であるOSのサマンサでした。
“彼女”は声だけでの存在で、肉体はなく、人間ではありません。
それでも、主人公は彼女に恋をしてしまいます。

この設定を聞いて、「コンピューターに恋するなんておかしい」と思うかもしれません。
しかし、きっと映画を観ると、恋をするのも無理はないと、主人公に感情移入をしてしまうでしょう。

なにせ、このサマンサは主人公のことを全部わかってくれます。
ジョークも気が効いています。
落ち込んだときにはこれ以上のないなぐさめかたをしてくれます。
気が利いていてメールのチェックもしてくれます。
かと言って主人公を全肯定するわけでもなく、ときにはプンスカ怒ります。
さらに声はザ・セクシーなスカーレット・ヨハンソンです。

世の中に2次元美少女に理想を求めるオタク男子(偏見)はたくさんいますが、本作で描かれる女の子は視覚で認知することすらできません。
それなのに、サマンサはこれ以上なく、魅力的で、聡明な理想の彼女なのです。
ある意味で、究極の萌え形態なのではないでしょうか。

現実でもiphoneの「Siri」などは音声認識で答えてくれたりしますし、このような未来も本当にいつか訪れるのかもしれません。


この物語のミソは、いかに彼女が人間らしくても、けっきょくはプログラムの集合にすぎない、という“引っかかり”があることです。
彼女はやさしい→それもプログラムされたこと
彼女は学習し成長する→それもプログラムされたこと
彼女はこちらの感情を察してくれる→それもプログラムされたこと
と、考えると、どこかむなしさを感じざるを得ないのです。

しかし、人間の考えはどうなのでしょうか。
人間の感情は複雑で、他人には計り知れないものとはいえ、それだって脳の電気信号により生じている“複雑なプログラム”と考えても相違ないのではないでしょうか。

人間とコンピューターに違いがあるのか?
コンピュターに恋をするなどあり得ないことなのか?
本作では、そんな哲学的なテーマも描れているのです。


この作品で自分が何よりも秀逸だと感じたのが、“性”が重要なファクターとして働いていることです。
当たり前ですが、コンピュターはセックスをしません。
子孫を残すという繁殖行為ならともかく、快楽を得るためのセックスなど、コンピューターにとっては到底“理解”できないことでしょう。

しかし、肉体を持たないサマンサは主人公とのセックスに興味を持ちはじめます。
その行為によりサマンサは何を得るのかー?
そこも見所になっているのです。

おかげで本作にはPG12指定ではちょっと甘いと思わせるエロ描写がふんだん。お子様の鑑賞はおすすめできません。


音楽がこれまたすばらしかったですね。

450円
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近未来のオシャレな雰囲気に、カレンOの歌声が絶妙にマッチしていました。


難点は、会話劇が中心のために、劇的な展開を求める方にはちょっと眠くなってしまう怖れがあることでしょうか。
2時間6分の上映時間のほとんどを、“愛”に関する哲学的な考察に費やしていると言っても過言ではありません。
しかし、何気ない台詞や展開にとても深い意味が隠されている作品です。
台詞をよく追い、考えながら映画を観たほうがよいでしょう。

万人向けではありませんが、素敵な恋物語を観たい方、SF作品にある哲学的な考察が好きな方には大プッシュでおすすめします。
渇き。」でヘトヘトになった心も、ほっこりと癒してくれるでしょう。かなりオススメです。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-07-01 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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<2016年下半期>
『聲(こえ)の形』
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『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
『葛城事件』
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『貞子 vs 伽椰子』
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『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
『クレしん ユメミーワールド』
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<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
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『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
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『極道大戦争』
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<2014年上半期>
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『MONSTERZ』
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<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
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『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
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『ミッション:8ミニッツ』
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『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
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