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人間の矛盾 映画「トランセンデンス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はトランセンデンスです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:もっと話し合おうよ・・・


あらすじ


科学者ウィル(ジョニー・デップ)と妻エヴリン(レベッカ・ホール)は、人間を超越する人工知能を創りだそうとしていた。
そんな折、ウィルはテロ組織“RIFT”に撃たれ、銃弾に含まれていたポロニウムにより中毒を起こし、余命幾ばくもないと告げられる。
エヴリンは友人のマックス(ポール・ベタニー)とともに、ウィルを開発研究中の人工知能“PINN”へのアップロードを試みるのだが……




本作がテーマとしているのは“技術的特異点”です。
何やら難しそうなことばですが、その意味を簡単に言えば“人工知能が進化しすぎて、いつか人間を超える時がくる”ということです。
この作品では技術的特異点のことを“超越(Transcendence)”と呼び、人間以上の頭脳と力を持つ人工知能が生まれる経緯と、その顛末を描いています。

優れたコンピューターが脅威になるというSF作品は数多く、「ターミネーター」や「マトリックス」などはその代表でしょう。
現実でも、人工知能が人間の脅威になるという懸念はされています。
具体的には、以下の記事を読めばわかりやすいでしょう。
<A I は怖い? - Chikirinの日記>

ミスの責任は誰が取るのか?人間の仕事がなくなってしまうのではないか?
すごい人工知能生まれるからと言って、よろこんでばかりはいられないのです。

本作では、そうした人間よりも優れた人工知能が生まれることによる問題や、未来への可能性を提言しようとしていたのでしょう。
しかし、その試みはわりと失敗していたようでした。
その理由をひとつずつ振り返ってみましょう。


①人工知能がちっとも脅威に思えない

この手の映画で、この要素が希薄なのはかなり致命的なのではないのでしょうか。
この作品ではテロ組織はじめ主人公の周りの人間は「ヤベーってアレ!なんとか消滅させないと!」と主張しまくるのですが、具体的な人工知能を脅威と感じるべき要素が少な過ぎるため、観ているこっちは「ほっとけばええやん」としか思えません。
※作中で「人間は未知のものを恐怖に感じる」と、人々が人工知能を脅威に感じる理由が語られているとご指摘を受けました

この作品に必要なのは、「人工知能が脅威になった過去」なのではないでしょうか。
そうした歴史があれば、テロ組織へも、テロ組織に加担する人々には少しは感情移入できたでしょう。
しかし、作中で話題になっているのはY2K(2000年問題)や「猿の脳を人工知能にアップデートしたら……」というエピソードくらいなんだよなあ……

②テロ組織の主張に同意できない

人工知能が脅威に思えないだけでなく、反対勢力であるはずのテロ組織の行動にまったく説得力がありません。
以下の動画でも犯行声明を出していますが、内容が具体的でないので同意しかねます。



こいつらの主張よりも秘密保護法のトンデモ内容のマンガのほうが信じられるくらいです(信じないけど)。
しかも作中でテロ組織は人を殺しまくり(作中でも主人公にそのことをツッコまれる)で、ちっとも人工知能そのものや開発者と話し合いの場を持たず、攻撃しまくっています。人工知能よりお前らのほうが5億倍は迷惑です。
いや……テロってそんなもんなのかもしれないけどさ。
主張がはっきりしているぶん野々村竜太郎議員よりマシなのかもしれません。

③誰に感情移入すればいいのかわからない

この映画では、人工知能サイドか、テロ組織サイドのどちらが善玉なのかわかりにくいため、どっちを応援していいかわからなくなります。
ふつうに考えれば人殺ししまくっているテロ組織のほうが悪役のはずですが、映画ではずっと「人工知能ヤベーって、あいつぜってー悪者だって」って主張しているのです。
これは映画を観終われば意味があることだとわかるのですが、どちらかに感情移入できないのは娯楽としてはちっとも楽しくないのです。

④SFだからってなんでもできすぎ

この映画では描かれるのは“すごい人工知能”のはずなのですが、後半ではぜんぜん違う方向のSF描写が進化しまくります。
多くの人が「人工知能よりそっちのほうがすげーじゃん!」とツッコむことでしょう。こりゃダメだ。

⑤展開都合よすぎ

「なんでその状況でその考えがおよぶのか」「なんでその状況でその行動をするんだ」とツッコミ出したらキリがない感じでした。


そんなこんなで、批評家から酷評されてしまい、興行成績も大惨敗だったのが残念ながら理解できてしまう内容でした。
製作費1億ドル、ジョニー・デップ主演最新作、クリストファー・ノーラン製作、脚本が(優れているという意味での)“ブラックリスト”に選ばれるなど、大作らしさを随所に感じる期待作だったはずなのに……

でも、個人的にはけっこう好きなところもあります。

そのひとつが“人間は矛盾を抱えている”というテーマです。
人工知能はプログラミングによって動いている、とことん論理的な存在です。
しかし人間はそうではなく、論理的でない、矛盾した行動を取るのです。
ここを人間と人工知能との違いとして、作品の展開に生かしているのは上手いと感じました。
まあ、本作に論理的矛盾がありまくるのは容認できませんでしたけど。

もうひとつは「コンピューターに自我があるのか」という疑問を物語に盛り込んでいること。
コンピューターの考え→プログラミングされたものなら、自我とは呼べません。
しかし、そもそも“自我”とは何なのか?人間にだって自我があることを照明することはできないのではないか?
そんな哲学的な考察が楽しめるのです。
こちらは以下の記事を読めば、さらにおもしろく感じられるはずです(猿のエピソードの意味もこちらを参照)↓
<WIREDスペシャルページ「2045年、人類はトランセンデンスする?」 « WIRED.jp>(作中でも雑誌の“WiIRD"が登場しています)。


多くの人にとっては手あかのついた設定を無駄遣いした駄作と感じるかもしれませんが、テーマそのものは優れていたので自分は本作を“意欲作”と取りたいです。
同時期に公開し、同じく人工知能を描いた「her/世界でひとつの彼女」のほうが作品として優れているのは間違いありませんが、SF好きならそれなりに気に入るのかもしれません。

あと、はじめに日本語吹き替えで「トランセンデンスにようこそ」とナレーションが入るのにびっくりました。



もともとは、作中でも出演しているモーガン・フリーマンがこのナレーションを担当していたのですね。吹き替え版はともかく、字幕版はモーガン・フリーマンのままでいいのに……

あと、ジョニー・デップファンの方へ。
本作のジョニデ様は大半がしかめっつらで、とくに萌えるシーンはありませんでした(大半でコンピューター化しているし)。ファンの方にはあんまりおすすめできませんので、ご注意を。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-07-05 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 1
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<2015年下半期>
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『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
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<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
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『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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