北村監督流俺様映画 実写版「ルパン三世」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
今日の映画感想は「ルパン三世」です。
個人的お気に入り度:3/10
一言感想:あららららららら~(微妙)
あらすじ
ルパン一味が泥棒どころかテロ組織並に暗躍する話。
※必然性がなさすぎな飛行機のシーンを失念していたので、ネタバレに追記しました。
「あずみ」「ゴジラ ファイナルウォーズ」の北村龍平監督最新作にして、日本でその名前を知らない人はまずいないであろう人気コンテンツ「ルパン三世」の実写映画版です。
じつは「ルパン三世」が実写化されたのは今回がはじめてではなく、1974年に「念力珍作戦」が作られています。
<タイトルとジャケットがパンチ効いていますね
参考↓
にわかに注目を集める元祖実写版『ルパン三世 念力珍作戦』がヤバイ - NAVER まとめ
実写版 「あしたのジョー」「ルパン三世」「めぞん一刻」「ザ・シェフ」:a Black Leaf (BLACK徒然草)
※『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』という宝塚の劇もあるそうです。
今回の「ルパン三世」は「念力~」とは違い、“一見”すると「スタイリッシュ」な作風になっています。
このスタイリッシュというのがくせ者で、要するに「北村龍平監督がカッコいいと思うもの詰め合わせ」なんです。
その「北村龍平、俺カッコいい」は、少々長めのアクション描写だったり、ストレートすぎる台詞であったり寄りぎみのカメラワークだったり、やたらかかりっぱなしの音楽(BGMがないところが少ない)にまでおよびます。
これが「クドく」、また「逆にダサく」見えてしまうところが多いので、これだけで拒否反応を覚える方が多いでしょう。
自分は北村監督のそんなところも嫌いじゃないので、あまり気にはしていませんでした。
むしろ、アクション(演出に限る)は日本映画と思えないほど洗練されています。
これは「アジョシ」のスタッフがアクション監督として携わっているおかげでしょう。
もうひとつ賞賛すべきことは、ルパン一味を演じた役者陣です。
小栗旬のルパンのチャラさ、黒木メイサの峰不二子のセクシーさ、扱いづらそうな綾野剛の石川五右衛門、何から何までかっこういい玉山鉄二の次元大介と、文句がないほどにハマっていました。
黒木メイサがボンキュッボンじゃねーじゃんとかは些細な問題なのです(ボンキュッボンのほうがよかったけど)。
問題は物語です。以下に書き出してみます。
1:物語の軸があやふや
作中で登場人物それぞれの思惑はきちんと説明されているのですが、その目的がバラバラなために、物語の軸もブレ気味です。
これはルパン一味以外のサブキャラが多すぎることにも起因しています。いまいちキャラクターに感情移入できないまま、物語が進行してしまうのです。
2:展開が一本調子
ルパン三世は裏切ったり、裏切られたり、はたまた思わぬ黒幕が登場する「意外な展開」が魅力のひとつだと思うのですが、本作はその印象に乏しいです。
アクション→会話劇→アクションとくり返される印象で、展開のダイナミズムに欠けています。
3:銭形警部のキャラが崩壊している
これは詳しく言うとネタバレになるので↓に書きます。アニメ版でおなじみのルパンと銭形の関係が好きな人は否を突きつけるポイントでしょう。
4:会話シーンが長い
これは北村監督の悪いクセ。ほかの作品群にくらべればだいぶましだと思いますが、「わかっていることをくり返してしゃべる」ところもあり、どうにも冗長です。
物語自体が少々複雑で、それを台詞でクドクドと説明するのですから、人によっては退屈極まりないでしょう。
5:ルパン一味が「はぐれ者」の集団ではなくなっている
今回のルパン一味は、「ザ・ワークス」という盗賊たちの組織とつながりを持って行動し、さらに今回はゲストキャラの仲間が何人も登場します。
一概に悪いところとは言えませんが、自分はルパンたちはもともと協調性がなく、一味と「仕事のためにつるんでいる」ような関係性が好きだったので、ここでもキャラが崩れてしまった印象を受けます。
6:アクションシーンの数々に説得力がない
アクションの演出自体はとてもよいのですが、そのアクションが成り立つまでの過程に無理があり、「どう考えても無理な状況を打破する」ための説得力もなさすぎます。
また、基本的にルパン一味が無敵集団すぎ、敵のザコキャラがマジでザコ過ぎなためにちっともハラハラしません。
画の出来はいいのに、アクションにまったく熱くなれないのはこれが原因でしょう。
「LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標」ではルパンと次元がピンチになることにものすごくハラハラしたのに……
7:ルパン一味が泥棒の域を超えている行動をしまくる
終盤のごり押し展開はもう笑うしかありませんでした(ヤケクソで)。
つまり、ビジュアル、アクション、役者は悪くないんです。
悪いのは「北村監督のドヤ顔が垣間見えるシーンの数々」「軸が定まり切らない物語」「アクションに説得力がない」「ルパン三世らしさがなくなっている」ことなのです。
それぞれがわりと致命的なため、平凡以下の作品になってしまったことが残念でしかたがありません。
「貞子3D」「MONSTERZ」のように“ク○すぎて一周回っておもしろい”ダメ映画ではなく、“ところどころ出来がいいのに全体的にはつまらない”という、ダメ映画フリークにとっても中途半端な残念作でした。
余談ですが、本作にはルパン一味を含めた英語の台詞が日本語でアテレコされている「吹き替え版」と、英語の台詞に字幕が表示される「ワールドプレミアバージョン」があるようです。
このワールドプレミアバージョンが上映されるのは、全国で5館しかないのですね。
自分が観たのは吹き替え版でしたが、これはこれで「アニメのルパンが海外のどこでも日本語をしゃべっている」印象に近くてよいのではないかと。
小栗旬ががんばってルパンを演じていたり、ルパン三世おなじみの台詞が登場したり、北村監督の中二病臭さ満載の恥ずかしい台詞や演出がバンバン出たりするので、そこだけでもわりと楽しめます。
やたらセクシーな黒木メイサと中山由香のバトルは男性陣ならハァハァすること必死です。
おなじみのテーマ曲やタイトルコールが使われないのは残念ですが、布袋寅泰が手がけた新しいテーマ曲、ルパン三世らしいジャジーな音楽の数々はよくできていましたね。
難点は前述のとおり音楽があらゆるところに使われすぎてちょっと胃もたれすること(テーマ曲除く)。ここぞというところで使ってくれたほうが効果的だったと思います。
見所はそれなりにはあるので、役者のファンは観てもいいんじゃないでしょうか(責任は取りません)。
うん、まあ、期待値を下げまくったら楽しめるはずです。オススメDEATH!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:3/10
一言感想:あららららららら~(微妙)
あらすじ
ルパン一味が泥棒どころかテロ組織並に暗躍する話。
※必然性がなさすぎな飛行機のシーンを失念していたので、ネタバレに追記しました。
「あずみ」「ゴジラ ファイナルウォーズ」の北村龍平監督最新作にして、日本でその名前を知らない人はまずいないであろう人気コンテンツ「ルパン三世」の実写映画版です。
じつは「ルパン三世」が実写化されたのは今回がはじめてではなく、1974年に「念力珍作戦」が作られています。
<タイトルとジャケットがパンチ効いていますね
参考↓
にわかに注目を集める元祖実写版『ルパン三世 念力珍作戦』がヤバイ - NAVER まとめ
実写版 「あしたのジョー」「ルパン三世」「めぞん一刻」「ザ・シェフ」:a Black Leaf (BLACK徒然草)
※『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』という宝塚の劇もあるそうです。
今回の「ルパン三世」は「念力~」とは違い、“一見”すると「スタイリッシュ」な作風になっています。
このスタイリッシュというのがくせ者で、要するに「北村龍平監督がカッコいいと思うもの詰め合わせ」なんです。
その「北村龍平、俺カッコいい」は、少々長めのアクション描写だったり、ストレートすぎる台詞であったり寄りぎみのカメラワークだったり、やたらかかりっぱなしの音楽(BGMがないところが少ない)にまでおよびます。
これが「クドく」、また「逆にダサく」見えてしまうところが多いので、これだけで拒否反応を覚える方が多いでしょう。
自分は北村監督のそんなところも嫌いじゃないので、あまり気にはしていませんでした。
むしろ、アクション(演出に限る)は日本映画と思えないほど洗練されています。
これは「アジョシ」のスタッフがアクション監督として携わっているおかげでしょう。
もうひとつ賞賛すべきことは、ルパン一味を演じた役者陣です。
小栗旬のルパンのチャラさ、黒木メイサの峰不二子のセクシーさ、扱いづらそうな綾野剛の石川五右衛門、何から何までかっこういい玉山鉄二の次元大介と、文句がないほどにハマっていました。
黒木メイサがボンキュッボンじゃねーじゃんとかは些細な問題なのです(ボンキュッボンのほうがよかったけど)。
問題は物語です。以下に書き出してみます。
1:物語の軸があやふや
作中で登場人物それぞれの思惑はきちんと説明されているのですが、その目的がバラバラなために、物語の軸もブレ気味です。
これはルパン一味以外のサブキャラが多すぎることにも起因しています。いまいちキャラクターに感情移入できないまま、物語が進行してしまうのです。
2:展開が一本調子
ルパン三世は裏切ったり、裏切られたり、はたまた思わぬ黒幕が登場する「意外な展開」が魅力のひとつだと思うのですが、本作はその印象に乏しいです。
アクション→会話劇→アクションとくり返される印象で、展開のダイナミズムに欠けています。
3:銭形警部のキャラが崩壊している
これは詳しく言うとネタバレになるので↓に書きます。アニメ版でおなじみのルパンと銭形の関係が好きな人は否を突きつけるポイントでしょう。
4:会話シーンが長い
これは北村監督の悪いクセ。ほかの作品群にくらべればだいぶましだと思いますが、「わかっていることをくり返してしゃべる」ところもあり、どうにも冗長です。
物語自体が少々複雑で、それを台詞でクドクドと説明するのですから、人によっては退屈極まりないでしょう。
5:ルパン一味が「はぐれ者」の集団ではなくなっている
今回のルパン一味は、「ザ・ワークス」という盗賊たちの組織とつながりを持って行動し、さらに今回はゲストキャラの仲間が何人も登場します。
一概に悪いところとは言えませんが、自分はルパンたちはもともと協調性がなく、一味と「仕事のためにつるんでいる」ような関係性が好きだったので、ここでもキャラが崩れてしまった印象を受けます。
6:アクションシーンの数々に説得力がない
アクションの演出自体はとてもよいのですが、そのアクションが成り立つまでの過程に無理があり、「どう考えても無理な状況を打破する」ための説得力もなさすぎます。
また、基本的にルパン一味が無敵集団すぎ、敵のザコキャラがマジでザコ過ぎなためにちっともハラハラしません。
画の出来はいいのに、アクションにまったく熱くなれないのはこれが原因でしょう。
「LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標」ではルパンと次元がピンチになることにものすごくハラハラしたのに……
7:ルパン一味が泥棒の域を超えている行動をしまくる
終盤のごり押し展開はもう笑うしかありませんでした(ヤケクソで)。
つまり、ビジュアル、アクション、役者は悪くないんです。
悪いのは「北村監督のドヤ顔が垣間見えるシーンの数々」「軸が定まり切らない物語」「アクションに説得力がない」「ルパン三世らしさがなくなっている」ことなのです。
それぞれがわりと致命的なため、平凡以下の作品になってしまったことが残念でしかたがありません。
「貞子3D」「MONSTERZ」のように“ク○すぎて一周回っておもしろい”ダメ映画ではなく、“ところどころ出来がいいのに全体的にはつまらない”という、ダメ映画フリークにとっても中途半端な残念作でした。
余談ですが、本作にはルパン一味を含めた英語の台詞が日本語でアテレコされている「吹き替え版」と、英語の台詞に字幕が表示される「ワールドプレミアバージョン」があるようです。
このワールドプレミアバージョンが上映されるのは、全国で5館しかないのですね。
自分が観たのは吹き替え版でしたが、これはこれで「アニメのルパンが海外のどこでも日本語をしゃべっている」印象に近くてよいのではないかと。
小栗旬ががんばってルパンを演じていたり、ルパン三世おなじみの台詞が登場したり、北村監督の中二病臭さ満載の恥ずかしい台詞や演出がバンバン出たりするので、そこだけでもわりと楽しめます。
やたらセクシーな黒木メイサと中山由香のバトルは男性陣ならハァハァすること必死です。
おなじみのテーマ曲やタイトルコールが使われないのは残念ですが、布袋寅泰が手がけた新しいテーマ曲、ルパン三世らしいジャジーな音楽の数々はよくできていましたね。
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難点は前述のとおり音楽があらゆるところに使われすぎてちょっと胃もたれすること(テーマ曲除く)。ここぞというところで使ってくれたほうが効果的だったと思います。
見所はそれなりにはあるので、役者のファンは観てもいいんじゃないでしょうか(責任は取りません)。
うん、まあ、期待値を下げまくったら楽しめるはずです。オススメDEATH!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓