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戦争が起こる理由 映画「猿の惑星:新世紀 ライジング」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は猿の惑星:新世紀 ライジング(原題:Dawn of the Planet of the Apes)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:これなら、戦争が起こってもしかたがない


あらすじ


科学者が生み出したウイルスによって、人類の90パーセントが死滅した2020年代の地球。
進化を遂げた猿たちのコミュニティに、わずかに生き残った人間たちがやってくる。
猿たちを率いるシーザー(アンディ・サーキス)は、人間たちに「二度と来るな」と告げて、共生しようとはしなかった。
だが、猿たちの本拠地の近くには、人間たちの電力源となるダムがある。マルコム(ジェイソン・クラーク)は人間たちを代表して、シーザーたちにダムでの作業ができるように頼みに向かう。




※いただいた意見をたくさん追記しました! ありがとうございます(9月26日)

「猿の惑星」新シリーズ3部作の第2作目です。

前作のレビューはこちら↓
<猿たちが警告するもの「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー>

映画の舞台は前作より10年が過ぎ去り、ウイルスにより人類のほとんどが死滅した世界。
描かれるのは、人類と猿たちが戦争を“始めてしまう”までの過程です。

本作を観て多くの方が思うのは、現実の戦争の出来事が反映されていることでしょう。
自分が「似ている」と感じた現実の戦争は以下のふたつです。

(1)イラク戦争
アメリカは「イラクに大量破壊兵器があるんだ!」と主張して戦争を始めました。
本作でも、「人間たちが武器を持っているんだぞ!危険だ!」と主張する猿がいます。
 
(2)パレスチナ問題
イスラエル側がガザ地区でパレスチナ人大量に殺戮をしたのですが、イスラエル側も「先に攻撃したのパレスチナのほうだよ!」と動機づけをしいています。
本作でも、「どっちが先に攻撃するのか」という一色触発のにらみ合いが続き、けっきょくは……(ネタバレになるので言わず)という話になっています。

インディアンの戦争の歴史盧溝橋事件に似ているという意見もいただきました。

そして、この映画よりも後の物語である、第1作目の「猿の惑星」では、猿が人間たちを支配するという構図になるわけです。
これも白人たちが黒人たちを奴隷化したり、ナイスドイツがユダヤ人を虐殺・迫害した歴史を思いださせるものです。

猿たちが象徴しているのは、アメリカという国そのものであったり、イスラエル人=ユダヤ人であったりします。
この映画の猿たちは猿たちは人間の戦争の歴史をくり返しているのです(完全に人間の歴史と一致しているわけではありませんが)。
戦争の歴史に詳しい人ほど、この点はおもしろく観ることでしょう。


この映画が何よりも優れているのは、こうした「戦争が起こる理由」をじっくりと描いていることだと思います。

平和に暮らしている我々は、こう思いがちです。

「なんで戦争なんかするんだろう」
「殺し合いじゃなく話し合いで決めればいいじゃん」
「もし戦争が起こっても、互いに戦いをやめたらいいのに」

そうした平和主義の人でも、この映画を観ると「戦争が起こるのも無理はない」と思って“しまう”のではないでしょうか。
本作では人間側も、猿側も、多種多様な“思惑”を見せます。
人々と猿の思惑が交錯し、ときに悲劇を生み、ときに共存の道があるのではないかと思わせる―
戦争という出来事が起こるまでの、確かな“説得力”を感じる描写の数々に圧倒されました。

個人的には戦争映画ってちょっと苦手なジャンルで、それは「お偉いさんがいろいろしゃべっているのが退屈」「史実に詳しくないと楽しみにくい」「戦争なんて大嫌いだから戦地に行く人にあまり感情移入できない」という身勝手な理由でした。
しかし、本作は「キャラクターが親しみやすく感情豊か」「最初から最後まで戦争状況を説明してくれる」「否応なしに戦争に巻き込まれてしまう」ために、感情移入しまくりでした。

小学校高学年以上であれば、問題なく物語を理解できるでしょう。
戦争という重い題材で、ここまでわかりやすい娯楽作品を作れていることだけでも賞賛すべきです。


本作のテーマのもうひとつが「進化」だと思います。
この映画で描かれる猿たちの進化は、猿たちが知恵を使ったり、ことばを話せるようになったりというような表面的なものだけではありません。
その進化が何であるのかは、ぜひ主人公である猿のシーザーのことばから考えてほしいです。


言及しておかなければいけないのが、役者のすばらしさでしょう。
アンディ・サーキスは前作でも猿のシーザーを、「ロード・オブ・ザ・リング」でもゴラムという非人間を文句なしに演じていました。
本作の演技はまさに神懸かり。話せることばが少ないにも関わらず、溢れんばかりのカリスマ性で、この猿を上司にしたいと思わせるほどでした。

個人的には、シーザーの息子の“ブルーアイズ”を演じたニック・サーストンや、“コバ”を演じたトビー・ケベルにも注目したいところ。決して主役に負けていない、さまざまな表情を見せてくれました。


戦争のさまざまな思惑が交錯する人間ドラマを、誰もが楽しめる作品に仕上げたという点で本作はほぼ完璧です。
ただひとつだけ難点をあげるのであれば、邦題がよくないと思います。

映画を観ればわかると思うのですが、今作のタイトルは「DAWN(夜明け)」以外にありえません。
だいたい前作のタイトルが「Rise of the Planet of the Apes」なので、Risingというタイトルをつけるのならそっちなわけで……
なんか「ファイナル・デスティネーション」→「デッドコースター」→「ファイナル・デッドコースター」とムリヤリな邦題がつけられ続けたシリーズを思いだしました。


余談ですが、海外版の映画のポスターの元ネタは「國民の創世」ですね。

APES ポスター  国民の創世

さすがに観たことはなかったですが、「國民の創世」はアメリカで初めて作られた映画であり、戦争はもちろん、人種差別やさまざまな思想が描かれた作品だそうです。
民衆を導く自由の女神にもちょっと似ていますね。

もうひとつ余談。なんだかんだ言って、戦争というものの本質は以下のドラえもんの名言に集約されると思いました。

戦争なんてそんなもん<どっちも正しいと思っているよ

本作でもそれは同じ。戦争をしようとしている自分が正しいと思っている人や猿が登場します。
しかし、「戦争をしかけること自体が間違っている」と思う者も出てきます。
それが猿のシーザーであり、人間のマルコムです。

シーザーがガイウス・ユリウス・カエサルを、マルコムがマルコム・Xを象徴していると考えてもいいかもしれませんね(性格やらはだいぶ違う気もするけど)。


3Dはとても自然な使われかたをしていましたが、それほど効果的ではなかったので今回は2Dでじゅうぶんでしょう。

また、前作を観ておいたほうがより楽しめます
とはいえ、直接的に前作の鑑賞が必須なエピソードが出てくるわけでもないので、たとえ内容をほとんど忘れていても問題はありません。

いろいろと戦争にまつわる出来事を考えてもおもしろいですが、それを考えなくても愛憎渦巻くドラマが楽しめる秀作です。
ただ、全編を通じて重く苦しい展開が続くので、そうした作品が苦手な方はご注意を。
当然、おすすめです!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

2014-09-25 : 映画感想 : コメント : 12 : トラックバック : 0
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『UFO学園の秘密』
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『進撃の巨人 後編』
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『リアル鬼ごっこ(2015)』
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<2015年上半期>
『極道大戦争』
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『バードマン』
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<2014年下半期>
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『複製された男』
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<2013年下半期公開>
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<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
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『脳男』
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<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
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『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
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<そのほか>
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