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母さん、ありがとう 映画版「寄生獣」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は寄生獣 PART1です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:原作を超えた、“子”の葛藤があった


あらすじ


高校生の泉新一(染谷将太)は、地球の外から現れた謎の生命体により“寄生”をされてしまう。彼の右手は“ミギー”と名乗り、自我を持ち始めたのだ。
時を同じくして、ちまたでは猟奇的な殺人事件が連続する。
寄生生物でありながら教職に就く田宮良子(深津絵里)は、“実験材料”として新一を興味深く観察する。




※いただいた意見から少しだけネタバレに追記しています(12/4)

人気作品を映画化することは、じつに難しいと思います。
「あのシーンが違う」「なぜ変えてしまうのか」「イメージに合っていない」などと、原作をよく知るファンほど“文句”の量は増えてしまうのですから。
それは、大傑作漫画「寄生獣」の映画化というのであれば、なおさらのことです。

岩明 均
500円
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「寄生獣」のおもしろさ、幅広い層からの絶賛は漫画ファンであれば誰しもが知るところでしょう。
たった10巻(書籍形態によって差はあり)のなかに、人間ドラマ、グロテスクな寄生生物の斬新なアクション、人間の根源に迫る哲学に至るまで、いま読んでも新しい発見がある奥深さがある、エンターテインメント性とメッセージ性を兼ね備えている作品なのです。

そうであるからこそ、映画化は不安でした。
あの濃密な内容が2時間×2部作の映画のなかに収まるわけはないと、どうあっても原作のおもしろさに勝てるわけはないと……
ハリウッドでの映画化の計画が流れたり、映画ファンからはあまり評価されていない山崎貴監督作品であるなど、不安は山積みでした。

しかし、この映画版「寄生獣」は原作をリスペクトし、なおかつ映画独自のアレンジが有効に作用した新たな秀作であると思います。以下に優れた点をあげてみます。

(1)2時間弱という制約がありながら、原作漫画の重要なシーンをほぼすべて拾っている

本作で描かれるのは、原作の3巻くらいまでのエピソードです。
それでも相当な量ですが、映画版ではいくつかの登場人物を整理、統合することによりすっきりとエピソードをまとめています。
そのために原作の“宇田”(あごに寄生生物がついている気のいいおじさん)と“加奈”(寄生生物を感知する能力があるスケバン女子高生)が未登場になっていますが、そのためにエピソードの主軸がはっきりしています。
これは、ひとつの映画として完成度を高めるための英断でしょう。

(2)映画版でのオリジナル要素がほぼすべていい方向に働いている

原作ファンであれば「なるべく忠実にしてくれ」と思うところですが、映画版では新しい設定がいくつか入っています。
それはごく小さなエピソードがほとんどなのですが、これが後半の展開への伏線となっていたり、登場人物の心情をより表したものになっていました。

(3)より“子の母に対する想い”が強調されている

これが映画版で、本当に感動した部分でした。
原作から変更された点は細かいものがほとんどなのですが、主人公の葛藤と決断の奥深さは原作を超えていました

このなかで(3)は、観る人によっては原作の改悪と思う人もいるかもしれません。
しかし、母親と主人公の何気ない会話や、原作にない“絵画”のシーンを思い返してみてください。
きっと、その意味するところに気づけると思います。

また、言わずもがなのことではありますが、原作の奇妙な寄生生物の造形を実写映画で再現したことも賞賛するべきでしょう。
本作は、人気ゲーム「メタルギアソリッド」でおなじみの小島プロダクションによる3Dスキャン技術により立体的な寄生生物を創造しています。漫画で観た荒唐無稽とも言える気持ち悪さ、圧巻のバトルが“実写”で観ることができることだけで、感動できるのです。

また、グロテスクな描写に遠慮がないことも魅力です。
「寄生獣」のグロさは寄生生物の恐ろしさ、「人間を喰らう」ということへの“疑問”と“正当性”を問いかけるために必要不可欠のものです。
本作はPG12指定ですが、その指定でギリギリ許されるくらいの、殺傷シーン、人体損壊のシーンが多々あります。お子様の鑑賞はとてもオススメできません。
ファミリー向けの映画を手がけてきた山崎監督(とスタッフ)が、ここで手を抜かなかったことにも胸を打ちました。

BUMP OF CHICKENによる主題歌「パレード」は賛否あるようですが、自分はかなり気に入りました。



その歌詞は“自分が自分でなくなる”主人公の恐怖と、そして喪失を表現しているかのようでした。


もちろん不満もあります。
多くの方があげるのは、そのキャスティングでしょう。
主演の染谷将太もヒロインの橋本愛も原作とは“見た目”から原作と違いますし、もうひとりの主人公である寄生生物“ミギー”の声(とモーションキャプチャー)の担当が阿部サダヲというのもイメージとは違います。

公式サイトでミギーの紹介ページを見ると、なんと「おしゃべりで陽気」と記されているほどで、あまり“原作に近づけよう”という気概は感じられません(原作を読んでいる人ならわかると思うのですが、ミギーはおしゃべりではあるけれど陽気ではなく“冷静沈着”な性格ですよね)。
ここで賛否がわかれてしまうのは、致し方ないと思います。
※以下の意見をいただきました。
軽いノリのミギーには賛否ありそうですが、この短い尺で物語を進める上では良いリズムになっていたと思います。恐らく原作通りの性格のままでは、テンポの悪い地味でつまらない映画になっていた気がしてなりません。


でも裏を返せば、原作の見た目のイメージではなく、“実力派”のキャスティングがなされているということ、原作に縛られないキャラクターづくりができているということでもあります。
事実、映画版の新一もミギーも、性格の少し違う“新たなキャラクター”として、とても魅力的に感じました。
具体的に言うと新一はよりヘタレになって、ミギーはちょっとムカつく感じになっています。これはこれで楽しめました。

また、キャスティングでとくにおもろかったのが東出昌大さん。
正直、彼は演技がうまいほうではないと思っていたのですが、本作では寄生生物という“非人間”の役どころで、その棒読み具合がむしろハマっているという絶妙な演技を見せていました。
本作の東出さんはマジで怖いので、2週間後に公開される恋愛映画「アオハライド」でも「いつ喰われるんだろう」と別の意味でドキドキしてしまいそうです。

ほかにも、原作の“演出”で感じ取れるシーンをわざわざセリフで表現してしまったり、細かいシーンに違和感があるなどの不満があります。
このあたりは山崎監督の悪いクセが垣間見えて残念でしたが、全体からしてみればそこまで大きな欠点でもないでしょう。

むしろ、山崎監督にあるまじき(超失礼)映画的な演出が優れていたことにも感動しました。
ALWAYS 三丁目の夕日」や「永遠の0」にあった“大仰な音楽で盛り上げる(ラストだけうるさいけど)”や“登場人物がさめざめと涙を流す”ということもなく、“暗”を基調とした画のおもしろさも際立っていました。
山崎監督が嫌いだという方にとっても、本作は見応えがある作品になっているのではないでしょうか。


とにかく、これは原作を知らない方はもちろん、「寄生獣」の大ファンであるという方にもおすすめします。
個人的には、前述した“母と子”の描きかたにぜひ注目してほしいです。
大傑作の「寄生獣」に、まさかこの点で“原作超え”という表現を使うことになるとは思ってもみませんでした。
いくつかの改変の理由に気づけたとき、原作にはない感動があるはずです。

ps.「寄生獣」を知ったあとには、原作者・岩明均さんの「ヒストリエ」「七夕の国」「風子のいる店」もぜひ読んでほしいです。
いずれもテイストは異なりますが、岩明さん独自の倫理観や価値観が現れている奥深い作品です。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 原作漫画のネタバレは最小限にしています。

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2014-12-02 : 映画感想 : コメント : 13 : トラックバック : 0
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<2014年下半期>
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<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
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『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
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<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
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『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
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『トランスフォーマー3』
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<そのほか>
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