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英雄の起源 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』でネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバルです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:『ガンダム』はこんなにおもしろいのか!


あらすじ


ある日、革新派であった男ジオン・ズム・ダイクンが、演説中に倒れそのまま帰らぬ人となった。
残されたダイクンの子どもであるキャスバルとアルテイシアは「ラル家」に住み始め、初老の男ジンバ・ラルから「父は殺された」ことを聞く。




根強い人気を誇る『機動戦士ガンダム』の「起源」を描くアニメ作品です。
※厳密に言えば本作は映画ではなく、オリジナルビデオ作品が「イベント上映」されるという扱いになっています。

田中真弓
5389円
powered by yasuikamo
※4月24日発売

まずお断りをしておくと、自分は『ガンダム』という作品のことをほとんど知りませんでした。
せいぜいザクとかドムとかガンタンクがどんな見た目とか、「親父にもぶたれたことないのに」とか「認めたくないものだな…、自分自身の…若さ故の過ちというものを…」などのネットで有名な台詞を知っているくらいでした(ファンの方、ごめんなさい)。

ここで伝えたいのは、そんな『ガンダム』に関してはスカポンタンな自分にとっても、この『THE ORIGIN』はとてもおもしろい作品であったということ、『ガンダム』初心者にこそおすすめしたい内容であったということです。

そもそも、『ガンダム』という作品群は派生作品が多すぎて、ご新規さんが入りにくいと思うのです。

<ガンダムシリーズ一覧 - Wikipediaより>
1 『機動戦士ガンダム』(宇宙世紀)シリーズ
2 『機動武闘伝Gガンダム』シリーズ
3 『新機動戦記ガンダムW』シリーズ
4 『機動新世紀ガンダムX』シリーズ
5 『∀ガンダム』シリーズ
6 『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ
7 『機動戦士ガンダム00』シリーズ
8 『機動戦士ガンダムAGE』シリーズ
9 『ガンダムビルドファイターズ』シリーズ
10 『ガンダム Gのレコンギスタ』シリーズ

多いわ!
36年も続いているシリーズであるので、それも当然なのですが……
中にはガンダムのプラモデル(通称ガンプラ)でバトルをするもの(ビルドファイターズ)まであります。

近年のアメコミ映画がそうであったように、シリーズが複雑化しすぎて、マニアックに感じる内容になっているのは、制作者にとっても歓迎するべきことではないと思います。
「『ガンダム』という作品に触れてみたいな」と思っていても、「どれから観たらいいのかわからん」と思っている人はきっと多いと思うのです。

しかし本作は『THE ORIGIN』というタイトルが示すように、シリーズの起源であり、エピソードゼロであるため、まったく予備知識がなくても楽しむことができるのです。
『スターウォーズ』サーガがエピソードIVから始まって、時を経てからエピソードIが公開された(そのときに初めて『スターウォーズ』を観た人もたくさんいた)印象にも近いですね。
(いるのかどうかはわからないけど)『ガンダム』デビューをしたい人にとって、これは絶好の機会です。

それなのに、公式サイトの説明などは『ガンダム』を知っている人向けで、けっこうマニアックな気がします。

たとえば「STORY」はこんな感じ(抜粋)↓
宇宙世紀0068年、サイド3、ムンゾ自治共和国。
宇宙に進出した人の革新を説き、地球連邦政府からの完全独立を宣言しようとしたジオン・ズム・ダイクンは、議会檀上で演説中に突如倒れ、帰らぬ人となった。
ダイクンの死後、ザビ家陰謀説を唱えるダイクンの側近ジンバ・ラル。
しかし、サイド3、ムンゾの実権を掌握せんとするデギン・ソド・ザビ率いるザビ家の暗躍は加速していく。
これまで語られる事の無かった動乱の歴史が明らかになる中、ダイクンの遺児であるキャスバルとアルテイシアには、激動の時代を象徴した数奇な運命が待ち受けていた…。


なんかむずかしくない?(頭の悪そうな発言)。
本編は、偉い人が死ぬ→「これは誰かに殺されたんだ!」→偉い人の子どもふたりが大人の策略に巻き込まれる、というわかりやすい内容になっているので、ご安心を。


本作の原作は、10年にわたる連載を経て完結した漫画作品です。

powered by yasuikamo

今回の劇場版は1巻からではなく、第9巻の「シャア・セイラ」編のまるごと1巻すべてを映像化している内容でした。

自分は本作の後に原作を読んだのですが……驚きました。
「原作に忠実な映像化作品」というのはファンから支持されやすいものですが、本作『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』はキングオブ原作に忠実な作品だったのですから。
自分の記憶が正しければ、漫画版と違うところは2ヵ所しかありませんでした
これは漫画の原作者である安彦良和さんが総監督を務めているためでもあるのでしょう。

原作は、失礼な言いかたをすれば「ラフっぽい」絵柄で、あまり写実的ではないために少しとっつきにくい印象がありました。
親しみやすい絵柄となり、声優さんたちの熱演が吹きまれたアニメになったことに、本作の確かな意義を感じました。


本作の主人公は、『機動戦士ガンダム』で主役だったアムロ・レイではありません。敵のジオン軍に職属する兵士シャア・アズナブルの少年時代が描かれているのです。
そんなこともあり、本作はタイトルに反してガンダムが一切出てこないのです。

<出てきません。

モビルスーツの宇宙空間での闘いが描かれているのはオープニングの数分のみでした。
『ガンダム』ってこんな作品だったんですね(←たぶん誤解している)。


では本作で描かれることは何?と問われれば、それは「政治」と「少年の成長」であると思います。
主人公のキャスバル(後のシャア・アズナブル)は父親を殺され、そのことを世論を操作するための策略であると教えられたりするのです。
幾多のも登場人物が、これらの政治的な策略に翻弄され、それでも自分の信条をもとに行動するー
そんな群像劇として抜群におもしろく仕上がっていました。


物語でうまいと感じたのは、主人公の妹のアルテイシアが「観客の代弁者」として機能していることです。
彼女はまだ小学年低学年にも満たない子どもで、悲しいときには泣く、うれしいときには笑うという素直なキャラクターで、強がっている兄や、自分の矜持を持っている大人とは対照的です。
息の詰まりそうな登場人物の軋轢がある中で、こうしたキャラクターがいることに、ほっとできるのです。


難点は登場人物が多すぎて、把握までに時間がかかること。
本作は「ダイクン家」「ザビ家」「ラル家」という一族が(政治的に)三つどもえの攻防をするという内容なのですが、15~16人ほどという主要キャラクターの多さには少し面食らいました。
キャラクターは個性豊かなために覚えられますし、『ガンダム』をよく知る人にとってはおなじみのキャラもいるので混乱することはないのでしょうが……少しだけ敷居の高さを感じました。

1時間という短い時間で終わってしまうことも、少し物足りなさを感じます。
キリのいいところで終わってはいるのですが、「もっと続きを見せて!」と思ってしまうのも事実です。


これはおすすめです。
声優は信じられないくらいに大物が勢ぞろいしています。
『ガンダム』ファン、漫画『THE ORIGIN』のファンにとって、大満足できる内容でしょう。

冒頭の数分の宇宙空間でのバトルは迫力満点、瞬きするのも惜しいと思わせるスピーディーさがありました。
ここだけでも劇場で鑑賞する理由は十分です(以下でも観れます)。



くり返しになりますが、声優の田中真弓さんや安彦良和総監督も「ガンダムを知らない人にも観てほしい」と言っていますので、自分も『ガンダム』を知らない人にこそおすすめしたいです。

上映は2週間限定、全国13館のみでの公開とのことですので、お早目に。

↓以下は短いですが、クライマックスの展開がネタバレ 未見の方はお控えください。

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2015-02-28 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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『ヒックとドラゴン2』はけっきょく全国で上映されないの?という話

映画ファンの心を捕えて離さなかった傑作アニメ映画『ヒックとドラゴン』。
その続編である『ヒックとドラゴン2』の日本公開を待ち望んでいる人はきっと多かったことでしょう。

ここに来て、うれしさ半分、悲しさ半分のニュースの立て続けに飛び込んできました。

(1)東京アニメアワード(TOHOシネマズ日本橋)でついに日本初上映決定
(2)ソフトが7月3日に発売決定


ジェイ・バルチェル
6161円
powered by yasuikamo



[うれしいところ]
・やっと日本で上映が決定した!
・ソフト化も決定した

[悲しいところ]
・全国で上映しないのかよ!
DVDスルー決定なの!?

正直、悲しさのほうが大きいんですけど。

『ヒックとドラゴン2』は劇場公開を求める署名が行われていたほどに、期待をされていた作品でした。
本国では大ヒットを遂げており、IMDbでは8.0点Rotten Tomatoesで92%という前作に負けず劣らずの超高評価を得ています。
前作は3D効果も高く評価された作品であり、「3D版を見逃してしまったから、今度は3Dで観たい!」と思っていた人もきっと多いはずです。

それなのに、なんで全国の劇場で公開されないの……と思うところですが、これには理由があります。


<『ヒックとドラゴン2』が全国公開されなかった理由>

その理由とは、前作『ヒックとドラゴン』が日本でヒットしなかったことと、配給権が高額であることでしょう。

前作は評価が高かったのにも関わらず、初登場8位、その後もロングランをせずにひっそりと公開終了しました。
(しかも同時期に公開された作品に『トイストーリー3』という怪物がおり、お笑い芸人・オードリーを起用した宣伝も微妙にすべっていました
だから、その続編である本作もヒットが見込めない、期待できないという判断がなされたのでしょう。

『ヒックとドラゴン2』は『アナと雪の女王』や『ベイマックス』と同等の莫大な製作費がかけられており、その配給権を取得することが容易ではないことは想像がつきます。
配給権が高いのだから『アナ雪』や『ベイマックス』と同じくらいにヒットしてもらわなければ困る、そのためには宣伝費をかけなければならない、だけど前作がコケたこともあり、ヒットする保証がないから宣伝費をかけられない……という板挟みの状態だったのでしょう。

余計に残念な気分になったのは、20世紀フォックス(配給元)が、明らかに『ヒックとドラゴン2』がアカデミー賞を取らなかったことを待ってから、ブルーレイのリリースを決定していることです。



もし、今回長編アニメ賞の受賞が『ベイマックス』ではなく、『ヒックとドラゴン2』であったのなら……
全国で劇場上映がされるという未来もあったのかもしれません(「アカデミー賞受賞!」という、キャッチコピーが使えるので)。


<じゃあ、もう全国で劇場公開されないの?>

ドリームワークス制作のアニメは過去にも『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』『クルードさんちのはじめての冒険』という評価の高い作品がDVDスルーの憂き目にあっており、『ヒックとドラゴン2』もそうなる可能性は大です。

ただし、まだ希望はあります。
過去に20世紀フォックスはDVDスルーかと思われた傑作映画『クロニクル』を首都圏のみ限定で2週間公開した後に上映エリアを全国に拡大させたこともあるのです。

今後熱い呼びかけがあれば、期間限定での上映であれば……それも望めるのかもしれません。


<東京アニメアワードのチケットの倍率はすごいことになるのでは?>

東京アニメアワードにおいて、『ヒックとドラゴン2』は会期初日である3月19日(木)に、TOHOシネマズ 日本橋限定で無料の上映となるそうです。
上映日時やチケットの入手方法の詳細は後日のことですが、すごい倍率になるんじゃないか、これ

オープニング作品ということで1回限りの上映になるでしょうし、チケットの入手の開示と同時にものすごい数の人が詰めかけると思います(たとえ平日でも)。
「観たい人が観れない」状況はどう考えても歓迎できるものではありませんし、転売屋(ダフ屋)が横行しそうなのも懸念すべきことでしょう。
あと3Dでなく、2Dの上映なのもがっかりだよ……


結論:20世紀フォックスさん、いまからでも遅くないですからぜひ『ヒックとドラゴン2』を全国で上映してください。日本のファンは待っています!






4528円
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※夏まで待てない人は、日本語吹き替え音声と字幕も楽しめるこちら(海外版)で。

参考↓
「ヒックとドラゴン2」日本公開を求める署名運動にまさかの監督本人降臨 → 突然のサプライズにファン大歓喜! - ねとらぼ
【評価・感想】「ヒックとドラゴン2(仮題)」の日本公開は未定? 【私的映画批評】

57回も劇場で『ヒックとドラゴン』を観た人もいます(ネタバレ注意)
ヒックとドラゴン - みんなのシネマレビュー - あにやんさん

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2015-02-26 : いろいろコラム : コメント : 9 : トラックバック : 0
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最強すぎるふたり 映画『花とアリス殺人事件』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は花とアリス殺人事件です。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:岩井俊二監督は変態です(褒め言葉)


あらすじ


石ノ森学園中学校に転校してきた中学3年生のアリスこと有栖川徹子は、自分のクラスにいたという「ユダ」のうわさを耳にする。
そのうわさによると、ユダは誰かに殺されて、4人の妻がいたのだとか……
アリスはわけのわからないうわさの真相を確かめるために、家の隣の屋敷(通称:花屋敷)に住む、ひきこもりのハナに話を聞こうとする。




Love Letter』『リリイ・シュシュのすべて』の岩井俊二監督最新作にして、初の長編アニメ作品です。
本作は2004年に制作された『花とアリス』の前日譚になっています。

鈴木杏
3256円
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11年も経って、まさかアニメ作品が作られるとは……と驚きを隠せない岩井監督ファンは多かったようです(自分含む)。
アニメになってもキャストは当時そのまま。主演の蒼井優鈴木杏はもちろんのこと、平泉成木村多江が同じ役で声優を務めているというのも、ファンにはうれしいところです。

本作は実写の上から「なぞり描き」をしていくロトスコープという手法で作られており、岩井監督はこの前にも短編アニメ作品を3本手掛けています。



実写と組み合わさった画、その独特な動きには少し好ききらいが分かれるでしょう(『惡の華』はかなり賛否両論を呼びました)。

しかし、本作の水彩画のような背景の美しさは、誰にでも受け入れられるのではないでしょうか。
言の葉の庭』と同じ美術監督が参加していることもあり、息を飲むような画の美しさがありました。
公式サイトのギャラリーページで少しでもうっとりしたのであれば、すぐにでも劇場に行きましょう。


本作で語らなければならないのは、主人公ふたりのキャラクターの魅力です。
このふたりは「史上最強の転校生」「史上最強のひきこもり」という大仰にも思えるキャッチコピーがつけられていますが、映画を観終わってみるとそれはわりと正しかったことがわかります。
端的に言えば、このふたりはすごく気が強い女の子で、男子にもケンカであっさり勝てそうなのです。
蒼井優と鈴木杏の少し鼻にかかったような声が、この極端なキャラにぴったりとハマっていました。

それだけだと「こんな女子中学生はいないよ!」と思ってしまうところですが、そんな彼女たちがときどき中学生らしい態度や行動をとるのがまたなんとも愛おしいのです。
岩井監督は少女(女性)を主人公とした作品を多く手がけており、その少女趣味の描き方は魅力的を通りこして変態チックです(褒めています)
ちなみに、岩井監督は「男性キャラを描くと自分に近いものになって、どうしても変質者や殺人者になってしまう」と告白しています。変態だって自覚しているんですね。そんな岩井監督に一生ついていきます。

また、登場人物の多くが中学生ということもあり、基本的に中二病を患っているというのも素敵でした。
もはや現実ではありえなさそうな描写になっているので人によってはドン引きしてしまうでしょうが、アリス(主人公)がツッコミを入れてくれることもあり、自分は大笑いすることができました。


「殺人事件」というぎょっとするタイトルがつけられていますが、これも映画を観てみるとわりと正しいものでした。
本作はその事件にまつわるミステリー要素があり、「事件の真相は?」「誰が犯人なのか?」「本当に殺人事件が起きたのか?」という興味でどんどん引っ張ってくれます。

本作のミソは、殺人事件によって主人公ふたりが小さな冒険をする中で、美しい青春の1シーンを切り取っていることです。
どこかしらに、「ああ、自分も中学生のころにこういう体験をしたなあ」と(たとえ体験していなくても)ノスタルジーを感じることができる、岩井監督ならではの魅力が健在でした。

また、物語はなんとなーく進んでいくようようなゆるい雰囲気で展開しますが(そこも魅力)、じつは伏線が巧みに使われていたりします。
細かい描写(たとえば、アリスの苗字について)に注目してみると、より楽しみが多くなるでしょう。

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乙一によるノベライズ本

また、映画(映像作品)によくある「画面の動き」にも注目してほしいところ。
登場人物が右に向かったり、画面中央に集まったりするのにはちゃんとした意図があるのです。
これに関しては以下のページが詳しいので、ぜひ一度読んでみてほしいです。
<映画が抱えるお約束事 - (中二のための)映画の見方>
<キャラクターの移動する方向 - アニメ・声優 | 教えて!goo>


『花とアリス』を観ていなくても十分楽しめますが、観ていると作品のオマージュ(セルフパロディ)っぽいシーンに気づいてよりおもしろく観るとことができるでしょう。
『リリィ・シュシュ』や『ヴァンパイア』のような辛辣な内容ではなく、『Love Letter』や『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 』と似たやさしさに溢れる作品なので、岩井監督の作品の入門としても最適なのではないでしょうか。
日本映画ファンにも、アニメファンにも、女子中学生の生態を眺めたい全国のロリコンすべてにおすすめです。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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2015-02-22 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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これからのふたり 映画『味園ユニバース』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は味園ユニバース(英題:La La La at Rock Bottom)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:新たなクズ男スター(渋谷すばる)誕生


あらすじ


大阪のとある広場のライブ会場で、若い男(渋谷すばる)が舞台に乱入し和田アキ子の『古い日記を』を熱唱する。
バンド「赤犬」のマネージャーであり、音楽スタジオで働くカスミ(二階堂ふみ)は男に興味を持ち、「ポチ男」とあだ名を付け、住み込みで働いてもらおうとする。
やがてバンドのボーカルに迎えられたポチ男は、失った過去の記憶を徐々に取り戻していく。




天然コケッコー』『リンダリンダリンダ』の山下敦弘監督最新作です。

山下監督の持ち味と言えば、長い「間」を贅沢に使って登場人物の心情を描いていることと、(基本的には)ダメ人間を主役にしていることです。
くりぃむレモン』では義理の妹に欲情してしまう兄を、『苦役列車』では他を寄せ付けないクズ男を、『もらとりあむタマ子』では大学卒業後にニート化した女性を、本作『味園ユニバース』では記憶を無くしたヤンキー風の男を主人公に……という感じ。

吉田恵輔入江悠もそうなのですが、日本の映画監督にはダメ人間を愛する人たちがたくさんいて、ダメ人間を応援したいと思わせる作品を数多く手がけられています。
これは監督が苦労人だから、または苦労してきた人をたくさん見ているからでもあるんだろうなあ……自分はこういう作り手のやさしさが伝わってくる映画が大好きです。


さて、本作でまず触れておかなければならないのは、主役のふたり。
若干20歳で日本映画を代表する女優となった二階堂ふみと、アイドル・関ジャニ∞の渋谷すばるという組み合わせなのが、どちらもこれ以上のハマり役はないというくらいにハマっているのです。

二階堂ふみは「はい~おっさんたちさっさと行って~」とまわりの大人(ミュージシャン)たちの世話を焼いている男勝りな少女を好演しています。
渋谷すばるはアイドルオーラなんか完全に排除して、不愛想でとっつきにくそうで根はクズというキャラクターを熱演しています。歌唱力もさすがはアイドルと言えるもので、「歌」が重要なポジションとなっている作品に確かな説得力を与えていました。

個人的には豆腐屋の女主人を演じた松岡依都美さんの存在感、しれっと一人四役を演じている康すおんさんも見逃せません(気づけねえよ)。

おもしろいのが、その舞台設定です。
舞台は2014年なのですが、ちょっと汚らしい(超失礼)大阪の街の雰囲気が昭和っぽくて、なんともレトロな空気感が楽しめました。
何より、作中に登場するアーティスト……というよりも音楽が大好きなおっさんたちが楽しそうに集まっているゆるい雰囲気(しかも二階堂ふみに世話を焼かれる)には何とも言えない心地よさがあるのです。

そしてタイトルになっている味園ビル(ユニバースは宴会場)という場所がこれまた素敵すぎます。
参考→<「味園ビル」が怪しすぎるw - Naverまとめ>
正直すげえうさんくさい会場ですが、それも作品の味ですね。


そして、音楽の魅力についても触れないわけにはいけません。
本作で重要なファクターとなっているのが、和田アキ子の『古い日記』です。



渋谷すばるがこれを唐突に歌うシークエンスからがっつり心をつかまされてしまいました。
曲に勢いがあるおかげで、「なんかとんでもないやつが現れた」というシチュエーションに説得力がありまくりです。

興味深かったのは、渋谷すばる演じる主人公はクズで鬱々としている男なのに、劇中で歌う『ココロオドレバ』の歌詞と曲調がかなーりポジティブなこと。
歌詞はよく聞くことわざを皮肉って、すべてを自分のパワーに変えてしまうような内容です。
キャラクターとギャップのある曲を歌うというだけでもおもしろいですが、彼の「過去」を思うと少し感慨深いものがあるかもしれません。

もうひとつ知っておくといいのは、「赤犬」というバンドです。
赤犬
2571円
powered by yasuikamo

1993年に大阪芸術大学の学生中心に編成された14名編成のバンドで、本作にはそのメンバーの全員が出演していたります。
物語はフィクションですが、現実にある場所やバンドがそのままの姿で登場するということも楽しみのひとつです。


難点は、その物語の出来があまりいいようには思えなかったこと。
記憶喪失にかかわる都合のよさはまったく気にならなかった自分でも、終盤の展開には違和感ばかりがありました。
これが脚本のせいなのか、諸事情により一部のシーンをカットせざるを得なかったのかどちらなのかはわかりませんが、脚本担当がご都合主義満載の珍作『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』の菅野友恵さんのなので、おそらく前者なのではないかと……ちょっとこれは容認できません。

話に動きはあまりなく、なんとなく見ていると気づきにくい不親切な(読解力が求められる)シーンもありました。
「渋谷くん大好き!かっこういい!(はぁと)」な感じで女子中高生が観に来ると「なんかよくわかんなかった」で終わってしまうかもしれません。
まあそれよりも、関ジャニ∞ファンの女子中高生にとっては、渋谷すばるがクズ男になっているほうが面食らうかもしれませんけど(大人にとってはそこがおもしろいところだけど)。

あとクズクズ言いすぎましたが、作中ではそれほど渋谷すばるのクズの描写が多いわけではありません(ことばだけで説明されるシーンが大半)。
『苦役列車』の森山未來の完璧すぎるクズ演技や、最近の役がほぼすべてクズの藤原竜也に比べると、一歩及ばないですね。これからも渋谷すばるの役者としての活躍を期待したいです(できればクズ男役で)


観るときにぜひ注目してほしいのは、前述の山下監督の「贅沢な間の取りかた」と、「カメラまたは登場人物の動き」です。
カメラと登場人物が奥に動いたり、手前に動くシーンが多々あるのですが、手前を「未来」、奥を「過去」と考えてみると、けっこうおもしろかったりするのです。
山下監督がそれを意識したかどうかは定かではありませんが、撮影技術も含め、映像作品としては格段に優れている作品であることは間違いありません。

そして、映画を観終わった後には、エンディング曲である『記憶』の歌詞を反芻してみてほしいです。
『古い日記』や『ココロオドレバ』とは違い、この歌詞は作中の内容とシンクロしています。
主人公の心情を思うと、より感動は深くなるはずです。

山下監督のファン、役者のファンには大プッシュでおすすめです。
話のほうはほかの山下監督作品に比べるとちょっと弱いかもしれませんが、演出面や誰もが知る楽曲の数々だけでも楽しめるはず。
それを期待する人はぜひ劇場へ。『ベイマックス』を打ち破って興行収入1位の『テラスハウス・クロージングドア』なんてどうでもいいからこういう優れた日本映画を、多くの人に観てほしいです。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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2015-02-20 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
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大切な生きかた 映画『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス(英題:MOOMINS ON THE RIVIERA)です。

個人的お気に入り度:6/10

一言感想:ムーミン一家 IN 『グランド・セフト・オート』


あらすじ


ムーミンたちはあこがれのバカンス地・リヴィエラにやってくる。
ムーミンパパとフローレンスはホテルで贅沢三昧をするが、ムーミンとムーミンママはだんだんその暮らしに不満がつのってきて……




フィンランド生まれの漫画および小説『ムーミン』シリーズを原作とした作品です。
日本人にとってなじみ深いのは、1990年から放送されていた『楽しいムーミン一家』でしょう。

1927円
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今回の劇場版はフィンランド制作(フランスや中国とも合作)なので、日本のアニメ版と直接の関係はありません。
しかし、日本語吹き替え版は高山みなみかないみか大塚明夫など、『楽しいムーミン一家』に出演した声優たちが再集結しています。
声だけでなく、本作に登場するムーミン、フローレンミィなどのキャラクターの性格は日本のアニメ版そのまま。自分も子どものころに観ていたので、とても懐かしい気分で楽しむことができました。

ちなみに、ゲストキャラにはさまぁ~ずのふたりと木村カエラが配役されているのですが、文句なしのうまさ(というか気づかない)でした。

今回の劇場版はムーミンのキャラクターを借りているだけではなく、原作となるコミックも存在しています。

トーベ ヤンソン
1296円
powered by yasuikamo

劇場版の冒頭には、原作にはないムーミン谷の描写が追加されています(そこで登場する海賊たちは『ムーミン、海へいく 』などにもいたキャラクター)。
このエピソードがチョイスされたのは、「ムーミンたちが異文化と交流すると話であり、ムーミンを知らない人でも親しみやすいから」というのが理由のひとつのようです。

その内容なのですが……すごくシニカルで、ブラックな笑いがあったのに驚きました。
かいつまんで言えば、ムーミン一家が犯罪者集団になるというとんでもないストーリーになっているのです。
具体的な彼らの犯罪歴(笑)はネタバレになるので↓に書きますが、軽く引くくらいにえげつないこともしていて驚きました。
これはもはや、ムーミン一家が主役になった、ゲーム『グランド・セフト・オート』のようです。

※強盗や殺人を犯しまくる18禁ゲーム

いくら劇場版だからって、本作に『クレヨンしんちゃん』のような家族愛や感動を期待しないほうがいいでしょう。
こいつらあっちこっちに勝手に行動しまくっており、家族のくせに協調性がなさすぎです。
公式ページのキャラクター紹介もネガティブな面ばかりが紹介されている始末でした(ムーミンママはマシ)。

ちなみに邦題が「南の海で楽しいバカンス」となっていますが、実際はあんまりバカンスを満喫できていません
原題にあるRiviera(リヴィエラ)とは、フランスおよびイタリアにある実在のリゾート地のこと。
内容に合致した邦題をつけるのであれば「劇場版ムーミン リヴィエラでの生活はもうこりごり」くらいが正しいのではないでしょうか。

かわいいムーミンたちの冒険を期待して観に来たら、まさかのブラックコメディで子どもも大人も苦笑い。
そんな内容なのですが、これはこれで楽しいもの。
ブラックとはいえ子どもに観せたくないというほどでもありませんし、そんな作風を受け入られる大人にこそおすすめの映画と言えるかもしれません。

本作のテーマとなっているのは「生きかた」と「生きる場所」です。
ムーミンたちは田舎からバカンス地にやってくるのですが、いまひとつその環境になじめないでいます。
憧れである場所に行ったり、働いてはみたけど、イメージとは違っていてがっかり……そんな誰しもが体験したことのある「環境が自分に合っていない」というシチュエーションが盛りだくさんになっているのです。
このテーマも、大人こそが楽しめるものでしょう。

大笑いしたのが、『ムーミン』という作品に関連するメタ発言っぽいシーンがあったこと。
これはムーミンに思い入れがあるほどに驚けるのかもしれません。


問題は展開のダイミズムに乏しいこと。
大きな話の流れはそれほどなく、それぞれのキャラクターのドタバタ劇や小ネタまじりのエピソードが連続し、とっ散らかっている印象です。
ただただムーミン一家がバカンスに行って好き勝手に遊んでいるだけの内容(笑)ですので、退屈に感じてしまう方も少なからずいるでしょう。
原作にはない冒頭のシーンが、うまく本編の物語と絡んでいないのもやや残念です。

個人的にものすごく残念だったのが、イケメンのスナフキン(声:子安武人)の活躍が少ないこと。
原作にスナフキンは登場しなかったので、出演するだけまだましなのかもしれませんが……スナフキンファンとしては寂しく感じざるを得ません。
まあこの物語に冷静な判断力を持つスナフキンがいたら、なんでも問題を解決できてしまいそうなので、しょうがないとも思えるのですけどね。


「感動と涙のアニメーション!」みたいなのを期待すると裏切られることは間違いないですが、かわいいムーミンたちに癒されたい人、ちょっと毒っ気のあるアニメを期待する人にはおすすめします。
ちなみに2015年は原作者のトーベ・ヤンソンの出生100周年ということで、六本木ヒルズではムーミンに関連したフェアが開催。これから新潟、北九州、大阪ではトーベ・ヤンソン展が開かれます。
この機会に、『ムーミン』という作品の魅力を知ってみるのもいいと思いますよ(原作コミックとこの劇場版がブラックすぎてびっくりすると思うけど)。

※ムック本もリリース中

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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2015-02-15 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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価値観のすれ違い 映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はフィフティ・シェイズ・オブ・グレイです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:まっくろくろすけ出現(ボカシ的な意味で)


あらすじ


奥手な女子大生のアナ(ダコタ・ジョンソン)は学生新聞の取材のため、巨大企業の若きCEOのグレイ(ジェイミー・ドーナン)を訪ねる。
グレイはアナに興味を持ち、ある「契約」をしたいと彼女に告げるのだが……




内容うんぬんの前に、まずは日本版にある映像規制のヒドさについて触れておきたいです。
本作は過激なセックスがたっぷり登場するポルノ映画と言ってもよい作品なのですが、観客がもっとも期待しているであろうそのシーンにまっくろくろすけかと見間違うほどの巨大で真っ黒なボカシが登場するのです。

<呼んでないよ

中盤には、なんとこのまっくろくろすけが画面の半分以上を埋め尽くすシーンがありました。

いやこれは本当にない。『ドラゴン・タトゥーの女』のモザイクなんかかわいいものに思えてきました。
自分はこのボカシのせいで笑いをこらえるのに必死だったんですが、終盤のアレにはさすがに吹き出すしかありませんでした。

こんな規制のしかたになったのは、何とかR15+指定どまりにしてより多くの観客を呼び込もうとした判断によるものなのでしょうが、修正するにしてももっとやりようがあっただろうと思わずにはいられません。

また、ずっと黒いボカシばかりが出てくると思いきや、たまにふつうの透明のボカシになるシーンもあったりします。せめて統一しろ。手抜きしか見えないぞ(たぶん手抜きだろうな)。


えーと、言いたいこと言ってすっきりしたので本題。本作は全世界で1億部も売れたという同名の大ベストセラーを原作としています。

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内容は男性経験のない女性が、若くてイケメンの大金持ちにあんなこともこんなことも要求されちゃうという女子の妄想大全開な内容です。
もともと『トワイライト』の二次創作として書かれた内容だったそうですし、日本のくだらないほうの少女漫画(例:快感・フレーズ)のようでもあります。
女子の「イケメンにメチャクチャにされたい!」という夢に応えた作品に需要は確かにあるようなので、そこに突き詰めまくった内容にしたのは正解でしょう。

男子にとってはゲンナリしそうな物語ですが、男女を入れ替えてみると納得できるのではないでしょうか。
こんなふうに↓
・童貞の大学生が、若くて美人な女社長に気に入られる
・女社長は童貞を支配しようとする
・あんなプレイもこんなプレイも要求してくる
うん、けっこう観たいな。誰か本気でパロディAVを作ってくれることを期待しています。


自分が今回の映画版で気にいったのは、笑えるシーンがけっこう多いこと。
たとえば、イケメンはヒロインに興味津々のはずなのに、「僕に近づいちゃだめだ」などともほざいており、仲良くなりたいのか突っぱねたいのかどっちやねんとツッコミたくなるシーンがあるのですが、本作ではそのことを思い切り茶化してコメディーにしてしまっています。

序盤に、今後の展開に関わる伏線を張り巡らせていることも好きでした。
本作を観る人は、ヒロインがイケメンに(性的な意味で)支配される内容だと知っているので、「あ、これが後こうつながるんだな」といい意味で予測できるワクワク感(?)がありました。

主演ふたりの存在感についても語らずにはいられません。
ダコタ・ジョンソンは映画初主演ながら表情ひとつで微妙な心の変化を見事に表現していますし、ジェイミー・ドーナンジェイミー・ドーナンも完璧でありながらも威圧感のあるキャラクターにぴったりとハマっていました。

物語で描かれているのは、「愛すること」「セックス」「支配欲」の価値観に揺れる主人公ふたりの心変わりです。
ヒロインは純粋にイケメンに愛されることを望んでいる。
しかしイケメンは愛することができず、過激なセックスしか求めることができない……
過激な性描写が取りざたされがちな作品はありますが、物語の本質は「切ない心のすれ違い」にあるのかもしれません。


難点は、後半にヒロインとイケメンがくっついたり離れたり、うじうじ悩むシーンがとにかく続くため、わりと観ていて飽きてしまうこと。
心理描写がこと細かに描かれている小説ならよいのですが、映画としてそのまま描くとかなり単調な印象を持ってしまいました。

もうひとつは単なる好みの問題なのですが……自分はイケメン大富豪の苦悩に何の興味もないことに気づきました(身も蓋もない発言)。
男性経験のなかった純粋なヒロインは応援できるものの、自分勝手にヒロインを支配しようとするイケメンのことはどうしても好きになれない(嫌い)のは当然です。
イケメンの「なぜそのようなことをするのか?」「隠された過去とは?」ということに興味がなければ、本作はひどく退屈な内容に思えてしまうのかもしれません。


そんなわけで不満はそれなりにあるものの、主人公ふたりの葛藤や心理描写はちゃんとしているので人間ドラマとしてはまずまず楽しめる内容です。
本国では公開間もないにも関わらず、IMDbで3.8点Rotten Tomatoesで27%とかなりの低評価になっていますが、そこまで悪い作品とも思えませんでした。ボカシを除けば

一応内容はエロエロなのでデートにはあまりおすすめしませんが、イケメンにめちゃくちゃにされたい女性がひとりで観るのにはもってこいの内容です。
男子は、自分をイケメンに投影して、ウブな少女を支配していくストーリーと思えば楽しめるかもしれませんよ。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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2015-02-14 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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まさに10代のヒーロー 『ミュータント・タートルズ(2014)』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はミュータント・タートルズ(2014)(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:上映時間の短い『トランスフォーマー』


あらすじ


リポーターのエイプリル(ミーガン・フォックス)は、ある日、強盗集団・フット団に襲撃をした何者かの姿を目撃する。
その正体はミュータント・タートルズ。エイプリルは上司のヴァーン(ウィル・アーネット)を利用しつつ、彼らの正体を調べていくのだが……




信頼と実績のマイケル・ベイ制作にして、日本でも根強い人気を誇るアメリカン・コミック『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』の実写映画版です。
これまでにも1987年から放送されたテレビアニメ版、1990年公開の実写映画版(続編も2作品あり)、2007年公開(日本では劇場未公開)のフルCGアニメ版、さらには2012年から放送の新アニメ版などが制作されていました。



991円
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日本人になじみが深いのは、やはりアニメ版でしょう。
正義の味方なのに若干キモい(カメだし)外見、キモい外形に似あわない格好よさ、かなり茶目っ気がある性格のキャラなど、ほかのヒーローものにはない魅力に溢れた作品でした。

今回の2014年版はリブート作品となっており、これまでのミュータント・タートルズを知らなくてもまったく問題なく楽しめる内容となっています。
作品の舞台はスマートフォンがある現代に設定、そしてミュータントタートルズたちの(いままでとは違う)出生の秘密が公開され、そしてアクションも満載という盛だくさんな内容になっています。

アクションはとにかく物量で攻めるという感じで、終盤には軽く胃もたれしそうになるくらいの映像のジェットコースターになります。
とくに「雪崩」のアクションは、現実だったら20回くらい死んでいるよねとツッコミたくなるほどのメチャクチャ(褒め言葉)な展開が押し寄せます。さすがはマイケルさんだぜ。

それでいて上映時間が1時間41分と控えめなことも長所でしょう。
これでマイケル・ベイが監督だったら、中国の広告を入れまくって上映時間が2時間半を軽く超えますからね。
バカバカしいアクション満載×テンポのよい展開×サービス精神満載、というだけで大満足ができる内容になっていました。

また、ところどころで『バットマン』をはじめとしたアメコミ作品の小ネタやおちょくりが挟まれたりもします。
物語には『アメイジング・スパイダーマン』に似たところ(敵の目的や、下水道という舞台など)もありますし、いい意味でアメコミ娯楽作品らしい楽しい内容、悪い意味で目新しさはあまりない内容と言えるかもしれません。


さて、邦題は『ミュータント・タートルズ』であり、海外でも 『Ninja Turtles』や『TMNT』と省略されて呼ばれることの多いシリーズですが、原題は原作そのままの『Teenage Mutant Ninja Turtles』です。
「ティーンエイジャー(10代)で、ミュータント(突然変異種)で、忍者でしかもカメ」という盛りすぎな設定をタイトルに詰め込んでいるのですが、作中ではその設定すべてをちゃんと拾っているのがよかったです。

メインの4人はマジでティーエイジャー(15歳前後)で、その年相応の「未熟さ」を見せたりもします。
みんなの憧れのヒーローというわけではなく、タートルズたちは「年頃の無邪気でバカな少年たち」という印象なのです。
かつてのアニメで観たそのままのキャラクターたちそのままの性格(若干誇張もあり)が大活躍してくれるだけで、何ともうれしくなってしまうのでした。

以下にキャラクターを紹介してみます。

レオナルド
レオナルド
タートルズたちのリーダー格。
マスクの色:青
愛称:レオ
武器:二刀流での刀
性格:正義感が強く、仲間想い

ドナテロ
ドナテロ
マスクの色:紫
愛称:ドナ
武器:棒術
性格:ITオタクだけど、いざというときは目立ちがり

ミケランジェロ
マイキー
マスクの色:黄
愛称:マイキー
武器:ヌンチャク
性格お調子者のムードメイカー

ラファエロ
ラファエロ
マスクの色:赤
愛称:ラファ
武器:釵(サイ)
性格:短気で怒りっぽい

タートルズたちの見た目の違いは、マスクの色以外ではほとんどありません。
しかし、キャラが濃すぎるためにすぐに4人のことを覚えることができるでしょう。
やっぱりミュータント・タートルズはキャラの親しみやすさ、おもしろさがあっての作品であると再認識しました。


ちょっと残念だったのが、キャラの性格面はしっかり描かれていたものの、持っている武器の個性が生かされたバトルが少なかったこと。
あるのはマイケル印のド派手・無茶苦茶・後先考えないアホアホアクションばかりで、せっかくの二刀流や釵(サイ)を強調したバトルが少なく感じました。

また、観る前からわかっていたことではありますが、完全にストーリーは二の次な印象です(それでいいけど)。
リポーターのエイプリルの葛藤はあまりメインの物語とうまく絡んではいませんし、そこかしらにご都合主義っぽさを感じます。
上映時間が短い分だけ、「はい次!」とポンポンと展開するため、スガスガしいまでに深みのない映画となっていました(それでいいけど)。


そんなわけでかつてのミュータント・タートルズが好きだった方、頭からっぽで楽しめる映画を求める方には大プッシュでおすすめします。
反面、マイケル・ベイ印のご都合主義満載のアクション映画が嫌いな方にはまったくおすすめしません(笑)。
まあ、『トランスフォーマー』シリーズよりも上映時間が短いですし、露骨なプロダクトプレイスメントも少な目(終盤に思い切りあったけど)なので、ストレスは少な目かと。

また、日本語吹き替え版の声優が豪華(あらすじで若干ネタバレ注意)なので吹き替え版を選ぶ方も多いのでしょうが、個人的には珍妙な日本語が楽しめる字幕版をおすすめします。
作中ではところどころ「ああ、向こうの方にはこれが格好いいことばに聞こえるんだろうなあ……(でも日本人にとっては間抜け)」と思える日本語がそのまんま登場していて、けっこう笑えます。

スタッフロールが始まってからは、それ以上のおまけはないので途中で帰っても大丈夫ですよ。
3Dの上映館は少な目ですが、それなりに3D映えしそうな画もあったので、お好みで選びましょう。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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2015-02-08 : 映画感想 : コメント : 12 : トラックバック : 0
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(いい意味で)お間抜けスパイ珍道中 映画『ジョーカーゲーム』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はジョーカー・ゲーム(2015)です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:ルパン三世じゃん、これ


あらすじ


亀梨和也がシリアスにスパイをやるかと思いきや、途中からルパン三世になる話。




「あんなにあいつのことが嫌いだったはずなのに、いつの間にか気になってしょうがない存在になっていた……」

ガッチャマン』と『MONSTERZ モンスターズ』で確かな信頼と実績を築き上げた渡辺雄介(脚本家)に、自分がこの『ジョーカーゲーム』を観終わったときに抱いた感情はそのようなものでした。
ひょっとすると、恋に落ちてしまったのかもしれません(ウソです)。

本作の原作は柳広司による同名の小説です。

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じつは、原作は5つのエピソードからなるオムニバス形式となっています。。
1本の長編映画にするにあたり、本作では各エピソードの登場人物を統合して嘉藤次郎というオリジナルキャラクターをつくり、視覚的におもしろいシーンのみをピックアップしているようでした。

これ自体は間違った選択ではないでしょう。
余計なシーンもあまりなく、上映時間は1時間48分とタイトに引き締まっています。
観客を飽きさせないように、原作にないアクションシーンもしっかり入れています。
アイドルの亀梨和也は、役者としてしっかりとした仕事していました。
本作の優れている点は、そうした観客を楽しませようとする気概に溢れていること、ちゃんと娯楽に徹するつくりになっていることにほかなりません。

そして脚本担当のワタベエ(愛称)もがんばったようで、「ここでこうして使うんだろうな」と予想できる死ぬほどわかりやすい伏線をここぞとばかりに入れまくっています。
それは「ねえねえ、俺すごいこと考えたんだけど、すごくない!すごくない!」というワタベエの子どものようなはしゃぎっぷりが垣間見えてなんともほっこりしました。

そうそう、『プロジェクトA』をしっかりとパクリ参考にしていることもよかったです。

ジャッキー・チェン
920円
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追っかけっこのアクションとクライマックスのシーンは明らかに意識していました。
海外も舞台としたスケールの大きい作品ですので、こうした過去の作品を参考にしたことも正解だと思います。


ここまで褒めましたが、問題も大いにある作品です。
そのひとつが、シリアスなスパイものっぽい雰囲気はせいぜいオープニングまでで、途中から『ルパン三世』になるというとんでもない内容になっていることです。

どこがルパン三世っぽいかを具体的に言うとネタバレになってしまうので↓に書きますが、これは多くの人が展開を予想できるのではないでしょうか。
これから観る人は「どこでルパンっぽいシーンが出てくるんだろうな~」とワクワクしながら観れば幸せになれると思います。

ちなみに小説版は「スパイの日常には冒険もロマンも存在しない」という独白が出てくるほどストイックかつ、いい意味で地味な内容になっています。
ところが映画版のスパイの日常はロマンに溢れまくっており、ありえねーほど大胆な行動をしまくる派手な内容となっています。

この転換は間違いなく賛否わかれるポイントでしょう。
言ってしまえば本作の主人公はスパイのくせに目立ちまくっているのですから。
リアルで真面目なスパイものを期待している人には、素直に回れ右をしましょう。

あとね、ワタベエの脚本をさっきは半ばバカにしながら褒めましたけど、終盤のご都合主義がいくらなんでもひどすぎます
これは個人的にはギャグとしてゲラゲラ笑えたんですが、多くの人にとっては「ねーよ!」と悪い意味でツッコミを入れざるを得ないでしょう。
ここでも「ねえねえ、俺すごいこと考えたんだけど、すごくない!すごくない!」というワタベエのはしゃぎっぷりが垣間見えましたが、さすがに誰か止めろよとも言いたくなります

ほかの難点は、音楽がわりと大仰なこと。
(いい意味で)小競り合いのアクションシーンで、大河ドラマ並に壮大なBGMが流れるのはなんともチグハグな印象になってしまいます。

序盤の主人公の周りのキャラクターが、「主人公が何かを言ったら失笑する」「みんなではやし立てる」という反応をしまくるのもやや不愉快に感じてしまいました(不愉快にさせることも目的ではあるのだと思うけど)。


でもまあ、この映画はこれでいいんじゃないでしょうか。
原作はフィクションながら当時の国際情勢を皮肉っている奥深い内容なのですが、こっちは明るいバカ映画になっているのですから(主人公の性格と過去は暗いけど)。

そもそも主演がアイドルの亀梨和也ですので、小難しい内容にするとそれ目当てで来ている女子中高生のニーズに合っていない内容になってしまうはず。
女子中高生が何にも考えずに「亀梨君がかっこうよかった!」「わかりやすかった!」「すごいドキドキした!」と言える点でこの映画は100点満点で90点くらいをつけられるのではないでしょうか。

ちなみに原作者の柳広司さんは「暗い映画にしないでください」とスタッフに頼んでいたそうです。
原作者の要望にしっかりと応えた内容になっているのですから、本作が原作とまったく違う雰囲気になっていることは、むやみに貶めなくてもよいと思います。


また、この映画の監督は、『SR サイタマノラッパー』などのインディペンデント映画で高い評価を得ている入江悠です。
日々ロック』に続き、好きだった監督がメジャーに進出するとそれだけでうれしいものでした。
反面、入江監督らしさはそれほど感じなかったので(作品の特性上しかたがないけど、監督らしい下ネタや辛辣さがほとんどない)、ファンとしてはちょっぴり寂しさも覚えます。
入江監督はスパイ作品も大好きだったそうなので、好きなジャンルの映画が撮れて幸せなのだとは思うのですけどね。

ルパン三世が好きな方、頭からっぽで楽しめる映画を観たい方、役者のファンの方は上記のお気に入り点数に+1点してもいいんじゃないでしょうか。
スパイとしてのリアリティや知略を求める方、作中で起こりまくる奇跡を許せない方はー5点でw

本作はG(全年齢)指定ですが、少しだけ性的な話題やシーンもあるのでお子様の鑑賞にはご注意を(それほど刺激は強くはありません)。
個人的にはちょうたのしかったので、おすすめします。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

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2015-02-06 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

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