ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

2015年5月の気になる映画一覧(マイナー推し)

5月病の季節が近づいてきましたね。働きたくないでござる。

そんなわけで5月の気になる映画一覧です。

※以下も参考にしましょう。
2015年5月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて
【厳選】忙しいひとのための2015年5月に観たい注目映画 | Tunagu.

続きを読む

スポンサーサイト

テーマ : 映画情報
ジャンル : 映画

2015-04-30 : 月ごとの気になる映画 : コメント : 3 : トラックバック : 0
Pagetop

さよなら、ヤムチャ 映画『ドラゴンボールZ 復活の「F」』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はドラゴンボールZ 復活の「F」です。


個人的お気に入り度:4/10

一言感想:フリーザ様の威厳がよくも悪くも台無し(だいたい悪い)


あらすじ


フリーザが復活するんだけど、作中で強さがインフレしまくっていたために誰がどう強いのかがよくわからなくなっている話。




『神と神』に続く、国民的に人気コンテンツ『ドラゴンボール』の劇場アニメ映画の最新作です。

野沢雅子
3836円
powered by yasuikamo

<『神と神』の感想はこちら>

本作の目玉はなんと言っても、超魅力的な悪役のフリーザ様が復活するということでしょう。


そのキャラの強烈さと絶望的なまでの強さはいまでもファンの語りぐさ。もっとも愛されている悪役のひとりと言っても過言ではないと思います。

で、本作はフリーザ様のその強さがよくも悪くも台無しになっています。

その理由のひとつが、強さがインフレしまくっているから
語るまでもないことですが、原作のドラゴンボールはドバイの通貨並みかそれ以上のインフレっぷりがすさまじいことになっており、強いヤツが出てくる→もっと強いヤツが出てくる→もっともっと(以下略)という内容です。

で、本作の孫悟空とベジータはあの魔人ブウを倒した後なので、その強さはすでに宇宙一レベルになっているんですよね。
そこに、けっこう前の敵であるフリーザがやってきたら?それはもうかつての威厳がなくなってしまうというものです。
一応フリーザ様はさらなる進化を遂げてはいるのですが、それでも作中には「フリーザじゃこの孫悟空には勝てないよ・・・」と思わせる演出が(意図的に)たっぷりあります。

これはよい悪いというよりも、作品の特性であるので批判するのもナンセンスなのですが・・・原作のフリーザ戦の素晴らしい点のひとつが「どれだけ強くなっても勝てない」という絶望感だったと思うので、ここが失われてしまったのはやはり残念でした。

もうひとつの理由は、緊張感がまるでないこと。
あのフリーザが地球に復讐にやってくるというヤバい状態なのに、ほのぼのとしまくっているんですよね。
作中ではその「緊張感のなさ」(バトルの横でスイーツを食べたりする)をあえてギャグにしているのですが・・・やはりフリーザとの戦いに求めているものとは違うよなあ・・・

これは鳥山明先生が脚本担当であったためでもあるんでしょうね。
全作『神と神』と同じく、今回のたわいのないギャグの多さは、バトルが主体の『Z』時代の作風ではなく、初期の冒険漫画だったころにそっくりです。
こうした作風こそが、鳥山先生が書きたかったものというのであれば、ファンは広い心で受け入れるべきなのかもしれません。

先日発表されたばかりの新テレビシリーズも、ちょっとほのぼのとした内容になるのかもしれません。『GT』は黒歴史になるんだろうなあ。


バトルにちょっと説得力がなかったことも残念。
終盤の逆転劇は「それはそうならないだろう!」ツッコミたくなりますし、前述の通り強さがインフレしまくっているせいもあり「何でもあり」な雰囲気になっています。
あるのは画の迫力だけで、駆け引きなどがあまり見られず、むしろ反則ばかりだったのはもの足りません。


よかったのは、原作ではピッコロ編以降ろくに闘わなかった亀仙人と、もうひとりのゲストキャラクターが大活躍してくれたことでしょうか。
一応ネタバレになるのでその作品の名前は言わないでおきますが、知らないでいると、いろいろと驚けるんですよね、これ。
できることなら映画の前にその作品を読んでいてほしいのですが、名前を言うとその作品のほうのネタバレにもなってしまうという・・・もどかしいですね。とりあえず鳥山明先生の1巻完結の漫画は全部読めばいいと思います(全部おもしろいから!)
そのキャラのバトルは、これまでのドラゴンボールではあまり見られない新鮮さがあったので大好きでした。

ていうか、ヤムチャの扱いが史上最悪にひどいのが泣けてくるんですけど


もうヤムチャはさんざん噛ませ犬としてイジられてきたんだから、活躍の機会を与えてやってもいいじゃないか! かわいそうすぎるよ! 声優の古谷徹さんは子どもに担当しているキャラを知られて「なんだ、ヤムチャか」と言われてがっかりしているのに! 

ほかに批判をされやすいのは、アイドル曲(ももいろクローバーZ)が主題歌に抜擢されていることでしょうか。


これはももいろクローバーZは悪くないと思いますし(決めたのは周りの大人)、野沢雅子さんが興奮気味に絶賛しまくっているのでむやみやたらにおとしめなくてもいいとは思いますが・・・影山ヒロノブのほうがよかったなあと思う人は少なくないでしょう。

あと、マキシマム・ザ・ホルモンの楽曲「F」が挿入歌になっているのは最高でしたね!

「F」は思い切り無許可で作られており、歌詞には「フリー○」と伏せ字が大量に登場するという危険な曲なのですが、鳥山明先生が大いに気に入り、今回の復活の「F」というタイトルの元ネタにもなったのです(声優の中尾隆聖さん曰く、「F」はファンのFでもあるらしい)
ちなみに、マキシマム・ザ・ホルモンは「いつ発売禁止になってもおかしくないこの曲が、こうして認められるなんて、こんなに素敵なことはない!」と答えています。

そういえば、映画『クラウン』は、勝手に予告を作った人のところに映画会社から連絡が来たので、「すみません!訴えないでください!」と頼んだんだけど、むしろ「いやいや、いっしょにこの映画マジで作ろうよ」っていうふうになったんですよね。
とってもいい話なので、こういうケースはもっと増えてほしいもんです。


いろいろ文句は言いましたが、相変わらずのキャラの活躍などはなかなか楽しめました。
原作漫画(またはアニメ)の展開はもちろんのこと、『神と神』を観たことを前提とした展開が多いので、なるべく観てから劇場へ行きましょう。

自分は2Dで観ましたが、3Dが生かされたシーンはほとんどなかったそうなので、今回は2Dでもいいかもしれません。
そこそこ以上にはおすすめです。エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-29 : 映画感想 : コメント : 12 : トラックバック : 0
Pagetop

過去があったから 映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はワイルド・スピード SKY MISSION(原題:Furious 7)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:シリーズを観続けていた人がうらやましい!


あらすじ


前作でオーウェン・ショウ一味を撃破したドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)や相棒のブライアン(ポール・ウォーカー)らとともに、平穏な毎日を過ごしていた。
しかし、オーウェンの兄であり特殊部隊出身の暗殺者・デッカード(ジェイソン・ステイサム)が復讐を仕掛けてくる。その魔の手はドミニクの仲間であるホブス捜査官(ドゥエイン・ジョンソン)のすぐそばにまで来ており……




カーアクション映画『ワイルド・スピード』シリーズ最新作です。
えーとこの映画に対して言いたいことは、

いままで『ワイルド・スピード』シリーズを観てきた人は絶対に劇場へ行け
いままでシリーズを観ていないとほざくやつは観てから劇場に行け

以上だ。
もうこれ以上何も言わなくていいや。
最高の映画が待っているんですから、言葉で語る必要もないです(いや本当に)。


自分は「いままでのシリーズをひとつ観ていなかったけど、車がギュンギュン動いて、あとはドンパチやっている頭の悪い映画だから別にここから観てもいいよねー」と思いつつ劇場へ向かった不届きものでした(ファンの方ごめんなさい)

めっちゃ後悔しましした。
なぜなら、こんなにおもしろいシリーズをいままで見逃していたことがただただ悔しかったことと、
本作がいままでシリーズを追い続けた人に捧げた内容になっていたからです。

その理由を以下に書きます。

(1)これまでの「過去」を振り返り、そして清算するという内容になっている。
本作にはいままでのシリーズのキャラが多数登場することはもちろん、過去のエピソードが重要になってくるシーンが多々あります。
これは「友だちに久しぶりに会った」という同窓会的なノリ(だと思う)ので、シリーズを追ってきた方にはそれだけでうれしいでしょうし、根底にあるテーマ「家族」と「過去」という密接に絡んでいます。
過去シリーズを観ていなくても簡単な説明が入るためにだいたいのキャラの関係性は理解できるのですが、観ておくとそのテーマについてさらに感慨深くなるはずです。

(2)「キャラ萌え」が半端ない作風
本作に登場する仲間(家族)は、リーダー、真面目キャラ、お調子者キャラなどと個性豊かです。
そのキャラの性格を知っていることを前提としたシーンがいくつもあります。
たとえば今回からの新キャラが、メンバーそれぞれの「第一印象」を答えていくシーンでは劇場で爆笑が起こっていました。
本作しか観ていなかった自分には、その笑いについていけないところがありました(悔しい)!

(3)シリーズで活躍をしてきたポール・ウォーカーを「追悼」する内容になっている
もう何よりこれ。
ポール・ウォーカーはシリーズを通してのレギュラーキャラのブライアンを演じていた(3作目だけ出演せず)のですが、2013年11月に皮肉にも車の事故で亡くなってしまいました(クランクアップ前に亡くなったため、一部のシーンはポールのふたりの弟が代役を務めていたそうです)
本作では、ポールの「お別れ」を示すようなシーンがいくつもあります。
シリーズを観ていない自分でも涙腺がゆるんできたのですから、シリーズを観てきた人にとってはもう号泣ものなのかもしれません。

そんなわけで、シリーズを観ていないとこの映画を60%くらいしか楽しめないとまで思えました。。
その60%しか楽しんでいない(シリーズを観ていなかった)自分でもお気に入り度が10点満点中8点なのですから、シリーズを観ていると10点満点で13点を超える満足度になるのではないでしょうか。だからとっとと観に行け(命令)。


さて、そのシリーズファンに向けた数々のシーン以外の印象は筋肉と車とバカ展開しかないって感じでした(そこが最高)
自分の失礼すぎる認識「車がギュンギュン動いて、あとはドンパチやっている頭の悪い映画」というのも8割ぐらいは当たっていました。

ていうかKI・N・NI・KUムキムキの超強い男たちが闘っている時点で最高なんだよ!
しかも今回は、ヴィン・ディーゼルドゥエイン・ジョンソン(ロック様)ジェイソン・ステイサムという人類最強レベルのステキハゲ×3が一同に会しているんだぜ?

2015042101_57_46-Furious 7 - Official Theatrical Trailer (HD) - YouTube<強い 2015042102_07_59-Furious 7 Movie CLIP - Hobbs and Shaw Fight (2015) - Dwayne Johnson, Jason Stath<強すぎる 2015042102_07_36-Furious 7 Movie CLIP - Street Fight (2015) - Vin Diesel, Jason Statham Movie HD <敵だけど超強いよ!

さらに、抜きんでた身軽さを持つトニー・ジャーも敵キャラで出てくるよ!

2015042102_01_52-Furious 7 - Featurette_ _Meet The New Cast_ (HD) - YouTube<飛んだり跳ねたりは超お得意

さらに、女子格闘家ロンダ・ラウジーも中ボス的キャラで出てくるよ!

2015042102_06_48-Furious 7 - Featurette_ _Meet The New Cast_ (HD) - YouTube<たたずまいから勝てる気がしない

この並の男なら軽~くひねりそうな美女が、ミシェル・ロドリゲス姉さんと闘うんだぜ! 最高じゃないか!

さらにさらに、ベテランのカート・ラッセルが司令官役として出てくるんですよ!

かーとらっせる

ええい、この映画はエクスペンダブルズか!どいつもこいつもそっちに出演してほしいなあ(ステイサムとロンダ・ラウジーはすでに出ているけど)。


あと展開はツッコミどころも満載なんですが、そのごり押し具合が丁寧すぎてすべてがどうでもよくなるのも素晴らしい
途中から「ツッコむのなんて野暮だなー、この映画はこれでいんだよゲヘゲヘ」と思ってきて、知能指数がどんどん下がってくるのを感じました。


余談ですが、本シリーズは原題も邦題も、タイトルのつけかたがおもしろいですね。

1作目 邦題:ワイルド・スピード              原題:The Fast and The Furious
2作目 邦題:ワイルド・スピードX2            原題:2 Fast 2 Furious
3作目 邦題:ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT   原題:The Fast and the Furious: Tokyo Drift
4作目 邦題:ワイルド・スピード MAX          原題:Fast & Furious
5作目 邦題:ワイルド・スピード MEGA MAX      原題:Fast Five
6作目 邦題:ワイルド・スピード EURO MISSION   原題:Fast & Furious 6
7作目 邦題:ワイルド・スピード SKY MISSION    原題:Furious 7 

原題の「早くて怒り狂っている」というのを、邦題では日本人にもわかりやすい2単語に変えてしまうという荒業。
原題はシリーズを追うごとに冠詞が取れたり、省略をしたりと、なんだかタイトルがシンプルになっていっていますね。
5作目は原題は頭の「F」を合わせて「Fast Five」と洒落れていますが、邦題の「MEGA MAX」がわりと苦しい感じになっているのが好きです。

ちなみに今回の邦題「SKY MISSION」は的外れではありません。マジで車が空を飛びますからね。どうかしているぜ!(ほめことば)


とにかく、これはおすすめです。
ハリウッド仕込みのアクションはアイディア満載、見どころ満載。「家族」「過去」をテーマとした熱い作風、そしてポール・ウォーカーの追悼……それらが混然一体となった素晴らしい娯楽映画です。
難しいことは一切考えず、ぜひシリーズを通して観ろ(命令)。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-21 : 映画感想 : コメント : 19 : トラックバック : 0
Pagetop

異文化交流しすぎ 映画『恋するヴァンパイア』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は恋する♡ヴァンパイアです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:みんなが幸せになれる素敵な映画です!(皮肉なしで)


あらすじ


桐谷美玲がヴァンパイアになってイケメンに好きだと言いたいのに言えない話。




自分は『貞子3D』や『MONSTERZ モンスターズ』などのツッコミどころ満載の珍作映画が大好きなので、『トワイライト』の逆バージョンのような設定(ヒロインのほうがヴァンパイア)、イケメンとイチャイチャできる胸キュンムービーと聞いて、本作を観ないわけにはいきませでんでした。

その期待は裏切られませんでした。
終盤では30秒に1回くらいツッコミどころが押し寄せる失笑ギャグ映画だったのですから。


本作の監督・脚本を務めたのは、中央戯劇学院(北京にある演劇学校)を卒業したばかりの鈴木舞さん。原作となる小説、コミック版も出版されています。
鈴木 舞
616円
powered by yasuikamo

杉 しっぽ
463円
powered by yasuikamo

鈴木さんはよほど中国(中華人民共和国と台湾)に思い入れがあるのか、作中の舞台は台湾と横浜、使われている言語は中国語と日本語というハイブリッド仕様となっています。

この点は、監督の「中国と日本がもっと仲良くなってほしい!」ということと、中国の有名な女優やアイドルに出演してほしいというのが理由だと思う(少なくとも自分にはそうとしか思えない)ので、そこまで悪い印象はありません。
ヴァンパイアと人間が共存を目指すという「異文化交流もの」という物語とシンクロしているように思えますし、これくらいだったら誰もイヤな思いをすることはないでしょう。

笑ってしまうのは、唐突に中国語を話すシーンがいくつもあるのだけど、伝わらないから中国語(漢字)が字幕っぽく表示されること
作り手は中国語にも興味を持ってほしいんだろうなあ……


内容は、昔出会っていた初恋の男の子と再会しちゃった!→でも自分はヴァンパイア、いっしょになるためには好きな人をヴァンパイアをしないといけない→好きなのに、好きって言えない……
という、ただただハッピーなだけではなく、切ない恋心を描いていることがミソ。『トワイライト』の逆設定がちゃんと生きています。

この設定を「主人公のおばさん夫婦」で説明していることがこれまた上手くできています。
荒唐無稽な設定に説得力を持たせるためにちゃんと工夫が凝らされているのは、賞賛すべきことでしょう。

まあ終盤にはいろいろ詰め込んで大風呂敷を広げまくったあげくに設定が破たんしてツッコミどころ満載になっているんですけど……なんだかそういう点を含めて愛おしい作品です。


脇役に柄本明田辺誠一大塚寧々というよく知られたベテランを配役していることもよかった!
映画初出演の戸塚祥太さんは多少棒読みチックだったし、アイドルのチェ・ジニョクブロークンジャパニーズで話していたりと、申し訳ないけど少々頼りないところがあったので、こうした実力のある方がしっかりと映画で存在感を見せてくれるのがうれしかったのです。


この映画が素敵なのは、誰も傷つかない、みんなが幸せになれる作品であるということです。

桐谷美玲ファン→かわいかった!
韓国のアイドルや戸塚祥太ファン→かわいかった&かっこうよかった!
メインターゲットの小中学生女子→もう胸キュン!素敵な恋物語!
珍作映画ファン(少数派)→すっげー笑った!大満足!

とくに小中学生女子には大プッシュでおすすめしたいところ。
やれどろどろしたいじめとかセックスとかの描写はほとんどないために安心して観れますし、作品の根底にあるテーマも教育上とてもよいものでした。

また、珍作ではあるんですが、そのあえて珍妙さを狙ってギャグシーンにしているところがあるので、笑っちゃいけないシーンで笑いをこらえないといけないという必要がないのがうれしかったですね。
珍作映画ファンとして、ストレスなく、大いに笑わせていただきました。

反面おすすめできないのは、真面目な恋愛もの、奥深さを期待している大人の女性でしょうか。
まあ予告の時点でそれを期待している人はほぼいないと思うので、この映画はそれでいいです。


そして……この映画はラストがわりと感動できるんですよ、本当に。
序盤から張っていた伏線がうまく機能していますし、作品が訴えているメッセージも素晴らしいものになっています。
これもうれしい不意打ちでした。

中盤までの展開は少々ヌルめで退屈さは否めませんでしたし、映画としての完成度は低いと言わざるを得ないのでお気に入り度は5点どまりにしておきましたが、個人的には大好きな映画です。

なぜなら、演出や脚本は拙いながらも「予算が少ない中でもいい映画にしたい!」という作り手の熱意は伝わってくるから。
胸キュン物語だけでなく、舞台となるパン屋の小道具なども、「女の子が好きなもの」へこだわりが見えます。
本当に応援したい作品です。おすすめします。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-19 : 映画感想 : コメント : 1 : トラックバック : 0
Pagetop

望んでいた奏者 映画『セッション』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はセッション(原題:Whiplash)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:ジャズやりたくねえ……


あらすじ


ニーマン(マイルズ・テラー)世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するが、彼を待ち受けていたのは鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。
フレッチャーはひたすら罵声を浴びせ、ときには暴力も振るい、ニールマンの「完璧な演奏」を引き出そうとする。




弱冠28歳(撮影時)の新鋭監督デミアン・チャゼルによる監督・脚本による、ジャズ・ミュージシャンをテーマとした作品です。

監督は以前にも『グランドピアノ ~狙われた黒鍵~』という作品で、脚本を手掛けていました。

イライジャ・ウッド
959円
powered by yasuikamo

この映画の内容は、完璧にピアノを演奏しなければ(物理的に)殺されるというたいへん愉快なもの。

本作『セッション』では超絶鬼教官と、その鬼教官から下手すれば殺されるんじゃないかと思えるほどのしごきを受け続ける青年の姿が描かれます。

音楽をやっていて命の危険があるってどういうことだよ……
監督は何か音楽に対して恨みでもあるんだろうか?と思っていたら、実際に高校時代に超厳しいジャズバンドに所属し、そのときの経験がこの『セッション』に生かされているのですね(そのときの指導教官が、作中の鬼教官のモデルになった)。人生何の経験が、どう役立つか、わからないものです。


本作には『サウンド・オブ・ミュージック』のようなハッピーな音楽映画ではなく、狂気に充ち溢れまくっている主役ふたりのドラマを堪能すべき内容です。

主人公はなぜ音楽に固執するのか?
鬼教官はなぜあそこまで完璧を求め、演奏者に罵声を浴びせるのか?
そこには単純でなさすぎる、人間としての「業」が垣間見えるのです。

その狂気を体現したような、激しいドラムが主体の音楽の数々は、ボキャブラリー不足の自分ではとても表現しきれないほど素晴らしいものでした。

Original Soundtrack
1547円
powered by yasuikamo

マイルズ・テラーJ・K・シモンズの演技もまさに圧巻。
どちらも感情移入を阻むような狂気をはらんでいながらも、ときには親しみやすい表情をも浮かべる……この感情表現のさじ加減も見事です。ていうかJ・K・シモンズは怖すぎて、とても『スパイダーマン』シリーズの器の小さい編集長と同じ人とは思えません。


ちなみに、本作はジャズ・ミュージシャンの菊地成孔さんが猛烈に酷評しており、その文がネット上で話題を呼んでいました↓
<「セッション!(正規完成稿) - naruyoshi kikuchi INTERNET TROISIEME>

こちらの町山智浩さんによる記事では、概要と解説、そして批判への真摯な意見がまとめられています(ネタバレが途中からありますが、警告文あり)↓
<菊地成孔先生の『セッション』批判について - 映画評論家町山智浩アメリカ日記>

菊地さんが書いているのは酷評ではありますが、ジャズを愛しているからでこその文であることが伝わってきます。
中でも「(黒人の音楽だった)ジャズを、白人が(スパルタ的に)教えるのはジャズ自体を衰退させるような行為」だという指摘にはうならされました。
また、「この程度の鬼バンマス(バンドマスター)は、実際の所、さほど珍しくない」と書いてある(しかも2回)ことも衝撃的でした。

余談ですが、菊地さんは映画批評本も出版されていたのですね。

菊地成孔
1944円
powered by yasuikamo

ジャン=リュック・ゴダールの作品を音楽と愛という視点から読み解き、あの超賛否両論作『大日本人』までも解説している本と聞いて俄然読みたくなってきました。

さらに余談ですが、ホラー映画『ブラック・スワン』について、バレリーナのタマラ・ロホさんがこれまた痛烈に批判していたこともありました↓
<タマラ・ロホの「ブラック・スワン」批判: la dolce vita>
『ブラック・スワン』も本作も、その仕事には絶対に就きたくなくなるという点でも共通していますね。


ジャズには門外漢の自分からすれば、本作の演奏は「とにかくすごい!」という感想しか出てきませんし、予告編でも観れる「テンポのずれ」なんてぜんぜんわかりません。
でも、そうした目線で映画を観るということで、「素人目では十分すごい演奏を、さらに完璧にまで仕上げる」ということの狂気が伝わってくるのではないでしょうか。

むしろ、音楽(ジャズ)への愛がある方ほど、主人公ふたりの屈折した心情、行き過ぎたレッスンに嫌悪感を覚えるのかもしれません
菊地さんが批判をしていることも、そういう内容だしなあ……

自分は、ジャズに興味のない、ジャズをまったく知らない人にこそ観てほしいと思いました。
「ジャズってもっと楽しくて、ゆるいもんなんじゃないの?」と思っている人(自分含む)にとってはいい刺激剤になり、ジャズに興味を持つきっかけになるのではないでしょうか。レッスンは受けたくないと思うだろうけど(鬼教官が怖すぎて)。

※実際にジャズを演奏されている民朗さんから素晴らしい意見をいただいたので、そのまま記載します。

私は個人的に趣味でですがジャズをビッグバンドでも演奏しているので、本作をとても期待しているのですが、
その反面でヒナタカさんも書かれている様に「ジャズって怖い、小難しい音楽だなー」と一般の人に思われるのがとても嫌でした
唯でさえ、ジャズというジャンルの音楽は普通の人にとっつき難いと思われている(と私は思っている)ので、それを更に助長されたら辛いなと思ったのです。
また、ジャズ好きには所謂選民思想を持った人が少なからずいてしまっているので……。

本作は菊池さんに反論している町山さんのレビュー(肯定している所は肯定している姿勢がとても素晴らしい)にある通り、監督の個人的な感情を描くために題材としてジャズを選んでいるだけだと思うので、この映画に描かれている音楽を一般的なジャズな世界だとは考えて欲しくないなぁと個人的には危惧しています。

勿論、プロは血反吐を吐こうが練習をするでしょうし、菊池さんが指摘している通り殴る蹴るで指導する鬼の様なバンマスはザラに居ます。私はそういう過程で生まれた音楽は積極的に肯定出来ませんけども。
けれども和気あいあいとセッション(少人数で集まって即興演奏する形式)する楽しさや、決まったメンバーで楽しく演奏するビッグバンドの良さも、ジャズにはあるということを知ってほしいなぁと思います。そういった意味では『スウィングガールズ』はとても良く出来た映画でした。
少なくとも、この映画を観てジャズって怖い音楽なんだって観客の方々が興味を無くされるとイチジャズ好きとして非常に複雑な気持ちになる気が致します。



本作は、「衝撃のラスト9分19秒!」というキャッチコピーがつけられていますが、それは伊達ではありません。
シーンそのものを切り取っただけでも超絶技巧の演出がなされていることがわかるのですが、これまでに積み上げられらた伏線がすべてここに集約されたようなラストなのです。
数々のドラマをおもしろく仕上げながら、ここまでラストへのカタルシスを得ることができる構成……これは賞賛するしかありません。
有村昆のコケそうな映画のサイン(キャッチコピー)はやっぱり当たっていないんじゃないかないかなあ


アカデミー賞3冠、本国でとびきりの高評価ということで期待する人も多いでしょうが、決して万人向けではないと思います

その理由のひとつが、主人公ふたりがイヤなやつすぎること。
こいつらは音楽キ○ガイと言っても過言ではなく、世間一般の人たちとは異なる価値観を持っています(そこがおもしろいところなのだけど)。
ドラムばかりの音楽も含めて、意外と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と似ている作品と言えるかもしれません。

少なくとも、『ブラックスワン』をバレエを習っている子どもに見せたくないことと同じく、ジャズを志す少年少女たちにはあんまり見せたくない感じです(笑)。
まあ音楽界の厳しさを知る、夢を追う覚悟を決めるには、絶好の教材なのかもしれませんけどね。

※ハッピーなジャズ映画には『グレン・ミラー物語』があると、コメントで教えていただきました。

ジェームス・スチュアート
575円
powered by yasuikamo

自分は未見でしたが、子どもやジャズを知らない方には、こういうハッピーな作品のほうを観てほしいなあ……

※さらに『ラウンド・ミッドナイト』もいいよ!と意見をいただきました。

デクスター・ゴードン
991円
powered by yasuikamo

ジャズ界の巨人のひとり、デクスター・ゴードンテナー・サクソフォーン担当)が主演を務め、アカデミー賞主演男優賞候補にまでなった作品だそうです。

※さらにさらに、アニメ『坂道のアポロン』もいいよ!と意見をいただきました。

木村良平
1902円
powered by yasuikamo

<坂道のアポロン-Youtube>
<原作漫画の立ち読みはこちら>
自分は原作漫画を少し読んでいたのですが、すっきりした画、登場人物の心理描写、1960年代というレトロな時代背景など、素敵な要素が満載の作品でした。


作中には以下の実在の人物・用語が出てくるので、観る前に予習してみるのがいいかもしれません。

<ジャズ・ミュージシャン>
バディ・リッチ
チャーリー・パーカー
ジョー・ジョーンズ
<ジャズ用語>
ルーディメンタルドラミング
オカズ(フィルイン)
<そのほか>
ジェイ・レノ
ビリー・ゼイン

本作の前に(後でも)観ておくといいのが、チャーリー・パーカーの生涯を描いた映画『バード』です。

フォレスト・ウィテカー
991円
powered by yasuikamo

『セッション』には、チャーリー・パーカーにまつわる有名なエピソードが出てくるので、観ておくと作品をより深く知ることができるでしょう。
そのエピソードについてはこちらで↓
<Bird Lives: 青年時代 その2>


とにかく、これはおすすめです。
これだけの人間ドラマを描きながら、上映時間は1時間47分とコンパクトなのも長所。
これほどの「演奏」は、劇場と言う場所でこそ堪能する価値があります。
映画ファンはもちろん、すさまじい人間の生きざまを観たい方は、ぜひ。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-18 : 映画感想 : コメント : 16 : トラックバック : 0
Pagetop

愛されている? 映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

日の映画感想はバードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(原題:Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance)です。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:「自覚がない」ことは悲しいな……


あらすじ


スーパーヒーロー“バードマン”の役でスターになったリーガン(マイケル・キートン)は、20年たったいまはすっかり落ち目になっていた。
彼は再起をかけ、レイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」をもとに、脚色・演出・主演でブロードウェイの舞台に立とうとする。
しかし、役者の一人が思わぬ事故で降板してしまう。代わりに人気俳優のマイク(エドワード・ノートン)がやってくるのだが……




バベル』『21グラム』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督最新作です。

まずはじめに言っておきたいのは、本作について
・『バードマン』というタイトルから痛快なアメコミヒーローもの!
・ブロードウェイの栄光と挫折!負け犬が奮闘を図る感動のドラマ!
……ということを期待すると死ぬほど裏切られます。

実際は落ち目の役者が演劇に挑戦しようとして、ぶつくさ文句を言いまくったあげく、妄想か現実かわからない世界に突入する、という内容です。

少なくとも、米倉涼子が宣伝で語っている「こんな興奮初めてです!ブロードウェイのあの臨場感、父と娘のドラマ、さすが、アカデミー作品賞!」な映画ではないですよ……(ウソはまったく言っていないのだけど)



これは編集で加工されたか、または言わされているだけで、米倉涼子自身は悪くないと思います
こちらの記事ではちゃんと作品の特徴を捉えたコメントをしています。

本作でがっかりしてしまう人が多いのは、アカデミー作品賞を取ったため、しかも大衆向けのような宣伝がされてしまったためでもあると思います。
実際の映画は、玄人(映画ファン)にはたまらないけれど、「『アナ雪』大好き!ああいう夢のあるお話がいいな!(はぁと)」と思っている女の子には向かない内容なのです。


さて、本作は数ある映画作品とは、あらゆる意味で一線を画している内容です。
「おもしろい」という言葉では表せないほどの、素晴らしい「映画体験」ができる作品でした。


まず誰もが賞賛するのは、全編がワンカットで撮られたような撮影と編集でしょう

ゼロ・グラビティ』では冒頭で13分の「長回し」のシーンがあり観客の度肝を抜きましたが、あれが2時間続く映画だと思ってください。
もちろん本当にワンカットで撮ったわけでなく、編集やライティングを工夫して「そう見える」ようにしているのですが、本編を観てもぜんぜん「切れ目」がわかりません。
撮影監督のエマニュエル・ルベツキはどれほどの苦労を重ねたのか・・・・・・想像できません。

<参考↓>
<これは即興のジャズ演奏だ─イニャリトゥ監督が『バードマン』をワンカットのように撮った理由 - webDICE>
<「バードマン」映画ファンの疑問(1)】奇跡の全編ワンカット撮影はどう実現したのか? - 映画.com>

このおかげで本作は、映画の中に入って、その中を「浮遊」しているような感覚になります。
映画作品ということを忘れ、自分の知らない世界(実際にブロードウェイミュージカルの本場セントジェームス劇場で撮られている)を探検しているかのような楽しさ……これは映画館でこそ堪能すべき作品でしょう。

おもしろいのは、この「全編長回し」であることが、主人公の葛藤とシンクロしているように感じられること。
監督はこのワンカット方式によって「主人公がたどる迷路を観客にも通ってほしい」と語っています。
この特徴は、決して奇をてらっただけではなく、作品のテーマと密接に関係しているのです。


物語で特徴的なのは、台詞や登場人物の行動に、暗喩(メタファー)がたっぷりと込められていること。
少し思い返すだけでも「あのときの○○はこういう意味だったのでは?」「このときに○○はこうだったけど、ラストで○○はああなっているよね?」と、いくらでも深読みができる、考えられる楽しみがあるのです。
(個人的に重要だと思ったのは、主人公の娘がはじめに持ってきた「花」でした)。

また、作中の劇(劇中劇)はレイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』が原作となっています。

レイモンド カーヴァー
1188円
powered by yasuikamo

その物語は、登場人物が愛の形についてを語り合うというもの。
これも、主人公の気持ちと絶妙にシンクロをしています。

しかも、ただただ単純なプロットかと思いきや、後半からは映画の世界全体をひっくり返してしまうような出来事が起こります。
これそこが本作のジャンルが「ブラックコメディ」である理由であり、わけがわからない映画になることに一役買っています。

映画の大半は「主人公がぶつくさ文句を言うだけ」の話なのに、映画の常識を破壊するような革新的な映像を持って、多くの「含み」を持たせてることに驚きを隠せませんでした。


音楽も素晴らしかった!

Original Soundtrack
1484円
powered by yasuikamo

本作のBGMのほとんどはアントニオ・サンチェス演奏のドラム音だけ。これが主人公の「心臓の鼓動」を表しているように思えるのも興味深いところです。


役者の演技についても触れないわけにはいけません。
本作は「現実」と「劇中劇」が交錯するために、「素の自分」と「演技中の自分」を使い分けているような役者たちの表情を観ることができます。
大ベテランのマイケル・キートンが主演男優賞にノミネートされたのも大納得でした。

さらに、マイケル・キートンはティム・バートン版『バットマン』2作でバットマンを演じていました。
彼はそれ以降バットマンを演じていないので、映画の主人公がかつて『バードマン』で脚光を浴びていたことと、これまたシンクロしているように思えるのです(ついでにアカデミー賞のスピーチの紙を隠す悲しい姿にもシンクロ)。

そういえば、もうひとりのキーパーソンを演じていたエドワード・ノートンも、『インクレディブル・ハルク』で一度ハルクに抜擢されながらも『アベンジャーズ』では降板になっていました。

さらにはエマ・ストーン『アメイジング・スパイダーマン』2作でスパイダーマンの恋人を演じていながら、あまりヒットしなかったためにシリーズが再びリブートされることになっています。

ある意味で、「ヒーロー映画で破れた役者」が一同に会している作品とも言えるでしょう。
あとはたまにでいいから、『バットマン フォーエヴァー』だけでバットマンを演じていたヴァル・キルマーのことを思い出してください……


本作は唯一無二の魅力にあふれているのですが、あえて似ている作品をあげるとすれば、『ブラック・スワン』、『喰女 -クイメ-』、『インランド・エンパイア』でしょうか。

    

どれも「演技」をするうちに、それが現実か虚構かがわからなくなっていくという内容です。
本作『バードマン』で「なんだよ!難解な映画だと聞いたのにわかりやすいじゃん!」とがっかりした奇特な方は、ぜひ『インランド~』を観ることをおすすめします。あれは理解不可能ですから。

※以下の意見をいただきました
私はこの作品を見終えて、真っ先にカサヴェテスの『オープニング・ナイト』を連想しました。前提の設定やテーマは違いますが、あれもブロードウェイでのオープニング興行を控えた主人公(ジーナ・ローランズ)が、とある事件をきっかけに、内在するもう一人の自分からの幻影につきまとわれる、という話でした。



そんなわけで、本作は極めて万人向けではない内容です。
その理由は「おっさんが文句言っているだけ」「わけがわからない」というものだけでなく、主人公に感情移入がしにくいことにもあります。

単純に、この主人公はイヤなやつすぎます
落ち目の役者でこれから演劇で再起を図ろうとして、周りもサポートしてくれているのに、ひたすら「うまくいかない」「もういやだ」と葛藤しています。
「これからチャンスを掴もうとしているんだろう?」「お前はなんでそんなに不満がっているんだ?」と少なからず思ってしまうのです。

これは映画を観終わってみるととても意味のある描写だとわかるのですが、観ている最中は、「ぜんぜん恵まれているじゃん!なんだこいつ!」と思わせてしまう……これは明らかな欠点だと思います。
主人公の行動は統合失調症を思わせるところもありますし、エドワード・ノートン演じる有名俳優はもっとイヤなやつなのでその憤りもわからなくはないのですが……。

※主人公を演じたマイケル・キートンは、インタビューでリーガンについて尋ねられた時、 「まったく共感を覚えなかった。彼が私と同じ職業に就いていて、同じようにスーパーヒーローを演じたことがあるという点を除いて、彼には親しみを感じない。彼の核心は矛盾だ。(パンフレットより抜粋)」 と答えていたそうです。

しかし、そうした鬱積したシーンが続くからこそ、ラストに至るカタルシスがあります。
主人公がぶつくさ文句を言っている中にも、終盤に向けての伏線がたくさん詰め込まれているので、ぜひ注意して聞いてみることをおすすめします。


余談ですが、本作や『ゼロ・グラビティ』以外で「長回し」を効果的に使った作品には、『トゥモロー・ワールド』『瞳の奥の秘密』『つぐない』『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』などがあります。

        

どれも映画ファンなら必見の優れた作品です。
※ヒッチコック監督の『ロープ』もすごいよ!という意見をいただきました。
その中でもとくにおすすめしたいのは超低予算の邦画で長回しを実現した『サイタマノラッパー』。
しかも編集による加工ではなく、本物の一発撮り。そのほかの演出、脚本も見事なものになっています。

最後にもうひとつ。
本作はエンドロールに入ってから終わりまで、じっくりと「聴いて」みることをおすすめします
結末はさまざまな解釈ができる奥深いものに仕上がっているのですが、そこに「答え」があるような気がするのです(ないのかもしれませんが)。

ぜひ、映画館でじっくり、画面の隅々まで堪能してください。おすすめします。

↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-11 : 映画感想 : コメント : 14 : トラックバック : 1
Pagetop

残虐+重圧なドラマ 映画『ザ・レイド GOKUDO』ネタバレなし感想+ラストの解釈

劇場で観ていたけど、レビューをし損ねていたザ・レイド GOKUDO(原題:THE RAID 2: BERANDAL)のソフト版が発売されたので、レビューします。

イコ・ウワイス
3756円
powered by yasuikamo

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:暴力って本当にイヤだなあ……(観るのは別にして)


あらすじ


ビルから生還した警官・ラマ(イコ・ウワイス)は囚人を装って刑務所に潜入し、マフィアのボスを父親に持つ男・ウチョ(アリフィン・プトラ)と出会う。
出所後、組織のメンバーとして迎えられラマは組織の情報を警察に知らせようとするのだが、ウチョは父親に対する反発と野心をつのらせて行き……




インドネシア映画『ザ・レイド』の続編です。

イコ・ウワイス
2300円
powered by yasuikamo

前作は「警官たちがビルで格闘しまくってみんな死にまくります。おしまい」で説明できるくらいにシンプルな内容(そこが最高)だったのですが、今回はだいぶ様相が変わっています。
単純にアクションが連続するだけでなく、ドラマ部分が大幅に増量し、真面目なマフィアものへと変貌を遂げているのです。

描かれているのは、マフィアの親子の確執、父に愛されたい子の悲哀であったりします。
ギャレス・エヴァンス監督は同じことを2回やることを好まないそうですし、今回のもともとの脚本は続編ではなくオリジナル作品として使う予定だったそうなので、この作風の変更は必然と言えるものだったのではないでしょうか。

作風が変わったとはいえ、変わらない魅力もあります。
東南アジアで伝統的に行われている武術・シラットによるアクションは、ほかにはない迫力とおもしろさがありました(しかもさらにバリエーションもより豊かに)。カランビットナイフを使った闘いは最高に燃えます。

加えて、本作では敵キャラクターの個性も強まっています。
マンガでしかありえないような、「ベースボール・バットマン」と「ハンマーガール」というすっげえ強い殺し屋が登場するのです(しかもこのふたりは兄妹という設定)

バットマン<バットとボールで戦います。

はんまーもっています<二刀流……ならぬ二鎚流で戦います。

ついでに、素性不明の浮浪者までもが闘いに参加します。

浮浪者<こう見えてとっても強いよ!

こいつらが血みどろの凄惨なバトルをくり広げるんですよ。はい、観たくなりましたね(洗脳)。

しかも、今回は格闘術だけでなくカーチェイスもあります。
もちろんその内容は『ワイルド・スピード』のような健全(?)なものではなく、痛そうなシーン満載、残虐なのでした。

2015032817_26_26-映画『ザ・レイド GOKUDO』予告編 - YouTube<地面に頭をつけられそうに……

本作は前作のラストから直接つながりがあるので、なるべくなら前作を観てから間をおかずに鑑賞したほうがいいかもしれません(こんな作品、続けて観たら疲労度が半端ないことになりそうですが)

ちなみに自分が劇場で観たのは、残虐シーンの一部がカットされているR15+指定版でした。
調べてみると、わりと重要なシーンがカットされていたので残念だったなあ……
ソフト版は「アンレイテッド」ということで、カットのなしのR18+指定版。こっちをいまから観れる人がうらやましいです。


さて、本作の欠点は……少しネタバレかもしれませんが、もう言ってしまいます。
それはヤクザに扮している遠藤憲一松田龍平北村一輝の活躍が少ないこと。
どなたもいい役者さんであるし、「マフィアVSジャパニーズ・ヤクザ」という要素を期待していた身としては残念としか言いようがありません。続編に期待します。

また、今回のメインキャラクターである「ウチョ」(アリフィン・プトラ)がわりと北村一輝にそっくりで、一瞬混乱してしまいました。

2015032817_28_04-映画『ザ・レイド GOKUDO』予告編 - YouTube    2015032817_38_32-The Raid 2_ Berandal - Red Band Trailer (2015) [HD] - YouTube<違う人ですよ。

ついでに言うと、役名も「ウチョ」と「ウジョ」という紛らわしいのがあったり……まあ気になるほどではないんですが。
あと外国の役者さんがたまに日本語を話すのですが、イントネーションと発音がブロークンすぎてすげえ聞き取りにくいです。日本語字幕がほしいくらいでした。

そんなわけで不満点もそれなりですが、2時間半近くの上映時間でありながらまったく飽きることのない勢い、重圧さは一見(もちろん二見でも三見でも)の価値があります。
個人的にはザ・シンプルな前作のほうが作品としては好みだったりしますが、残虐アクションが観たい人にとっては大満足できるのではないでしょうか。オススメですよ(でも子どもは観るんじゃない)。

以下、短いですがラスト手前の展開のみがネタバレ 未見の方はお控えください↓

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-10 : 旧作映画紹介 : コメント : 2 : トラックバック : 0
Pagetop

【月曜から夜ふかし】有村昆のコケそうな映画のサイン(キャッチコピー)ランキングが本当だったのか検証してみた

4月6日放送の『月曜から夜ふかし』で、映画コメンテーターの有村昆さんがコケそうな映画のサイン(キャッチコピー)ランキングを発表していました。

それは以下のようなものです。



・映画はキャッチコピーでコケそうなサインをけっこう出している。
・ヒットした映画の場合は堂々と数字を出すのが当たり前。逆に数字を出してこない映画は怪しい。

<コケそうな映画のサイン第3位>
全米震撼!
・全米が震撼とか、全米が泣いたとか、それは受け手の心情である。こっちが決めることであるのに、それを前面に押し出す、心情に訴えかけるようなものはちょっと危ないサインかも

<コケそうな映画のサイン第2位>
あなたは驚愕の真実を目撃する!
・真実を目撃するとか、伝説を目撃せよとか、そういうのはコケる

<コケそうな映画のサイン第1位>
衝撃のラストを見逃すな
・~を超えるラストなどは、作品だけで勝負できないから、何かで興味を惹きつけようとしている。これがもっとも危ないパターンである。




ああ、確かによく見ますよね。
で、実際にこういうキャッチコピーを使っていた映画がコケていた(興行的に失敗した)のか、具体的な例を挙げてみます。
……のですが、あまりに定番すぎるためかググってもそういうキャッチコピーの例がほとんど出てこなかったので、ひとつの順位に1~3個挙げるくらいで勘弁してください。

また、番組ではこの話題は「イマイチな映画を見分けるサイン」というふうに、映画がおもしろいかどうかを見分けるキャッチコピーとしても紹介されていたので、みんなのシネマレビューの平均点も載せてみます。

続きを読む

テーマ : 映画情報
ジャンル : 映画

2015-04-08 : いろいろコラム : コメント : 5 : トラックバック : 0
Pagetop

2015年4月の気になる映画一覧(マイナー推し)

2015年4月の気になる映画一覧です。
もちろんメジャー映画を避けて行くスタイルで……なのですが、マイナーとメジャーの境界があいまい(そもそも分ける必要もないですが)というのをひしひしと感じます。

以下も参考にしましょう。
【厳選】忙しいひとのための2015年4月に観たい注目映画 | Tunagu.
2015年4月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて

続きを読む

テーマ : 映画情報
ジャンル : 映画

2015-04-05 : 月ごとの気になる映画 : コメント : 2 : トラックバック : 0
Pagetop

ウソから出た誠 映画『エイプリルフールズ』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はエイプリルフールズです。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:テレビ的演出がなければよかったのに・・・


あらすじ


清掃員のあゆみ(戸田恵梨香)は、外科医の亘(松坂桃李)に対して、「あなたの子どもを妊娠しています」と打ち明ける。
しかし、亘はエイプリルフールだからとあゆみの言葉に耳を貸さなかった。
あゆみは、亘がいるイタリアンレストランに向かい、どこから手に入れたのかもわからない本物の銃をつきつけるのだった。




※映画の疑問点について素晴らしいコメントをいただいたので、追記しています(4/7)

映画『キサラギ』、ドラマ『リーガル・ハイ』の古沢良太が脚本を手掛けた作品です。

香川照之
3294円
powered by yasuikamo

『キサラギ』は脚本が優れた作品として映画ファンからも多大な注目を集めていました。
本作『エイプリルフーズ』においても、パズルピースがつぎつぎにハマっていくような快感を期待する人はきっと多いと思います。

しかも本作は総勢27人の豪華キャストが織りなす群像劇でもあります。
映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の痛快さや、ゲーム『街 ~運命の交差点~』の人間関係のおもしろさを期待する人も多いことでしょう。

個人的には、『キサラギ』のような伏線の巧みさ、群像劇ならではのおもしろさを期待しても、裏切られることはまったくありませんでした。
登場人物が何気なく発したことばのほぼすべては伏線として回収しているのですから、映画の伏線が三度の飯より好きだという方にとっては満足できるのではないでしょうか。


本作の問題は別のところにあります。それは、あまりに「テレビらしい」演出が多すぎることです。
具体的な以下のようなものです。

(1)盛り上がるシーンで泣かせようとする音楽がかかり、そのせいでテンポが悪くなる
(2)役者がみんなオーバーアクト
(3)登場人物が自分の想いをベラベラしゃべる

(1)は本当に致命的で、クライマックスに向かうにつれてとにかく泣かせようとするわざとらしい演出とピアノの音楽が多くなり、作品の勢いを殺してしまっています。
そもそも、本作の話は「登場人物がウソをつきまくる」というものなので、登場人物が感動的なことを言ったところで「それもウソなんでしょ?」という疑心暗鬼な気持ちになってしまいます。
物語の趣旨と、この「泣かせようとする」演出は食い合わせがあまりにも悪いのではないでしょうか。

(2)は確実に多くの人が拒否反応を覚えることです。
とくに滝藤賢一演じるタクシー運転手の大げさな演技は、その慇懃無礼なキャラと相まってかなり不愉快に感じてしまいました。
これはテレビ的と言うよりも演劇っぽいものと言えるかも……古沢さん脚本の『キサラギ』は実際に舞台化もしましたし、もともと映画ではなく舞台向きと言える演出だったのかもしれません。

(3)自分はあまり語らずに映像や役者の演技で語るタイプの作品のほうが好きです。
本作で「ベラベラ自分の想いをしゃべる」というのは、登場人物がほかのキャラクターに伝えたいことそのものなので、あまり展開上は違和感がないのですけどね。

あとは……個人的な好き嫌いの話になり恐縮なのですが、石川淳一監督によるギャグが好きになれません。
たとえばりりィ演じる占い師が手に眼を描いていたり(『パンズラビリンス』のペイルマン?)菜々緒が「うっそぴょーん」とポーズを決めながらほざくのは監督のアイデア。こういうのをスクリーンで観るのが単純にキツい……

うっそぴょーん<正直キツイ

この印象は何かに似ているなあ……と思っていたら、昨年のふざけたギャグがてんこ盛りで映画ファンから嫌われ気味だった『ジャッジ!』とそっくりでした。
伏線の張り巡らされかた、そのバカバカしさ具合は『謝罪の王様』にも似ているかも。
このふたつの作品が苦手なのであれば、本作は素直に回れ右をしたほうがいいのかもしれません。

「たら、れば」は禁句なのはわかっていますが、これがフジテレビ制作でなく、映画に精通している監督が撮ったら大傑作になっていたのかもなあ……と思ってしまいました。
この映画のおもしろさは、脚本の力がその多くを占めています。
演出が映画向けに洗練されていたら、もっと痛快な作品に仕上がったのではないでしょうか。


よいとも悪いとも言えないのが、いもけんぴが重要なアイテムとして登場することですね。

<おいしいよね。

まあこれはマクガフィンであり、取るに足らないものなので別にいいんですけどね。だけど観終わったあとは無性にいもけんぴが食べたくなることは間違いないです。
そういえば、イケメンが「いもけんぴ、髪についてたよ」という迷言を吐く少女漫画や、バナナが重要なアイテムとして登場するくだらねえ映画もありましたね。


また、本作にはヤクザが女子小学生にソープランドを紹介するというアグネス・チャンと田嶋陽子に8回くらいぶっ殺されそうなシーンがあるのですが、これがじつは「教育的」なシーンに思えるのが興味深いです。
ヤクザは小学生にソープランドの現場を見せることを通じて「お前はこんなところに来るな」って言っているように思えるんです。
嫌悪感を覚える人がいるのも致し方ないですが、その嫌悪感こそが重要なシーンだったと思うので、そこをむやみに貶めなくてもいいと思います。

まあ子どもも観そうなテレビ屋映画で、しかもG(全年齢)指定でこれをやったことにはかなり驚きましたが……
そのほかにも性的な話題、暴力的なシーンが少なからずやありますので、お子さんの鑑賞には気を付けたほうがいいでしょう。


そんなわけで本作の評価は賛否両論甚だしいのですが、個人的には擁護したい作品です。

その理由のひとつが、豪華キャストが普段のイメージとは違うキャラクターを好演していること(前述の通りオーバーアクトではあるのですが)
たとえば、戸田恵梨香コミュニケーション障害の特徴を捉えた演技をしています(専門家の監修つき)(いくらなんでも美人すぎるというツッコミは置いといて)。

そして誰もが驚くのは、松坂桃李がクズ男を熱演していること。

<イケメン   クズ男<クズ

そのクズっぷりたるや、藤原竜也の数々のクズ役と渡り合える、いやそれ以上のレベルでした。
イケメンが普段の自分を捨てて演技しているのを観ると、一気にその俳優が好きになりますね。
女性ファンは減るかもしれないけど、たぶん男性ファンは増えます。

そして、「ウソをつきまくる」という一歩間違えば悪意に満ちた物語になってしまいそうなところに、古沢さんならではのやさしいメッセージが込められていることが大好きでした。
ウソというのはふつうであれば非難されるようなことだけど、誰かのためについたウソが回りに回って人を幸せにすることもあるかもしれない……
作品が訴えていることは『ビッグ・フィッシュ』にも似ています。
エイプリルフールにかこつけて、レモンジーナが2日で年間目標本数に達したから販売中止したとかほざくサントリーとはまったく違うのです。

あえてベラベラと説明しないところに、いろいろな「含み」が隠されているように思えることも大好きでした。
それを象徴するのは大学生ふたりのエピソード。これに必然性がないと思った人も、彼らが「つまはじきにされていた」ことを考えれば、その裏の意味に気づけるのかもしれません。


役者のファンの方、『キサラギ』が好きだった方には存分におすすめします。
ただ岡田将生の出番はかなり少ないので、彼のファンは要注意。千葉真一の出演時間も1分程度でした。
『キサラギ』に比べれば登場人物が多いこともあり、散漫な印象は否めないのでイマイチに感じる人も多いかもしれませんね。
テレビ的な演出が嫌いでなければ、ぜひ劇場へ。

↓以下、結末も含めてネタバレです。観賞後にご覧ください。

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-04 : 映画感想 : コメント : 15 : トラックバック : 1
Pagetop

日本映画史に残る大傑作! 映画『シベリア超特急』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日(4月1日)は映画ファンとして観ておかなければならなかった、いままで観てこなかったことが申し訳ない大傑作映画を紹介しますよ!
そんなわけで『シベリア超特急』(製作:1996年)の感想です。

水野晴郎
4500円
powered by yasuikamo

個人的お気に入り度:10/10

一言感想:これは映画ではありませんでした


あらすじ


列車の中で殺人事件が起こる。
山下奉文陸軍大将(水野晴郎)はその事件のあらましを推理、いや断定し始めるのだった。




これはすごい、すごすぎる!
自分は本作を「殺人事件が起こるミステリーもの」「主人公が事件を解決する探偵もの」だと誤認していました。
しかし蓋を開けてみればビックリ。何が起きているのかさっぱり理解できない超難解な映画だったのです。

ふつうのミステリーであれば、むごたらしい死体や殺人シーンを見せるのですが、本作はよくわからない人物がいつの間にか死んでいたと説明されたり、主人公が死体を見てもいないのに殺人事件が起きたとのたまうのです。

死体を一切見せないという斬新な演出を用いた傑作には『模倣犯』もありましたが、その6年も前に、水野監督という天才が一歩、いや数千歩は先を行っていたことに驚かされました。

主人公のやっていることは、もはや推理ではありません。断定です。
いや断定ではなく、予知能力なのかもしれません。
主人公が何かことばを発すると、数秒後にはそのことばが100%的中する出来事が起こるのですから。
もしかするとボインゴのスタンド能力を持ってしまったのかもしれません。

この時点で自分は思いました。これは映画という次元を超えた何かだと。
殺人事件の内容そのものが理解できないミステリーなんて、いままでにあったのでしょうか。
ふつうのミステリーは「誰が犯人なのか?」ということで観客の興味を引かせるのですが、この『シベリア超特急』はまず何が起きているのかを脳みそをフル回転させて考えなければいけないのです。
マルホランド・ドライブ』あたりの「難解な映画」を観たことがある人は、ぜひ本作にもチャレンジをしてみるとよいでしょう。


本作の革新的なところはそれだけではありません。

挙げなければいけないのは、主人公を演じた水野晴郎の神がかった演技力でしょう
主人公はいかなる時も感情を表に出しません。
その滑舌はザボザボしており、ひとつの単語を把握するだけでも高度なヒアリング能力が問われます。

そして臨場感抜群のセットについても触れないわけにはいけません。
舞台は大陸を横断する鉄道なのですが、作中では一切車内が揺れることがないのです。
「映画の予算不足」や「演出力不足」などではない、水野監督ならではの素晴らしき妥協がここにもっとも表れていると言っていいでしょう。

そして物語は二転三転し、急転直下の結末を迎えます
その衝撃たるや、『ユージュアル・サスペクツ』や『シックス・センス』などのどんでん返しが束になっても適わないほどでした。
これからこの映画を観る方は、ぜひラストの展開を予想してみることをおすすめします。

また、伏線の使われかたもすごすぎる!
映画の冒頭のシーンが、このように回収されるなんて誰が予想できるのでしょうか?


そして、本作のテーマは映画史上もっとも明確に描かれていると言い切っていいでしょう。
作品の根底にあるものは「戦争批判」です。
ラストシーンには水野監督のメッセージがストレートに凝縮されており、そのことばを聞いたときに自分は涙を流してしまいました。
映画を観終わった後すべての人は、水野監督がどうしても伝えたかったことを、これ以上なく理解できるはずです。


映画ファンを自称するのであれば、一度は観てほしい作品です。
観終わった後は、きっと世の中すべてのものが美しく見えて、映画が相対的にもっとおもしろいものに思えてくるはずですから。

いやぁー、映画って本当(ほんっとう)におもしろいものですね!
故・水野晴郎の映画愛を、ぜひ受け止めてみてください。

以下、作中のネタバレです↓

続きを読む

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2015-04-01 : 旧作映画紹介 : コメント : 3 : トラックバック : 0
Pagetop




ホーム

最新の記事

最近のおすすめ映画

sully ポスター
イーストウッド、真骨頂
こえのかたちぽすたー
生きてくれて、ありがとう
怒り映画ポスター
信じていいのか

広告(同じウィンドウで開きます)


Twitter...

反響のあったorおすすめ記事

<初めて来られた方へ(ブログの説明)>
<著者プロフィール>
こちらでも記事を執筆中↓
<ヒナタカ | シネマズ by 松竹>

ご連絡の際は、以下のメールアドレスまでお願いします(☆を@に変えてください)
hinataku64_ibook☆icloud.com

2015年ベスト映画20
2015年ワースト映画10

2014年映画ベスト20
2014年映画ワースト10

2013年映画ベスト20
2013年映画ワースト10

2012年 映画ベスト20
2012年 映画ワースト10

2011年 映画ベスト20
2011年 映画ワースト10

映画パロディAVタイトルベスト10
映画邦題ベスト10&ワースト10
Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

03月 | 2015年04月 | 05月
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -


ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。