ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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映画『進撃の巨人 後編 エンド オブ ザ ワールド』は超展開こそが見所だ!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールドです。


個人的お気に入り度:5/10(4DXで観れば8点)

一言感想:映画を作るって大変だよね・・・


あらすじ


わりとネタバレになるので書けません。




超人気コミックの映画化作品、2部作品の後編です。
<前編のレビューはこちら>

こうした人気漫画の実写化作品には、どうしても「原作のイメージと違う」などの批判的な意見がつきものです。
しかし、この『進撃の巨人』の場合はその批判の度合いが尋常ではありません。

前編は、まだ「そんなに悪くないよ!」という意見も散見されていたのですが、後編はさらに評価が低くなり、絶賛をしている感想はネットのどこを探してもほとんど見当たらない勢いです。

これは原作の人気が並々ならぬものだったことと、前編よりもさらに原作とは別ものになっていること、映画自体の出来が良くないことが理由のようです。

なぜ映画自体の出来が悪いのか・・・以下にいろいろと書き出してみます。

(1)セリフが大仰
これが個人的にいちばん厳しかったです。
登場人物のセリフのほとんどはまるで舞台劇のように説明口調であり、血の通っていない「記号」のように感じられます。
前編でも気になっていましたが、後編ではさらに大盤振る舞いとなっています。

(2)主人公チームの演技がギャーギャーわめいてばっかり
これもキツい。前編の主人公のエレン(三浦春馬)は童貞臭のするさまざまな感情を見せる演技をしていましたが、今回はわめいてばかり、自分の主義主張を言いまくるだけです。
さらにジャン(三浦貴大)も厳しい。このキャラは延々と「エレンのことが気に入らない」ことを大声でずーっと言っているだけです。ほかの感情をほとんど見せません。

叫ぶシーンの<主人公はよく叫びます

(3)背景が描写不足
前編では群衆が巨人に捕食されまくる、阿鼻叫喚の残虐シーンが高く評価されていました。
しかし、この後編ではその踊り喰いのシーンがほぼ皆無です。
それだけならまだいいのですが、描写されるのは主人公チームばかりで、周りの環境(群衆)がどう変わったのかほとんどわからないのです。
前編での「失態」は「失敗すれば人類が終わる」ほどの深刻なものだったんですから、せめて「さらに状況が悪くなった場面」は描くべきでした。

(4)登場人物の行動理由が納得できない
どう論理的に考えても、キーパーソンである「シキシマ」の行動原理には無理が生じています。
この人物は「矛盾を抱えている男」と捉えるべきなのでしょうが・・・残念ながらメチャクチャな行動をしているイタい大人にしか見えませんでした。

(5)あっけにとられる超展開が盛りだくさん
あ、すみません、これは個人的に大好きな要素です
とくに途中で出てくる「ある部屋」の描写、終盤の展開にはいい意味で大笑いできました。ヒドい展開が大好きなク◯映画ファンの期待を裏切りません。

(6)話の展開がご都合主義
話のむりやりな流れに沿って登場人物が動かされているという感じで、どうにも不自然でした。


客観的に観れば、(1)大仰なセリフと(2)登場人物がわめいてばかり、という2大キツい要素は、気持ちベラベラ映画オブザイヤーだと思っていた『天空の蜂』よりヒドいレベルです。

それでも、『進撃の巨人』はファンタジー世界で起こる「特撮もの」な印象があったので、現代劇でありリアリティーが求められるはずの『天空の蜂』よりは、いかに登場人物ベラベラしゃべろうが、ある程度は違和感なく観ることができました(「戦隊もの」のヒーローが主義主張を語るのはカッコいいですもの)。
まあ、本作の叫びまくるセリフの数々はその「ある程度」を超えまくってヒドかったのですが・・・。


よかったところもたくさんあります。

まず、石原さとみは前編に引き続き凄まじいインパクトを届けてくれます。
もう現実はありえねーキャラを最大限に演じきっているんですよね。さすがはアニメ版でハンジを演じていた朴璐美さんに助言を受けただけのことはあります。

もうひとりの功績者は國村隼さんですね。
ステレオタイプで背景の感じられない登場人物の中でも、ひときわ目立つ「悪」を覗かせる演技が秀逸でした。

シキシマ役の長谷川博己さんは・・・まあすっげえ楽しそうに演じていらっしゃるのでそれでいいんじゃないでしょうか。
自分は観ていないのでなんとも言えませんが、長谷川さんは『MOZU』というドラマでも同じようなキレ気味のキャラを演じていたんですね。

この3者は中途半端にリアルにせずに、漫画に振り切った演技をされていました。
この映画はこれだけでけっこう楽しく観れます(いや本当に)


あまり話題には登りませんが、巨人の造形をされたVFXの担当者もこのうえのない素晴らしい仕事をされたと思います。
立体機動装置のアクションシーンに高低差や奥行きをあまり感じられなかった欠点があるためか、この点が評価されていない気がします。

巨人の造形<こういうシーンは本当に大好き


また、本作には「世界観の説明をするために登場人物がベラベラしゃべる」というシーンもあるのですが、個人的にこれには悪い印象はあまりありません。
ちゃんとセリフだけでなく映像でもその状況を見せようとしていますし、前編の伏線を回収しようという気概は十分に感じられます。


上映時間が90分未満(あらすじやエンドロールを除けば80分を切る)というランタイムも長所でしょう。
まあ、本作に限っては「1本で十分終われるのに前後篇に分けて稼ぐ手法だ!」とさらにバッシングを浴びる要素になっているようですが・・・


何よりも、原作ではどんどん膨らんでいっている世界の謎を、この映画版だけである程度決着をつけている点はとてもよかったです。
終盤には超展開が盛りだくさんとは言いましたが、ちゃんと映画としてカタルシスを感じられるように工夫もされています。
これで最後にメチャクチャやっていたら、本当にどうしようもないことになっていたでしょうね。


本作は初登場で興行成績1位とはなりましたが、それは初動3.3億円(前編の初動6億円に比べると約55%減)と決して芳しくない数字です。
(後編は土日の後にも休みが続くシルバーウィークに公開されたので、一概には比べられませんが)
(『るろうに剣心』などは後編でさらに数字を伸ばしています)
作品の評価は、決して映画の興行成績に比例しないとは思いますが・・・本作に限っては、その悪評が少なからずや客足に影響しています。

でも・・・個人的に、本作はより多くの人に観て欲しい作品であると思いました
いかに悪評だろうとも、さすがに『デビルマン』や『少林少女』よりはよっぽど映画としての体裁を保っています(比べるのも失礼)し、原作のことを考えなければ(←ここ重要)それほど怒り狂うような不愉快な内容でもないと思います。

むしろ、終盤はぜんっぜん展開が読めなかったので、「つぎに何が来るんだろう!?」と大いに楽しめたのです。
失敗作が三度のメシより好きなク◯映画ファンにとっては、ぜったいに映画館で観なければならない作品でしょう。


自分は本作で、映画作りの大変さをひしひしと感じました。
中島哲也監督が降板したり、監督だけでなく原作者ともゴタゴタして町山智浩さんの脚本を汲み取らない内容になったり、エキストラが酷い撮影現場を暴露したり(真偽は定かではない)、さまざまな炎上を経たり・・・現場ではさらなる「うまくいかなかった」ことばかりなのでしょう。
で、結局のところ演出と脚本がアレなおかげでこんな出来なのですから。

世にある映画作品が、いかに多数の人間の手で、いかに奇跡的なまでに完成されているのか・・・それをこれ以上なく教えてくれるのが、この映画版『進撃の巨人』なのかもしれません。


前編に引き続き、PG12指定では甘いと思わせる残虐描写があるのでお気をつけて。
ハードルを低ーくして、4DXで観るぶんには存分におすすめします。

<映画『進撃の巨人 後編 エンド オブ ザ ワールド』の4DX上映の演出が完璧だった件>

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2015-09-26 : 映画感想 : コメント : 13 : トラックバック : 0
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映画『進撃の巨人 後編 エンド オブ ザ ワールド』のエンドロール後のオチには町山智浩さんの本音が表れていた件(ネタバレ)

絶賛火だるま中の『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』。まさか前編を超えるバッシングが来るとはまったくもって予想どおりでしたね

本作の評価には「陳腐」「演技が大仰すぎて見るに堪えない」「ご都合主義」などのネガティブワードがゴージャスなまでに勢ぞろいしていますが、実際に映画を観てみるとそりゃしょうがないよねという気もしてきます。
冗談抜きに素晴らしい仕事しすぎの4DXで観たバイアスもあり、個人的には好きな映画なんだけど・・・)

さて、本作の賛否両論(だいたい否)の中でも、ひときわ輝いて「いらねえ」との評価を下されているブツがあります。
それは、エンドロール後のオチです。

※エンドロール後にブチ切れている人の例


本作には映画ファンから圧倒的な支持を集めていた(過去形)映画評論家の町山智浩さんが関わっているので、「こんな脚本を町山さんが書くはずがない!悪いのは樋口真嗣監督と共同脚本家の渡辺雄介だ!」と思う気持ちはとてもよくわかる(自分含む)のですが、どうやらエンドロール後のオチについては町山さんが発案の可能性が高そうです。

絶対とは言い切れないけど・・・「映画秘宝」の最新号(11月号)を読むと、そうとしか思えなかったのです。

1080円
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そんなわけで、以下にエンドロール後のオチをそのまま書いて、映画秘宝の内容を照らし合わせて分析してみます。
もちろん超絶ネタバレしていますので、鑑賞後にご覧ください。

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2015-09-24 : いろいろコラム : コメント : 11 : トラックバック : 0
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映画『進撃の巨人 後編 エンド オブ ザ ワールド』の4DX上映の演出が完璧だった件

現在、前編と合わせて映画史上に稀にみる炎上っぷりを見せている『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』(後編)。
炎上マーケティングはときには作品にプラスになりますが、本作はちょっとその度合いがキツすぎてネガティブ・キャンペーンの域に達しています。

だけど声を大に出して言いたい!これだけは断言して褒めたい!
本作の4DX上映の演出は文句なしに最高であったと。

th_4DX motion chairs※水しぶきもかかります

※4DXとは?(こちらのページを参照)
五感を刺激する体感型エンタテイメントシアター。スクリーン上のアクションと連動し、前後上下左右に動くモーションシートや、風や霧やフラッシュ、さらには水しぶきが飛んでくる、香りがするなどの環境効果がある。
これらの効果・演出により、4DXは映画の中の主人公が感じている感覚を体感させてくれる。


※4DXの紹介動画
劇場ではこの動画に合わせて座席が動いたり、水が噴射したりしています。


本作『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』の4DX上映で素晴らしいのは、ただ「場面と(座席が動くなどの)演出がマッチしている」ということだけではありません。
端的に言えば、演出の緩急のつけかたが完璧でした

その内容を以下に説明したいのですが……そうすると、どうしても最低限のネタバレが避けられないところがあります。
4DXは「予期せぬ演出」だからでこそさらに楽しめるものだと思うんです。

そのため、「『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』を最高の形で観たい」と思う方は、事前情報を知ることなく、以下の上映館より観に行くことをおすすめします。



『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』4DX上映中の映画館情報
★北海道
ユナイテッド・シネマ札幌
★東北
(宮城)
109シネマズ富谷
★関東
(東京)
ユナイテッド・シネマ豊州
シネマサンシャイン平和島
(千葉)
USシネマ木更津
USシネマ千葉ニュータウン
(神奈川)
小田原コロナワールド
(埼玉)
ユナイテッド・シネマ春日部
(群馬)
ユナイテッド・シネマ前橋
(静岡)
シネマサンシャイン沼津
★中部
(愛知)
中川コロナワールド
豊川コロナワールド
安城コロナワールド
(岐阜)
大垣コロナワールド
★関西
(兵庫)
アースシネマズ姫路
★中国・四国
(広島)
福山コロナワールド
(愛媛)
シネマサンシャインエミフルMASAKI
★九州
(福岡)
小倉コロナワールド

※TOHOシネマズで展開しているMX4Dとは異なりますのでご注意を。比較したわけではないのでハッキリしたことは言えませんが、演出は多少なりとも異なると思います。



なお、水しぶきが飛ぶということで「びちょ濡れになってしまうのでは」と心配する方もいるかもしれませんが、実際は「服の表面が湿る」くらいの水量なのでご安心を(作品によっては差があるかもしれません)。
また、4DXでは座席に水をストップさせるボタンもついています(MX4Dにはなかった気がする)。
それでいて水の噴出自体に勢いがあるので、刺激が足りないということもないでしょう。このさじ加減と配慮は見事だと思います。
ただし、この水量でも精密機器は十分壊れる可能性があるので、ちゃんとポケットに入れておくか、ロッカーに入れておきましょう。

もうひとつ注意をしておくと、『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』が3D上映ではないということですね(「4DX2D版」となっています)。4DXを選択しても3Dメガネを渡されません。
それでも、演出の迫力のおかげで、存分に楽しめるはずです。
※4DX2Dの鑑賞料金は通常料金+1000円、4DX3D版は+1400円です。

というわけで、以下4DXの演出の説明。重ねて注意をしますが、必要最低限のネタバレがあります(核心的なものはなし)。

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2015-09-21 : いろいろコラム : コメント : 5 : トラックバック : 0
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映画『キングスマン』はトリビアも最低(褒め言葉)だった

映画『キングスマン』は溢れんばかりの不謹慎っぷりが最高の作品でしたね。
今回は、そんな本作にある、最低(褒め言葉)な小ネタを紹介します。

あ、ちなみに以下は超下ネタなので苦手な方はご注意を。
また、かなりネタバレなので、映画を未見の方は読まないことをオススメします。

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2015-09-20 : いろいろコラム : コメント : 0 : トラックバック : 0
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アーケードゲームファン号泣映画『ピクセル』ネタバレなし感想

今日の映画感想はピクセル(原題:Pixels)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:昔のゲームっぽい(話のごり押しっぷりが)


あらすじ


1982年にアーケードゲームに情熱を燃やしていた少年たちは、いまではしょぼくれたおっさんになっていた……
そして、実体化した「ギャラガ」が地球を襲いにやってくる。宇宙人たちは、その昔に送られたゲームの映像を、宣戦布告だと勘違いしたのだ!
この事態に、クーパー大統領(ケヴィン・ジェームズ)は、親友であり「ギャラガ」の世界チャンピオンであるサム・ブレナー(アダム・サンドラー)を呼び寄せるのだが……




ホーム・アローン』『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリス・コロンバス監督最新作です。
本作は、YouTubeで観ることができる、2分ちょっとの短編映画『Pixels: Retro Gamers』が原作となっています。



クルマなどがどんどんピクセル化していき、街にテトリスが降り注ぐ……このハジケている発想を大金を使って映画化するハリウッドの可能性は無限大だと思いました。

今回の映画版では長編化にあたり、さまざなま要素が盛り込まれています。
そのひとつが、(その昔にゲームでは最強だったけど)超負け犬になっている主人公たちを描いていることです。

【主要メンバーのダメなプロフィールベスト5】
(1位)子どものころはコミュニケーション障害でおばあちゃんしか友だちがおらず、大人になってもゲームのヒロインと結婚したいと願うイタい童貞
(2位)子どものころは「ドンキーコング」の世界チャンプだったけど、大人になったいまは……(ネタバレになるので秘密)
(3位)子どものころは「ギャラガ」の世界チャンプだったけど、いまでは彼女もいない冴えない電化製品の整備士(主人公)
(4位)アホな行動ばかりしていて支持率が下がりまくっている大統領
(5位)アメリカ軍中佐という肩書きだけどバツイチ子持ち(ヒロイン)

狙いすぎなくらいダメ人間まっしぐらな設定ですね。

で、この映画では、そんなダメダメ生活を送ってきた主人公のもとに、その昔に遊んでいたテレビゲームのキャラたちが3Dになって襲いかかってくるのです。
つまり、その昔に何の役にも立たなかったゲームの腕前が何よりも役に立つという状態になるんですよ。

大好きだったゲームは人生において何の役にも立たなかった!
むしろそのために負け犬人生だった!
だが、いまではそのゲームを使ってヒーローになれるんだ!
そんなおっさんゲーマーの夢を叶えてくれただけで100点満点で100億点の映画です


いわば、これはゲーム版『少林サッカー』なんですよ。

チャウ・シンチー
1500円
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『少林サッカー』は荒唐無稽なアホ映画なのですが、「ショッパイ人生を送ってきた負け犬たちが、持っていた少林拳をサッカーに応用することで輝きだす」という感動的なプロットがあります。
少林拳を学んだ人は日本にはほとんどいないでしょうが、『ピクセル』の主人公のようにテレビゲームで遊んできた大人たちはたくさんいるでしょう。そうであるなら主人公たちに感情移入必死です。


また、主人公たちが1982年というアーケードゲーム全盛期のゲームファンということもミソですね。
そのころはまだファミコンも発売されておらず(ファミコンの発売日は1983年)、ゲームをするためにはゲームセンターに行くしかなかったのです。
(一応アメリカではAtari 2600が1977年に発売されていて、「スペースインベーダー」が1980年に移植されてヒットをしています)

劇中では、大人になった主人公が、遊んでいたゲームセンターをコミュニケーションの場所だったと語るシーンがあります。
ゲームを遊ぶ場所が「そこしかない」、限定的であったからでこそ、主人公たちはアーケードゲームを愛していたところもあったのではないでしょうか。
どこでもスマートフォンでカンタンにゲームができる現代人にとっては、わからない価値観なのかもしれませんね。

ついでに、チープ・トリックの「Surrender」や、クイーンの「We Will Rock You」というおっさんホイホイな選曲がされているのもたまりません。


さて、本編の内容を端的に語りますとご都合主義が半端ない内容になっています。

いやね、そもそも「昔のゲームが30年後に立体化して襲いかかってくる」というプロットが映画至上最強クラスのご都合主義なので、そんな批判をするもナンセンスなのはわかっています。
主人公の親友が大統領という設定なのもぜんぜん許せます。

だけど、終盤に従って「なんでそうなるんだ!」というツッコミどころが増えまくるのはさすがに解せません。

この映画は深く考えたら損だと思いました。
(1)ご都合主義な展開→考える=大人気ないツッコミ
(2)ご都合主義な展開→考えない=超楽しいゲヘゲヘ
はい。どう考えても(2)のほうが幸せになれます。考えるな!感じろ!

だいたい、昔のファミコンゲームなんてごり押しで攻略できるような大雑把なものが多かったんだから、本作はそれをリスペクトしていると考えたらすべてを肯定できますよ(←無茶な論理)


なお、作中ではメジャーな「ギャラガ」「パックマン」「ドンキーコング」のほか、けっこうマニアックなゲームネタもあるので、「ゲームを知らないと楽しみにくいんじゃないか?」と心配される方もいるかもしれませんが、大丈夫。
基本的にバカ映画で頭空っぽで楽しめるんですから。

もちろん、(レトロな)ゲーム愛に溢れているほうがさらに楽しめる内容なのは間違いありません。
岩田聡さんに、ご存命のうちに本作を観てもらいたかったですね。

なお、作品中にレディ・リサというキャラが登場しますが、じつは彼女は「Dojo Qust」という架空のゲームのヒロインです
しかし、この映画のためにマジでスマートフォン用の「Dojo Ques」が配信されています



どうせなら実在する『ドルアーガの塔』のカイなどの萌えるファミコンのヒロインを登場させればいいのに!とも思いましたが、ゲームそのものを作ったんだったら何も文句は言えませんね。


そのほかの難点は、意外と下ネタが多いこと。
どれも下ネタとしてはG(全年齢)指定でまったく問題がない軽いものですが、ファミリー向けの作品としては少々場違いな印象もあります。
「ねえねえ、お父さん、あのゲームってどんなゲーム?」→「うん!それはね!」ならいいですが、
「ねえねえ、お父さん、童貞って何?」→「お、おう」となったら気まずくなるとなってしまうような……まあ気にしすぎなのかもしれませんが。

また、序盤には会話シーンが多いので、子どもにはちょっと退屈に感じるかも。
冴えない大人たちの描写は、間違いなく作品に必要なものなのですけどね。


なお、本作には「パックマン」の生みの親である岩谷徹さんがカメオ出演しています(オープニングのゲームセンターでのシーンで、整備士役で3秒くらい出演)。
しかも、日系俳優のデニス・アキヤマさんが「プロフェッサー・イワタニ」という役名で活躍します。このふたり、顔が似すぎなんですけど



デニス・アキヤマさんをどこかで見たなあ……と思っていたら、『JM』や『バイオハザードIV アフターライフ』に出演していたんですね。


なお、日本語吹き替え版では神谷明さんや山寺宏一さんなどの人気声優が配役されています。

映画『ピクセル』:追加声優<神谷さんは小人症の俳優・ピーター・ディンクレイジを演じます

これは声優ファンにとってはうれしいですね。(ただし山寺さんが演じるのはちょい役です)

一方で、柳沢慎吾渡辺直美というタレントが起用されていることが賛否ありそうです。
渡辺直美が声を当てているのはセリーナ・ウィリアムズ(本人役)で、出演時間はかなり少ないので、気にしなくてもいいかもしれません。柳沢慎吾は主人公役なので出ずっぱりだけど……

なお、三戸なつめによる主題歌は日本語吹き替え版のみで、エンドロールで流れるようです。

このあたりの力を入れっぷりを見ると、本作は吹き替え版を選択してもいいのかもしれませんね。
吹き替え版でのみ、とある「声優ネタ」もあるそうですよ。


まあともかく、とーっても楽しい内容です。
自分は2D字幕版で観たのですが、3Dを意識したシーンがこれでもかと大量に押し寄せてくるので、3Dで観たほうがきっと満足できるでしょう。
ていうか、昔の2Dのドットだったゲームキャラが、最新のCG技術を駆使して3Dで暴れまくるというのが、ゲーマーにとって最高のごほうびなんですよね。

観る人を選ばない万人向けの作品ながら、ゲーム好きのおっさんをピンポイントで狙ってくるニッチな作品でもある。そんな多くの人を楽しませる気概にあふれた本作が大好きです。

おすすめ↓
映画『ピクセル』のパックマンは悪役じゃない!? 岩谷徹氏が生みの親としての心境を語ったミニ会見をリポート - ファミ通.com
『スペースインベーダー』、『パックマン』、『ギャラガ』の生みの親が誕生秘話を語った! 映画『ピクセル』の鼎談をリポート - ファミ通.com

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2015-09-19 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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「元凄腕ナンパ師」と「3000組以上を支援した夫婦関係コンサルタント」による男女関係を学ぶ映画会を開催します

告知ー!

元凄腕ナンパ師の恋愛コンサルタント&3000組以上を支援した夫婦関係コンサルタントがゲスト!
男女関係を学ぶ映画会を開催します!


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<第2回:“人生を面白くする映画”を見て語ろう会 ~男と女の関係(恋愛、結婚、etc)~>
本イベントは、人生を豊かにしてくれる素晴らしい映画を通し、“あるテーマ”について語り合い、より人生が面白くなることを目指しております。 第二回目のテーマは“男と女の関係(恋愛、結婚、etc)”。「彼の気持ちがわからない?」「優しい妻になってほしい!」と感じているあなた。映画を通じさまざまな男と女の関係を学び、パートナーと良好な関係を築いていくためのヒントがここにあります。

<前回の内容>

<イベント詳細>

………

えーと、すみません。自分は彼女いない歴ピー(NOT年齢)年で、男女関係に疎いどころか非リア充まっしぐらなんですが、この映画会のスピーカーでいいんでしょうか(わりと問題)。
普段から甘~い恋が楽しめる恋愛映画よりも精神的にキツイ恋愛映画ばっかり観ている気がするんですが、いいんでしょうか(わりと問題)。

    <こういう精神的にキツイの大好き

そんなわけで、今回は
3000組以上を支援してきた夫婦関係コンサルタントの笠原ノリ子さんと、
元公務員で元凄腕ナンパ師もあった恋愛コンサルタントの新倉裕太さんのトークを目的にしましょう。

笠原ノリ子 新倉裕太
※このおふたりが今回のメインです!


自分がトークテーマに選んだ映画は、2014年公開の『あと1センチの恋』
本作について、自分が男女関係がこじれまくっているシーンを紹介し、笠原ノリ子さんと新倉裕太さんに解説していただきます(予定)。

<笑えるけど切ない恋愛映画です。

<愛を込めて 映画『あと1センチの恋』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー>

本作について端的に説明すると、「あの人が好きって言いたいのに言えない」という少女漫画的な展開を12年も続けるという内容
しかも主人公(女性)はクズ男に身を寄せてしまったりするんだよね……本作についてコンサルタントが分析すると、そりゃあおもしろいことになるはずです。
レンタルが開始されたのは今年からなので、お店でも探しやすいと思いますよ。


なお、もうひとりのスピーカーである「人間映画Wkipedeia」こと成宮秋仁さんは、1950年公開の映画『孤独な場所で』を紹介します。

<当然モノクロ

どうよこのふたりのチョイスのギャップ
いまの若い人はハンフリー・ボガートすら知らないと思うんですが。
その語り口のマニアックぶりもある意味で楽しみにしていてください。


今回は2名で参加すると半額になるペア割制度を導入しました
「恋人がいねーよ!」と心が叫びたがっているんだな方でも、友達でも家族でもよいのでいっしょに参加すれば半額の1500円(ふたりで3000円)です。つまり非リア充でも可です。むしろそういう人こそおいで!
ぜひ、お誘いあわせのうえで参加してほしいですね。
とりあえず参加をポチッとしておいて、誘い合わせしていっしょに来場する感じでもオーケーだと思います。
なお、前回参加した人も1000円割り引きです。


そんなわけで、赤字を出さないためにもぜひご参加をよろしくお願いいたします。
みんなで“男と女の関係”を題材とした映画について語り合う、参加型ワークショップもあります!
今回は、自分と成宮さんが考えた映画クイズ(合計20問)ありで、豪華景品も用意しております。

開催日時は2015年10月17日(土)
場所は東京・大江戸線“月島駅”から徒歩1分の会場(詳細場所については参加申込者に個別連絡)です。
当日はリリー・コリンズがいかにかわいいかで30分語ってもいいと思います!

<ちゃんとした詳細&予約はこちら>
2015-09-17 : いろいろコラム : コメント : 0 : トラックバック : 0
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イギリス階級社会を最大限に皮肉る映画『キングスマン』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はキングスマン(原題:KINGSMAN: THE SECRET SERVICE)です。

※(9/16)原作コミックとの差異について、コメントで細かく教えていただいたのでネタバレに追記しています。
(9/19)劇中のマクドナルドの意味を教えていただきました。ネタバレに追記しています。

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:不謹慎は褒め言葉


あらすじ


ロンドンの高級スーツ店「キングスマン」の高級テーラーのハリー(コリン・ファース)は、極秘任務を務めるスゴ腕のスパイだった。
ある日、同僚のスパイが何者かに暗殺されてしまう。
犯人を突き止めようとするハリーは、かつての仲間の息子である不良青年・エグジー(タロン・エガートン)をスカウトするのだが……。




大傑作『キック・アス』のマシュー・ヴォーン監督最新作、同名のコミックを原作としたスパイ・アクション映画です。

マーク・ミラー他
2160円
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本作においてまず知っておいてほしいのは、残虐描写アリアリのR15+指定の映画であるということ。
『キック・アス』でもそうでしたが、本作では腕がもげたり人が串刺しされたりするエグいアクションシーンで陽気な音楽をかけたりしています

Henry Jackman
1423円
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※陽気な音楽がかかると人が死にます。

つまりは、人を殺すシーンをスカッと爽快感があるように見せているというわけ。
この時点ですげえ青少年の健全育成に悪いのですが、さらに終盤では映画史上に残る(たぶん)最凶の不謹慎シーンが待ち受けています
あんなヒドいシーンで笑うのは人としてどうかと思うんだけど、大爆笑するに決まってんだろ。
本作は自分の倫理観を見つけ直すきっかけになりそうですね。

だいたい「マナーについて説いている英国紳士が人をグロくぶち殺しまくる」という点がブラックジョークなんですよね。
そのジョークにまったく笑えない方がいるのは当然ですよね。「グロいのなんか嫌い!」という方やお子様は、マジで観ないほうがいいかもしれません。


もうひとつ本作を観る前に知ってほしいことは、本作がイギリス映画であり、物語がイギリスの階級社会を皮肉ったものになっているということ。

簡単にイギリスの階級社会について説明してみます。
イギリスでは上流階級、中流階級、労働者階級という区分けがあり、それぞれで教育や交流が制限され、将来の選択肢も限られてくるようになっています。
この制度になじみのない日本人にとっては「なんだよその差別」と思われるかもしれませんが、イギリスの人たちはたとえ労働者階級であっても、それを自らのアイデンティティーであると肯定的に捉えているところもあるようです。
確かに労働者階級に属していると所得は少ないのですが、栄養満点な食事が格安で手に入るなどのインフラが整っていたりするので、むやみに中流や上流を目指したり、教育を受けなくてもよいのです。
もっと言えば、どの階級の人たちも自分の属している階級が一番快適であるという意識を持っているようです。
階級といっても、一概には上下関係や優劣を示すものではないのです。
このため、イギリスの人たちは立身出世の物語に興味を示さないそうです(もうそのポジションで満足しちゃっているから)。

※以下の記事を参考にさせていただきました。
イギリスに存在する3つの身分制度とは?日本人が知らない現在の英国階級社会 - Column Latte
イギリスの”階級社会”事情
イギリスにおける階級社会 京都産業大学文化学部 国際文化学科 笠原薫

……で、この『キングスマン』では“ブロック”と呼ばれる低所得者向けの集合団地で母親と暮らす無職の青年が、いきなりスパイに大出世する物語が描かれています。
しかもこの青年は、「スパイ養成学校」なところにいきなり入学して、労働者階級にはそぐわない高度な教育を受けます。
これは、「生まれ育った階級にいればそれで人生いいんじゃね」なイギリスの階級社会への皮肉になっているというわけです。

さらに、『キングスマン』の劇中では「生まれ育った環境では人生は決まらない」「貴族であることに大きな価値はなくなった」という言葉が告げられており、階級によらない人生を選択をすることを推奨しています。
劇中で提示された、『大逆転』、『ニキータ』、『プリティー・ウーマン』、『マイ・フェア・レディ』という映画は、「大出世」をする、イギリスの階級社会とは異なる物語ばかりです。

   <どれも大出世の物語

現実のイギリスの若い人々の間では階級に対する意識は薄れつつあるそうなので、『キングスマン』は現代らしい価値観をすくいあげた内容と言えるのかもしれませんね。

さらに終盤ではさらなるイギリス階級社会への皮肉があるんだけど……それは、さすがにネタバレになるので↓に書くことにします。


まあそんな真面目な階級社会への皮肉は味付け程度で、実際はアホみたいなアクションを超期待して観る映画です

だってさー、スパイが銃を軽くハジく傘で戦うんだよ?
義足の美女がとんだり跳ねたりするんだよ?(すげえ『殺し屋1』っぽいシーンあり)


ていうか美人ダンサーのソフィア・ブテラがかっこいい&かわいすぎるんだよ!


※ガチすぎる身体能力の持ち主

さらにそんなアクションに、ノリノリな音楽が最高にハマッているんですよ。
それだけで最高じゃないか。ぶっちゃけここが主張できたら後はどうでもいいですね。


超豪華キャストが勢ぞろいしているのもたまりませんね。
『英国王のスピーチ』の王様のコリン・ファース、悪役俳優代表格のマーク・ストロング、『ダークナイト』シリーズの執事のおじいちゃんのマイケル・ケイン、果てはサミュエル・L・ジャクソンわくわくさんみたいな格好で登場します


そのキャラはかなりキレッキレ。楽しそうに演じていて何よりです。

もうひとつ豆知識を。
作中のコードネームとして使われているガラハッドランスロット円卓の騎士の成員の名前です。
純粋に忠誠を誓うという想いが現れているのでしょうね。


難点は、主人公がベテランスパイのくせにマヌケなところを見せること。とても経験のあるスパイのものとは思えません。
「主人公!最強!無双!そして紳士!」を期待している自分としてはちょっとだけ残念なところがありました。

倫理的にはわりと最低な作品なので、間違いなく好き嫌いは分かれるでしょう。
でも、自分はちょっと上品すぎる映画よりも、こういう振り切って不謹慎をやってのける映画が大好きです。

デートではちょっとお勧めし難いです。そりゃ人が死にまくるシーンで笑っている彼女or彼氏を観たら100年の恋も冷めますからね。
『007』をはじめとしたスパイ映画ファンはぜひ劇場へ。「我こそは悪趣味!」な映画ファンこそ観に行きましょう! そしてあの不謹慎シーンで大爆笑しましょう! それは最高の体験になるはずだから! オススメです!

以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください↓

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2015-09-15 : 映画感想 : コメント : 19 : トラックバック : 0
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登場人物が気持ちベラベラ映画オブザイヤー『天空の蜂』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は天空の蜂です。

※ネタバレを追記しました(9/13)

個人的お気に入り度:3/10

一言感想:堤幸彦監督の集大成(悪い意味で)


あらすじ


1995年夏、最新の設備を搭載したヘリコプターが、正体不明の人物によって奪われてしまう。
テロリストの雑賀(綾野剛)は、原子力発電所を停止しなければ、遠隔操作されたヘリを稼働中の高速増殖炉に落下させるという犯行声明を出す。
しかもヘリには設計士・湯原(江口洋介)の息子が搭乗していた。
犯人探しと、子どもの救出作戦が同時に始まるのだが……




東野圭吾による、1995年に書かれた同名小説の映画化作品です。

東野 圭吾
918円
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このブログで度々書いていましたが、自分は「登場人物が自分の気持ちをベラベラとしゃべる」邦画が好きではありません。
で、この映画は気持ちベラベラ映画オブザイヤーです

<最近のベラベラ自分の想いを語りすぎ映画ワースト3>
1位 天空の蜂←NEW!
2位 ガッチャマン
3位 ストレイヤーズ・クロニクル

誰だ!誰だ!こんな演出にしたのは!
まあ答えるまでもなく犯人は堤幸彦監督と、初めて映画の脚本を手がけた楠野一郎さんか数名いるプロデューサだったんだろうけど。本当にキツかったよ……これは……。

本作がいかに堤幸彦イズムに溢れていたかを箇条書きしてみるよ☆(ヤケクソ気味に)

(1)気持ちベラベラベラリーノ
わあ、ぜんぶせつめいしてくれるから、かんきゃくにたいしてとってもやさしいね!

(2)役者が全員オーバーアクト
舞台でやれ

(3)サスペンスシーンではスローモーション
あーハラハラドキドキするなー(棒読み)

(4)ムカつくモブキャラ
くちづけ』にいた障がい者に「この人たち全員頭やばい系でしょ?」とほざく女子高生、『イニシエーション・ラブ』の「あの人服ダッサ」とほざくおばちゃんふたり組なみに、観客の逆鱗に触れに行っているキャラが出てきます。

(5)自己主張の激しすぎる台詞
とくに主人公の妻(石橋けい)の言った「家族の定義」がキツかった。

(6)緊急時にポエムを放つ
事件が終わってからやれ

(7)論理的矛盾がある展開
ツッコミ待ちにもほどがある

(8)クライマックスにいらんシーンを入れる
あの演出はマジで意味不明

(9)クライマックスでぐるぐる回転するカメラワーク
包み監督のドヤ顔が見える、見えるぞ(見たくねえよ)

(10)まるでスポーツ実況のようなテレビの報道
例:
「あ、いま◯◯が◯◯しました!」
「一体どうなってしまうんでしょうか!」
「ついにこの作戦が決行されます!」
「まるで空中ブランコのように」
「行ったか!?」
SASUKEでやれ

ふう、すっきりした。
こんな展開が2時間20分ひっきりなしに続くんですよ?
こんなに鑑賞中のストレスが強かった映画は『踊る大捜査線 THE FINAL』くらいなんですけど。

どうも近年の大作日本映画は「全部説明病」があるようです。
これくらい説明しないと、観客は理解できないと思っているのでしょうか。

また、この映画の登場人物はみんな自分の気持ちを懇切丁寧に教えてくれるのですが、誰ひとりとして感情移入ができませんでした
そりゃそうだ。たとえば、知らないおっさんが「俺はこういう目にあったんだ!悲しいんだ!」とか言っても「はあ?」って感じでしょうに……。

たとえば、是枝裕和監督の『そして父になる』では、福山雅治演じるエリート男が、リリー・フランキー演じるボロボロの電気店を経営する男の印象を「電気屋だった」とただつぶやくシーンがあります。
何気ないシーンですが、これだけで人を職業や見た目で見下すエリート男のいや~な部分が透けて見えるようになっています。

対して『天空の蜂』では、主人公が息子に思っていることをそのまんま同僚に隣の部屋までよく通る声でしゃべります(それを息子が聞いていて親子仲がさらに悪くなります。わかりやすいね)。
何気ない親子のやりとりだけでも、十分その関係性はわかると思うのですが……。

あ、あと主人公が「俺は無力だっ!!」とすげえでっかい声で言うシーンもあります。無力に見えねえーどう見ても全力だべー。

なお後半にはツッコミどころ満載のシーンがたっぷりとお目見えになりますが、恐ろしいことに原作にはない映画オリジナルの描写でした(そのほかはそれなりに原作に忠実なんだけど)。
映画を見慣れている方にはギャグとして受け入れましょう。


ここまで大いにけなしましたが、もちろんよいところもあります。

この映画は(原作からですが)原子力発電所にまつわる数々の事件に対して、過激な主張をしつつも「中立的」な立場でいます。

福島原発メルトダウンをはじめとした問題はとても大きく、単純に原発を根絶させればいいという単純なものではありません。
しかし、世の中には原発推進派、撤廃派と両極端に属する人たちがいて、しばしばそのやりかたには問題になることもあります。

その問題のひとつがプロパガンダです。
最近では、『ストレイヤーズ・クロニクル』では大学教授がいきなり「原発の罪は重い」とかほざき、
探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』では小学生が「げんぱつにはぜったいにはんたいです。どうかなくしてください」という作文を読み上げたりしていました

しかし、『天空の蜂』では原発を推進するわけでも反対するわけでもなく、ただ原発によって起こされる事実そのものを描き、さらにサスペンス色の強いエンターテインメントとして仕上げています

作品には、原発の稼働を影から支える人もいれば、原発があってこそ暮らしが成り立っている人、はたまた原発の作業員だったために命を落とした人もいます。
そこにあるのは原発にある問題を知ってほしいという願い。そのスピリットは素晴らしいものでした。

なお、堤幸彦監督ならではの「原発について無知なムカつくモブキャラ=(一般人?)」がいるために、「お前ら原発について無知なやつらはこんなにもバカなんだよ!」という主張が込められているようにも思えます
まあ原作にも似たようなシーンがありましたし、本作に限っては堤幸彦監督のこのクセも嫌いじゃなかったです。
唐突に登場する「給湯室のOL」の描写には腹が立ちつつもちょっと笑ってしまいました。

「ベラベラしゃべりすぎ」ということにも、フォローするべき点があります。
「危機が迫るなか、重大な決断をするために登場人物が声を荒げる」という場面においては、自分の気持ちをすべてさらけ出してもオーケーでしょう。


余談ですが、『いちえふ』という漫画では、福島第一原子力発電所での労働の模様が赤裸々に描かれています。

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この漫画でおもしろいのは、過酷な現場作業の様子ばっかりが描かれていると思いきや、意外とおっさんたちが和気藹々と作業をしていたりするシーンがあること。何となく『南極料理人』に近いノリです。
むやみやたらに事の深刻さを記述するノンフィクション本よりも、きっと楽しく読めるでしょう。


ともかく、原発の問題の一側面だけを捉えず、多方面から問題提起をするという点では、映画『天空の蜂』は確かな意義のある作品です。
お固い内容にせず、アクションも交えたエンターテインメントに徹したことも賞賛すべきです。

でも……この映画はいくらなんでもうるさすぎるんです。
江口洋介モッくんという魅力溢れる役者が起用されているのに、その演技は一辺倒なものになっています。
演出も「間」がほとんどなく、観客を飽きさせないようなスピーディーなものになっています。
ハラハラドキドキするサスペンスとしてはいいのですが、これは演出と役者の演技に絞れば、およそ「映画らしさ」がないと思うのです。

でも、こうして「わかりやすさ」が大衆にウケるのも事実です。
また引き合いに出すのも申し訳ないですが、『ALWAYS 三丁目の夕日』は登場人物がすべて自分の想いを吐露してしまう演出が映画ファンから嫌われていたのですが、世間的には大ヒット映画です。

本作がヒットすれば、またプロデューサーから「もっとわかりやすく!」な要望がどんどん出てくるんだろうな……
映画って「説明しないこと」におもしろさがあると思うんですけどね。

そんなわけで、自分が本作において好きなのは原作からあった部分のみなのでした。


それにしても、この原作が20年前に書かれたということには驚きを隠せません。
中立的で、なおかつ原発問題に鋭い主張をした本作が、いい意味で大衆に迎合する堤幸彦監督によって映画化されたのはある意味ではよかったのかな……ともちょっっっっっっぴりだけ思います。

まあ、人間はたまには怒ったりするとむしろ健康にもいいそうなので、本作は最近のベラベラしゃべってばかりの邦画が嫌いな映画ファンにこそオススメします。
きっとこの作品を観れば、ほかのすべての映画の演出の奥ゆかしさ、繊細さをきっと感じられることでしょう(相対的に)。
映画ファンにとっても本作の観る価値は十分、いや、むしろ必見作です

大仰な演出が気にならない方にとっては、サスペンス映画としてちゃんとおもしろいのでふつうにオススメ、原発問題を考えるきっかけとしても優秀です。何より、物語の精神性は本当に素晴らしいのですから。
前田有一の95点を信じて観に行ってもいいと思いますよ(責任は取りません)。

↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。

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2015-09-11 : 映画感想 : コメント : 14 : トラックバック : 0
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TENGA宣伝しすぎな映画『みんな!エスパーだよ!』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は映画『みんな!エスパーだよ!』です。


個人的お気に入り度:5/10(良識のある女性には0点)

一言感想:Q:なぜ原作のシリアス展開をやらないんですか?
 A:園子温監督だから


あらすじ


童貞と、一生ぶんのむっちりエロいお姉さんたちが戦う話




※今回のレビューはネタバレなしのところも下ネタ盛りだくさんなので苦手な方はご注意ください。

若杉公徳による同名漫画の映画化作品です。

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原作は、童貞高校生の主人公がテレパシー能力を手に入れちゃう→ほかの超能力者も現れる→日常でアホでエロくて汚い(下ネタ的な意味で)展開が起こるという、ナンセンスなギャグ漫画……
と思いきや、3巻の最後で急転直下の出来事が起こり、シリアスなヒーローものに転換するという作品でした。

どうやらこのシリアス展開は(映画の前に放送されていた)深夜ドラマ版でもやらなかったようです。

染谷将太
11491円
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そうであるなら、「ドラマ版では観られなかった、原作のシリアス展開を映画でも観たい!」と思っていた原作ファンもいたと思うんです。はい、それは死ぬほど裏切られます

なぜなら、この映画版は大量のむっちりエロいお姉さんたちがバンバン登場する(だけの)作品にすぎないから。

なぜこうなったのか?と問えば、それは園子温監督がエロい女性が大好きだからにほかならないでしょう。
原作およびドラマ版に登場しなかったキャラには、グラビアアイドルの今野杏南清水あいり篠崎愛などを配役しています。

  <出演理由:園監督が好きだから(たぶん)

しかも素人娘も好きだからかTwitterを開設して女性エキストラ(水着可を優先)を募集していたりします。
さらに嫁の神楽坂恵の谷間も見せまくります。
つまり本作は、本作は園監督が望むエロい女性たちを撮った自分の趣味しかない作品なのです。
園監督が映画という媒体を使って、やりたいようにやった自己満足ムービーとも取れますね。

あと10日くらい観なくてもいいやと思わせる、大量のナイスバディな下着姿の女性、パンチラが観られるという点では確かに素晴らしい作品です。
徹底してアホを描いており、観たあとには下ネタとエロしか残らないというのもある意味では潔いです。


でも……この映画版はいくらなんでもお話のほうがテキトーすぎるんじゃないでしょうか。
とくに中盤は「グダグダ」というに相応しいヒドさです。

具体的な物語の問題を挙げると
(1)登場人物の行動やセリフが一貫していない
(2)そもそも「目的もなく行動している」展開がずーっと続く
のふたつです。

(1)についてはネタバレになるので下に書きますが、「なんでお前がそんなことを言うんだ?」と理解に苦しむセリフが少なくとも2箇所ありました。
後半のどんでん返しの伏線としても納得できません。

(2)は「主人公たちが超能力に目覚めて悪を退治しようとするけど、その悪が見つからなくて適当にパトロールしたりパーティしたりする」という展開が長ーく続くのです。
例えるなら、『キック・アス』でいつまで経ってもヒットガールが出てこずに、キックアスがパトロールをしても何にも起きないという展開が続くようなもんです。

で、ただでさえグダグダな展開に、ナイスバディのお姉さんのセクシーシーンが大量に挟まれるためにさらにテンポが悪くなっています。
ここまで来ると、たとえセクシーお姉さん好きの紳士であっても(よほど好きなら別ですが)「もうええわ」な気持ちになってしまうのではないでしょうか。
トータルでも、脚本はご都合主義かつ無理矢理です。

まあ、そもそも「童貞が世界を救う」というプロットの時点でまともな話になるはずもないので、こうしたメチャクチャは観客としても「わかっていた」ことだとも思うし、広い心で受け止めるべきだと思うのです。

でも、自分は、たとえアホな映画でも、意味もなくむっちりエロいお姉さんを出したりするだけでなく、熱くなれるような展開が欲しかったのです。

原作でのシリアス展開は、主人公を心の底から応援したくなる、感情移入できる要素がありました。
反して、映画ではもうお前ら勝手にやってろよと言いたくなりました(それもある意味ではおもしろいけど)。

でも最後には童貞にエールを贈っているメッセージがあり、謎の感動もあるのも事実。
ちゃんとエンディングまで観ることをおすすめします。


ここまで批判をしてみましたが、この「グダグダ」、「エロいだけ」というのも決して欠点ではないと思います。
それを含めて作品の「味」なのでしょう。
原作はただの下ネタとエロの応酬からのシリアス展開への転換こそが魅力的な作品でしたが、映画で全編下ネタとエロだけにしたのもある意味では正解に思えます。

まあ、実際は試写会で女性の途中退席者が続出したらしいので、受け入れられない人が多いのでしょうけど……。
園監督はもともと好ききらいの分かれる作品ばっかり撮っていた御仁。本作も『TOKYO TRIBE』や『リアル鬼ごっこ(2015)』並みに賛否が分かれることでしょう(何せ『TOKYO TRIBE』が好きだった自分もちょっとダメだったもん)。


また、本作は史上もっともプロダクトプレイスメント(作品内の宣伝)がうまい映画だと思います。
その宣伝をしているのが……大人のおもちゃであるTENGAなんですけどね(原作から登場しています)。

<18禁なので子どもはクリックしちゃダメ!

さらには原作の連載時には発売されていなかった「女性用」のirohaまで登場してバッチリ宣伝(笑)。果ては公式ファンブックにTENGAの女性社員のインタビューが載っていたります。

「映画 みんな! エスパーだよ!」製作委員会
1598円
powered by yasuikamo

ちなみにTENGAの松本光一社長は「人に喜んでもらえること、人の役に立つことがTENGAの根幹」と語っており、某芸人は「TENGAは世界を救う」と赤裸々に語り、果ては自慰戦士テンガマンという公式ヒーローが生まれています



映画『みんな!エスパーだよ!』のキャッチコピーは「童貞が恋をして世界を救う」(しかも作中で主人公はオ◯ニーばっかりしてる)。
自慰戦士テンガマンは「この物語は、『エロは地球を救う』という熱い想いを胸に、世界平和のために勃ち上がった一人の男の伝説の記録である。」という触れ込みがされています。
つまり、映画『みんな!エスパーだよ!』とTENGAはエロ(オ◯ニー)で世界を救うという熱い心が一致しているのです。

この両者がタッグを組むことで、みんなが幸せになれたのではないでしょうか。
戦争をこの世からなくせるのは、政治家や国のお偉いさんではなく、こういう人たちなんだろうなと思いました(わりと真面目に)。

ついでに本作の挿入(←意味深)歌は「LOVE ME TENGA」です。



なんつーか、これを考えた人はエルビス・プレスリーに土下座して謝るべきだと思いました(しかしいい曲である)。


さらに、本作で宣伝できているのは大人のおもちゃだけではありません。
舞台である愛知県東三河も思いっきり宣伝されてます
原作の舞台は大分県だったのに、なぜドラマ版と映画版は東三河?と思ったら、これは園監督が豊川市出身、ドラマ版で制作を協力したプロデューサーが豊橋市出身だったからなんですね。身内の事情入りすぎです。

そんなわけで作中では「~だに」「~だら」という三河弁が使われたり、その街並みが映されているので、それなりに地元のPRに成功している……
と思いきや、映画の中ではTENGAばかりが目立っているんですけどね。
それどころか、映画では豊川市にエロい女性ばっかり出てくるので確実にあらぬ誤解を招きます

おかげさまで、とよはしまちなかスロータウン映画祭のTwitterでは自虐ギャグをかますハメになりました。



てっきり「豊橋市&豊川市は下ネタばっかりじゃないよ」とするかと思いきや、けっきょく下ネタに帰結するのがステキですね。行きたくなりました(←PR成功)。


さてさて、映画本編と同じく長ーくグダグダと語りましたが、端的に言えば
エロ×下ネタ×しょうもない展開しかない
と、一行ですべてが表現できる映画です。
PG12指定ギリギリ(アウト)、リアリティなんかすべてシカト(園監督作品にはいつものことです)。
同時期公開の『テッド2』とこっちのどちらの下ネタがひどいかといえば、どっちも似たようなもんです

それを期待するなら大いに楽しめ、それがイヤだったら途中退席まったなし。
ここまでシンプルに、オススメできる人と、そうでない人が分かれる作品はそうそうないでしょう。

なお、ドラマ版の設定やら展開はすべてリセットされ、物語は「最初から」始まっているので、原作やドラマ版を知らなくてもまったく問題なく楽しめます

あと言っておかなければならないのは、池田エライザが死ぬほどかわいいことですね。

<ツインテールも似合う。

基本的に主要キャストはドラマ版からそのまま継続しているのですが、池田エライザだけは夏帆に代わり抜擢されています。
夏帆ファンにとっては降板になってしまって残念と思う方も多いのでしょうが、映画の池田エライザのかわいさを見ればすべてが許せるんじゃないでしょうか。
そのほかでは真野恵里菜のツンデレっぷりもかわいいですし、『リアル鬼ごっこ』でシュール(役名)を演じていた冨手麻妙が重要な役を演じているというのもうれしいですね。

そんなわけでグラビアアイドル好きの紳士や童貞少年(←たぶん本作を観れば勇気が出る)には大プッシュでオススメ、女性は観るな、そんな映画。オススメです?(疑問系)

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め。

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2015-09-07 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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2015年9月の気になる映画一覧(マイナー推し)

何もしてねえから、夏(愚痴)。

そんなわけで9月の気になる映画です。

以下の記事も参考にしましょう。
2015年9月に観たい注目映画/7、8月鑑賞記録 | Tunagu.
2015年9月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて

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2015-09-04 : 月ごとの気になる映画 : コメント : 8 : トラックバック : 0
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悪を超えた悪がいる 映画『ナイトクローラー』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想はナイトクローラーです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:超ブラック企業じゃん


あらすじ


鉄くずを売って暮らしていたルイス・ブルーム(ジェイク・ギレンホール)は、自動車事故の現場を撮影するカメラマンと出会う。
彼らに触発され、ルイスは夜の街を巡って事故や殺人現場を撮影する「パパラッチ(ナイトクローラー)」になろうと決心するのだが……。




最近の日本の映倫さんはおかしい(断言)
のっけから映画本編とは関係ない話題で恐縮ですが、最近のおかしな映倫さんのレーティングの例を見ていきましょう。

<近年の厳しすぎるんじゃね?と思うレーティング>
マッドマックス 怒りのデス・ロード(R15+)→トゲトゲの車で走ったりガッシャンしているだけだからPG12でいいんじゃね。

<近年の甘すぎるんじゃね?と思うレーティング>
グランド・ブダペスト・ホテル(G(全年齢))→生首を大写しします。
her/世界でひとつの彼女(PG12)→主人公が冒頭でテレフォン◯ックスしていましたけど。
渇き。(R15+)→大々的に公開された映画の中ではトップクラスのインモラルさ。
極道大戦争(PG12)→人類には早すぎた。
虎影(G)→手首や首がもげていましたけど。
進撃の巨人 Attack on Titan(PG12)→原作の改変っぷりも含めて小・中学生のトラウマに

で、今回の『ナイトクローラー』はG指定なのですが、なんでこのレーティングなのかさっぱりわかりません。
なぜなら本作は、
・主人公が犯罪を犯しまくって成功する
・主人公は作中でそれを「いいこと」と肯定し、一切躊躇も後悔もしない
・倫理観や道徳なんかほぼ排除
・作中でみんなが「F◯CK」って言いまくり
というとーってもインモラルな内容なのですから。ていうかそれ18禁の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』といっしょじゃん

作中では直接的な残酷描写やドラッグ吸引シーンなどはないのですが、これを子どもに観せてしまうといろいろと悪影響がありそうです。
少なくともPG12指定が妥当でしょう(ちなみにほとんどの国ではR指定です)。
PG12指定は鑑賞そのものを妨げるものではないので、個人的には「(インモラルな表現がありますよという)警告」的な意味で、もっとつけてもいいと思うのですけどね。


さて、本編についての特徴を一行で語るのであれば、
クズすぎる主人公がブラック企業を立ち上げて大成功!
で終わります(それだけじゃないけど)。
その具体的な会社の経営手法はネタバレになるので↓に書きますが、その手法は◯庄、ワ◯ミ、ヤ◯ダ電機がびっくりするレベルとだけ言っておきます。本当にヒドかった。

主人公はもともと泥棒で日銭を稼ぐクズだったのですが、やがて事故の現場を取材するパパラッチの仕事を知り、仕事を極めることでさらなるクズになろうとしています。
そのクズすぎる方法が突き抜けすぎて、ちょっとある意味で痛快に思えてしまします(←アブねえ)。

しかも音楽がこれまたすさまじくて……凶悪なことに、主人公がクズすぎる手段で成功をすると、青春サクセスストーリーのような爽快な音楽がかかるのです。

James Newton Howard
1583円
powered by yasuikamo

ジェームズ・ニュートン・ハワードによるそのアンビエントな楽曲はそれ単体で心地よく、犯罪しまくりの本編においては、より一層の快楽を届けてくれるかのようでした。

いかに本作が、子どもにオススメできない内容かわかっていただけたでしょうか(わかってほしい)。


しかし、高校生以上、社会人になる前の若者にはぜひ観てほしい作品でもあります。

その理由のひとつが、クズ主人公の言うことに「一理ある」こと。
主人公は有名な社訓や名言をモットーに行動しており、そのひとつひとつは確かに経営者として、仕事をする人間としては「正しい」と思えるところがあるのです(まあトータルでは死ぬほど間違っているんですが)。
テレビ局に売るテープの値段交渉のシーンは、フリーランスの仕事をする人にとって(よくも悪くも)参考になりそうです。

もうひとつの理由が、反面教師的にこの映画を観られるであろうこと。
きっとこの作品を観ると、(ある部分では)「こうはならないでおこう」と思えるはずです。
それは「いくら成功したいからといって犯罪をしてはダメ」という単純なものから、「生きかた」を学べる大局的なものに及んでいると思います。


イジワルだなあと思うのは、「悲惨なニュースを見て楽しんでいるお前も同じ穴のムジナだよ」というメッセージが明らかに込められていること。
テレビでの事故の現場は、確かに目を引きます。
そのような報道がない日本においても、芸能人のスキャンダルや、2ちゃんねるまとめサイトの「炎上」は「おもしろい」ものであり、アオリかた次第でさらにおもしろくなります。
たとえ、それが「ウソ」「誇張」であっても……。

ウソや誇張がされた悲劇的な情報で「おもしろい」と感じてしまうのであれば、それはこの映画におけるクズ主人公と同じように、倫理観や道徳が欠如しているとも取れます。
本作を観れば、日常にあるニュースや情報について「正しさ」を考えるきっかけになるかもしれません。


ダン・ギルロイは『ザ・フォール/落下の王国』などで脚本を務めており、本作では初めて監督と脚本の両方を手がけています。
デヴィッド・フィンチャー監督を彷彿とさせる画作り、会話劇での緊張感にはほれぼれしました。

また、ぜったいに言っておかなければならないのはジェイク・ギレンホールの怪演でしょう。
本作では「無表情の演技」が多いのですが、その無表情こそがもっとも怖いという、超絶技巧の演じかたをしています。

叫ぶ<叫んでいても怖いけど

無表情<無表情がもっと怖い

遠い空の向こうに』で夢を見続けていた少年が、こんなクズに成り果てるなんて……役者ってすごいです、本当。

公開劇場が少ないのが残念ですが、近くで上映していたらぜひ観てほしい秀作です。
できれば、史上最高のクズを観るんだ!と意気込んでからどうぞ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2015-09-03 : 映画感想 : コメント : 4 : トラックバック : 1
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Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
『リミット』

<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

守銭奴すぎるバンナムの課金ゲーム

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