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登場人物が気持ちベラベラ映画オブザイヤー『天空の蜂』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

今日の映画感想は天空の蜂です。

※ネタバレを追記しました(9/13)

個人的お気に入り度:3/10

一言感想:堤幸彦監督の集大成(悪い意味で)


あらすじ


1995年夏、最新の設備を搭載したヘリコプターが、正体不明の人物によって奪われてしまう。
テロリストの雑賀(綾野剛)は、原子力発電所を停止しなければ、遠隔操作されたヘリを稼働中の高速増殖炉に落下させるという犯行声明を出す。
しかもヘリには設計士・湯原(江口洋介)の息子が搭乗していた。
犯人探しと、子どもの救出作戦が同時に始まるのだが……




東野圭吾による、1995年に書かれた同名小説の映画化作品です。

東野 圭吾
918円
powered by yasuikamo

このブログで度々書いていましたが、自分は「登場人物が自分の気持ちをベラベラとしゃべる」邦画が好きではありません。
で、この映画は気持ちベラベラ映画オブザイヤーです

<最近のベラベラ自分の想いを語りすぎ映画ワースト3>
1位 天空の蜂←NEW!
2位 ガッチャマン
3位 ストレイヤーズ・クロニクル

誰だ!誰だ!こんな演出にしたのは!
まあ答えるまでもなく犯人は堤幸彦監督と、初めて映画の脚本を手がけた楠野一郎さんか数名いるプロデューサだったんだろうけど。本当にキツかったよ……これは……。

本作がいかに堤幸彦イズムに溢れていたかを箇条書きしてみるよ☆(ヤケクソ気味に)

(1)気持ちベラベラベラリーノ
わあ、ぜんぶせつめいしてくれるから、かんきゃくにたいしてとってもやさしいね!

(2)役者が全員オーバーアクト
舞台でやれ

(3)サスペンスシーンではスローモーション
あーハラハラドキドキするなー(棒読み)

(4)ムカつくモブキャラ
くちづけ』にいた障がい者に「この人たち全員頭やばい系でしょ?」とほざく女子高生、『イニシエーション・ラブ』の「あの人服ダッサ」とほざくおばちゃんふたり組なみに、観客の逆鱗に触れに行っているキャラが出てきます。

(5)自己主張の激しすぎる台詞
とくに主人公の妻(石橋けい)の言った「家族の定義」がキツかった。

(6)緊急時にポエムを放つ
事件が終わってからやれ

(7)論理的矛盾がある展開
ツッコミ待ちにもほどがある

(8)クライマックスにいらんシーンを入れる
あの演出はマジで意味不明

(9)クライマックスでぐるぐる回転するカメラワーク
包み監督のドヤ顔が見える、見えるぞ(見たくねえよ)

(10)まるでスポーツ実況のようなテレビの報道
例:
「あ、いま◯◯が◯◯しました!」
「一体どうなってしまうんでしょうか!」
「ついにこの作戦が決行されます!」
「まるで空中ブランコのように」
「行ったか!?」
SASUKEでやれ

ふう、すっきりした。
こんな展開が2時間20分ひっきりなしに続くんですよ?
こんなに鑑賞中のストレスが強かった映画は『踊る大捜査線 THE FINAL』くらいなんですけど。

どうも近年の大作日本映画は「全部説明病」があるようです。
これくらい説明しないと、観客は理解できないと思っているのでしょうか。

また、この映画の登場人物はみんな自分の気持ちを懇切丁寧に教えてくれるのですが、誰ひとりとして感情移入ができませんでした
そりゃそうだ。たとえば、知らないおっさんが「俺はこういう目にあったんだ!悲しいんだ!」とか言っても「はあ?」って感じでしょうに……。

たとえば、是枝裕和監督の『そして父になる』では、福山雅治演じるエリート男が、リリー・フランキー演じるボロボロの電気店を経営する男の印象を「電気屋だった」とただつぶやくシーンがあります。
何気ないシーンですが、これだけで人を職業や見た目で見下すエリート男のいや~な部分が透けて見えるようになっています。

対して『天空の蜂』では、主人公が息子に思っていることをそのまんま同僚に隣の部屋までよく通る声でしゃべります(それを息子が聞いていて親子仲がさらに悪くなります。わかりやすいね)。
何気ない親子のやりとりだけでも、十分その関係性はわかると思うのですが……。

あ、あと主人公が「俺は無力だっ!!」とすげえでっかい声で言うシーンもあります。無力に見えねえーどう見ても全力だべー。

なお後半にはツッコミどころ満載のシーンがたっぷりとお目見えになりますが、恐ろしいことに原作にはない映画オリジナルの描写でした(そのほかはそれなりに原作に忠実なんだけど)。
映画を見慣れている方にはギャグとして受け入れましょう。


ここまで大いにけなしましたが、もちろんよいところもあります。

この映画は(原作からですが)原子力発電所にまつわる数々の事件に対して、過激な主張をしつつも「中立的」な立場でいます。

福島原発メルトダウンをはじめとした問題はとても大きく、単純に原発を根絶させればいいという単純なものではありません。
しかし、世の中には原発推進派、撤廃派と両極端に属する人たちがいて、しばしばそのやりかたには問題になることもあります。

その問題のひとつがプロパガンダです。
最近では、『ストレイヤーズ・クロニクル』では大学教授がいきなり「原発の罪は重い」とかほざき、
探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』では小学生が「げんぱつにはぜったいにはんたいです。どうかなくしてください」という作文を読み上げたりしていました

しかし、『天空の蜂』では原発を推進するわけでも反対するわけでもなく、ただ原発によって起こされる事実そのものを描き、さらにサスペンス色の強いエンターテインメントとして仕上げています

作品には、原発の稼働を影から支える人もいれば、原発があってこそ暮らしが成り立っている人、はたまた原発の作業員だったために命を落とした人もいます。
そこにあるのは原発にある問題を知ってほしいという願い。そのスピリットは素晴らしいものでした。

なお、堤幸彦監督ならではの「原発について無知なムカつくモブキャラ=(一般人?)」がいるために、「お前ら原発について無知なやつらはこんなにもバカなんだよ!」という主張が込められているようにも思えます
まあ原作にも似たようなシーンがありましたし、本作に限っては堤幸彦監督のこのクセも嫌いじゃなかったです。
唐突に登場する「給湯室のOL」の描写には腹が立ちつつもちょっと笑ってしまいました。

「ベラベラしゃべりすぎ」ということにも、フォローするべき点があります。
「危機が迫るなか、重大な決断をするために登場人物が声を荒げる」という場面においては、自分の気持ちをすべてさらけ出してもオーケーでしょう。


余談ですが、『いちえふ』という漫画では、福島第一原子力発電所での労働の模様が赤裸々に描かれています。

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この漫画でおもしろいのは、過酷な現場作業の様子ばっかりが描かれていると思いきや、意外とおっさんたちが和気藹々と作業をしていたりするシーンがあること。何となく『南極料理人』に近いノリです。
むやみやたらに事の深刻さを記述するノンフィクション本よりも、きっと楽しく読めるでしょう。


ともかく、原発の問題の一側面だけを捉えず、多方面から問題提起をするという点では、映画『天空の蜂』は確かな意義のある作品です。
お固い内容にせず、アクションも交えたエンターテインメントに徹したことも賞賛すべきです。

でも……この映画はいくらなんでもうるさすぎるんです。
江口洋介モッくんという魅力溢れる役者が起用されているのに、その演技は一辺倒なものになっています。
演出も「間」がほとんどなく、観客を飽きさせないようなスピーディーなものになっています。
ハラハラドキドキするサスペンスとしてはいいのですが、これは演出と役者の演技に絞れば、およそ「映画らしさ」がないと思うのです。

でも、こうして「わかりやすさ」が大衆にウケるのも事実です。
また引き合いに出すのも申し訳ないですが、『ALWAYS 三丁目の夕日』は登場人物がすべて自分の想いを吐露してしまう演出が映画ファンから嫌われていたのですが、世間的には大ヒット映画です。

本作がヒットすれば、またプロデューサーから「もっとわかりやすく!」な要望がどんどん出てくるんだろうな……
映画って「説明しないこと」におもしろさがあると思うんですけどね。

そんなわけで、自分が本作において好きなのは原作からあった部分のみなのでした。


それにしても、この原作が20年前に書かれたということには驚きを隠せません。
中立的で、なおかつ原発問題に鋭い主張をした本作が、いい意味で大衆に迎合する堤幸彦監督によって映画化されたのはある意味ではよかったのかな……ともちょっっっっっっぴりだけ思います。

まあ、人間はたまには怒ったりするとむしろ健康にもいいそうなので、本作は最近のベラベラしゃべってばかりの邦画が嫌いな映画ファンにこそオススメします。
きっとこの作品を観れば、ほかのすべての映画の演出の奥ゆかしさ、繊細さをきっと感じられることでしょう(相対的に)。
映画ファンにとっても本作の観る価値は十分、いや、むしろ必見作です

大仰な演出が気にならない方にとっては、サスペンス映画としてちゃんとおもしろいのでふつうにオススメ、原発問題を考えるきっかけとしても優秀です。何より、物語の精神性は本当に素晴らしいのですから。
前田有一の95点を信じて観に行ってもいいと思いますよ(責任は取りません)。

↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。

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2015-09-11 : 映画感想 : コメント : 14 : トラックバック : 0
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<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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