ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

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『PAN ネバーランド、夢の始まり』は少なくとも3D、ぜひ4DXでこそ観るべき4つの理由

現在公開中の映画PAN ネバーランド、夢の始まりが大好きです。

自分は「3D吹き替え版」と「4DX字幕版」の両方を観ることができました。
本作について語りたいことはありすぎて困るくらいなのですが、これを言っておかなければなりますまい。
最低3Dで、できればというかMUSTレベルで4DXで観ろ!と。

th_4DXAudience3.jpg

※4DXとは?(こちらのページを参照)
五感を刺激する体感型エンタテイメントシアター。スクリーン上のアクションと連動し、前後上下左右に動くモーションシートや、風や霧やフラッシュ、水しぶきが飛んでくる、香りがするなどの環境効果がある。
これらの効果・演出により、4DXは映画の中の主人公が感じている感覚を体感させてくれる。

3D版、4DX版を観るべき理由をひとつひとつ挙げてみます。


(1)空を飛ぶ夢を叶えてくれる映画なんだ!

本作は、みんなが知っている『ピーターパン』のエピソード・ゼロと言える作品です。
この物語のどこに憧れるって、それはもう、「空を飛べる」ことでしょう。

その昔にも『キングダム ハーツ』というゲームで、ピーターパンといっしょに空を飛べた瞬間には大興奮しましたが、本作での感動はそれを超えていました。
ピーターパンとして空を飛べることはもちろん、空飛ぶ海賊船に乗ることだってできちゃうのです。

雲の中をずおっと行くよ

3Dであれば、奥行きはもちろんのこと、「空や雲の中にいる」感覚があり、空を飛ぶという爽快感にひと役もふた役も買っています。
そして、4DXでは、臨場感ある座席の動きと、風の演出を贅沢に使うことにより、もっともっと飛空している感覚を味わうことができるのです。

自分は、本作で名作『ヒックとドラゴン』を思い出しました。これは「本当に3Dで観てよかった!」と心の底から思えた作品なのですが、残念ながら劇場で3Dで観た方は決して多くはありません(あっという間に上映終了し、劇場で観るのが叶わなかった)。
ファンタジー世界で空を飛ぶという体験が映画館できるのは、いまは『パン』だけ。ぜひ、そのチャンス逃さないでほしいのです。


(2)冒険映画の魅力が詰まっている!

端的に言ってしまいましょう。
本作は『インディー・ジョーンズ』『アバター』『ゼロ・グラビティ』を一挙に体験できる超贅沢な冒険活劇なのです。

  

「ええ?インディー・ジョーンズはわかるけど、アバターやゼロ・グラビティっぽいってどういうこと?」と思った方へ、観たらわかるから。詳しくはネタバレになるので言いません。

とくに注目してほしいのは、海賊船が主人公のピーターに向かって、連続で無差別な爆弾攻撃をするシーン。
ここで、4DX版では本気で「攻撃されている感覚」が味わえるでしょう。

これに加えて、最新のCG技術を駆使したファンタジックなシーンが惜しげもなく出てきます。
たとえば、昔話を「木の年輪からできた人形」「水の中の泡」で語ったりもするんです。その光景が美しすぎて話が頭に入らないくらい。

もちろん、それらのアクションや冒険シーンでも3Dの奥行き感は最大レベル、4DXは座席の移動はもちろんのこと、頭の後ろや前からくる風の演出が大盤振る舞いなのですからたまりません。

もうひとつ特筆しておきたいのは、ピーターが敵の「黒ひげ」の命令により、崖から落とされてしまうシーンです。
ここでピーターが360度くるくると回りながら落ちるとき、4DXの座席の動きがそれと完璧に同期しているのです。

パン、夢のはじまり

この落ちるシーンのスリルは並々ならぬもの。身体で、ぜひ「落ちてしまう体験」をしてみてください。


(3)香りの効果が素晴らしい!

4DXにある演出は、風、水(ミスト)、煙(スモーク)、光、座席の動きだけではありません。
館内に、あまーい香りが漂うことだってあるんです。

以前に観た『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド』と『ファンタスティック・フォー』では残念ながら香りの効果があまり体験できなかったのですが、今回は最高といえるポイントで、これが使われているんです。

視覚、聴覚、触覚だけでなく、嗅覚もプラスされている演出・・・ぜひ(味覚を除いた)4感で存分に体験してほしいです。


(4)さらなるシークレット演出

別に公式で隠しているわけではないですが、さらに4DX版には、もうひとつステキな演出があります(これも香りと同じく、作品によってはまったく使われずに終わる場合もあります)。

その演出は「この作品のためにあるものだったんだ!」と思えるくらいに、スクリーンに広がる世界とシンクロしているのです。

その演出とは<こちら>
これをクリックして演出の内容を知ってしまっても楽しめますが、知らずに観るとさらに感動が大きくなるでしょう。


そうそう、3D(4DX)版の場合、字幕は邪魔だから、吹き替え版で観たいという方も多いですよね。
字幕版と吹き替え版のどちらを選ぶべきか、それについてもお教えします。


〜吹き替えと、字幕、どっちがオススメ?〜

吹き替え版の声は、成宮寛貴さんと水川あさみという、本業が声優ではない方がメインキャラクターを務めているので、敬遠してしまう方も多いかもしれません。
しかし、本作ではおふたりともとても感情表現がうまかったので、問題はありませんでした。
成宮さんはちょっとチャラめに見えてもじつはアツい心を持っているフックを、水川さんはちょっと気難しいタイガー・リリーを好演しています。
成宮さんは声に特徴があるので多少好き嫌いがあるかもしれないですが、このキャラにはとても似合っていました。

また、吹き替え版限定で、松田聖子による主題歌をエンドロールで聴くことができます

<いまでもかわいい



※主題歌はこちらの予告編でも少しだけ聴けます。
いい曲ですよね。じつはこの「永遠のもっと果てまで」は、作曲を呉田軽穂(松任谷由実の別名義)が手がけています。

主題歌の差し替えなんてイヤだと思われる方もいるかもしれませんが、実際に松田聖子の主題歌が使われている部分は、字幕版では単なるBGMの部分でした
これらば、差し替えても問題はないという方が多いのではないでしょうか。
それでも音楽の差し替えがイヤなのであれば、字幕版を選べばいいだけです。

結論を言えば吹き替え版のクオリティーは文句無し、安心して観に行ってOK!ということです。

ただし、本作ではあのヒュー・ジャックマン様が影のある悪役を生き生きと演じたり、若干13歳の美少年のリーヴァイ・ミラーが子どもとは思えない存在感を見せていたりと、「役者の魅力」も大変大きい作品です。
とくにヒュー様演じる「黒ひげ」が見せるさまざまな表情は、物語の奥深さにかなりかかわっています。

字幕そのものも、戸田奈津子クオリティーではなく、正確な翻訳および意訳がされているものでした。
とくに、ラストの最後の「ひとこと」は、字幕がもっとも優れていると思ったくらいです。

つまり、役者の存在感や、物語の奥深さを感じたい大人には、字幕版をオススメしたいということです。

字幕版も吹き替え版も確かなクオリティーなので、お子さんと相談しつつ、お好きなほうを観てください。


さて、褒めちぎったので・・・ひとつだけ、本作の4DXの不満点を書かせてください。

↓以下、不満点なんか知りたくないという方はお控えください。

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2015-10-31 : いろいろコラム : コメント : 5 : トラックバック : 0
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映画『ゾンビ・ガール』元カノ埋めろ!(ネタバレなし感想)

「シッチェス映画祭」ファンタスティック・セレクション2015のひとつゾンビ・ガール(原題:Burying the Ex)を観てきました。

Burying_the_Ex.jpeg

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:やっぱり生きてる女性がいいよね!

あらすじ


ホラーショップの店員・マックス(アントン・イェルチン)は、彼女のエブリン(アシュリー・グリーン)のあまりのもエコ主義と、キレると手がつけなれなくなる性格に耐えきれなくなり、別れを決意する。
そんな矢先、エブリンは事故で死んでしまう。突然の死に傷心となったマックスだったが、アイスクリーム屋の店員・オリヴィア(アレクサンドラ・ダダリオ)と意気投合し、前向きになろうとしていた。
ところが、死んだはずのエブリンはゾンビとなって墓の中からよみがえってきて・・・




世の中にはゾンビ萌えという危篤奇特なジャンルがあるそうです。
日本はその先駆者で、『さんかれあ』『りびんぐでっど!』という女の子を萌え萌えに描くマンガも存在していました。
(ゾンビではないけど)ゲーム『ヴァンパイア』シリーズのキョンシー・レイレイにも、人は長年癒されてきました。

<死んでいてもかわいいよね!

で、本作は『ゾンビ・ガール』という超・ド直球の邦題が付けられているわけですよ。
これはきっと3次元にゾンビ萌えの文化を持ってきたにちがいない!とはぁはぁしていたけどぜんぜん違うからな!


本作の原題は「Burying the Ex(元カノ埋めろ)」。本作に出てくるゾンビの女の子は、マジで埋めたくなるほどにはた迷惑なのです。

大変ステキなのは、主人公がホラーショップの店員(ホラー映画大好き!)で、そのゾンビになる女の子がエコ大好きな現実主義者ということ。
彼女は絵空事の映画に興味はなく、菜食主義者で、ホラー好きが唸るマニアックな商品を置くアイスクリーム屋にまったく理解を示そうとはしません。
それどころか、「アホな映画ばっかり見ていないで、現実を見なさいよ」とかほざきます。
つまりは、彼女は(性格的に)グロくてチープで一部のターゲットを狙い撃ちにするゾンビ映画からはほど遠いところにいる存在なんです。

自分はアホらしいB級映画が大・大・大好きなので、もう主人公に感情移入必死。もうそんな女別れちまえ!と思わざるを得ないわけですよ(だよね?)

で、そんな彼女がゾンビになったら?
この状況を嘆く?それともその辺の人間を食おうとする?
いいえ、たとえ死んでいようが彼氏とヨリを戻そうとします(そもそもフラれていることに気づいていない)。

ゾンビ・ガール22<絵に描いたようなヤンデレ化

大好きなゾンビ(の女の子)に言い寄られるけど、ぜんぜんうれしくない!
ていうか君が死んでから、ステキな女の子に出会えたんだから、お前もうどっかいけよ!
そんな主人公の悲哀とコメディがたっぷり描かれているわけです。素晴らしいですね(笑顔)。
こう考えると主人公がクズやろうに思えるところですが、そうならないようにキチンと脚本が工夫されている(主人公がイイヤツだという描写がたっぷりある)のも好きでした。

そして、作中にはゾンビ映画愛が存分に感じられるのもいいです。
ベラ・ルゴシ主演の映画はそこかしらに画面に映るし、(腹違いの)弟が大好きな映画は『ゴア・ゴア・ガールズ(←ジャケットがすでにグロ注意)』だったし、クライマックスでは『(いちおうネタバレなのでクリック注意)』が登場するのですよ。たまんねえな。

主人公と弟が、ゾンビの知識を持って問題を解決しようとするのも大好きです。
いまでこそオタクの知識が役に立つぞ!という、『ピクセル』のような内容でもありますね。


なお、本作はひっきりなしにアクションをしたり、ゾンビがわんさかと登場するような映画ではありません。
あくまで物語の焦点となっているのは、ゾンビになった女の子ただひとりです。

これがそのまんま、(ゾンビでなくとも)はた迷惑な女の子とどうやって別れたらいいのか?を模索するストーリーになっているというのがまた素晴らしいですね。
アホ映画に思えて、意外と教訓をあたえてくれる映画なのかも。


ちなみに、本作の監督は『グレムリン』のジョー・ダンテです。68歳にもなって何を撮ってんだ。

ザック・ギャリガン
2587円
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また、B級映画に思えてキャストがじつは豪華だったりします。
主役は『スター・トレック』『ターミネーター4』のアントン・イェルチン、ゾンビ・ガール役は『トワイライト』シリーズのアシュリー・グリーン、まともな今カノ役は『パーシー・ジャクソン』シリーズのアレクサンドラ・ダダリオです。なんでこんな映画にでているんだお前ら。
ダダちゃんがかわいい、本当にかわいい(大事なことなので2回言いました)ので、きっと生きている女性がいまよりも大好きになれるでしょう(そうか?)

ゾンビガール2※彼女は生きているよ

いちおう下ネタが満載で、グロも少なからずやあるR15+指定の映画なのでそこだけはご注意を。
10月31日のハロウィーンでは、ヒューマントラストシネマ渋谷で19時から観られますよ!オススメです。

オススメレビュー(ほんの少しだけネタバレ注意)↓
<Tinker,Tailor,Soldier,Zombie : Burying The Ex(2014)>

(C)2014 BTX Nevada, LLC All Rights Reserved.

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2015-10-30 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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映画『カイト/KITE』は恵まれた実写映画化だった(ネタバレなし感想)

劇場で観ていたのに、レビューのタイミングを逃してしまった映画カイト/KITEをいまさらながら紹介します(現在レンタル中です)

インディア・アイズリー
3756円
powered by yasuikamo

個人的お気に入り度:6/6

一言感想:かわいい女の子が殺し屋の時点で最高じゃないか!

あらすじ


少女たちを性の奴隷として取引することが横行する近未来、両親を殺されたサワ(インディア・アイズリー)は、父の親友だった刑事アカイ(サミュエル・L・ジャクソン)に殺し屋として育てられていた。
サワは標的である組織のボスに近づいていく途中で、オブリ(カラン・マッコーリフ)という少年と出会うのだが・・・




本作の原作は18禁指定の日本製のアニメです。

1536円
powered by yasuikamo

※非18禁のインターナショナルヴァージョンはアマゾンビデオでも観れます。



※原作アニメの冒頭部分。大いにグロ注意。

その世界観、少女が殺し屋として暗躍するプロット、残酷性と爽快感を併せ持ったアクション描写が日本だけでなく世界中で評価をされました。
本作のハリウッドでの実写化は、コアなアニメファンには待望のことだったと思います。


しかし・・・本作の評価は芳しくありません。いや、それどころかIMDbでは4.6点Rotten Tomatoesでは衝撃の0%です。

なぜそんなに評価が悪いのか・・・といえば、だいたいの理由が原作アニメから世界観を変えてしまったことにあると思います。

原作は『AKIRA』チックなゴミゴミした都会が舞台でしたが、映画では「少女たちが性の奴隷として売られる、荒廃した近未来」が舞台となっています。
これにより、原作の「主人公のサワが性的な奴隷になっている」という、ヒロインの「特異性」「孤独感」がなくなっています。

さらに、キーパソーンのアカイ(ヒロインの育ての親)のキャラを、原作とはまったくの別人にしています。
原作のアカイは、ヒロインの両親を殺した上に、ヒロインを性的に弄ぶというど畜生なのですが、そうした魅力(?)もなくなっています。


だけど、自分はこのふたつも肯定的に捉えたいです。

崩壊したビルが立ち並ぶという、すさんだディストピアとしてのしての魅力も十分で、低予算ながらも世界観はしっかりと構築されています。
奴隷として売られる少女たちをヒロインが助けるという、「義賊」「ヒーロー」ものとしてのおもしろさもあります。

アカイのキャラ変更も、(結末まで観れば)しっかりとした意図があります(映画の彼は「矛盾を抱えた存在」になっています)。
終盤のセリフを拾えば、彼の哀しみや苦悩も十分に感じられるのではないでしょうか。


そして本作は、性的に虐げられた女の子が、女性を性の道具としか見ていないクズ男たちをぶっ殺していくという大変素晴らしい話なのですよ。

こんな男どもは殺して当然!と『ジョン・ウィック』のように主人公を応援できるだけで、個人的にはもう満点の映画なのです(6点満点で)。


さらに、本作では原作で印象的だったシーンのほとんどを再現しています(残念ながら、だいぶ縮小して描かれたシーンも多いけど)。
世界観を変えつつも、原作へのリスペクトは存分にある。これだけで本作を嫌いになるわけがありません。


何より、インディア・アイズリーちゃん演じる殺し屋がカワイくてエロいというのが大変けしからんのです(笑顔)。
しかも彼女、戦闘力が高い反面、薬物中毒者なのでどうしても心配(感情移入)してしまうんですよね・・・「強いけどか弱い」というキャラクターもいいのです(監督が彼女を「正気を失ったケイト・モスみたいだ」と言っているのに笑いました)。


しかも(自分は吹き替え版は観ていませんが)主役ふたりの吹き替え声優が沢城みゆき小野大輔と超豪華でした。
峰不二子と空条承太郎の掛け合いが観られるのはこの『カイト』のみ(たぶん)!声優ファンはぜったいに観ましょう。


あ、言い忘れていましたけど、本作はR15+指定で残虐描写がてんこもりなのでそこだけはご注意を(むしろご褒美)。

ちなみに、『デッドコースター』『スネークフライト』のデヴィッド・エリスが本作を監督するはずでしたが、撮影地で急死(死因はいまだに不明)したたためにラルフ・ジマンが撮影を引き継ぐことになりました。
作品を観ると、確かにデヴィッド・エリス監督のエッセンスを十分に感じられる内容になっていました(おもにグロ方面で)。

デートではオススメしませんが、ひとりで観る映画としてはかなりオススメ。かわいい美少女がグロく敵をぶち殺しまくるのが観たい方はぜったいに観ましょう(笑顔)。

おすすめレビュー↓
カイト/KITE(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて
キネマ・アイランド | 忘れゆく過去にすがって。『カイト KITE』感想。

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2015-10-29 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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『ギャラクシー街道』真の映画史上最大の事故物件(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はギャラクシー街道です。


個人的お気に入り度:0/10

一言感想:
×5億人


あらすじ


差別主義者が何も反省もせずにそのままハッピー(偽)エンドを迎える話。




この映画を観ていたとき、自分の頭の中にヨロコビはいませんでした。

もう絶望しかない」「観ているだけで全身の細胞が潰れて感情がひとつひとつ死んでいく音が聞こえてくる」「隠し撮りした映画泥棒が自殺するレベル」などの罵詈雑言が溢れかえっていた本作ですが、その期待をさらに下回ってくるすさまじさです。


もうね、一言感想で書いた通り、この映画すげえ不愉快なんです。
なぜかと言えば、8割がたのキャラの一挙一動がとにかくムカムカするものばかりで、その印象が覆えったり、反省するシーンがほぼ皆無だから。

ちょっとだけネタバレですが書いてしまいます。
たとえば、ハンバーガー屋の店主である香取慎吾星人(主人公)が、お客さんの西川貴教星人のことを「ベチャベチャで気持ち悪いから帰ってもらえ!」って言うシーンがあるんです。
「なんだこのクズ主人公は」と思うでしょう。それと同時に、この後にその印象を覆す出来事が起こるんじゃないかと思うでしょう。そんなもんはないです
(例を挙げるのはここまでにして、ほかは↓ネタバレで書きます)。

差別主義者が差別主義者のまま終わってしまう
こんな不愉快な描写のまま、なんの進展もないまま結末を迎えるなんて、とても信じられません。

ほかのキャラも不快な連中ばかりです。

・浮気セックスしたい地球人
・初対面でベローンと顔を舐める星人
・ボンテージに身を包んで一方的に求婚する星人
・仕事が適当で、しかもいらんことばっかりする星人

いかにこの映画(とも呼びたくねえ)を観ていたとき、自分の頭の中がムカムカでいっぱいになったかわかっていただけたでしょうか(わかってほしい)。
綾瀬はるか星人だけがまともなキャラで、しかも超かわいいのが唯一の救いでした。


さらには群像劇としてもまったくおもしろくありません

こうしたグランドホテル方式の作品のおもしろさとは、登場人物の行動がほかのところ影響を及ぼしていたり、行動が積み重なってやがて大きな偶然や奇跡が起こる・・・そういったことでしょう。

序盤ではそうした群像劇っぽさはそれなりに感じられるのですが、やがてただのエピソードの乱発となり、そのエピソードそのものがつまらないのだから(文字通り)お話になりません。

また、各エピソードのオチも最悪なものばかりです。
どういう結末かは・・・これもネタバレになるので↓に書きます。とりあえず、ムカムカを通り越してすべての感情が死んだとだけ言っておきます。


これが、これが本当に、三谷幸喜が監督・脚本を手がけた作品なのでしょうか。
自分は『12人の優しい日本人』が大・大・大好きで、(監督としてはともかく)脚本家としては素晴らしい方だと思っていた(過去形)んです。
まさか、『ステキな金縛り』でのちょっぴりの不快な描写(幽霊の無実を証明するはずの物語なのに、それがおざなり)が、15億倍くらいに膨れ上がってくるなんて思ってもみませんでした。

そういえば、三谷幸喜は好きな映画の一本として『ギャラクシークエスト』(その元ネタの『サボテン・ブラザース』も)を挙げていました。
また、本作のタイトルの『ギャラクシー街道』の「街道」は、『銀河ヒッチハイクガイド』の「ガイド」から取ったそうです。

 

自分はタイトルから、そうしたSF作品のオマージュやパロディを期待していたのですが・・・残念ながら『惑星ソラリス』ネタのマズい使いかたしか感じることができませんでした。
<これのネタの使いかたはちょっと・・・

※自分は観ていなかったのですが、『バーバレラ』へのオマージュもあったそうです。

そういえば、本作の舞台はほぼハンバーガー屋さんだけです。作品は非常にこじんまりとしています。
なぜ宇宙が舞台なのか?と言えば、宇宙人=エキセントリックな人種であり、その交流によるおかしみを描きたかったということなのでしょう。
その意図はわかるんですが、本作で出てくる宇宙人がエキセントリックを通り越しまくって超絶不愉快なのは、どう考えても失敗しています。

また、本作の登場人物にある問題はほとんどが「痴情のもつれ」です。
それをメインにしたのは悪くないと思うのですが、短絡的な下ネタが多いのもどうかと思う。
本作はG指定で、卑猥な単語が出てくることもそれほどないとは言え・・・自分はこれを子どもに見せたくはありません。


いいところもあります。

まずは豪華キャストがヘンテコな役を生き生きと演じていること。
綾瀬はるかは本当にかわいい(←2回目)し、香取慎吾は問題を抱えた男を好演しています。「こんなアクの強すぎるキャラをあの大物が演じるなんて!」というだけでけっこう楽しいのです。おかげで観ている間はわりと退屈しません。
つぎにどんなヘンテコなシーンが出てくるのかな?と期待をさせてくれます(そしてそのフラグは全部へし折られます)。

もうひとつは超大御所・種田陽平さんが手がけた、いい意味でチープに見える美術。
「宇宙にあるハンバーガー屋さん」がポップな装飾で作られており、その造形は眺めるだけで楽しめます。

途中ではさまれるアニメもかわいくていい出来です。
オープニングですべての登場人物をアニメで紹介するかと思いきや、香取慎吾と綾瀬はるかだけで終わったのは予算不足っぽさを感じてしまいましたが、これくらいなら許容範囲です。
メリー・ポピンズ』のオマージュだと思われる、2Dアニメと実写との融合も好きでした。


で、これらのいいところをすべてぶち壊すほどに脚本が最悪なんです。
言い換えれば、監督・脚本以外は本当に素晴らしい仕事をしています。

ワンマン体質により、ここまでヒドい作品ができてしまうのかと、誰か止めるものがいなかったのかと、悲しくてしかたがありませんでした。

これ、何かに似ているなーと思ったら、松本人志の映画ですよね。

<精神性はこいつと大差ない

「俺がよければええねん」という、観客を楽しませる気概がない作風は心底絶望するしかありませんでした。


本気で、三谷幸喜は(精神的に)大丈夫なのかと心配してしまいました。
ただ単につまらないだけでなく、この物語からは三谷さんの人間不信というか、人の幸せを妬むような心の闇が見えるんです
三谷さんは「観た後にあったか〜い気持ちになれる秋にぴったりの映画です」と言っていますが、実際は寒々しいどうでもいいやりとりが繰り返されるだけです(しかも氷点下レベル)。

あと、この映画で最終的に告げられるメッセージがすげえ大嫌いなんですけど。
メッセージそのものには問題はないのですが、映画の結末と絡めると本当に醜悪なものにしか思えません。

「映画秘宝」では、『ファンタスティック・フォー』が「映画史上最大の事故物件」と語られていましたが、真の事故物件はこっちですよ。


とりあえず言いたいことは以下です。

ク◯映画には2種類ある!
貞子3D』や『MONSTERZ』は一周回ってゲラゲラ笑えるいいク◯映画だ!
少林少女』や『恋空』はただ不愉快で腹の立つ悪いク◯映画だ!
『ギャラクシー街道』は圧倒的に後者だ!

そういうことです。
家族やデートでは絶対に観ないほうがいいでしょう。
どうしても気になるというのであれば、ひとりで観に行きましょう。

強いて言えば、唯一オススメできるのは、ものごっつかわいい綾瀬はるか(←3回目)を見たいファンの方々でしょうか。でも『海街diary』を観たほうがいいと思います。


本作は興行成績が初登場1位で、すでに鑑賞者(犠牲者)は20万人を超えています。
これは宣伝のなせる技でしょう。
願わくは、映画大国アメリカのように、本当にヒドい作品はたとえ大宣伝をしようがヒットしない、おもしろい映画がこそが口コミで広がっていく・・・日本もそうなることを望みます。

以下、結末も含めてネタバレです この映画への怒りをすべて吐き出します↓

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2015-10-28 : 映画感想 : コメント : 14 : トラックバック : 0
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映画『ギャラクシー街道』では大竹しのぶと香取慎吾が危険信号を発していたという話

現在公開中の『ギャラクシー街道』がすさまじい映画すぎて絶望しています(現在進行形)

<こういうビジュアルは好きなんだけど・・・

Yahoo!映画で1.83点(5点満点)coco 映画レビューで4%(100%中)という評価は伊達じゃありません。

芸能サイトでニュースになるほど、各方面で悪い意味で話題を呼ぶのもうなずけました。

<三谷幸喜、不敗神話崩壊!? 『ギャラクシー街道』にファンからも失望の声|Real Sound>
<『進撃の巨人』超え!? “史上最低映画”『ギャラクシー街道』評価散々で、三谷幸喜の「あのドラマ」が不安 - エキサイトニュース>
<『ギャラクシー街道』、「最低最悪作」と大荒れ! 主演・香取は「ドラマも民放最下位」の窮地|サイゾーウーマン>

とりあえず自分が観た感想を端的に述べると、
・「つまらない」どころか「不愉快」だった
香取慎吾を含めたキャストが可哀想
ということでした。

こんなヒドい内容になって、この映画の関係者は不満じゃないのか?と思うところですが、実際に大竹しのぶと香取慎吾は完成披露試写会舞台挨拶でわりと本音を言っていました

以下の中継を見てみてください。



・・・・

えーと、耳を疑いますよね。



大竹しのぶ「あのー、本当にくだらなくて、なんにもない映画なんですけど」(香取慎吾が止めようとする)

香取慎吾「この映画ができて、今後の日本のエンターテインメントはどうなってしまうのか?大丈夫か?
インタビュアー「ある種不安になるくらいの?」
香取慎吾「そうですよ。ある種、もはや不安になるくらいの!歴史に刻まれる映画だと思います」
(両手を捧げて天を仰ぎ見る香取慎吾)



( ;゚Д゚)<!?

す、すげえよ。もはや大竹しのぶは包み隠さずディスってんじゃん!

香取慎吾のほうも日本映画の今後を心配しているじゃないか!

香取慎吾のセリフを、本音に変換してみるとこうなるのではないでしょうか。



香取慎吾「こんなヒドい映画ができるようでは、今後の日本のエンターテインメントは不安しかありません。歴史に刻まれる駄作だと思います」



これは、すごく覚悟のある言葉だと思います。
映画の出演者は(当たり前ですが)映画を悪く言うことなんかできません。

でも香取慎吾は、目的語を濁して直接映画を貶めることを避け、なおかつ(気づく人には届く)「今後の日本のエンターテインメントが不安」というメッセージを贈っているのです

ちなみに、『ギャラクシー街道』で香取慎吾が演じるのは差別主義者の地球人という性格の悪いキャラでした。
香取慎吾はふだんのイメージを封印して、このクズなキャラクターを好演しています。

香取慎吾は、役に恵まれない方です。
座頭市 THE LAST』『こち亀』『人類資金』での役はヒドくミスキャストであったし、不入りだった駄作ばかりです。

『ギャラクシー街道』では彼に確かな演技力があることを知りましたし、この舞台挨拶では映画界の今後を心配するほどに情熱に溢れた方であるとわかりました。

自分は香取慎吾と、『ギャラクシー街道』に関わった方々を心から応援します(三谷幸喜以外)。


もちろん、本音をじぇんじぇん包み隠そうとしない大竹しのぶのことももっと大好きになりました。

ちなみに、映画で大竹しのぶが演じているのは「職場でいらんことばっかりする同僚」という、奇しくも『インサイド・ヘッド』で大竹しのぶが声を当てていたカナシミと似たキャラでした。
まさか、現実でも(三谷幸喜にとって)いらんことをするとは思いもしませんでした。

↓綾瀬はるかも「……えっ?」
<三谷幸喜、「ギャラクシー街道」舞台挨拶で香取慎吾を「宇宙一熱い男」と称賛 - 映画ナタリー>

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2015-10-27 : いろいろコラム : コメント : 9 : トラックバック : 1
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映画『ターボキッド』チャリ版『マッドマックス』は最高のラブストーリーだった!(ネタバレなし感想)

今日の映画感想はターボキッドです。

マンロー・チェンバーズ
3036円
powered by yasuikamo

※DVD&ブルーレイは2016年1月13日発売予定

個人的お気に入り度:10/10

一言感想:古き良きB級映画が、いまここに(大感動)

あらすじ


核戦争によって文明が崩壊した1997年。水をめぐった争いがくり広げられる世界で、少年キッドはたった1人で生き延びてきた。
ある日、キッドは謎の美少女アップルと出会うが、彼女は極悪首領ゼウスによって誘拐されてしまう。
時を同じくして、カウボーイの男は弟の仇を討つために、ゼウスのアジトに乗り込もうとしていたが・・・




ごたくはいいからさっさと観ろ!

いやあもう最高です。この作品がいかに素晴らしいかって、まずはその超低予算っぷりを語らずにはいられません。

まず、撮影場所が明らかにどこにでもありそうな荒れた土地です。
ちょっと遠出すれば誰でも撮れそうです。

主人公は「ターボライダー」というアメコミに憧れてヒーロースーツを着るのですが、まあそれが安っぽいこと

ヒーロースーツですよ<マジすか

こいつの武器がファミコンのコントローラーの「パワーグローブ」っぽかったのには、感動して泣いてしましました(泣くよね?)

パワーチャージ<ちゃっちい
パワーグローブ画像の出展はこちら

さらには秘密基地にあった操作パネルが「プラズマボール」だったりするぞ!

<簡易的なものであれば1000円ちょっとで買えます。

この溢れんばかりの低予算臭だけでも大好きにならざるを得ないでないですか!(だよね?)

しかしそんなことはまだこの映画ではほんの序の口です。
本作の大きな見所のひとつは、『マッドマックス2』のような世界観において、ザコたちがチャリで襲ってくることですよ!

移動手段はチャリ<怖い光景
なぜか傘<なぜかを被ったジャパニーズな敵が出てきます
チャリで追いかけっこ<チャリで追いかけっこ
<こういうBMXが移動手段でした

さらには、『北斗の拳』のジャギ様みたいなのが、チャリに乗ったまま強敵として待ち構えているんですよ!

チャリに乗ったジャギ様<超かっけえ

この光景を観るだけで、嬉し涙が止まりませんでした(泣くよね?)

マッドマックス 怒りのデス・ロード』の画像と並べてみると、こんな感じになりますよ!

ひゃっはー
そのギター重い
バランスが大事
移動手段はチャリ

いやあ、比べてみてもどっちがどっちの映画かわかんないよね!(笑顔)

舞台が資源の少なくなった近未来だから、移動手段がチャリになっているというのはある意味で合理的ですよね。
『マッドマックス 怒りのデスロード』のみなさんはガソリンを無駄にしすぎだと思います。


本作の素晴らしいところはそれだけじゃないぞ!なんと言ってもヒロインが死ぬほどかわいいんだ!(力説)

かわいい4<かわいい
かわいい1<かわいい
かわいい2<かわいい
かわいい<天使?

このヒロインは、主人公のところに現れて、唐突に「友達になりましょう!」と言ってくれる、超純粋な女の子です。いきなり目の前にかわいい女の子が現れてモテモテになるという男の子の夢を叶えてくれます。
ついでに、ちょっとだけヤンデレ化して怖くなるときもあります
(ちょっとエキセントリックだけど)この子を守りたいと思わない奴は男じゃねえぞ!

そして、この彼女とウッフアハハと自転車デートができるんですよ!

チャリでデート<チャリでデート

二人乗り<この後に最高に萌えるシーンが!

えーとね、なんでしょう。結婚してください
世界の中心で、愛をさけぶ』のふたり乗りのシーンよりさらに悶絶できました。

なお、キャスト陣は無名の方が集まっていますが、悪役を演じているのはベテランのマイケル・アイアンサイド。いろいろなところで悪役として見かける彼は、本作においてもイモータン・ジョー様に負けず劣らずの悪漢の魅力を見せてくれました。


まだまだあるぞ!本作はアホらしいスプラッター描写が満載だ!
首チョンパ(血がブシュー☆)なんて序の口だ!ときには腸だって飛び出ちゃうぞ!
超悪趣味だけど、終盤では慣れちゃって大爆笑できるぞ!


※予告はグロ注意

本作は映倫さんを通していないんだけど、R15+指定が妥当でしょうね(ちなみにエロはほぼ皆無です)。


音楽も最高だ!
何に似ているかと言えば、『スネーキーモンキー 蛇拳』がもっとも近い。あの浮遊感のある音楽にノレる人もぜったいに観るべきです。



音楽を手がけたのはカナダのアーティスト・Le Matos
その素敵な楽曲の数々は、以下の記事を参考にするんだ!
<青春チャリンコゴアアクション映画「ターボキッド」のサウンドトラックを手がけたカナダのシンセウェイヴユニット「Le Matos」>


そしてストーリーも素晴らしい!

本作は主人公の成長物語+カウボーイの復讐劇+ラブストーリーが組み合わさり、そのどれもがバランスよく構築されています。

ヒロインはただ守られるだけの存在じゃなくて、しっかりと愛する男のために戦う!
主人公は女の子が苦手なヘタレな少年だったけど、やがて彼女を守るための男として成長していく!
なんて素敵なラブストーリーなんだ!

しかも物語にはとある「秘密」が隠されています
この秘密は意外な展開で驚かせるだけでなく、SF的な哲学も想起させます。
B級映画かと思いきや(そうなんだけど)、思いもよらぬ「深さ」まであるのです!

なんて・・・なんて素晴らしい大傑作なのでしょうか!。
この手のB級映画の評価が厳し目なrottentomatoesで86%というのは伊達じゃあない、ひとりでも多くの人に観て欲しい作品です。


いやーしかし、ビジュアルをいろいろと見ても、これが2015年制作の作品とはとても思えませんね。
死ぬほどわかりやすい合成でエフェクトを作っていますから。

turbo_002_large.jpg※2015年の映画です。

本作は古き良きグラインドハウスにもリスペクトを捧げた作品なのでしょう。
グロい!チープ!サービス精神満点!そんな映画をポップコーンを頬張りながらガハハと笑いながら観る!最高じゃあないか

ていうか映画の舞台が1997年の未来というのが完全に狙っていますよね。
もうもうそれ18年も前だよ!たぶん『ニューヨーク1997』も愛しているんだろうな。

ついでに、明らかに『子連れ狼』っぽいシーンもありました。

<まさかここまでリスペクトしているとは・・・

あらゆるジャンル映画へのオマージュ具合も、愛おしくて仕方がありません。


ちなみに、本作はもともと、オムニバス映画『ABC・オブ・デス』に落選した短編作品でもありました。

ナチョ・ビガロンド
1741円
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本当はお蔵入りになるはずだった作品が、こうして長編として復活した・・・まさに奇跡と呼ぶべき作品なのです。


世の中にはたくさんのB級映画がある。『ブレインデッド』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』『ピラニア3D』・・・どれも大好きな映画だ。

だけど、本作『ターボキッド』の感動はそれを超えていたんだ!
主人公を心から応援し、女の子と恋に落ちて、アクションに熱くなる。
泣いて笑って、意外な展開に心踊り、あっという間にエンディング・・・こんなにもお金をかけていないのに、映画とはこれほどまでに心を動かすのかと、改めて感動した次第です。

そりゃあまあチャリに乗ったままのアクションが少ないとか、一部の編集がおぼつかないとか、ささいな欠点はあります。
あまりのも残虐さ、チープさに眉をひそめる人も少なからずやいるでしょう。

それでも、これはB級映画ファンならぜったいに観ないといけない作品だ!
もちろん『マッドマックス』シリーズファンにとっても最高の映画だ!
B級映画にはお金がないが、それを上回る圧倒的なアイデアとサービスを詰め込む!その魅力を体験できるのだから。

本作が観られるのは、今年はヒューマントラストシネマ渋谷名古屋の映画館シネマスコーレが10月30日(金)まで、あとは京都・立誠シネマで11月14日(土)〜11月27日(金)だ。
それがわかったら、近くに住んでいる方は見逃すんじゃないぞ!

※今回はそのおもしろさを体験してほしいので、ネタバレは書きません。さっさと劇場に行きなさい。またはDVDのレンタルを待ちなさい。

おすすめレビュー(グロあり、ほんの少しだけネタバレ注意)↓
<映画感想 - ターボ・キッド(2015) - にっきにっき>

キャストのインタビュー↓
<映画『ターボキッド』マンロー・チェンバーズ(キッド)インタビュー - YouTube>
<映画『ターボキッド』ロランス・ルブーフ(アップル)インタビュー - YouTube>
<映画『ターボキッド』マイケル・アイアンサイド(ゼウス)インタビュー - YouTube>

やけにファミコンテイストを感じると思ったら、やっぱりか!↓
<青春ディストピア映画『ターボキッド』の監督にインタビュー&特別映像 | コタク・ジャパン>

本作における秘密に関わるツイート(ネタバレになるので未見の方はクリック禁止)
<大傑作80年代風映画『ターボキッド』のヒロインの武器について>

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2015-10-26 : 旧作映画紹介 : コメント : 4 : トラックバック : 0
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映画『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』ツッコミどころ満載鬼ごっこ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はメイズ・ランナー2:砂漠の迷宮(原題:Maze Runner: The Scorch Trials)です。


個人的お気に入り度:3/10

一言感想:既視感とワンパターン化がツラい

あらすじ


巨大迷路を攻略し、出口を見つけたトーマスたちは、自分たちを操っていた“WCKD(ウィケッド)”という組織の存在を知る。
身柄を施設に保護されたトーマスは、その場所でWCKDによる人体実験が行われていたいたことを知る。
命の危険を察したトーマスは、テレサ、ニュート、ミンホ、新たに加わったエリスとウィンストンらとともに、施設から脱走する。
しかし建物の外には、崩壊した砂漠のような光景がどこまでも広がっていて・・・




ベストセラーの小説化の第2弾、『メイズランナー』の続編です。

ディラン・オブライエン
3188円
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前作のレビュー↓
<彼らのいた時間 映画『メイズ・ランナー』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー カゲヒナタのレビュー>

前作がなかなかに楽しめたので期待していたのですが・・・その出来栄えはいいものとは思えませんでした。

(1)謎が解明されてしまっている。
前作は「誰がこの巨大迷路を作っているのか」「どうやって脱出するのか」という「謎」を作って観客をグイグイひっぱっていたのですが、本作にはそうした謎がほとんどありません。
WCKD(組織)の目的はほぼネタばらしされています(まだあるのかもしれませんが)し、これから攻略していく場所には「何があるのかわからない」ということしかありません。
これではワクワクできないではないですか。

(2)展開がワンパターン化している
前作はあの手この手のトラップがおもしろかったのですが、今回は何か事件が起きる→逃げるという展開を繰り返しています
(逃げる理由はそれぞれ違うとはいえ)ほぼ同じ展開が2〜3回はあったため、かなり退屈してしまいました。

(3)主人公に感情移入できない
本作の主人公は、前作以上に後先考えない直情野郎です。
前作ではそのことが「革新派の主人公」として映り、保守的な少年グループとの対立する様子がおもしろかったのですが・・・本作ではさすがにやりすぎで、どうにも応援しづらいものがありました。

(4)世界観にツッコミどころがある。
砂漠を移動するとき、食料を気にするシーンが皆無なのは気になりました(水を飲むシーンは最低限あってよかったけど)。
外の世界は「灼熱の砂漠」という設定だったはずのに、そのような灼熱感もほとんどありません。ただの広い砂場です。
さらには終盤の展開もどうしても納得いかないのだけど・・・それはさすがにネタバレなので↓に書きます。

(5)既視感満載
前作は『CUBE』『蝿の王』『進撃の巨人』の既視感(デジャヴ)がありましした。
本作は『アイ・アム・レジェンド』(←だいたいの雰囲気)『マッドマックス2』(←だいたいの雰囲気)『ロストワールド』(←中盤のアクション)っぽさを感じまくりでした。

  <それっぽかった。

既視感のある展開がむしろ楽しいというパターンもあります(来週公開の『PAN ネバーランド、夢のはじまり』など)が、本作では単にアイデア不足に思えてしました。


いいところもいっぱいあります。
荒廃した街のビジュアル、絶対に不利な道に身を投じる少年たちのドラマにはグッと来ましたし、とにかくアクションを詰め込んで楽しませようとする気概も十分に感じられます。

好きだったのは、ちょっとだけ不道徳な描写もあったこと。
前作では「あんな空間に若者を閉じ込めたら性の乱れが起きるだろ!」という重大なツッコミどころがありましたが、本作では少〜しだけ性的なことに言及していたりします。
G(海外ではPG-13)指定ギリギリの残酷描写もあり、妥協のなさは存分に感じられました。

だけど・・・それだけでは娯楽映画としては不十分なのです。
ある程度は、「謎」と、「納得ができる世界観」がなければ、出来事すべてが絵空事に思えて、どうにも物語に入り込めません。

『マインクラフト』とコラボした宣伝は好きだし、こうしたジュヴナイルものは大好物の部類なので応援したいのですけどね。
でもはじめしゃちょーやヒカキンを使った宣伝はこれっきりにしようぜ。

あ、ちなみに邦題には「迷路」を意味する単語がふたつ並んでいますが、映画本編はこれっぽっちも迷路っぽさはありません
原題は「The Scorch Trials(焦土の試練)」であり、迷路から離れて悪(?)の組織と戦う話になっているんだから、これはしょうがないですね。
強いて言えば、序盤でダクトをくぐっていくのは迷路っぽいです(本当に強いて言えばレベル)。

前作の続きを是が非でも観たい!という方には、過度に期待しなければ十分オススメします。
エンドロール後のおまけはありませんので、途中で帰っても大丈夫ですよ。

以下、結末も含めてネタバレです ていうかツッコミを入れまくっているだけです。↓

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2015-10-25 : 映画感想 : コメント : 8 : トラックバック : 0
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映画『ヴィジット』シャマラン監督は低予算のほうがおもしろい法則(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はヴィジットです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:POVになってもシャマラー大歓喜

あらすじ


15歳の姉ベッカと13歳の弟タイラーは、ペンシルバニアに住む祖父母のところに1週間だけ滞在することになる。
やがて祖父母は異常な行動をするように・・・




『シックスセンス』『アンブレイカブル』のM・ナイト・シャマラン監督最新作です。

シャマラン監督好きのことを、世間一般的に「シャマラー」と呼ぶそうです。

なぜ彼が愛されるかといえば、「『シックスセンス』以外はちょっと・・・」なダメな子っぽさと、前半はすげーワクワクするけど後半で「あれ?」な肩すかしになるだいたいの作品のトホホっぷりでしょうか(自分もそんなシャマランたんのことが大好きです)。

挙句の果てには、どんでん返しを期待されるあまり、漫画家に「『シックスセンス』のネタを使い回すんじゃね?」と言われるありまさですから。

新條まゆたん容赦ねえなあ(※これは本心で描いているわけではなく、シャマランを愛しているがゆえのイジりだと思います)。

で、本作はシャマラン監督による『ハプニング』以来7年ぶりのゴリゴリのスリラー(ホラー)映画になるわけです。
アフター・アース』ではシャマラン監督がびっくりするほどアピールされていませんでしたが、今回はシャマラン監督であることを宣伝で大きく打ち出しています。

待った・・・この映画を待っていましたよ、いちシャマラーとして!(震えながら)
映画.comが「最近、期待に十分応えきれず、申し訳ございません」「今回こそ期待してください、信じてください!」とシャマランの代わりお願いしているのには軽く感動して泣いてしまいました(泣くよね?)


さて、本作の何がびっくりしたって、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』『クローバーフィールド』『トロール・ハンター』『ラスト・エクソシズム』『イントゥ・ザ・ストーム』『V/H/S』シリーズのようなPOV(主観視点)ものであったことです。

  <だいたいこれらといっしょのジャンル

シャマラン監督がこの方式で撮ったのは、「なんだい!みんなPOVばっかり撮って、しかもヒットしやがって!俺もやってやる」みたいな理由なんでしょうね。かわいい(※ただの想像です)。

それは冗談として、POVにしたことで「視界が限定されるがゆえの恐怖」が描かれていたのは好感触です。
撮影される映像は「子どもふたりによる記録映画」という設定になっており、これがちゃんと作品のテーマと絡むものになっているのも大好きでした。

そして、本作はPOV映画の例にもれず、500万ドルという低予算で仕上がりました(もちろんシャマラン監督作品のなかでもぶっちぎりの低予算)。

いままでのシャマラン監督作品の制作費をグラフにするとこんな感じです。

シャマラン監督グラフ1
※単位は万ドル

ついでに、みんなのシネマレビューの点数をグラフにするとこうなりました(『ヴィジット』は未採点)
シャマラン監督グラフ2
※10点満点

ええと、なんだかいい感じに制作費と評価が反比例になっている気がしますね。

シャマラン監督はやっぱり低予算で、(語弊はありますが)地味な作品のほうがいいんじゃないかな?
『サイン』は「宇宙人の侵略を一家の目線だけで描く」という(豪華キャストがなければ)お金をかけずに作れそうな作品だったし、『アフター・アース』はもともと壮大なSFでないこじんまりとした作品だったし、シャマランにはそうした作品のほうが似合っていると思います。


個人的に大好きで仕方がなかったのは、「しっかりもののお姉さん」と「おしゃべりな弟」というコンビを主人公としたこと。
これは『ジュラシック・パーク』を思わせました。

<少年少女が恐竜と知恵比べをします。

しかも戦う相手は恐竜ではなく、ちょっと(?)おかしなジジババというのがおもしろい。
少年少女VSジジババの頂上決戦が観れるというのは、ほかのPOV作品にはない魅力です。

また、本作はグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」もモチーフにされていると思います。
幼いきょうだいが、ヤバい家に行っちゃったというプロットが同じですし、作中に出てくる「オーブン(かまど)」のシーンはモロにそれっぽいです。


言っておかなければならないのが、本作がガチで怖い作品であること。
詳しくはネタバレになるので言いませんが、終盤ではトラウマになりかねない衝撃映像も満載。心の弱い方にはとてもおすすめできません。

なお、ホラーといえども残虐な描写はほぼ皆無なので、子どもでも観れることは観れます(少年少女が主人公なので、同じ世代であれば感情移入がしやすいでしょう)。いや、これを子どもが観ると号泣しかねない怖さだと思うけど・・・。

POVになったからシャマラン監督の持ち味が損なわれてしまったんじゃないか?と思う方もご安心を。
ヴィレッジ』のような美しくも恐ろしい林の映像もありましたし、シャマラン印のどんでん返しもしっかりあります。
これはカンのいい人なら読めるけど、なんとなく観ていたのでは気付かない、絶妙なバランスでできている「秘密」でした。
あとで思い返すと、「あのときのセリフはじつは・・・」と気付ける楽しみもあったりします。

ちなみに、シャマラン監督はTwitterで、本作には「純粋なコメディ」「純粋なホラー」「コメディとホラーの中間」の3つの構想があったことをつぶいやています。
けっきょくは純粋なホラーが選ばれたわけですが、作中に笑えるシーンがあるのは、この3つの構想があったことの名残なのでしょうね。

残念だったのが、POV映画にありがちな「思わせぶりな恐怖シーンになんの意味もなかった」というのがあったこと。
シャマラン監督ならではの肩すかし感は大好きですが、そこの肩すかしはちょっといらなかったかな。

そんなわけで、シャマラーを自覚する人、POV方式のホラー映画が大好きな方にとっては、上記のお気に入り点数に+1点してもいいでしょう。
低予算ならではの安っぽさ、POV映画が苦手な方はー5点くらいで。

個人的には「ジジババが敵?そんなの怖くねーよ!」な人にこそ観て欲しいですね。いや、マジでジジババが怖いんですって。そこはまず裏切られないと断言します。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2015-10-24 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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実写映画版『バクマン。』まさかの努力、友情、勝利にシフト!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

ものすごく遅れましたが、今日の映画感想はバクマン。です。



個人的お気に入り度:8/10

一言感想:ジャンプ読んでてよかった

あらすじ


ただなんとなく日々を過ごしていた高校生の真城最高(佐藤健)は、同級生の高木秋人(神木隆之介)からいっしょにマンガ家になろうと誘われる。
はじめは乗り気ではなかった最高だったが、声優志望のクラスメートの亜豆美保(小松菜奈)への告白をきっかけに、プロのマンガ家になることを決意する。
ふたりは日本一売れているマンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」での連載を目標に日々奮闘するが、その道は甘いものではなかった。




同名の超ベストセラーコミックの実写映画化作品です。


マンガの実写映画化というのは存外難しく、何をどうやろうが原作ファンからの反発は必至。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
しかし、今回の実写映画版『バクマン。』は原作好きにとっても納得の出来であり、むしろ原作が嫌いだという人にも勧められるのではないでしょうか。


原作好きに勧められるポイントのひとつは、リアリティーのあるマンガ関連の美術です。
インクやらカブラペンやらのマンガ家道具は序の口、そのへんに散らかした原稿だったり、資料が多すぎて汚らしい編集部などが本気のクオリティーで作られています。
おかげで、マンガの執筆作業が想像の軽く15倍はメンドくさいことがわかりまくります
いままで「絵」としか見えていなかったマンガの作業の現場が、リアルな実写で見られる―これだけでも本作は確かな意義があります。
(ちなみに原作の作画担当であった小畑健先生は、劇中でのマンガ作品を描き下ろししています。これも見所でしょう)。

さらに、膨大な情報量を持つ原作からの要素を、2時間という尺の中に収める工夫もふんだんにされています。
思い切ったなあと思ったのは、メインヒロイン以外の女性陣と、「親」の要素をすべて排除したことと。
でもこれは英断でしょう。主人公の少年ふたりと、周りの大人たちの描写に止めることで、起承転結があるタイトな物語に引き締まっています。
原作でおもに描かれていたのは、マンガに人生を賭ける少年たちの物語+周りの群像劇。ここを期待しても、裏切られることはないでしょう。


原作嫌いの人に勧められる理由は、この実写版が少年ジャンプの3大原則である「友情・努力・勝利」に則った内容になっていることです。

原作で批判されやすい理由のひとつが「斜めに構えた姿勢」でした。
たとえば単行本の1巻では「自分で計算したつもりはないけれど、ただ男に好かれる女性がもっとも頭がいい」という持論を力説するシーンがあります。
そうした冷静な、しかも一部の読者を傷つけてしまうようなこの「分析」を読んで、気分が悪くなる人も少なくないと思います(それも原作のおもしろさの理由のひとつであはあるのですが)。

しかし、今回の実写版では努力・努力・努力が描かれまくっています。友情や勝利が後回しになる暑苦しさです。
野球マンガ例えるなら、原作は『ONE OUTS』で、実写版は『キャプテン』という感じです(ごく一部にしか伝わらない例え)。
原作でもシンドいマンガの作業現場を描くシーンはありましたが、実写ではそこが何十倍もクローズアップされているのです。

たぶん、本作を観ればわりとマンガ家になりたくなくなるでしょう。
原作でも「マンガ家で食っていけるのはほんの一握り」「少年ジャンプのアンケート至上主義(人気が出なければ打ち切り)」という厳しい現実が突きつけられますが、実写版ではさらに「こんなに大変な作業を仕事にするってヤバいぞ!(肉体的にも精神的にも)」ということを示しまくってくれました。

これはマンガ家ならずとも、夢を持つ若者にぜひ鑑賞してほしい作品だと思いました。
どんな人生の道だって、決して甘くない(ていうか激辛)ことを教えれくれます。


モテキ』でもその手腕を発揮した大根仁監督のスピーディーな演出、サカナクションの音楽について触れないわけにはいけません。

サカナクション
2538円
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サカナクションは主題歌「新宝島」だけでなく、劇中の音楽すべてを手がけています
しかも楽曲が、主人公ふたりがペンを走らせる「音」とシンクロし、さらなる躍動感を生み出すこともあります。
もはや劇中の音楽=サカナクションのニューアルバムという勢い。サカナクションのファンは絶対に観ましょう。



※しかも『新宝島』は手塚治虫の長編デビュー作でした。


また、作中ではCGどころかプロジェクションマッピングを用いた革新的な演出がなされています。
おおよそリアル志向の映画ではありえないものですが、観客を飽きさせないようにサービス精神にあふれまくっていました。

そしてエンドロールのアレ!もうこれはいいから観ろとしか言えない
こんなアイデアを思いついて、形にしてしまうとは・・・本当に恐れ入りました。


難点もあります。

そのひとつが、スマートフォンも出てくる現代を舞台にしているのに、マンガの「デジタル作業」が一切姿を見せないこと。
たとえばスクリーントーンを切り張りする作業は、いまではほとんどデジタルに置き換わっているそうなのですが・・・劇中では主人公たちはすべて手作業でがんばっています(原作マンガでもデジタルの手法が描かれていなかったのですが)。
今回の実写映画ではとことん「マンガ作業の大変さ」を示していたこともあり、デジタルを完全に無視していたのはやはり違和感がありました。

※以下の意見をいただきました。
デジタル作画の件ですが、個人的には大手の漫画家さんはまだアナログでやってる人が多い印象です。
デジタルだとアシスタントさんも在宅になるし、アナログ作業を描いた方が映画としても映えるという部分も大いにあるとは思いますが笑


もうひとつの不満点は、神木隆之介佐藤健の配役は逆だろ!とネットでさんざんツッコまれていた印象が、映画を観ても覆せなかったことでしょうか。



ぶっちゃけ、佐藤健はイケメンすぎて純朴な童貞少年には見えないのです。

ただし、神木隆之介は秀才だけどちょっとチャラ目の少年の役に合いまくった演技を見せていますし、佐藤健の童貞演技はメッチャうまい。佐藤健がヒロインに言う「あ・・・俺・・・キモい、よね」は軽く感動するレベルでした(イケメンなのにソレっぽすぎて)
この「イケメンが童貞を演じる」というのもある意味見所なのかもしれませんし、↓の記事ではおふたりが絶対の自信を語っているので、むやみに批判するべきではないとは思います(でも、逆の配役もちょっと観てみたかったな)。
<【インタビュー】佐藤健×神木隆之介 『バクマン。』キャスト論争への答えと自信! | シネマカフェ cinemacafe.net>

あとは山田孝之演じる編集者の服部哲が原作と似せる気がないだろとツッコミを入れたいところですが・・・もともとのモデルである服部ジャン=バティスト(超イケメン)と山田孝之はそれなりに似ていましたので、まあ文句は言わないことにしましょう(言っているけど)。
(じつは、山田孝之がこの実写映画版で演じた編集者のモデルとなったのは、服部哲でも服部ジャン=バティストでもなく、門司健吾というまったく別の方でした)
参考→【インタビュー】<山田孝之×「バクマン。」担当編集者 映画がさらに楽しくなる「ジャンプ」あるある! | シネマカフェ cinemacafe.net>
今回の実写版は、原作の似せまくるコスプレ大会にするのではなく、実力と人気を兼ね備えた役者を選出しているという印象ですね。悪くないと思います。


そして・・・本作の何がうれしいって、『ジョジョの奇妙な冒険』や『スラムダンク』などの「少年ジャンプ」作品を読んできた人に向けた小ネタが満載なことです。
とあるシーンでは、「少年ジャンプ」作品が好きでよかったと、ガッツポーズをしてしまいそうになるほどでした。

そんなわけで、本作は
・原作ファン
・原作嫌い
・主演ふたりのファン
・「少年ジャンプ」好き
と、分け隔てなくおすすめできる作品に仕上がっていました。

何より、サカナクションの疾走感ある音楽に合わせて、『まんが道』のようなアツいマンガ家ストーリーが展開するのは、本作の唯一無二の魅力です。
個人的には『るろうに剣心』に匹敵するどころかそれ以上の「マンガの実写化」作品の最高峰。あと『スラムダンク』ファンは女房を質に入れでも観ろ(命令)。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください 『スラムダンク』のネタバレもあるのでご注意を↓

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2015-10-23 : 旧作映画紹介 : コメント : 10 : トラックバック : 0
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映画『ジョン・ウィック』復讐ってバカだぞ!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はジョン・ウィックです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:復讐の価値、プライスレス

あらすじ


犬が殺されたうえにクルマが盗まれたので、その仕返しにロシアン・マフィアをぶっ殺しまくります。




えーとね、本作はぱっと見、スタイリッシュで格好いいアクションですよね。
キアヌ様が悲しき復讐鬼を演じる、骨太で硬派な作品に思えますよね。
はい、全然違うからな!(ウソは言っていません)

自分は、本作が「復讐ってバカだぞ!」ということを訴えまくる(ブラック)コメディ映画としか思えませんでした。
これは製作者側も確信犯(←誤用)なのでしょう。無残なまでに人が死んでいくヒドい(褒め言葉)話の中に、アホみたいな登場人物の行動が挟み込まれのでどうしても笑ってしまうんです。

あと、あらすじが↑で書いたように超シンプルなのですが、これでも詳しすぎるくらいですね。
キアヌ様が人をぶっ殺しまくるのが観たい人は迷わず劇場へGO!
そして人が死ぬシーンで盛大に笑う映画なので青少年の健全育成に大変悪いよ!(R15+指定大納得)

あとね、ネットでは「犬が殺されたぐらいで、あんだけ人間を殺しまくるとか、怒りの沸点低すぎじゃね?」というコメントが散見されるのですが、あんなかわいいワンちゃんを惨殺されたら、マフィア皆殺しとか当然だろうが!(←フォントサイズ最大)
ふう、スッキリした。もうこれ以上何も言う必要がありません。

※以下の意見をいただきました。
犬殺されたくらいで復讐するなんて動機が軽いと、いろんなところで書かれていますが、わんこ=死んだ奥さんの残してくれた愛そのもの だと考えると決して軽くないと思えます。



もう少し作品の内容について語りますと、本作は『現金に体を張れ』や『L.A.コンフィデンシャル』などの「フィルム・ノワール」ものです。

 

フィルムノワールとは、広義には退廃的な雰囲気を持つ犯罪映画の総称で、狭義には1940年代前半から1950年代後期にかけて作られた映画の総称です。詳しくは、以下の記事を読むとわかりやすいでしょう。
“ノワール”ってそもそも何だ!? ライムスター宇多丸のラジオで『L.A.ノワール』大特集 - ファミ通.com
フィルム・ノワールベスト100+α①-100 BEST Film-noir ( 洋画 ) - Scarfaceの「映画に狂って・・・」 - Yahoo!ブログ

さらに本作と似ている作品を挙げるなら、「ナメきった相手(主人公)が超ヤバイやつだった!」という内容の『96時間』『イコライザー』『ラン・オールナイト』ですね。

  

さらにさらに、その色彩感覚、画作りは『ドライブ』にそっくりです。



ついでに、作中では「ガンフー」というガンアクションとカンフーを組み合わせたというどうかしているアクションが展開しているので、ガン=カタというか『リベリオン』好きにもオススメできます。



これらの作品が好きであるならば、本作もきっと気に入るのではないでしょうか。

なお、このガンフーにはロシアの格闘技「システマ」が流用されています。



「システマ」については『ツマヌダ格闘街』というマンガで、ものすごくわかりやすく解説されているので、読んでみるのもいいでしょう。



漫画の中のロシア武術システマ 補遺 『ツマヌダ格闘街』追加2 - 火薬と鋼

なんだか危険そうな格闘技に見えますが、その基本が(記事内ではシステマ経験者により疑問が投げかけられていますが)ヨガのようなソフトなものというのがおもしろいですね。
作中でキアヌ様が不死身っぷりを見せつけるのも、システマによる波紋法呼吸法が完璧だったからなのかもしれません(んなわけない)。


本作の難点は、『イコライザー』や『ラン・オールナイト』と盛大にネタかぶりしちゃった(だから日本の公開が遅かった)ことと、いろいろとツッコミどころが満載なことですね。まあ大きな欠点ではないです。

また、本作の主人公の名前の「John Wick」について、少しだけ考えてみます。
Johnは旧約聖書に登場するキリストの使徒ヨハネのことを指し、wickとはロウソクの芯のことです。
また、作中で主人公は「Jonathan(これも旧約聖書のヨナタン?)」とも呼ばれていました。
これから察するに「本作は神の名の下に罰を与える」ような、神話的な皮肉もこめられているのかもしれません。

ほかにも主人公はブギーマンという伝説上の怪物にも例えられていました。
※以下の意見をいただきました。
ジョンの殺し屋時代の呼び名が「バーバヤガ」でしたね
スラヴ地方の妖婆でいわゆる日本で言う山姥的存在。
人喰い魔女としての側面もあり骨の家で暮らすともありますが、主人公が礼節を持った振る舞いをすれば快く主人公が抱える難題の手助けをしてくれたり優しくしてくれます。
ロシア人たちは無礼を働いたことで喰い殺されてしまいましたね…


キアヌ様ファン、フィルム・ノワールファン、『キングスマン』などの不謹慎映画が好きな人には最大級にオススメ。スカッとできますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2015-10-22 : 映画感想 : コメント : 12 : トラックバック : 0
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『UFO学園の秘密』は無宗教者の立場からツッコミを入れる映画だった(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はUFO学園の秘密です。


個人的お気に入り度:5/10

一言感想:プロパガンダとしてうまいから困った



男女共学の全寮制進学校・ナスカ学園。
高校2年のレイ、アンナ、タイラ、ハル、エイスケの5人組は、生徒たちが「天才塾」に行ったきり、脅威的な記憶力を得てしまうという噂を耳にする。
天才塾に行ったというハルの妹に退行催眠をかけると、グレイという宇宙人にアブダクション(拉致)されていたことがわかり・・・




毎度爽やかなまでの駄作・珍作をお届けする幸福の科学映画の最新作です。

いままでの感想(どっちも超デストロイ)↓
<無宗教者にはキツい「ファイナル・ジャッジメント」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー>
<宗教×ダメダメメンインブラック「神秘の法」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー>

えーと、どうしましょう。今回は困ったことにかなりおもしろいです
これまでの映画作品と、どういうふうにビフォアアフターとなったかを簡潔にご紹介しましょう。

<before>
・信じるものは救われるんだZE☆
・救世主(=大川隆法大先生)がひとり現れて全部問題を解決するんだZE☆
・私たちの言っていることは全部正しいんだZE☆
・派手なシーンいれときゃいいんだZE☆

<after>
・思想とかは後回しにして、映画としてのおもしろさをまずは追求している
・青春、サスペンス、さらにはアクションもあったりと見せ場も存分ある。伏線も工夫されている。
幸福の科学に属していない人の気持ちを代弁している

えーごほん。
どうしちゃったんだ幸福の科学
違う、こんなの幸福の科学の映画じゃない。アレな思想を垂れ流しまくって一般人からの「ハハン」な笑いを誘う芸風はどこに行ってしまったんだ。(※幸福の科学は芸人ではありません)

まあそれでもクライマックスでは大変清々しいハイパー☆説法タイムが始まるのですが、そのシーンも壮大な映像も相まってそんなに退屈ではありませんでした。
それどころか思想そのものはとても志が高いものなので、あやうく入信しそうになる(しないけど)。
前作の「マジカルステッキを掲げて説法すれば全解決!(てへぺろ)」とは雲泥の差です。


たぶん信者の方はクライマックスの美しい背景+ありがたいお言葉の数々に感動するんだろうけど、自分が感動したのは「宇宙人なんていませ〜ん」という嘲笑をする者がいたり、精神世界に旅立ったときに「なんかヤバいところにきちまったんじゃないか?」とまともなツッコミを入れることでした。

信者じゃない一般人目線からツッコミを入れるなんて!
やるじゃあないか幸福の科学!(上から目線)


そういえば前作『神秘の法』の公式サイトでは「この映画を観たらリューマチが治りました!」という大変香ばしい意見が述べられていましたが、今回の公式サイトではそんなことはないです。
ていうかパッと見はまともなアニメ映画のサイトに見えます。

公式サイト<大川隆法の名前が玉に致命傷

「あなたの宇宙人遭遇体験を教えてください」というコーナーは若干怪しさが漂うものの、ストーリー性のある4コママンガで親しみやすくする工夫もされています。
どうしちゃったんだ幸福の科学(2回目)。


そう、本作はプロパガンダ映画として抜群にうまくなっています。

タイトルもいままでのような怪しさはなく、豪華声優を起用して(これはいままでと同様)若い人の興味も煽っている。
映画の文法も研究している。
ちゃんと本当に伝えたい説法の内容は、違和感のないように物語と絡めている・・・

そして、宇宙人の存在と、思想を大プッシュすることに成功している・・・
参りました、この手口は巧妙です。

この脚本を書いたのは誰?と調べてみると、「UFO学園の秘密」シナリオプロジェクトという謎の集団でした。何者なんだ、本当。


映画としての欠点は、終盤の展開が死ぬほどゴリ押しだったことと、説法タイムが長すぎることくらいです。いや、どっちも欠点としてはデカいんだけど。

本作は青春SFストーリーとして、十分に楽しめてしまいます。
声優陣の演技も迫真で、「イカ娘」で有名になった金本寿子さんの声も超かわいいですし、銀河万丈という大御所までもが起用されています。


※この動画でもキャラの声が聞けます。

さらに海外版ではスポンジ・ボブ役で有名なトム・ケニーを配役していたり、金に糸目をつけない仕事ぶりには頭がさがります。ちょっとくれよ。
はじめっから海外展開を図っているおかげで、チームのひとりがTyler(タイラ)という無理やりな名前になっているのが可笑しいですね。

そんなわけで、本作は冗談抜きで(豪華声優目当ての)アニメファンにもオススメできます。


本作には、残念ながら幸福の科学特有の危険な思想もあります
とくに製作者側が訴えたいことは、以下の3点です。

・宇宙には高度な文明を持った宇宙人が連合を作っていて、いい宇宙人は地球を見守っている
・すでに宇宙人は地球人に紛れて過ごしている
悪い宇宙人は各国(具体的には中国、ロシア、アメリカ)の軍部に紛れ込んでいる

いやいや、こりゃファンタジーだろ、映画の中の話だろと思うところですが、これはマジモンの主張でした。
以下の4コママンガを読んでも、よくわかるでしょう。
<そゆことか – 四コマ漫画ノンフィクション #020 | 映画「UFO学園の秘密」公式サイト>

このマンガでは「レプタリアン(悪い宇宙人)はすでに各国の軍部に紛れ込んでいるから危険!」「日本はそういうのをしょせんはSFと思っているUFO後進国なんだ!」「この映画でUFO後進国の目を覚まさせたい」ということがきっぱりと告げられています。

「UFO後進国」なんて言葉を初めて聞いたよ・・・このマンガの主人公(宇宙人3人)の名前が「ノンフィクション」ということも怖いですね。

しかもこの映画、「UFO(宇宙人)の実在を訴える」ことがとてもうまいのです。
まずはUFOの存在を否定する人物を描写しておき、作中で「本当に宇宙人はいること」を示し、そう信じたものが救われる・・・と観客の心を巧みに誘導しています。プロバガンダとして理想的です。


フォローをしておくと、作中で訴えられている思想のほとんどは夢を持つ若い人に向けられた、無宗教者から見てもとても志が高いものです
世界的に宗教への信仰心により人が救われてきていることも事実ですので、ことさらに否定するべきでもありません。

でも、UFO(宇宙人)の実在を必要以上に押し付け、さらに悪い宇宙人が軍部にいるから、みんなでその実在を認めよう!というのは受け入れられるものではありませんでした。


さらに気になったのは、宇宙人の存在を「非科学的だ」と否定されるシーンがあること。
宇宙人の存在は科学と矛盾しないのでは?

むしろ科学は、宇宙人の存在を示そうとしてきた面もあるのではないでしょうか。
科学を無視してそんなことを言っているんだったら、自分はフェルミのパラドックスのほうを信じます。


まあ、結論としては・・・これでいいんじゃないでしょうか。
UFO(宇宙人)がいることを信じるということ自体は問題のないことですし、(これをきっかけに入信しなければ)とくに悪影響があるわけでもありません。
結果的に誰も傷つかない、みんなが幸せになる内容になっています。

それでも、アイデンティティーが確立されていない子どもに見せるのは、やはり危険なのでお気をつけて。
アニメファン、SFファンにそこそこオススメします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2015-10-16 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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リブート版『ファンタスティック・フォー』が駄作でない理由(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はファンタスティック・フォーです。

※(10/15)ネタバレを追加しました。遅くなってごめんなさい。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:もはやヒーロー映画じゃなかった


あらすじ


少年リードは、人間をテレポートさせることを夢見ていた。
青年になったリード(マイルズ・テラー)は、親友のベン(ジェイミー・ベル)、科学者の娘のスー(ケイト・マーラ)、その義理の弟であるジョニー(マイケル・B・ジョーダン)とともに、異次元装置への開発に挑むことになる。
しかし、想定外の事故に巻き込まれてしまい、彼らは超人的パワーを宿してしまう。




本作については、まず全米での大酷評について語らなければならないでしょう。
IMDbでのスコアは10点満点中4.1点Rotten Tomatoesでは9%と、圧倒的に低評価なのです。

その製作経緯も問題だらけ、ネガティブな情報が目白押し。とくにジョシュ・トランク監督の奇行はメディアに取りざたされました。
・撮影時荒れまくっていて住んでいた借家をめちゃくちゃにした
・主演のマイルズ・テーラーと殴り合い寸前になった。
・脚本のリライトと撮影延期を繰り返しまくり

果ては、ジョシュ監督は本作の酷評の嵐に対して「1年前にはもっと素晴らしいバージョンがあったんだけど、それが日の目を見ることはないだろう。それが現実だ」とツイートして大炎上し、それは『スター・ウォーズ』スピンオフ作品降板のきっかけになったとも言われています

そのせいもあって、本作は興行的に大コケでした。
さらに、マーベル・コミック(原作漫画シリーズ)のサイトには本作のことが一切触れられていない、いままでノリノリで作品にカメオ出演していたスタン・リーおじいちゃんが出てこないなど、公式でもそっぽを向かれています。

※以下の意見をいただきました。
いえ!マーベルはともかく、リー御大はエンドロールでデカデカと原作者として名前を出してますし、「不振は自分がカメオ出演しなかった所為」と擁護(?)されてますし、『アベンジャーズ2』にて原作で4人が超能力を得た切欠となった「エクセルシオ(「向上せよ!」という意味のラテン語でマーベルの社訓にして御大のキメゼリフでも有りますが)計画」を呟くなど地味にプッシュされておられますよ!


そんな感じなので、本作は「映画秘宝」において映画史上最大の事故物件と言われてしまうありさまでした。


だけど・・・どうしよう、自分は本作のことが大好きでした。出来は決して悪くないと思うのです。
以下に本作の優れた点を挙げてみます。

(1)人間ドラマを深く描いた内容になっている
これが自分がいちばん気に入った要素。
びっくりしたことに、本作の主人公たちは人生がうまくいっていないダメな若者で、わりと性格も悪いのです(作中で、彼らは「Kids」と呼ばれています)
前半では彼らの精神的な幼さ、そのように人間になった理由が丹念に描かれています。
それは陰々鬱々としてすげえ暗いのですが、後半の展開へ至る伏線もふんだん、役者の演技も相まって、とても引き込まれる内容に仕上がっていました。

(2)かなり怖いホラー演出がある
ジョシュ監督自身が「デヴィッド・クローネンバーグ的に人間の肉体が変化していく場面を描きたいんだ」と言っていたとおり、作中では「これホラーだろ!」と思いたくなるシーンがあります。
ていうか、「テレポーション装置のおかげで怪物(能力者)になってしまった」というプロットが『ザ・フライ』とまったく同じです。

※グロくて哀しい映画

はい、この時点で明るく楽しいヒーローものを期待する人は素直に回れ右なのがわかりますね。

(3)能力を持ってしまった「悲哀」が描かれている
これはジョシュ監督のデビュー作にして、高い評価を得た『クロニクル』と同様です。



『クロニクル』は「能力を持ってしまったがゆえの悲劇」が描かれており、本作では「能力を持ったという運命を受け入れなければならないという試練」が前面に押し出されています。
お気楽ヒーロー映画とは、一線を画す内容になっていました。

(4)世の中の「日陰者」な技術者に対して尊いメッセージが込められいる。
主人公の成長物語とこのメッセージは密接に絡み合っており、そこは確かな感動がありました。


そんなわけで、前半〜中盤は未熟な若者たちによる奥深い人間ドラマが繰り広げられているのです。

脚本もよくできていて、主人公が「イカれている(You're Insane)」と言われるシーン、中盤のレジのシーンでは「台詞で説明せずに、それとなく意味を示す」クレバーな演出もありました。

作中ではあまりのも「悲劇」に、2回ほど涙を流してしまうシーンがありました。
自分は、本作を一方的に貶めることなんてできません。


で・・・本作の何が問題なのかと言いますと、時間配分が圧倒的に間違っていることにほかなりません。
もういいや、言ってしまうと本作はヒーローの能力を手に入れるまで1時間10分くらいかかり、ヒーローとして活躍するのは終盤のたったの5分くらいです

リブートである本作に対して、以前に作られた2005年版は、ちゃんとヒーローものとしての時間配分ができていました。

※雰囲気が2015年版とぜんぜん違うけど、これはこれで楽しい映画

<2005年版>
(能力を手に入れるまでの)人間ドラマ:開始から15分
ヒーローとして活躍!:開始から30分

<2015年版>
人間ドラマ:開始から1時間10分
ヒーローとして活躍!:開始から1時間35分(残り5分)

両者をグラフにするとこんな感じになります。

ファンたスティックなグラフ

本作が、いかにヒーローものとして致命的な構成になっているのかが、おわかりいただけたでしょうか(わかってほしい)。
それまで描写がとても丁寧だったのに、終盤になってから「巻き」が入ってバタバタと終わる感じはどうがんばっても擁護できません」
どれだけ本作が「ここで終わるのかよ!」「もうちょっとヒーローとしての活躍を見せろよ」になっているかは、以下の魂の叫びがとてもわかりやすいです。
<『ファンタスティック・フォー』感想、必見!! - Cinema A La Carte>

でも・・・終盤のバタバタ展開以外は、本当におもしろい作品なんです。
自分は本作はヒーロー映画ですらない、望まない能力(と人生)を手に入れてしまった若者たちのSF人間ドラマとして観るべき内容であると思いました


酷評のもうひとつの理由は、「こんなん『ファンタスティック・フォー』じゃない!」という原作コミックファンの怒りもあるのでしょう。
2005年版の映画はヒューマン・トーチというキャラが「超」が付くほどのお気楽野郎で、コメディーシーンも満載でした。
反して本作ではヒューマン・トーチも含めて暗くてウジウジした連中ばかりで、コメディーシーンはほぼ皆無です

なお、本作は一応『アルティメット・ファンタスティック・フォー』という「新シリーズ」がもとになっているのですが、ストーリーラインはほぼオリジナルになっているそうです。

※仕切り直したたために主人公たちは若くなりました(大学生くらい)

こうした「原作無視」はどこでも槍玉にあげられることなのかもしれませんね。


ちょっとフォローをしておくと、人間ドラマパートにもそれなりにアクションや見栄えのあるシーンもあるので、「話ばかりで退屈」ということはそれほどありません。
4DX上映の演出はとても効果的に使われていますし、アクションは数は少なくとも大迫力に仕上がっていました。
<『ファンタスティック・フォー』4DXは「それぞれの能力の違い」「『スターゲイト』のようなワープ」「ホラー」を体感できたという話>


結論としては、本作はお気楽なヒーローものを求めている人、お子様には死ぬほど向いていない内容です。

おすすめできるのは、前述の『ザ・フライ』や『クロニクル』のほか、『アンブレイカブル』や『バットマン ビギンズ』が好きな方です。

 

『アンブレイカブル』は地味で目立たない能力者の悲哀が描かれていることが、本作と一致しています。

本作はヒーロー誕生までのエピソードゼロを描いたような内容なので、『バットマン ビギンズ』のように「なぜヒーローが生まれたのか」を期待する人には、満足できる内容に仕上がっていると思うのです。

これらの作品を観たことがない人にとっても、ダークなSF人間ドラマを期待すれば、決して楽しめないということはありません。


本作は、映画ファンにとって必見作だと思います。
スクリーンからは、現場の悶着の数々、それでも努力を尽くしたスタッフの苦労が感じられまくるのです(もちろん「現場の苦労」は、「作品の評価」と切り離して考えるべきなのでしょうが)。

また、本作はまさに「俺たちの戦いはこれからだ!」なところで終わるので、ぜひ続編が観たいんです。
ジョシュ監督は間違いなく才能のある方だし、これでそのままハリウッドの黒歴史になってしまうのは、あまりにももったいないです。

願わくは、『ドラゴンボール EVOLUTION』を撮ったジェームズ・ウォン監督のように、ジョシュ監督がハリウッドで干されませんように。次回作に期待しています。

エンドロール後のおまけはないので、途中で帰っても大丈夫ですよ。

↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。

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2015-10-11 : 映画感想 : コメント : 10 : トラックバック : 0
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『ファンタスティック・フォー』4DXは「それぞれの能力の違い」「『スターゲイト』のようなワープ」「ホラー」を体感できたという話

『ファンタスティック・フォー』を4DX上映で観てきました。

ファンタスティック1

※【前回】4DXで観た映画の感想↓
映画『進撃の巨人 後編 エンド オブ ザ ワールド』の4DX上映の演出が完璧だった件

まあこの『ファンタスティック・フォー』、4DXで観てこその映画というか、4DXのために作られたんじゃないだろうかと思うくらいに、演出が素晴らしいものだったのです。

まず何がいいって、4人の超能力者それぞれの攻撃の演出が異なること、ひいては超能力そのものを体感できるのですから。

↓以下に4人の能力者たちで、どういう4DXの演出があるか、そして+αの魅力を書いてみます。

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2015-10-11 : いろいろコラム : コメント : 0 : トラックバック : 0
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『TIGER & BUNYY』ハリウッド実写映画版のプロダクトプレイスメント(企業広告)はどうなるのかという話

アニメ『TIGER & BUNYY』がハリウッドで実写映画化決定という驚きのニュースが飛び込んできました。



サンライズ製作のアニメといえば『機動戦士ガンダム』が有名。その実写化作品はファンの間で若干黒歴史化していたり、とんでもないク◯ゲーだったりしました(←余計な情報)。

しかし、今回は『アポロ13』『ビューティフル・マインド』のロン・ハワードが製作総指揮ということもあり、そのような駄作化の心配はまずないでしょう。
カウボーイビバップ』や『攻殻機動隊』など、日本のアニメが続々とハリウッドで映画化されるのはやはりうれしいですね。

それでも・・・個人的に『TIGER & BUNNY』のハリウッド実写映画化において、ちょっとだけ心配なことがあります。
それは、作中に登場するプロダクトプレイスメントです。

※プロダクトプレイスメント・・・映画やアニメなどの映像作品において、商品の広告を入れること。『STAND BY ME ドラえもん』や『トランスフォーマー/ロストエイジ』などの露骨な宣伝は観客には嫌われ気味だけど、制作の場では貴重な資金源になる。
アニメでは『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『言の葉の庭』にも登場している。
参考→<プロダクトプレイスメント | 破壊屋>

心配な理由を書いてみます↓

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2015-10-10 : いろいろコラム : コメント : 2 : トラックバック : 0
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2015年10月の気になる映画一覧(マイナー推し)

秋ってアンニュイな気持ちになるよね・・・(管理人はだいたいいつもネガティブ思考です)

そんなわけで、10月の気になる映画一覧です。
以下も参考にしましょう。
<2015年10月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて>

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2015-10-04 : 月ごとの気になる映画 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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『心が叫びたがってるんだ。』クライマックスの意味とは?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は心が叫びたがってるんだ。です。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:ちょっと叫びすぎているかも(言葉が)


あらすじ


成瀬順は子どものころのある事件をきっかけに、言葉を失っていた。
高校2年生になったある日、成瀬は「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。
いっしょに任命されたのは、やる気のない少年の坂上拓実、元エースの田崎大樹、優等生の仁藤菜月。
彼らも、成瀬と同じように、それぞれ心に傷を持っていた――




深夜アニメとして絶大な人気を誇っていた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のスタッフによる、完全新作の劇場用作品です。

入野自由
26885円
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この『あの花』と本作『ここさけ』は、ともに埼玉県秩父市が舞台であったり、キャラがコラボした企画が実施されていますが、基本的にはまったく別の物語として展開しています。
『あの花』をまったく知らなくても、本作は問題なく楽しめるでしょう。


本作で何よりもびっくりしたのは、子どもも劇場に足を運びそうなアニメ作品で、性を想起させる場面があったことです。
しかも、その性はある登場人物の心の傷に深く関わっています。

萌え萌えチックなアニメと思って本作を観ると、よくも悪くも面食らうでしょう。
本作における性は「居心地が悪い」ものとして描かれています

この「アニメにおいて思春期の性の悩みを想起させる」という作風で、自分は『カラフル』を思い出しました。

冨澤風斗
3294円
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『カラフル』には援助交際(売春)するシーンが間接的でありながらも描かれており、そのことに中学2年生の主人公はひどい嫌悪感を覚えていました。
一方で、主人公はセックスにとても興味を示していたりもします。

思春期って、そんなもんです。
セックスに並々ならぬ興味がありながらも、一方では汚いものと思って嫌悪する。それは誰しもが通る道です。

性にまつわる普遍的な悩みを「心に傷を負った事件」として描き、映画の重要なファクターとしていること。
ここに『ここさけ』の確かな意義と、やさしさを感じました。

ちなみに『あの花』も、何気ない言葉により、心に深い傷を負った少年少女の物語になっています。
『あの花」には幼少時に「あ◯る」という性的な意味でヒドいあだ名をつけられたかわいそうすぎるヒロインがいたよね。


また、本作はじつはミュージカル映画にリスペクトを捧げた音楽映画にもなっています

具体的に大きく取り扱われているのは、『オズの魔法使』の「Over The Rainbow」と『八十日間世界一周』の「Around The World」です。

ジュディ・ガーランド
927円
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デビッド・ニーブン
1505円
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さらにはベートヴェンの「悲愴 第2楽章」も重要な楽曲として扱われています。



そして、主人公たちが行うのはミュージカル(合唱)です。
音楽で青春を過ごした方、またはただ音楽が好きだという方には、たまらない作品になるのはないでしょうか。

サントラ
2990円
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本作で、自分は『カラフル』のほかに、今年に公開されたばかりの映画『くちびるに歌を』を思い出しました。

新垣結衣
2942円
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実写映画とアニメという違いがありますが、少年少女の苦しみからの解放が描かれていたり、重唱をする音楽映画であったり、そして「悲愴」・・・共通点が多い作品なのです。


本作には難点も多いです。

そのひとつがちょっぴり説明過多なこと。
2時間という短い尺に登場人物の背景をしっかり描いているのですが、説明口調すぎて不自然な印象がありました。

また、登場人物のセリフやキャラがアニメらしい「わかりやすさ」優先で、こちらも不自然さを感じてしまいました。
アニメとはいえ、等身大の少年少女を描いているのですから、ここにもう少し抑えた演技、はたまた画で語る演出がほしかったのです。

ミュージカルの練習シーンが皆無に等しいのも残念でした。
主体となって描かれているのは少年少女の悩みなので、そこをあえてカットした意義はわかるのですが・・・まがりになりにも音楽が主役のひとつの映画なので、「努力」のシーンは入れて欲しかったです。

そして、(本作がもっとも賛否両論を呼んでいる理由である)クライマックスの展開に拒否反応を覚える方はきっと多いでしょう。
ただ、これは作品の主題としてもとても意味のある、どうしても描きたかったことだと思います。
詳しくはネタバレに書いてみましたので、鑑賞後にぜひ読んでみてください。

そもそも、アニメという媒体で「(性が)居心地が悪い(恥ずかしい、嫌なもの)」という感情を思い切りぶつけてくる作品なので、この時点で本作を受け入れられない人も多いのかもしれません(そのことこそが、重要なのですが)。

ちょっとおもしろかったのは、モブキャラクターが映画の展開についてツッコミを入れていること。
もちろんそれは完全なメタ発言ではなく、「ひょっとしたらメタかも」と思う程度のものなのですが、「そんな展開おかしいだろ!」と思っている観客の溜飲を下げているとも取れます。
これは賛否ありそうですが、そのツッコミの入れ方はとても自然だったこともあり、個人的には好きですね。


そして……発表の段階から賛否を呼んでいた「乃木坂46を主題歌に選んだこと」も、どうしても好きになれませんでした。

この楽曲「今、話したい誰かがいる」はプロデューサーと脚本家の方が秋元康さんのところに依頼し、プロデューサーは「切ないけれど、主人公たちが前向きに生きていくというという点から、そのような楽曲で最後を締めたいという希望をくみ取っていただきました」と語っています

しかし、出来上がった曲は、作中の楽曲(ベートーベンやミュージカル)とのギャップがあるアップテンポなものですし、その歌詞には「シーソー」「コーラ」などの映画にはまったく登場しない単語がたくさん登場しています。

歌詞に関しては、「映画のコンセプトを理解した上での作詞」であって、「映画を見てまんま作詞したわけではない」。映画の主人公を中心とした心情がイメージされているが、歌詞一文字一文字が映画と合致するかというとそうではない、という的を射た意見があるので、むやみに貶めるべきものではないのかもしれません。

それでも、やはりエンドロールでアイドルソングを流すというのは、映画の作風に適しているとはとても思えなかったのです。
乃木坂46は悪くないですし、「今、話したい誰かがいる」そのものはとてもいい曲だと思うのですが……。

クラムボンミトによる挿入歌は作品の雰囲気と合っていて好きでした。


あとは、やたら「泣ける」「感動」を打ち出す宣伝もあまり好きにはなれません。
泣く、感動する、というのはしっかりとした映画のテーマが描かれてこその「結果」なので、そこばかり求めるのはあまりに短絡的な印象があるのです。

実際の映画は、登場人物の心理描写を大切にして、思春期に誰でも起こる悩みを描き、その悩みからの解放を描いているという点で、とても素晴らしい作品です。
「満足度」「興行収入」「感動」よりも、誰(本作の場合は若い少年少女)の心に響く映画なのか、どういう作品であるのかを、もっと押し出してもよいのではないでしょうか。


そんなこんなで不満を書いてみましたが、全体的にはよい作品であることには違いありません。
何より、悩みを抱えている人が救われてほしいという気概に溢れている、尊い作品なのですから。

できれば、「言葉で誰かを傷つけたことのある」人にこそ観て欲しいです
これは性への嫌悪感よりもさらに普遍的な悩みなので、本作で贈られるメッセージに救われる人は多いはずです。

前述の通り性的な話題があるので小学生にはちょっと早いですが、中高校生には大プッシュでオススメします。
思春期のときに(もしくはいまも)辛い想いを抱えていた(る)人は、ぜひ劇場へ。
アニメ好きであればヒロインに萌えまくって座席で悶絶必死ですよ(←いままでの流れが台無し)

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2015-10-03 : 映画感想 : コメント : 16 : トラックバック : 0
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『アントマン』原作の主人公はクズだった!?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はアントマンです。

※原作コミックを読んだ方からタメになる意見を追記しました(10/3)

個人的お気に入り度:8/10

一言感想:人間の器も小さくない?


あらすじ


仕事や人間関係がうまくいかないばかりか、犯罪を犯して服役していたスコット・ラング(ポール・ラッド)。出所後には別れた妻が引き取った娘の養育費も用意することができず、バイトはすぐにクビ。人生の崖っぷちに立たされていた。
そんな彼は、思いもがけないことから、1.5センチに縮小できる特殊なスーツをまとい、正義の味方アントマンに変身する。




イエスマン “YES”は人生のパスワード』『チアーズ!』のペイトン・リード監督最新作、マーベル・シネマティック・ユニバースの「フェイズ2」最終作となる作品です。

ニック・スペンサー
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※映画の原作と呼べるコミック

本作は『アイアンマン』から続くアメコミ実写化シリーズの第12作目(!)なのですが、びっくりするくらいシリーズを観ていなくても楽しめます
ちょこちょことシリーズを観た人向けのセリフや単語(ヒドラS.H.I.E.L.D.など)もあるので100%楽しむためには過去作品を観るべきですが、まったく知らなくても90%楽しめるのは親切ですね。

ていうか、本作はそんなにアメコミヒーローらしくもないです。
なぜなら、主人公が服役中で女房から愛想をつかされているダメ中年で、映画のはじめにする仕事が金庫破りだったりするから。
もうその時点で心がモキュモキュしますね。するでしょ?

そんなわけで主人公は結構やなヤツだなーっと思ったそこのあなた、大丈夫(何が?)
原作コミックの主人公は奥さんにDVを働くクズ野郎ですよ。

ハンク・ピム※原作のアントマンは奥さんを殴ります

正確には、映画で登場するアントマンは2代目のスコット・ラングで、原作でクズだったのは1代目のハンク・ピムです。
ハンク・ピムでGoogle検索をすると候補に「ハンク・ピム クズ」と出てきますからね。
本作でスコット・ラングを主人公としたのは、いくらなんでも観客の共感を得られないことが理由のひとつでしょう。

こちらではハンク・ピムのクズっぷりをフォローしています(画像の出典もこちら)↓
<アメコミキャラクター紹介第14回:ハンク・ピム - アメコミを読もう!~アメコミ情報ブログ~>

※以下の意見をいただきました。
ハンク・ピムですが、あんまりDVを働くクズ野郎だなんて連呼しないであげてください^^;
DVを働いたのはおかしくなってた時期の一度だけですから・・・ ハンクはクズというよりも精神的に不安定で残念なところのあるめんどくさい人なだけなんです。あまり擁護になってない気もしますが。


ウィル・コロナ・ピルグリム他
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※ハンク・ピムはこっちで出てきます。

そのほかにも1代目アントマンのハンク・ピムは原作ではウルトロンを作っていたり、アントマンどころか真逆のジャイアントマンに変身するとか、映画しか知らない人にとっては色々と衝撃の事実がたっぷりありますので、原作といろいろと比べてみるのも一興でしょう。

<アントどころかジャイアントだよ!

なお、映画版の主人公である2代目ことスコット・ラングは、原作コミックでは歴代アントマン(3人いる)でいちばん目立たない存在だったらしいです。
そもそも『アントマン』はマーベル中でも地味〜な存在だったので、この映画版は「埋もれている作品(主人公)を素晴らしい映画にしたい!」という気概に溢れていると言えます。
超不人気だった原作『Big Hero 6』を改変しまくって大傑作に仕上げた『ベイマックス』を思い出しました。

ちなみに、1代目アントマンことハンク・ピムは本作でも出てきています(演じているのはマイケル・ダグラス)。
彼がどのようなキャラになっているかは、観てのお楽しみですね。

※原作コミックを読んだ方から以下の素敵な意見をいただきました!
ちなみに三代目のエリック・オグレディ(元S.H.I.E.L.D.の事務員で現在故人)も相当です。クズ(趣味は覗き)の上に無能、のクセに無駄に正義感を燃やして更に被害を広げたり。
例:小さくなって覗きをしていた女性の家へDV彼氏が帰宅、止めようとしてアントマンパンチでDV彼氏の頸動脈を切ってしまう・・・。
一時期グリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンがS.H.I.E.L.D.長官の座に就く等権力を握っていた時期に彼の組織した怪人社会復帰支援チームの体裁を取り繕った私兵団に参加、参加理由はスパイとかでなく本気でノーマンが恐いから・・・ヒーローなのに悪に屈しまくってます。
ちなみに自分もクズなのにチームメイトを○○○○と陰口叩きまくりです。

>主人公が服役中で女房から愛想をつかされている
スコットさんの犯罪は社会の理不尽に抗った結果なのですが、一応ルイスが説明してくれますけど作中で描写して欲しかったですね。会社の不正を告発→公益通報者保護制度がザル過ぎて逆に会社に提訴される→キレて会社のシステムに侵入し騙し取られたお金をお客に還元→ついでにクソ上司の自宅にも侵入してやりたい放題→すぐ逃げればよかったのに調子に乗り過ぎて警察が到着してしまい逮捕。なので。

>アントマン:プレリュード
お勧めです!特に、天才児の例に漏れず「面倒な子」だったピム博士の幼少期を描いたお話は、おばあちゃん子には感涙必至です!
一方、ピム博士最高のクズっぷりをご覧になりたい方には「キック・アス」「キングスマン」の原作者でもあるマーク・ミラー先生が別次元のアベンジャーズを描いた問題作「アルティメッツ」(邦訳版も出ています)が有るのですが、正直アベンジャーズ好き(特にキャップを)な方にはあまりお勧め出来ません。
だってピム博士どころか「アベンジャーズ 全員クズ!」なんですもの・・・。


マーク・ミラー
3456円
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さて、本作の何がおもしろいって、キャッチコピーなどで大きく謳われている「映画至上最大にして最小のアクションが誕生!」にほかなりません。
主人公の身長は何せ1.5センチ(ときどき変わる)。そのミニマムな視点でのアクションの数々が楽しくってしかたがないのです。


※本編のネタバレ注意

おかげさまで、本作はマーベル・シネマティック・ユニバース史上において超珍しく街とかビルとかがぶっ壊れないです。
アベンジャーズ』(2012年)では街ごと崩壊しまくっていたしなあ……。

アントマンが任されているのは、『ミッション・インポッシブル』的な裏方の作戦なんですよね。
この「本当にヒーローなの?」と突っ込みたくなるほどのイレギュラーさこそが本作のおもしろさ。「アメコミヒーロー映画なんて飽きた!」なんて人にこそ観てほしいですね。

なお、3D効果も抜群です。
奥行きのあるアクションや、その「大きさ」もが3Dでしっかりと描写されているので、追加料金を払う価値は存分にあります。


また、本作は伏線の使いかたがめっちゃうまいです。
何気ないセリフをしっかり拾ってくれるこのうれしさ。映画好きならより感激できるでしょう。

さらに、マーベルファンにこそたまらないサプライズもしっかり用意されています。
エンドロール後のおまけはふたつあるので、ぜったいに見逃さないようにしましょう。


難点は・・・マーベルというかディズニー配給ですっかりおなじみの芸能人吹き替え問題ですね。もうそれやめようよ。

アントマン吹き替え出典はこちら

ブラックマヨネーズ小杉が吹き替えるのは、「ベラベラ無駄なおしゃべりをする悪友」という役なので、かなりの早口と演技力が求められます。さすがに吹き替え初挑戦の人に任されるのは・・・。

ちなみに、このマイケル・ペーニャ演じる「悪友」は原作には登場していません
ほかのふたりの悪友も含めてとっても愛すべきキャラだったので、やはり実力のある声優さんに演じてほしかったかな。
※吹き替え版を観た方から、内田有紀もブラマヨ小杉も役にあっていてとてもよかったよ!との意見をいただきました。

後はヒーローになるまでわりと時間がかかるので、よくも悪くも「俺は何の映画を観に来たんだ?」と思う方が多いのかも。
序盤の負け犬おっさんの描写は間違いなく必要なものですし、これがあるからこそ自分は本作は大好きなんですけどね。


個人的にはマーベル映画の中でも1、2を争うお気に入りになりました。
というよりも、こうしたダメダメで、庶民的で親しみやすい人間をヒーローとして描くっていう作風だけで好きにならざるを得ないのです。アントマンだけに人間の器まで小さい主人公が素敵でした。

あとね、これだけは言っておきたいんですけど、ゴホン。
アリがめっちゃかわいい(←フォントサイズ最大)。

アントマンかわいい出展はこちら

子どものころにアリさんの巣を見て萌えていた少年はもう必見ですよ。だって、アントマンはアリと同じ小ささになれるばかりか、アリを操作できる能力まで持っているのですから。
もう男の子の夢ですよ、これ。
昆虫が苦手だという方もぜひ観てほしいですね(ゲス顔で)。作中で描かれるのはリアルなアリなのに、かわいくってしかたがないのですから。

これは観る人を選ばない、「楽しい!」と素直に言える一級の娯楽作品です。
最大級におすすめします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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テーマ : 映画情報
ジャンル : 映画

2015-10-01 : 映画感想 : コメント : 13 : トラックバック : 0
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<2016年下半期>
『聲(こえ)の形』
『スーサイド・スクワッド』
『キング・オブ・エジプト』(吹き替え版)
『君の名は。』
『ゴーストバスターズ(2016)』
『シン・ゴジラ』
『ファインディング・ドリー』

<2016年上半期>
『葛城事件』
『TOO YOUNG TO DIE!』
『貞子 vs 伽椰子』
『ヒメアノ~ル』
『デッドプール』
『アイアムアヒーロー』
『ズートピア』
『クレしん ユメミーワールド』
『バットマン vs スーパーマン』
『ドラえもん 新・日本誕生』
『X-ミッション』
『オデッセイ』

<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『アメリカン・スナイパー』

<2014年下半期>
『ベイマックス』
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『MONSTERZ』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
『ソウ ザ・ファイナル3D』
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