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リブート版『ファンタスティック・フォー』が駄作でない理由(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はファンタスティック・フォーです。

※(10/15)ネタバレを追加しました。遅くなってごめんなさい。

個人的お気に入り度:7/10

一言感想:もはやヒーロー映画じゃなかった


あらすじ


少年リードは、人間をテレポートさせることを夢見ていた。
青年になったリード(マイルズ・テラー)は、親友のベン(ジェイミー・ベル)、科学者の娘のスー(ケイト・マーラ)、その義理の弟であるジョニー(マイケル・B・ジョーダン)とともに、異次元装置への開発に挑むことになる。
しかし、想定外の事故に巻き込まれてしまい、彼らは超人的パワーを宿してしまう。




本作については、まず全米での大酷評について語らなければならないでしょう。
IMDbでのスコアは10点満点中4.1点Rotten Tomatoesでは9%と、圧倒的に低評価なのです。

その製作経緯も問題だらけ、ネガティブな情報が目白押し。とくにジョシュ・トランク監督の奇行はメディアに取りざたされました。
・撮影時荒れまくっていて住んでいた借家をめちゃくちゃにした
・主演のマイルズ・テーラーと殴り合い寸前になった。
・脚本のリライトと撮影延期を繰り返しまくり

果ては、ジョシュ監督は本作の酷評の嵐に対して「1年前にはもっと素晴らしいバージョンがあったんだけど、それが日の目を見ることはないだろう。それが現実だ」とツイートして大炎上し、それは『スター・ウォーズ』スピンオフ作品降板のきっかけになったとも言われています

そのせいもあって、本作は興行的に大コケでした。
さらに、マーベル・コミック(原作漫画シリーズ)のサイトには本作のことが一切触れられていない、いままでノリノリで作品にカメオ出演していたスタン・リーおじいちゃんが出てこないなど、公式でもそっぽを向かれています。

※以下の意見をいただきました。
いえ!マーベルはともかく、リー御大はエンドロールでデカデカと原作者として名前を出してますし、「不振は自分がカメオ出演しなかった所為」と擁護(?)されてますし、『アベンジャーズ2』にて原作で4人が超能力を得た切欠となった「エクセルシオ(「向上せよ!」という意味のラテン語でマーベルの社訓にして御大のキメゼリフでも有りますが)計画」を呟くなど地味にプッシュされておられますよ!


そんな感じなので、本作は「映画秘宝」において映画史上最大の事故物件と言われてしまうありさまでした。


だけど・・・どうしよう、自分は本作のことが大好きでした。出来は決して悪くないと思うのです。
以下に本作の優れた点を挙げてみます。

(1)人間ドラマを深く描いた内容になっている
これが自分がいちばん気に入った要素。
びっくりしたことに、本作の主人公たちは人生がうまくいっていないダメな若者で、わりと性格も悪いのです(作中で、彼らは「Kids」と呼ばれています)
前半では彼らの精神的な幼さ、そのように人間になった理由が丹念に描かれています。
それは陰々鬱々としてすげえ暗いのですが、後半の展開へ至る伏線もふんだん、役者の演技も相まって、とても引き込まれる内容に仕上がっていました。

(2)かなり怖いホラー演出がある
ジョシュ監督自身が「デヴィッド・クローネンバーグ的に人間の肉体が変化していく場面を描きたいんだ」と言っていたとおり、作中では「これホラーだろ!」と思いたくなるシーンがあります。
ていうか、「テレポーション装置のおかげで怪物(能力者)になってしまった」というプロットが『ザ・フライ』とまったく同じです。

※グロくて哀しい映画

はい、この時点で明るく楽しいヒーローものを期待する人は素直に回れ右なのがわかりますね。

(3)能力を持ってしまった「悲哀」が描かれている
これはジョシュ監督のデビュー作にして、高い評価を得た『クロニクル』と同様です。



『クロニクル』は「能力を持ってしまったがゆえの悲劇」が描かれており、本作では「能力を持ったという運命を受け入れなければならないという試練」が前面に押し出されています。
お気楽ヒーロー映画とは、一線を画す内容になっていました。

(4)世の中の「日陰者」な技術者に対して尊いメッセージが込められいる。
主人公の成長物語とこのメッセージは密接に絡み合っており、そこは確かな感動がありました。


そんなわけで、前半〜中盤は未熟な若者たちによる奥深い人間ドラマが繰り広げられているのです。

脚本もよくできていて、主人公が「イカれている(You're Insane)」と言われるシーン、中盤のレジのシーンでは「台詞で説明せずに、それとなく意味を示す」クレバーな演出もありました。

作中ではあまりのも「悲劇」に、2回ほど涙を流してしまうシーンがありました。
自分は、本作を一方的に貶めることなんてできません。


で・・・本作の何が問題なのかと言いますと、時間配分が圧倒的に間違っていることにほかなりません。
もういいや、言ってしまうと本作はヒーローの能力を手に入れるまで1時間10分くらいかかり、ヒーローとして活躍するのは終盤のたったの5分くらいです

リブートである本作に対して、以前に作られた2005年版は、ちゃんとヒーローものとしての時間配分ができていました。

※雰囲気が2015年版とぜんぜん違うけど、これはこれで楽しい映画

<2005年版>
(能力を手に入れるまでの)人間ドラマ:開始から15分
ヒーローとして活躍!:開始から30分

<2015年版>
人間ドラマ:開始から1時間10分
ヒーローとして活躍!:開始から1時間35分(残り5分)

両者をグラフにするとこんな感じになります。

ファンたスティックなグラフ

本作が、いかにヒーローものとして致命的な構成になっているのかが、おわかりいただけたでしょうか(わかってほしい)。
それまで描写がとても丁寧だったのに、終盤になってから「巻き」が入ってバタバタと終わる感じはどうがんばっても擁護できません」
どれだけ本作が「ここで終わるのかよ!」「もうちょっとヒーローとしての活躍を見せろよ」になっているかは、以下の魂の叫びがとてもわかりやすいです。
<『ファンタスティック・フォー』感想、必見!! - Cinema A La Carte>

でも・・・終盤のバタバタ展開以外は、本当におもしろい作品なんです。
自分は本作はヒーロー映画ですらない、望まない能力(と人生)を手に入れてしまった若者たちのSF人間ドラマとして観るべき内容であると思いました


酷評のもうひとつの理由は、「こんなん『ファンタスティック・フォー』じゃない!」という原作コミックファンの怒りもあるのでしょう。
2005年版の映画はヒューマン・トーチというキャラが「超」が付くほどのお気楽野郎で、コメディーシーンも満載でした。
反して本作ではヒューマン・トーチも含めて暗くてウジウジした連中ばかりで、コメディーシーンはほぼ皆無です

なお、本作は一応『アルティメット・ファンタスティック・フォー』という「新シリーズ」がもとになっているのですが、ストーリーラインはほぼオリジナルになっているそうです。

※仕切り直したたために主人公たちは若くなりました(大学生くらい)

こうした「原作無視」はどこでも槍玉にあげられることなのかもしれませんね。


ちょっとフォローをしておくと、人間ドラマパートにもそれなりにアクションや見栄えのあるシーンもあるので、「話ばかりで退屈」ということはそれほどありません。
4DX上映の演出はとても効果的に使われていますし、アクションは数は少なくとも大迫力に仕上がっていました。
<『ファンタスティック・フォー』4DXは「それぞれの能力の違い」「『スターゲイト』のようなワープ」「ホラー」を体感できたという話>


結論としては、本作はお気楽なヒーローものを求めている人、お子様には死ぬほど向いていない内容です。

おすすめできるのは、前述の『ザ・フライ』や『クロニクル』のほか、『アンブレイカブル』や『バットマン ビギンズ』が好きな方です。

 

『アンブレイカブル』は地味で目立たない能力者の悲哀が描かれていることが、本作と一致しています。

本作はヒーロー誕生までのエピソードゼロを描いたような内容なので、『バットマン ビギンズ』のように「なぜヒーローが生まれたのか」を期待する人には、満足できる内容に仕上がっていると思うのです。

これらの作品を観たことがない人にとっても、ダークなSF人間ドラマを期待すれば、決して楽しめないということはありません。


本作は、映画ファンにとって必見作だと思います。
スクリーンからは、現場の悶着の数々、それでも努力を尽くしたスタッフの苦労が感じられまくるのです(もちろん「現場の苦労」は、「作品の評価」と切り離して考えるべきなのでしょうが)。

また、本作はまさに「俺たちの戦いはこれからだ!」なところで終わるので、ぜひ続編が観たいんです。
ジョシュ監督は間違いなく才能のある方だし、これでそのままハリウッドの黒歴史になってしまうのは、あまりにももったいないです。

願わくは、『ドラゴンボール EVOLUTION』を撮ったジェームズ・ウォン監督のように、ジョシュ監督がハリウッドで干されませんように。次回作に期待しています。

エンドロール後のおまけはないので、途中で帰っても大丈夫ですよ。

↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。

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2015-10-11 : 映画感想 : コメント : 10 : トラックバック : 0
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『ファンタスティック・フォー』4DXは「それぞれの能力の違い」「『スターゲイト』のようなワープ」「ホラー」を体感できたという話

『ファンタスティック・フォー』を4DX上映で観てきました。

ファンタスティック1

※【前回】4DXで観た映画の感想↓
映画『進撃の巨人 後編 エンド オブ ザ ワールド』の4DX上映の演出が完璧だった件

まあこの『ファンタスティック・フォー』、4DXで観てこその映画というか、4DXのために作られたんじゃないだろうかと思うくらいに、演出が素晴らしいものだったのです。

まず何がいいって、4人の超能力者それぞれの攻撃の演出が異なること、ひいては超能力そのものを体感できるのですから。

↓以下に4人の能力者たちで、どういう4DXの演出があるか、そして+αの魅力を書いてみます。

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<2015年下半期>
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『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
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『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
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<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
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『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
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<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
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『ガッチャマン』
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『モンスターズ・ユニバーシティ』
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<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
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『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
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