“『007 スペクター』を楽しむための7つのポイント”の記事を書きました
『007 スペクター』がいよいよ明日より3日間(11月27日(金)、28日(土)、29日(日))限定で先行公開されます。
(本公開は12月4日(金)より)

そこで本作にまつわるこんな記事を書きました。
↓
<『007 スペクター』をより楽しむための7つのポイント [映画] All About>
※一応ネタバレなしでは書いていますが、やや内容を想起させる部分があるので、予備知識なく観たい方はご注意を。
まあぶっちゃけモニカ・ベルッチ(51歳)が大変エロくて素晴らしいことが伝えられたらそれでいいです。
『マッドマックス 怒りのデスロード』の3倍近くのお金をかけた、アホみたいに(褒め言葉)重圧なアクションは必見。
オープニングのすさまじさがマジハンパねえ(頭の悪そうな発言)ので、そこに大いに期待しましょう。
記事にも書いていますが、上映時間が2時間28分あるので、ちゃんと直前にトイレに行っておきましょう。
なお、
(悲報)字幕担当はあの悪名高き戸田奈津子(愛称:なっち)
(朗報)吹き替え声優が(芸能人を使わない)ベテラン揃い
となっているので、吹き替え版を選択するのもありかもしれません。クリストフ・ヴァルツ役には山路和弘さんがぴったりだよね!
サム・スミス(弱冠23歳!)のオープニング曲も大変素晴らしいので、ぜひ反芻してみてください。
<歌詞と和訳はこちら>
ちなみに、記事に書いた「ある試み」とは<ネタバレ注意>のことです。『スカイフォール』のときにもありましたが、今回は・・・最高だぜ。
(本公開は12月4日(金)より)

そこで本作にまつわるこんな記事を書きました。
↓
<『007 スペクター』をより楽しむための7つのポイント [映画] All About>
※一応ネタバレなしでは書いていますが、やや内容を想起させる部分があるので、予備知識なく観たい方はご注意を。
まあぶっちゃけモニカ・ベルッチ(51歳)が大変エロくて素晴らしいことが伝えられたらそれでいいです。
『マッドマックス 怒りのデスロード』の3倍近くのお金をかけた、アホみたいに(褒め言葉)重圧なアクションは必見。
オープニングのすさまじさがマジハンパねえ(頭の悪そうな発言)ので、そこに大いに期待しましょう。
記事にも書いていますが、上映時間が2時間28分あるので、ちゃんと直前にトイレに行っておきましょう。
なお、
(悲報)字幕担当はあの悪名高き戸田奈津子(愛称:なっち)
(朗報)吹き替え声優が(芸能人を使わない)ベテラン揃い
となっているので、吹き替え版を選択するのもありかもしれません。クリストフ・ヴァルツ役には山路和弘さんがぴったりだよね!
サム・スミス(弱冠23歳!)のオープニング曲も大変素晴らしいので、ぜひ反芻してみてください。
<歌詞と和訳はこちら>
ちなみに、記事に書いた「ある試み」とは<ネタバレ注意>のことです。『スカイフォール』のときにもありましたが、今回は・・・最高だぜ。
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『ガールズ&パンツァー 劇場版』これぞ真のクールジャパン(映画ネタバレなし感想)
今日の映画感想は『ガールズ&パンツァー 劇場版』です。
※いちばん下のコメントにたくさん意見をいただいているので読めばいいと思うよ!(ネタバレあり)
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:萌え×戦車×『マッドマックス4』
あらすじ
萌え萌えな女の子が「はわわわ〜」とか言いながら戦車を操縦して、実弾をバカスカ撃ちます。It's so crazy.
※今回はネタバレして語る点がほとんどない(いいから観ろ)ため、ネタバレなしの感想だけ書きます。
えーと、自分はおそらく1000人中1人くらいの割合の「テレビシリーズを一切知らない&予備知識がまったくないのに劇場版を観に行った」奇特な人間なのですが(ファンの方ごめんなさい)、それでもめちゃくちゃおもしろかったです。
売り上げランキング: 738
※第1話はGYAOで無料で観られます
この企画ってすごくどうかしている(褒め言葉)と思うんですよ。
どこのどいつが、重圧な戦車と、アニメの萌え萌えな女の子を結びつけるんですかね(いたからこの世に存在しているんだけど)。
<市街地で戦車が走る!
<中から出てきたのは萌え萌えな女の子!
本作にまつわる設定のありえなさは、もはや感動を覚えるレベルです。
・戦車でバトる「戦車道」は女子のたしなみであり、「茶道、花道、戦車道」と言われるくらいに一般的
・女子校対抗で戦車道が行われており、政府もそれを推進している
・(冒頭のおさらい動画にて)「戦車道をすると男子にモテるから、女子はみんなやったほうがいいよ!」
・戦いでは実弾を思い切り使う(でもコクピットはカーボンで覆われているから安全らしい)
設定を知ったときの自分の気持ち↓

この世界に男子学生はいないのかとか、コクピットから顔出したとき実弾当たったら死ぬやんとか、市街地でぶっ放したら訴訟どころの話じゃねーだろとか、ツッコミどころは無尽蔵ですね。
いや、でも、細けえことはいいんだよ!
これはミリタリーオタクと、美少女アニメオタクにとって、この世のユートピアと言うべき存在なんだから!
この作品に触れたとき、自分は『らいか・デイズ』という漫画の以下の2コマが脳裏に浮かびました。
※画像出典はこちら
「都合が悪いのなんて現実だけで十分だよ」
いやもうまったくその通りですね。
まさに桃源郷。戦車×萌えは正義。もはや細かい設定なんてどうでもいいのです。
そもそもの設定のクレイジーさはおいといて本題。
この劇場版はずっとアクションがぶっ続く『マッドマックス 怒りのデスロード』ばりにサービス精神に溢れまくった娯楽大作になっています。
どちらの作品も、最初にちょっとアクション→最低限のドラマ→あとはノンストップアクション!ヒャッハーな構成になってます。
どっちも世界観が狂ってますしね(褒め言葉)。

※どっちもおかしい
しかもただ愚直にアクションが続くだけでなく、手を変え品を変えアイデア満載のスペクタクルが続きます。
具体的には、終盤に廃遊園地の中で戦車バトルが勃発するのですが、こんなの見たことねえよ! これはアニメでしかできないですね。
3Dモデリングで作られた戦車バトルはスクリーンでも映える迫力。背景の画にも妥協は見えません。
本作はもともと夏公開だったのが延期され、80分予定だった上映時間は119分まで拡大、公開10日前にもまだ製作していたそうです。
スタッフが下手すりゃ過労死するんじゃないかと思うほどの、作品の愛を確かに感じました。
ちなみにストーリーはド・シンプルで、「(またもや)廃校の危機に直面したから、めっちゃ強いチームとバトる」と一行で説明できます。
後は女の子が「はわわ〜」「西ってどっちですか〜」と言いながら、戦車がどかーんばきばきぐしゃーんと戦うのを観るだけの至福の2時間ですよ。なんて素晴らしい映画なんだ!
どうでもいいですが、本作のポスター(のうち1パターン)は悲壮感たっぷりに見えますが、思いっきり詐欺ですね。実際の映画は女の子たちがゆるふわな感じでウフフキャッキャと戦う内容になっています。
※劇中にこんなシーンはありません
すさまじいのはキャラクターの多さですね。
公式サイトで数えてみたのですが、この劇場版で登場するのは新キャラの4人も含めて66人もいました。
次第にスタッフもめんどくさくなったのか、「ダージリン」「アッサム」(紅茶の名前)、「アンチョビ」「カルパッチョ」、「B子」「C子」というやっつけすぎる名前のキャラがいるのは笑いました。
恐ろしいことに、作中においてこのキャラたちのほとんどは、その個性を見せてちゃんと活躍しています。
こんだけのキャラを整理した脚本を仕上げるというのは、並大抵の努力でできるものではないでしょう。
また、アクション描写はもちろん、展開そのものも超アツいものになっています。
ちょっと例を挙げるなら
・敵にも負けられない理由がある
・社会人チームをも負かす強豪チームに立ち向かう
・俺(私)たちにしかできないことがある
・最後まで諦めない
これはスラムダンクですか?
※もはや『マッドマックス4』も『ワイルド・スピード SKY MISSION』も敵ではないかもしれない。
また、戦車に関するディテールもものすごいことになっていますね。
戦車の情報は公式サイトが怖いくらいに充実しているほか、Wikipediaが詳しすぎてめっちゃ長いので、そちらを参照することをおすすめします。
もちろん欠点もあります。
ストーリーなんて二の次な作品とはいえ、そもそもの廃校の理由が語られないのは少し腑に落ちません。
キャラが多すぎて把握が大変(たぶんファンにとっては問題ない)という問題も確かにあります。
でも。そんな欠点がすべてどうでもよくなる勢いとパワーが、この作品にはありました。
あとね、『マッドマックス4』が公開されたとき、世の映画製作者はめっちゃ悔しがったと思うのですよ(こんな映画はもう撮れない、日本で製作するのは不可能だ・・・などなど)。
で、現状この『ガールズ&パンツァー』がもっとも『マッドマックス4』に近い存在になるとは思いもしませんでした。
いやあアニメの力ってすごいもんですね。
本作(テレビシリーズ)のおかげで舞台である大洗町の名は全国に知れ渡り、特設サイトまで作られています。
地元の66歳のおじいちゃんが作った聖地巡礼マップ(pdf注意)も素敵すぎます。
日本の放送コンテンツ海外輸出額はアニメが6割を超えているそうですし、真のクールジャパンを見せつけるのはこいつなのではないでしょうか。たぶん海外にはこんなのマネできん。
なお、作中にはキャラのおなじみの言動(たぶん)や、◯◯作戦などのテレビシリーズからの小ネタ(たぶん)がたくさんあるので、ファンであればより楽しく観られるでしょう。
しかし、この劇場版は冒頭3分にかなりわかりやすい解説動画がありますし、先ほども言ったようにストーリーが死ぬほどシンプルなので、予備知識がなくてもおもしろい作品になっていました。
なお、作中ではノルマンディー上陸作戦のときの暗号として使われた、ヴェルレーヌの詩「秋の歌」が引用されていたりもしました。
戦争映画好きにとってうれしいですね。
自分が観た回では観客の9割9分が年齢高めの男性でしたが、冗談抜きで老若男女が楽しめるのではないでしょうか。
Yahoo!映画で4.7点超え(おそらく今回はステマはない)、Filmarksで4,4点という評価は伊達じゃありません。ファンは女房を質に入れてでも観に行きましょう。
余談ですが、昨年公開されたブラッド・ピット主演の『フューリー』ことボーイズ&パンツァーが、テレビアニメ版の『ガルパン』と抱き合わせで販売されたりしていました。
映画ファンは大混乱したでしょうね・・・でもどっちもベクトルが正反対でおもしろい作品だと思いますよ。
もうひとつ余談。こんなおかしい企画はこの『ガルパン』だけだろうと思っていたら、『しんぐんデストロ〜イ!』というスマートフォンゲームや、『バレットガールズ』という女の子が戦車に乗りつつ下着姿になったりちくわを咥えされられたりするセクハラゲームも存在していました。
※エロ注意
結論:日本は世界でいちばん平和で、素晴らしい国だと思います。
おすすめ↓
そこだけは切っちゃだめだろ! 劇場版「ガルパン」のチケットが文字数制限で「ガールズ&パンツ」になる事案が発生 - ねとらぼ
ガールズ&パンツァー 劇場版 感想:ブラボー!と叫びたくなる傑作映画 - アニメとスピーカーと‥‥。
『ガールズ&パンツァー 劇場版』 感想、戦車に通れない道はありません。 - ふわふわな記憶(超絶ネタバレ注意)
※いちばん下のコメントにたくさん意見をいただいているので読めばいいと思うよ!(ネタバレあり)
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:萌え×戦車×『マッドマックス4』
あらすじ
萌え萌えな女の子が「はわわわ〜」とか言いながら戦車を操縦して、実弾をバカスカ撃ちます。It's so crazy.
※今回はネタバレして語る点がほとんどない(いいから観ろ)ため、ネタバレなしの感想だけ書きます。
えーと、自分はおそらく1000人中1人くらいの割合の「テレビシリーズを一切知らない&予備知識がまったくないのに劇場版を観に行った」奇特な人間なのですが(ファンの方ごめんなさい)、それでもめちゃくちゃおもしろかったです。
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この企画ってすごくどうかしている(褒め言葉)と思うんですよ。
どこのどいつが、重圧な戦車と、アニメの萌え萌えな女の子を結びつけるんですかね(いたからこの世に存在しているんだけど)。


本作にまつわる設定のありえなさは、もはや感動を覚えるレベルです。
・戦車でバトる「戦車道」は女子のたしなみであり、「茶道、花道、戦車道」と言われるくらいに一般的
・女子校対抗で戦車道が行われており、政府もそれを推進している
・(冒頭のおさらい動画にて)「戦車道をすると男子にモテるから、女子はみんなやったほうがいいよ!」
・戦いでは実弾を思い切り使う(でもコクピットはカーボンで覆われているから安全らしい)
設定を知ったときの自分の気持ち↓

この世界に男子学生はいないのかとか、コクピットから顔出したとき実弾当たったら死ぬやんとか、市街地でぶっ放したら訴訟どころの話じゃねーだろとか、ツッコミどころは無尽蔵ですね。
いや、でも、細けえことはいいんだよ!
これはミリタリーオタクと、美少女アニメオタクにとって、この世のユートピアと言うべき存在なんだから!
この作品に触れたとき、自分は『らいか・デイズ』という漫画の以下の2コマが脳裏に浮かびました。

「都合が悪いのなんて現実だけで十分だよ」
いやもうまったくその通りですね。
まさに桃源郷。戦車×萌えは正義。もはや細かい設定なんてどうでもいいのです。
そもそもの設定のクレイジーさはおいといて本題。
この劇場版はずっとアクションがぶっ続く『マッドマックス 怒りのデスロード』ばりにサービス精神に溢れまくった娯楽大作になっています。
どちらの作品も、最初にちょっとアクション→最低限のドラマ→あとはノンストップアクション!ヒャッハーな構成になってます。
どっちも世界観が狂ってますしね(褒め言葉)。


※どっちもおかしい
しかもただ愚直にアクションが続くだけでなく、手を変え品を変えアイデア満載のスペクタクルが続きます。
具体的には、終盤に廃遊園地の中で戦車バトルが勃発するのですが、こんなの見たことねえよ! これはアニメでしかできないですね。
3Dモデリングで作られた戦車バトルはスクリーンでも映える迫力。背景の画にも妥協は見えません。
本作はもともと夏公開だったのが延期され、80分予定だった上映時間は119分まで拡大、公開10日前にもまだ製作していたそうです。
スタッフが下手すりゃ過労死するんじゃないかと思うほどの、作品の愛を確かに感じました。
ちなみにストーリーはド・シンプルで、「(またもや)廃校の危機に直面したから、めっちゃ強いチームとバトる」と一行で説明できます。
後は女の子が「はわわ〜」「西ってどっちですか〜」と言いながら、戦車がどかーんばきばきぐしゃーんと戦うのを観るだけの至福の2時間ですよ。なんて素晴らしい映画なんだ!
どうでもいいですが、本作のポスター(のうち1パターン)は悲壮感たっぷりに見えますが、思いっきり詐欺ですね。実際の映画は女の子たちがゆるふわな感じでウフフキャッキャと戦う内容になっています。

すさまじいのはキャラクターの多さですね。
公式サイトで数えてみたのですが、この劇場版で登場するのは新キャラの4人も含めて66人もいました。
次第にスタッフもめんどくさくなったのか、「ダージリン」「アッサム」(紅茶の名前)、「アンチョビ」「カルパッチョ」、「B子」「C子」というやっつけすぎる名前のキャラがいるのは笑いました。
恐ろしいことに、作中においてこのキャラたちのほとんどは、その個性を見せてちゃんと活躍しています。
こんだけのキャラを整理した脚本を仕上げるというのは、並大抵の努力でできるものではないでしょう。
また、アクション描写はもちろん、展開そのものも超アツいものになっています。
ちょっと例を挙げるなら
・敵にも負けられない理由がある
・社会人チームをも負かす強豪チームに立ち向かう
・俺(私)たちにしかできないことがある
・最後まで諦めない
これはスラムダンクですか?
この表みたらガルパン1位も納得ですわ pic.twitter.com/Kotk0LBLLk
— suizou (@suizou) 2015, 11月 24
※もはや『マッドマックス4』も『ワイルド・スピード SKY MISSION』も敵ではないかもしれない。
また、戦車に関するディテールもものすごいことになっていますね。
戦車の情報は公式サイトが怖いくらいに充実しているほか、Wikipediaが詳しすぎてめっちゃ長いので、そちらを参照することをおすすめします。
もちろん欠点もあります。
ストーリーなんて二の次な作品とはいえ、そもそもの廃校の理由が語られないのは少し腑に落ちません。
キャラが多すぎて把握が大変(たぶんファンにとっては問題ない)という問題も確かにあります。
でも。そんな欠点がすべてどうでもよくなる勢いとパワーが、この作品にはありました。
あとね、『マッドマックス4』が公開されたとき、世の映画製作者はめっちゃ悔しがったと思うのですよ(こんな映画はもう撮れない、日本で製作するのは不可能だ・・・などなど)。
で、現状この『ガールズ&パンツァー』がもっとも『マッドマックス4』に近い存在になるとは思いもしませんでした。
いやあアニメの力ってすごいもんですね。
本作(テレビシリーズ)のおかげで舞台である大洗町の名は全国に知れ渡り、特設サイトまで作られています。
地元の66歳のおじいちゃんが作った聖地巡礼マップ(pdf注意)も素敵すぎます。
日本の放送コンテンツ海外輸出額はアニメが6割を超えているそうですし、真のクールジャパンを見せつけるのはこいつなのではないでしょうか。たぶん海外にはこんなのマネできん。
なお、作中にはキャラのおなじみの言動(たぶん)や、◯◯作戦などのテレビシリーズからの小ネタ(たぶん)がたくさんあるので、ファンであればより楽しく観られるでしょう。
しかし、この劇場版は冒頭3分にかなりわかりやすい解説動画がありますし、先ほども言ったようにストーリーが死ぬほどシンプルなので、予備知識がなくてもおもしろい作品になっていました。
なお、作中ではノルマンディー上陸作戦のときの暗号として使われた、ヴェルレーヌの詩「秋の歌」が引用されていたりもしました。
戦争映画好きにとってうれしいですね。
自分が観た回では観客の9割9分が年齢高めの男性でしたが、冗談抜きで老若男女が楽しめるのではないでしょうか。
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2015-03-18)
売り上げランキング: 6,428
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映画ファンは大混乱したでしょうね・・・でもどっちもベクトルが正反対でおもしろい作品だと思いますよ。
もうひとつ余談。こんなおかしい企画はこの『ガルパン』だけだろうと思っていたら、『しんぐんデストロ〜イ!』というスマートフォンゲームや、『バレットガールズ』という女の子が戦車に乗りつつ下着姿になったりちくわを咥えされられたりするセクハラゲームも存在していました。

※エロ注意
結論:日本は世界でいちばん平和で、素晴らしい国だと思います。
おすすめ↓
そこだけは切っちゃだめだろ! 劇場版「ガルパン」のチケットが文字数制限で「ガールズ&パンツ」になる事案が発生 - ねとらぼ
ガールズ&パンツァー 劇場版 感想:ブラボー!と叫びたくなる傑作映画 - アニメとスピーカーと‥‥。
『ガールズ&パンツァー 劇場版』 感想、戦車に通れない道はありません。 - ふわふわな記憶(超絶ネタバレ注意)
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映画『劇場霊』タイトルが盛大に間違っている件(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『劇場霊』です。
個人的お気に入り度:4/10
一言感想:最近の中田監督作らしいスットコドッコイ
あらすじ
売れない女優・ぱるる VS 動くマネキン VS セクハラプロデューサー VS 役立たずの警察
えっとね・・・中田秀夫監督って、本来すごく力量のある方だと思うのですよ。
ジャパニーズホラーの地位を一気に押し上げた『リング』は、小学生の自分に元祖トラウマを植え付けてくれた忘れられない作品でした。
ところが最近の中田監督作品は『インシテミル 7日間のデス・ゲーム 』『クロユリ団地』『MONSTERZ モンスターズ』と、いずれも微妙どころか酷評されている作品ばかりです。いや、個人的にクロユリ団地は好きだし、MONSTERZは愛すべき映画だと思うけど。
今回は中田監督の長編デビュー作『女優霊』を思わせるタイトルで、宣伝でもそれを匂わせていました。
これはあのときの中田監督ならではの恐怖が戻ってきてくれたのだと期待していたのですがやっぱりちょっとダメでしたね。
ぶっちゃけ、本作はホラーとしてはそれほど怖くはありません。
その理由の多くが、ジャパニーズホラーらしいじわじわと精神にクる恐怖シーンが少ないことと、敵そのものの正体がわりとはっきりしていることです。
『女優霊』では、製作中の映画の試写会に昔の作品の映像が紛れ込んでいて、そこにはいるはずのない謎の女性が・・・という「謎」と「未知の恐怖」でグイグイとひっぱってくれました。
『リング』では、「観ると死ぬビデオ」という荒唐無稽なものが出てくるものの、その映像そのものの意味不明さ、「逃れらなくなる状況」が凡百のホラー作品とは異なる恐怖を届けてくれました。
ところが、『劇場霊』では恐怖の正体がはじめのオープニングでだいたいわかってしまううえ、後にはその目的もはっきりと語られてしまいます。
『呪怨』シリーズでも思ったことなのですが、こうしたホラーでは敵の正体がわかってしまうほど、対策のしようがあるほど、怖くなくなってしまいます。
純粋なホラーを期待すると、これは期待外れになってしまうのではないでしょうか。
あと終盤はもうツッコミどころが満載で、どうしても失笑が漏れてしまいます。
中田監督作品では警察を無能にしなきゃいけない縛りでもあるんでしょうか。これは悪い意味でチープです。
『女優霊』のファンであればうれしい要素もあります。
『女優霊』と『劇場霊』は、映画(演劇)スタッフが作品作りの過程において、襲いかかる恐怖の謎を解こうとするプロットがいっしょ。水辺で映画を撮影するシーンは、セルフオマージュのようでもあります。
また、このデジタル全盛期に、フィルム撮影が行われていることも「こだわり」なのでしょう。
恐怖の対象もCGを使っていないとのことなので、古き良きジャパニーズホラーを復活させようとする気概は存分に感じられます。
触れておかなければならないのが、島崎遥香(ぱるる)の演技力ですね。
そのかわいらしい容姿をかなぐり捨てたかのような後半の表情の変化には感動させられました。
彼女が「死体役くらいしか仕事が来ない売れない女優」になっているというのもミソ。
前田敦子が『もらとりあむタマ子』でどうしようもないニートを演じたときも思ったのですが、本人とギャップのある役を演じるとそれだけでおもしろいものなのですね。
また、今回は未知の恐怖と戦う以外にも、女優としての地位を勝ち取るための女たちのバトルが勃発しているのが楽しいですね。
本筋よりもこっちの顛末のほうが気になる人も多いんじゃないでしょうか。
映像面では中田監督の手腕がしっかりと生きていますし、各場面も間延びしていないために最後まで退屈はせずに観られるでしょう。
お話のほうは確かにツッコミどころ満載で、恐怖描写もあんまりにあんまりですが・・・決して悪い映画ではないと思います。
余談ですが、今年はほかにも劇場を舞台にしたホラー映画『死霊高校』を観ていました。
※12月23日発売
こちらはPOV(主観)方式を利用したスピード感のあるホラー作品。
「The Gallows(絞首台)」という原題にもしっかりとした意味があり、終盤の画作りでは感動でき、突発的にゾッとさせられる(想像させる)描写があったりと、あなどれない作品に仕上がっていました。
『劇場霊』の恐怖はよくも悪くもおとなしめでした。ていうかむしろギャグに等しい。
お化け屋敷型のハラハラホラーを期待するのであれば『死霊高校』を、ホラー描写はともかく(←問題発言)中田監督の原点を期待するのであれば『劇場霊』を十分におすすめします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ かなりイジっているので、この映画が好きな人にはごめんなさい
個人的お気に入り度:4/10
一言感想:最近の中田監督作らしいスットコドッコイ
あらすじ
売れない女優・ぱるる VS 動くマネキン VS セクハラプロデューサー VS 役立たずの警察
えっとね・・・中田秀夫監督って、本来すごく力量のある方だと思うのですよ。
ジャパニーズホラーの地位を一気に押し上げた『リング』は、小学生の自分に元祖トラウマを植え付けてくれた忘れられない作品でした。
ところが最近の中田監督作品は『インシテミル 7日間のデス・ゲーム 』『クロユリ団地』『MONSTERZ モンスターズ』と、いずれも微妙どころか酷評されている作品ばかりです。いや、個人的にクロユリ団地は好きだし、MONSTERZは愛すべき映画だと思うけど。
今回は中田監督の長編デビュー作『女優霊』を思わせるタイトルで、宣伝でもそれを匂わせていました。
これはあのときの中田監督ならではの恐怖が戻ってきてくれたのだと期待していたのですがやっぱりちょっとダメでしたね。
ぶっちゃけ、本作はホラーとしてはそれほど怖くはありません。
その理由の多くが、ジャパニーズホラーらしいじわじわと精神にクる恐怖シーンが少ないことと、敵そのものの正体がわりとはっきりしていることです。
『女優霊』では、製作中の映画の試写会に昔の作品の映像が紛れ込んでいて、そこにはいるはずのない謎の女性が・・・という「謎」と「未知の恐怖」でグイグイとひっぱってくれました。
『リング』では、「観ると死ぬビデオ」という荒唐無稽なものが出てくるものの、その映像そのものの意味不明さ、「逃れらなくなる状況」が凡百のホラー作品とは異なる恐怖を届けてくれました。
ところが、『劇場霊』では恐怖の正体がはじめのオープニングでだいたいわかってしまううえ、後にはその目的もはっきりと語られてしまいます。
『呪怨』シリーズでも思ったことなのですが、こうしたホラーでは敵の正体がわかってしまうほど、対策のしようがあるほど、怖くなくなってしまいます。
純粋なホラーを期待すると、これは期待外れになってしまうのではないでしょうか。
あと終盤はもうツッコミどころが満載で、どうしても失笑が漏れてしまいます。
中田監督作品では警察を無能にしなきゃいけない縛りでもあるんでしょうか。これは悪い意味でチープです。
『女優霊』のファンであればうれしい要素もあります。
『女優霊』と『劇場霊』は、映画(演劇)スタッフが作品作りの過程において、襲いかかる恐怖の謎を解こうとするプロットがいっしょ。水辺で映画を撮影するシーンは、セルフオマージュのようでもあります。
また、このデジタル全盛期に、フィルム撮影が行われていることも「こだわり」なのでしょう。
恐怖の対象もCGを使っていないとのことなので、古き良きジャパニーズホラーを復活させようとする気概は存分に感じられます。
触れておかなければならないのが、島崎遥香(ぱるる)の演技力ですね。
そのかわいらしい容姿をかなぐり捨てたかのような後半の表情の変化には感動させられました。
彼女が「死体役くらいしか仕事が来ない売れない女優」になっているというのもミソ。
前田敦子が『もらとりあむタマ子』でどうしようもないニートを演じたときも思ったのですが、本人とギャップのある役を演じるとそれだけでおもしろいものなのですね。
また、今回は未知の恐怖と戦う以外にも、女優としての地位を勝ち取るための女たちのバトルが勃発しているのが楽しいですね。
本筋よりもこっちの顛末のほうが気になる人も多いんじゃないでしょうか。
映像面では中田監督の手腕がしっかりと生きていますし、各場面も間延びしていないために最後まで退屈はせずに観られるでしょう。
お話のほうは確かにツッコミどころ満載で、恐怖描写もあんまりにあんまりですが・・・決して悪い映画ではないと思います。
余談ですが、今年はほかにも劇場を舞台にしたホラー映画『死霊高校』を観ていました。
死霊高校 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-12-23)
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こちらはPOV(主観)方式を利用したスピード感のあるホラー作品。
「The Gallows(絞首台)」という原題にもしっかりとした意味があり、終盤の画作りでは感動でき、突発的にゾッとさせられる(想像させる)描写があったりと、あなどれない作品に仕上がっていました。
『劇場霊』の恐怖はよくも悪くもおとなしめでした。
お化け屋敷型のハラハラホラーを期待するのであれば『死霊高校』を、ホラー描写はともかく(←問題発言)中田監督の原点を期待するのであれば『劇場霊』を十分におすすめします。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ かなりイジっているので、この映画が好きな人にはごめんなさい
映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』管理社会と社畜を否定的に描くファミリー映画だった!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『リトルプリンス 星の王子さまと私』(原題:The Little Prince)です。
※今回は否定的な意見もいただきました。いちばん下のコメント欄もご覧ください。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:「大人になる」ことを考えさせるファンタジー
あらすじ
よい学校に入るために勉強漬けの毎日を送る9歳の女の子は、名門校の学区内に引っ越してきた。
隣住んでいたおじいさんは、「小さな王子」の物語が描かれた紙飛行機を女の子に贈った。
女の子とおじいさんは、やがてかけがえのない友だちになっていく。
サン=テグジュペリによる世界的ベストセラー『星の王子さま』のアニメ映画化作品です。
本作は『星の王子さま』のストーリーをなぞると同時に、女の子とおじいさんの友情物語が描かれるという内容になっています。
いやーしかし、びっくりしました。
本作は管理社会と社畜を思いっきり否定的に描く映画だったのですから。
たとえば、主人公の女の子は幼い頃から英才教育を施され、お受験で失敗しないように「模範的な回答」を刷り込まされます。
そのうえ「完璧な人生プラン」を勝手にお母さんに掲げられ、友だちも作らずにずーっとそのスケジュールをこなさくなてはならなくなるのです。
<お受験をすごく重視する親子
また、お母さんは仕事の愚痴を(何も伝わらないのに)女の子に言って、大人の社会がある街は幾何学的で無機質なものとなっており、ラジオからは「数字がもっとも大切だ!」みたいな言葉が流れます。
徹底的に、大人の社会が管理されたものとして描かれています。
そんなとき、隣に住むおじいさんから、女の子は「小さな王子さま」の話を聞くことになります。
おじいさんは自由気ままで、それでいて「夢」に対して純粋であるかのように思えます。
やがて女の子は、お母さんの言いなりになってスケジュールをこなすよりも、おじいさんとの友情を大切にするようになるのでした。
<こっちのほうが楽しい!
まとめると、本作は子どもには「ママの言いなりになんかならない!」、大人には「こんな会社辞めてやる!」な素敵なメッセージを贈っている作品なのです。
いやあ素晴らしい。おじいさんのようなフーテン(死語)のような生活でもいいんだ!と肯定しているとも取れます。これ教育上悪くねえか?でもこれでいーんです!
原作の『星の王子さま』でも、大人の社会を、それぞれ「うぬぼれ屋」「権威ばかりを大事にする王様」「お金ばかりを気にするビジネスマン」などの星の住人として描くことで、批判(皮肉)しているところがありました。
原作でもこの映画でも、そうした大人の社会で忘れがちな「本当に大切なこと」を教えてくれます。
本当に大切なこととは何か?というのはネタバレになるので後に書きますが、これは子どもはもちろん、大人にも響く言葉でしょう。
映像もほぼ文句なしのクオリティーです。
もっとも特徴的なのは、CGアニメだけでなく、王子さまの物語がストップモーションアニメで描かれることでしょう。
<CGアニメは「現実」パート
<ストップモーションは「王子さまの物語」パート
これは、ストップモーションのパートが「お話」ということを印象付けるだけでなく、原作の雰囲気をそのまま再現するということにおいて、確かな意義が感じられました。
さらに終盤には大感動できる画があるのだけど・・・これは意外な展開も含めてネタバレになるので書けません。後に書くことにしましょう。
吹き替え版には声優でない有名人が起用されているので気に入らない方もいるかもしれませんが、実際に聞いてみるとまったくもって問題はありませんでした。
津川雅彦はやさしいおじいさんを好演。伊勢谷友介演じるキツネ、竹野内豊演じるヘビはかわいい外見とギャップのあるイケメンボイスを披露。ビビる大木演じるうぬぼれ屋が本人のキャラも相まってハマりすぎなど、聴き応えは抜群です。
わがままなバラ役が滝川クリステルというのは狙いすぎでちょっと笑ってしました。でも「お・も・て・な・し」とかは言いませんので大丈夫(?)です。
ちなみに字幕版での声優は、おじいさん役がジェフ・ブリッジス、女の子役がマッケンジー・フォイ、ヘビ役がベニチオ・デル・トロと、めっちゃ豪華。大人は数少ない字幕版を狙ってみるのもいいでしょう。
そして、大御所中の大御所、ハンス・ジマー(今回はリチャード・ハーヴェイとの共作)による音楽が最高なのです。
『ダークナイト』や『インセプション』などのゴリゴリのタフな音楽だけでなく、ここまでファンタジー作品に合った楽しい楽曲を手がけられるとは・・・。
しかも、今回はカミーユ(・ダルメ)というフランスのシンガーソングライターともコラボをしています。
ハンス・ジマーのファンであれば観なければならない1本でしょう。
また、『トト・ザ・ヒーロー』でもおなじみのシャルル・トレネの「BOUM!」も流れたりしています。
86歳のおじいさんと、9歳の女の子のふたりを主人公としていることにも、原作者へのリスペクトがみえます。
原作の『星の王子さま』の冒頭では「レオン・ヴェルトに」と献辞が捧げられており、サン=テグジュペリは彼のことを「この世でいちばんの僕の親友」と呼んでいます。
レオン・ヴェルトはサン=テグジュペリよりも22歳も年上でした。
レオンは熱烈な平和主義者のうえにユダヤ人であったため、ナチスによる当時の弾圧を避けて山荘に隠れ住まなければならなくなったそうです。
映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』では、おじいさんはレオンと同じように世間から疎まれている存在になっており、年齢のまったく違うふたりの友情が描かれています。
これは、レオンとサン=テグジェペリの関係そのままのように思えるのです。
なお、作中に登場する主要人物は、「女の子」「おじいさん」「お母さん」となっており、名前がついていません。
これは、「物語の主人公は、観客であるあなたたち」というメッセージなのではないでしょうか。
これはおすすめです。
子どもにとっては王子さまの物語とワクワクする冒険に心踊ります。
大人にとっては「本当に大切なこと」を思い出し、社畜である自分がちょっとだけ嫌になります(笑)。
※(追記)ちょっと話が観念的すぎ、アクションンシーンになるのが遅すぎで、飽きてしまう子どもも多いそうです。
大人には極端な描写と原作からの改変がちょっと嫌われているみたい。
このあたりにはわりと好き嫌いが分かれるかもしれません。
※以下のご意見をいただきました。
私も観ている間は、「社会の描き方が極端な作品だな……」と思ってました。
誰一人として楽しそうに仕事をせず(と言うよりおじいさん以外の大人は殆ど笑うシーンがない、嘲笑はありますが)、生活区域は社会主義の様に幾何学的に区切られ、あらゆるものに個性がなく、規則正しく生きている……。
最も端的に表れているのがお母さんが、主人公の少女の為に作っているスケジュール表ですね。確か10分刻みのスケジュールだったと思いますが、当たり前の通りあんなタイトなスケジュールで行動できるのは大統領くらいしかいないし、全然現実のお話しに見えない。
結局は原作『星の王子さま』と同様に、寓話的な世界観だと認識して観ていました。児童文学では、批判すべきものが極端なものとして描かれることが往々にしてあることですよね。例えば、大人の時間・物質的に支配された世界を批判的に描くミヒャエル・エンデの『モモ』、夢の意義を問うパウロ・コエーリョの『アルケミスト』、大人世界の価値観を真っ向から否定するエンリケ・バリオスの『アミ 小さな宇宙人』、そしてサン=テクジュペリの『星の王子さま』。どれもハッキリ言って極端な大人社会を描いています。(だから主人公、というか書き手が上から目線だと感じる人が多い、結果嫌う人も多い、と思っています)
本作についても、あらゆる極端な世界観、人物描写は「あくまで寓話的なんだ」と考えるべきかなぁと思います。後半で、少女が飛行機に乗って別の星にたどり着くというファンタジックな世界観に移りますが、その前からファンタジーと言えるのではないでしょうか。だって、原作『星の王子さま』がそうですから。
反面、おすすめできないのは厳格な教育をされている親御さん(の子ども)でしょうか。
これを子どもが観ると、マジで反抗期に突入しかねないと思うのでお気をつけください。
でも、子どもを教育に縛り付けるよりも、もっと大切なことを知れるかもしれませんよ。
3Dもなかなかに効果的なので、料金を上乗せする価値は十分でしょう。
『星の王子さま』ファンはもちろん、(省略された部分もありますが)丁寧に原作のエピソードをなぞってくれるので「『星の王子さま』ってどんな話?」と思っている方へもおすすめできます。
原作『星の王子さま』の雰囲気を壊さずに、新たな感動を届けてくれることに感動しました。
親子でもデートでも、ちょっと世間に疲れた大人も、ぜひ劇場へ。
↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。
※今回は否定的な意見もいただきました。いちばん下のコメント欄もご覧ください。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:「大人になる」ことを考えさせるファンタジー
あらすじ
よい学校に入るために勉強漬けの毎日を送る9歳の女の子は、名門校の学区内に引っ越してきた。
隣住んでいたおじいさんは、「小さな王子」の物語が描かれた紙飛行機を女の子に贈った。
女の子とおじいさんは、やがてかけがえのない友だちになっていく。
サン=テグジュペリによる世界的ベストセラー『星の王子さま』のアニメ映画化作品です。
本作は『星の王子さま』のストーリーをなぞると同時に、女の子とおじいさんの友情物語が描かれるという内容になっています。
いやーしかし、びっくりしました。
本作は管理社会と社畜を思いっきり否定的に描く映画だったのですから。
たとえば、主人公の女の子は幼い頃から英才教育を施され、お受験で失敗しないように「模範的な回答」を刷り込まされます。
そのうえ「完璧な人生プラン」を勝手にお母さんに掲げられ、友だちも作らずにずーっとそのスケジュールをこなさくなてはならなくなるのです。

また、お母さんは仕事の愚痴を(何も伝わらないのに)女の子に言って、大人の社会がある街は幾何学的で無機質なものとなっており、ラジオからは「数字がもっとも大切だ!」みたいな言葉が流れます。
徹底的に、大人の社会が管理されたものとして描かれています。
そんなとき、隣に住むおじいさんから、女の子は「小さな王子さま」の話を聞くことになります。
おじいさんは自由気ままで、それでいて「夢」に対して純粋であるかのように思えます。
やがて女の子は、お母さんの言いなりになってスケジュールをこなすよりも、おじいさんとの友情を大切にするようになるのでした。

まとめると、本作は子どもには「ママの言いなりになんかならない!」、大人には「こんな会社辞めてやる!」な素敵なメッセージを贈っている作品なのです。
いやあ素晴らしい。おじいさんのようなフーテン(死語)のような生活でもいいんだ!と肯定しているとも取れます。これ教育上悪くねえか?でもこれでいーんです!
原作の『星の王子さま』でも、大人の社会を、それぞれ「うぬぼれ屋」「権威ばかりを大事にする王様」「お金ばかりを気にするビジネスマン」などの星の住人として描くことで、批判(皮肉)しているところがありました。
原作でもこの映画でも、そうした大人の社会で忘れがちな「本当に大切なこと」を教えてくれます。
本当に大切なこととは何か?というのはネタバレになるので後に書きますが、これは子どもはもちろん、大人にも響く言葉でしょう。
映像もほぼ文句なしのクオリティーです。
もっとも特徴的なのは、CGアニメだけでなく、王子さまの物語がストップモーションアニメで描かれることでしょう。


これは、ストップモーションのパートが「お話」ということを印象付けるだけでなく、原作の雰囲気をそのまま再現するということにおいて、確かな意義が感じられました。
さらに終盤には大感動できる画があるのだけど・・・これは意外な展開も含めてネタバレになるので書けません。後に書くことにしましょう。
吹き替え版には声優でない有名人が起用されているので気に入らない方もいるかもしれませんが、実際に聞いてみるとまったくもって問題はありませんでした。
津川雅彦はやさしいおじいさんを好演。伊勢谷友介演じるキツネ、竹野内豊演じるヘビはかわいい外見とギャップのあるイケメンボイスを披露。ビビる大木演じるうぬぼれ屋が
わがままなバラ役が滝川クリステルというのは狙いすぎでちょっと笑ってしました。でも「お・も・て・な・し」とかは言いませんので大丈夫(?)です。
ちなみに字幕版での声優は、おじいさん役がジェフ・ブリッジス、女の子役がマッケンジー・フォイ、ヘビ役がベニチオ・デル・トロと、めっちゃ豪華。大人は数少ない字幕版を狙ってみるのもいいでしょう。
そして、大御所中の大御所、ハンス・ジマー(今回はリチャード・ハーヴェイとの共作)による音楽が最高なのです。
『ダークナイト』や『インセプション』などのゴリゴリのタフな音楽だけでなく、ここまでファンタジー作品に合った楽しい楽曲を手がけられるとは・・・。
しかも、今回はカミーユ(・ダルメ)というフランスのシンガーソングライターともコラボをしています。
ハンス・ジマーのファンであれば観なければならない1本でしょう。
また、『トト・ザ・ヒーロー』でもおなじみのシャルル・トレネの「BOUM!」も流れたりしています。
86歳のおじいさんと、9歳の女の子のふたりを主人公としていることにも、原作者へのリスペクトがみえます。
原作の『星の王子さま』の冒頭では「レオン・ヴェルトに」と献辞が捧げられており、サン=テグジュペリは彼のことを「この世でいちばんの僕の親友」と呼んでいます。
レオン・ヴェルトはサン=テグジュペリよりも22歳も年上でした。
レオンは熱烈な平和主義者のうえにユダヤ人であったため、ナチスによる当時の弾圧を避けて山荘に隠れ住まなければならなくなったそうです。
映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』では、おじいさんはレオンと同じように世間から疎まれている存在になっており、年齢のまったく違うふたりの友情が描かれています。
これは、レオンとサン=テグジェペリの関係そのままのように思えるのです。
なお、作中に登場する主要人物は、「女の子」「おじいさん」「お母さん」となっており、名前がついていません。
これは、「物語の主人公は、観客であるあなたたち」というメッセージなのではないでしょうか。
これはおすすめです。
子どもにとっては王子さまの物語とワクワクする冒険に心踊ります。
大人にとっては「本当に大切なこと」を思い出し、社畜である自分がちょっとだけ嫌になります(笑)。
※(追記)ちょっと話が観念的すぎ、アクションンシーンになるのが遅すぎで、飽きてしまう子どもも多いそうです。
大人には極端な描写と原作からの改変がちょっと嫌われているみたい。
このあたりにはわりと好き嫌いが分かれるかもしれません。
※以下のご意見をいただきました。
私も観ている間は、「社会の描き方が極端な作品だな……」と思ってました。
誰一人として楽しそうに仕事をせず(と言うよりおじいさん以外の大人は殆ど笑うシーンがない、嘲笑はありますが)、生活区域は社会主義の様に幾何学的に区切られ、あらゆるものに個性がなく、規則正しく生きている……。
最も端的に表れているのがお母さんが、主人公の少女の為に作っているスケジュール表ですね。確か10分刻みのスケジュールだったと思いますが、当たり前の通りあんなタイトなスケジュールで行動できるのは大統領くらいしかいないし、全然現実のお話しに見えない。
結局は原作『星の王子さま』と同様に、寓話的な世界観だと認識して観ていました。児童文学では、批判すべきものが極端なものとして描かれることが往々にしてあることですよね。例えば、大人の時間・物質的に支配された世界を批判的に描くミヒャエル・エンデの『モモ』、夢の意義を問うパウロ・コエーリョの『アルケミスト』、大人世界の価値観を真っ向から否定するエンリケ・バリオスの『アミ 小さな宇宙人』、そしてサン=テクジュペリの『星の王子さま』。どれもハッキリ言って極端な大人社会を描いています。(だから主人公、というか書き手が上から目線だと感じる人が多い、結果嫌う人も多い、と思っています)
本作についても、あらゆる極端な世界観、人物描写は「あくまで寓話的なんだ」と考えるべきかなぁと思います。後半で、少女が飛行機に乗って別の星にたどり着くというファンタジックな世界観に移りますが、その前からファンタジーと言えるのではないでしょうか。だって、原作『星の王子さま』がそうですから。
反面、おすすめできないのは厳格な教育をされている親御さん(の子ども)でしょうか。
これを子どもが観ると、マジで反抗期に突入しかねないと思うのでお気をつけください。
でも、子どもを教育に縛り付けるよりも、もっと大切なことを知れるかもしれませんよ。
3Dもなかなかに効果的なので、料金を上乗せする価値は十分でしょう。
『星の王子さま』ファンはもちろん、(省略された部分もありますが)丁寧に原作のエピソードをなぞってくれるので「『星の王子さま』ってどんな話?」と思っている方へもおすすめできます。
原作『星の王子さま』の雰囲気を壊さずに、新たな感動を届けてくれることに感動しました。
親子でもデートでも、ちょっと世間に疲れた大人も、ぜひ劇場へ。
↓以下、結末も含めてネタバレです。鑑賞後にご覧ください。
映画『ラスト・ナイツ』監督らしさも忠臣蔵らしさも少なめ(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『ラスト・ナイツ』です。
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:キリキリの個性がなくなっちゃった
あらすじ
政治家が台頭し、騎士の地位が脅かされる世界にて、バルトーク卿(モーガン・フリーマン)は反逆罪に問われてしまう。
死刑判決が下さたとき、まな弟子であった騎士ライデン(クライヴ・オーウェン)は彼の斬首を免じられるが・・・
毎度映画ファンからは嫌われまくり、一方でわりと愛されている気がする紀里谷和明監督のハリウッド進出作です。
親しみを込めて、以下より紀里谷監督のことをキリキリと呼ぶことにしましょう。
キリキリ監督の代表作にして出世作『CASSHERN』の問題点って何でしょう。まあ何よりも盛大な演説大会が始まること(有村昆もそう呼んでいた)ですよね。
<突き抜けたDAI☆EN☆ZETSU☆をする映画
もはやその演説っぷりは酷いを通り越して一周回っておもしろいレベルですが、映画をよく観ている方からは「全部語ってどうすんじゃボケ」と大ブーイング。
これを反省してか次回作『GOEMON』では演説大会の割合がかなり減っていました。
<気持ちのいいバカ映画でした
ひとりよがりなストーリーにも若干の修正がみられましたし、荒唐無稽なアクションとバカ映画に徹した作りはわりと好まれました(オープニングは腹筋が崩壊しかけるほどに笑った)。
で、本作『ラスト・ナイツ』では演説大会はほとんどなくなっちゃった。
キリキリは今年放送された「しくじり先生」でも、『CASSHERN』批評家の反応をめっちゃ気にしていたことが語られていたので、けっこう周りの意見を反映して作品作りをする方なんじゃないかと思います。
参考↓
<映画監督・紀里谷和明が映画コメンテーター・有村昆をフルボッコにwww ネット上で絶賛の嵐 - AOLニュース>
しかし・・・本作『ラスト・ナイツ』には『CASSHERN』や『GOEMON』のような荒唐無稽さはない、シリアスな笑いがほぼ皆無のド真面目な映画になっちゃいました。
違う、こんなの僕らの愛していたキリキリじゃない。「ぜんぶ自分の想いを語っちゃえ☆」な作風で映画ファンからの失笑と憎悪を買う芸風はどこに行っちゃったんだ(※キリキリは芸人ではありません)。
また、これまでの作品では青を基調とした画の中に妙にcolorfulな装飾やハレーションがあったのですが、本作では青白い画に一辺倒。
寒々しい中世っぽい世界の雰囲気はとてもいいのですが、画作りでもキリキリの個性が消えたのは残念でした。
本作は一応忠臣蔵をベースとした作品であり、だいたいの大筋はそれをなぞっています。
でも、君主国家にて地位の低い者たちが反逆をするという流れはわりとハリウッド映画でもありふれたもの。本作はあらゆる意味で個性がない作品に仕上がってしまいました。
『47RONIN』は、あれほどまでに忠臣蔵をリスペクトし、『ロード・オブ・ザ・リング』の世界に『モンスターハンター』が混ざったような素敵なバカ映画だったのに・・・
これはキリキリの成長と捉えるべきなんでしょうが、個人的にはちょっと残念。
彼はPV出身なのに、既存の映画の常識を製作過程においてもぶっ壊そうとして映画関係者からも嫌われたアナーキーな方。
ハリウッド進出は「こんな日本映画界やだい!ハリウッドで撮るもん!」という想いが叶った結果。
そんな彼のアグレッシブな作品を期待していたら、出来上がった作品がふつうというのはやはり残念でした。
※参考↓
<紀里谷和明監督、ハリウッド進出作品『ラスト・ナイツ』に込めた想い 「映画は僕にとって壮大な独り言」 - ハードワーカーズ>
今回はキリキリは脚本を手がけていないので、いままでの作品とは異なるのは致し方のないことなのですけどね。
さて、キリキリの来歴や個性を考えなければ、映画本編は真面目な「騎士もの」として十分おもしろいです。
国家に反逆を誓う過程、主人公の環境の描写はしっかりしており、アクションも迫力もあるものに仕上がっています。
序盤〜中盤のテンポがやや悪くて退屈さが否めなかったりするのですが、これくらいであれば許容範囲でしょう。
問題は、反逆を誓う騎士のメンバーの個性がちっとも描けていないこと。
主人公のことはとってもよくわかるものの、ほかのメンバーが誰が誰やら、どういう想いを持っているのかがほとんどわかりません。
なお、PG12指定作品ですが、そこまで残虐な描写はありません。
子どもには話が退屈だと思うので、高校生以上に推奨します。
結果的に本作は本国では大コケ、日本でも12位発進という絶不調になってしまいました・・・。
クライヴ・オーウェンとモーガン・フリーマンの豪華共演ももったいないです。
がんばれキリキリ!実家が金持ち(パチ屋)だったりするのは気に入らねえけど、ちょっと応援したくなったぞ(上から目線)。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:キリキリの個性がなくなっちゃった
あらすじ
政治家が台頭し、騎士の地位が脅かされる世界にて、バルトーク卿(モーガン・フリーマン)は反逆罪に問われてしまう。
死刑判決が下さたとき、まな弟子であった騎士ライデン(クライヴ・オーウェン)は彼の斬首を免じられるが・・・
毎度映画ファンからは嫌われまくり、一方でわりと愛されている気がする紀里谷和明監督のハリウッド進出作です。
親しみを込めて、以下より紀里谷監督のことをキリキリと呼ぶことにしましょう。
キリキリ監督の代表作にして出世作『CASSHERN』の問題点って何でしょう。まあ何よりも盛大な演説大会が始まること(有村昆もそう呼んでいた)ですよね。

もはやその演説っぷりは酷いを通り越して一周回っておもしろいレベルですが、映画をよく観ている方からは「全部語ってどうすんじゃボケ」と大ブーイング。
これを反省してか次回作『GOEMON』では演説大会の割合がかなり減っていました。
![GOEMON [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61k-k-HKzUL._SL160_.jpg)
ひとりよがりなストーリーにも若干の修正がみられましたし、荒唐無稽なアクションとバカ映画に徹した作りはわりと好まれました(オープニングは腹筋が崩壊しかけるほどに笑った)。
で、本作『ラスト・ナイツ』では演説大会はほとんどなくなっちゃった。
キリキリは今年放送された「しくじり先生」でも、『CASSHERN』批評家の反応をめっちゃ気にしていたことが語られていたので、けっこう周りの意見を反映して作品作りをする方なんじゃないかと思います。
参考↓
<映画監督・紀里谷和明が映画コメンテーター・有村昆をフルボッコにwww ネット上で絶賛の嵐 - AOLニュース>
しかし・・・本作『ラスト・ナイツ』には『CASSHERN』や『GOEMON』のような荒唐無稽さはない、シリアスな笑いがほぼ皆無のド真面目な映画になっちゃいました。
違う、こんなの僕らの愛していたキリキリじゃない。「ぜんぶ自分の想いを語っちゃえ☆」な作風で映画ファンからの失笑と憎悪を買う芸風はどこに行っちゃったんだ(※キリキリは芸人ではありません)。
また、これまでの作品では青を基調とした画の中に妙にcolorfulな装飾やハレーションがあったのですが、本作では青白い画に一辺倒。
寒々しい中世っぽい世界の雰囲気はとてもいいのですが、画作りでもキリキリの個性が消えたのは残念でした。
本作は一応忠臣蔵をベースとした作品であり、だいたいの大筋はそれをなぞっています。
でも、君主国家にて地位の低い者たちが反逆をするという流れはわりとハリウッド映画でもありふれたもの。本作はあらゆる意味で個性がない作品に仕上がってしまいました。
『47RONIN』は、あれほどまでに忠臣蔵をリスペクトし、『ロード・オブ・ザ・リング』の世界に『モンスターハンター』が混ざったような素敵なバカ映画だったのに・・・
これはキリキリの成長と捉えるべきなんでしょうが、個人的にはちょっと残念。
彼はPV出身なのに、既存の映画の常識を製作過程においてもぶっ壊そうとして映画関係者からも嫌われたアナーキーな方。
ハリウッド進出は「こんな日本映画界やだい!ハリウッドで撮るもん!」という想いが叶った結果。
そんな彼のアグレッシブな作品を期待していたら、出来上がった作品がふつうというのはやはり残念でした。
※参考↓
<紀里谷和明監督、ハリウッド進出作品『ラスト・ナイツ』に込めた想い 「映画は僕にとって壮大な独り言」 - ハードワーカーズ>
今回はキリキリは脚本を手がけていないので、いままでの作品とは異なるのは致し方のないことなのですけどね。
さて、キリキリの来歴や個性を考えなければ、映画本編は真面目な「騎士もの」として十分おもしろいです。
国家に反逆を誓う過程、主人公の環境の描写はしっかりしており、アクションも迫力もあるものに仕上がっています。
序盤〜中盤のテンポがやや悪くて退屈さが否めなかったりするのですが、これくらいであれば許容範囲でしょう。
問題は、反逆を誓う騎士のメンバーの個性がちっとも描けていないこと。
主人公のことはとってもよくわかるものの、ほかのメンバーが誰が誰やら、どういう想いを持っているのかがほとんどわかりません。
なお、PG12指定作品ですが、そこまで残虐な描写はありません。
子どもには話が退屈だと思うので、高校生以上に推奨します。
結果的に本作は本国では大コケ、日本でも12位発進という絶不調になってしまいました・・・。
クライヴ・オーウェンとモーガン・フリーマンの豪華共演ももったいないです。
がんばれキリキリ!実家が金持ち(パチ屋)だったりするのは気に入らねえけど、ちょっと応援したくなったぞ(上から目線)。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
映画『恋人たち』大切なものの場所(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『恋人たち(2015)』です。
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:自分もがんばろう
あらすじ
橋梁点検の仕事をするアツシ(篠原篤)は、健康保険料も支払えないほどに貧しい生活を送っていた。
主婦の瞳子(成嶋瞳子)は、パート先にやってくる取引先の男とひょんなことから親しくなる。
弁護士の四ノ宮(池田良)は、自尊心が高い完璧主義者で、同性との恋人との関係は険悪になってしまう。
それぞれの“恋人たち”は、何かを失ってはじめて“当たり前の日々”のかけがえのなさに気づいていく。
『ハッシュ!』『ぐるりのこと』の橋口亮輔監督・脚本による、7年ぶりの長編映画です。
![ぐるりのこと。 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41PKyZZmdVL._SL160_.jpg)
橋口監督作品の特徴のひとつが、人々の日常の描写がめちゃくちゃリアルだということ。
というか、作中の7割ぐらいが平凡すぎる、日常のどうでもよさそうなやりとりだったりします。
そんな日常の描写が、本作『恋人たち』にもたっぷり。
それでおもしろいのか?と思われるかもしれませんが、いやいや、もう目が離せないほど楽しくってしかたがないのです。
そのおもしろさの根源にあるのは、「ああ、こういうやついるいる」「めっちゃはらたつわー」「うわ、こういうやりとりするわー」と声が出そうなほどの“あるある”だったり、演技しているとは到底思えない自然な会話だったります。
これこそ、日本映画ならではの魅力です。
橋口監督作では日常のやりとりばかりなのにどこかドキドキするうえ、スクリーンに映る登場人物がまるで“そこにいる”ように感じられる親しみやすさがあります。
地上波ドラマでは、日常をダラダラと描くことなんてめったにありません。
このいい意味でのダラダラ感、“知らない人のリアルな日常”は、映画でしか体験できません。
『そして父になる』『海街diary』などの是枝裕和監督作品が好きな人にとっても、きっと気にいるでしょう。
さて、本作『恋人たち』は一見して暗くて重い作品に思えます。
主人公・アツシの過去にある出来事はものすごく深刻でしたし、彼の日常には困難も待ち受けています。
でも、決して重くて苦しいだけの作品になっていない、それどころかわりとクスクス笑える作品でもあります。
これは3人の物語が交錯する群像劇にして、悲劇の中にもある人のおかしみを丁寧に描いたおかげですね。
何より、この作品では橋口監督のやさしさがかいま見えるのが嬉しいです。
本作では、“うまくいっていない人”にエールを贈る、ちょっとダメな人を応援する映画になっています。
橋口監督は自身の悩みを映画に反映していました。
橋口監督はゲイであり、ゲイの持つ苦しみやおかしみを描いた『ハッシュ!』を手がけました。
その後にうつ病を経験したため、うつになった妻と、生活力はないけどやさしい夫との日常を描いた『ぐるりのこと』を撮りました。
この『恋人たち』を手がけるまでにも相当な悩みがあったそうで、監督は「悪夢のような数年間をいくら紙面があっても語れない」と語っています。
そんな監督がこの『恋人たち』で描いたのは、監督自身が経験していないような悩みや悲しみでした。
それでいて、誰もがささやかでも希望が持ているような、生きている世界を肯定できるような内容になっている・・・なんてやさしいんでしょうか!
また、本作はワークショップに集まった、十代~四十代までの“役者″に成りたいと願う人たちとともに制作されたそうです。
“何かに成りたいと願う人”たちのことのも書かれた、監督のエッセイが非常におもしろいので、ぜひ一読をおすすめします。
↓
<新連載!!映画監督 橋口亮輔のエッセイ!!橋口亮輔「まっすぐ」>
『ぐるりのこと』でもタッグを組んでいた、Akeboshiによる音楽も素晴らしかったですね。
<『ぐるりのこと』のときにはセレクションアルバムもリリースしていました。
音楽が使われる場所は、作中ではほんの2〜3箇所。だからでこそ、とても効果的な演出となっていました。
よくも悪くも“そのへんにいそうなちょっとダメな人の日常”を描いた作品なので、多少なりとも好き嫌いは分かれるでしょう。
いい人間だけでなく、わりと不遜なことをするキャラも出てくるので、イライラを超えて不愉快に思う人も少なくないはずです。
PG12指定だけあり、少しだけ性的なシーン、麻薬の描写があるので、小さい子の鑑賞は控えたほうがいいかもしれません。
それでも本作は、2015年を代表する傑作のひとつとしてオススメします。
上映時間は2時間20分と長めですが、まったく退屈することなく、それどころかこの映画が終わってほしくないとさえ思えました。
長回し、リアルな職場の描きかた、ときおり描かれるメタファー、そして作品の根底にあるやさしさ……そんな橋口監督節を存分に感じてください。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!
以下、結末も含めてネタバレ 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:9/10
一言感想:自分もがんばろう
あらすじ
橋梁点検の仕事をするアツシ(篠原篤)は、健康保険料も支払えないほどに貧しい生活を送っていた。
主婦の瞳子(成嶋瞳子)は、パート先にやってくる取引先の男とひょんなことから親しくなる。
弁護士の四ノ宮(池田良)は、自尊心が高い完璧主義者で、同性との恋人との関係は険悪になってしまう。
それぞれの“恋人たち”は、何かを失ってはじめて“当たり前の日々”のかけがえのなさに気づいていく。
『ハッシュ!』『ぐるりのこと』の橋口亮輔監督・脚本による、7年ぶりの長編映画です。
![ハッシュ! [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51YDYF0XB4L._SL160_.jpg)
![ぐるりのこと。 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41PKyZZmdVL._SL160_.jpg)
橋口監督作品の特徴のひとつが、人々の日常の描写がめちゃくちゃリアルだということ。
というか、作中の7割ぐらいが平凡すぎる、日常のどうでもよさそうなやりとりだったりします。
そんな日常の描写が、本作『恋人たち』にもたっぷり。
それでおもしろいのか?と思われるかもしれませんが、いやいや、もう目が離せないほど楽しくってしかたがないのです。
そのおもしろさの根源にあるのは、「ああ、こういうやついるいる」「めっちゃはらたつわー」「うわ、こういうやりとりするわー」と声が出そうなほどの“あるある”だったり、演技しているとは到底思えない自然な会話だったります。
これこそ、日本映画ならではの魅力です。
橋口監督作では日常のやりとりばかりなのにどこかドキドキするうえ、スクリーンに映る登場人物がまるで“そこにいる”ように感じられる親しみやすさがあります。
地上波ドラマでは、日常をダラダラと描くことなんてめったにありません。
このいい意味でのダラダラ感、“知らない人のリアルな日常”は、映画でしか体験できません。
『そして父になる』『海街diary』などの是枝裕和監督作品が好きな人にとっても、きっと気にいるでしょう。
さて、本作『恋人たち』は一見して暗くて重い作品に思えます。
主人公・アツシの過去にある出来事はものすごく深刻でしたし、彼の日常には困難も待ち受けています。
でも、決して重くて苦しいだけの作品になっていない、それどころかわりとクスクス笑える作品でもあります。
これは3人の物語が交錯する群像劇にして、悲劇の中にもある人のおかしみを丁寧に描いたおかげですね。
何より、この作品では橋口監督のやさしさがかいま見えるのが嬉しいです。
本作では、“うまくいっていない人”にエールを贈る、ちょっとダメな人を応援する映画になっています。
橋口監督は自身の悩みを映画に反映していました。
橋口監督はゲイであり、ゲイの持つ苦しみやおかしみを描いた『ハッシュ!』を手がけました。
その後にうつ病を経験したため、うつになった妻と、生活力はないけどやさしい夫との日常を描いた『ぐるりのこと』を撮りました。
この『恋人たち』を手がけるまでにも相当な悩みがあったそうで、監督は「悪夢のような数年間をいくら紙面があっても語れない」と語っています。
そんな監督がこの『恋人たち』で描いたのは、監督自身が経験していないような悩みや悲しみでした。
それでいて、誰もがささやかでも希望が持ているような、生きている世界を肯定できるような内容になっている・・・なんてやさしいんでしょうか!
また、本作はワークショップに集まった、十代~四十代までの“役者″に成りたいと願う人たちとともに制作されたそうです。
“何かに成りたいと願う人”たちのことのも書かれた、監督のエッセイが非常におもしろいので、ぜひ一読をおすすめします。
↓
<新連載!!映画監督 橋口亮輔のエッセイ!!橋口亮輔「まっすぐ」>
『ぐるりのこと』でもタッグを組んでいた、Akeboshiによる音楽も素晴らしかったですね。

音楽が使われる場所は、作中ではほんの2〜3箇所。だからでこそ、とても効果的な演出となっていました。
よくも悪くも“そのへんにいそうなちょっとダメな人の日常”を描いた作品なので、多少なりとも好き嫌いは分かれるでしょう。
いい人間だけでなく、わりと不遜なことをするキャラも出てくるので、イライラを超えて不愉快に思う人も少なくないはずです。
PG12指定だけあり、少しだけ性的なシーン、麻薬の描写があるので、小さい子の鑑賞は控えたほうがいいかもしれません。
それでも本作は、2015年を代表する傑作のひとつとしてオススメします。
上映時間は2時間20分と長めですが、まったく退屈することなく、それどころかこの映画が終わってほしくないとさえ思えました。
長回し、リアルな職場の描きかた、ときおり描かれるメタファー、そして作品の根底にあるやさしさ……そんな橋口監督節を存分に感じてください。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!
以下、結末も含めてネタバレ 鑑賞後にご覧ください↓
ディズニーファンイベント“D23”で『スターウォーズ フォースの覚醒』の新キャラたちに会ってきました。
12月18日(金)公開の『スターウォーズ フォースの覚醒』は、1ヶ月前にして超盛り上がっていますね。
<このビジュアルかっけえ
本日(11月18日)より劇場で予約が開始された“同時刻”特別上映は、初日の18:30の回がほぼ売り切れとなっています(ただし上映方式は2D字幕・吹替え限定)。
<だいたいこんな感じ
まだまだ19日(土)、20日(日)の席はあるようなので、上映日日付入りメモリアル・パンフレットが欲しい方は、少なくとも今日・明日に予約しましょう。
「すでに早く観ることが難しくなっているのでは・・・?」と思った方もご安心を。
この全7回の“同時刻”特別上映以外はあくまで“先行”。当日は2D字幕・吹替え以外のバージョンの回も上映されます。
ユナイテッド・シネマ4DXでは公開前に新規7劇場がオープンされますし、IMAXも超期待できる作品に仕上がっているとのこと。
通常の劇場予約解禁日になったら、4DXやIMAXを選んでみるのもいいのではないでしょうか。
(3D版、IMAX版、ドルビーアトモス版は、後日スケジュール発表して予約開始すると考えたほうがよさそうかも)
※追記:ユナイテッド・シネマやシネプレックスなど、いくつかの劇場では11月26日から3D版のインターネット予約販売を受け付ける予定のようです。
ここまでの盛り上がりを見せたら、ネガティブな話題なんてもう些細なことですね。
些細なことの例↓
<TOHOシネマズはなぜ『スター・ウォーズ』の入場料金を2000円にしたのか?(松谷創一郎) >
さてさて、本作の予告編やらで「なんか知らんキャラがおる」と思った方も多いのではないでしょうか。
自分は少し前にディズニーランドで行われた“D23”というファンイベントにて、新キャラたちに出会っていました(実写版『シンデレラ』の衣装もあるよ)。
↓
<映画ファンも大注目、ディズニーの“D23”リポート [映画] All About>
おもに活躍するであろう新キャラをまとめると、こんな感じです。
<シリーズ初の女性主人公「レイ」
<レイの相棒(?)となる脱走兵「フィン」
<十字形のライトセーバーを持つ「カイロ・レン」
<ストームトルーパーがメタリックになった(?)「キャプテン・ファズマ」
<ちょうかわいいドロイドの「BB-8」
おなじみ、R2-D2、C-3POももちろん登場します。
<あれ?
なんかC-3POの左腕が赤いのが気になりますね。どうしたの?アイアンマンのスーツでもくっついたの?
これらのキャラがどんな活躍を見せるのか、ハン・ソロ&チューバッカとどう絡むのか。わくわくがとまりませんね。
<やっと会えたな!
あ、自分は、“同時刻”特別上映18:30の回の予約に見事に失敗しました。無事予約できた人に毒電波を送っておきます(八つ当たり)。

本日(11月18日)より劇場で予約が開始された“同時刻”特別上映は、初日の18:30の回がほぼ売り切れとなっています(ただし上映方式は2D字幕・吹替え限定)。

まだまだ19日(土)、20日(日)の席はあるようなので、上映日日付入りメモリアル・パンフレットが欲しい方は、少なくとも今日・明日に予約しましょう。
「すでに早く観ることが難しくなっているのでは・・・?」と思った方もご安心を。
この全7回の“同時刻”特別上映以外はあくまで“先行”。当日は2D字幕・吹替え以外のバージョンの回も上映されます。
ユナイテッド・シネマ4DXでは公開前に新規7劇場がオープンされますし、IMAXも超期待できる作品に仕上がっているとのこと。
通常の劇場予約解禁日になったら、4DXやIMAXを選んでみるのもいいのではないでしょうか。
(3D版、IMAX版、ドルビーアトモス版は、後日スケジュール発表して予約開始すると考えたほうがよさそうかも)
※追記:ユナイテッド・シネマやシネプレックスなど、いくつかの劇場では11月26日から3D版のインターネット予約販売を受け付ける予定のようです。
ここまでの盛り上がりを見せたら、ネガティブな話題なんてもう些細なことですね。
些細なことの例↓
<TOHOシネマズはなぜ『スター・ウォーズ』の入場料金を2000円にしたのか?(松谷創一郎) >
さてさて、本作の予告編やらで「なんか知らんキャラがおる」と思った方も多いのではないでしょうか。
自分は少し前にディズニーランドで行われた“D23”というファンイベントにて、新キャラたちに出会っていました(実写版『シンデレラ』の衣装もあるよ)。
↓
<映画ファンも大注目、ディズニーの“D23”リポート [映画] All About>
おもに活躍するであろう新キャラをまとめると、こんな感じです。





おなじみ、R2-D2、C-3POももちろん登場します。

なんかC-3POの左腕が赤いのが気になりますね。どうしたの?アイアンマンのスーツでもくっついたの?
これらのキャラがどんな活躍を見せるのか、ハン・ソロ&チューバッカとどう絡むのか。わくわくがとまりませんね。

あ、自分は、“同時刻”特別上映18:30の回の予約に見事に失敗しました。無事予約できた人に毒電波を送っておきます(八つ当たり)。
映画『コードネーム U.N.C.L.E.』だいたい仲が悪いバディ・ムービーだった(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』(原題:The Man from U.N.C.L.E.)です。
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:相変わらずスカしていますね(褒め言葉)
あらすじ
東西冷戦まっただ中の1960年代前半。
CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)と、KGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)はある出来事をきっかけに、国際犯罪組織を制圧するために手を組むことになる。
2015年はスパイ映画の「当たり年」のようです。
・『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(みんなが楽しめるトム様万歳スパイ映画)
・『キングスマン』(不謹慎さが最高のスパイ映画)
・『コードネーム U.N.C.L.E.』(本作)
・『007 スペクター』(大本命の超真面目スパイ映画):12月4日公開(11月27日(金)から29日(日)まで先行公開)
さらにはIMDbで8.1点、Rotten Tomatoesで91%と、すさまじい高評価の『ブリッジ・オブ・スパイ』が2016年1月8日(金)公開となります。スパイ好きにはたまんねえな。
あとは、ポール・フェイグ監督のアクション・コメディ『スパイ』も2015年に全米で公開されています(だけど日本公開日が未定なのが解せぬ。早く公開されますように)。
<いつ観られるんです?
さて、『コードネーム U.N.C.L.E.』は、1960年代のテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイクとなっています。
(タイトルのアンクルとは“United Network Command for Law and Enforcement”(法執行のための連合網司令部)を意味しています)
<こんな感じ
いまでもこのテレビドラマは日本で根強い人気を誇っているようで、ファンも多数。「気ままにお気らく偏愛日誌」というブログがめちゃくちゃ詳しいので、本作の元ネタを知りたい方は読んでみるのもいいでしょう。
イリヤ(主役)に萌えている淑女の方が大変多いようですね。
↓
新旧イリヤ考 the most angelic and the most gigantic.(ナポレオン・ソロvsコードネームアンクル)
The Man From U.N.C.L.E.(カテゴリ)
そして、本作の監督はガイ・リッチー。『ロック・アンド(略)』や『スナッチ』でのオサレ感(語弊あり)に熱狂した方もきっと多いことでしょう。

しかも『シャーロック・ホームズ』2作とは違い、ガイ・リッチーが脚本も手がけた作品になっています(2008年の『ロックンローラ)以来)。
あの軽妙な語り口、一癖も二癖もありすぎな登場人物、ガチャガチャとしつつもスタイリッシュな画面の切り替え、そうしたガイ・リッチー節を期待している人にとっては、本作は「待っていました!」な作品になるのではないでしょうか。
また、『リーサル・ウェポン』『ラッシュアワー』『メン・イン・ブラック』などに代表されるバディ(コンビ)ものなのですが、まあ主役ふたりのキャラが濃いこと限りないです。
<左が「ソロ」、右が「イリヤ」
ソロはすっげえ大人な余裕を見せるキャラで、ひょうひょうとしています。
イリヤは超マジメだけど、怒りを抑えられない情緒不安定なところも持っています。
このふたりをヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマーというイケメンが演じているので、きっとブロマンスなハァハァを求めている淑女の方も多いと思いますが、残念(?)ながらだいたい仲が悪いです。
具体的な仲が悪いエピソードは↓に書くことにしますが、仲が悪いどころかかなりひどい関係(笑)となっていますので、それをむしろ期待しましょう。
本作の何よりの長所は、軽快な語り口と、ガイ・リッチーの個性が爆発しているアクションシーンです。
主役ふたりのやり取り、皮肉が楽しくって仕方がありません(黄色い字幕にはクエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』っぽさを感じたりもしました)。
中盤から登場する悪役の「いかにも」な個性は、「ああ、ガイ・リッチーだわこれ」と存分に思わせてくれます。
アクションはオープニングからフルスロットル。ときには主役が人間離れた身体能力を見せたり、間抜けな醜態をさらしたりと、飽きさせません。
スプリット・スクリーンの使い方もなかなか気が利いています。
ガイ・リッチー作品はちょっとクセのあるものが多いですが、本作は痛快な娯楽作。『シャーロック・ホームズ』かそれ以上に万人向けなのではないでしょう。
難点は、こうした(悪く言えば)スカした言葉遊びや演出に、多少なりとも好き嫌いが分かれること。
全編にガイ・リッチー監督の「俺の映画格好いいだろう!」(ドヤァ)が見えまくります。まあ監督のファンであれば欠点どころかごほうびみたいなものでしょう。
気になったのは、かなーり展開に強引なところがあること。
クライマックスでは位置関係がわかりにくくなるシーンもありましたし、(観ている間は気にならなくても)ツッコミどころもそれなり以上にあります。
深く考えたら負けなのかもしれませんね。
最後に豆知識を。
中盤にソロがトラックに乗ってラジオを流すシーンがあるのですが、ラジオの周波数をいじっているとき、ドラマ版『ナポレオン・ソロ』のテーマ曲が一瞬だけ流れているそうです。
ドラマファンであれば、感涙ものなのなかもしれませんね。
何にせよ、オシャレなアクション映画を観たい方すべてにおすすめ。
ガイ・リッチー監督ファンはもちろん、2015年のスパイ映画をすべて堪能したい方も、ぜひ劇場へ行きましょう。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:相変わらずスカしていますね(褒め言葉)
あらすじ
東西冷戦まっただ中の1960年代前半。
CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)と、KGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)はある出来事をきっかけに、国際犯罪組織を制圧するために手を組むことになる。
2015年はスパイ映画の「当たり年」のようです。
・『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(みんなが楽しめるトム様万歳スパイ映画)
・『キングスマン』(不謹慎さが最高のスパイ映画)
・『コードネーム U.N.C.L.E.』(本作)
・『007 スペクター』(大本命の超真面目スパイ映画):12月4日公開(11月27日(金)から29日(日)まで先行公開)
さらにはIMDbで8.1点、Rotten Tomatoesで91%と、すさまじい高評価の『ブリッジ・オブ・スパイ』が2016年1月8日(金)公開となります。スパイ好きにはたまんねえな。
あとは、ポール・フェイグ監督のアクション・コメディ『スパイ』も2015年に全米で公開されています(だけど日本公開日が未定なのが解せぬ。早く公開されますように)。

さて、『コードネーム U.N.C.L.E.』は、1960年代のテレビドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のリメイクとなっています。
(タイトルのアンクルとは“United Network Command for Law and Enforcement”(法執行のための連合網司令部)を意味しています)

いまでもこのテレビドラマは日本で根強い人気を誇っているようで、ファンも多数。「気ままにお気らく偏愛日誌」というブログがめちゃくちゃ詳しいので、本作の元ネタを知りたい方は読んでみるのもいいでしょう。
イリヤ(主役)に萌えている淑女の方が大変多いようですね。
↓
新旧イリヤ考 the most angelic and the most gigantic.(ナポレオン・ソロvsコードネームアンクル)
The Man From U.N.C.L.E.(カテゴリ)
そして、本作の監督はガイ・リッチー。『ロック・アンド(略)』や『スナッチ』でのオサレ感(語弊あり)に熱狂した方もきっと多いことでしょう。


しかも『シャーロック・ホームズ』2作とは違い、ガイ・リッチーが脚本も手がけた作品になっています(2008年の『ロックンローラ)以来)。
あの軽妙な語り口、一癖も二癖もありすぎな登場人物、ガチャガチャとしつつもスタイリッシュな画面の切り替え、そうしたガイ・リッチー節を期待している人にとっては、本作は「待っていました!」な作品になるのではないでしょうか。
また、『リーサル・ウェポン』『ラッシュアワー』『メン・イン・ブラック』などに代表されるバディ(コンビ)ものなのですが、まあ主役ふたりのキャラが濃いこと限りないです。

ソロはすっげえ大人な余裕を見せるキャラで、ひょうひょうとしています。
イリヤは超マジメだけど、怒りを抑えられない情緒不安定なところも持っています。
このふたりをヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマーというイケメンが演じているので、きっとブロマンスなハァハァを求めている淑女の方も多いと思いますが、残念(?)ながらだいたい仲が悪いです。
具体的な仲が悪いエピソードは↓に書くことにしますが、仲が悪いどころかかなりひどい関係(笑)となっていますので、それをむしろ期待しましょう。
本作の何よりの長所は、軽快な語り口と、ガイ・リッチーの個性が爆発しているアクションシーンです。
主役ふたりのやり取り、皮肉が楽しくって仕方がありません(黄色い字幕にはクエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』っぽさを感じたりもしました)。
中盤から登場する悪役の「いかにも」な個性は、「ああ、ガイ・リッチーだわこれ」と存分に思わせてくれます。
アクションはオープニングからフルスロットル。ときには主役が人間離れた身体能力を見せたり、間抜けな醜態をさらしたりと、飽きさせません。
スプリット・スクリーンの使い方もなかなか気が利いています。
ガイ・リッチー作品はちょっとクセのあるものが多いですが、本作は痛快な娯楽作。『シャーロック・ホームズ』かそれ以上に万人向けなのではないでしょう。
難点は、こうした(悪く言えば)スカした言葉遊びや演出に、多少なりとも好き嫌いが分かれること。
全編にガイ・リッチー監督の「俺の映画格好いいだろう!」(ドヤァ)が見えまくります。まあ監督のファンであれば欠点どころかごほうびみたいなものでしょう。
気になったのは、かなーり展開に強引なところがあること。
クライマックスでは位置関係がわかりにくくなるシーンもありましたし、(観ている間は気にならなくても)ツッコミどころもそれなり以上にあります。
深く考えたら負けなのかもしれませんね。
最後に豆知識を。
中盤にソロがトラックに乗ってラジオを流すシーンがあるのですが、ラジオの周波数をいじっているとき、ドラマ版『ナポレオン・ソロ』のテーマ曲が一瞬だけ流れているそうです。
ドラマファンであれば、感涙ものなのなかもしれませんね。
何にせよ、オシャレなアクション映画を観たい方すべてにおすすめ。
ガイ・リッチー監督ファンはもちろん、2015年のスパイ映画をすべて堪能したい方も、ぜひ劇場へ行きましょう。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
『ムーン・ウォーカーズ』捏造どころかク◯映画作っちゃった(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『ムーン・ウォーカーズ』です。
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:ヒッピーに映画作らせちゃダメだな
あらすじ
1969年。CIAはアポロ計画の成功を危ぶみ、スタンリー・キューブリック監督に、月面着陸成功の映像を捏造させることを思いつく。
諜報員のキッドマン(ロン・パールマン)は直々にロンドンまで依頼に行くものの、借金まみれのプロデューサー・ジョニー(ルパート・グリント)に巨額の資金を奪われてしまう。
タイトルからはマイケル・ジャクソンの映画やゲームを思い出せますが、それとは関係ありません。
<ある意味伝説
参考↓
<映画マイケルジャクソンズ ムーンウォーカー「Moonwalker」:a Black Leaf (BLACK徒然草)>
<マイケルが「ポオオォォォオウ!!」と絶叫するあの伝説のゲームのすべてを理解できるムービー - GIGAZINE>
のっけから無関係の作品を紹介して恐縮ですが、本作『ムーン・ウォーカーズ』がしょうもない内容(褒めています)だったので、わりとどうでもよくなったのです。どうかご容赦いただけましたら幸いです。
物語は
「アポロ11号の月面着陸無理じゃね?」→「じゃあもしものときに備えてスタンリー・キューブリックに撮ってもらおうよ!」→「お金盗まれちゃったのでやべえ☆(てへぺろ)」という非常に頭の悪い(褒めています)ものです。
本作は、監督が「ねえねえ、これおもしろくない?」とたった4ページの原案をプロデューサーに見せて、企画がスタートしたそうです。いかにふざけた内容かがわかりますね(褒めています)。
この「アポロ11号は月面に着陸していないんだ!捏造されたんだ!」というのは有名な都市伝説で、なんともロマン(?)のある話。これをいままで誰も映画化していなかったというほうがむしろ不思議ですね。
参考↓
<「月面着陸は嘘だった!?」-検証編->
<アポロ11号の「月面着陸は事実」:NVIDIA社が最新GPU技術で証明 « WIRED.jp>
本作でおもしろいのは、人類の未来を見据えたアポロ11号の月面着陸を、「その日が楽しければいいんだ!」なヒッピーに捏造させるというプロットです。
アポロ計画の関係者は人類の歴史や技術を重んじていますが、ヒッピーは「俺たちは自由だ!伝統や精度なんか知るか!」な人たち。
まったくの正反対の人種。水と油。その両者が協力して映画を作ったら?そりゃどうしようもないク◯映画が出来上がるってもんですよ(笑)。
規律もなんんいもなーい、俺たち自由だー、毎日食っちゃ寝だーなヒッピーは、妥協が許されず、チームワークが要求される映画作りにおいて、いちばん携わっちゃいけない人種だとよくわかりました(※べつに管理人はヒッピーが嫌いというわけではありません)。
この物語は、おそらく「映画は出資者やプロデューサーではく、監督に全権が委ねられてしまう」という制作現場をも皮肉っています。
CIAの男(出資者)が、ヒッピーの映画監督のムチャブリに呆れる様にはクスクス笑わせてもらいました。
端的に言えば、本作は『地獄になぜ悪い』と『エド・ウッド』の魅力がミックスされた映画だと思いました。
<どちらも傑作
前者は「どうしても映画を作らなければならなくなってドタバタする」、後者は「これク◯映画だけどいいから作っちゃえ」な空気がいっしょです(笑)。
大好きで仕方がなかったのは、ロン・パールマンとルパート・グリントというスター俳優を構えていること。
ロン・パールマンは威圧感であって怖すぎの諜報員のキャラが合いすぎです。
彼は撮影時に本気でヒッピーの衣装を着ることを嫌がっていたそうですが→映画の中で衣装をイジられてぶちギレるシーンがあったのは大笑いしました。イライラが消化できてよかったですね。
ルパート・グリントは『ハリー・ポッター』のおかげで若き億万長者になっているのだけど、本作では借金まみれのクズ青年を好演しています。ハマりすぎて演技していなかった。
彼は「口約束だけは達者」というキャラなので、これまたエド・ウッドを彷彿とさせますね。
もうひとつおもしろいのは、1960年代当時のスウィンギング・ロンドンの文化を体験できること。
ヒッピースタイルの生活やファッション、サイケデリック・アートなど、その当時の風俗を体験したい方にとっても必見でしょう。
参考↓
<若者文化の震源地、60年代のロンドン SWINGING LONDON - 英国ニュースダイジェスト>
ロン・パールマン演じる諜報員が、ベトナム戦争の帰還兵であったことも皮肉になっています。
ヒッピーは、ベトナム戦争への反対運動が発端となり、愛と平和を求める若者たちが中心となっています。
一方、諜報員は戦争で殺した相手の亡霊に悩まされる日々を送っています。
彼にとって、ヒッピーはある意味で「うらやましい」人々なのではないでしょうか。
はっきり言うと、本作は物語のハジケ具合としては今ひとつ。
いまいち伏線が機能していませんし、クライマックスのかけてのカタルシスなどはそれほどありません。
ギャグのほとんどがウン◯チンチ◯レベルの低俗かつ直接的なもので、ウィットの効いたものがそれほどないのも欠点でしょう。
ちなみに、映画本編にはハッパやらアヘンやらLSDやらドラッグ描写がアリアリで、登場人物のほとんどがラリラリです(そこがおもしろいのだけど)。
突発的なグロ描写もあるので、R15+指定は大納得。苦手な方は観ないほうがいいでしょう。
それでも「こんなオチかよおおおお!」とズッコけるラストはある意味で気分爽快ですし、誰も得しないエンドロールが流れるなど、見どころは満載な作品ではあります。
主演ふたりのファンにとっては大プッシュでオススメ。
アポロ計画の捏造説が好きな方、ク◯映画の制作過程を知りたい方もぜひ劇場へ。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:ヒッピーに映画作らせちゃダメだな
あらすじ
1969年。CIAはアポロ計画の成功を危ぶみ、スタンリー・キューブリック監督に、月面着陸成功の映像を捏造させることを思いつく。
諜報員のキッドマン(ロン・パールマン)は直々にロンドンまで依頼に行くものの、借金まみれのプロデューサー・ジョニー(ルパート・グリント)に巨額の資金を奪われてしまう。
タイトルからはマイケル・ジャクソンの映画やゲームを思い出せますが、それとは関係ありません。


参考↓
<映画マイケルジャクソンズ ムーンウォーカー「Moonwalker」:a Black Leaf (BLACK徒然草)>
<マイケルが「ポオオォォォオウ!!」と絶叫するあの伝説のゲームのすべてを理解できるムービー - GIGAZINE>
のっけから無関係の作品を紹介して恐縮ですが、本作『ムーン・ウォーカーズ』がしょうもない内容(褒めています)だったので、わりとどうでもよくなったのです。どうかご容赦いただけましたら幸いです。
物語は
「アポロ11号の月面着陸無理じゃね?」→「じゃあもしものときに備えてスタンリー・キューブリックに撮ってもらおうよ!」→「お金盗まれちゃったのでやべえ☆(てへぺろ)」という非常に頭の悪い(褒めています)ものです。
本作は、監督が「ねえねえ、これおもしろくない?」とたった4ページの原案をプロデューサーに見せて、企画がスタートしたそうです。いかにふざけた内容かがわかりますね(褒めています)。
この「アポロ11号は月面に着陸していないんだ!捏造されたんだ!」というのは有名な都市伝説で、なんともロマン(?)のある話。これをいままで誰も映画化していなかったというほうがむしろ不思議ですね。
参考↓
<「月面着陸は嘘だった!?」-検証編->
<アポロ11号の「月面着陸は事実」:NVIDIA社が最新GPU技術で証明 « WIRED.jp>
本作でおもしろいのは、人類の未来を見据えたアポロ11号の月面着陸を、「その日が楽しければいいんだ!」なヒッピーに捏造させるというプロットです。
アポロ計画の関係者は人類の歴史や技術を重んじていますが、ヒッピーは「俺たちは自由だ!伝統や精度なんか知るか!」な人たち。
まったくの正反対の人種。水と油。その両者が協力して映画を作ったら?そりゃどうしようもないク◯映画が出来上がるってもんですよ(笑)。
規律もなんんいもなーい、俺たち自由だー、毎日食っちゃ寝だーなヒッピーは、妥協が許されず、チームワークが要求される映画作りにおいて、いちばん携わっちゃいけない人種だとよくわかりました(※べつに管理人はヒッピーが嫌いというわけではありません)。
この物語は、おそらく「映画は出資者やプロデューサーではく、監督に全権が委ねられてしまう」という制作現場をも皮肉っています。
CIAの男(出資者)が、ヒッピーの映画監督のムチャブリに呆れる様にはクスクス笑わせてもらいました。
端的に言えば、本作は『地獄になぜ悪い』と『エド・ウッド』の魅力がミックスされた映画だと思いました。


前者は「どうしても映画を作らなければならなくなってドタバタする」、後者は「これク◯映画だけどいいから作っちゃえ」な空気がいっしょです(笑)。
大好きで仕方がなかったのは、ロン・パールマンとルパート・グリントというスター俳優を構えていること。
ロン・パールマンは威圧感であって怖すぎの諜報員のキャラが合いすぎです。
彼は撮影時に本気でヒッピーの衣装を着ることを嫌がっていたそうですが→映画の中で衣装をイジられてぶちギレるシーンがあったのは大笑いしました。イライラが消化できてよかったですね。
ルパート・グリントは『ハリー・ポッター』のおかげで若き億万長者になっているのだけど、本作では借金まみれのクズ青年を好演しています。
彼は「口約束だけは達者」というキャラなので、これまたエド・ウッドを彷彿とさせますね。
もうひとつおもしろいのは、1960年代当時のスウィンギング・ロンドンの文化を体験できること。
ヒッピースタイルの生活やファッション、サイケデリック・アートなど、その当時の風俗を体験したい方にとっても必見でしょう。
参考↓
<若者文化の震源地、60年代のロンドン SWINGING LONDON - 英国ニュースダイジェスト>
ロン・パールマン演じる諜報員が、ベトナム戦争の帰還兵であったことも皮肉になっています。
ヒッピーは、ベトナム戦争への反対運動が発端となり、愛と平和を求める若者たちが中心となっています。
一方、諜報員は戦争で殺した相手の亡霊に悩まされる日々を送っています。
彼にとって、ヒッピーはある意味で「うらやましい」人々なのではないでしょうか。
はっきり言うと、本作は物語のハジケ具合としては今ひとつ。
いまいち伏線が機能していませんし、クライマックスのかけてのカタルシスなどはそれほどありません。
ギャグのほとんどがウン◯チンチ◯レベルの低俗かつ直接的なもので、ウィットの効いたものがそれほどないのも欠点でしょう。
ちなみに、映画本編にはハッパやらアヘンやらLSDやらドラッグ描写がアリアリで、登場人物のほとんどがラリラリです(そこがおもしろいのだけど)。
突発的なグロ描写もあるので、R15+指定は大納得。苦手な方は観ないほうがいいでしょう。
それでも「こんなオチかよおおおお!」とズッコけるラストはある意味で気分爽快ですし、誰も得しないエンドロールが流れるなど、見どころは満載な作品ではあります。
主演ふたりのファンにとっては大プッシュでオススメ。
アポロ計画の捏造説が好きな方、ク◯映画の制作過程を知りたい方もぜひ劇場へ。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め
映画『グラスホッパー』原作からの改変は失敗?(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『グラスホッパー』です。
個人的お気に入り度:4/10
一言感想:映像化が難しいのはわかるけど……
あらすじ
鈴木(生田斗真)は、教職を辞め裏社会の組織に潜入し、妻を殺した犯人を見つける機会をうかがっていた。
犯人を殺せるチャンスをつかんだ鈴木だったが、「押し屋」と呼ばれる殺し屋により、犯人はあっけなく殺されてしまう。
同じ頃、「自殺屋」と呼ばれる殺し屋の鯨(浅野忠信)と、ナイフ使いの殺し屋の蝉(山田涼介)は自身の「仕事」を遂行しようとしていたが……。
伊坂幸太郎の同名小説の映画化作品であり、『脳男』の瀧本智行監督最新作です。
今回の映画の内容について、これだけはまず言っておかなければなりますまい。原作とぜんぜん違うと。
殺された妻の復讐を誓う主人公・鈴木が殺し屋たちの騒動に巻き込まれるというおおまかなプロットや、登場人物の配置などは原作と同じなのですが・・・その後の話の持って行きかたが、原作とは違う道を突っ走っています。
これはひとえに、原作の映像化が難しいことが理由なのでしょう。
原作は「蝉」「鯨」「鈴木」という3者の登場人物の視点が、同じ時間軸上でパラレルに展開する、というものでした。
これをそのまま映像化してしまうと、違う登場人物の視点になる→あれ?時間が戻っている?という違和感たっぷりの描写になってしまうので、ある程度はアレンジが必要だったのでしょう。
でも、それにしたって、このアレンジは必要あるのか?と思ってしまった部分がすさまじく多かったのも事実です。
「小説という媒体でしか表現できない場面を、工夫を凝らして映像で再現」というのなら大納得できますが、この映画ではそうした映像化における困難とは関係ない改変が多く、かつ不自然になっているところが多かったのです。
こういう原作付きの映画作品ではお約束の「あのシーンは入れて欲しかった!」という不満も多いです。
個人的に絶対に削って欲しくなかったのは、「蝉」が人を殺す前の饒舌なしゃべりと、彼が雇い主の岩西に「おまえはみんみんうるせえなあ、蝉みてえに」と言われるシーンでした。
映画だけ観た方は、なぜ彼の名前が「蝉」なのかがさっぱりわかりません。
さらに、映画のラストと、そこに至る「種明かし」も映画オリジナルです。
その「説明」にはどう好意的に考えても無理が生じています。
原作を読んでいない方にとっても、納得ができるものではないでしょう。
何よりの問題は、「3者が入り乱れる」並行して進行する物語のおもしろさが損なわれていること。
原作に比べ、「蝉」「鯨」「鈴木」が交わる機会が減少しています。
さらに、劇中で「バッタ(グラスホッパー)は集まると群集相になり、凶暴になるんだ」ということが語られるのですが、映画では言葉足らずで、このことが何を指しているのかがわかりづらいです。
端的に言えば「都会で穏やかに生きていくのは難しい」ということを示しているのですが・・・映画で納得できなかった方は、原作を読むことをおすすめします。
一周回っておもしろかったのは、「比与子」というキャラが原作に増してドジっ子になっていたことでしょうか。
いや、これも褒められるもんじゃないですが。
原作から大胆に変更することで、成功している作品も多くあります(例:紙の月)し、そのチャレンジ精神は賞賛すべきものです。
しかし、本作の物語のアレンジは、個人的には失敗としか思いませんでした。
いい部分もたくさんあります。
とくに、撮影と美術は最高の部類でした。
撮影監督は超ベテランの阪本善尚、美術は平井淳郎という方が手がけています。
無機質な画が多いのに、夏のうだるような暑さが伝わる「汗」を見せる様。
雨に濡れたアジト、怪しすぎる殺し屋事務所・・・そうした画、緊張感で魅せるおもしろさがてんこもりなのです。
ちなみに、冒頭の渋谷スクランブルの殺傷事件は「どうやって撮ったんだ?」と思わせるすごい映像ですが、じつはショッピングモールの地下にセットを立て、合成により作り出したものになっています。
ちなみにこの事件のシーンは原作にはない(劇中で語られる程度)です。
原作にないシーンを、わざわざ困難な撮影と合成により作り出したスタッフの手腕には感服するしかありません。だったらもうちょっとお話のほうに気を使ってくれれば……
キャストもほぼ文句なしでしょう。
生田斗真はあれだけイケメンなのに、一歩間違えればキモオタ認定されそうな青年を好演。ボールを蹴るのが下手くそな演技には軽く感動しました(原作ではサッカーがうまいという設定だったのに・・・)。
浅野忠信の迫力は、見終わると「鯨役はこの人しかありえねえ」と思わせるほど。
山田涼介は『暗殺教室』のナヨナヨしさとは真逆の、凶暴な蝉を見事に演じきっています。
また、容赦のない暴力描写、ホラー映画のような演出があることも好みでした。
ナイフでの殺傷シーン、直接的な事故シーンはPG12指定ギリギリでしょう。
鯨が見る「亡霊」の描写には、原作とはまた違ったゾクゾクを味わうことができました。
結論としては・・・原作を既読の方にとっては、よくも悪くも原作との違いを楽しめる映画ではある、と思います。
原作を読んでいない方にとっては、ちょっとスローテンポな暴力映画を観た、という印象しか残らないかもしれません。
また、原作をアレンジしたために不自然になっているとは言いましたが、映画のラストのオチ自体はしっかりと着地できています。
その(原作とは違う)メッセージ性も大好きでした。
画の見ごたえが存分ということもあり、トータルでは決して悪い映画ではありません。
最後に、原作でも映画でも『グラスホッパー』が好きな方へは、漫画作品の『魔王 JUVENILE REMIX』と『Waltz』を超・超・超オススメしておきたいです。
『魔王』のほうは同名の小説を原作にしているかと思いきや、『グラスホッパー』の殺し屋たちが原作とは違った形で活躍する漫画になっています。
伊坂幸太郎作品へのオマージュがたっぷり、漫画としても抜群におもしろい作品なので、ぜひ手にとってほしいです。
ていうかね、このふたつの漫画作品に出てくる蝉がめっちゃかわいいんですよ。
『Waltz』は『魔王』の前日譚で、蝉を主人公とした作品です(先に『魔王』を読むことをオススメ)。この作品の蝉は絵に描いたようなツンデレの男の子になっています。それを堪能したい方はぜったいに読みましょう
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ほとんど文句しか言っていないので、この映画が好きな人にはごめんなさい。
個人的お気に入り度:4/10
一言感想:映像化が難しいのはわかるけど……
あらすじ
鈴木(生田斗真)は、教職を辞め裏社会の組織に潜入し、妻を殺した犯人を見つける機会をうかがっていた。
犯人を殺せるチャンスをつかんだ鈴木だったが、「押し屋」と呼ばれる殺し屋により、犯人はあっけなく殺されてしまう。
同じ頃、「自殺屋」と呼ばれる殺し屋の鯨(浅野忠信)と、ナイフ使いの殺し屋の蝉(山田涼介)は自身の「仕事」を遂行しようとしていたが……。
伊坂幸太郎の同名小説の映画化作品であり、『脳男』の瀧本智行監督最新作です。
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今回の映画の内容について、これだけはまず言っておかなければなりますまい。原作とぜんぜん違うと。
殺された妻の復讐を誓う主人公・鈴木が殺し屋たちの騒動に巻き込まれるというおおまかなプロットや、登場人物の配置などは原作と同じなのですが・・・その後の話の持って行きかたが、原作とは違う道を突っ走っています。
これはひとえに、原作の映像化が難しいことが理由なのでしょう。
原作は「蝉」「鯨」「鈴木」という3者の登場人物の視点が、同じ時間軸上でパラレルに展開する、というものでした。
これをそのまま映像化してしまうと、違う登場人物の視点になる→あれ?時間が戻っている?という違和感たっぷりの描写になってしまうので、ある程度はアレンジが必要だったのでしょう。
でも、それにしたって、このアレンジは必要あるのか?と思ってしまった部分がすさまじく多かったのも事実です。
「小説という媒体でしか表現できない場面を、工夫を凝らして映像で再現」というのなら大納得できますが、この映画ではそうした映像化における困難とは関係ない改変が多く、かつ不自然になっているところが多かったのです。
こういう原作付きの映画作品ではお約束の「あのシーンは入れて欲しかった!」という不満も多いです。
個人的に絶対に削って欲しくなかったのは、「蝉」が人を殺す前の饒舌なしゃべりと、彼が雇い主の岩西に「おまえはみんみんうるせえなあ、蝉みてえに」と言われるシーンでした。
映画だけ観た方は、なぜ彼の名前が「蝉」なのかがさっぱりわかりません。
さらに、映画のラストと、そこに至る「種明かし」も映画オリジナルです。
その「説明」にはどう好意的に考えても無理が生じています。
原作を読んでいない方にとっても、納得ができるものではないでしょう。
何よりの問題は、「3者が入り乱れる」並行して進行する物語のおもしろさが損なわれていること。
原作に比べ、「蝉」「鯨」「鈴木」が交わる機会が減少しています。
さらに、劇中で「バッタ(グラスホッパー)は集まると群集相になり、凶暴になるんだ」ということが語られるのですが、映画では言葉足らずで、このことが何を指しているのかがわかりづらいです。
端的に言えば「都会で穏やかに生きていくのは難しい」ということを示しているのですが・・・映画で納得できなかった方は、原作を読むことをおすすめします。
一周回っておもしろかったのは、「比与子」というキャラが原作に増してドジっ子になっていたことでしょうか。
いや、これも褒められるもんじゃないですが。
原作から大胆に変更することで、成功している作品も多くあります(例:紙の月)し、そのチャレンジ精神は賞賛すべきものです。
しかし、本作の物語のアレンジは、個人的には失敗としか思いませんでした。
いい部分もたくさんあります。
とくに、撮影と美術は最高の部類でした。
撮影監督は超ベテランの阪本善尚、美術は平井淳郎という方が手がけています。
無機質な画が多いのに、夏のうだるような暑さが伝わる「汗」を見せる様。
雨に濡れたアジト、怪しすぎる殺し屋事務所・・・そうした画、緊張感で魅せるおもしろさがてんこもりなのです。
ちなみに、冒頭の渋谷スクランブルの殺傷事件は「どうやって撮ったんだ?」と思わせるすごい映像ですが、じつはショッピングモールの地下にセットを立て、合成により作り出したものになっています。
ちなみにこの事件のシーンは原作にはない(劇中で語られる程度)です。
原作にないシーンを、わざわざ困難な撮影と合成により作り出したスタッフの手腕には感服するしかありません。
キャストもほぼ文句なしでしょう。
生田斗真はあれだけイケメンなのに、一歩間違えればキモオタ認定されそうな青年を好演。ボールを蹴るのが下手くそな演技には軽く感動しました(原作ではサッカーがうまいという設定だったのに・・・)。
浅野忠信の迫力は、見終わると「鯨役はこの人しかありえねえ」と思わせるほど。
山田涼介は『暗殺教室』のナヨナヨしさとは真逆の、凶暴な蝉を見事に演じきっています。
また、容赦のない暴力描写、ホラー映画のような演出があることも好みでした。
ナイフでの殺傷シーン、直接的な事故シーンはPG12指定ギリギリでしょう。
鯨が見る「亡霊」の描写には、原作とはまた違ったゾクゾクを味わうことができました。
結論としては・・・原作を既読の方にとっては、よくも悪くも原作との違いを楽しめる映画ではある、と思います。
原作を読んでいない方にとっては、ちょっとスローテンポな暴力映画を観た、という印象しか残らないかもしれません。
また、原作をアレンジしたために不自然になっているとは言いましたが、映画のラストのオチ自体はしっかりと着地できています。
その(原作とは違う)メッセージ性も大好きでした。
画の見ごたえが存分ということもあり、トータルでは決して悪い映画ではありません。
最後に、原作でも映画でも『グラスホッパー』が好きな方へは、漫画作品の『魔王 JUVENILE REMIX』と『Waltz』を超・超・超オススメしておきたいです。
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『魔王』のほうは同名の小説を原作にしているかと思いきや、『グラスホッパー』の殺し屋たちが原作とは違った形で活躍する漫画になっています。
伊坂幸太郎作品へのオマージュがたっぷり、漫画としても抜群におもしろい作品なので、ぜひ手にとってほしいです。
ていうかね、このふたつの漫画作品に出てくる蝉がめっちゃかわいいんですよ。
「Waltz」の蝉くん可愛いなっ(*´∀`)♪
山田君の演技楽しみだよ~。 pic.twitter.com/nK7TB265QX
— 歌野 (@kano729mannga) 2015, 11月 2
『Waltz』は『魔王』の前日譚で、蝉を主人公とした作品です(先に『魔王』を読むことをオススメ)。この作品の蝉は絵に描いたようなツンデレの男の子になっています。それを堪能したい方はぜったいに読みましょう
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ほとんど文句しか言っていないので、この映画が好きな人にはごめんなさい。
2015年11月の気になる映画一覧(マイナー推し)
日本全国酒飲み音頭でも「なんにもない」と言われる11月。そんな11月のことが自分は大好きです(挨拶)。
そんなわけで11月の気になる映画一覧です。以下の記事も参考にしましょう。
<2015年11月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて>
↓
そんなわけで11月の気になる映画一覧です。以下の記事も参考にしましょう。
<2015年11月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて>
↓
実写映画版『俺物語!!』原作マンガの再現度、完璧(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『俺物語!!』です。
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:好きだ。
あらすじ
剛田猛男(鈴木亮平)は、大きな体を持ちながらも、女子にモテない高校1年生だった。
ある日、彼はしつこいナンパから助け出した女子高生の大和凛子(永野芽郁)に一目惚れするが、彼女は猛男の幼なじみであるイケメン・砂川誠(坂口健太郎)のことが好きだと思い込んでしまう。
落胆しながらも、大和と砂川の仲を取り持とうとする猛男だったが・・・。
あ、言いたいことは↑の一言感想ですべてです。
3文字ですべて語れる。もうほかのことはどうでもいいや、泣いて笑って、超胸キュン❤︎ムービーというだけでそれでOKです。
本作は、同名の人気コミックの実写映画化作品です。
原作がいかにおもしろいかは、以下にも書いていたのでぜひお読みください(ていうか期間限定で1、2巻無料らしいから読め)↓
<これこそ真のイケメンだよ! 少女漫画「俺物語!!」レビュー>
アニメの第1話は無料で観られるよ↓
<俺物語!! [第1話無料] - ニコニコチャンネル:アニメ>
この『俺物語!!』の何が素敵って、主人公(男)の格好良さですよ!
単行本の表紙を並べただけでもそれは、わかります。


ね、格好いい(洗脳)。
2巻の表紙なんか、ぱっと見でもじっくり見ても少女マンガだとはとても思えません。
9巻の表紙の『ストリートファイター』ネタは、女子中高生がわかるはずもありません(笑)。
主人公は高校生ながら2mを超える巨体、顔はおっさんで、なおかつめっちゃいいやつ・・・「気は優しくて、力持ち」を地で行くような人物なのです。
こいつは人類に演じることは不可能だろうと思っていたら・・・やってくれましたよ、日本が誇るカメレオン俳優の鈴木亮平さんが!
<PERFECT!
<MARVELOUS!
あのね、なりきっているというか、もはや神が舞い降りたというほかないほど、鈴木さんはマンガの主人公を完璧にトレースしています。
<ちなみに鈴木さんはこんな役もやっています(余計な情報)
彼の一挙一動どころか、ときには夕日を眺めるだけで笑いが起きるからすごい。
この手のマンガの実写化での「なりきり具合」には感動することが多いのですが、本作が抜群に衝撃的でした。
原作の主人公の再現度を期待する方、鈴木亮平さんのファンの方はぜったいに観ましょう。
そして、原作マンガの持つエッセンスを、2時間足らずの映画の中に余すことなく詰め込んでいることもすばらしい。
原作を読んだ方なら語らなくてもいいことですが、『俺物語!!』の主要登場人物は全員めっちゃいいやつなんですよ。
この映画でもそれは同じ。みんながみんないいやつらで、悪意を働く人なんてちっともいません。
それでも恋心はすれ違って、苦しい想いをすることもある・・・そんな恋愛のモキュモキュがたっぷり詰まっています。
また、原作では1巻の序盤で終わる出来事を、本作では映画のクライマックスに据えています。
おかげさまで「お前らあ"あ"あ"好き合っているんだろうがあ"あ"あ"あ"!さっさと気づけえええええ!」という少女マンガ特有の面倒くささを1時間45分間たっぷりと体験できてしまいます。
はっきり言って、そのもどかしさは胸キュンを超えてイラつくレベルです。
少女マンガを読まない方には、「少年向けハーレム(女の子に囲まれて困っちゃう)系のマンガで、超鈍感な男主人公が好かれていることにじぇんじぇん気づかない」を想像してみてください(例:ニセコイ)。めっちゃ腹立つでしょ?
しかし、イラつくレベルにしていたとしても、今回の改変はもう大正解だと肯定しまくれます。
なぜなら、原作のエピソードを織り込みつつも、もっとも大事な瞬間をクライマックスに据えて、しかも原作にないさらなる描写を加えられているのですから。
詳しくはネタバレになるので↓に書きますが、これは原作のメッセージ性も汲み取った最高のラストと言えるものでした。
原作ファンは迷わず観て欲しいです。
また、子どもにも文句なくオススメできるのが素晴らしい!
作中には性的な描写が皆無ですし、ギャグのほとんどが「主人公のキャラのおかしさ」なんですよね。
すげー運動神経を見せたり、人間ばなれした怪力を見せつけるというだけ。いい意味で短絡的でわかりやすいので、精神年齢が幼いほど(もちろん大人でも)爆笑できます(ていうかそれを再現できている鈴木亮平さんがパねえ)。
そういえば、作中のギャグもちょいちょい映画オリジナルのものが加えられています。
具体的には主人公の言動ですね。これは原作ファンにも納得の「らしさ」があって、なんとも愛おしくなってしまいました。
そして作品のメッセージ!
これは「人は見た目じゃなくて中身だ!」「恋する気持ちに一直線のやつは格好いいんだ!」というド・正論のもので教育上にもとてもいいのです。
小さいお子さんをお持ちの親御さんにも、ぜひいっしょに観てあげてほしいですね。
難点は、天丼(繰り返し)が多いこと。
たとえば主人公がことあるごとに「好きだ!」と心の中でつぶやくのは、原作ではヒロインに会うたびに出てくるお約束みたいなもので、アホほどに主人公の気持ちがわかるものなのですが・・・本作ではこれを「天丼ギャグ」にしてしまっているんですよね。
ギャグとしてはけっこう気が利いていておもしろいのですが、個人的にはそれはギャグではなく、主人公の大切な気持ちとして用いて欲しかったのです。
そのほかにも似たようなシーンがくりかえされるうえ、クライマックスの演出がやや冗長で、テンポの悪さを感じてしまうのも事実です。
一見似たシーンであっても、主人公たちの心境はどんどん変化しているので、そこに注目すれば飽きずに観られるのかもしれません。
あとこれだけは言っておかなければなりますまい。
予告編にあのシーンを入れたやつはどこのどいつだ!
どのシーンかは伏せておきますが、ありえねー箇所をネタバレしてんじゃねーよ!これさえなければより感動できたのに・・・
いいところと悪いところとも言えないのは、親友・砂(坂口健太郎)は原作では(主人公の行動で笑う以外は)無表情のキャラだったけど、映画ではいろいろな表情を見せていること。
原作のように無表情のキャラを実写にしてしまうと、好感を持てないキャラになってしまうかもしれないので、個人的にはいやな印象はまったくありません。
ともかくこれは、原作を読んでいても読んでいなくても、老若男女に大プッシュでおすすめ。
男子にとっても、永野芽郁ちゃんがかわいい、死ぬほどかわいい、月までブッ飛ぶほどの衝撃でかわいい(大切なことなので3回言いました)ので、キュンキュンしながら観られるでしょう。
槇原敬之の「No.1」はもう22年前の曲なのに、映画の内容にバッチリはまった主題歌になっているのもまたいいですね。
<槇原敬之 - No.1 - YouTube>
<歌詞はこちら>
カップルで観終わった後は、きっとお互いのことをもっと大切にしようと思えますよ。末長く爆発しろ。
エンドロールの最中・後にもおまけがあるよ!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:好きだ。
あらすじ
剛田猛男(鈴木亮平)は、大きな体を持ちながらも、女子にモテない高校1年生だった。
ある日、彼はしつこいナンパから助け出した女子高生の大和凛子(永野芽郁)に一目惚れするが、彼女は猛男の幼なじみであるイケメン・砂川誠(坂口健太郎)のことが好きだと思い込んでしまう。
落胆しながらも、大和と砂川の仲を取り持とうとする猛男だったが・・・。
あ、言いたいことは↑の一言感想ですべてです。
3文字ですべて語れる。もうほかのことはどうでもいいや、泣いて笑って、超胸キュン❤︎ムービーというだけでそれでOKです。
本作は、同名の人気コミックの実写映画化作品です。
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原作がいかにおもしろいかは、以下にも書いていたのでぜひお読みください(ていうか期間限定で1、2巻無料らしいから読め)↓
<これこそ真のイケメンだよ! 少女漫画「俺物語!!」レビュー>
アニメの第1話は無料で観られるよ↓
<俺物語!! [第1話無料] - ニコニコチャンネル:アニメ>
この『俺物語!!』の何が素敵って、主人公(男)の格好良さですよ!
単行本の表紙を並べただけでもそれは、わかります。








ね、格好いい(洗脳)。
2巻の表紙なんか、ぱっと見でもじっくり見ても少女マンガだとはとても思えません。
9巻の表紙の『ストリートファイター』ネタは、女子中高生がわかるはずもありません(笑)。
主人公は高校生ながら2mを超える巨体、顔はおっさんで、なおかつめっちゃいいやつ・・・「気は優しくて、力持ち」を地で行くような人物なのです。
こいつは人類に演じることは不可能だろうと思っていたら・・・やってくれましたよ、日本が誇るカメレオン俳優の鈴木亮平さんが!


あのね、なりきっているというか、もはや神が舞い降りたというほかないほど、鈴木さんはマンガの主人公を完璧にトレースしています。

彼の一挙一動どころか、ときには夕日を眺めるだけで笑いが起きるからすごい。
この手のマンガの実写化での「なりきり具合」には感動することが多いのですが、本作が抜群に衝撃的でした。
原作の主人公の再現度を期待する方、鈴木亮平さんのファンの方はぜったいに観ましょう。
そして、原作マンガの持つエッセンスを、2時間足らずの映画の中に余すことなく詰め込んでいることもすばらしい。
原作を読んだ方なら語らなくてもいいことですが、『俺物語!!』の主要登場人物は全員めっちゃいいやつなんですよ。
この映画でもそれは同じ。みんながみんないいやつらで、悪意を働く人なんてちっともいません。
それでも恋心はすれ違って、苦しい想いをすることもある・・・そんな恋愛のモキュモキュがたっぷり詰まっています。
また、原作では1巻の序盤で終わる出来事を、本作では映画のクライマックスに据えています。
おかげさまで「お前らあ"あ"あ"好き合っているんだろうがあ"あ"あ"あ"!さっさと気づけえええええ!」という少女マンガ特有の面倒くささを1時間45分間たっぷりと体験できてしまいます。
はっきり言って、そのもどかしさは胸キュンを超えてイラつくレベルです。
少女マンガを読まない方には、「少年向けハーレム(女の子に囲まれて困っちゃう)系のマンガで、超鈍感な男主人公が好かれていることにじぇんじぇん気づかない」を想像してみてください(例:ニセコイ)。めっちゃ腹立つでしょ?
しかし、イラつくレベルにしていたとしても、今回の改変はもう大正解だと肯定しまくれます。
なぜなら、原作のエピソードを織り込みつつも、もっとも大事な瞬間をクライマックスに据えて、しかも原作にないさらなる描写を加えられているのですから。
詳しくはネタバレになるので↓に書きますが、これは原作のメッセージ性も汲み取った最高のラストと言えるものでした。
原作ファンは迷わず観て欲しいです。
また、子どもにも文句なくオススメできるのが素晴らしい!
作中には性的な描写が皆無ですし、ギャグのほとんどが「主人公のキャラのおかしさ」なんですよね。
すげー運動神経を見せたり、人間ばなれした怪力を見せつけるというだけ。いい意味で短絡的でわかりやすいので、精神年齢が幼いほど(もちろん大人でも)爆笑できます(ていうかそれを再現できている鈴木亮平さんがパねえ)。
そういえば、作中のギャグもちょいちょい映画オリジナルのものが加えられています。
具体的には主人公の言動ですね。これは原作ファンにも納得の「らしさ」があって、なんとも愛おしくなってしまいました。
そして作品のメッセージ!
これは「人は見た目じゃなくて中身だ!」「恋する気持ちに一直線のやつは格好いいんだ!」というド・正論のもので教育上にもとてもいいのです。
小さいお子さんをお持ちの親御さんにも、ぜひいっしょに観てあげてほしいですね。
難点は、天丼(繰り返し)が多いこと。
たとえば主人公がことあるごとに「好きだ!」と心の中でつぶやくのは、原作ではヒロインに会うたびに出てくるお約束みたいなもので、アホほどに主人公の気持ちがわかるものなのですが・・・本作ではこれを「天丼ギャグ」にしてしまっているんですよね。
ギャグとしてはけっこう気が利いていておもしろいのですが、個人的にはそれはギャグではなく、主人公の大切な気持ちとして用いて欲しかったのです。
そのほかにも似たようなシーンがくりかえされるうえ、クライマックスの演出がやや冗長で、テンポの悪さを感じてしまうのも事実です。
一見似たシーンであっても、主人公たちの心境はどんどん変化しているので、そこに注目すれば飽きずに観られるのかもしれません。
あとこれだけは言っておかなければなりますまい。
予告編にあのシーンを入れたやつはどこのどいつだ!
どのシーンかは伏せておきますが、ありえねー箇所をネタバレしてんじゃねーよ!これさえなければより感動できたのに・・・
いいところと悪いところとも言えないのは、親友・砂(坂口健太郎)は原作では(主人公の行動で笑う以外は)無表情のキャラだったけど、映画ではいろいろな表情を見せていること。
原作のように無表情のキャラを実写にしてしまうと、好感を持てないキャラになってしまうかもしれないので、個人的にはいやな印象はまったくありません。
ともかくこれは、原作を読んでいても読んでいなくても、老若男女に大プッシュでおすすめ。
男子にとっても、永野芽郁ちゃんがかわいい、死ぬほどかわいい、月までブッ飛ぶほどの衝撃でかわいい(大切なことなので3回言いました)ので、キュンキュンしながら観られるでしょう。
俺物語の中の永野芽郁ちゃんが可愛くて可愛くてもう pic.twitter.com/GBcYfN6h4X
— おはし (@UkYukiti) 2015, 11月 5
槇原敬之の「No.1」はもう22年前の曲なのに、映画の内容にバッチリはまった主題歌になっているのもまたいいですね。
<槇原敬之 - No.1 - YouTube>
<歌詞はこちら>
カップルで観終わった後は、きっとお互いのことをもっと大切にしようと思えますよ。
エンドロールの最中・後にもおまけがあるよ!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 今回は短め
映画『PAN パン ネバーランド、夢のはじまり』黒ひげが本当に望んでいたこととは?(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
今日の映画感想は『PAN ネバーランド、夢のはじまり』(原題:PAN)です。
個人的お気に入り度:7/10
(3Dで観れば8点、4DXで観れば9点)
一言感想:楽しいけど、深い
あらすじ
少年ピーター(リーヴァイ・ミラー)は住んでいた孤児院から、異世界のネバーランドに連れてこられてしまう。
彼はそこで出会ったジェームズ・フック、村の女戦士タイガーリリーとともに、ネバーランドを支配する海賊・黒ひげに立ち向かっていくが・・・
『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督最新作にして、世界中で親しまれている戯曲・小説『ピーター・パン』の実写映画化作品です。
本作は全米での評価、興行収入ともに芳しくはありませんが、それはあまり気にせず、堂々と観に行ってもよいでしょう(その理由はこちら↓)(日本ではなかなかの好評です)
<映画『PAN パン ネバーランド、夢の始まり』が全米でネガティブに捉えられているふたつの理由>
突然ですが、クイズをひとつ。
本作『PAN ネバーランド、夢のはじまり』でフック船長を演じているのは誰でしょう?
<みんな知っているフック船長、誰が演じているかな?
チクタク・・・ポーン。
答えは?うんうん、予告編やポスターでも目立っているヒュー・ジャックマン様ってみんな答えるよね。はい、残念!(笑顔で)
本作でフックを演じているのはギャレッド・ヘドランドであり、ヒュー様が演じているのは「黒ひげ」なのです。
<こっちがフック
<こっちが黒ひげ
このヒュー様が黒ひげとして登場したときの誰だお前な感じもおもしろいですね。
黒髭とは実在していた海賊の名前で、当然原作の『ピーター・パン』には登場しません。
本作は悪役を別に据えることで、(後に敵どうしとなる)ピーター・パンとフック船長の馴れ初めを描いた作品とも取れます。
本作のフックは「一見するとこいつ本当にフック船長なの?」と思えるキャラなのですが、ところどころに「ああ、後にフック船長になるんだなあ」と思える描写もたっぷりあります。
はじめてピーターとフック船長が出会うくだりにも、その「くすぐり」が存分に描かれているのでぜひ注目してほしいです。
そして本作は・・・ファンタジー世界で『インディー・ジョーンズ』のような冒険活劇が楽しめるという点で、100点満点の作品でした。
<海賊船で空飛ぶ冒険!
<主人公といっしょにニッコリ
空飛ぶ海賊船に乗れる!ネバーランドでは大冒険!ファンタジックな映像満載!
映画のおもしろさの根源のひとつは「普段体験できないものを観ることができる」ことだと思います。
その魅力を最大限に体験できる本作のことは、それだけで好きにならざるを得ません。
「いくらお金をかけたんだ?(実際は1億5000万ドル)」とびっくりする映像マジックが惜しげもなく投入されている作品なので、ぜひ3D、もしくは4DX版で観ることをおすすめします(吹き替え版と字幕版のどちらがおすすめかということも書いています)↓
<『PAN ネバーランド、夢の始まり』は少なくとも3D、ぜひ4DXでこそ観るべき4つの理由>
さてさて、本作にある批判的な意見は、物語性が薄くて物足りないということがほとんどでした。
でも、自分は「そんなことはない!」と主張したいです。
理由のひとつが、敵キャラ・黒ひげの描写です。
詳しくはネタバレ↓に書きますが、本作をよくよく観れば、黒ひげが複雑な心境を抱えている人物であることが描かれています。
これから観る方は、黒ひげがピーターを部屋に呼んだときのやりとり、その表情の変化に注目してみてください。
後々で示される「過去」を思えば、黒ひげがなぜそのような質問をピーターに投げかけたのか、彼が本当に求めていたものが何なのか・・・それがわかるはずです。
何よりの問題は、キャラクターの内面がわかる描写がわりとサラッと流されるために、奥深さを感じにくいことでしょうか。
本作は矢継ぎ早にアクションが展開する冒険活劇であるため、そこを短く描く意図はとてもよくわかります。
しかし、『つぐない』などで卓越した登場人物の心理描写を見せたジョー・ライト監督と、この冒険活劇としての『パン』は少し食い合わせが悪く感じてしまいます。
まとめれば、登場人物の内面は作中でしっかり描かれているが、その時間が少なすぎるために感じにくい、ということです。これは明らかな欠点です。
個人的に残念だったのは、『ピーター・パン』ならではの「毒」のある描写がほとんどなかったこと。
ピーター・パンが「永遠の子ども」であることは、現代ではピーターパン症候群というパーソナリティー障害の名前にも用いられていますし、原作には夢いっぱいの冒険だけではない、毒々しい要素がたっぷりあります。
このあたりは、オトナになったピーター・パンの冒険を描いた『フック』や、哲学的な要素も満載の2003年版の映画を観て、補完しておくとよいかもしれません。

また、本作の終わりかたも賛否両論を呼ぶ理由につながっています。
そのオチはネタバレになるので↓に書きますが、はっきり否を突きつける方もきっと多いことでしょう。
あとね、本作はディズニー映画に出てくる悪役をそのまま3次元化したようなババアが超魅力的な映画なのですよ。
※画像出典はこちら
この孤児院の院長であるマザー・バーバナス(役名)を演じているのはキャシー・バークさん。
役作りが完璧で、しかも戦闘能力が高いババアを演じている時点で感動しました。
今年の「ババアが強い映画ランキング」は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と本作がツートップで確定です。
なお、このババアは冒頭で海賊旗を掲げていて、ネバーランドから来る海賊船を呼んで孤児たちを売り飛ばしているという描写があります。つまりこのババア、ネバーランドと癒着があります。
引いてはこの描写のおかげで、「第二次世界大戦中(映画オリジナルの設定)なのに、ババアは孤児院に物資を貯めれている」ということが説明できています。
ネバーランドはババアによる裏取引の相手という斬新な解釈(笑)ができているというのが楽しいですね。
また、物資を貯めている倉庫への入り口を、マリア像の鼻を捻って開けるというシーンもありました。
これは、ババアが「神なんか信じない、私が信じるのは金だけよ!」な無神論者であるということを示していたのかもしれません。
もうひとつ豆知識を。ピーター・パンの名前であり、本作のタイトルになっている『PAN』は牧神パンが元ネタになっています。
本作での「PAN」は「勇気ある者の名前」という呼ばれかたをしていますが、もともとは「妖精たちと混じって遊ぶ無邪気な者」「(妖精に恋するような)妖精に近い存在」として、ピーター・パンにこの名前が付けられていたそうです。
本編を観終わった後に、この名前を省みると・・・さらに奥深く感じられるストーリーなのかもしれません。
とまあ、いろいろと書きましたが、基本的に「超楽しい!」「夢の世界を体験できた!」という小並感ですべてがオッケー!な映画です。
家族でも、デートでも大推薦です。
そんな内容でも、オトナは悪役・黒ひげの内面を考えてみることをオススメします。
しつこいように言いますが、少なくとも3Dで、できれば4DXでこそ観ましょう。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
個人的お気に入り度:7/10
(3Dで観れば8点、4DXで観れば9点)
一言感想:楽しいけど、深い
あらすじ
少年ピーター(リーヴァイ・ミラー)は住んでいた孤児院から、異世界のネバーランドに連れてこられてしまう。
彼はそこで出会ったジェームズ・フック、村の女戦士タイガーリリーとともに、ネバーランドを支配する海賊・黒ひげに立ち向かっていくが・・・
『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督最新作にして、世界中で親しまれている戯曲・小説『ピーター・パン』の実写映画化作品です。
![]() | J.M. バリ 821円 powered by yasuikamo |
本作は全米での評価、興行収入ともに芳しくはありませんが、それはあまり気にせず、堂々と観に行ってもよいでしょう(その理由はこちら↓)(日本ではなかなかの好評です)
<映画『PAN パン ネバーランド、夢の始まり』が全米でネガティブに捉えられているふたつの理由>
突然ですが、クイズをひとつ。
本作『PAN ネバーランド、夢のはじまり』でフック船長を演じているのは誰でしょう?

チクタク・・・ポーン。
答えは?うんうん、予告編やポスターでも目立っているヒュー・ジャックマン様ってみんな答えるよね。はい、残念!(笑顔で)
本作でフックを演じているのはギャレッド・ヘドランドであり、ヒュー様が演じているのは「黒ひげ」なのです。


このヒュー様が黒ひげとして登場したときの誰だお前な感じもおもしろいですね。
黒髭とは実在していた海賊の名前で、当然原作の『ピーター・パン』には登場しません。
本作は悪役を別に据えることで、(後に敵どうしとなる)ピーター・パンとフック船長の馴れ初めを描いた作品とも取れます。
本作のフックは「一見するとこいつ本当にフック船長なの?」と思えるキャラなのですが、ところどころに「ああ、後にフック船長になるんだなあ」と思える描写もたっぷりあります。
はじめてピーターとフック船長が出会うくだりにも、その「くすぐり」が存分に描かれているのでぜひ注目してほしいです。
そして本作は・・・ファンタジー世界で『インディー・ジョーンズ』のような冒険活劇が楽しめるという点で、100点満点の作品でした。


空飛ぶ海賊船に乗れる!ネバーランドでは大冒険!ファンタジックな映像満載!
映画のおもしろさの根源のひとつは「普段体験できないものを観ることができる」ことだと思います。
その魅力を最大限に体験できる本作のことは、それだけで好きにならざるを得ません。
「いくらお金をかけたんだ?(実際は1億5000万ドル)」とびっくりする映像マジックが惜しげもなく投入されている作品なので、ぜひ3D、もしくは4DX版で観ることをおすすめします(吹き替え版と字幕版のどちらがおすすめかということも書いています)↓
<『PAN ネバーランド、夢の始まり』は少なくとも3D、ぜひ4DXでこそ観るべき4つの理由>
さてさて、本作にある批判的な意見は、物語性が薄くて物足りないということがほとんどでした。
でも、自分は「そんなことはない!」と主張したいです。
理由のひとつが、敵キャラ・黒ひげの描写です。
詳しくはネタバレ↓に書きますが、本作をよくよく観れば、黒ひげが複雑な心境を抱えている人物であることが描かれています。
これから観る方は、黒ひげがピーターを部屋に呼んだときのやりとり、その表情の変化に注目してみてください。
後々で示される「過去」を思えば、黒ひげがなぜそのような質問をピーターに投げかけたのか、彼が本当に求めていたものが何なのか・・・それがわかるはずです。
何よりの問題は、キャラクターの内面がわかる描写がわりとサラッと流されるために、奥深さを感じにくいことでしょうか。
本作は矢継ぎ早にアクションが展開する冒険活劇であるため、そこを短く描く意図はとてもよくわかります。
しかし、『つぐない』などで卓越した登場人物の心理描写を見せたジョー・ライト監督と、この冒険活劇としての『パン』は少し食い合わせが悪く感じてしまいます。
まとめれば、登場人物の内面は作中でしっかり描かれているが、その時間が少なすぎるために感じにくい、ということです。これは明らかな欠点です。
個人的に残念だったのは、『ピーター・パン』ならではの「毒」のある描写がほとんどなかったこと。
ピーター・パンが「永遠の子ども」であることは、現代ではピーターパン症候群というパーソナリティー障害の名前にも用いられていますし、原作には夢いっぱいの冒険だけではない、毒々しい要素がたっぷりあります。
このあたりは、オトナになったピーター・パンの冒険を描いた『フック』や、哲学的な要素も満載の2003年版の映画を観て、補完しておくとよいかもしれません。


また、本作の終わりかたも賛否両論を呼ぶ理由につながっています。
そのオチはネタバレになるので↓に書きますが、はっきり否を突きつける方もきっと多いことでしょう。
あとね、本作はディズニー映画に出てくる悪役をそのまま3次元化したようなババアが超魅力的な映画なのですよ。

この孤児院の院長であるマザー・バーバナス(役名)を演じているのはキャシー・バークさん。
役作りが完璧で、しかも戦闘能力が高いババアを演じている時点で感動しました。
今年の「ババアが強い映画ランキング」は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と本作がツートップで確定です。
なお、このババアは冒頭で海賊旗を掲げていて、ネバーランドから来る海賊船を呼んで孤児たちを売り飛ばしているという描写があります。つまりこのババア、ネバーランドと癒着があります。
引いてはこの描写のおかげで、「第二次世界大戦中(映画オリジナルの設定)なのに、ババアは孤児院に物資を貯めれている」ということが説明できています。
ネバーランドはババアによる裏取引の相手という斬新な解釈(笑)ができているというのが楽しいですね。
また、物資を貯めている倉庫への入り口を、マリア像の鼻を捻って開けるというシーンもありました。
これは、ババアが「神なんか信じない、私が信じるのは金だけよ!」な無神論者であるということを示していたのかもしれません。
もうひとつ豆知識を。ピーター・パンの名前であり、本作のタイトルになっている『PAN』は牧神パンが元ネタになっています。
本作での「PAN」は「勇気ある者の名前」という呼ばれかたをしていますが、もともとは「妖精たちと混じって遊ぶ無邪気な者」「(妖精に恋するような)妖精に近い存在」として、ピーター・パンにこの名前が付けられていたそうです。
本編を観終わった後に、この名前を省みると・・・さらに奥深く感じられるストーリーなのかもしれません。
とまあ、いろいろと書きましたが、基本的に「超楽しい!」「夢の世界を体験できた!」という小並感ですべてがオッケー!な映画です。
家族でも、デートでも大推薦です。
そんな内容でも、オトナは悪役・黒ひげの内面を考えてみることをオススメします。
しつこいように言いますが、少なくとも3Dで、できれば4DXでこそ観ましょう。
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
映画『PAN パン ネバーランド、夢の始まり』が全米でネガティブに捉えられているふたつの理由
現在公開中の映画『PAN ネバーランド、夢の始まり』はかなーりお気に入りの作品なのですが・・・じつは全米での評価が芳しくありません。
Imdbでは6.0点、Rotten Tomatoesでは26%とイマイチパッとしていていないのです。
さらに興行成績は初登場3位、(莫大な制作費をかけたために)利益率で考えれば『ファンタスティック・フォー』よりもコケているという有様なのです。
なぜこうなったのかといえば・・・映画の出来と関係ないところでネガティブに捉えられる要素があることが理由でしょう。
そのふたつの理由を書いてみます。
(1)タイガー・リリー役にルーニー・マーラを配役した。
もともとタイガー・リリーはネイティブ・アメリカンを思わせるキャラクターでした(原作小説では“有色人種”として書かれています)。
しかし、本作では白人であるルーニー・マーラがこの役を演じるということで批判が殺到、彼女の降板を求める署名運動まで起こったのです。

※同じキャラです。
「タイガー・リリーのイメージとは違う」、「ネイティブ・アメリカンの女優から仕事を奪った」、「ネイティヴ・アメリカンの文化は歴史上重要であるのに、それを映画の中で隠そうとしている」と怒られているというわけです。
ジョー・ライト監督自身は「ネバーランドの部族は、世界中のあらゆる人々が混在する設定にした。そのため、スクリーン上には幅広く、さまざまな文化を反映している」と語っていましたし、映画の中でルーニー・マーラはさすがと言える存在感を見せていました。
1953年版の実写映画では、むしろタイガー・リリーの役柄が差別的であると批判を浴びていたこともあるので、この配役は差別的な批判を避けての決定なのではないでしょうか(けっきょく、逆効果になってしまったようですが・・・)。
批判の意見も理解はできるのですが・・・ここまでルーニー・マーラの配役に度を超えて否定的な要素があると、逆差別的に思えて仕方がありません。
(2)作中で海賊たちがニルヴァーナの楽曲を合唱している
海外では、ニルヴァーナは神格化されているほどに人気のあるグループです。
作中ではニルヴァーナの超有名な楽曲を「悪役」である海賊たちに歌わせているために、「名曲を汚すな!」「時代背景(本作は第二次世界大戦中の話)とも関係ないだろ!」と怒られているというわけです。
※この曲を海賊たちが大合唱するうえ、その歌詞は物語の展開とも関係しています。
※作中ではこちらのラモーンズの楽曲も海賊たちが歌います。
海外の評判を見てみると、この海賊たちが「Smells Like Teen Spirit」を歌うシーンは、「これまで見たこともないくらいにファ◯キングだ!」「馬鹿げている」「ありえねえ」などと罵詈雑言の嵐でした。
あまりニルヴァーナになじみのない日本人からすると、「そんなに悪くない」「むしろ海賊の悪どさが出ていて好きなんだけど・・・」と思うのですが、確かに大好きなアーティストの楽曲を悪役に歌わせているというのは、いい気はしないかもしれませんね。
とりあえず言っておきたいのは
・上の(1)(2)で挙げたネガティブな要素は、あまりピーター・パンやニルヴァーナに思い入れのない日本人には関係ない
・作品はゴージャスなCGで彩られた胸踊る冒険譚活劇なので、親子で観に行って損はない
ということです。
(邪推であるかもしれませんが)このふたつのネガティブな要素が興行成績、評価にも少なからずや影響していると思います。
人種差別などを描くことで問題提起をする映画はありますが、本作はあくまで『インディー・ジョーンズ』のような冒険を、ファンタジー世界において楽しめるという夢のような作品なのです。
こうした映画本編と関係ないネガティブな要素を気にせず、楽しい夢をみることを期待して、劇場に足を運ぶことをおすすめします。
参考↓
<『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライト監督インタビュー 海賊がニルヴァーナを歌う理由とは? | ガジェット通信>
映画本編の感想↓
<映画『PAN パン ネバーランド、夢のはじまり』黒ひげが本当に望んでいたこととは?>
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
Imdbでは6.0点、Rotten Tomatoesでは26%とイマイチパッとしていていないのです。
さらに興行成績は初登場3位、(莫大な制作費をかけたために)利益率で考えれば『ファンタスティック・フォー』よりもコケているという有様なのです。
なぜこうなったのかといえば・・・映画の出来と関係ないところでネガティブに捉えられる要素があることが理由でしょう。
そのふたつの理由を書いてみます。
(1)タイガー・リリー役にルーニー・マーラを配役した。
もともとタイガー・リリーはネイティブ・アメリカンを思わせるキャラクターでした(原作小説では“有色人種”として書かれています)。
しかし、本作では白人であるルーニー・マーラがこの役を演じるということで批判が殺到、彼女の降板を求める署名運動まで起こったのです。


※同じキャラです。
「タイガー・リリーのイメージとは違う」、「ネイティブ・アメリカンの女優から仕事を奪った」、「ネイティヴ・アメリカンの文化は歴史上重要であるのに、それを映画の中で隠そうとしている」と怒られているというわけです。
ジョー・ライト監督自身は「ネバーランドの部族は、世界中のあらゆる人々が混在する設定にした。そのため、スクリーン上には幅広く、さまざまな文化を反映している」と語っていましたし、映画の中でルーニー・マーラはさすがと言える存在感を見せていました。
1953年版の実写映画では、むしろタイガー・リリーの役柄が差別的であると批判を浴びていたこともあるので、この配役は差別的な批判を避けての決定なのではないでしょうか(けっきょく、逆効果になってしまったようですが・・・)。
批判の意見も理解はできるのですが・・・ここまでルーニー・マーラの配役に度を超えて否定的な要素があると、逆差別的に思えて仕方がありません。
(2)作中で海賊たちがニルヴァーナの楽曲を合唱している
海外では、ニルヴァーナは神格化されているほどに人気のあるグループです。
作中ではニルヴァーナの超有名な楽曲を「悪役」である海賊たちに歌わせているために、「名曲を汚すな!」「時代背景(本作は第二次世界大戦中の話)とも関係ないだろ!」と怒られているというわけです。
※この曲を海賊たちが大合唱するうえ、その歌詞は物語の展開とも関係しています。
※作中ではこちらのラモーンズの楽曲も海賊たちが歌います。
海外の評判を見てみると、この海賊たちが「Smells Like Teen Spirit」を歌うシーンは、「これまで見たこともないくらいにファ◯キングだ!」「馬鹿げている」「ありえねえ」などと罵詈雑言の嵐でした。
あまりニルヴァーナになじみのない日本人からすると、「そんなに悪くない」「むしろ海賊の悪どさが出ていて好きなんだけど・・・」と思うのですが、確かに大好きなアーティストの楽曲を悪役に歌わせているというのは、いい気はしないかもしれませんね。
とりあえず言っておきたいのは
・上の(1)(2)で挙げたネガティブな要素は、あまりピーター・パンやニルヴァーナに思い入れのない日本人には関係ない
・作品はゴージャスなCGで彩られた胸踊る冒険譚活劇なので、親子で観に行って損はない
ということです。
(邪推であるかもしれませんが)このふたつのネガティブな要素が興行成績、評価にも少なからずや影響していると思います。
人種差別などを描くことで問題提起をする映画はありますが、本作はあくまで『インディー・ジョーンズ』のような冒険を、ファンタジー世界において楽しめるという夢のような作品なのです。
こうした映画本編と関係ないネガティブな要素を気にせず、楽しい夢をみることを期待して、劇場に足を運ぶことをおすすめします。
参考↓
<『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ジョー・ライト監督インタビュー 海賊がニルヴァーナを歌う理由とは? | ガジェット通信>
映画本編の感想↓
<映画『PAN パン ネバーランド、夢のはじまり』黒ひげが本当に望んでいたこととは?>
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC