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ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

2016年7月の気になる映画一覧(マイナー推し)

もう今年が半分終わるってどういうことなの?(今年30歳になる男の焦燥)

そんなわけで、7月の気になる映画です。

以下の記事も参考にしましょう↓
モンキー的2016年7月期待の新作映画 - モンキー的映画のススメ
2016年7月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて
2016年7月に観たい映画/6月に観た映画 – 頭の中もハッピーな人
2016年7月に観たい注目映画6本/6月鑑賞記録/上半期ベスト | pockke

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2016-06-29 : 月ごとの気になる映画 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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『葛城事件』家族という地獄にようこそ(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は葛城(かつらぎ)事件です。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:家族の中でブーメランを投げまくる映画

あらすじ


父親から受け継いだ小さな金物屋に務める葛城清(三浦友和)は、妻の伸子(南果歩)とともに長男・保(新井浩文)と次男・稔(若葉竜也)を育て上げた。
ところが、稔が8人のも人間を殺傷する無差別殺人事件を起こし、死刑囚になってしまう。
やがて、稔と獄中結婚したという女・星野(田中麗奈)が現れるのだが……。




観ろ。(←今年5回目)

もうね、「後味の悪い映画を観たい」「胸糞の悪くなる話を知りたい」という後ろ向きな希望がございましたら、本作『葛城事件』はそれをこのうえなく叶えてくれる作品であることを保証します。

何せ、起こるのは1ミリも擁護することなんてできない、凄惨な通り魔(無差別殺人)事件です。
映画はなぜその事件が起こったのかを、家族の会話劇によりじっくりねっとりと解き明かしていきます。

何がすごいって、誰かがしゃべったセリフや行動のほぼすべてが、家族の誰かにブーメランとして戻って来ることです。
※ネットにおけるブーメンランの例→舛添要一の特大ブーメラン発言集
何気なく家族が発した言葉が、「あれ、こいつも同じことを言っていたじゃん」と回収されまくるのです。

これは、家族を持つ方であれば誰でも経験することですよね。
同じ血が流れているのですから、趣味嗜好が似通っていたり、行動パターンが同じだったり。
その似ているところがあるからこそ、家族は愛おしく、大切なものになるはずです。

だけど、『葛城事件』はそのブーメランにより、どんどん家族が地獄にハマっていくのです

これは家族による「悪循環」です。
ふつうは家族が似通っていることはよい環境をもたらすはずなのに、その歯車が狂えば絶望の淵まで行ってしまうという……。

なお、本作で登場する家族たちは、
父親は生粋のク◯親父、
母は夫の言いなりのダメ妻、
次男は引きこもりのニートとダメダメ。
しかし、唯一長男(とその妻)は、会社員として働くまともな青年に思えます。

家族はクズ 葛城事件<右の長男だけはまとも?

ところが、そのまともに見えた長男でさえも。ダメ家族が持っていた嫌な部分をほんの少しだけ出すシーンがあるんです。
これは「もうやめてくれ」と思えるほどの地獄でした。


恐ろしいのは、本作で描かれた「家族という地獄」という問題が決して他人事とは思えないこと。
ずーっと家族で暮らしていると、親やきょうだいの「嫌な部分」も知ってしまうものですが……そう思う本人だって、その嫌な部分を持つ家族と共通のDNAを持っているのです。
いわば家族に感じる嫌な部分というのは「同族嫌悪」でもあり、世界中のどこにでもありふれているものなのです。

本作のように、その「嫌な部分」がブーメランされまくって、悪循環に陥いってしまうと……この家族という地獄に陥る可能性がないとは、誰にも言い切れないでしょう。


忘れてはならないのが、俳優陣の熱演です。
全員がクズ人間にハマりすぎていて怖いのですが、とくに父親役の三浦友和はキッツい(褒めています)。
作中では三浦友和が、殺人事件を起こした息子の父親ということで世間から蔑まれているのだけど、微塵も同情できないのがすげえ(それくらい性格が悪い)。

クソ親父のシーン葛城事件<生粋のク◯親父にしか見えません。

その「俺様」な一挙一動は、とても演技に思えません(←大変失礼な発言)。
ディストラクション・ベイビーズ』の柳楽優弥、『ヒメアノ~ル』の森田剛、『クリーピー 偽りの隣人』の香川照之と、今年の日本映画はこの手のヤバい男の演技がフィーバーしすぎです。


赤堀雅秋監督・脚本の前作『その夜の侍』はひき逃げ事件をめぐる人間ドラマとして、高く評価されていました(否定的な意見も多いのですが)。

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自分は未見でしたが、『葛城事件』の計算されつくした会話劇を知ると……こちらもすさまじい作品であると確信できます。


なお、本作は附属池田小事件土浦連続殺傷事件秋葉原通り魔事件「黒子のバスケ」脅迫事件など、複数の事件を参考(モデル)にしています。
その犯人像のリサーチのおかげもあり、殺人鬼となる次男の発言は例えようもないほどの嫌悪感に満ち満ちているものの、どこか現実に存在してもおかしくないようなリアリティもありました。

つい先日にも、「死刑にしてほしい」という身勝手すぎる理由により、北海道・釧路のイオンモールで通り魔事件が起きました。

とても悲しいことですが、こうした事件は現実にあるもの。
突然起こる通り魔事件は、その現場にいる誰かが事前に阻止することは不可能です。

しかし、その「原因」を無くすことは可能です。
『葛城事件』は訴えているものは、その人間が通り魔(化け物)になる原因がなくなれば、こうした事件も起きなかったのではないかという希望(願望)なのではないでしょうか。
作中では次男が通り魔になった過程がじっくりと丁寧に描かれているぶん、「こうであればそうならなかったのに」という後悔がまざまざと描かれているのですから。


欠点をあげるのであれば、時系列を入れ替えた構成に少し戸惑ってしまうことでしょうか。
観終わってみるとこの構成にも確かに意味があると思うのですが、敷居の高さは否めません。

映画は、通り魔事件を起こした次男が死刑判決を受け、そこに死刑囚である次男と獄中結婚したいと願う女が来たところから始まります。
そこから、なぜこうなったかという過去の描写が始まるのですが、そこの場面展開が唐突で、時間が巻き戻ったと認識しにくいのです(家の中の様子で一目瞭然ではあるのですが)。

獄中結婚する女(田中麗奈)が出てくるシーンが「現在」
それ以外のシーンが「過去」
と認識するとわかりやすいでしょう。


葛城事件現在<これが「現在」

葛城事件こっちが現在<これが「過去」

これは、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『冷たい熱帯魚』『凶悪』系の、「観た後にマジでゲンナリする案件」です。

ダンサー・イン・ザ・ダーク(Blu-ray Disc) 冷たい熱帯魚 凶悪<これと同レベルかそれ以上のキツさ 

「こんな暗くてキツい物語を、なんでわざわざ観るの?」と思う方もいるかもしれませんが、むしろこういう映画こそ、逆説的に幸せを教えてくれると思います。
多くの人にとって、いまの自分の家族が、いかに奇跡的な関係性を保っているかを思い知らされるでしょうから。

(こういうと悪趣味ですが)会話劇によるエンターテインメントとしても抜群におもしろい作品です。
じつは寝不足のまま本作を観たのですが、つぎつぎに襲い来る会話のブーメンランっぷりに眠気なんて吹っ飛びました。
出演者の狂気に満ちた表情と行動も相まって、スクリーンに目が釘付けになるでしょう。

この「家族の関係性が、会話の中にありありとあらわれる」というのは、何かに似ているなあと思ったら、是枝裕和監督の作品にそっくりでした。
歩いても歩いても』『そして父になる』『海よりもまだ深く』『海街diary』はそれぞれ愛おしい家族の関係を描いていましたが、それが全部ダークサイドに染まると『葛城事件』になるんですね(←暴論)。

PG12指定だけあり、通り魔のシーンが直接的に描かれているうえ、性的な話題もあるのでご注意を。
多少の好き嫌いはあるでしょうが、それでも、2016年を代表する邦画の傑作として、超大プッシュでオススメいたします。

<上映劇場(7月23日、7月30日公開開始の場所も多め)>

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 超ネタバレなので未見の方は読まないで!

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2016-06-28 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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『裸足の季節』トルコのゆるゆるイスラム教を知っておこう(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は裸足の季節(原題:MUSTANG)です。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:究極のフェミニムズ映画

あらすじ


10年前に事故で両親を亡くした5人姉妹は、祖母の家で厳格で一方的な価値観を押し付けられていた。
やがて姉妹は家族が決めた結婚相手にひとりずつ嫁がされていく。
13歳の五女のラーレは、何とか家から逃げ出す方法を考えるが……。




観ろ。(←これもう今年4回目だよ!)

もうね、本作は細かいところはどうでもいいから、とにかく劇場に行けと言いたい。
あとは美少女がとにかくかわいいこと、美少女の肌の露出が多いこと、美少女の太ももをたくさん眺められることを言いたい。

裸足の季節22<太もも×5

しかもこんな彼女たちが下着姿になったり(夏だからしかたがないね☆)、制服姿のまま海でウッフキャハハとはしゃいだりするんですよ。最高か。天国か。

こんな書き方だとロリコンだとかキモいとか何とか言われそうだけど、美少女が好きなのは万国老若男女共通だからしょうがねえだろ!
というわけで、美少女好きはいますぐ観に行け。はいもう撤収!


(真面目に書こう↓)


さてさて、本作は新人女性監督の作品ながら、第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、Rotten Tomatoesでは97%coco 映画レビューでも95%という超高評価を記録した作品。映画ファンにとっても見逃せない作品なのです。

もっとも特徴的なのは、本作がフェミニズムにあふれまくっていることでしょう。
端的に言えば、戒律や習慣のために虐げられている女性(若い娘)に、救いをもたらす映画なのです。


このフェミニズムと密接に絡んでいるのは、映画の舞台となるトルコのお国柄です。

トルコは、イスラム教徒が99%を占める国です。
イスラム教は豚や牛を食べてはいけない、偶像崇拝を禁止する、女性は身体の美しい部分を露出させてはいけないなど、戒律が厳しいことはご存じでしょう。

しかし、じつはトルコではイスラム教の戒律は比較的ゆるいのです。
服装は自由な格好でOK、飲酒をする人が多く、街中でふつうにキスをするカップルまでもいます。
さらに大学など公の場では、(肌を見せないための)スカーフを着用することをむしろ禁じているのだそうです。

この「ゆるゆるイスラム教」になったのは、その昔に「宗教と政治を分離しなければトルコの発展はない(政教分離)」という大統領の考えがあり、古くから東西交易の要所と栄えてきた場所だからでこその文化の流入があったことが理由なのだとか。

おかげでトルコでは、イスラム教ならではの一夫多妻制はとうの昔に廃止、女性の参政権も認められています。
バスに乗っても、女性であれば若くても席を譲ってもらえる場合が多いのだとか。
ほかのイスラム教の国に比べると、トルコはいくぶん女性にやさしいのです


ただし……そのようなゆるい戒律でも、点在するモスク(礼拝堂)に行かないといけないし、豚肉は食べることができません。
何より、男性が働き、女性が家を守るべきという考えは、いまのトルコにおいても根強く残っています

これはトルコならずとも、多くの国で共通することですよね。
女性にやさしい人がいたとしても、女性の人生を画一的に決めてしまう古い価値観も残っている、というのは……。

※以下の記事を参考にさせていただきました↓
ちょっと変だよトルコ人! 海外イスラム教徒の反応 - Excite Bit コネタ
トルコってどんな国?(地理・気候・宗教など) ::ファインダー越しに見たトルコ旅紀行:7日目


この映画の主人公となる5人の姉妹は、まさにこの「古い価値観」のためにがんじがらめになります。
男子とちょっと遊べばいやらしいことをしたと言われる、スポーツ観戦すらも認められない。
結婚相手を一方に決められて、自分の好きな人といっしょなることができない。

それどころか、5人姉妹は家の中にほぼ「監禁状態」にされ、毎日のように花嫁修行をする「花嫁生産工場」に務めなければならなくなるのです。

トルコという国はイスラム教の厳しい戒律がゆるくなっているはずなのに、5人姉妹はそのお国柄に反して男尊女卑の価値観を押し付けられまくるというわけ。
こんな女性の自由を奪うようなことは、認めてははならない価値観です。
(実際に、映画の序盤で海で男子と遊んでいた姉妹が糾弾されてしまうのは、監督の実体験だったそうです)


映画では、この5人の姉妹が、どのようにこの問題に翻弄され、立ち向かい、そして解放されていくか――それをじっくりと描き出していきます。
幼い彼女らの必死の抵抗と、冒険。
あたたかい光につつまれた映像とあいまって、心地よい余韻を残してくれることでしょう。


本作の最大の欠点は、公開劇場が少ない&時期がバラバラということですね。
ミニシアター系の映画では避けては通れないことだとは重々承知しているのですが、いますぐ観てほしいんだよなー。

また、邦題はそれなりに微妙ですね。
一応本作の季節は夏に限定されており、作中で裸足になるシーンも確かにあるのですが……多くの方が松田聖子のデビュー曲を思い浮かべるのではないでしょうか(笑)。

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※映画とは関係ありません。

原題は「MUSTANG」で、その意味は「野生の状態で暮らしているやや小型の馬」。
それは自由に生きる(そうありたいと願った)、この映画の少女たちを意味しているのでしょう。


とにかく、本作は超・超・超オススメです。

94分というコンパクトなランタイムながら満足度は最高レベル。女性はもちろんのことロリコン紳士の皆さんが観ても学べることはきっと多いことでしょう。
多少性的な話題がありますが、これはぜひ思春期の子どもにも観てほしいです(きっと共感できるでしょうから)。
もう一度言いますが観ろ(命令)。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
本作は観ている人が少ないと思うのですが、ラストをどうしても書きたかったんです。未見の方は読まないで!

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2016-06-27 : 映画感想 : コメント : 5 : トラックバック : 0
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『10 クローバーフィールド・レーン』いかにネタバレで台無しになったかを全力でキレる(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は10 クローバーフィールド・レーンです。
↑公式サイトをクリックすると即ネタバレ注意!
※劇中の太った男・ハワードについておもしろい説をいただきました。ぜひネタバレをお読みください。

個人的お気に入り度:6/10(日本の宣伝はマイナス100億点)

一言感想:広報担当者はもげろ☆

あらすじ


ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は目覚めると、自分がシェルター内に拘束されていることに気づく。
彼女を助けたと主張する太った中年のハワード(ジョン・グッドマン)と、気の良さそうな青年のエメット(ジョン・ギャラガー・Jr)との共同生活が始まるのだが……。




こんな「ネタバレあり」で解説するブログを運営しておいて何ですが、自分は観る前のネタバレというものは大嫌いです。
で、本作『10 クローバーフィールド・レーン』は公式Twiiter、キャッチコピー、ポスター、TVスポットまでもれなく盛大なネタバレがありました

TVスポットが流れたらすぐチャンネルを変えて、映画館ではポスターを視界に入れないようにしよう!
自分は前情報のおかげで劇場の予告で目をつぶるという手段に出れたのですが、公式サイトを開いただけで即ネタバレしたのは避けられませんでした

実際に映画を観ると、その「ネタバレしたらいけない映画じゃん」という印象はさらに強まりました。
だってね、明らかに「その後の展開を知らないからこそおもしろいセリフ」がてんこ盛りなんだもん

会話のほとんどがミステリーになっているのに、予告ではその結末を思い切り教えてくれました。
推理小説で言えば、「犯人は◯◯です」といきなり書いてあるようなもんだよ!


だいたい、本作は全米で予告編、宣伝展開、公開直前まで全てをベールに包み隠したために話題になった作品なのです。
情報を提示しすぎないことが集客につながったというのに、日本では肝心なところをネタばらしってどういうことだよ。

日本でも、情報をひた隠しにするジブリ映画や、ほとんど内容を知らせない宣伝戦略をした小説『1Q84』は大ヒットをしています。
ただ映画の魅力を削いだだけでなく、自身たちがもっとも目指しているであろう集客にとってもマイナスになることを、広報担当者はわかっているのでしょうか?(わかっていないんだろうな)
少なくとも、自分はネタバレされたおかげでマジで観に行く気を無くしたんですけど……(だから観るのが遅かった)。


ここまで書いておいて何ですが、日本の広報担当者ばかりを責められないところもあります。
なぜなら、日本語に翻訳する前の、インターナショナル版の予告とポスターの時点で超ネタバレしているから!

調べてみると、海外のメディアはこれを重大なネタバレであると非難していました
このバッシングを日本の広報が知っていれば、こんなことにならなかったのに……。

※以下、まるでネタバレがないヴィジュアルをご覧ください。

10 Cloverfield Lane ポスター/スチール 写真 A4 パターンC 10 クローバーフィールド・レーン 光沢プリント ポスター/スチール 写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターンF 10 クローバーフィールド・レーン 光沢プリント

絶対に出てはいけないクローバーフィールド<始めは日本の広報もちゃんとした仕事をしていたじゃん……。


さてさて、本作は何を言ってもネタバレなので非常に紹介しにくいですね。
それでも何とか例をあげるのであれば……本作は『SAW』や『CUBE』や『リミット』のようなソリッド・シチュエーションスリラーを期待するととても楽しいのではないでしょうか。

ソウ(字幕版) CUBEキューブ(字幕版) [リミット] (字幕版)<似ているかも

何せ、あらすじは「目覚めたら、いきなりシェルターの中」というド・シンプル。
一癖も二癖もありそうな男たちと共同生活をするしていくうちに、会話の端々に違和感を覚え、やがて外の世界を見にこうとする、「脱出もの」でもあるのですから。

本作の監督はこれが長編映画のデビュー作とのこと(製作はJ.J. エイブラムス)ですが、そのサスペンスの作り方、画作りはかなり洗練されています。
「あえて見せない」という演出も見事で、妥協のない仕事ぶりが見て取れることでしょう。


うーん、どうしよう、ネタバレなしでほかに言うことがない
あとは「ジョン・グッドマンの演技がヤバイ!」「ホラー映画によく出ているメアリー・エリザベス・ウィンステッドがかわいい!」「けっこう怖い!」という小並感(小学生並みの感想)ばっかりになってきますね。

残念だったのは、終盤の展開がやや雑に感じてしまったことかな。
ここまで会話劇で丁寧に伏線を張っていたのに、やや爪の甘さを感じます。

音楽がややうるさすぎる印象があるかも。
重圧な音楽は、ここぞというときに使ったほうが効果的なはずです。


結論としては、「何が起こるかわからない」ドキドキが味わえる作品としておすすめ。なかなかデート向きでもあるでしょう。
でも広報のおかげで「何が起こるかわからない」ドキドキが全部台無しになっているんだがな!

ネタバレされてしまった方は、オチに至るまでの茶番劇として楽しみましょう。いや楽しめるわけねーだろこのダボハゼ(怒り狂っております)。

<公式サイトを観ずに、こちらの劇場情報だけを確認しましょう>

※以下の好意的な意見もありますよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-06-24 : 映画感想 : コメント : 16 : トラックバック : 0
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『クリーピー 偽りの隣人』綱を渡りきった男(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はクリーピー 偽りの隣人です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:ファンタジー映画として観よう!

あらすじ


犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、刑事時代の同僚の野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。
だが、たったひとりの生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相はわからないままだった。
一方、高倉が妻(竹内結子)と転居した先では、隣人の西野(香川照之)が不穏な雰囲気を見せて……。




回路』『リアル~完全なる首長竜の日~』の黒沢清監督による、サスペンス・スリラー映画です。
前川裕による同名の小説を原作としています。

クリーピー (光文社文庫)
前川 裕
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本作の魅力でまずいちばんに挙げないといけないのは、黒澤清監督の魅力に溢れまくっていることですね。

黒澤監督のうまさと言えば、日常の中でじわじわと違和感(恐怖)を見せることと、陰影のある画作りです。

ふつうの日常生活でも「あれ、これなんか変だぞ」という違和感があり、「それ」がじわじわと押し寄せてくる……これは映画でしかできないおもしろさです。

「暗がり」の作りかたがとにかくうまく、それは明るい場所とのコントラストのおかげで、より恐怖を生み出しています。
主人公が女性を尋問するときの影の変化、トンネルという場所を生かしての「あの顔」にはゾクゾクしっぱなしでした。

黒澤清やばい影の演出<「暗がり」の演出が怖い!

また、黒澤清監督作品は暗がりのシーンが怖い一方で、明るい場所でも怖いというのも特徴。
無駄に画面を暗くして怖がらせようとする凡百のホラー映画とは、わけが違うのです。

今回は、ドローンによる撮影が効果的に使われているのもよかったですね。
クレーン撮影は場所を「俯瞰」してみせる方法として有用ですが、ドローンだと手軽にさらに高いところから俯瞰できるのだと思い知りました。


キャストもベテランが勢ぞろいしていますが、中でも香川照之は素晴らしい!
もうこの映画を観たあとには心底お近づきになりたくない!
この「有名キャストの怪物化」は『ディストラクション・ベイビーズ』の柳楽優弥、『ヒメアノ~ル』の森田剛に迫ると言えるほど。2016年はこの手の映画がすごい!

ソロモンの偽証』でデビューした藤野涼子も見逃せませんね。
今回は脇役ながら重要な役。それに見合った存在感をみせてくれました。

クリーピー このふたりの関係にも注目<このふたりの「関係性」にも注目です。

本作で描かれていることのひとつに、「ご近所づきあいをしてしまう」という人間の特性があります。
香川照之が演じている男は、ずれた言動しまくり、ずっと真っ黒のシャツと半ズボン姿というどう考えてもヤバいやつ。主人公はこの隣人をしっかりと嫌っていたはずなのに、帰り道で目が合うと「笑ってしまう」のです。
ヤバいやつだと思っても、ご近所にいる以上には「何かの関係性を保っていなくてはならない」。この人間の行動こそが、怖いのです。


さてさて、本作の欠点はものごっつはっきりしています。
それはリアリティのことを考えるとツッコミどころ満載であること。
「なんでそんな行動するねん」「危機感なさすぎ」「警察は無能すぎるだろ」など、バリエーション豊かなツッコミどころは、人によってはイライラすること必至です。

ヤバい隣人に否応無しに振り回されてしまう、なぜか隣人の思う通りになってしまう、ということも本作の魅力ではあると思うのですが……これはさすがに許容範囲を超えてご都合主義っぽさを感じてしまいました。

そんなわけで、本作はヤバい隣人に振り回される寓話というか、ファンタジーとして観るのが正しいでしょう。
隣人に都合が良すぎる事態が起こるのも、彼には神がかったミラクルラッキーが備わっていると思えば、恐ろしく感じられるかもしれませんよ?(疑問系)

また、上映時間が2時間10分と長めなのも欠点ですね。
個人的には黒澤監督の演出と役者の演技のおかげでまったく退屈しなかったのですが、冗長に感じる人も少なくないでしょう。


あとね、現在『10クローバーフィールド・レーン』の予告とポスターがネタバレということで炎上していますが、本作もたいがい予告とポスターに書いてある文面でネタバレしていると思う(ていうかサブタイトルも……)。

あの中盤の娘の「あの人~」のセリフが放たれたとき、自分が観た回ではお客から「えっ」っていう声が漏れたんですよね。
自分はポスターでそのセリフを知っていたから、その「えっ」を堪能できなかったよ!ちくしょう!
あの言葉は衝撃的ですから、それで人目を引こうとするのもわかるのですが……あの「認識していた世界が変わる瞬間」が体験できないのは残念です。
広報担当者には(マジで)しっかりネタバレのない仕事をしてほしいですね。


本作『クリーピー』が気に入った人にオススメしたいのは、同じく黒澤監督作品の『キュア』です。

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『クリーピー』が香川照之が近づくだけで怖い映画なら、こちらは役所広司がメシを食うだけで怖い映画。
その犯人像には、『クリーピー』とは別ベクトルの「何か」を感じられることでしょう。


『クリーピー』はG(全年齢)指定とは思えないほどの猟奇的なシーンもあり、本気で怖い、大人向けのスリラーです。
ぜひ、「覚悟して」ご覧ください。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-06-23 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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『サブイボマスク』ファンキー加藤でなければありえない秀作だ!(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はサブイボマスクです。


個人的お気に入り度:8/10

一言感想:心から応援したい映画だった

あらすじ


地方都市・道半町は消滅可能性都市に認定された。
その商店街で育った春雄(ファンキー加藤)は、シャッター通りと化した商店街を盛り上げようとライブを開く。
そんな彼を応援するのは弟同然の自閉症の青年の権助(小池徹平)と、元カノのシングルマザーの雪(平愛梨)だった。
やがて春雄は、覆面レスラーだった父の形見であるマスクをかぶって謎のシンガー、サブイボマスクとして活動することになり……。




オススメです(マジ)。

もう本作『サブイボマスク』を語る前に、主演を務めたファンキー加藤によるアンタッチャブルの柴田の嫁とのW不倫報道について触れないわけにはいけないですよね。
この映画の公開日(6月11日)からわずか4日前(6月7日)に判明するというタイムリーさは、ちょっとだけ話題になりました(舞台挨拶で触れなければならないなど)。

あれから2週間が経過し、世間的には半ば忘れられている、下手すればこの映画も忘れられている予感がしたので、以下の記事を書きました。
<W不倫を知ってこそ『サブイボマスク』は秀作!アモーレ(愛する人)が満載の5つの魅力とは? | シネマズ by 松竹>

なんか触れちゃいけない黒歴史を掘り返しているようで申し訳ないのですが、マジで本作はW不倫報道を知ってこそおもしろい映画だったんだよ!
ファンキー加藤の(悪いところも含めた)人間性が凝縮されている主人公のキャラクターは、それだけで(いろんな意味で)観ていて楽しいのです。


※脚本家の一雫ライオンさん、なんかすみません。


でも本当、この映画はおもしろいんだ。
間抜けな人たちによるコメディとしても、逆境からの脱出を図る人間ドラマとしても、そしてボンクラでウザい主人公の成長物語としても……計算された脚本とキャストの熱演により、かなり見ごたえのある作品に仕上がっているのです。

豪華キャストのすべてがすんばらしいんですが、とくにファンキー加藤と小池徹平の演技は最高ですね。
ファンキー加藤はこんなにも「泣ける」演技ができる人だとは思っていなかったし、小池徹平は自閉症の青年を体全体を使って演じています。

このカットは泣けるサブイボマスク<このふたりは本当の兄弟のようで……。

この自閉症の青年は、脚本家の一雫ライオンさんの弟(実際に自閉症である)がモデルなのだとか。
キャラの描きかたはとことん愛おしく、また尊いものでした。

「過去」にあたるシーンをアニメーションで描いていたのもよかったですね。
ウザいほど明るい性格の主人公ですから、その辛い過去をみんながニコニコしているコミカルなアニメで描く、というのは「辛い思い出を明るいものに変えてしまう」という意味に感じ取れるのです。

※アニメはこんなビジュアルです。

動画共有サイトなどのネット文化を、地域復興の道具として用いているのもいい。
これにより、寂れた場所に人が集まっていくという、様子にも説得力を持たせています。

主人公がさんざん言われてしまう「どうせ(この場所を)盛り上げることなんて無理だよ」は「確かにそりゃそうだな」と思われる無理難題です。
それを主人公だけでなく、周りの協力により達成しようとする……逆境に立ち向かうこの物語は、素晴らしい精神性を持っているではありませんか!


本作の難点は、あまりにヒットしていないために、公開2週目で多くの劇場で1回きりの上映になっている、土曜日には上映終了していることですね。
ヤバい!いまから紹介しても観るのが難しいじゃん!
今週金曜日がラストチャンスかもしれない(わりとマジ)なので、ぜひ観に行こうではありませんか!

多少汚い言葉遣いはありますが、本作の物語は子どもにもわかりやすく、厳しい状況にさらされた女性の目線で語るというフェミニズムにも溢れています。
冗談抜きで、老若男女が楽しめる映画なのです!


あと、どうしても応援したくなるのは、製作会社のDLEですね。
最近では『珍遊記』『天才バカヴォン』という、同じく攻めた企画をして盛大にコケた作品があるのですから……

珍遊記 [DVD] 天才バカヴォン~蘇るフランダースの犬 ~ Blu-ray豪華版<どっちも楽しい映画なんだけどね。

あと峯岸みなみ主演の『女子高』は存在すら知らなかったよ……。

女子高 [DVD]<DLEは共同製作として名を連ねています。

さらに現在(6月上旬)、HIP HOPアイドルユニットのリリカルスクールが主演を務めた『リリカルスクールの未知との遭遇』が公開中です。本当に応援したくなるな!
自分はDLEの大ファンになりました(皮肉はいっさいなしで)。


W不倫のことを忘れても、いや覚えていたほうがおもしろいんですから、ぜひ劇場へどうぞ。
何より……これほど「応援したい」と思った映画はなかなかないんですから。
ほらそこ、この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞の有力候補とか言わない!自分もそう思うけど。


以下、中盤がネタバレです↓ 観ている人が少ないと思うので、今回は結末やらは書きません。でも十分ネタバレと言えることを書いているので、なるべく未見の方はお控えください。

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2016-06-21 : 映画感想 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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『貞子vs伽椰子』最強ギャグホラー映画がここに誕生!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は貞子 vs 伽椰子です。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:白石監督はあたまおかしい(超褒めてる)

あらすじ


貞子と伽倻子を戦わせて、『リング』と『呪怨』の両方をほどよく冒涜する話。




最高です!

もうね、細かいことはどうでもいい。
本作のすばらしいところは以下にまとめました。ネタバレはありません!
<『貞子vs伽椰子』は世界中を幸せにする傑作だった!必見である15の理由を全力で語る! | シネマズ by 松竹>

ようするに、
・観る前のネタバレは厳禁だ!
・エンドロールの最後までしっかり観よう!
・観終わった後に周りの観客の幸せそうな顔を見よう!

これだけ知っていたらいーんです!

正直に言うと不満もあるんですよ。
対決のための布石を張りまくる展開はやや間延びしているし、「さっさと逃げろよバカ」というツッコミどころが無尽蔵に押し寄せてくるのはもうちょっとどうにかしてほしかったです。
格調高さなんていっさいない、安直なお化け屋敷映画と言っていいでしょう。

でもそれでもいいんだよ!
俺が観たかったのは!
「今度の貞子は新たなる能力を使うんだぜ!」「伽倻子は俊雄とタッグを組むんだぜ!」な、男の子が話す「どっちが強い議論」を具現化してくれたことなんですよ!

ジョジョのどっちが強いジョジョ6部でもこんなセリフがあったよね。画像出典はこちら

もうワクワクしてしょうがないのは、公式サイトに貞子と伽倻子の能力パラメーターが載っていることですね。

貞子の能力値
公式サイトの「作品情報」に載っているよ!

ありがとう・・・ありがとう・・・。
観たかったのは、こういうのだったんだよ!

※以下は試写で見たときの興奮です。




まあ何より、本作の最大の魅力は腹筋が締めつけられて呼吸困難になるほど笑えることですよ!
「ヒィwヒイw」と声が出まくって周りに迷惑かと思ったけど、もうこの映画はこれでいいと思う。ぜひジャンジャン笑いましょう。

この「いい意味で酷いホラーシーンを観てニコニコできてしょうがない」というのは、『スペル』や『ピラニア3D』に匹敵、いやそれを超えていました。

スペル [DVD] ピラニア Blu-ray<どちらもニコニコできます。

あ、そうそう「ホラーなのに笑える(笑うしかない)」ということを聞いて、あのスットコドッコイな大駄作『貞子3D』を思い浮かべる方も多いでしょう。

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※アマゾンレビューは大炎上。

レビューはこちら↓
「ループ」を待っていた結果がこれだよ!「貞子3D」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
オチなしヤマなしイミなし 映画「貞子3D2」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

でも今回は映画としてのクオリティは高く、ちゃんと真面目に怖いシーンもあるのです!
『貞子3D』『貞子3D2』のお話のほうはトイレの紙よりうっすいものでしたが、今回は「貞子と伽倻子が戦う」までの過程に十分に説得力を持たせています。
貞子3Dなんかと比べると月とスッポンなんてもんじゃないよ!


いやーしかし、白石晃士監督はあたまがおかしいですね(超褒めてる)!
あのラストのアイデアもそうなんですが、佐津川愛美に必然性のない酷い目に合わせるとか、ほんとうにちょっとどうかしているよ!

右の子は酷い目にあいます<右の女の子は合法的にセクハラ&パワハラを受けます。

佐津川さんは『ヒメアノ~ル』に続き体を張りまくるすばらしい女優さんですね。これからも応援します。


ついでなので、白石監督のあたまがおかしい例をひとつ紹介しますね。
『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-01恐怖降臨!コックリさん』では、あたまのネジが全部吹き飛んだような迷(名)言が飛び出したりするのです。

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予告編でも以下のセリフが確認できます。
(コックリさんに向かって)「コックリのク◯野郎!」
「ケンカはなあ、全部同じだ。押し付けられたルールで勝てるか!ルールは自分で作るんだよ!」(コックリさんのルールを無視)



そして「コックリの野郎てめぇできるもんなら呪ってみろよ!俺がボコボコにしてやっからよ」
とまで言いいます。基本的に物理攻撃で幽霊に立ち向かうとかとんでもないよね!(笑顔)


なお、『リング』『呪怨』シリーズを観ていなくてもまったく問題なく楽しめますが、観ていると本作が両シリーズをいかにほどよく冒涜しているかがわかってより楽しいと思う(でもちゃんとリスペクトもあるよ)。
時間がない方でしたら、『リング(1作目)』と『呪怨(オリジナルビデオ版)』だけでも観てみるのをおすすめします。

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※両シリーズでもっとも怖いのは、この原点の2本だと思う。


まあぶっちゃけ、「2大ホラーキャラが対決」以外には深みもなんもないので、冷静に考えれば6点くらいな映画のような気がします(え?)
それでも自分は「みんなが幸せになる映画を作ってくれてありがとう」と心から感謝を告げる気持ちになったのですから・・・これを傑作と言わずして、何が傑作だと言うのでしょうか。

しかも7月2日(土)には『トイレの花子さん新章~花子VSヨースケ~』が公開されるんですって!
こんなに幸せなことがいくつも起きていいんでしょうか?(ハンターハンターのコムギっぽく)

とにかくオススメ。ていうか絶対観ろ。
誰かといっしょに観れば、その後の会話は花が咲きまくるどころか満開になるでしょう。

聞いた話によると4D(いろいろな効果があるアトラクション的上映方式)上映と相性がいいそうですぜ!こちらも要チェックだ!



以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ でもラストのアレの明言だけは避けます。『リング(1作目)』の設定、ハリウッド版『ザ・リング』の展開がネタバレしているのでご注意を。

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2016-06-18 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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『貞子VS伽倻子』は絶対に観ろよ! 映画ニュース&ブログ感想のまとめ(6月11日~6月17日)

6月25日(土)公開の映画『ふきげんな過去』を試写で観ました。

映画『ふきげんな過去』 オフィシャルブック

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※現代の日本が舞台なのに、なぜかワニが重要なモチーフになる映画です。

ジ、エクストリーム、スキヤキ』の監督最新作で、端的に感想を言えば「何も起こらないのにすっげーおもしれえ!」ということ。
会話の端々から「過去」と「理由」を推理するミステリーにして人間ドラマ。是枝裕和監督作品にちょっとヘンテコな要素を足したような感じなのです。
二階堂ふみと小泉今日子のファンは超必見!あと高良健吾が超変な役(褒め言葉)!あと子役が超かわいい!幅広い方にオススメします。

そんなわけで、以下1週間ぶんの映画ニュースとブログ記事です。

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2016-06-17 : 映画ニュース&ブログ記事特集 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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『エクス・マキナ』人工知能と女のサガとは?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はエクス・マキナ(2015)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:人工知能も、人間も、こわい。

あらすじ


世界最大手の検索エンジンで知られるブルーブック社で、プログラマーとして働くケイレブ(ドーナル・グリーソン)は社内抽選に当選し、社長のネイサン(オスカー・アイザック)が所有する山間の別荘に滞在することになる。
そこで待っていたのは、人工知能を持った女性型ロボットのエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)だった。




2007年の日本のCGアニメとは無関係です。

28日後……』『わたしを離さないで』などで脚本を務めたアレックス・ガーランドの初監督作品です。
本作は「さすがはアカデミー視覚効果賞作品!」と実感できるヴィジュアルが、売りのひとつになっています。

エクスマキナの画像1

エクスマキナのビジュアル2

舞台がほぼ部屋の中かノルウェーの自然しかないという制約で……ここまで視覚で魅せてくれたというだけでも、賞賛に値します。
自然の中にポツンと人工的な部屋があるというのはそれだけで特徴的ですし、「牢獄」のような閉鎖空間でのサスペンスを作ることに成功しています。


物語は、人工知能と人間との関係性を描き、人工知能の「意識」について哲学的に語り合うというものです。
すでに多くのSFで取り上げられた題材ではあるのですが……本作ではそこにジェンダー論(もしくは性の価値観)が組み込まれているのがユニークです。

ロボットが「女性型」であることが大きな焦点となり、人工知能が女性であるがゆえの「ある気づき」が与えられるのです。
これ以上はネタバレなしではとても書けませんが、こうした「SF的考察」が好きな方にとって、たまらない1本になるのではないでしょうか。

追記:人間映画Wikipediaの成宮秋祥さんによるラジオを公開しました。


※途中からネタバレ全開なのでご注意を(ここからネタバレするという警告あり)


特筆すべきはキャスト陣。
主演のドーナル・グリーソンオスカー・アイザックって、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のハックス将軍ポー・ダメロンじゃん! もはや正反対のキャラになっているじゃん!

ハックス将軍 ハックス将軍とは思えない
ポー・ダメロン ポー・ダメロンとは思えない
※左と右は同じ人ですよ。画像は予告編とこちらこちらより
※ていうか下段の人はX-MENアポカリプス、エンジェル・ウォーズ、ドライヴ、ロビンフッド、インサイドルーウィンデイヴィス、アメリカンドリーマーとかにも出ていました
※右下のメガネハゲヒゲはとても37歳には見えません。

しかも、美女ロボットのエヴァを演じるのは、『リリーのすべて』でアカデミー助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデルです。

エクスマキナアリシアヴィキャンデル<お美しゅうございます。

この時点で超豪華なのですが、注目株はハウスメイドのキョウコを演じた、日系イギリス人の女優ソノヤ・ミズノですね。たいへんえっちでとってもけしからんとおもいます(キモい笑顔で)


※ソノヤさんが出演されているミュージックビデオ
※なんでこの人が日本の公式サイトで紹介されていないの?

ちなみに登場人物はほぼこの4人しかいません
少数精鋭の俳優たちによる演技合戦も、本作の見どころです。


難点は、哲学的な会話劇がおもとなる作品であるため、「人工知能の意思」というSF的な考察に興味がないと退屈な作品になってしまうことでしょうか。
劇的な展開はあまりなく、有り体に言って(ビジュアル以外は)地味な作品ではあります。
her/世界でひとつの彼女』がダメだった方は、本作も気にいらないのかもしれません。

個人的にはお美しい女性ロボットをもっと見たいのに、メガネハゲチビ(しかも性格も超悪い)が画面に出ずっぱりなのが何かイヤです(笑)。

しかし、クライマックスでは、「いままでの哲学的な話題があってこそ」の展開が訪れます。
これまでの会話をよりよく聞いていたほうが、よりラストに向けてゾクゾクする快感を味わえるでしょう。
体調のいいときに劇場に足を運び、会話の隅々までよく考えてみることをおすすめします。

つねに不安を煽るかのような音楽も、すさまじいもインパクトを届けてくれました。
なるべく、音響環境のいい劇場で観たほうがよいでしょう。

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ちなみに、エクス・マキナとは「機械仕掛けの」という意味のラテン語です。

演劇用語にはデウス・エクス・マキナという「混乱した状況に一石を投じて物語を収束させる」という手法があります。
それは「神様が出てきてすべて解決!」というようなご都合主義的でもあり、しばしば批判の対象になるのだそうです。
(マンガの『からくりサーカス』では、いままでの生活が一気にひっくり返ったようなとんでもない事態が起きたときに「デウス・エクス・マキナ」の名を冠する章が展開されたりもしていました)

では、『エクス・マキナ』は、そんなご都合主義の「神様が出てきて万事解決!」な展開だったでしょうか?
それをいろいろと考えてみるのも、また一興です。


そのほかで知っておくといいのは、ギリシア神話の神のプロメテウス
プロメテウスは人類に神の火を与えて「進化」をさせており、その名は「先見の明を持つ者」を意味しています。

抽象画家のジャクソン・ポロックのことも知っておくといいでしょう。
ポスター ジャクソン ポロック Convergence
※ジャクソン・ポロックはこんなアクション・ペインティングをする方です。なにこれ。


なお、そこはことなく香るエロス、性的な話題もあり、R15+指定は十分納得できるものになっているのでご注意を。

『her 世界でただひとつの彼女』のほか、『トランセンデンス』『イミテーション・ゲーム』『神様メール』などの作品を合わせて観ると、より楽しめるのではないでしょうか。
内容についてあれこれ語り合いたい、SFファンは是が非でも観ましょう。オススメします。

で……こんなにおもしろい映画なのに上映劇場が12館しかない(6月11日公開は10館)のはなぜなんですかね。増えろよ(切実)。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
ある意味観る前のネタバレがこれ以上なく厳禁な内容だから、未見の方はマジで読まないで!

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2016-06-15 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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『マネーモンスター』「サカジャヴィア」の意味とは?(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はマネーモンスターです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:気軽にハラハラできたらそれでいい!

あらすじ


「マネーモンスター」は、リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組だった。
ゲイツはいつもどおりアドリブ全開で生放送に臨むが、突如として拳銃と爆弾を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)に番組をジャックされてしまう。
リーはディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を仰ぎ、この窮地を脱しようとするが……




ハリウッドきっての大女優ジョディ・フォスターが監督を務めた作品です。
その監督作『リトルマン・テイト』『それでも、愛してる』では主演も務めていましたが、今回は自身の出演はなし。
そのぶん、映画監督としての力量が存分にあらわれた作品になったといえるでしょう。

いやいや、驚きました。
こうした俳優・女優が監督を務める場合、その作家性が存分に表れた結果として、少々ひとりよがりな作品になってしまうこともままあるのですが……本作『マネーモンスター』は誰にでも楽しめる娯楽サスペンスに仕上がっていたのですから。

語り口が軽妙で、序盤からグイグイと物語に引き込んでくれます。
ぶっちゃけると、本作は「財テク番組が爆弾を持った男にジャックされた!これからどうなるんだ!というワクワクを期待すればいいよ」ということだけが主張できればそれでいいです。

(ほぼ)リアルタイムでハラハラする犯罪の一部始終を見届けられるという点において、『フォーン・ブース』を思い出す人も多いのではないでしょうか。

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※『フォーン・ブース』は「公衆電話に閉じ込められた男の80分を追う」という単純明快すぎる作品です。

なお、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』などと同じく金融業界を舞台とした作品ですが、金融の知識はまったく必要がない作品になっています。

ジョディ・フォスター自身も「今回の映画で描きたかったのはキャラクターたちの葛藤や、人間同士の力学がどう変化するのかということ。だから金融や株といった要素は背景に過ぎない」と語っています
あくまで主となるのは人間の葛藤や行動が生み出すサスペンス。じつにわかりやすい作品なのです。


難点は、メインの物語がわかりやすく、語り口が軽妙な一方で、人物や企業の名前が少々ややこしいことでしょうか。
と言っても、以下だけを把握しておけばOKなので、慣れれば問題はないでしょう。
アイビス……大企業の名前
ウォルト・キャンビー……大企業アイビスのCEO。なぜかちょうど航空機に乗っていて連絡が取れない。
ダイアン……大企業アイビスの秘書

そのほかで知っておくといいのはアルゴリズム取引ですね(知らなくてもオープニングで説明されるので問題はないですが)。
プログラムにより自動的に株の売買の注文をしてくれるシステムのことで、これにより売買のスピードは速くなり、より複雑化していったのだそうです。


ちなみに、作中で「サカジャ(ガ)ヴィア」という言葉がよく出てくるのですが、これは白人に協力した有名なインディアンの女性の名前です。
いまは流通していない(コレクター用のみ)1ドル効果の肖像にも使われています。
Sacagaweadollar.png※出典はこちら
そのほか、(自分は観ていなかったのですが)『ナイト ミュージアム』シリーズにもサカジャヴィアは登場していたそうです。

けっきょくどういう意味でサカジャヴィアが使われていたのかは作中では示されていなかったのですが……おそらく、「ほどほどにしておけよ」という意味なのではないでしょうか。
なぜなら、サカジャヴィアは探検家としてはこれ以上なく偉大だったものの、政治の世界には向いていなかったうえに、婚約者に去られ、不動産への投資に失敗しまったという記録があるから。
このサカジャヴィアは「どんなに偉大でも、油断をすれば(投資で)失敗するぞ」という注意を促す文句なのかもしれませんね。


音楽の使い方もじつにうまい作品でした。

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決して主張しぎず、かつ重圧な音楽はサスペンスの緊張感を大いに高めてくれました。

あと、本作には不自然なまでに下ネタとエロ要素が込められています(おかげで日本ではPG12指定)。
話自体は子どもでも楽しめそうなのに、なんでこんなのを入れたんだろうと思っていたら、中盤にF◯CKINGと言わせまくりたかったからということで大いに納得した
本国では映画の中で2回以上FU◯Kと言われると、問答無用でR指定になるんですよね。
「どうせR指定になっちゃんだったら、下ネタとエロも入れておこうぜ!」な気概はステキですね(※想像です)

でもテレビに映る人物が放送禁止用語を言いまくり、不遜な発言しまくりなのはちょっと不自然と言えば不自然かも。
想像を働かせれば、その言動が後々裁判沙汰になったり、糾弾されることがわかりそうなもんですが……。
主人公も、(さんざん黙れとツッコまれているけど)めちゃくちゃな行動をしすぎですよね。

硬派なサスペンスと、この下ネタは少々食い合わせと言えるかもしれませんね。


そうそう、いまや都知事として失格どころか人間として大いに軽蔑されている舛添要一氏ですが、本作のある人物を舛添に置き換えると腹の底からザマミロ&スカッとサワヤカの笑いが出てしょうがねーぜッ!になると思う。
最近では「ある海外の勢力」から賄賂を受けていたんだってさ!逮捕されろよもう。


そんなわけで多少な不自然な点はあるものの、テレビ中継、ネット社会への皮肉、金融などの要素がうまく融合した優れた娯楽サスペンスでした。
上映時間が99分とコンパクトで、気軽に観られるのも長所ですね。
(下ネタ以外は)万人向けの1本として、大いにオススメします。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ストーリーをバラしておもしろいタイプの映画じゃないので、今回は短め。でもラストが存分にネタバレしています。

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2016-06-13 : 映画感想 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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『エクス・マキナ』はぜったいに見逃すな! 映画ニュース&ブログ感想のまとめ(6月4日~6月10日)

「映画館で観ないでどうするねん!」と思われがちな『ゼロ・グラビティ』を地上波放送で再び鑑賞しました。

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事前の解説で斎藤工さんから「部屋の中のハコで観てもいいということが、上映時にも言われていた(本当?)」というフォローがあったのがよかったですね。
確かにそうだった。さまざまなメタファーが効いているので、何度観ても楽しめる映画でしたね。

レビューはこちら↓
ここで生きる意味 「ゼロ・グラビティ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー 

あと、地球へ交信が届かない主人公の絶望的な状況→『高台家の人々』のCMで「テレパスでつながる妄想女子!」の流れがすごすぎた。綾瀬はるかが宇宙に行けばよかったんや!

地上波で観た人たちが「CM邪魔だな」「大画面で観たいな」と思って、それで映画館に少しでも足を運ぶようになってくれればいいですね。

そんなわけで、以下↓今週の映画ニュースとブログ記事のまとめです。

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2016-06-11 : 映画ニュース&ブログ記事特集 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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映画版『植物図鑑』働く女性は料理男子を捕まえよう!(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は植物図鑑 運命の恋、ひろいましたです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:※ただイケだけど、それだけじゃなかった

あらすじ


不動産会社で働くOLのさやか(高畑充希)は、ある日、マンションの前で行き倒れていた青年の樹(岩田剛典)と出会う。
樹は半年間という期限付きでさやかの家で暮らすことになり、野草に詳しい彼は毎日のように料理ふるまってくれるのだが……。




えーとね、もうしつこいほど言ってきましたが、自分は※ただしイケメンに限る作品が、好きではありません。

※ただイケの例↓
<レビューはこちら>

好きじゃない理由は「こんな男いねえよ」「女はただ振り回されるだけかよ」「こんな奴の悩みとか興味ねえよ」というトリプルコンボと思っていただければ幸いです。


※納得のご意見

で、本作『植物図鑑』は、いきなりイケメンがその辺に落ちていて、「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」「咬みません。躾のできた良い子です」とほざくという、ブサイクだったら即通報案件なんですよ。
これも「こんなん※ただイケだろうが!ふざけんじゃねえ!」と思いながら観に行ったんですね(←こういうこと書くからモテないんだと思う)。

そんな偏見を持っていてすみませんでした(また『ズートピア』を観なきゃ!)

確かに導入部分は※ただイケでしたが、その後はしっかり男が「中身」のイケメンっぷりを見せてくれました!
そして、社会で生きる女性の成長が描かれた作品だったのです。
観る前に「私は可哀想な女性→そんなときにイケメンを拾ってハッピー→以上な内容なんだろうな〜このダボハゼが」とか勝手に思い込んでいて本当にごめんなさい!
映画は観てみるまではわからない!これは良作だったよ!


※『オオカミ少女』じゃなくてよかった!投票ありがとうございました!


いろいろ褒めるポイントが多いのですが、何よりよかったのは、原作小説を尊重した「食事」の描写でした。

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作中では、イケメンが土手のそばに生えた野草から「材料費ただ」の食事を作ってくれて、それがとにかくおいしそうに撮られているため、「自分もつくってみたいな」と思えます。ていうか腹が減ります
※こだわりもしっかりあります↓
<「料理を美味しく見せる方法は色々考えた」、「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」三木康一郎監督インタビュー | シネマズ by 松竹>


社会人女性の日常がしっかり描かれていたのもよかったですね。
不動産会社でのお客さんとのやりとり、職場の先輩の対応にも、「成長」のきざしがしっかり見えるようになっています。
主人公の女性はちょっとズレたところがあり、自分のおかれた状況にぶつくさ文句を言ってばかりで、情緒不安定なところがある……「だからでこそ」の展開があったのにも、感動しました。
(この彼女のズレたところは、見ず知らずの男性を泊めてしまうことの説明にもなっている)

こういう作品って、ただただ「こういう恋をしてみたいな☆」という「憧れ」だけで終わってしまう場合も多いのですが、『植物図鑑』はひとりでがんばっている女性にエールを送っている内容になっているのです。
この物語は、じつは「イケメンがいないとき」のほうが重要になっていると言っても過言ではありません。
「ありえない出会い」が描かれているのに、直面する「社会の現実」にシフトしていく構成は、とてもクレバーです。

男性が観ても、職場での女性の接し方にいろいろと学べることが多いのではないでしょうか。
お世辞抜きで、これは男女とともにオススメできます。


そういや、本作のイケメンは、毎日の料理を作ってくれるけど、その日暮らしのフリーターだったりします。
この映画は年収大事!超大事!という女性の価値観を揺るがし、男性が主夫を務めてもいいということを後押ししてくれるかもしれない

しかも女性のほうは、イケメンの顔などではなく、「彼本人ではなく、料理から好きになっている」という描写があるんですよね。
ともすれば、この映画は「料理は女性が惚れる要素になっているんだよ!」「だから男どんどんも料理を作ってみたらいいよ!」と提案しているとも言える。これは※ただイケじゃない!素晴らしい!


こういう作品は、メインの中高生の興味を煽るために、アイドルを起用、突飛な設定にしている(しなければいけない)ところも大きいのでしょう。
なにせ、『植物図鑑』の原作小説の「概要」に書かれたのは、「男の子に美少女が落ちてくるなら女の子にもイケメンが落ちてきて何が悪い!」なんですよ。潔いというかカッコイイとまで思ってしまった。確かに悪くないよ!ド正論だよ!

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※空から女の子が落ちてくる作品にはこんなのがあります。
※参考→空から落ちてくる女の子一覧 - ニコニコ大百科

これだけだどうっすい作品になりそうなのですが、卓越した演出と、細かい配慮のある脚本で、大人の鑑賞に堪えうる作品に仕上げてくれた、というのが嬉しいですね。
「私ってかわいそう〜」「イケメンが落ちていた」を強調する予告編には心底ウンザリしていましたが、その描写以降はめっちゃしっかりしているのです。


また、触れておかなければならないのは、高畑充希さんの演技がすんばらしいこと。
普段は情緒不安定っぽさがありながらも、ときおり出す怒りや寂しさなどの複雑な感情を、ほんのすこしの表情の変化で、見事に表現しています。

高畑充希 カレンダー 2015年 高畑充希 2016年 カレンダー 壁掛け B2<かわいいだけじゃありません。

岩田剛典はまあイケメンなのでどうでもいいや(←暴言)


気になったのは、主人公がいつでもバッチリメイクを決めていることかな(メイク自体はナチュラルでいいけど)。
高畑充希のスッピンが見たい寝起きでもぜんぜん野暮ったさがなく「きれい」なのは、かえって違和感があります。
三木康一郎監督のことは好きなんだけど、『のぞきめ』でも板野友美がADなのにメイクバッチリ&つけ爪までしっかりつけていたのは違和感バリバリだったなあ。

あと、後半のイケメンの行動や言動に「さすがにそれはどうだろう」と思うところが多かったのも事実。
主人公がまっとうなツッコミを入れてくれるのはよかったのですが、もう少し納得できるように工夫をしてほしかったです。


そんなわけで気になるところはあるものの、イケメンとのラブストーリーを観たい女性にはぜひオススメ。
男性は「彼女に料理を作ってあげようかな」と思うことができるので、デートにももってこいでしょう。
性描写はほとんどないので、お子様にも安心です(物語はわかりやすいので、小さい子でもイケる)。

何よりも、働く女性が元気をもらえる物語なので、仕事に悩みを抱えている方にこそ観てほしいですね。
そして観た後は、(イケメンに限らず)料理ができる男性を捕まえたい!ときっと思えることでしょう。

あ、でも同時期に『デッドプール』と『ヒメアノ~ル』という素敵なラブストーリーも公開されているので、こちらもぜひ選択肢に入れてみてくださいね☆(嘘は言っていない)

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-06-09 : 映画感想 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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『神様メール』聖書の神はク◯親父(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想は神様メール(英題:THE BRAND NEW TESTAMENT)です。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:神様なんて知るか!

あらすじ


ベルギーのブリュッセルに住む神(ブノワ・ポールヴールド)は、自分の部屋に置かれたパソコンを駆使し、世界に災害や不幸を起こしては楽しんでいた。
そんな父親に怒りを覚える10歳の娘エア(ピリ・グロワーヌ)は、パソコン室に忍び込んで、人間たちの余命を知らせるメールを一斉送信してしまう。
さらに家出をして、「新・新約聖書」を作る旅に出かけるエアだったが……。




ベルギーの映画監督ジャコ・ヴァン・ドルマルの最新作です。
世界でカルトな人気を誇っているのに、いまだ4作品しか手がけていないんですよね。もっと撮ってくれよ!

トト・ザ・ヒーロー [DVD] 八日目 [DVD] ミスター・ノーバディ [DVD]<寡作な監督なのです。

レビューはこちらで↓
自分の人生に思いを馳せて・・・「トト・ザ・ヒーロー」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
ダウン症の青年と、悲しい中年の物語 映画「八日目」ネタバレレビュー
どの人生も、同等の価値がある。「ミスター・ノーバディ」ネタバレレビュー

ジャコ監督の特徴といえば、作品のテーマは「運命(に翻弄される人生)」という点で一貫していること。
今回は神様を出しちゃうという、さらに高次元な領域で、「運命」にまつわるメッセージを描いていました。


初めに言っておきますと、本作はかなーり好き嫌いが分かれます
公式サイトや予告編では、「女の子のファンタジックなアドベンチャー!」な印象ももちますが、実際はク◯みたいな神様がゲス行為をしまくり、性描写がありまくりです。

本作で登場する神様は、見た目がハゲてて臭そうなだけでなく、人間たちに災いを運びまくり、娘に暴力をふるうという中身までもク◯親父となっております。

Le Tout Nouveau Testament<こんな神様見たことねえ。

で、その娘の10歳の女の子は家出をして、12人の「使徒」を探す旅に出るのですが、出会う人たちのほとんどが性的なことを話します

おかげさまで本作はPG12指定。お子様にはまったくオススメできないのでした。

あと、キリスト教にケンカを売りまくっていることも素敵ですね。
一神教の人にとっては神様をク◯親父と書くだけでもアレだろ!しかも劇中ではもっとヤバいことをディスっているよ!怒られないのかこれ!(たぶんマジで怒られている)

さらに、世界一のベストセラー「聖書」に照らし合わせると、かなり皮肉に満ちていることがわかるんですよね。


本作の原題は『新・新約聖書』で、物語も「新しい聖書を作ってしまおう!」というものなんです。

予備知識として知っておくといいのは、旧約聖書は「バベルの塔」や「ノアの箱船」や「モーセの十戒」に代表されるように、「神の怒り」が多く記されていること。
新約聖書は「布教の様子」「教義の確立過程」などが記され、「救済」がおもになっていことです。

で、この映画では、新約聖書は「正しい」ことが書かれているはずなのに、そこに居座っている神様はク◯親父だった、というふうになっているわけ。
だから、さらに新しい聖書を作ろうとする、というのがブラック・ユーモアになっているのです。

このあたり+さらなる豆知識を、人間映画Wikipediaと呼ばれる成宮秋祥さんに40分以上熱くパッションを込めて語っていただいたので、ぜひお聞きください↓



※ストーリー上のネタバレは控えめですが、作中の小ネタはネタバレしまくっているのでご注意を。
「短く話せよ」と再三言っていたのに、成宮さんは聞いちゃくれなかった(愚痴)。

なるほど、いまの人は知らないでしょうが、名女優のカトリーヌ・ドヌーヴが出演されていることも魅力のひとつですね。

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ラジオでも話されていますが、本作の「人間たちが余命を知ってしまう」という物語は、星新一の短編小説『生活維持省』、それを盗作した疑いがあった漫画『イキガミ』に似ていますね。

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『神様メール』においては、こうして余命を知ってしまうということが、決して悪いことではない、と描かれているのがおもしろいですね。

そこには、人間はいずれ死ぬからでこそ、限られた時間でしたいことができる、有限な時間を大切に思える、というメッセージが込められているかのようです。


本作の大きな弱点は、登場人物の多くが奇人変人すぎてちょっと感情移入がしにくいことでしょうか。
こいつら、自分の死期を知ってしまった後、斜め上の行動をしまくるんです。

しかも基本的にコミュニケーションが「セックスが先に来る」感じなんです。
これもなかなか日本人には共感しにくいところがあります。

これはいろいろな(性への)興味があるという「多様性」を示しています(それは決して否定することではない)し、そのエキセントリックさこそがおもしろいとも言えるので、批判するのもナンセンスなのですが……やはり拒否反応を示す方も多いのではないでしょうか。

個人的には、10歳の女の子が性的なことを(ナレーションで)話しまくるということに居心地の悪さを感じてしまいました。

女の子がさまざまな人物に出会っていく、という構成はやや着地点が見えづらく、ダレてしまう方も多いのかもしれません。


それでも、これは皮肉に満ちた、ブラックでユーモラスなファンタジー映画として存分にオススメします。
「キレイごとなんて大嫌い!」な捻くれ者こそ、きっと気にいるでしょう。

あと、本作はフェミニズムにあふれているほか、性にマイノリティな人(LGBT)にエールを送っている作品です。
(だって神様を亭主関白のク◯親父として描くんだもん)
男性が観れば女性を大切にしようと思い、女性が観れば「そうそう」と納得し、性にマイノリティ人は勇気をもらえるでしょう。

あとね、本作のオチがすっげえ大好きなんですよ。
もうね、ニコニコしたまま劇場を後にできたので大満足です。

エンドロールの最後にもおまけがありますので、お見逃しなく。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓

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2016-06-07 : 映画感想 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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映画版『ヒメアノ~ル』捕食される者たち(ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はヒメアノ~ルです。


個人的お気に入り度:9/10

一言感想:エグいけど、本当に観てよかった

あらすじ


平凡な毎日に焦りを感じながら、ビルの清掃のアルバイトをしている岡田(濱田岳)は、同僚の安藤(ムロツヨシ)から思いを寄せるカフェの店員ユカ(佐津川愛美)との恋のキューピッド役を頼まれる。
そのカフェで、岡田は同級生の森田(森田剛)と再会するが……。




※作中の「殺人鬼のルール」について追記しました。

観ろ

こうした暴力的なR15+指定の映画って、(たとえ自分がおもしろいと思っても)人におすすめすることは、ふつうははばかられるんですよ。
(例:『悪の教典』『ディストラクション・ベイビーズ』)

でもこの映画は違うんだ!
殺人場面は直接的で猟奇的だし、下手なホラー映画よりも怖いよ!
エロ要素も十分にあるよ!
ていうか18禁でもいいくらいに凶悪な演出まであったよ!
でもひとりでも多くの人に観て欲しいんだよ!

それがなんでかということは、以下にも書きました。
<『ヒメアノ〜ル』はいかに原作を改変して大傑作となったのか! 10の魅力を徹底解説! | シネマズ by 松竹>

本作は古谷実原作の同名漫画を原作としてるのですが、もう完璧と言えるまでにブラッシュアップされているので驚きました。


原作もダメ人間たちの日常と、「殺人をしなければならない」男の心理描写がすこぶるおもしろい作品だったのですが……その一方でエピソードが乱立されすぎて、ややまとまりのなさも感じてました。

これをそのまま実写映画化すると冗長な作品になってしまったでしょう。
だけど、映画ではエピソードをしっかり取捨選択し、さらに活躍の場を登場人物に与えています。
そして原作を超えたメッセージ性とラストの感動……この改変は、もう大・大・大正解であると断言できます

原作と映画の違いはいろいろあるのですが、もっとも大きな変更点だと感じたのは殺人鬼「森田」のキャラクターでした。
彼が「ふつうとは違う殺人への価値観を持っていること」は原作と映画で共通していますが……決定的に違うことは、原作は「殺人哲学」を語っていたのに、映画では「人生哲学」を説いていることです。

原作では殺人を「しなければならない」理由を淡々と語っていた森田でしたが、映画では(予告でも観られるとおり)「俺もお前も人生終わってんだよ。何も持っていないやつが底辺から抜け出せるわけがねえだろ」と「人生への諦め」を語っているのです。
(このことは、作中で大きな意味を持つようになります)

また、原作では「あんなにかわいい女の子が、あんなに冴えない男の子に惚れるなんて都合がよすぎね?」という批判もあるのですが、映画ではそこもある意味で納得できるようになっていましたね。いや、これもキツイんだけど……。


これまでダメ人間のダメなところを愛おしく描いていた吉田恵輔監督(脚本も兼任)でしたが……この『ヒメアノ~ル』でダメどころか狂っている殺人鬼を描くことで、ここまで凶悪になるとは思いもしませんでした。
振り返ってみれば、コメディであった『さんかく』もホラーかと思うくらいのヤンデレ描写があったし、基本的にどの作品でも登場人物を地獄に突き落とすようなキツい展開が多いんですよね。

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※じつは怖い展開もあるし、主人公を地獄に突き落とします。

ほかの吉田監督作品のレビューはこちらでどうぞ↓
映画「さんかく」の、強烈なさんかく関係
夢をあきらめられない人に 映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
ウザさ以上の愛情 映画「麦子さんと」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
それでもできること 実写映画版「銀の匙 Silver Spoon」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

観る前は「やさしい人間たちを描いてきた吉田監督と、凄惨な内容の『ヒメアノ~ル』って相性がいいのかな?」と疑問だったのですが、実際は化学反応が起きすぎでした
監督のファン、原作漫画のファンは女房を質に入れてでも観ることをおすすめします。


キャストの魅力にも触れずにはいられませんよね。
濱田岳はどっこからどう見てもイケていない童貞青年、佐津川愛美はカワイイけど微妙にアレっぷりを見せ、ムロツヨシは本気でキモい(褒めてる)しゃべりかたをして、そして森田剛は観た後にはお近づきになりたくなくなる

このキャストの「ヤバすぎるサイコキラーっぽさを見て、役者の印象そのものがかわってしまう」というのは、『冷たい熱帯魚』のでんでん、『凶悪』のピエール瀧と同等か、それを超えるレベルでした。
幼稚園児5人と「フクジンプイプイ」とか歌っていた森田剛はもういない!

恋の400Mカレー<こんなこともあったんですよ。

あと、駒木根隆介&山田真歩のカップルは原作に似すぎである。
このふたりは『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』でも共演していましたね。


吉田監督には、ぜひ同じく古谷実の漫画『サルチネス』も映画化してほしいですね。


この作品は「ニートの主人公は妹想いだけど、ダメ人間すぎて周りに迷惑をかけまくる」という内容。
ラスト付近の伏線回収がお見事すぎる&大号泣必至の傑作なので、これも実写でぜひ観たいのです。

また、映画の『ヒメアノ~ル』が気に入った人には、その原作漫画はもちろん、『シガテラ』を読んでみることをおすすめします。
「ダメな青年が美女とお付き合いできる」「日常と狂気に満ちた犯罪が交錯する」などと、『ヒメアノ~ル』とけっこう共通点が多い作品なのです。


重ねて言いますが、本作は「よくR15+指定止まりで許されたな」と感じるほどにエグい内容でありながら、ひとりでも多くの人に観てほしいです。
暴力的な描写が苦手だ、という方にとっても……それは作品に必要なものであると、きっと気づけるはずですから。

coco映画レビューで96%という評価は伊達ではありません。
今年ベスト級の映画を期待しても、きっと裏切られないでしょう。
超・超・超オススメです!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ほんのすこしだけ原作との違いにも触れているのご注意を(映画とは違う、原作のオチなどは書いていません)

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2016-06-05 : 映画感想 : コメント : 11 : トラックバック : 0
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『デッドプール』大ヒットおめでとう! 映画ニュース&ブログ感想のまとめ(5月28日~6月3日)

7月22日(金)公開の『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』を試写で観ました。

「ローマの休日」を仕掛けた男 - 不屈の映画人ダルトン・トランボ
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本作は『ローマの休日』の「本当の」脚本家であったダルトン・トランボの伝記映画で、舞台は共産主義者を弾圧する風潮がまかり通っていた50年代のハリウッドです。
見た目に反してお堅い内容にあらず。家族の描き方は普遍的で、しかもめっちゃ笑えるのが素敵です。
当時の事情を知らなくてもわかりやすいので「ハリウッド内幕もの」の初心者にも超オススメしたい秀作でした。

しかし……当時の事情を知らないと楽しみにくい『ヘイル、シーザー!』よりも、こっちを先に公開してほしかったかなあ。『トランボ』を先に観ていると、『ヘイル、シーザー』がいかに皮肉に満ちているかがわかって5倍くらい楽しめると思う。
ちなみに、『トランボ』と『ウォルト・ディズニーの約束』は、けっこう共通点が多かったりしますよ。


↓以下、1週間ぶんの映画ニュースとブログ記事のまとめです。

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2016-06-04 : 映画ニュース&ブログ記事特集 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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『デッドプール』よかったねライアン・レイノルズ!(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はデッドプールです。


個人的お気に入り度:7/10

一言感想:もっとムチャクチャやってもいいのよ!

あらすじ


特殊部隊の傭兵だったウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、恋人のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)との結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、突如として末期ガンだと診断されてしまう。
ウェイドは、ガンを根治できる組織の情報を聞き、エイジャックスという男(エド・スクライン)から人体実験を受けるのだが……。




みんなが大好きなアメコミヒーロー「デッドプール(以下、デップー)」の、(マジで)待望の単独主演作品です。

Marvel Select Action Figure Deadpool<とってもカッコいいよね!

デップーの魅力といえば、以下のようなものです。
・基本的にふざけている
・ピーチクパーチク喋りながら戦う
・不死身
・一人称が「俺ちゃん」(原語では単に「I」)
・下ネタもグロも俺ちゃんバッチこい(おかげで本作はR15+指定だぜ!)
・自画自賛をしまくる(だけど不快じゃない)
いきなり読者(観客)に語りかけてくるというメタいことをする(これを「第四の壁を破る」と言う)

こんなヒーローはほかにいるでしょうか(いるわけない)。
その人気ぶりはすさまじく、全米のヒーローの人気投票ではスパイダーマンやキャプテン・アメリカを退け1位、子ども向けアニメ『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』でも1位を奪取するほどなのです。



ちなみに「デッドプール」の名前は、「知り合いや有名人のリストを作って、誰がいちばん先に死ぬかを賭ける」という不謹慎すぎるギャンブルを由来としています。
※『ダーティハリー5』の原題も『The Dead Pool』であるとご指摘を受けました。
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なお、「待望の」と書いたことには理由がありまして……じつはデップーは『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でも出演していたのです。

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しかしこの映画のデップーは、初めはしゃべりまくる原作コミック通りのキャラだったものの、その後はコミックとかけ離れた描写ばかりとなり、ファンから「こんなんデップーじゃないやい!」と猛烈に批判を浴びていたのです。

デッドプールウルヴァリン<こんな不気味なやつでした。画像出展はこちら

なお、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の劇中では一度も「デッドプール」という名前は出ておらず、彼は本名の「ウェイド・ウィルソン」または「ウェポンXI」という呼ばれ方をしているので、そもそもデップーであると認識しないほうがいいかもしれませんね。
※演じていたライアン・レイノルズ自身も「デッドプールの特徴が封印されていた。僕自身も不満を感じたし、ファンが怒るのも無理ないよ」と答えていました。

で、満を持して今回はみんなが愛するデップーの魅力がバンバン出まくるというわけですよ。それだけで最高なんですよ
アメコミファンにとって、これほどうれしいことがいままでにあったでしょうか!(いや、たぶんない)
ぶっちゃけ、ここが主張できたらほかのことはどうでもいいですね。

そして公式ツイッターの「キャラをわかっている」感じも最高ですよね。広報さんがいい仕事しすぎです。


※絵文字は英語でも「Emoji」です。


あ、そうそう、デップー本人だけでなく、演じていたライアン・レイノルズもこれまた不遇だったりするんですよね。
これまでレイノルズは、『グリーン・ランタン』『ゴースト・エージェント R.I.P.D.』『ブレイド3』と、アメコミ原作の主演(出演)作が興行的に失敗&酷評されまくっていたのです。

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※もはや黒歴史

で、今回の『デッドプール』ではR指定映画史上最高の興行収入を記録&評価もメチャクチャ高いということになったわけですよ。
もはや作品と、レイノルズのキャリアがリンクしているかのよう。しかも作中にはいままでのレイノルズの失敗をイジっているセリフまでもあるんですよね。
あらゆる意味で、「よかったね、ライアン・レイノルズ!」と言いたくてしかたがありませんでした。


さてさて、自分もデップーの大ファンとして本作をベタ褒めしたかったのですが……じつは以下の不満もあります。

(1)メインのストーリーがいくらなんでも単純すぎ
本作のストーリーは「復讐劇」と3文字で説明できてしまうほどにシンプルで、それほど深みはありません(それはそれでいいのだけど)。
正直に言って、時系列を前後させる構成と、デップーの魅力がなかったら、ひどく退屈な作品になっていたと思う。

(2)意外とシリアスな描写が長い
本作は「回想」でデップーの誕生秘話が語られるのですが、それがけっこう長い。
単純に「アクションが邪魔されてしまう」とも思ってしまいますし、破天荒なデップーの性格ともちょっと相性の悪さを感じます。

(3)アクションのバリエーションは少なめ
戦いの舞台がほぼ2箇所のみに限定されているのは、やはり物足りなさを感じます。

今回は「第1作」ということで、スタンダードな「ヒーロー誕生秘話」にしたことは、方法としては間違っていません。
むしろ、そうすることで、デップーを知らない方へうまくアプローチができている、ということもわかっているんです。

だけど……デップーならもっとムチャクチャやってくれよ!という気持ちが抑えられないんですよ!
コミックの『マーク・ウィズ・ア・マウス』なんか、ストーリーを言語で説明するのが不可能なほどのムチャクチャな内容だったもん・・・。

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※「別の次元から来た頭部だけになったデップー」とかが出てきます。

今回の映画は「構成とデップーの魅力で楽しい内容になっているけど、ストーリーそのものはごくスタンダードなものである」というのが本音。
制作費が増えているであろう続編では、もっともっと破天荒な内容を期待したいですね。

また、これは欠点というわけじゃないんだけど、映画やアメコミの小ネタがめっちゃ多いのも好き嫌いがわかれるポイントかもしれませんね(自分は大好きだけど)。
とはいえ、本当に小ネタ程度にとどまっているので、予備知識がなくてもこの映画は楽しめるでしょう。


個人的には、本作は「楽しいヒーロー映画だよ!」と、内容を知らない友だちや彼女を誘って観てほしいですね(ゲス顔で)(その理由は観ればわかります)。
R15+指定ですが、グロもエロも下ネタもほどよい仕上がりなので、それほど不愉快に感じることはないでしょう。
せっかく、以下のようなラブストーリーであることを推したポスターもあるのですから!

デッドプールはラブストーリーだよ!
※この印象はわりと嘘ではありません。
画像出展はこちら


※こうなるかもしれないけどね。

なお、吹き替え版もめっちゃ出来がいいです。
とくにデップーを演じた加瀬康之さんのノリノリっぷりが伝わってきて超楽しいんだ。
字幕で拾いきれなかった表現(でも意訳自体は超ステキ)もしっかり喋っているので、ぜひ2度目の鑑賞では吹き替え版もおすすめしておきます。
本作はその構成上、2度観たほうが楽しめるとも言えますしね。

いままでにないヒーロー映画を観たい方、単純に笑ってスッキリしたい方、デップーの魅力を堪能したい方にぜひオススメします。
エンドロール後にもおまけがあるので、最後まで観ましょう!

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ ほんのちょっとだけ字幕版と吹き替え版との差異を書いているので、どちらかのバージョンを未見の方はご注意を。

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2016-06-03 : 映画感想 : コメント : 15 : トラックバック : 0
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『ズートピア』の深すぎる盲点のまとめに批判を受けたので、少し補足してみます

『ズートピア』のすごすぎるところをまとめた記事を、シネマズ by 松竹にアップしました。

<『ズートピア』、あまりにも深すぎる「12」の盲点 | シネマズ by 松竹>
※ネタバレ全開なのでご注意ください。

ディズニー ズートピア なかよしコレクション ニック・ワイルドセット<このふたりの性格の違いは「サングラス」でもわかります。

改めて神がかっている脚本であることを思い知らされたよ・・・「ギャグと思っていたところが、じつはキャラの性格の対比構造になっていた」とかどんだけですか。

あとジュディの「正しい性格」についてですが、ベルウェザー副市長のモフモフの髪型(これはアフロヘアーの暗喩らしい)をさわるニックに「やめて!」と言うシーンでもあらわれていましたね。

あ、あと終盤の博物館の「絵画」について、わかる方がいましたらぜひコメントをください・・・(他力本願)


なお、この記事はかなり賛否両論を呼んでいることがわかりました↓
『ズートピア』、あまりにも深すぎる「12」の盲点 - Twitter検索

書いた記事にいろいろと言ってくれるというのは、むしろありがたいです。
『ズートピア』という作品を愛し、ちゃんと記事を読んでくれたからこそ、批判をされているのですから。
子どもに『ズートピア』の低評価を直してと頼まれた批評家が「あなたの大好きを変えるつもりはない」と返信したことを思い出しました。

以下より、こちらの記事の批判と、それについての補足をまとめました。
もちろん大いにネタバレとなるので、映画を観ていない方はお控えください↓

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2016-06-02 : いろいろコラム : コメント : 6 : トラックバック : 0
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2016年6月の気になる映画一覧(マイナー推し)

もうすぐ梅雨なので引きこもり率のアップが決定(挨拶)

そんなわけで、以下よりひと月ごとの気になる映画一覧です。

以下も参考にしましょう↓
2016年6月公開で観たいと思っている映画の覚え書き|三角絞めでつかまえて
2016年6月に観たい映画/5月に観た映画 – 頭の中もハッピーな人
モンキー的期待の2016年6月の新作映画 - モンキー的映画のススメ
2016年6月に観たい注目映画6本/5月鑑賞記録 | pockke

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2016-06-01 : 月ごとの気になる映画 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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