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『シング・ストリート 未来へのうた』解放の物語(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)

今日の映画感想はシング・ストリート 未来へのうたです。


個人的お気に入り度:6/10

一言感想:自分が超少数派であることはわかっています!

あらすじ


1985年のアイルランド、ダブリン。
両親の離婚、学校でのいじめで暗い日々を過ごすコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は、ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)という美少女に一目惚れをする。
コナーは彼女にバンドのミュージックビデオに出ないかと提案するのだが……




自分がどうこう語る前に、まずは本作の世間的な評価を紹介します。

(以下、数字は2016年7月中旬のもの)
<海外>
IMDb:8.2点
Rotten Tomatoes:97%
<日本>
Filmarks:4.4点(5点満点)
Yahoo!映画:4.32点(5点満点)
coco 映画レビュー:97%

いやもうこれは大・大・大絶賛されていると言い切っていいでしょう。
平均点だけを考えれば、あの『ズートピア』をも超えているレベル。
ミニシアター系では、映画ファンからいまもっとも注目を集めている作品なのです。


でも……ごめんなさい、自分は少し物語にひっかかるところがあって、この大絶賛のビッグウェーブに乗れなかったのです。

とくに、主人公以外のバンドメンバーのエピソードが少なめであったことに物足りなさを覚えました。
これは本作を絶賛する方にも同意していただけると思うのですが、こいつらみんな出てきた瞬間から好きになれるくらい魅力的なんですよ!

シングストリートのバンドメンバー<こいつらみんな大好き

これはすごいことですよ。役者そのものが持つオーラのおかげもあるのでしょうが、ほんの2、3の会話で彼らがどういう生活を送っているか、どういう性格であるかがわかるんです。
キャラの魅力が描かれているからそれで充分という意見もあるでしょうが、ここまで魅力的だったら「その先」も描いてよ!と自分は思ってしまうのです。
(106分というコンパクトな上映時間で、それを望むのは贅沢だとわかっているのですが)
※以下の意見をいただきました。
視点があくまで主人公コナーに絞ってあるだけで、僕は他のメンバーが影薄いとは思いませんでした。


そして、細かいエピソードや、提言された問題の解決方法に、どうしても気になるところというか、しこりが残ってしまったのです。
具体的な不満点は何を言ってもネタバレになるので↓に書きますが、メインとなるメッセージ性が素晴らしいだけに、ここを流すことができなかったのです。


ちなみに本作はジョン・カーニー監督の半自伝的作品です。インタビューで監督は「基本的に、僕が主人公の年頃にやりたかったけれどできなかったすべてのことを、映画の中で実現した願望充足の映画なんだ」と答えています

本作が幅広く絶賛を集めた理由のひとつは、監督が自分の願望を充足する映画を作った結果、まだ高校生の主人公たちによる、戻ることはできない青春の日々を追体験できることにあるでしょう。

とはいえ、本作はただただ楽しい青春を描くだけではなく、閉鎖的な場所だからでこその苦しみも描かれています
この物語はその苦しみを「ある価値観」へと昇華させるのですが、その過程が堅実に組み立てられているため、とてつもない開放感に溢れています。

これは青春映画として理想的です。
10代のよいところも悪いところも含めた出来事の数々を描き、明確なメッセージを掲げ、そして悩みから解放される……。その構成のうまさには唸らされました。


そして触れなければいけないのは、音楽映画としての素晴らしさですね。
デュラン・デュランモーターヘッドなどの1980年代のイギリスのロック音楽が登場することはもちろん、ミソは作中でMTV(ミュージックテレビジョン)のブームが起こっていること。
ミュージックビデオがテレビで放送されるようになり、音楽と映像を合わせるという新しいエンターテイメントが世に広まった時代に、主人公たちが自分でミュージックビデオを作るというのがたまんねえのですよ。

がんばってMTV<ちょっと「スリラー」風

このときに映像がVHS(ビデオ)時代ならではの荒さなのがまた素敵。
ミュージックビデオがただ懐かしさを強調するもの、音楽を見せるものではなく、しっかり主人公の心理描写とも交錯しているのも最高でした。



本作は『ONCE』『はじまりのうた』で築かれたジョン・カーニー作品の集大成と言えるまでに、その特徴と精神性が現れています。

ONCE ダブリンの街角で [DVD]  はじまりのうた BEGIN AGAIN(字幕版)

・メインのストーリーラインに乗せて、主人公たちの葛藤や性格をほんの少しの描写で示す
・音楽により前進する人たちを描く
・尊いメッセージを送る(しかし説教臭くはない)

こう作品が観たいと思うのであれば、もう女房を質に入れてでも劇場に足を運びましょう。


これだけ自分が本作の素晴らしい点を挙げながらも、乗り切れないところはあるのは、おそらく自分が青春時代にバンドを組んだことがなく、音楽にも強い興味がなかったことも理由であると思います。

逆に言えば、音楽に青春を捧げた方であれば、かつて(もしくはいま、これから)の自分に、主人公たちを重ねあわせることができるはずです。
以下は音楽に思い入れがありまくる方の素晴らしい感想です。映画は自分の人生に重ねあわせるとより素晴らしい宝物になるのですね。
映画「シングストリート 未来へのうた」感想 解説 ロックンロール イズ ア リスク!灰色の空に虹をかけた少年。 - モンキー的映画のススメ

ああ、ちくしょう、うらやましいな!
自分もバンドを組んだりして、この映画のよさをさらに味わいたかったなあ……(音感なかったんだよ!)


そういえば、30年ほど年代のズレがあるものの、アイルランドから都会への旅立ちを目指す、という物語は現在公開中の映画『ブルックリン』と共通していますね。
こちらは『ズートピア』『魔女の宅急便』のような「少女が都会に出て世間の波にのまれてしまう」という物語。親元を離れてきたばかりの方に、ぜひこちらもオススメしたいです↓
<『ブルックリン』はまるで実写版『ズートピア』のようだった | シネマズ by 松竹>


そんなわけで自分は気になることが多かったわけですが、最初に書いたように本作は世間的には大・大・大絶賛なのですから、自分の10点中6点なんて点数は気にしなくていいでしょう。

青春、音楽、美少年、爽快感、そうした要素を期待して観に行けば、間違いのない1本です。
PG12指定なのは未成年の喫煙シーンがあるからという程度なので、主人公と同世代の少年少女にもぜひ観て欲しいですね。オススメします。

<上映劇場>

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓ 気に入らなかったところをたっぷりと書いています。好きな方にはごめんなさい!

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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2016-07-14 : 映画感想 : コメント : 7 : トラックバック : 0
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レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

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