『グランド・イリュージョン2 見破られたトリック』真実はここに(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー)
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:ごめん、やっぱりツッコませて
あらすじ
マジシャン集団のフォー・ホースメンは、マジックとイリュージョンで不正に搾取された金を奪取し、人々の注目の的になっていた。
彼らはハイテク企業の不正を暴こうとするが、何者かによっては失敗に終わる。その裏にはウォルター(ダニエル・ラドクリフ)という科学者の存在があった。
華麗で大胆なマジックを題材とした映画『グランド・イリュージョン』の続編です。
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前作のレビュー↓
いま、君が見ている 映画「グランド・イリュージョン」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
前作は細いところに目をつぶればやたらめったら楽しかったので、今作も大いに期待していました。
監督が『トランスポーター』『タイタンの戦い』のルイ・レテリエから、前作の魅力を台無しにした駄作『G.I.ジョー バック2リベンジ』のジョン・チュウにバトンタッチしていたのでイヤな予感がしましたが、そこは問題まあちょっとはあったかもしれないけどなかったです。
しっかり前作の魅力と欠点を受け継いでいました。超・超・超楽しかった!
魅力についてはネタバレなしで、以下に全力で書いております↓
<『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』をより楽しむための5つのポイント | シネマズ by 松竹>
……さてさて、小文字で書いたように、本作は手放しで絶賛できないわけで。何より「そのマジックは無理だろ!」「催眠術が無敵すぎるだろ!」といったツッコミどころが満載なんですよね。
劇中のマジックそのものはすべて現実でも可能なものであり、実際に特殊効果なしの「本物」がスクリーンに映し出されてはいるのですが、「その状況的に不可能に感じてしまう」ものが多いのです。
マジシャン集団フォー・ホースメンが派手なマジックで人々を魅了して目立ちまくっているのに、彼らがほぼ変装をしないまま潜入ミッションをしているのがそもそも変です。誰かに顔見られた瞬間、「あっフォー・ホースメンだ!」って言われるんじゃね?
彼らに必要なのは、マジックの技術はもとより『ミッション・インポッシブル』にあるような顔をベリィって剥がす変装技術だと思う。
前作でも思っていたのですが、この映画に必要なのは圧倒的な「小二病」の力なんです。
明らかに無理だろ的なツッコミをしてしまうのは野暮、無垢な子ども時代になんでも楽しめて、すげー!かっこいいー!と興奮していたときの病気にかかればマジで幸せ。そういうもんです。少年の心に戻りましょう!戻れよ!(自分に催眠術のスキルはありません)
まあ今回は脚本段階から「もうちょっとやりようなかったか」としか思えない、ツッコミどころか「ノイズ」と言ってもいいくらいに杜撰なシーンがあったんですけど……。そこをパワーアップしてどうする!
もう少しくらい、「気持ちよく騙される」ための工夫が欲しかったですね。
あと終盤のとある展開は、別の意味でまったく飲み込めないというかかなりイラっとしたよ?
何言ってもネタバレになるから↓に書きますけどさ。
そうそう、地味に邦題(サブタイトルのほう)がよくないよね。内容に即していないよ?
そんな不満はともかく、自分がこの映画が好きな理由は、とにかく「どんどんマジック出そーぜ!」「どんでん返ししてやろーぜ!」なサービス精神、ケレン味にあふれまくっているから。
細かいことを気にせず、ただただ楽しい映画を期待すれば、存分に満足できるんじゃないでしょうか。
ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)のクズ男っぷりを観たい方はぜひどうぞ。
マジック好きな方はもちろんのこと、『君の名は。』が満席で入れなかったカップルにもオススメですよ。

以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
〜野暮な不満点〜
ラスト付近に判明する「サディアス(モーガン・フリーマン)は、ディラン(マーク・ラファロ)の父の親友だった」という事実はいいんですけど、いくら「父を殺された復讐心をなくすため」とはいえ、その息子を同じ川に落とすトリックをさせるのは納得しかねます(敵の目から逃れるためでもあったのですが)。
親友を事故で失ったのに、その息子にもまったく同じモノで死ぬ可能性のあることをさせんじゃねえよ、と。いくら脱出のカギとなる父の時計を渡したとしても……。
ここで、ディランがすべてを納得するんじゃなくて、サディアスが握手を求めようとする→ディランが握手をすると見せかけてぶん殴って「納得できるか!」と怒るとよかったかな。
あと、個人的にはこの映画のモーガン・フリーマンにはクズのままでいてほしかったなあ。「いい人でした」ってんじゃなく。どんでん返し入れればいいってもんじゃないよ。
〜トリックに野暮なツッコミ〜
・ルーラがシェフ見習いで自分の腕を切り落とす
まあ彼女のイッちゃっている感が出ていて好きなのですが、これをやる意味は?「警備員の目を向けさせる」というのだったら、画面上でそれをしっかり見せないといけないと思う。
・(敵側のトリックだけど)ダストシュートの移動中、ストロボとライトで催眠術をかける→そのまま運べば中国に一瞬にワープしたように思われる!
聞き逃していたら申し訳ないんだけど、「睡眠中の時間を一瞬に感じる」という点においてソリューションがなかったよな。ダストシュートを使うというのも不確定要素ありすぎい!
・チップをつけたトランプ(スペードのエース)を、フォー・ホースメンが受け渡しながら隠し続ける!
そりゃ大興奮したし大・大・大好きなシーンなのですが、防犯カメラを見たら一発でバレるよね。
・雨が止まる!動く!
降雨機と光でやったんだよと手短に解説していたけど、なるほどまったくわからん。
実際は、ストロボを高速で点滅させて「残像現象」を起こし、まるで水滴が止まっているように見せている、ということらしい。じつは雨は降ったままなんですね。
それはいいけど、3次元的に雨を動かせた理由は説明して欲しかったかな。
※イベントでも実践していました。
・飛行機は飛んでおらず倉庫の中でした
雨や風で演出をしているのはいいけど、離陸時の「G(加重)」を体感させるための仕掛けがなかったのは残念。あとこれはフォー・ホースメンだけじゃ準備できないよね。
〜てめえのトリックたいしたことねえ!〜
納得できねえウォルターの「中国に一瞬でワープ」のトリックですが、このタネをメリットが「ストロボと光で……」とバラそうとして、ウォルターが「言うな!楽しんでるのはボクだ!」と止めるシーンがいいですねえ。
ここだけで、彼が自己顕示欲と優越感を得たいだけのお子ちゃまということがよくわかります。「依頼を拒否するんだったら殺す!」とも言っていたしな。
※「全部かな」のシーンもいいね。
タネ明かしそのものも「ただ眠らせた」というだけのヒドいもんでしたね。
でも、このトリックの浅さこそが、フォー・ホースメンとの「格の違い」を示していますね。
前作でフォー・ホースメンが華麗な方法で大金を一瞬で移動させたことと、うまい対比になっています。
〜隠しまくり!〜
スペードのエースを、フォー・ホースメンのメンバーそれぞれが受け渡しながら、警備員から隠しまくるシーンが本当にめっちゃ大好き!<ボク変なもの持ってないっしょ?
身体検査をされても、手の平や裏に隠し、袖から靴下、靴からブラに隠す!
最後はドラ(※中国のインテリアです)を鳴らして警備員の目をそちらに向けさせて、その隙にカードを投げ渡すっていうね!
〜催眠術無双にならなかった〜
前作でも本作でも「催眠術便利すぎ」という欠点があるんだけど、本作では弟子の粗悪な催眠術にかかったふりをというギャグがあったり、効かなくても不意打ちの代わりにするというシーンがあったのがよかったですね。
スタッフがちゃんと作品の欠点をわかっているのかもしれない。その大半が解決できてないけど。
〜卑怯な組み合わせな親子〜
クズなダニエル・ラドクリフの父親としてマイケル・ケインおじいちゃんが出てきたときは爆笑しました。
マイケル・ケインは前作にも出ており、フォー・ホースメンから金を巻き上げられて恨んでいましたねえ。
つーかハリー・ポッターと『ダークナイト』の執事のおじいちゃんが、クズ親子として共演してるってのがおもしろすぎます。
で、このふたりは「ねえパパ〜ボクチンフォー・ホースメンをハメてぶっ殺したいんだ〜」「うんうん、お金でなんでも叶えてあげるよ〜」な関係でした。
絵に描いたようなクズ金持ちとクズ道楽息子。いっそ清々しいですね。
で、仲良く親子で捕まった後は、クズ父は「どこの母親かもわからんやつに父と呼ばれたくない!」とほざきました。
血のつながりってたいしたことないなあ……そういや双子なのにぜんぜん仲良くなりたくないやつもいたな。
〜見えているものが……〜
前作でも本作でも、「見えているものが真実とは限らない」というのがテーマになっています。
それはマジック(トリック)の数々はもちろんのこと、タロットカードの「愚者」がじつは最強であること、劣勢に見えてもじつは優勢であったという「どんでん返し」のことも指しています。
そうであるならば、人や価値観の「本質」を見極めたいものですね。
Varese Sarabande (2016-07-01)
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で、カードがゲートを通過する時警報が鳴るから、わざと財布をゲート内で回収される様にしといて、ゲート外に出たタイミングでゲート越しに警備員から財布が手渡しされる様にすれば警報が鳴ってもおかしくありませんし。
> で、カードがゲートを通過する時警報が鳴るから、わざと財布をゲート内で回収される様にしといて、ゲート外に出たタイミングでゲート越しに警備員から財布が手渡しされる様にすれば警報が鳴ってもおかしくありませんし。
おっしゃる通りですね、修正させてください。
詳細にありがとうございます。
>〜トリックに野暮なツッコミ〜
でも殆ど再現可能なんですね!てかもうマジシャンてか忍者・・・。
>〜隠しまくり!〜
この辺。なぜかドリフとかの昭和の日本のコントを思い出して懐かしくなってしまいました。
>~野暮な不満点~
前作が素直に観れなくなってしまいました・・・。いや、批判者がグル・・・というのはマジックの世界では良くあることだそうですし、前作のディランのおかげで「誰が裏切り者か?」でなく「誰が味方(敵にとっては裏切り者)か?」を考える面白さがあったのですが・・・途中からサディアスの行動に「やめてくれえ~」と思いつつ
>息子を同じ川に落とすトリックをさせるのは納得しかねます
ここは「あ、やっぱりクズ野郎か・・・」と思ったり。
ヒナタカさんがおっしゃるとおり、サディアスにとってもトラウマになっているであろう失敗をした芸を何故息子にさせる!?
事前に「お父さんの時計」を渡したり、「これはあの時の試作品」とか吹き込む「仕込み」はしていましたけど。三十年前は綿密な打ち合わせと仕掛けをしたにも関わらず失敗してたくらい困難な芸当なのでしょう!?それを全開よりも杜撰な仕込み(打合せ無し、ディランの直感頼りな命賭け大博打!)でやらせるとか・・・。
さらに自分にも責任の一端が有る相棒の死後。その家族を三十年間放置していたとか、ありえなくない?ディランとお母さんはトレスラー詐欺保険のおかげで困窮した生活を送っていたそうですし「足長おじさん」的な支援もしてなかったようですよね・・・。
>〜卑怯な組み合わせな親子〜
><クズオーラが半端ないハリー
最初「新人さん?」と思ってしまいました。役者としては子役時代の印象が抜けて行くのは良い事ですね。でもズッコケタ!!
(素で「嫌アァァァァッ!!ダニエルきゅんが汚れちゃったあぁぁぁぁッ!!」な人も居るだろうしなあ・・・)
しかもパパが紳士もクズも演じられるマイケル・ケイン御大!
最低で最高だこの親子!でも・・・
>どこの母親かもわからんやつに父と呼ばれたくない!
ここはちょっと可哀想だと思いました。垢の他人にはドクズなウォルターですが、お父さんには本気で慕っていて認めてもらおうとがんばっていたのに・・・。
あと「誰が味方か?」はウォルターも疑ってました。実は「Eye」のメンバーで、自分とお母さんや他の腹違いの兄弟達を冷遇をしたトレスラーを怨み続けていた・・・とか。それにハリポタだし・・・と中の人のイメージで。
面白かった?と言われれば時間とお金に見合う楽しさをもらいましたが、ジョン・チュウ監督。前任者と比較して色々雑過ぎですよ。次回作で挽回してください!
自分も激しく同意です。
こんなことされちゃったらもう1をまともに観れなくなっちゃいますよ!どんでん返しを入れたかったのはわかりますが無理矢理入れれば良いってもんじゃない!
次作でマイケル・ケインも良い人でした、って言い出しそうで節操ないなと思いました。
>〜催眠術無双にならなかった〜
うーん、自分はやっぱり催眠術ってヤダなーと思いました。
ディランに催眠術が効かないのなら、催眠術のスペシャリストであるメリットとチェイスにも効かないって設定にしないと納得いきません。
寄りによって専門分野である催眠術にハメられるこの双子が無能にしか見えませんでした。
というかこんな調子で全てのシーンに最低一つはダメなところがあるみたいな作品でしたね。良いシーンも悪いシーンも擦り傷だらけというか。
あと不満点としてはアクションシーンがヘタすぎて何やってんだかわかんない!せっかくマーク・ラファロがハルク以外のアクション頑張ってるのに残念すぎました。
鳩を出しておどけるとかデカいトランプの宴会芸とか、正直絵面の派手さもないマジックがあるとかもどうかと思いましたし、何よりメラニー・ロランが降板してるのが大きなマイナスです!
というか前作もメラニー・ロランが可愛かったので細かいこと気にせず観れてたような気がしますw
退屈はしないけど、記憶に残るのはブライアン・タイラーの超スタイリッシュな音楽だけというのが虚しい作品でした。