超現代的おとぎ話「ガリバー旅行記」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:甘やかされる主人公にシビれる憧れる
あらすじ
ガリヴァー(ジャック・ブラック)は新聞社のメール係として勤務している冴えない中年。編集者のダーシー(アマンダ・ピート)に恋をしていた。
インターネットから流用した記事をダーシーに見せ、評価されたおかげでガリヴァーは取材で海に繰り出すことになってしまう。
そして、ボートごと竜巻に飲み込まれる。目覚めると、彼は小さい人間たちに縛り付けにされていた。
うーん、面白ーい。
なんかこの映画で、主演のジャックブラックは最低男優賞にノミネートされてしまったらしいですが、自分はよかったと思いますよ。
冴えない&自分勝手でダメダメなガリヴァーを好演していました
汚い中年男性が惜しげもなく上半身裸になってたりするので絵面的にキツイかもしれません(笑)
でも自分はむしろ萌えました。欲望に忠実な主人公は可愛らしいです。
でもこの性格のガリヴァーに拒否反応を示す人もいるかもしれません。
そこはこの映画の欠点かも。
ストーリーも良くまとまっています。
2つの恋のエピソードが織り交ぜられていますが、割り振りのバランスが見事です。
テーマは「人は変われる」という普遍的なもの。
嫌味がなく、お子様よりも大人が共感できる作品になっています。
また原作とは違い、今作は現代のアメリカから物語がはじまります。
この「現代であること」が生かされているのはほんの小ネタ程度のものなんですが、なかなかに素敵な使われ方をしています。
上映時間が85分とは思えないほど見どころ満載の楽しい作品なので、ファミリーで観るのには是非候補に。
2D吹き替え版で観ましたが、特に3Dで観たかったと思った部分はなかったので2Dで十分かも。
映画のパロディシーンが満載なので映画ファンはより楽しめますよ。
以下、ネタバレです↓
~残念だったこと~
さてさて、個人的に本作で一番気になったのは「主人公がチヤホヤされすぎ」なことです。
ガリヴァーが国を救い、英雄だと崇めらる。それはもちろんいいのです。
でもガリヴァーは大工たちに快適な家を作ってもらうわ、映画をパクって劇として上演してもらうわ、あまつさえニューヨークの町まで作ってもらうわで・・・やってもらってばかり。
さらにはゲームの「ギターヒーロー」を演じてもらったときに、親友のホレイショに「兵士の訓令をしなくていいのかいと言われた時、それを省みたりはしませんでした。
ここまで来ると、悪役のはずのエドワード将軍(さらに副将軍に・・・)にちょっと同情してしまいます。
また、親友のホレイショが言った「自分はちっぽけだっていうけどそんなことはない!」というセリフがあまりひびかない気がするのです。
たしかにガリヴァーは国を救ったけど、それ以上に反省して、成長をしてほしかった。
ていうかホレイショもガリヴァーのアドバイスのおかげで王女様にビンタされてたじゃないか(その前は成功していたけど)。
それでもガリヴァーを説得しに行った彼は本当にいい奴です。国や王女を守りたかったと言うのもあるのでしょうけどね。
嘘をついていたことをダーシーに留守番電話でとがめられ、再会した時にはさらに君を恋人だと周りに言っていたと告白します。
そこでダーシーが言ったのは「とっても素敵」って・・・ええ?
いや、わかるんです。
実はダーシーもガリヴァーを好きだったことも(序盤のエレベーターのシーンで、忘れ物をとりに戻ったと言ったのも嘘っぽいし)、告白が嬉しかったのもわかります。
でもそこはとがめないとだめだろ~と野暮ながら思ってしまったのです。
むしろ思い切りビンタ→でも嬉しいから抱きしめる、などの展開のほうが個人的には好きでした。
そんなわけでガリヴァーにイライラしっぱなしの人は、「忌み嫌われ島」に行った時におもちゃにされる彼を見て拍手喝さいかもしれません。
ここのエピソードはおまけ程度のものだったのですが、ドレス姿が似合わなすぎな主人公は見ていて楽しかったです。
あと覗いていた女の子がメチャクチャ可愛かった!人形の首ひっこ抜いたり、軍人さんを骸骨にさせていたりしても(←これすごく怖いと思うんだけど)。
「なんの取り柄もないヘタレが奮闘する」という映画は大好きなのですが、もう少し成長が見られるエピソードが欲しかったです。ちょっと残念でした。
自分も恋人に告白できないのに恋愛指南をする彼は、とても愛おしかったのですけどね。
~映画のパロディ~
・スターウォーズ
序盤でガリヴァーが人形で遊んでいたシーンは、ああ、これを小人でもやるんだろうなあと思わせてくれたわかりやすい伏線でした。しかし恐ろしくネタバレなシーンをやってくれますね。
・タイタニック
わかりやすい。
・偽のニューヨーク街のポスター
ぱっと思い返してみるに
アバター、X-MEN、リトルダンサー(原題のBilly ElliotがGulliver Elliotになっていた)などなど。
ロレックスがガレックスになってたりもしました。
さらに嘘を告白された時には、王女たちに
「ジャックバウワーと戦っていたけど24時間しか時間が無かったって!」(言うまでもなく「24」ネタ)
「マグニートと戦った」(「X-MEN」ネタ)
と言われていたのも面白かったですね。
個人的ツボはガリヴァー本人が言った「ヨーダ副大統領が頑張ってくれている」でした。
~つっこみどころ~
・小人たち、仕事早すぎ!
ガリヴァーを操る機械なんていつのまに作った?だし、主人公が滞在した期間は多く見積もっても3週間なのに(たぶん)コーヒーメーカーや家や街まで作るとはどんだけ優秀なんでしょうか(笑)
エドワードが乗っていたトランスフォーマーも、設計図から見せていましたよね?相手国も優秀すぎますわ~。
・途中で日本語吹き替えなのに、英語になったよ?なんで?~
ガリヴァーがホレイショにお姫様の前で恋愛指南をする場で、ここだけ英語音声&字幕スーパーになっていました。
おそらくここだけ英語の表現を楽しんでもらうためにそうしたのでしょうが・・・正直キョトンとしてしまいました。
~個人的に好きだったシーン~
・今日が勤務初日の青年ダンが、ガリヴァーの告白を気遣いエレベーターで「おっと閉所恐怖症なのを忘れていた」と言う。
めちゃくちゃいい後輩じゃないか。
・iPhone
アップル社も協賛してくれたんですね。
・ガリヴァーが歩いている横で、ホレイショが屋根の上を走りながら歩いているところ。
本当ホレイショはいい奴だな・・・
・ホレイショがトラスフォーマーに乗り込み、電気コードを引っこ抜く。
この映画の真のヒーローは彼だよ!
・最後の戦争反対ミュージカル
反戦のテーマは映画ではあまり描かれていなかった気はしますし、正直唐突なのですがそれでも楽しかった!
自分は歌と踊りで場を〆る展開が大好きなのです。
気に入ったのはiPhoneの一件。原作の「時計」の置き換えとしてはエスプリを感ぜずにはいられませんでした。
伏線もしっかりしていますし、原作のガリヴァー以上に放尿(ちゃんと原作にあるシーン)が似合うキャラでもあって、私としては高評価な作品でした。
でも、こんなガリヴァーは絶対に江戸(原作第3章終盤)に来たら首をはねられるでしょうし、フウイヌム(第4章)には受け入れて貰えないでしょうな。(笑)
> 途中で字幕スーパーになった
DVD版ではそんなことなかったですが…。