ニヤニヤが止まらない超娯楽ホラー「インシディアス」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:バカバカしさと怖さの絶妙ブレンド
あらすじ
引越ししてきた家族が幽霊に襲われてあら大変。
あはははは~大好きですこの映画。
始終ニヤニヤできる娯楽性とサービス精神がものすごくって、観ていて幸せでした。
傑作サスペンス「ソウ」の監督&脚本コンビの最新作ですが、この映画のような重圧さを求めると確実に肩すかしです。
今作は非常にわかりやすい「音でびっくりさせるお化け屋敷型ホラー」です。
大きな効果音で「ワッ」とびっくりさせる、ホラーではお決まりのあれです。
それ自体はワンパターンっちゃワンパターンなんですが、そのおどかしかたが実にバラエティに富んでて楽しいんです。
そう、この映画は「怖い」より前に「楽しい」んです。
「どんな手段で観客をびっくりさせようかな~」という製作者の顔が見えるようで、もう笑いっぱなしです。
この作品を観て、真っ先に思い出したのが「スペル(原題:Drag Me To Hell)」でした。
![]() | アリソン・ローマン 2360円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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この作品も「ホラーなのに笑える」「びっくりさせる演出ばっかり」というなんとも愛おしい作品です。
しかし、観る前はこんな印象じゃありませんでした。
「一家が幽霊に襲われる」という設定は、まんま「パラノーマル・アクティビティ」ですし、この監督も本作の制作に関わっています。
だから「金のかかったパラノーマル~」のような映画を想像するのは至極当然。
前半は確かにそれっぽいのですが・・・後半のトンデモ展開には度肝を抜かれました。
そこに行くと、誰でも完全に「怖さ」よりも「笑い」が勝ってしまうと思います、マジで。
楽しいだけでなく、意外と人物描写もしっかりしています。
しかもつっこみどころも少なめです。
この手のホラーだと「何故か妻を信じない夫」とか「何故そんな怖いところから引っ越さないんだ」とかいろいろ言いたいことがある場合が多いんですが、この映画では実に自然な描写のされ方です。
さらにさらに、この監督&脚本コンビならではどんでん返しもあります。
大したことないっちゃ大したことはないんですが、自分は見事に予想をはずしてしまいました。
う~ん悔しい!でも嬉しい!
このコンビは前述の「ソウ」に続き、「デッドサイレンス」でもどんでん返しを用意していたんですよね。
![]() | ライアン・クワンテン 2625円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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今回は多大なサービス精神を注ぎ込んでいる印象だったので、こちらの映画がイマイチだった方も、今作はけっこうイケるんじゃないかな?
残酷描写どころか、血が一滴も出ないのでお子様でもご安心。
カップルでも友だちでも「怖かったね~」と鑑賞後は笑顔になれる、健全な娯楽ホラーです。
(不健全な映画を求めるなら素直にピラニア3Dを観ましょう)
エンドロールの最後にも1シーンあるので見逃すなよ!
以下、超絶ネタバレです。本当面白い作品なので、未見の人は絶対に読まないで↓
今作の愛おしいところを一挙に書いてみます。
・序盤は普通に怖い
長男がいきなりこん睡状態に陥ったのは意外だったし、次男の「お兄ちゃんが夜中に歩きまわっているのが怖い」と言ったのには鳥肌がたった。
もしかして長男に幽霊がとりついて一家を惨殺・・・みたいな話になるのかなーと思っていたら全然違ってました。
あと、妹と弟は序盤にしか出ていないよね。
・「お前には何もできない、よこせ、よこせ!」と宣誓布告される。
悪魔(この時点では正体不明だけど)さんは、ここから実はお茶目なんじゃないかと思っていましたが、その予想は当たってました。
・扉がいつのまにか開いていたりする
「パラノーマル~」のオマージュですよね。
・窓の外を行ったり来たりしている幽霊→3往復目くらいでしれっと中に入ってきている。
このシーンも怖いというより笑ってしまうんだよな~。いいアイディアだ。
・引越し先。陽気な音楽に合わせてダンスする幽霊。
この幽霊となら友だちになれそうな気がする。
・子どもの幽霊がクローゼットの上から出てきて「ワッ」。
なにこれかわいい。その前は馬のおもちゃで遊んでいたみたいだし。
・「電磁波測定器」を使うコンビ「スペックとタッカー」
うわあギャグっぽいキャラ出てきた。
スペックを演じているのは、脚本も担当している「リー・ワネル」でしたね。「Xボンバー」(サンダーバードみたいなの)のフィギュアに目を輝かせるというおたくっぷりでした。
蛇足ながら少しだけ言うと、今作は「警察」の存在がすっぽり抜け落ちているのが気になりましたね。
こいつらよりも先にそっちを頼めよ。
・タッカーが赤外線カメラ(おもちゃの改造品)のフィルターの色を変えていると、双子のウェディングドレスを着た幽霊登場。
笑顔が可愛い。
・悪いのは「幽霊」ではなく「赤い顔の悪魔」だった。
この悪魔、ビジュアル的に全然怖くないんですが。
・父はうさんくさい(笑)彼らに反発するが、その後息子の部屋にあった絵を見て考えを変える。
このシーンにはしんみりしてしまった。その直前に息子に言った「お前はここにいる」も上手い。
絵でわかったのですが、幽体離脱を「スーパーヒーロー」への変身のように、息子は思っていたのですね。
父は「何も信じない」愚か者ではなく、妻にも「僕は君の味方だ」と言う、家族を本気で大切にする性格でした。
妻は試験の採点で遅くなった夫に対して「避けている」と言っていましたが、そうではなかったのです。
・息子の魂は肉体から離れて「彼方」と呼ばれる場所にいた。なにやらごつい装置で交信をはじめる。
あのーおばあちゃんにそんなガスマスクっぽいのつけて大丈夫?
・途中から悪魔に見つかり、交信場所は悪魔にめちゃめちゃにされる。
悪魔の悪口を必死に書きとめるくらいだったら、ほかのことこと準備したほうがよかったんじゃ・・・
・撮ったカメラを見ると、悪魔は後ろから息子の手を動かして攻撃していた。
(●´∀`●)<カワイイ!
息子の体に入れなかったからそんな攻撃するんだ~。
・そして衝撃の事実。息子に幽体離脱の才能(いやな才能だな)があったのは、父の遺伝によるもの。父も子どものとき、「寄生者」と呼ばれる幽霊に取り付かれていたのだ。
これにいきつくまで伏線がたくさんありましたね。
父の写真が一枚もなかった
母親が「ジョシュが写真に写っているなんて」と言う
などなど。
タイトル前にも「寄生者」が映ってました。
あの時点では意味不明だったなー。
・父親が幽体離脱!息子の魂を探しに行け!
うそーん。
一軒家のみの話かと思ってたのですが、まさかの「サイレントヒル」っぽい世界になりました。
・その先では意味の良くわからんホラーシーンの連続
人形っぽい幽霊のまぶたが動く
何故かショットガンを家族っぽい幽霊に放つ女性(満面の笑み)
あーひょっとしてギャグなんかな?たぶんそうだ。
・ついに悪魔のところへ!悪魔は陽気な音楽をかけながらよくわからん趣味に没頭している
ずいぶんファンキーなキャラだな
・悪魔は父親の隣に瞬間移動。父、ぶっ飛ばされる。
もう完全ギャグだよ。
・逃げる父と子
何故か簡単に悪魔からは逃げれている。
でもゾンビっぽい幽霊たちが邪魔。
・現実世界では電球が消えまくって省エネ環境に
引き出しを閉めようとしたらドラえもん手が出てきて掴まれるという、別になくてもいいホラーシーンがありました。
・「寄生者」再登場。
父と寄生者の因縁の対決・・・って、父親は「消えやがれ!」と声を荒げるだけでした。
いろいろありましたが、以下オチ部分です。
↓
・父と息子が現実世界に戻ってくる
・息子は腹ペコでご飯をおいしそうに食べている
・2人で部屋にいる「エリーズ」と父。
・エリーズは何を思ったのか、いきなり父を写真で撮る
・父は「何で写真を撮った!」と言い、エリーズの首を絞め、殺す。
・エリーズの死体を母が見つける。
・母はカメラで撮った写真を見る。そこには寄生者が!
・父「僕は後ろにいるよ」と言いながら母の肩をたたく→母が振り向く!
完
うっひゃ~びっくりした。
悪魔さんは完全に「オチの予想をはずさせるため」に使われていますね、これ。
多くの観客に「悪魔が息子にとりついてのバッドエンド」だろ?と思わせといて、いままでちょい出だったキャラにその役目を担わせるとは・・・
よく考えれば予想できたと思うんですが、まんまと罠にはまってしまいました。
「父VS悪魔」がもっと見たかったところですが、そのバトルが少なかったことも、このラストのオチの意外性に一役買っているのかもしれません。
あのバトルの消化不良っぷりは、「まだまだあるんだろ?」と思わせるよなあ・・・
エンドロール後は、寄生者が「フッ」とロウソクの火を消して終わり。
最後までニヤニヤさせてくれました。
寄生者はビジュアル的に悪魔の100倍くらい怖いですし(ただのおばちゃんに見えるのは気のせいです)
ともかくも大満足の一本でした。
あ、続編があるんだったら悪魔が大暴れすることを期待しています。
とりあえず周りのネタバレと比べると下手くそすぎて、しかも所々へんな発言をしているので、みていて不快な気分になる。
ニヤニヤが止まらない、とか自分はわかってますよアピールがうざい
無理矢理笑い話的にしようとして外してる
感想としては20点かな