制約だらけでも面白い映画「127時間」ネタバレなし紹介+気になったシーン
![]() | ジェームズ・フランコ 2600円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
![]() ![]() ![]() |
個人的お気に入り度:8/10
一言感想:監督ならではのハイセンスなシチュエーション・ドラマ
あらすじ
アーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、キャニオンランズ国立公園へと向かう。
道中、道に迷っていた女性2人と出会い、アーロンはガイドを買って出る。
2人と別れたあとアーロンは1人探索を続けるが、誤って岩とともに渓谷に落ち、腕を挟まれて身動きがとれなくなってしまう。
ダニー・ボイル監督好きにはたまらない作品でした。
この作品の長所は、監督ならでは格好いい映像と、小気味いい演出です。
それはミュージック・ビデオのようにスタイリッシュで、かといってクドくもなっていません。
映像だけで大いに楽しめるのです。
この映画は実話をもととしているので、問答無用で「主人公が助かる」ということがネタバレしています。
さらに映画の登場人物は、(冒頭に登場する女性などはいますが)ほぼ1人のみ。
話の筋が固定化されているので、映画ならでは味付けをすることが難しいのです。
それなのに全編、飽きることがありません。
それはこの映像だけではなく、あらゆる方面から「主人公」の内面を描いているからだと思います。
悲愴感漂う演出だけでなく、ときにはコミカルに、ときには人生への想いを喚起させる。
ダニー・ボイル監督の手腕に感服しました。
音楽も素晴らしかったですね。
![]() | 567円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
![]() ![]() |
個人的にはlovely dayの使い方が好きでした。
映像とのシンクロ率がかなりのもので、ラストシーンでの高揚感は半端なかったです。
正直、観るときは主人公の見る「妄想」の描写に少々うっとおしさを感じていたのですが、これもラストには意味のあるものになっています。
これだけシンプルなストーリーなのに、脚本もすごく気が効いているんですよね。
作中かなり痛いシーンがあるのでお子様には薦めませんが、それが大丈夫な方には是非観てもらいたい秀作です。
オススメ!
以下は結末には触れていませんが、作中のシーンが少しだけネタバレしていますので未見の方は要注意↓
・冒頭で棚の中を探すシーン
よく見ると主人公はナイフを探しています。おそらく「VERTEX」。
主人公は結局このナイフを持って行きません。
このナイフを持って行けば「中国製の安いナイフは買わない」と後悔することはなかったのかもしれません。
・岩に挟まる前
元凶のこの岩を、主人公は踏みしめて体重を載せても大丈夫かを確認しています。
もう少し踏みしめていれば・・・
・挟まったところでタイトルが出る
このタイミングは絶妙ですね。
ここから「127時間」の戦いがはじまるのですから。
・カメラに向かってDJごっこをする主人公
明るく振舞う主人公。この前には遺書もカメラに残していました。
その明るさにちょっと笑いましたが、同時に切なさも感じます。
・とある幻覚を見る主人公
でもカメラで見ると、その幻覚はいない。
主人公にとって、このカメラが精神安定の役割をになっていることを示しています。
・「岩はずっと俺を待っていた」と思う主人公
この映画にはこうした画面を分割するカット割りが何度も出てきますが、その全てが効果的。
岩に挟まれている状況を「毎日の行動はここにつながっていた」「俺の人生が招いた結果」だと言うのは、なるべくしてなった「運命」的なものを感じます。
だからでこそ、その運命を自らの手で変える主人公の姿に感動を覚えるのです。
彼は何故「脱出できたとき、『ありがとう』」と言ったのか。
それは自分の人生とを見つめ直すきっかけと、運命について考えることができたからなのだと思います。
他にも「ワイルドバンチ」「明日に向って撃て!」について語るシーンなど、映画ファン向けの描写も多々あります。
この映画をみて感じたのが、当たり前にジュースや水が飲めて、人がたくさんいる普段の生活のありがたみです。
作中にはそれを思わせるカットがたっぷりあるのです。
最後のテロップで表示されるメッセージで感動できるのは「スラムドッグ$ミリオネア」と同じ。
やっぱりこの監督の作品が大好きです!