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みんな、がんばれ「ヒミズ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、映画「ヒミズ」を劇場で観ました。

ヒミズ




個人的お気に入り度:8/10

一言感想:いままでにない、感動


あらすじ


中学生の住田祐一(染谷将太)の夢は「普通に生きること」だった。

彼の住む貸しボート屋の近くには、震災で職を失った元社長の夜野正造(渡辺哲)をはじめとするホームレスが住み着き、女子中学生の茶沢景子(二階堂ふみ)は毎日ことあるごとに住田を追い回していた。

住田の父は乱暴をはたらき、母は彼を捨てて出て行ってしまう。
借金取りがボート屋におとずれると、その男は「お前の父親が600万の借金を背負っている」と告げた。
激昂してかかる住田だったが、返り討ちにあってしまう。
そして彼の向かう未来は・・・




園子温監督最新作であり、氏の映画の中では最もメジャーに公開されている作品です。

しかし、これはものすごく好みが分かれる映画でもあります。
園子温監督の作風を知らない方にはかなりキツいんじゃないでしょうか。

登場人物に「普通」の人はほとんどいません。
泥沼にはまり、ことあるごとにむせび、叫びまくる主人公の少年が最もまともと感じるほどです。
その中でもヒロインの女子中学生がかなりエキセントリックで、人によってはどん引きレベルだと思います。

展開もリアリティを追求しておらず、現実的に考えればありえないシーンに辟易してしまう人もいるかもしれません。

そして暴力、暴力、暴力。
この映画には人が殴られるシーンがとにかく多い。
これだけでこの映画が受け入れられない人もいるでしょう。

でもこの映画が自分は大好きです。
何より、この映画のメッセージはかなりストレートで、「どん詰まり」の人生を応援してくれるのです

主人公の中学生が絶望したとき、彼を追い回すヒロインはなんと言ったのか。
その一言一言が胸に刺さります。

自分が流した涙に驚きました。
この映画で溢れたのは、「悲しい」とも、「嬉しい」とも違う、ひとことでは表現できない感情でした

結末にも賛否はあると思いますが、自分はこの結末で、本当によかったと思います。


原作は「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の漫画です。

古谷 実
1250円
評価平均:
powered by yasuikamo

自分はこの原作は未読でしたが、ストーリーや登場人物の設定には大きな差異があるようです。

また、この映画には被災地である宮城県石巻市の映像が使われています。
映画を観るまでは「震災の映像が必要なのか」とも思っていたのですが、これも良い方向に働いていたと思います。
もしかすると、震災がなければこのラストにはならなかったのでは・・・とも思えるし、メッセージがより明確に伝わる役目を果たしています。

これには否定的な意見もありますし、前述のとおり暴力的な描写が多いので気軽にはおすすめできませんが、震災で傷ついた地域の方にも是非観て欲しいと思えました。


これから公開する地域も多いので、是非劇場で、この感動を体験して欲しいです。
園子温監督作品を知ってから観ることをオススメします。


以下は結末を含めて激しくネタバレです 未見の方は読まない様にお願いします↓
















~野暮な突っ込みどころ~

・震災のせいでホームレスになっているけど、普通なら行政の助けがあるはずだよね
・「5,7,5」と言いながら殴るゲームは普通ならドン引きレベル
・ホームレスのうち吹越満と神楽坂恵の2人がほぼ活躍していないよね
・泥棒をしに行った部屋にハーケンクロイツがあったけど怒られないか心配
・いくらなんでも通り魔多すぎだよね
吉高由里子さんの無駄使い(窪塚洋介演じるスリの部屋にいた人)
・夜野さん(渡辺哲)は自首しないの?

でもこれらは全部些細なことです。
園子温監督作品はリアリティよりもストレートな表現方法を重視しているのでしょうし、観ている間は気になりません。

茶沢さんの両親が絞首台を作っているという異常さも、この監督ならでは。
現実ではありえないことですが、「具現化をするとこれほどグロテスクなもの」という警告のように感じるのです。

個人的に気になるのは「何故ホームレスの人たちは中学生の住田に対して敬語なのか」ということがあります。
彼らが何故住田を慕っていたのは、自分たちと同じく「何かを失っていた」からなのだと思います。
そして住田は彼らと違って、若い。彼らは自分たちのことを「日本の過去」と言い、住田を「未来」と言っていました。
だからでこそ羨望の意をこめて「さん」付けで呼んでいたのではないでしょうか。



~作中の台詞~

茶沢さんが集めていた「住田語録」が好きです。
「金さえあればお前の魂なんか余裕で買えるね」「天国も地獄もないだろ、死ぬだけだ」などなど。

住田は「ヒミズになりたい」とも言っていました。
ヒミズは「日不見」と書き、モグラの一種を意味しています。
他にも「大きな不幸もなければ大きな幸福もない、俺はそれで十分なんです」という台詞もありました。
彼は「日を見なくてもいいから、ひっそりと生きたい」と願っていたのでしょう。

作中の詩は「ヴィヨン詩集」からのもの。
「ミルクの中の蝿」は「きれいなものの中で、異質なもの」、転じて住田に訪れる出来事を暗示しているように思えます。


・住田「俺はまだまだ全然普通だと思うけど」

茶沢に「もう普通じゃないよね」と言われた時のことば。
彼は現実主義者っぽく見えるときもありますが、こうして認めないところもありました。


・住田「こんな定番の不幸話じゃへこたれねーぞ!俺は立派な大人になるんだ!」

借金取りが来たときに言ったことば。この彼の思いは、粉々に砕かれることになります。


・住田「5月7日、おまけ人生の初日です。ゴミ以下の命を社会のために使ってみたいと思います」

彼は父親を殺した次の日から「自分の人生を『おまけ』」と呼びます。
彼はクズの両親を嫌い、「(普通の)立派な大人になる」のが夢でした。

しかし人を殺してしまいます。
TVでは「ボートを乗りに来た男」が通り魔として捕まり、男は「心からの友(住田)に会えた」と言いました。
「クズと同等」になってしまった彼の苦しみは想像を絶するものでした。


・夜野さん「あの子に未来を託したいんだ!」

借金取りにこう訴えます。
震災でなにかも失った夜野ですが、こうして「未来ある若者」のために動いたー
自己犠牲ともいえる行動は、印象に残ります。

全然関係ないこと書くけど、演じている渡辺哲さんの一挙一動が可愛いと思ったのは自分だけでしょうか。
何これ。親父萌え



誰かを殺しに街を徘徊していた住田ですが、誰も殺すことなく戻ってきます。

「俺は誰なんだ」と言う通り魔。
「メスブタ」と落書きをされている女性の言う「好きでやっているからいいの」。
彼はその姿にも思うことがあったのでしょう。

借金取りの金子は「お前には腐るほど道があるのに。勝手に自分を追い込んでいる」と言い、彼に銃を渡しました。

再び家に帰ってきたときには、ホームレスたちと、茶沢さんがボート屋に電飾を施してくれました。
久々に見た、住田の笑顔にほっとします。



・茶沢「住田くん、明日、自首しよう」

・住田「俺は誰かに道を教えてもらわないと、何もできないだめなやつなんだ」

・茶沢「君は自分の決めたルールにがんじがらめになっているだけだよ。
    人生にケチをつけられた人は、それでも頑張って生きていくしかないんだよ。
    住田くんは病気なんだよ、少しだけ休む時間が必要な病気。
    立派な大人になりたいんでしょう。
    まだまだぜんぜん間に合う、まだまだぜんぜん間に合う。
    だからテープに録って、SOSをくれたんでしょう。」

・住田「俺はこれでよかったのかもしれない、茶沢さん、ありがとう

・茶沢「大丈夫だよ、いっぱい会いに行くよ」

・住田「でも、茶沢さんはどこかの大学生の彼氏ができるんだ」

・茶沢「もう、そんなのできないよ。
    ねえ、出所したら、結婚して、アパートを借りて、暮らそう。
    そして子どもを産んで、産んでくれありがとうって思ってもらうんだ」


彼らの願いは、あまりに普通すぎるものでした。
それを叶うことが難しい世界。
住田と茶沢だけでなく、その世界は誰しもが共通のものです。

ささやかな願いを言う彼らの姿に涙が止まりませんでした。



~ラスト~

住田は銃の弾を撃ち尽くし、自殺をしたいと願った自分と決別します。

一緒に走る住田と茶沢。
茶沢さんはこう言います。

がんばれ、住田、夢を持て!この世でたった一つの花だろ!

彼らの教師も「世界に一つだけの花」だと住田に言っていましたが、それは表面的で薄っぺらいものでした。
茶沢も「花ってそんなにいいものですか?きれいなものとか、汚いものとか、いっぱいありますよ」と反論しています。

でもこのシーンでは、そのことばがとても大きな意味を持ちます。
父親を殺し、人生にケチがついた住田。「きれい」なんてもんじゃありません。
それでもひとつの花なのです。

映画のラストカットは震災の映像でした。

誰しも人生の落とし穴があって、生き抜くのは大変なものです。
だからでこそ「がんばれ」というメッセージが込められているのです。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2012-02-24 : 旧作映画紹介 : コメント : 1 : トラックバック : 1
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ヒミズ
「気持ち悪い」のは狙いか、失敗か。    ヒミズ  (2012年 日本映画)   70/100点  その日は、大変疲れていました。  眠気も強くあって、もう寝よう
2012-10-25 09:28 : 素人目線の映画感想ブログ
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非公開コメント

No title
自分も住田のようなものでした。
自分は悪い事してないのに この人生に
偏見やケチがつけられたりどうにもできない問題があって
傷つくこと暴走することが多い 小さい幸せ平凡でいい
それすら望めない人や事件の被害者など多いの この格差時代です。
生まれた家や環境すべて決められてしまう。
そんな生まれの人が見て 
とても頑張れよ
勇気を貰える映画だと思います。コンな人生だけど一つの命なんだと。
2015-05-18 11:37 : 匿名 URL : 編集
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『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
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『リアル鬼ごっこ(2015)』
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『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
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『渇き。』
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<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
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『横道世之介』
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<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
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『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』

<2011年上半期公開>
『ブラック・スワン』
『八日目の蝉』
『手塚治虫のブッダ』
『わたしを離さないで』
『パラノーマル・アクティビティ2』

<2010年公開作品>
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