主要キャスト以外はまさかの良作「映画 こち亀」ネタバレなし感想+シーン紹介
![]() | 香取慎吾 4390円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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個人的お気に入り度:6/10
一言感想:どうしよう・・・すごく面白かった
あらすじ
警察官の両津勘吉(香取慎吾)は、幼馴染で旅芸人の沢村桃子(深田恭子)と再会を果たす。
桃子はシングルマザーで、娘のユイと二人で暮らしていた。
久しぶりの再会に喜ぶ両津だったが、誘拐事件が発生する。
犯人は警視総監の孫と、ユイを間違って誘拐してしまったのだ。
両津たちは事件解決のため、あらゆる手段を使う。
いやあどうしよう。
2011年 この映画はいったい誰が観に行くんだ!?大賞に見事選ばれた本作、批判するつもりで観たのだけど、面白くてどうしよう。
はじめはほのぼのとした人情話でスタートし、中盤以降は犯人の心理描写が秀逸で、最後は不覚にも感動してしまった・・・何か悔しいな。
「意外と悪くない」という話は聞いていましたが、ここまでとは。
最近では「僕たちは世界を変えることができない」に次いで観る前とのギャップが激しかった作品でした。
映画は観ないとわからないのものですね。
この作品を観てわかるのは、黒澤明監督の大傑作「天国と地獄」をリスペクトしていることです。
![]() | 三船敏郎 2900円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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*中盤以降はちょっとだれるけど、それまでは邦画史上最高級に面白い作品だと思います。
子どもを間違えて誘拐してしまう、というプロットがそのままです。
犯人の動機も近いものを感じました。
どちらも犯人役の方の演技がすこぶる上手いので、ものすごく説得力があります。
第二の「男はつらいよ」にしたかったというのも、こういった名作への敬意があったがゆえなのだと思えました。
そして言わずもがなのことですが・・・この映画の欠点は主要キャストです。
それ一番重要な要素だろ。
黄色い制服を着た、挑発気味な態度の速水もこみちを観るたびにテンションが下がります。
ピンク色の制服を着た、雰囲気がイケイケな香里奈を観るたびにゲンナリします。
わざとらしいべらんめえ口調でしゃべり、「ほげ~!」と原作にはないギャグをほざく香取慎吾は直視できないレベルです。
とりあえず、「あしたのジョー」「うさぎドロップ」に続き香里奈が大嫌いになりました。
香里奈が悪いんじゃなく、キャスティングが悪いんだと思う。
でも本当水準以上に面白い映画です。
展開にツッコミたい部分もあるんだけど、意外と観ている間は気にならないし、冗談抜きで大人から子どもまで楽しめると思います。
ちなみに脚本を手掛けたのはドラマ「JIN-仁-」の森下佳子さんです。
ラストの展開や中盤の台詞は本当上手い。
ちゃんと大人向けのメッセージが込められているので、共感できる人はきっと多いと思います。
以下、作中のシーンが少しだけネタバレです↓ 結末には触れていません。
さて褒める前に、まずはきっついシーンからご紹介。
「ほげ~」と香取が宙を舞いながらほざき、そしてタイトルが表示されるオープニング。
借金取りに追われる展開までは面白かったけど、ここで台無しになる。
幼馴染に再開し、ときめく香取(もう両津とは呼ばない)は・・・
「ああん(はぁと)」とギャグ。
このあたりは死んだ目で観るしかなかった。
この映画でヒロインを演じるのは深田恭子です。
若すぎる気がしなくもないですが、このキャラクターを見事に演じていたと思います。
でも・・・
このシーンでは全く共感を得れません。
その制服が似合っていない事がこの映画の最大の汚点ですってば。
おつぎはもこみち演じる中川です。
見てよこのツラ。すげえムカつくでしょ。
MOCO'Sキッチンなどでみせるイケメンっぷりが台無しです。
ギャグにはイライラしっぱなし・・・なのですが、意外とよいシーンもあります。
香取は飛び入りで劇に参加。役名は大原(部長の名前)です。
これ以降、部長のいじりっぷりが楽しくて仕方がない。
後に派出所に戻ったときは、こう部長に言います。
「劇が気に入ったので警察やめます」
こういうこと、原作でもありますよね。
この後の部長の頭突きがまた笑えます。
ほかにも手先が器用だったり、アイスの当たり棒を偽造して子どもに売るなど、ちゃんと両津勘吉らしいところも見せます。後者はやりすぎだけど。
香取が「結婚するよ、相手はコブつき(子どもがいる)だけど」と両親(演じているのはラサール石井と柴田理恵)に言うと・・・
「嫁がきてくれてよ、しかも子どもにおめえの血が流れてねえなんて、こんなめでてえことはねえ!」
うわあ確かに。
この映画の誘拐犯の一人は谷原章介が演じています。
イケメンのイメージが強い谷原さんですが、この映画ではさえない男にしか見えなかった。めっちゃ上手いです。
誘拐の共犯者が「お前は、俺に命令されたってちゃんと言うんだぞ、それでお前は捕まらない」と、谷原さん演じる彼に伝えるのだけど・・
「おっさんの人生のほうがよっぽど割に合わねえよ、俺が自首するよ」
この台詞には不覚にもホロリときてしまいました。
「1枚だけ(夫との)写真を残している」
「勝どき橋のウソ」
という伏線も上手く生かされていて満足です。
「説得シーンでの『おっさんだけが褒めてくれるから!』」
「ヒロインに向かって『お前にはたった一人だけ嘘をつけない相手がいるだろう!』」
というのも上手い。
全体的にこの映画には気のきいた台詞が多く、作品の質を高めています。
この映画、主要キャストの3人がまともな警官の制服を着て、ぐっさんあたりが両津を演じていれば普通に評価されていたと思います。
これだけ「企画は綿密に立てよう」という教訓を教えてくれた本作にある意味感謝しています。
ネタバレ参考→2ちゃんねる映画ブログ
あのパートカラーになるシーン。
「七人の侍」の旗のシーンと重なります。
横浜の朝鮮人部落(スイマセン、差別語かしら?)のシーン。
ロケハンの時も、怖かったそうです。
菅井キンさんの名シーンです。
それと、禁断症状に苦しむ患者が、ブリキ板に爪を立てて苦しむシーン。
病院裏の焼却場管理の藤原鎌足さんの怪演技!
(あの帽子!)が素晴らしい。
犯人が接触する、其の頃珍しいインターナショナルな酒場のシーン(あれを、ゴーゴーバーと言ったのかしら)
閑話休題
山崎努氏の始めての、映画作品でした。
そして、台詞が『(お金持ちの)権藤さん』
先年、自死したあの「マルサの女」を作った監督が出演した山崎努さんの役名が、『悪徳高利貸し 権藤某』
絶対、いたずら好きな伊丹十三さんは、デビュー作を知っていて名づけたと思ってます。
本当に、懐かしい映画ですね。
> あのパートカラーになるシーン。
> 「七人の侍」の旗のシーンと重なります。
「天国と地獄」のあのシーンは驚けますね。予備知識なく観れてよかったです。
> 本当に、懐かしい映画ですね。
若い人にも観て欲しいですね。
かたっくるしくない、素晴らしい娯楽映画なので。