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彼女の望んだ世界「メランコリア」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー

遅ればせながら、劇場で観た映画メランコリアの感想です。

メランコリア2



個人的お気に入り度:7/10

一言感想:人には絶対薦めない、病んだ終末ストーリー


あらすじ


ジャスティン(キルスティン・ダンスト)は結婚を目前に控えていた。
しかし、幸せなはずの結婚式で、彼女とその家族の関係には不協和音が鳴り響く。

さらに、空に青く輝く惑星「メランコリア」は地球に着実に近づいていた。
ジャスティンの姉・クレア(シャルロット・ゲンズブール)は惑星が地球に衝突するのではないかと不安がり、その夫のジョン(キーファ・サザーランド)はそれをなだめるのだが・・・




ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」のラース・フォン・トリアー 監督最新作です。

「星が地球に衝突する」という世界の終焉を描く映画には「アルマゲドン」「ディープ・インパクト」などがあり、それらは大衆向けの娯楽作品でした。
このメランコリアもそういった「終末系ムービー」のひとつなのですが、これはもうすさまじく万人向けじゃありません

なぜかと言えば、この映画の登場人物がものすごく病んでいるから。
その原因は「世界が終わる」という1点ではなく、人間関係によるものもあるのです。

次第に精神が蝕まれ、うつ病になっていく描写は、かなり精神的にキツいものがあります。
さらに主人公の中盤の行動や、終盤に姉に言うことは、一般人ならどん引きレベル。
ひたすら陰惨鬱々、コメディシーンも皆無、登場人物はひどいことばを他人浴びせるわで・・・カップルで観るのには絶対にオススメしません。

こうなったのは、もちろん監督によるもの。
トリアー監督は人間の嫌~な面を描くことが大好きな方(この言い方にも語弊があるけど)で、この映画でもそれが十二分にあらわれているのです。

この映画を撮る前に、トリアー監督も、さらには主演のキルスティン・ダンストもうつ病にかかっています。
主人公の行動や言動はその投影でもあるのでしょう。


この映画の長所は、その画づくりと、いろいろな解釈ができる奥の深さ。

荘厳な音楽とともに展開するオープニング、ラストシーンはひたすらに美しいです。

何気ないシーンにもいくつもの含みがあるように感じられます。
観る際は、主人公の言動や、登場人物のことばを拾い上げ、「なぜ」なのかを考えてみることをオススメします。


惜しいのは話の進みがゆっくりで、やや冗長なこと。

特に第1部(映画は2部構成)は退屈に感じる人も多いかもしれません。
しかし、登場人物の内面を濃密に描くことには成功していると思います。


映画を観慣れないという人は絶対観るなと言えるレベルの作品ですが、監督の前作「アンチクライスト」ほど難解ではありません。

ほとんどのところで上映は終了(3月下旬現在)してしまいましたが、これから上映開始する地域もあるので、玄人向けの映画が観たい人は是非劇場へ。


以下、ネタバレで気になったシーンなどを書いています 結末に触れているので鑑賞後にご覧ください↓















~オープニングのイメージ~

オープニングが流れるのは約8分間。
この長さは「ツリーオブライフ」を思い出すのでちょっと不安でした。
でも画は素晴らしく、後のシーンともリンクしています。

以下のイメージが、惑星メランコリアと地球の映像をはさみながら展開します。


・ジャスティン(主人公)の顔のアップ、後ろでは鳥たちが墜落している

・燃える絵
第1部でにジャスティンが狂ったように整理していた絵のなかに、これがありました。

・息子を抱き抱え、ゴルフ場の上を歩くクレア(主人公の姉)
足が埋まり、ほとんど前に進めていないようにも見えます

・馬が倒れる

・惑星メランコリア、半分の月、太陽の下に、それぞれジャスティン、レオ(クレアの息子)、クレアがいる

メランコリア1

ジャスティンはうつ病にさい悩まれていること、クレアは生のエネルギーの象徴であること、レオは「どちらでもない」をあらわしているように思えます。

・ジャスティンの手の指から電気が放出されている
第2部では電柱から出ていました

・灰色の毛糸に足をひきずられる、ウェディングドレス姿のジャスティン
第1部で、母親に「思うように動けない」と、このことを言っていました。

・屋敷の窓の向こうでは火が燃えている
火事?

・水の上に横たわる、ウェディングドレス姿のジャスティン

・木を削るレオ、それを遠くで見つめるジャスティン
第2部のラストでは、ジャスティンがレオに木を削ることを教えていました。

・そして、惑星メランコリアと地球が衝突する


断片的で抽象的なイメージばかりです。
このオープニングはジャスティンの夢と考えるのが普通なのでしょうが、そうとも限りません。

後の2部のシーンのほうにも、現実的ではないシーンがあるので、映画のどこが真実なのかは誰にもわかりません。



勝手で乱暴な解釈ではあるのですが、自分は第2部の「惑星メランコリアが地球に衝突する」という出来事こそが、ジャスティンの夢(もしくは妄想であり願望)でないのか?(もしくは、彼女が望んだ事で現実になった)とも思えるのです。

以下にその根拠をあげてみます。



~19番ホール~

第2部の現実的ではないシーンのひとつが「19番ホール」の存在です。
「ゴルフ場には18のコースがある」という台詞があったのに、クレアが息子を抱いて走るシーンでは「19」と書かれた旗が見えるのです。

これこそ、第2部の世界も現実でないことを示しているものなのではないでしょうか。



~ジャスティンは予知能力者?~

この世界は彼女の頭の中で構築されたもの。
そう考えると、ジャスティンが「ビーンゲーム」での豆の数を当てたり、惑星が衝突することがわかっていた(一度メランコリアが地球を通り過ぎるのをみたとき、ジャスティンは無表情でした)のも説明がつきます。
*このときの豆の数にも意味があります→<参考>佐藤秀の徒然幻視録:メランコリア~死に至る病

彼女が望む妄想の世界なので、思い通りにできるのです。

象徴的なのは、ジャスティンが全裸で惑星メランコリアが放つ光をあびているシーン。
病的にも美しいこのシーンで、自分はジャスティンが「ジャスティンは惑星と心を通わせている」「ジャスティンは惑星を支配できている」ようにも感じました。



~渡れない橋~

第1部で馬のアブラハムは橋を渡ることを躊躇します。

第2部でも渡れず、ジャスティンはアブラハムを叩いて進ませようとしますが、それをクレアに止められます。

さらにクレアがゴルフカートで村に向かおうとしたときにも、橋を渡ることができませんでした。
しかも停めてあった車はことごとくエンジンがかからなかったのです。


これはどういうことか。
これは惑星が衝突する世界が、このゴルフ場という中だけで構築されている、ということの暗喩のように思えるのです。

映画では、世界の終焉にあわてふためく人々や、マスコミの報道などは一切描写されません。あるのはインターネットの情報のみです。
さらに周りと隔絶されたゴルフ場の豪邸には、ジャスティン、クレア、ジョン(クレアの夫)、レオ、馬しかいないのです。

これは、この場所は個人の人間の妄想もしくは夢の世界のものなので、それだけしかいない、そこから出ることはできないという描写なのではないかとも思えます。


興味深いのは、ジャスティンも馬を叩いて、そこから脱出しようとしていたこと。

ジャスティンは「地球の生物は邪悪」などと言い、世界が滅ぶことを望むほどに精神を病んでいました。
この世界が彼女が望むものなら、自ら脱出しようとするはずはないのではないか・・・と思えます。
しかしジャスティンの本心では、どこかに「死にたくない」という矛盾した願望があったのではないか、と思えるのです。

世界が滅亡する中で、一人だけ冷静なジャスティンでしたが、実はそうではなかったところがあるのかもしれません。



~なぜジャスティンは、世界が滅びればいいと思った?~

現実か夢のなのかはっきりしない第2部とは対照的に、第1部は現実味があります。

ウナギのように長い車がなかなか進めないのは、これから起こる憂鬱さをあらわしているかのようです。

ジャスティンの両親は最悪です。
母親はジャスティンの結婚について「身内の結婚なんてうんざり」とかスピーチします。
父親はスプーンをパクるわ、勝手に帰った上に娘の名前を「ベティ」と間違える(?)し・・・・

そしてジャスティン自身も、結婚式に2時間も遅れたのに謝罪をしないわ、真っ先に馬のアブラハムの様子を見に行くわ、ウェディングドレス姿のまま放尿するわ、母親と同じく勝手に風呂にはいるわ、新郎とのセックスを拒否するわ、あまつさえそれほど面識のない男とセックスをするわで・・・感情移入をはばむかのような最低な行動ばかりです。

クレアが「あなたがときどき憎くてたまらなくなる」と言うのももっともです。

これはジャスティンがすでにうつ病にかかりかけていて、周囲のわずらわしい人間への攻撃でもあると思います。

優しい夫ですら、彼女にとっては煩わしいものだったのでしょう。
夫の示した「リンゴ畑の写真」に無関心だったのもそれを表しています。


彼女は愛を感じない両親、周囲の人間関係の煩わしさに辟易し、第2部のすべてが滅ぶ世界を作り上げたのではないのでしょうか。

彼女は上司へ「(広告の)キャッチコピーは『無』でどう?」と提案していました。
彼女は「何もかもがなくなる」ことを望んでいたと解釈できる気がするのです。

もちろん、第1部でも惑星メランコリアは見えていますし、その存在は現実にあり、彼女の意志とは関係ないのかもしれません。
映画はどちらの解釈でもいいように作られていると思います。


ちなみに、ジョンによって母親の荷物が外に出されたとき、ジャスティンはそれを部屋に戻していたりもしています(はじめに拾ったのは「リトル・ファーザー」だけど)。
ジャスティンは、母親を心の底からは嫌いになれていなかったかもしれません。



~解放されたジャスティン~

ジャスティンは第2部の世界で、自分で入浴もできないほどに疲弊しきっていました。
しかし、地球を滅亡させる惑星が近づくことに対しては、誰よりも冷静です。

クレアの夫・ジョンはしきりに「絶対に惑星はぶつからない」とクレアに告げていましたが、あっさりと自殺してしまいます。
ジョンは地球が滅亡することを知ると、それだけで絶望してしまったのでしょう。

常識人のクレアは、惑星が通り過ぎるときには安堵し、再び近づいてきたときには狼狽します。
「最期のときをステキにしたい」と言いますが、ジャスティンにはナンセンスであると突き返されます。

ジャスティンがレオと作ったのは「魔法のシェルター」。
ただの枝で作った骨組みにすぎません。

最期は、3人がその中に入り、滅亡のときを迎えるのです。

地球が滅亡することに対して冷静なジャスティンの姿には「絶望があれば、ほかの絶望を乗り越えることができる」ということを感じました。

うつ病にかかり、生きる気力を失っていたジャスティンですが、これから地球が滅ぶ世界では誰よりも希望を感じていたのだと思います。

事実、彼女は「私のような生き方は楽よ」と、クレアに告げていました。
*監督はパンフレットの中で「うつ病の人は大きな可能性を持つ」と言っていたそうですが、まさにそのとおりだと思います→<参考>ユーザーレビュー - Yahoo!映画

世界が滅び、『無』になるという終幕のはずなのに、どこか解放されたように感じるのは、そのためだと思うのです。



オススメレビュー↓
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arnoldの待ち人手記

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2012-03-21 : 旧作映画紹介 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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