作戦を説明してくれよ「トロール・ハンター」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:全編に溢れるテキトーさがむしろ素敵
あらすじ
大学生のトマス、ジョアンナ、カッレの3人は、学校の課題で地元で問題となっている熊の密猟事件を調査し始める。
道中、3人はハリスと名乗る猟師と出会い、取材には一切応じない彼を追い掛け回す。
その先で、熊のものとは違う異様な足跡を発見する・・・
トロールとはノルウェーの伝承に登場する架空の生き物。
本作はそのトロールが本当に実在するのか?を確かめに行くというモキュメンタリーです。
つまり藤岡弘、の探検シリーズを映画化したと言えばわかりやすいですね。
ていうかこの映画と藤岡弘、が普通にタイアップしているなんて知らなかった。
まあのっけから言うと、この映画はバカです。
つっこみどころは満載で、え?なんで?と思うところがしばしば。
ディテールにこだわっているのはトロールの生態くらいなもので、他の展開は「あ、これ面白いんじゃね?」とアイディアを思いついたら入れたような適当さなのです。
また、この映画のプロットは素人の大学生3人が、ベテランのトロールハンターについていくというもの。
困ったことに、このハンターのおっさん、トロールの生態はやけに詳細に教えてくれるのに、肝心の捕まえる作戦はおおまかにしか言ってくれません。
せいぜい「トロールの臭いを塗りたくってついてきて」「赤外線ビームを当てるよ」くらいのもんです。
大学生3人とチームプレイをしたりするシーンがなく、両者の関係も淡白です。
アツい展開を期待している自分としては少々肩すかしでもありました。
上映時間が1時間43分と、この手の映画としては少々長めで、退屈なシーンも多い印象です。
でもこの映画ではそこは大きな欠点になっておらず、登場人物たちが超大真面目なのに、見ているこっちはアホらしくて笑える、というステキな構図が生まれています。
ハンターの行動に対して、3人のバカ大学生が常に大慌てなんですよね。
この手の映画は真面目に観たら損。
「うわぁ、〇〇したよ」「そんなわけねえだろ!」とつっこみつつ観たら幸せになれる映画だと思います。
あ、そうそう半分コメディ映画みたいなもんですが、本作はお子様の鑑賞はおすすめしません。
何故ならに今回の映画のトロールは・・・




↑こういうベルセルクとかに出てくる奴ですから!
子どもが観たら泣くレベルです。
まあしかし、この映画の
最近ではハリー・ポッターの名を冠した映画が製作されますし、もしかすると世界でトロールがブームになるかも・・・と思わせる「夢」を感じます。
公式ページではJTSS(日本トロール保安協会)が、トロール写真を募集する企画もあります。
このムーブメントは応援したいな、と陰ながら思うのです。
以下、結末も含めてネタバレです↓
以下、トロールとの戦いをおさらい!
① VSトッサーラッド
3つ首のトロールです。<呼んだ?
なんで顔が3つなの?という理由が
・あれはただの突起物で、威嚇やメスへの求愛のため
・年齢とともに増える
と意味がわからないのも素敵。
しかしのっけからデカい!
結果は3人が逃げ惑った後、ハリス(ハンターのおっさん)が紫外線ビームを放って石化して勝利!
ちなみに石化するのは年老いたトロールのみ。
普通のトロールは光を浴びせると爆発します。
その理由は作中に登場する獣医が答えてくれるのですが、無駄知識がつくだけで誰も得しないので書くのはやめときますね。
② VSリングルフィンチ
おっさんがいきなり完全武装したのに笑いました。
写真ではわかりにくいですが、おっさんは鉄のバケツみたいなのと戦国武将っぽい鎧を着て、でかい注射器を構えています
そんな肉弾戦しようとせずに、遠隔から撃てよ!麻酔銃っぽくさあ。
しかもこの後正面から普通に注射を打てそうだったのに、謎の回り込みをするわ、結果つかまれて噛まれて地面にすさまじい勢いで叩きつけられるわ!
笑いすぎて腹筋がやばかったです。
最後は結局紫外線ビームを当てて大爆発して勝利!なんだこれ。
ちなみに注射器を使うのは、トロールの血液を採取したいというのと、爆発すると苦しいらしいから楽に死なせてあげたいという気遣いのためです。
※以下の意見をいただきました。
注射で殺せたらいいのにっていう獣医の願いなだけで、ハンターはそもそも注射で殺そうとしてません。
あれは採血専門です 。
一番謎なのは、武装したハンターのおっさんが「赤いボタンに触れるな」と言っていたこと。
押したらどうなんのさ。気になって夜も眠れないじゃないか。
③VSマウンテンキング
↑のベルセルクで出てきたやつです。
洞窟に入った一行のもとに5匹(それ以上かも)やってきて、袋小路に追い詰められ絶体絶命になります。
ここで「トロールはキリスト教徒を嗅ぎ分ける(ハァ?)」という謎設定が思い出されたように生かされます。
カメラマンのカッレが実はキリスト教徒だったのです。
カッレはマウンテンキングに襲われ、あっさり死んでしまいます。
悲しみにくれる大学生2人・・・かと思えば即効で次のカメラマンを手配しやがります。
おいコラ。死体の回収はしないのかよ、親御さんへ連絡はしないのかよ、なんでそんな怖い目にあって記録をやめようと全く思わないのはどういうことだよ。
しかも新しいカメラマン(女の子)が「牛の撮影って聞いたけど」と言うのに対して、「実はちょっと違うんだ」とほざきます。ちょっとどころじゃねえよ。
とりあえず、トロールより怖いのはこの大学生の淡白っぷりということで。
④VSヨットナール
ついに大ボス。
もっとも巨大なトロールです。
ここに行くまでに、ハンターのおっさんはトゲのつきまくった装甲車を作って準備万端です。
しかも
・電線は電気を送るのではなく、トロールを囲うため(電線の会社に聞いたところ、電気はどこにも供給されていなくて、ぐるぐると循環しているらしい)
・トロールの餌用に牛を放牧しているよ
という素敵設定が明らかにされます。
たぶんこれ監督が、そのへんの風景を観て思いつんたんじゃないかと思います(違ったらごめん)。
そして衝撃の事実!トロールが暴れまわっていたのは狂犬病にかかっていたからだったのです!
ええー!しかも大学生の一人(トマス)までも狂犬病にかかっているという展開!
映画の登場人物にとっては深刻な問題ですが、観ているこっちはずっと苦笑いで眺めるしかなかったよ。
その後は、トロールのビンタにより装甲車が横になったり、キリスト教の音楽をかけておびきよせたり。
最後には、ハンターが謎の紫外線ビームのかたまりみたいなのを胴体に当てて勝利!
そんな伏線とかあったっけ。
最後はしきりに「カメラで撮るな」と言っていた役員の車がやってくるのをみかけ、全速力で逃げる大学生たち。
なんでや。映像が没収されると思ったんでしょうか。
助かったかどうかもさだかではない大学生たち(狂犬病は?)。
ハンターと、何故かヒッチハイクしていた地震学者も大丈夫なのか気になります。
すげーもやもやするんですが。ひょっとしたら続編があるのかもしれませんね。
そして登場するノルウェーの首相イェンス・ストルテンベルグ。
「やべ、言っちゃった」的なノリで、トロールの存在を言ってしまいます。
「記者にとっては意味不明だった」というテロップがまた笑いを誘うから困る。野田総理もびっくりですね。
そしてエンドロールの最後に登場するテロップは「この映画に登場するトロールは一切虐待されておりません」!
あはは、そりゃトロールを愛でている方達にとっては重要な要素だもんね。
とりあえず、この映画の教訓はトロールが出そうだったらトロール臭を塗りたくろう!ということで。
ノルウェーに旅行したときは気をつけます(デマに惑わされないように)
あれは採血専門です
> あれは採血専門です
ありがとうございます。修正します。