故・森田芳光監督作品だけどこれは観なくていいよ「模倣犯」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
そんなわけで邦画史に燦然と輝く超駄作「模倣犯」(制作:2002年)の感想です。
![]() | 中居正広 2437円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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個人的お気に入り度:1/10
一言感想:え?ギャグ?
あらすじ
中居正広が殺人鬼をやってあぼーんする話。
やっべえ、マジでつまらなかった。
原作者である宮部みゆきが激怒し、試写会の途中で退出したという逸話を持つ本作。
先入観をなるべく持たないように、面白いところを探すように観ていましたが無駄な努力だったようです。
何よりメインのストーリーがダメすぎ。
この映画は前半に殺人事件の被害者側の描写をして、後半は犯人側の視点に移行するという構成が取られています。
これにより主演であるはずの中居正広が、はじまって45分間は一切出てこないという妙ちきりんなことになっています。
それ自体はミステリアスな雰囲気があるし悪くはありません。
問題は被害者側、加害者側両方の描写が薄っぺらく、無駄な登場人物が多く、焦点も定まっていないので誰に感情移入をすればよいのかわからないことです。
それに付け加え、この映画ではしょっちゅう時間軸が前後するのですが、これがひどくわかりにくいです。
たまに「10ヵ月後」とかテロップが流れるのですが、回想シーンを描いているときではそれがない。
優れた映画はテロップが無くても、演出や登場人物のことばなどにより、どの時間軸を描いているかはすぐわかります。
しかしこの映画ではそれがないばかりか、テロップを中途半端につけたおかげで余計にわかりにくくなっている。
本末転倒です。
そして無駄な芸能人の出演・・・
藤井隆が共犯者の友人という超重要人物というのもミスキャストだし、爆笑問題までもが出演します。
ただでさえ寒い雰囲気を一層氷点下へ持って行ってくれます。
その寒さは台詞のせいもあります。
格好つけすぎな独り言も多いのです。
中居正広の共犯者(津田寛治)は、ハリウッド映画よろしく「ほわっと」「〇ぁっく」などとわざとらしくつぶやきます。
さらには「もうこんな事件は起こしてはならない、そのためにはなんでこんな事件が起きたのか、一度検証してみる必要がある」
こういうの↑をモノローグで言ってしまうんです。
そんな主張をベラベラしゃべること自体がナンセンスです。
極めつけはサスペンスとして話が破綻しまくっていることでしょうか。
犯人の追い詰められ方とか、ヒドすぎて話になりません。
ジャンルをサスペンスと認めたくもない。
作中に溢れる冷めた雰囲気を見るとブラックコメディかもしれません。
ええと、よかったところもありましたよ。
①山崎努さんはよかった
②意外と中居正広の演技も悪くなかった
③テクノ調の音楽とともに、「モホウハ~ン」と機械音声が響く名オープニング
④殺人鬼の最期
特に④はヤバイ、まじヤバイ。
予備知識として知ってはいましたが、実際に観てみると想像をはるかに超えていた。
笑いすぎて呼吸困難に陥るかと思いました。
そんなわけでこんな酷い映画を観たのにもかかわらず、貴重なもん観たな~と変な満足感を得れました。
このシーンを観るだけでもレンタル代100円くらいの価値があると思います。
けっこうオススメですよ(ダメ映画フリーク限定で)
以下、容赦なくネタバレです↓でも未見でも読んでいいと思います。一応グロといえばグロテスクな画像があるので注意。
この映画には意味が全くない、謎のCM映像が時々流れます。その一例がしょっぱなから映し出されるこれ。
山田花子。
他にも坂下千里子、PUFFY、佐藤江梨子がCMに出ていますが、誰も得しません。
爆笑問題の出演シーンはこんな感じ。
2人とも普段のまんまの姿。演技していません。いいけど。
田中裕二さんは俳優としても活動しているし、モンスターズ・インクの声もめっちゃ上手かったんだけどな。
藤井隆は、親友と殺人鬼の前で野球選手のモノマネをはじめます。
清原のあとに何故か中村ノリ。
この映画にはこういうギャグなのかよくわからないシーンが多い。
殺人鬼と共犯者はこれを観て笑う。
その狂気を連想させるような演出だったらよかったんだけど、残念ながらそうは見えない。
藤井隆は親友を慮って・・
「君は誰よりも誠実なんだ!」とちょっとボーイズラブ臭がすることを言います。
模倣犯ならぬホモ半(ホモっぽさ半分)です。
他にも「パイナップルを男二人で食べる」という謎シーンもあります。
さて、ここから紹介するのはこの映画の一番の見所です(断言)。
TVで「これは模倣犯です」と指摘されると、中居正広は「全部僕がオリジナルでやったことだ」とあっさり自白します。
そこからのシーンをコマ送りでお届けします。
カメラに向かってピースサインをする中居。何かムカつきますね(この殺人鬼の通称は「ピース」です)。
そんな中居が光りだす!
なんと、首がもげます。
そして首ロケット発射!(めっちゃぷるぷる震えながら飛んでいる)
・
別の角度からもう一度。
筋肉番付みたいにももう一度。
TVの共演者もめっちゃビビっています。そりゃそうだ。
飛んでいった生首が・・・
何故か真っ黒になります。
そしてその首も大爆発。
灰と化した肉片がきれいに飛び散るスタジオ内。出演者のぽかーんとした表情も笑いどころ。
そりゃこんな顔にもなるわ。
そんな感じで盛大に自爆した殺人鬼・ピース。
彼には実は隠し子が居て、遺言書に残した通りにそれを被害者にあずけるというシーンで幕を閉じます。
*もちろん原作にはそんなシーンはありません
「(殺人鬼の)血より(暖かい)環境が重要」という主張はわかるけど、勝手すぎるだろ・・・・。
こいつが自爆する前、山崎努演じる豆腐屋は「人を驚かして記憶に残るヒーローになりたければ、普通の人を感動させろよ。愛を与えろよ」と言っていました。
たしかにその通り、自分は彼の最期を観て、とても驚いたし大感動しました(間違った方向に)。
二度とこんな事件(駄作映画が作られること)が起きないように祈っています。
被害者家族なのにお店を閉めなければならなくなった義男さんをはじめ、殺された人だけでなくその遺族や助けようとした人さえさらに苦しめていく真犯人。
最後にそいつが、ネタをパクった情けない模倣犯だと言われて「僕のオリジナルだ!」とボロを出す所と、その後義男さんにぐうの音も出ないほど言われる所が最高にすっきりしたんですよ…。せめてそのシーンだけでも入れて欲しかった。
どんな映画にも何かひとつ光ってるものがある、と信じたいタイプの映画好きですが、これに関しては観てる間思考が停止していました。このレビューを見て内容思い出したくらいです。
…おそらく二度と見ようとはしないでしょう。
逆にいうとそのシーンの印象が強すぎて他の部分をこのレビューで思い出しました。
原作の重厚さに惹かれて、きっと映画も素晴らしかろうと思い込み、DVDを買ってしまい、死ぬほど後悔しまくったことをリアルに思い出しました(T . T)