どうしちゃったのティム・バートン?「ダークシャドウ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:3/10
一言感想:主人公がムカつく微妙エロ・コメディー
あらすじ
バーナバス・コリンズ(ジョニー・デップ)は、屋敷の使用人であり、魔女でもあるアンジェリーク(エヴァ・グリーン)の恨みを買い、自身をヴァンパイアにされてしまう。
バーナバスは生きたまま埋められ、復活したのは、それから約200年後の1972年だった。
彼は屋敷に戻り、コリンズ家がすっかり落ちぶれていることを知る。
バーナバスは一族の再建をはかろうとするのだが、コリンズ家を追い詰めた魔女アンジェリークは、この時代で今も生きていた・・・
*今回の感想はかなりメタメタに書いています。この映画が好きな人にはごめんなさい。
ティム・バートン監督とジョニー・デップ様が大好きな自分でも、これはつまらなかった・・・・
もともと評判がよくなかった作品なので期待はしていなかったのですが、その期待をさらに裏切る凡打っぷりでした。
例によって問題点を箇条書きしてみます。
①主人公に感情移入できない
これがまずキツい要素。
主人公は魔女によりヴァンパイアにされた同情すべき人物です。
はじめは慇懃無礼な態度に好感を持っていたのですが、後半にいくにつれ傍若無人っぷりがあらわになり「それはない」のオンパレードでした。
②エピソードの描き方が冗長かつ散漫かつ中途半端
映画の登場人物は多めで、「家族」は主人公含めて8人います。
これらのキャラクターのエピソードがどれも中途半端で、しかも各々の目的が不鮮明かつバラバラなのです。
中盤は家族の描写や、一向に対決する気配のない主人公と敵との掛け合いが続きます。
山場と言える山場はなく、ただエピソードが乱雑に置かれているだけ。
これが単純につまらなく、眠気をこらえるのに必死になるほどです。
③下ネタ成分大目
きわどい台詞や、それを暗示するシーンが盛りだくさんです。
それにウィットが効いていれば面白かったのですが、単純に下品なだけで面白いとは思えませんでした。
ひとつだけ、大胆かつ大掛かりな下ネタがあるのですが、これも個人的には微妙です。
終盤まではとにかく退屈で、ラストも結局ドタバタのみで終わってしまった印象です。
誰にも感情移入できず、始終薄味でした。
まあ変人だらけのティムバートン作品に、「感情移入」という要素を求める方がナンセンスなのかもしれないけど・・
そういえば字幕にも妙なクセがあります。
主人公の丁寧すぎる口調は面白かったのですけど、屋敷の使用人「ウィリー」の口調を「~ねえすから」などと変になまらせるのは好き嫌いが分かれそうです。
はっきりいって全くオススメしませんが、ジョニデ様の相変わらずの頭のねじがどっか飛んでいる演技や、「ヒットガール」ことクロエ・グレース・モレッツの成長っぷりは一見の価値があります。
ティム・バートン監督作品の常連であるヘレナ・ボナム=カータがやけにおとなしい役だったことは残念でしたが、悪役のエヴァ・グリーンのハジケっぷりが素晴らしかったので十分カバーできています。
また、映画の舞台は1970年代で、その時代を代表する音楽がたっぷり使われているので、当時を懐かしめる人には大いに楽しめるかもしれません。
「好きな監督の作品がこんなになって残念」というのは「TIME/タイム」に続いてのことでした。
監督の次回作「フランケン・ウィニー」に期待してます。
以下、結末を含めてネタバレです↓
~家族が大事だって言ったじゃん~
展開で一番許せないのはこれ。
父親の「家族が一番の財産」という教えを言い、慇懃無礼な態度で家族に接していたバーナバスでしたが・・・結局大切にしていないじゃん!
ロジャー(デヴィッド坊やの父代わり)を出て行かせるし(選択肢は与えていたけど)、なんだかんだで罪のない人を殺すことはやめないし、あまつさえ「血を奪った」という理由でホフマン博士を殺してしまう始末!
ホフマン博士は「医者と患者の秘密」のことをしていたり、あんまり好きじゃない要素がありましたが、さすがに気の毒です。
使用人のウィリーに「クソババでしたから」って言われてるしね。
でもバーナバスが、ミラーボールがあたりそうになったデヴィッドを助けたのはよかったです。
~殺人の意味~
建設現場にいた人どころか、善良そうな(ハッパ吸ってるけど)ヒッピーを殺しまくるバーナバス。
中盤に罪のない人間を殺したことの憤りをエリザベスに伝えるのはよかったのですけど、魔女アンジェリークへの言い訳は許せん。
なんと「殺人もお前の呪いのせいだ!」とほざきました。
いや本当に「血を欲する」以外にも「人を殺さなければならない」呪いをかけられたのかもしれないけど、それはない。
血を欲するのであれば、輸血パックを使うとか動物を狙うとかの方法を試したらいいでしょう。
ヴァンパイアならではの「殺さなければならない」葛藤をもっと描いて欲しかったです。
ただの責任転嫁になってしまっているのは納得いきません。
~愛するの?恨むの?~
家族のキャラは軒並み薄味でしたが、敵キャラのアンジェリークは強烈でした。
愛する(実際は違うと言われるけど)がゆえに、バーナバスを窮地においやり、大切なものを壊し、それでもなおバーナバスの愛を求めようとするのです。
かつてマザー・テレサは、愛の反対は憎しみではなく無関心と言いました。
愛情と憎しみは表裏一体のもの。
それを極端なまでに体現したのが、アンジェリークのキャラでしょう。
~敵でしょ?~
アンジェリークは好きなのですが、「抱いて!」とせがまれたバーナバスの対応がこれまた嫌い。
なんせ豊満なボディに誘われて、「ヴィクトリア(偽名)を守るため!」と言い訳を言いながら、「小魚作り」に励んじゃうのですから。<確かにセクシーなので気持ちはわからんでもないけど
ふざけろよ。
主人公がこうして敵にほだされたり、口車に丸めこまれたりするので、どうにも応援する気になれません。
その後の「壁や天井を転がってのセックス」も好き嫌いがわかれそうです。
これ面白いかなあ・・・自分は観ていて扱いに困ったんですけど。
その後にバーナバスがつぶやいた「残念な展開であった」はこっちの台詞だと思いました。<お前が言うな
でも終盤に「俺のケツに唇をつけてチュッチュしやがれ!」と暴言を吐くのはよかったです。字幕もグッジョブ。
~終盤~
キャロリンが「オオカミ人間でした!」という、伏線が微塵もなかった展開はどうなんだ・・驚きはありましたが唐突過ぎ。
「デヴィッドの母親の幽霊」が超音波で魔女を吹き飛ばすというのも、驚いたけれど、ねえ。
*コメントで教えていただきましたが、序盤に「助けて」と言っていた幽霊はデヴィッドの母ではなく、バーナバスの恋人のジョゼットのようです。
エリザベスがショットガンをぶっぱなしたり、アンジェリークの腕がありえないほうにひん曲がるのは「永遠に美しく・・・」を思い出させますね。
そこは面白かったのだけど、アンジェリークの最期があっさりだったのは残念です。
~映画の軸がブレブレ~
大体この話って「没落した一族をヴァンパイアである主人公が救う」話だと思ってたんです。
でも結局は「VS魔女」だけで終わっていて、一族の再建はぶん投げなのです。しかも屋敷は消失しちゃってるし。
ていうか、爆破をした濡れ衣を着せされたことが解決していないし、バーナバスは(警察に催眠術をかけたとはいえ)あいも変わらず殺人の容疑をかけられているんじゃないの?
いろんな疑問を解消せず、バーナバスが人を殺したことに対してしっぺ返しを受けず、「とりあえず」なハッピーエンドは受け入れられません。
~ラスト~
最後に崖から落ちるとともにバーナバスに血を吸われ、ヴァンパイアになったヴィッキー(ヴィクトリア)は、何故「ジョゼット(死んだバーナバスの恋人)よ」と言ったのでしょうか。
本当にジョゼットがこの世によみがえった(のりうつった)と思うべきなのかもしれません。
しかし自分には、ヴィッキーがバーナバスの過去の恋人のことを知った上で、彼の永遠の恋人となるために、そう答えたように思えて仕方がありません。
ヴィッキーは今まで家族ばかりか、誰にも愛情を与えられなかった人間です。
たとえヴァンパイアになったとしても、愛するものと(永遠の)時間を過ごせることは、幸せであるのでしょう。
~他にも気になった点~
・メインヒロインのヴィッキーの登場シーンが少なく、魅力がない。家庭教師として教えるシーンもない。
・座っていただけのおばあちゃんは、アンジェリークのゲロを拭っただけで本当に何にもしなかった
・血を吸うと吸血鬼になるのか、死ぬのかの境界線があいまい
・ヴァンパイアの能力を一族の再建に生かしたのは、「船長に催眠術をかける」ということだけ
~よかった点を探そう~
・200年間のジェネレーションギャップによるコメディーシーンはそこそこ面白かった(15歳で未婚であることに驚くとか、ベタだけどTVへのリアクションとか)
・マクドナルドの看板をメフィストフェレスと勘違いするのは面白かった
・車で轢かれそうになったとき、字幕で「バーロー」と言われるのも面白かった
・バーナバスがまたもアンジェリークに棺の中にいれられ、何年も待たないといけないかと思いきや、すぐにデヴィッド坊やが助け来て「20分しかたってないよ」というのはよかった
・カーペンターズの名曲「トップオブザワールド」をバックに屋敷の模様替えをするシーンはよかった
・アリス・クーパーが本人役で出演し、バーナバスに「醜い女だ」と言われるのはよかった(アリスは女性名)
・やさぐれたクロエ・グレース・モレッツ(キャロリン)が超可愛い
ところで、(ヴァンパイアになって)生き返ったホフマン博士は、バーナバスに復讐をするのでしょうか。
いいぞやってしまえ。
オススメレビュー↓
映画「ダーク・シャドウ」感想 | タナウツネット雑記ブログ
佐藤秀の徒然幻視録:ダーク・シャドウ
ダーク・シャドウ/解けない呪い、叶わぬ愛 | 映画感想 * FRAGILE
デヴィッドの母ではないですよ。
ヴィッキーは「何もしていない」のではなく、存在に大きな意味がありました。
訂正、該当部分を削除しました。申し訳ないです。
「惜しい」映画でした。
自分の言わんとしていることは他の方も同じく思われているようで
「やっぱり」ですね( ̄∀ ̄)
屋敷内で寝床を求めて押入れや段ボールに入っていたのには笑いました。
やっぱり一番しっくりくるのは棺桶だと(^w^)
鏡に映らないのに歯を磨いているのも…(≧ε≦)
映画の序盤からどん底のビリッケツになったバーナバスがどうやって勝つのか楽しみに観てたのですが
コリンズ家が攻勢に出ると常に一歩上をいくアンジェさん(;`皿´)
終盤工場爆破のシーンまで大逆転を期待して
「いいよいいよまだまだ頑張れバーナバス!」と応援してたのですが…
結局勝てず(┳◇┳)
主人公なんもしてない
終始打たれっぱなし
なんだこりゃ
ラストもなんだこりゃ(笑)
終わり?(?_?)的な
続きを匂わしてはいるけどもバートン監督ってあんまし続編作らないし(-"-;)
原作は1966~1971のTVシリーズ(1991にリメイク)なのでエピソードには事欠かないとは思いますが
コリンズ家はどうなったのか
TVシリーズ版がどんなあらすじなのか知りたい(ρ°∩°)
DVDになったときの映像特典に期待ですかね(‘o‘)ノ
> 屋敷内で寝床を求めて押入れや段ボールに入っていたのには笑いました。
> やっぱり一番しっくりくるのは棺桶だと(^w^)
> 鏡に映らないのに歯を磨いているのも…(≧ε≦)
そのへんのギャグシーンは普通に好きです。
> 結局勝てず(┳◇┳)
> 主人公なんもしてない
> 終始打たれっぱなし
> なんだこりゃ
いろいろやったあげくに家が燃えただけですもの・・・
> ラストもなんだこりゃ(笑)
> 終わり?(?_?)的な
> 続きを匂わしてはいるけどもバートン監督ってあんまし続編作らないし(-"-;)
そのとおりでたぶん続編はないんじゃないかと・・・
> 原作は1966~1971のTVシリーズ(1991にリメイク)なのでエピソードには事欠かないとは思いますが
> コリンズ家はどうなったのか
> TVシリーズ版がどんなあらすじなのか知りたい(ρ°∩°)
TVシリーズからのものだからエピソードが散漫になってしまったのかな・・・と思う次第です。たしかに知りたいです。
> ちょっと、ヒロイン出演しなさすぎて説得力ないっすよね。
終盤全く出てこなかったですよね・・・本当クロエの可愛さに救われました。今時のやさぐれたねーちゃん風でも可愛い。
魔女が亡くなるシーンは
魔女が可哀想に思えました。。。
永遠に叶わぬ恋なら死を選んだ
そんな感じがしました
魔女が差し出した心臓は
実はバーバナスの心臓で
本人に返してバーバナスは
最後人間に戻ったのではないでしょうか?
最後、崖から身を投げるシーンで
2人は本当に亡くなり
死後の世界でバーバナスはジョゼットと結ばれたと
解釈してました。
> 魔女が可哀想に思えました。。。
> 永遠に叶わぬ恋なら死を選んだ
> そんな感じがしました
最後は「やけ」で戦っていたようにも見えました。
> 魔女が差し出した心臓は
> 実はバーバナスの心臓で
> 本人に返してバーバナスは
> 最後人間に戻ったのではないでしょうか?
そういえば、アンジェリークは心臓を差し出していましたね。
その解釈もできるかも。
> 最後、崖から身を投げるシーンで
> 2人は本当に亡くなり
> 死後の世界でバーバナスはジョゼットと結ばれたと
> 解釈してました。
それならあのハッピーエンドでも納得できるかもしれないですね。
面白い解釈をありがとうございました。
でも、あのクロエさんの変貌場面では、「エクソシスト」を思い出し、男の子の格好で「オーメン」の坊やを思い出しました。
全体が、パロデーだったのか?と思い、ほかの場面もなんかあったのかなと思ってます。
どうも、バンパイヤものと云いますか、ゾンビものと云いますか「顔を白く塗りたくって、目のところだけ黒く隈を作る」って映画は、何度見ても馴染めません。
怖さよりも,何よりも、異臭が酷いんじゃないかと思ってしまうからです。
そう云えば、映画の中でも、J。デップが「口臭を気にする場面」がありましたね。(ちょっと、違う場面ですね)
> そう云えば、映画の中でも、J。デップが「口臭を気にする場面」がありましたね。(ちょっと、違う場面ですね)
ありましたね。ちょっと笑いました。
個人的に、工事現場のオジサマ達が死んでしまった事に納得がいきません。
血を吸われたのだから、吸血鬼になると思ったのですが…。
血を吸われても男っだったら死ぬけど、女の子は吸血鬼になると考えても、ヒッピーのその後の描写が無いからどうなのか分からないし…。
ヴァンパイア映画にはありがちっぽいですが・・・
自分はヒッピーの女の子に助かってほしかったです。
バーナバスが正しいです。すみません訂正します……
こっちのブログ読む方がダークシャドウ見てるよりスカっとした。シニア割で見に行った両親が「期待外れにもほどがある」と言っていたので、映画館に行かなくて正解です。
私個人としては、魔女がとても一途で可愛くてヒロインより断然好きです。
そもそもバーナバスが使用人に手を出しといてポイ捨てするから復讐されただけなのに、「なぜ私だけがこんな目に」とか「お前は人を愛せない」とか、魔女の純情を全否定する主人公にはマジで感情移入できません。
普通の敵役なら、裏切られた愛情が一転して憎しみや悲しみの権化としてもっと主人公に苦痛を与えそうなものを、魔女の真の狙いはバーナバスが言う「支配」よりも結局バーナバスの方に思えるんですが。
敵役の愛憎がひっくり返せていない分、魔女がより一途に見えて主人公が最低のクズに見えました。
魔女や魔法使いの心臓は取り出しても死なないが(ハウルの動く城なんかでもそう)急所なのは事実、本当に信頼している相手や心底愛している相手にしか捧げません。つまり「命を捧げるほどあなたを愛している」ということを魔女や魔法使いが行動で示す唯一の方法。騙されてたり遊ばれてた場合は自分が死ぬ、命がけの求愛方法なのです。