きっとその作品が観たくなる「エド・ウッド」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
![]() | ジョニー・デップ 519円 評価平均: ![]() powered by yasuikamo |
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個人的お気に入り度:9/10
一言感想:あんた(エド・ウッド)、最高だよ
あらすじ
エド・ウッド(ジョニー・デップ)は、映画制作に情熱を注ぐ毎日を送っていた。
世界で初めて性転換をした男の話を聞いた彼は、すぐさまプロデューサーに売り込みに行くが、全く相手にされなかった。
その帰り道でウッドはかつての名優ベラ・ルゴシと出会う。
大ファンであったウッドは、ルゴシに映画への出演を頼むのだが・・・
なんでこの名作を今まで観ていなかったんだ!すげー面白かった!
史上最低の映画監督と評された「エド・ウッド」をモデルをした、全編モノクロームで描かれた作品です。
自身がエド・ウッドの大ファンであるティムバートン監督の愛がたっぷりと込められています。
この作品が素晴らしいところは、「映画が大好きなんだ!」ということが本気で伝わってくること。
エド・ウッドが作っている映画は最低なんだけど、その情熱は最高なのです。
好きなものを愛してやまないエド・ウッドと、それを演じるジョニー・デップもさらに大好きになりました。
では、エドウッドはすさまじいまでの情熱があるのに、何故「最低の映画監督」と呼ばれるのでしょうか。
それは映画を観るとすぐわかりました。こいつ、妥協しすぎです。
映画のワンシーンって、思えばすごい労力、妥協をしない監督の手腕により作られているものですよね。
でもエド・ウッドは簡単に「完璧だ」とか言っちゃうし、「撮り直さなくていいの?」とつっこまれても何かと理由をつけて「あれでいいよ」とか、挙句の果てには「そんな細かいことは観客は気にしないよ」とか言う始末。
予算の関係も大きいのだけど、いくらなんでも酷い妥協っぷりです。
これを観ると反面教師的に世の中の映画監督がどれだけ厳格であるかがわかります。
もうひとつ素晴らしいのは、この作品が「年の差を超えた友情」を描いていること。
落ち目の役者と、落ち目どころか最低な映画しか撮らない映画監督の掛け合いに、ついホロリとしてしまいます。
そんなク〇映画監督に最大級の敬愛を注いだこの映画は、文句無くオススメです。
「アーティスト」とは別ベクトルで映画の魅力が詰まっている作品なので、ティム監督&ジョニデ様ファン以外でも、全ての映画好きは是非レンタル店へ。
以下は作品のシーンが少しだけネタバレしています↓結末などには触れていませんが未見の方は要注意
映画が始まってすぐ、こんなことを言われます。
「あなたは未知の世界や神秘の世界に興味がおありだ」
何その決め付け。
実はこれはまんまエドウッドの映画のパロディ。
こんなうっとおしい観客に語りかける演出がなされていたのですね。
その後に「これは恐怖の体験を生き延びた人々の記録だ。あなたの心臓は耐えられるか、エドウッドの真実に」と続くのでワクワクさせてくれます。
そしてその期待は裏切られません。
エド・ウッドはクリスティーン・ジョーゲンセンの話を聞くやいなや、女装をテーマにした映画を撮ろうとプロデューサーにたのみこむのですが・・・
説得をするために、自ら「女装が趣味です」と言ってしまうのでした。
しかもこれ、<ネタバレ反転>「嘘じゃなく、マジで幼少時代からの性癖」なんですよね。
ジョニデ様が演じるに相応しい変人っぷりです。
何とか「グレンとグレンダ」の撮影をはじめるのですが・・・
ゲリラ撮影なので、警察から逃げなければならないのだった!
あとこの画像のジョニデ様はブサイク気味ですが、ほかの女装姿はわりと可愛いです。肩幅広いけど。
「妥協しまくり」を体現しているのが、こちら。
映画の撮影中、役者がドアにあたってしまうミスがあったのですが・・・
「あの役は毎日ドアにぶつかるんだよ」と全肯定!こりゃだめだ。
ほかにも恋人の役をハリウッドを夢見ている女の子にホイホイあげちゃったりするし、「息子を出させてくれないか」と言われるとこれまた「はい」って言っちゃたりする。
「NO」とは言えないダメな人なんでしょうね。
もっとひどい&切ないのは、この後の巨大タコとの格闘シーン。
こればっかりは観てくれとしか言えません。
この後も予算がないから、変に妥協するからヘボい撮影シーンのオンパレード。
それらのシーンは切ないけれど、それ以上に微笑ましい。
何故なら映画を作っているエド・ウッドは本当に楽しそうだから。
彼の作る映画はどっかどう見ても最低で、さらに生涯ヒット作には恵まれなかったけど、心の底から映画製作を楽しんだ彼と、彼を支えた人たちは幸せだったんじゃないかな。
この監督の映画が「最低」の評価だろうとも、その作品を観たくなってしまいました。
作品群↓
グレンとグレンダ
怪物の花嫁
プラン9・フロム・アウタースペース
死霊の盆踊り(監督でなく脚本と原案担当)
<エド・ウッド・コレクション>(amazon)