相変わらずバランスが・・・「映画ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:5/10
一言感想:これ本当にPG12指定止まりでいいの?
あらすじ
主人公・ガッツが入隊した「鷹の団」は破竹の勢いで勝ち続け、国家「ミッドランド」から一目置かれる存在になっていた。
「チューダー」との戦闘のさなか、団の紅一点・キャスカが倒れ、それを支えようとしたガッツもろとも崖の下に落ちてしまう。
そして、チューダーの追っ手100人あまりが、ガッツとキャスカを取り囲む。
キャスカを一人で行かせ、自分だけが戦おうとするガッツだったが・・・
大人気コミック「ベルセルク」の劇場映画版の第2作目です。
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前作のレビューはこちら→「ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵」
一貫したストーリーを描く3部作構成の映画なので、前作から5ヶ月も経たず続編が公開されています。
これは短いスパンで「ベルセルク」の大河ドラマを味わってほしい、という製作者の意向なのでしょう。
作品の大きな魅力といえば、重圧なアクション、濃密な人間ドラマ、そして大人向けのエロス&バイオレンスシーン。
前作は何故かG(全年齢)指定でしたが、今作はPG12(12歳以下には保護者の助言・指導が必要)指定となっています。
そんなわけで、エロス&バイオレンスが大盤振る舞い。
というか戦闘シーンでの手や足のもげ方や、終盤のエロス満点シーンはPG12じゃ足りない勢いでした。家族で観ると気まずくなること必死です。
残念なのが、前作に引き続き一本の映画としてのまとまりが悪いこと。
序盤に盛り上がる戦闘シーンを描き、終盤は人間ドラマに焦点をあてている印象ですが、カタルシスに乏しいし、どうにもすっきりしません。
そしてこれも前作からなのですが・・・原作からのシーンの変更、省略もいくつかあります。
ばっさりカットしたおかげで初めて映画を観る人には伝わりにくい箇所もありますし、原作を読んでいる人にも不満に感じることでしょう。
せっかく3部作にしたのですから、もっとたっぷりの上映時間を使って、新規の方でも、ファンでも納得がいく構成だとよりよかったな、と思います。
前作は今作の封切り前にDVD化しましたし、1日限りの無料配信もしていたので、映画館で観るのを躊躇する方もいると思います。
しかし、剣を振り回し、血しぶきが舞う大胆アクションの迫力は、スクリーンでこそ映えるものです。
戦闘シーンで相変わらずカクカクっぷりが垣間見えるのは残念ですが、前作が気に入った方は是非劇場へ足を運んで欲しいと思います。
以下、ネタバレです 結末と展開がネタバレしています↓
原作の記憶がだいぶ抜け落ちているので、台詞の間違いがあるかもしれません。ご容赦ください。
・前作のあらすじ
ナレーションはなく、テロップ&シーンの切り貼り。
・オープニング
1作目と同じ(たぶん)。
手抜きに思えるので、頑張って欲しかったな・・・
・しょっぱなから「チューダー」との戦闘シーン。「アドン」登場。
声優の小山力也さんのうるさい演技がバッチリですね。
アドン「慰み者にしてくるわ!」→キャスカ「ゲスめ!」のやりとりがあって嬉しかったです。
参考→<ユリウス/アドン役・小山力也インタビュー>
・ガッツとキャスカが崖下に落ち、その先の洞窟でキャスカが生理になっていることがわかる
ガッツはキャスカを脱がす(服が濡れているから)。
・キャスカの回想シーン。幼い頃に乱暴をされかけ、そこに通りがかったグリフィスが投げてくれた剣を拾い、はじめて人を殺す。
原作だとガッツに話して聞かせるのですが・・・回想シーンで終わらせない方がよかったです。
・時間が経ち、キャスカが起き上がると、即効でガッツを殴るわ剣を投げるわ。
ガッツが「このヒス女!」と言うのももっともだよね。
・キャスカは「好きで女で生まれたわけじゃ!」「お前だけには助けられたくなかった!」「あの人の剣になりたかった!」と言う
アニメ版のキャスカは、新規の方は感情移入しにくいだろうなあ
・チューダーの追っ手が来ているので、2人は歩き出す・・・が100人以上の追っ手に囲まれる
ここでガッツはキャスカに「夢」を教えることを約束しています。
・「100人斬り」開始。ガッツは戦い、キャスカをひとりで行かせる
腕はもげ、剣は頭を貫通し、非常にバイオレンス。
ガッツがキャスカに言う「剣ってのは『さや』におさまるもんだろ、鷹の団に帰りな」という台詞がよかった。
・逃げたキャスカは残党に追われ、乱暴をされかけるが・・・鷹の団がそこに現れる。グリフィスもいる。
原作だとここにグリフィスはいなかったと記憶しているのですが・・・おかげで「ジュドー」の「鷹の団の紅一点だ、高くつくぜ」のセリフはなし。
・鷹の団がたどり着くとそこにはチューダー軍の死体だらけ、キャスカがガッツをゆすると、「傷に染みんだろうが」と言いながら起きる。
原作ではちょっとだけ笑顔だったんだけど、無表情に近くて残念。
・アドンは戦闘中に頭をぶつけて気絶していて、鷹の団に捉えられる
原作にないよね?マジで?
・ミッドランドの軍が要塞「ドルドレイ」を攻めるが、惨敗。
腐った牛を投擲していたのは、感染病を流行らせるための方法ですね。
・会議で、グリフィスはドルドレイを攻略することを受諾する
・ドルドレイ要塞の総督「ゲノン」は城のプールで美少年をはべらせ、「紫犀聖騎士団」団長の「ボスコーン」と話している
原作にないですよね、これ。でも原作の方がより悪趣味でした。
美少年2人がキスしあっているというサービスシーン(?)もあります。
・鷹の団はドルドレイ攻略に乗り出す
・アドンがしれっとドルドレイに帰ってきている
えー?捉えられていたじゃん?どういうこと?
・戦闘開始、鷹の団は一度攻めるが、引き返す
・ゲノンはボスコーンに反対されつつも、全兵力をあげて攻めること、グリフィスを生け捕りにすることを命令する
おかげで要塞ががら空きに
・「コルカス」は攻めてくるチューダー軍を前に「あれ全部相手にしようっての?」と言う
コルカスは小物っぷりが出ていて好きなキャラです。
・「リッケルト」も剣を振り回し、めっちゃ戦っている
ボウガンの名手で、団を陰から支える存在だったと思うんだけど・・・少し違和感があります。
・「シャルロット姫」がお祈りをしているシーンがはさまれる
・川に追い詰められる鷹の団。リッケルトは馬から落ち「川で溺れて死ぬぐらいなら、戦って死んだほうがましだよ!」と言う
これに対し、コルカスは「リッケルトちゃんが切れやがった」と言う。
原作では切れた理由はちょっと違っていたんだけど・・・
・要塞側の描写。キャスカと数人の鷹の団員はアドンの後ろに隠れ、不意打ちで敵を殺す
アドンを脅し、後ろにくっついて侵入する作戦でした。もちろん原作とは違います。
・アドンはいきなりキャスカに再戦を申し込む
要塞に攻められる前にやれよ。
・アドン「あー!お前は斬り込み隊長(ガッツ)!」と言い、キャスカを油断させて攻撃。
原作では土下座して油断させていましたが、より小物っぽく変更。
・アドン「この前とは別人ではないか!」→キャスカ「体調が万全なら、お前など敵ではない」
アドンの「なにぃ?生理だったとでも言うのか!」はなし。
・キャスカはアドンの喉奥に剣を刺し、勝利
アドンも好きなキャラでした(アホだから)
・ガッツVSボスコーン。ボスコーンは鷹の団の一員を血祭りにあげる
血飛沫のとび具合が半端ない
・ガッツはボスコーンを馬ごと切り落とし、勝利
えー?原作にあった「ゾッド」の投げてくれた大剣は?この決着は納得いかない。
・要塞を制圧したことが、前線で戦っていた鷹の団とチューダー軍に伝わる
・グリフィスは「勝どきを上げろ」と言う。「ピピン」が初めて「うおー!」としゃべる。
1作目から数えても、しゃべるのは初めてです。
・グリフィスはゲノンに詰め寄り、「久しぶりですね」「あなたを恨んではいません」「あなたはただの石ころです」などと言いながら、殺す。
残念だったのが、グリフィスが男色家のゲノンに体を売り、そのおかげで金を手にしていた描写がばっさりカットされていたこと。
グリフィスが己の夢のためなら手段を選ばないことや、『弱さ』が垣間見える描写であったので、省略しないでほしかったです。
・戦闘に勝ち、夕日をバックに佇む鷹の団
要塞の中の美少年を全て殺しているあたり、容赦がありません。
・ミッドランドの国民に歓迎を受ける鷹の団
・コルカスは馬上に女性をあげてキス。屈強な女性が「あたしも~」と言い、コルカスは嫌がる。
微妙なギャグシーンだな。
・キャスカは「きゃ~キャスカさま~」と女性に言われ、顔を赤らめる
カワイイ。子どもにも花をもらっている。
・ガッツはぼうっとしている。どうやらグリフィスの『夢』のことを考えていたらしい
・城内へ。鷹の団一行は貴族の衣装を着ている。
・貴族の中に「セルピコ」と「ファルネーゼ」がいる
原作を読んでいる人へのファンサービスですね。何故ここにいたんだろう?
・ドレスに身を包んだキャスカは、ガッツに「(ダンスに誘われてしまうから)協力しろ!」と言う
・外に出たキャスカとガッツ。キャスカはドレスを着ている自分を見て「こんなに筋肉がついっちゃった」などと言う
他にもガッツに「けっこういけているぜ」と言われて「本当か?」と返したり、グリフィスとダンスをしたらどうだと言われて「私はグリフィスの足を踏むのがオチさ」と返したりと、とっても愛おしい。
・ガッツは、キャスカに団を抜けることをほのめかしている
・ミッドランド国王は、鷹の団が貴族の称号を得ることを発表する。ダンスシーンがはじめる
原作にないシーン。リッケルトが年上のお姉さんと踊っていたり、ピピンがたくさんの女の子を抱え込んでいたりするのが楽しいですね。
・ガッツもキャスカをダンスに誘う
えー?さっき「こういう場所は苦手だ」と2人で言ったばかりなのに?
・キャスカはガッツと両手を組み、回りながら笑う。
どこかで観たなあ・・・と思ってたら、「タイタニック」やないか!
このダンスシーン、映画オリジナルの展開としてはいいと思うんですが、このダンスをするまでの過程は説得力不足です。2人の性格からすればちょっと考えにくいです。
・ガッツは鷹の団を抜けるため、雪道を歩く
・その先に鷹の団のジュドー、コルカス、ピピン、リッケルト、そしてキャスカとグリフィスが待ち構えている
・コルカスは団を抜けようとするガッツに対して、自分の本音を明らかにする
原作では酒場で言っていて、コルカスがどういう想いを持っていたかが知れるシーンなのですが、映画ではわめいているようにしか思えなかったのが残念です。
ジュドーの「一番になれなかった」という独白もないですし、感情移入の余地がなくってしまったように思えます。
「夢のかがり火」のシーンもありません。
・グリフィスはガッツが抜けるのをよしとはしない!
そして一瞬の勝負へ
・ガッツが勝利し、去る
ガッツ、グリフィス、ジュドーの内面の描写がなくなっていてこれまた残念。
・降りしきる雨の中、グリフィスはシャルロット姫の寝室に潜り込む
・キスシーンからベッドシーンまでめっちゃ濃く描かれる
局部を責める描写まであるし、豊崎愛生さんの喘ぎ声とか、エロアニメかと思う濃さなんですけど・・・確実にPG12の範疇じゃありません。
そういえばミッドランドの女王に関するシーンもばっさりカットですね。
・グリフィスは捉えられ、国王から拷問を受ける
国王は娘(シャルロット)に近親相姦的な欲情を抱いているのですが、映画だとちょっとわかりにくい。
原作は強烈な描写だったので、カットはしょうがないかな。
・鷹の団は「グリフィスの命令」という嘘の伝令を聞き、寒空の中、外におびきだされる
・ピピンが「敵襲!」と叫ぶ。そこには味方のはずの大量のミッドランド軍が!
原作だとピピンは「みんな伏せろ!」としゃべっていました。
・キャスカは隊をまとめ、脱出のため突撃する!
あのー装備のないまま軍の本隊に立ち向かって行った気がするんですけど、気のせい?
逃げるのなら逆方向だよ。
・歩いているガッツ。道行く馬車の中にいる妖精「パック」とすれ違う
ただしセリフはなし。3作目では声を聞きたいなあ・・・
・拷問官が、傷だらけのグリフィスが持っていた「ベヘリット」を地下水道に落とす
・次回予告が流れる。
完
後味悪いよ!(前作でも同じことを言っていたけど)
原作を読んでいる人はご存知のとおり、この「黄金時代編」のラストには死ぬほど落ち込む展開が待ち受けているので、今から後味の悪さが最高潮にならないか不安です。
予告編を見たところ、<ネタバレ反転>「ガッツとキャスカのセックスシーン」はしっかり再現されているようなので期待大です。
でも「ワイアルド」の姿がこれっぽちも確認できなかったのが不安(公式ページのキャラクター紹介にもいない・・・)。
テレビアニメ版でも省略されたので、なんとしてでも登場して欲しいところです。次回作がR15指定にならないよう祈っています(今まで劇場で観ていた中学生以下が観れなくなっちゃうから)。R15どころか18禁でした。
R15に変更されたそうです(←リンク先に原作のネタバレがあるので注意)