心が崩壊するホラー 漫画「ミスミソウ」レビュー
本日はそんな残念作品をぶっとばすような、恐ろしく、悲しいホラー漫画「ミスミソウ」をご紹介します。
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タイトルのミスミソウは「ユキワリソウ」の別名。
冬を耐え忍び、雪を割るようにして小さく咲く花です。
ホラー作品ではありますが、作中には幽霊のたぐいや怪物などは存在しません。
あくまでそこにあるのは、心を病んだ中学3年生の子どもたちによる狂気。
そして、作品中では見るも無残な光景が広がることになります。
都会から越してきた主人公の「春花」は、卒業を間近にして恒常的にいじめを受けることになります。

あと数ヶ月すれば卒業・・・しかしいじめは徐々にエスカレートしていくのでした・・・
↓以下、キツい画像があるので注意(グロ系はありません)
こうしたいじめの理由は「部外者だから」。
彼女はあまりに勝手な理由でいじめの対象になってしまうのです。
しかしこれでは終わりません。
やがて、命が脅かされるほどの危険にさらされ・・・やがて「悲しい」だけではすまない悲劇が訪れることになります。
その加害者の描写は、本当に精神的に来るものがあります。
この女子生徒の非道さ、この表情。
この歪んだような、決して綺麗とは言えない絵柄だからでこそ、これが表現できたのだと思います。
そして、この作品は本当に凍えるような「寒さ」を描くのが上手いのです。
この寒さの中、主人公の少女は地獄のような時を過ごします。
その描写は、読む人に痛烈な印象を残すでしょう。
ネタバレになるので、これ以上のストーリーは明かすことはできません。
とにかく陰惨鬱々、残酷なスプラッター描写も容赦がないので、読む人を選ぶ内容です(少なくとも、小さな子どもに見せてはいけません)。
でも、是非読んで欲しいと思えるパワーがあります。
スプラッター描写はこの作品の「痛さ」を描くためには必要なものであるし、いくつもの鳥肌が立つような画がたくさんありました。
3年前に完結した漫画なのでいまさら感もありますが、コメディらしさが全くない、本気のホラーが読みたい方には大プッシュでオススメです。
映像化は無理であろう本作は、是非漫画として触れて、そして戦慄してほしいと思います。
オススメレビュー↓
<「ミスミソウ」に見る、閉じた社会と壊れていく心 - たまごまごごはん>
(追記)完全版が発売されるようです↓
コミックナタリー - 「ミスミソウ 完全版」など押切蓮介の新刊で特典当たる
余談ですが、本作の作者の押切蓮介さんは、普段はコメディ調の漫画を多く手がけています。
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これらは作者の趣味である「レトロゲーム」を描いた作品。
こうした作者の多面性を知れるのも、作品に触れる者にとって嬉しいことだと思います。