fc2ブログ
ゆる~い映画レビューがメインのブログです。最新映画の感想は↓の「新作映画レビュー」からどうぞ。

生きる意味を探す物語 漫画版「マルドゥック・スクランブル」レビュー

映画「天地明察」は万人向けに仕上げた優れた歴史活劇でした。

天地明察の原作者の冲方丁さんは「ばいばい、アース」「カオス レギオン(もとはTVゲーム)」など、バリバリのSFやファンタジー作品も得意としています。

今日は、冲方丁さんの代表作である「マルドゥック・スクランブル」漫画版を紹介します。

大今 良時
440円
powered by yasuikamo

何故漫画版を紹介しているかというと、劇場公開されたアニメ版よりも面白かったからです(原作小説は未見です、ごめんなさい)。

アニメ版は原作通り「圧縮」「燃焼」「排気」という3つの章に分かれているのですが、展開が早く、わかりにくく、キャラの描写が足りていないように感じる上、なおかつ上映時間がそれぞれ60分ちょっとと、もの足りない印象でした。

でも漫画版は描写がとても丁寧で、躍動感と迫力、キャラの魅力(特に主人公)もアニメ版よりも優れている印象でした。
小説やアニメ版を全く知らなくても、物語を全く問題なく楽しむことができるででしょう。
序盤の展開やラストは小説版と異なっているようですし、小説を読んだ方にもおすすめできると思います。

内容も簡単に紹介してみます。
主人公は「バロット」という少女です。

マルドバロット

一見普通ですが、彼女の人生は辛苦に満ちたものでした。

*以下少しだけネタバレ注意(未見でも問題ないとは思います)↓


彼女は生きるために男に身を売る生活をしている・・・そこに自分を救ってくれた男「シェル」がいたのですが、彼に殺されかけてしまうのです。

マルドゥック6

そこに手を差し伸べてくれたのは、一人の医者と一匹のネズミでした。

マルドドクターイースター

マルドウフコック

見てわかりますが、このネズミ「ウフコック」が超可愛いです。

バロットが彼らの力を借りて、「シェル」をはじめとした敵に立ち向かうのが基本のプロット。
世界観の見た目は「ブレードランナー」のようでもあります。

マルドゥック5

貧しいものは下においやられ、富裕層が支配する世界。
その中でも、幸せをつかむことができると、ウフコックは宣います。

マルドゥック4

見た目はネズミでも、中身は頼れる紳士のようなウフコック。
彼をはじめとした登場人物は本当魅力的で、読み始めると止まらない面白さがありました。

アクションもすごく見ごたえがあります。

マルドゥック7

見にくくさを感じる方もいるかもしれませんが、スタイリッシュかつ迫力ある絵は作品にとても合っています。
原作者があとがきで大絶賛しているのも納得です。

物語で興味深いのは、主人公バロットの目標が『復讐』ではないことです。
最後で彼女が言う結論も、単なる勧善懲悪にはなっていないものでした。

少年誌掲載とは思えないほど、性的な話題や残酷な描写も出てきますが、主人公の変化を描く上で必要なものです。
エロもグロも大いに存在する世界観は人を選びますが、このダークさこそ作品の魅力だと思います。

大興奮したのが、単行本5巻からのカジノでのギャンブルの勝負。
これはもう読んでくれとしか言いようがないほど面白い!
ジョジョの奇妙な冒険」「カイジ」あたりが好きな人も気にいると思います。

そんなわけで大プッシュでおすすめの(漫画版)「マルドゥックスクランブル」ですが、現在ハリウッドで実写映画化も企画されているのだとか。
ここまで素晴らしいクオリティのSF作品であれば、それも当然というもの。日本人として、とても嬉しく思います。

大今 良時
440円
powered by yasuikamo

*全7巻なので、集めやすいですよ。
*タイトルの「マルドゥック」とは作品に登場する市の名前、「マルドゥック・スクランブル」は人命保護を目的とした法令の名前です。
*アニメ坂の最終作「排気」は今週末(9月29日)公開です。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

2012-09-23 : いろいろコラム : コメント : 2 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

No title
これを機に原作も読んでみませんか? 個人的には「スクランブル」の前日譚である「ヴェロシティ」の方が好きです。こちらはまだ漫画化されていませんが、スクランブルに出てきたウェルダンら運び屋たち以上に凶悪な「カトル・カール」という変態集団が出てきますよ。一線を越えすぎてるこいつらが大好きです。
2012-09-23 17:22 : ぎお URL : 編集
Re: No title
他のシリーズの存在は知っていましたが、「ヴェロシティ」は前日譚だったんですね。知らなかったです。
変態集団が出てくると聞いて俄然興味がでてきましたwいつか読んでみたいです。
2012-09-24 02:00 : ヒナタカ URL : 編集
Pagetop




« next  ホーム  prev »

最新の記事

広告(同じウィンドウで開きます)


Twitter...

反響のあったorおすすめ記事

<初めて来られた方へ(ブログの説明)>
<著者プロフィール>
こちらでも記事を執筆中↓
<ヒナタカ | シネマズ by 松竹>

ご連絡の際は、以下のメールアドレスまでお願いします(☆を@に変えてください)
hinataku64_ibook☆icloud.com

2015年ベスト映画20
2015年ワースト映画10

2014年映画ベスト20
2014年映画ワースト10

2013年映画ベスト20
2013年映画ワースト10

2012年 映画ベスト20
2012年 映画ワースト10

2011年 映画ベスト20
2011年 映画ワースト10

映画パロディAVタイトルベスト10
映画邦題ベスト10&ワースト10
Yahoo!映画のステマ評価ワースト5
レビューサイト「Filmarks」の優れた点&ちょっと微妙なところ
剛力彩芽のゴリ押しっぷり
真のレゴムービーの日本版予告編


<2015年下半期>
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
『ハーモニー』
『ガールズ&パンツァー 劇場版』
『PAN』
『ギャラクシー街道』
『UFO学園の秘密』
『ファンタスティック・フォー』
『進撃の巨人 後編』
『キングスマン』
『リアル鬼ごっこ(2015)』
『バケモノの子』

<2015年上半期>
『極道大戦争』
『マッドマックス4』
『チャッピー』
『ワイルド・スピード7』
『バードマン』
『恋する♡ヴァンパイア』
『イミテーション・ゲーム』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

<2014年下半期>
『ゴーン・ガール』
『寄生獣 PART1』
『紙の月』
『近キョリ恋愛』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『複製された男』
『思い出のマーニー』

<2014年上半期>
『渇き。』
『チョコレートドーナツ』
『LEGO® ムービー』
『LIFE!』
『アデル、ブルーは熱い色』

<2013年下半期公開>
『ゼロ・グラビティ』
『かぐや姫の物語』
『ウルヴァリン:SAMURAI』
『貞子3D2』
『ガッチャマン』
『劇場版銀魂 完結篇』
『モンスターズ・ユニバーシティ』
『サイレントヒル:リベレーション3D』

<2013年上半期公開>
『箱入り息子の恋』
『G.I.ジョー バック2リベンジ』
『藁の楯』
『クラウドアトラス』
『横道世之介』
『脳男』
『ライフ・オブ・パイ』

<2012年下半期公開>
『レ・ミゼラブル』
『悪の教典』
『バイオハザードV』
『るろうに剣心』
『プロメテウス』
『桐島、部活やめるってよ』
『アナザー Another』
『ヘルタースケルター』

<2012年上半期公開>
『スノーホワイト』
『ファイナル・ジャッジメント』
『メン・イン・ブラック3』
『貞子3D』
『TIME/タイム』
『ドラゴンタトゥーの女』

<2011年下半期公開>
『ミッション:インポッシブル4』
『アントキノイノチ』
『ミッション:8ミニッツ』
『ツレがうつになりまして』
『トランスフォーマー3』
『コクリコ坂から』


<そのほか>
漫画『花のズボラ飯』全話レビュー

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

02月 | 2024年03月 | 04月
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -


ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR