宗教×ダメダメメンインブラック「神秘の法」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:1/10
一言感想:なんかもうどうでもいいや・・・
あらすじ
202X年。東アジア共和国でクーデターが勃発し、帝国ゴドムが誕生した。
ゴドムの皇帝のタターガタ・キラーは軍事力を強化し、日本をはじめとする国々を占領しようとしていた。
ゴドムに反旗を翻す秘密組織ヘルメス・ウィングスに所属している獅子丸翔は、仏教僧に自らがブッダの生まれ変わりであり、救世主でもあると告げられるのだが・・・
なんでかわからんけど今年2つも公開された幸福の科学の布教用映画です。
とりあえず言えるのは目を開けて観るのが苦行レベルでつまんなかったです。
本作は前作「ファイナル・ジャッジメント」の流れを汲み、日本と世界各国が架空の独裁国に侵略されていく過程を描いています。
その問題意識の主張はよくわかるし、志の高いものですが、あいかわらず映画の出来がひどいので心を素通りしまくります。
本作のそもそものテーマは以下のようなものです。
①何もしなければ何も変わらない
②信じるものは救われるんだ!
思うんですけど、①と②って相反することでは?
信じる=(神に)祈ることと、自分自身が行動を起こすことは全く違うものであり、相成れないものだと思うのです。
「他国から侵略されるかもしれない」→「皆でともに問題意識を持とう!」
ならわかるんですが、この映画で描かれることは
「他国から侵略されるかもしれない」→「救世主を信じれば万事OK」に思えてしょうがない。
世界平和を訴えるのはいいんですが、そこにいく過程も正直寒かったです。
「他国からの侵略」を描きながら、その問題意識が上滑りして、結局は宗教が正しいという主張・・・
前作に引き続きこれは無宗教者にはキツすぎます。
憲法9条の是非の話題が出てきたときは面白くなるかも!と期待していたのだけど、それも本当に名前が出ただけで終了しやがりました。
頼むから問題意識を持たせてください。
そんなテーマうんぬんを考えずに、一本の映画としても正直ドイヒー。
伏線の貼り方がつまらなすぎます。
一応敵側と味方側の描写はそこそこ丁寧に描かれているのですが、これも全く話を盛り上げることがないので退屈極まりないです。
そして映画は超展開を迎え、「霊界」「救世主」「ブッダの再誕」などの香ばしいワードだけでなく、ついに「宇宙人」という単語まで出やがります。
その宇宙人の描写は作中で大きなファクターとして働いており、宇宙人の敵や味方がいる様やトンデモな設定はまるで「メン・イン・ブラック」です。
キツいのはこれを大真面目に描いており、霊や宇宙人は本当にいるんだよ!と主張が心底ウザイほどに強調されること。
マジで洗脳させようという製作者の意図がみてとれました。
えーと・・・いいところもあるんですよ。
まず絵はとても綺麗。アニメーションの出来はいいです。
でも本作は顔のアップの画がやたらと多く、それもウザく感じる原因になっています。
もうひとつは豪華声優陣の熱演。
特に主人公の子安武人さんの特徴のある声には軽く惚れそうでした。
悪役の描き方や、クライマックスの盛りだくさんな展開もそこそこ楽しめました。
一応エンターテイメントとして成立させようとする気概は感じられます。
その後のオチは死んだ目で観ていたけど。
なんかもうね、いじる気力もないっていうか、本当に疲れたっていうか、もう幸福の科学の映画は観たくないです。
ただ、声優・子安武人さんのファンにとっては観る価値があるかもしれません。
演じているキャラクターがマジイケメンなので、キャーキャー言えますよ。
以下、結末も含めてネタバレです↓でも観る気がないのなら読んでもいいと思います。
序盤は敵(独裁国)と主人公側の描写が交互に描かれますが、特に書くことがないので端折っています。
・帝国ゴドムのマークがハーケンクロイツそっくり<微妙に違う
しょっぱなから危険なネタだなあ。
ちなみに幸福の科学はものすごい中国批判をしている宗教団体なので、以下この帝国ゴドム=中国と思ってさしつかえありません。
・帝国ゴドムは6兆度の熱を発する「最終破壊兵器」を用意し、独裁を確固なものにしようとしていた
6兆度て!ゼットンの必殺技超えてるじゃねえかよ。
「大陸を消失することができる」「地球を滅ぼしてしまうかもしれない」とか言ってますけど、太陽系とか全部滅んでしまいそうな勢いだろ。
・ゴドムの皇帝は、科学者である女性「チャン・レイカ」をバカにした部下に電気のムチでお仕置きする。<何故か仮面をかぶっている皇帝。武器は電気ムチ。何かに操られている。
この皇帝は後にチャン・レイカを妃(きさき)として迎えようとするなど、彼女に対する愛情も見えて何とも魅力的。平川大輔さんの声もよかった。
まあ主人公とろくに対決しないのは不満だけど。
・帝国ゴドムに狙われた主人公は、「予知能力」を駆使し、カーチェイスしながら逃げる。
カーチェイスにはそこそこ迫力がある。ここで主人公は信頼のおけそうな政治家に接触しているんだけど、それが映画の展開に関わることがまったくありません。
・主人公は秘密組織「ヘルメス・ウィング」の次期ジェネラル(総帥みたいなもん)に選ばれる。そのため「聖なる印」を探さないといけない。
その印はチチカカ湖に沈んでいるらしい。なんでや。
・ヘルメス・ウィングにゴドムの軍が襲撃。主人公の同僚が裏切りものだったことがわかり、前任のジェネラルのおじいさんが殺されてしまう。
ちなみにゴドムの軍は光学迷彩を着ている。さすが近未来だね。
ちなみに裏切った同僚は、いつの間にか自殺をしてしまうだけで見せ場はなし。
・主人公が目覚めると、仏教僧が守ってくれていたことがわかる。仏教僧のおじいちゃんは「あなたを2500年待っていた、ブッダが再誕する日を・・・」「あなたはブッダの生まれ変わりだけなく、救世主でもある」とか言う
これに対する主人公の返答は「おっしゃる意味がさっぱりわからない」で完全に同意。
・おじいさんに「八正道」をすすめられる。
それ主人公の疑問に対する答えじゃない気が・・・
・主人公は徳島に向かい(理由不明大川隆法の故郷だそうです)、木の下で瞑想をはじめる。その後に奈良の甘樫丘に行きまた瞑想。霊である「木花開耶姫(このはなさくやびめ)」が現れる。
お姫様は「何もしなければ何も変わらない」とメッセージを告げるだけで去る。
ここでのツッコミどころは、主人公が「未来を変えることはできるのでしょうか?」と疑問を持っているのだけど、それ以前に自身の「予知能力」によってちゃんと未来を変えていたこと(カーチェイス中に右に曲がった)。
言っていることがちぐはぐです。
・日本の政治家の会議。日米安全保障条約は破棄されたらしい。
さらに飛び出た一言が「沖縄基地を無くせって言ったくせに!」「本当は日本にだって軍事力はあるんだ!(憲法9条のせいということ)」でした。
いろいろ危険だぜ。
・さらに日本の領空にゴドムの戦闘機が入り込んでくる。これに対して迎撃許可が総理大臣に求められるのだけど、肝心の総理大臣は「私には判断できない」とか言う。現実と同じく決断力がないですね。
・さっき主人公と出会ったお姫様は、雲をあやつってゴドムの戦闘機を墜落させる。
死人が出ました。ちなみに雲はこの後ヤマタノオロチに変身するのだけど、戦闘シーンがないまま退散します。
・主人公はゴドムの軍が上陸してくるのを見て、近隣住人に退散を呼びかける。しかし一切人はいない。
モブを描く予算不足?
つーか主人公が一件一件インターホンを押して呼びかけているのが謎。警報使え。
・主人公は予知で観た「ゴドムの軍に撃たれてしまう少年」を助けるために、小屋に入り、少年におぶさる
いいんだけど、伏せていないので、その位置では弾があたると思います。
・またもや瞑想する主人公は、「リエント・アール・クラウド」に「人類が救われるのは愛と寛容さにかかっている」と告げられる。
瞑想シーン多すぎ。ちなみに計4回ある。
・主人公が組織に戻ると、チチカカ湖から「聖なる印」が発掘されたと報告を受ける
主人公が自分で探すんじゃないのかよ。
・再びリエント・アール・クラウドのいる場所に赴くと、そこには金星人がいた。
ちなみにゴドムも別の宇宙人と組んでいるんだって!わあい!(錯乱中)
ちっとも驚かない主人公も笑いどころです。
・主人公は金星人のUFOに乗り、敵の科学者「チャン・レイカ」のもとへ訪れる。
チャン・レイカの正体はベガ星人だった。
このベガ星人の本当の名前は「シータ」らしい。ラピュタは本当にあったんだ<ベガ星人のヒロインです。美人さん。
ベガ星人は自分の住む場所を地球に求めており、成功すればアフリカ大陸を与えるという交換条件のもとゴドムに手を貸していたらしい。
ここの会話シーンは間延びしていて退屈だけど、主人公がシータをお姫様抱っこして、シータが「これが日本のしきたり?」と言い、主人公が恥ずかしがるシーンはよかった。
・トカゲみたいな宇宙人も地球を狙っている。地球のすぐそばまで来ている。
・日本は帝国ゴドムに侵略され、学校では「日本の歴史は間違っています!帝国ゴドム(中国)が正しいのです!」という教育をされている。
反日教育そのまんまです。
さて、ここからがクライマックスの展開です↓
・主人公は光学迷彩をシータに借り、ゴドム国の要塞に潜入
・主人公と仲間の部隊は敵に撃たれまくるがバリアーを使ってしのぐ・・・が、一人が弾にあたってしまったため、主人公は「もう傷つくのをみるのはたくさんだ!」と投降
・シータ引き入るベガ星人もたきつけられ、要塞にたどり着いているけど特に何もせずに終了
・TVで主人公の公開処刑がはじまる
日本はゴドム国に占領されているので、この公開処刑の視聴は義務になっている。
・十字架に縛られた主人公は銃に撃たれ、死亡。
・シータが彼のもとに行き、神に懇願する。
・「ラ・ムー」「リエント・アール・クラウド」「トール」「ヘルメース」「ゴータマ・シッダールタ」が主人公の前に降臨する。<もう何が出てきても驚かないや・・・
・主人公復活
・ゴドムの皇帝は骸骨みたいな化物(説明は一切なし)を召喚、主人公に襲いかからせる。
・どこからともなくあらわれた、CGのクオリティの低い坊主みたいな集団が化物を倒しまくる。
こいつらの造形は「レッツゴー陰陽師(←youtube)」を彷彿とさせます。<イメージです。主人公の代わりに敵を倒しまくります。
・ついでに運慶と快慶みたいなののも暴れまくる。
こいつらどっから来て、なんで主人公を守るの?(説明は一切なし)
・上空では(皇帝から出てきた)「赤い煙」が変化した龍と、ヤマタノオロチが戦っている
これもそこそこ迫力がある。
・富士山が噴火している
現実問題として危惧されてます。
・主人公の背中からは後光がさしている。処刑人逃げる。
・皇帝を操っていた「赤い煙」の正体は宇宙人だった。シータの手を操って、「最終破壊兵器」を作動させる!
・ちなみに復活してからここまで、主人公はつっ立っているだけで何もしていない
「何もしなければ何も変わらない」じゃなかったのかよ。
・残された時間は5分・・・ようやっと主人公が行動するのかと思いきや、組織のおじいさん(伏線とか一切なしの初登場人物)が撃たれながらも持ってきた「聖なる印」を掲げて演説をはじめる。
以下演説内容
「人類は罪を背負っている、それは信仰なき罪だ!」
「信じるならばともに祈って欲しい!」
「私たちがいるのは神秘の世界だ!それは存在する!」
「なぜ民族を超えて争うのか」
「皆神の子であるのだから、ともに慈しまなければならない。それこそが民主主義の原点だ!」
「素晴らしい魂の救済の場である真の民主主義を目指そう!」
「今こそ、地球人としての意識に目覚めようではないか!」
・世界中の人たちが拍手
・トカゲみたいな宇宙人は金星人に説得され去る
金星人は「宇宙のグッドニュースだ!」とか言っている。
・洗脳がとけた皇帝は、仮面が取れる。
そういえば何故仮面をつけていたのかが不明。素顔はイケメンでした。
皇帝は「私は遺伝子操作により生まれた存在だ」と告げるが、主人公は「君も同じ神の子だ」と言う
・シータは故郷のベガに帰る前に「地球をよく思わない人もいるけど、最後の一人まで説き伏せってみせるわ」と言う。
・シータと主人公がキスする
完
また演説で全て解決かよ!(withマジカル✩ステッキ)
演説→ついでにマジカルステッキ光る→「地球意識」が地球を覆う(意味不明)→滅亡までのカウントダウンをしていたはずの大量破壊兵器のことも全解決というわけのわからない展開は受け入れられるもんじゃありません。
恐ろしいのは、ヒロイン(シータ)の「誰ひとりとして『信じるない』ものを出さない」という主張。
それは「宗教観の押しつけ」に思えてしょうがないです。
総評
・皇帝の哀しいキャラはよかった
・説明シーンが退屈なのに、肝心のことが説明できていない
・メインヒロインに主人公を奪われた組織のお姉さんが不憫
・アニメーションは全体的にいい出来だったのに、最後の坊主集団のせいで台無しに。
・主題歌が相変わらずいい曲である↓
映画「神秘の法」テーマ曲 It`s a Miracle World! - YouTube
しかし歌詞が香ばしく、
「一千億年の孤独を突き抜けて」や、
「救え!この国を!」とか主人公目線のはずなのに命令口調になったりするのが謎。
今回は社会情勢のことを知ろうと思う気も起こりませんでした。感謝してません。
信者による香ばしい鑑賞レポート↓
奇跡を呼ぶ映画「神秘の法」 ――試写会で奇跡が続出! | 映画「神秘の法」公式サイト
自分は口内炎があったけど、治りませんでした。
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中国が凶暴なのは宇宙人の陰謀!『神秘の法』 | 破壊屋
徳島は大川隆法の故郷だということです
勿論最終破壊兵器とウルトラマンサーガのハイパーゼットンはどっちが上ですか?。
辞めてスッキリしたが、「神秘の法」は見に行かなかった。
しかし、気にはなっていました。
解説、ありがとうございます。
やっぱり、見に行かなくてよかったです。