それでも伝えたかった「スープ 生まれ変わりの物語」ネタバレなし感想+作品のテーマ
公開開始から3ヶ月以上経っているのでいまさら感もありますが、劇場で観た映画「スープ〜生まれ変わりの物語〜」の感想です。

個人的お気に入り度:7/10
一言感想:これからのことを考えたくなる・・・
あらすじ
渋谷健一(生瀬勝久)は2年前の妻との離婚以来、娘との関係がうまくいっていなかった。
さらに娘の誕生日に、彼女が万引きで捕まったとき、さらに2人の関係に亀裂が入ってしまう。
翌日、上司の綾瀬由美(小西真奈美)とともに出張に行ったとき、予想もしない事態が起きてしまう。
目覚めた時、渋谷と綾瀬は「あの世」にいた。
これはかなり好きな映画!
お話のほうはシンプルかつ、いい意味で「ベタ」、そしてすごく丁寧に作られています。
離婚した父に反発する娘の描写、娘の気持ちが理解できない父は普遍的なものであるし、なおかつ本作は「生まれ変わり」という設定がとても上手く脚色されているので凡庸な出来になっていません。
映画は2部構成とみることができます。
「あの世」にいる父と、辛い現実に直面する娘の描写が交互に繰り返されるのが第1部
終盤の「生まれ変わり後」の世界が第2部です。
第1部の父と娘の描写がとにかく上手く、それがあるがゆえに、父の「娘に会って、伝えたいことがある」という気持ちに同調します。
それでいてこの映画が上手いのは、主人公がこの世に生まれ変わっても、すぐにはこの想いを叶えることはできないという設定です。
結果として父は、辛いまま生きている娘を見守ることすらできない(辛い思いをしていることすら知らない)。
この設定は残酷だけど、だからこそラストの展開がとても感動的になっていると思います。
映画のもとととなったのは、森田健による「生まれ変わりの村」です。
こうした「生まれ変わり」という、ある種宗教めいたことを描いているのに、押し付けがましさが全くなく、人間ドラマ&エンターテイメントとしてしっかり楽しめるのが好印象。
幸福の科学の映画も見習って欲しいです。
原作者の意見も必見です↓
「涙も笑いもあり最後には希望が残りました」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画
作中の「あの世」で自殺をした人がいたのも、原作を反映したがゆえのものなかもしれません。
役者も本当素晴らしかったです。<何気に豪華キャスト>
特に広瀬アリスの役柄は凄まじいインパクト。観た人全てが彼女の演技を忘れられないでしょう。
ただ個人的には、肝心の「あの世」のエピソードひとつひとつがあまり洗練されているようには思えなかったのが残念です。
それ以外の「親に取り残された娘」「生まれ変わりの後」の描写が良すぎるだけかもしれないですけどね。
また音楽も素晴らしかったのですが、多用しすぎてちょっとうるさく感じてしまいました。
何気ないようなシーンでは、抑えてほしかったですね。
残る上映館はごくわずか(10月中旬現在)だけど、近くで上映していたら是非おすすめしたい良作です。
映像のリズム、音楽、光の表現に岩井俊二っぽさも感じたので、好きな方は是非。
エンドロール後にも、1シーンありますよ。
以下はちょっとだけ作中のテーマがネタバレ↓ 具体的にはあまりネタバレしていませんが、なるべく映画を観てからどうぞ。

個人的お気に入り度:7/10
一言感想:これからのことを考えたくなる・・・
あらすじ
渋谷健一(生瀬勝久)は2年前の妻との離婚以来、娘との関係がうまくいっていなかった。
さらに娘の誕生日に、彼女が万引きで捕まったとき、さらに2人の関係に亀裂が入ってしまう。
翌日、上司の綾瀬由美(小西真奈美)とともに出張に行ったとき、予想もしない事態が起きてしまう。
目覚めた時、渋谷と綾瀬は「あの世」にいた。
これはかなり好きな映画!
お話のほうはシンプルかつ、いい意味で「ベタ」、そしてすごく丁寧に作られています。
離婚した父に反発する娘の描写、娘の気持ちが理解できない父は普遍的なものであるし、なおかつ本作は「生まれ変わり」という設定がとても上手く脚色されているので凡庸な出来になっていません。
映画は2部構成とみることができます。
「あの世」にいる父と、辛い現実に直面する娘の描写が交互に繰り返されるのが第1部
終盤の「生まれ変わり後」の世界が第2部です。
第1部の父と娘の描写がとにかく上手く、それがあるがゆえに、父の「娘に会って、伝えたいことがある」という気持ちに同調します。
それでいてこの映画が上手いのは、主人公がこの世に生まれ変わっても、すぐにはこの想いを叶えることはできないという設定です。
結果として父は、辛いまま生きている娘を見守ることすらできない(辛い思いをしていることすら知らない)。
この設定は残酷だけど、だからこそラストの展開がとても感動的になっていると思います。
映画のもとととなったのは、森田健による「生まれ変わりの村」です。
![]() | 森田 健 1575円 powered by yasuikamo |
こうした「生まれ変わり」という、ある種宗教めいたことを描いているのに、押し付けがましさが全くなく、人間ドラマ&エンターテイメントとしてしっかり楽しめるのが好印象。
幸福の科学の映画も見習って欲しいです。
原作者の意見も必見です↓
「涙も笑いもあり最後には希望が残りました」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画
作中の「あの世」で自殺をした人がいたのも、原作を反映したがゆえのものなかもしれません。
役者も本当素晴らしかったです。<何気に豪華キャスト>
特に広瀬アリスの役柄は凄まじいインパクト。観た人全てが彼女の演技を忘れられないでしょう。
ただ個人的には、肝心の「あの世」のエピソードひとつひとつがあまり洗練されているようには思えなかったのが残念です。
それ以外の「親に取り残された娘」「生まれ変わりの後」の描写が良すぎるだけかもしれないですけどね。
また音楽も素晴らしかったのですが、多用しすぎてちょっとうるさく感じてしまいました。
何気ないようなシーンでは、抑えてほしかったですね。
残る上映館はごくわずか(10月中旬現在)だけど、近くで上映していたら是非おすすめしたい良作です。
映像のリズム、音楽、光の表現に岩井俊二っぽさも感じたので、好きな方は是非。
エンドロール後にも、1シーンありますよ。
以下はちょっとだけ作中のテーマがネタバレ↓ 具体的にはあまりネタバレしていませんが、なるべく映画を観てからどうぞ。
中盤、あの世で出会った石田さん(松方弘樹)は
「思い通りにならないことを悩むことよりも、次に何をやるかを考えたほうがいいぞ」と言っていました。
そして生まれ変わり後の世界で、主人公はまさに「思い通りならんこと」に直面します。
それは「中学生の姿のまま、15年以上会えなかった娘に想いを伝えること」です。
当然中学生の姿のまま、「お父さんだよ!」と告げても、普通は奇異に感じて受け入れらないものでしょう。
あの世で出会った「3度生まれ変わった男」は、「記憶を持ったまま生まれ変わってもいいことなんかあらへん、みんな死んでしまったように感じて辛いだけや」と言っていました。
確かにそうでしょう。
生まれ変わり後の主人公は、その時の母親に心配をかけまくっていました。
しかも、せっかく記憶がそのままであるのに、娘にすぐに想いを伝えることができないのです。
主人公は、「自分を押し殺すことに慣れると、俺みたい(職場で『ゾンビ』と呼ばれていた)になっちゃう」と、妻との冷めた結婚生活について言っていました。
ずっと行動できず、自分の本当の気持ちを告げられず、娘との関係について悩んでいた主人公ー
だからでこそ、「思い通りにならないこと」に決着をつけようと悩み、これからのことを考えて生きようとする主人公の行動が、とても感動的に思えるのです。
オススメ↓
タナウツネット雑記ブログ(微ネタバレ注意)
予備知識なしで映画を見て、記憶だけを元に感想文を書く(ネタバレ注意)
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