障がい者・病気をテーマとした映画その4「奇跡の海」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
障がい者・病気をテーマにした映画の4つめは「奇跡の海」(原題:Breaking the Waves)(製作:1996年)です。
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:夫婦にドン引き鬱映画
あらすじ
スコットランド・高地地方の海沿いの村に住むベス(エミリー・ワトソン)は石油プラットホームで働くヤン(ステラン・スカルスガルド)と結婚する。
夫の帰りを待つベスのところに、ヤンが事故にあったという知らせが届いて・・・
変態の異名をほしいままにしているラース・フォン・トリアー監督の作品です。
物語の中心は全身麻痺の夫を持つ「妻」の描写であるので、厳密な意味では病気をテーマとした映画ではないのですが、愛するものの願いにより女性が不幸になっていく描写は「終の信託」と一致していると思ったので選んでみました。
しかし・・・この映画はとてもじゃないけど一般の方におすすめできるものじゃありません。
その理由のひとつがこの夫婦の行動が全く共感できない(であるだろう)ことです。
物語は
夫が事故により全身麻痺になり、さらに不能になってしまう→妻を抱くことができない夫は、妻にほかの男と寝るように頼む→妻は言われたとおりに男を誘惑していく
というものです。
はっきり言って、胸くそが悪いにもほどがある内容でしょう。
よくもまあここまで意地の悪い物語を考え、映画として作ったなあと・・・
でもこうして不幸になる女性をとことん描いていることも、意味があることだと思います。
愛する人の頼みだとはいえ、この物語の主人公にはそれを選択するか否かの余地は残されています。
選択により不幸になる姿を見せることは、「このようになるな」という警告のようにも、不幸になった女性を慈愛の目で見ているようにも思えます。
思えばこの監督の作品では「ダンサー・イン・ザダーク」「ドッグウィル」「メランコリア」でも一人の女性が大勢から非難を受けたり迫害される姿を描いています。
そうすることで監督は悩みを持つ女性の立場にたち、問題提起をしたかったのではないかな、と深読みしてしまうのです。
ちなみにトリアー監督は、知的障がい者を演じて周りに迷惑をかけまくる集団を描たインモラルな映画「イディオッツ」も撮っています。やっぱりこの監督はどこかおかしいな(ほめ言葉)。
性的なシーンが多いので少なくともR15+指定。
恋人と観るような映画でもありません。
2時間半超えの上映時間も手伝って、観た後は何もする気が起きなくなることは必死。
心が健康なときにご覧ください。
以下、作中のシーンが少しネタバレです↓結末には触れていません
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個人的お気に入り度:6/10
一言感想:夫婦にドン引き鬱映画
あらすじ
スコットランド・高地地方の海沿いの村に住むベス(エミリー・ワトソン)は石油プラットホームで働くヤン(ステラン・スカルスガルド)と結婚する。
夫の帰りを待つベスのところに、ヤンが事故にあったという知らせが届いて・・・
変態の異名をほしいままにしているラース・フォン・トリアー監督の作品です。
物語の中心は全身麻痺の夫を持つ「妻」の描写であるので、厳密な意味では病気をテーマとした映画ではないのですが、愛するものの願いにより女性が不幸になっていく描写は「終の信託」と一致していると思ったので選んでみました。
しかし・・・この映画はとてもじゃないけど一般の方におすすめできるものじゃありません。
その理由のひとつがこの夫婦の行動が全く共感できない(であるだろう)ことです。
物語は
夫が事故により全身麻痺になり、さらに不能になってしまう→妻を抱くことができない夫は、妻にほかの男と寝るように頼む→妻は言われたとおりに男を誘惑していく
というものです。
はっきり言って、胸くそが悪いにもほどがある内容でしょう。
よくもまあここまで意地の悪い物語を考え、映画として作ったなあと・・・
でもこうして不幸になる女性をとことん描いていることも、意味があることだと思います。
愛する人の頼みだとはいえ、この物語の主人公にはそれを選択するか否かの余地は残されています。
選択により不幸になる姿を見せることは、「このようになるな」という警告のようにも、不幸になった女性を慈愛の目で見ているようにも思えます。
思えばこの監督の作品では「ダンサー・イン・ザダーク」「ドッグウィル」「メランコリア」でも一人の女性が大勢から非難を受けたり迫害される姿を描いています。
そうすることで監督は悩みを持つ女性の立場にたち、問題提起をしたかったのではないかな、と深読みしてしまうのです。
ちなみにトリアー監督は、知的障がい者を演じて周りに迷惑をかけまくる集団を描たインモラルな映画「イディオッツ」も撮っています。やっぱりこの監督はどこかおかしいな(ほめ言葉)。
性的なシーンが多いので少なくともR15+指定。
恋人と観るような映画でもありません。
2時間半超えの上映時間も手伝って、観た後は何もする気が起きなくなることは必死。
心が健康なときにご覧ください。
以下、作中のシーンが少しネタバレです↓結末には触れていません
「選択の余地がある」の一例がこれ
義理の姉は、全身麻痺の夫を支えるのを激励するために、主人公にこう言います。
「あなたが生きる意味をあたえなきゃ」
でも実際に夫が望み、生きる糧としていることは、「俺以外の男と寝ろ」という常軌を逸したものです。
主人公が売春まがいのことをしていると知った義姉はこう言います。
「自分の意志で選ぶのよ」
さらには夫の言ったことを「たわごとよ」と言う義姉。
彼女の言うことは事実を知った前と後で180度違いますが、正しいことでしょう。
こうした義姉の助言があったのにもかかわらず、主人公はさらに身を売ってしまうのです。
ベスは「神と話す」ということをしていますが、それもベス自身の妄想のようにも思えますし、やはり自分の選択により不幸になる道へと足を踏み入れたように思えます。
愛する者の願いでも、それを退けてやることもまた愛情であり、不幸にならないための方法なのではー
「終の信託」でも、そう同じことを思ってしまいそうです。
オススメ↓
奇跡の海 - みんなのシネマレビュー(ネタバレ注意)
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2012-10-26 01:11 :
:
編集
Re: アンチキリスト教映画
>かげともさん
ベスが「神の声を聞ける」ということもありましたね。
その重要な要素を忘れていたのでほんのちょっとだけ追記します。
トリアーは確かに人を苦しめる映画を作っていていますが、自分も好きです。悪趣味だけど。
ベスが「神の声を聞ける」ということもありましたね。
その重要な要素を忘れていたのでほんのちょっとだけ追記します。
トリアーは確かに人を苦しめる映画を作っていていますが、自分も好きです。悪趣味だけど。
2012-10-26 01:24 :
ヒナタカ URL :
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