脱獄し放題 映画「ロックアウト」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:6/10
一言感想:これこそモノホンのB級映画やで!
あらすじ
チャラ目の男が宇宙の刑務所へ大統領の娘を救いに行ったり戦ったりする話。
いや~楽しかったです。
ドンパチやったり、むさい男がアクションしたり、美女とムフフな展開があったりなかったりするだけの由緒正しきB級映画でした。
でもこの作品ははじめから「こういう作品が好きなんだろ?」という需要に応えたように見せ場がたっぷりなので、なかなかの満足感がありました。
何よりこの映画には「間」というものがほとんどありません。
矢継ぎ早にポンポンと展開されるため、退屈なシーンがほとんどなく楽しめるのです。
上映時間が約一時間半とコンパクトなのも、むしろ長所でしょう。
おかげで明らかに状況説明が足りていないorシーンの繋ぎがおかしいところもありますが、まあ許容範囲です。
B級とは言いましたが、宇宙での戦闘シーンにちゃんと迫力があり、安っぽく見えないのも好感触でした。
また、意外と展開に「ひねり」もあって、単純な話で終わらせていないのもよかったです。
それでもやっぱり物語の底は浅くて、ライトなノリなのですけどね。
だいたい設定が素敵ですよ。
「脱出不可能な宇宙の牢獄から美女を助け出せ」なんて、何とも男心というか中二心をくするぐじゃないですか。
予告編の時点で笑ってしまいます。


そりゃそうだよ。
あ、ちなみにこの監獄はこう言っておきながらスキだらけです。余裕で脱獄できそうですwアルカトラズの足元にも及びません。
特に囚人に占拠された経緯が無理ありすぎで、失笑ものでした。
そんな感じでこの手の映画にありがちなツッコミどころも満載ですが、もうそれすらも愛らしいです。
秀逸なのが主人公(ガイ・ピアース)がわりとチャラチャラしていて、ことあるごとにジョークをかますこと。
この主人公のセリフにまでB級感が出ているのは大好きです。
林完治さんの字幕もなかなかトバしていて素敵でした。
ちなみにタイトルの「LOCKOUT」とは、利益を得るために外界を締め出すという「ストライキ」と相対する行為のことを指します。
映画内の囚人たちの行動がこのタイトルに合致しますね。まあ囚人たちの行動はバカだったけど。
ちなみに本作はリュック・ベッソン制作ですが、「フィフス・エレメント」くらいの好き勝手やってる感は期待しない方がいいかもしれません。
クセのあるキャラや、その人間関係はとってもベッソンっぽいのですけどね。
高級料理ばっかり食べると飽きちゃうから、たまには安っすいハンバーガーでも食べるかって感じで観ると幸せになれる映画だと思います。
B級アクション映画が3度の飯より大好きな人は↑のお気に入り度に+1点くらいを期待して観ていいと思います。
映画に奥深さや感動を求める方、ツッコミどころが許せない方にはー5点くらいでw
あっという間に観た記憶がなくなるバカ映画として、けっこうオススメです!
以下、結末も含めてネタバレです↓
~主人公語録~
主人公のステキ台詞を書き出してみましょう。
「俺はモテモテだぜ?あんたの女房に聞けばわかるよ」
「凶悪犯たちがいる宇宙の刑務所に行って大統領の娘を奪う?夢みたいな仕事だな、まったく」
「(ヒロインに殴られて)地球温暖化だぜ(意味不明)」
「大統領はトウモロコシ畑の話でもしてるさ(意味不明)」
「止血剤だ、口も止まってくれ」
「宇宙では方向を『左右』で言うんだよ→北に行くぞ!」
「(銃をぶっぱなすヒロインを見て)本当に民主党か?」
「お嬢様のもてなし方を知らなくてね」
「プリンスの1999みたいに可愛いな」
「アイスを賭けるぜ」
「おやつと銃だ、悪者に会ったら撃て」<おやつも一緒に。
この主人公のおかげでノリがいっそう軽いです。
ちなみに彼の本名はスノー・マリオン。
最後に下の名前がヒロインに知られた時に「オヤジがジョン・ウェインのファンでね」と言ったのは、ウェインの本名がマリオンであるためです。
~拳銃奪ったら即占拠!やったね!~
まあびっくりしたのはそもそものことの始まり。
大統領の娘と面談をする囚人・ハイデルは、刑務官の銃を奪って拘束具を撃っただけで逃げおおせます。
しかもそのへんを撃っただけで何故か爆発します。<謎爆発。
あ、ちなみにガラスも割れています。防弾くらいしとけよ。
さらにその囚人は、管理室に移動。
恐ろしいことに、この管理室に警備員は一人しかいません。
その男性を銃で脅して、コールドスリープされている囚人たちを全員解放するよう指示。
カプセルはあっさり全部開いちゃいます。<いらっしゃいませ。
というわけで刑務所はあっという間に凶悪犯罪者の巣窟になり、占拠完了。
あまりにアレな管理システムに笑いが止まりませんでした。地球の刑務所の方が1億倍マシです。
他にも宇宙の外のニュっと出ている機関銃は、ボタンをポンと押せば簡単に発射可能だったりします。
さらに脱出ポッドとかもふつーにあるので、数人くらいならな監獄自体から脱出できそうです。
そんな厳重さが全くない宇宙の刑務所、絶対に看守にはなりたくないね。
あと囚人がコールドスリープされているって、それけっこう楽じゃね?
刑期を終えるまで眠っていられるのなら、(実際は人体実験されていたけど)罰になっていないと思います。
~敵は何なの?~
えーこの映画のボスキャラは途中から出てきた、上記のイカレ男・ハイデルの兄であるおじさん(名前不明)でしたが、恐ろしいことに、このキャラの正体が全くわかりません。
なんで囚人たちを仕切っているのかわかんないのはかなり致命的だと思うんですが。
ちなみにこの人は、目の余る行動をする(ヒロインとチュッチュしたいがために人を殺しまくる)イカレ弟を殺せないでいるのですが、最後にキレた弟にあっさり刺されて殺されます。
ほんとなんだったんだこの人・・・わりと可哀想です。
あと、囚人からの要望ってなんだっけ。
交渉人も「人質を解放しろ、怪我をしている女性(ヒロインである大統領の娘)がいいなあ」くらいしか言ってないじゃねーかよ。
~主人公の相棒・メース~
本作の主人公が宇宙刑務所に訪れた理由は2つあります。
①大統領の娘を救い出す
②収監されている相棒のメースを探し出し、「ケース」の中身を知る
①が「ついで」みたいになってるので大丈夫かと心配になります。
メースが収監されたことにより認知症のような症状になり、すぐに死んでしまうのは可哀想でした。
メース悪いことしていないのに・・・そんな非人道的なことをされるくらいなら、秘密を吐かせるための拷問のほうがマシです。
しかし、メースは実は「ケース」のありかをちゃんと喋っていました。
文として表現できないだけで、場所に行くまでの経緯や目印、ロッカーパスワードまでをもちゃんと言っていたのです。
あと彼の言った「Porno(ポルノ)」が「デカ〇ン」と訳されているのには笑いました。
またヒロインが催涙スプレーのMaceと間違えるシーンもありました。
~他にもツッコミどころ~
・ビルの上を逃げる主人公はガラスに向かって大ジャンプ
しかし、ガラスは割れません。主人公はそのまま落ちてちょうどよくクッションらしきところに落ち、バウンドします。
そしてさらに落ちてきたケースを避ける主人公。コントか。
たぶんこのガラスは宇宙の監獄のやつより頑丈です。
・唐突にバッドマンのバットポッドみたいなのに乗って逃げる主人公
前後に説明がないのでなんのこっちゃかさっぱり。
・主人公を殴るヒロイン
主人公はエレベーターで囚人に襲われるヒロインを助けたのに、その後にヒロインは消化器で主人公をぶん殴ります。
あんた主人公の活躍見てなかったのか。
・黒人の「ホック」
この人はヒロインとともに立てこもろうとしますが、銃でモニターに撃ったがため(?)に部屋に窒素が充満します(なんで?)
ヒロインのぶんの酸素を確保するために、自殺するホック。これまた可哀想。
ちなみにこの人は尋問中に銃を取られた、ある意味元凶の男です。
・あと20秒で脳死になっちゃう!
警察側は主人公に「(ヒロインは)あと20秒で脳死になるぞ、急げ!」とか通信器で言います。
さらにAEDをあと15秒でつけろ!とさらなるカウントダウン。
そんな1分1秒で助かるか助からないかが決まるものじゃないと思うけど・・・まあこれは主人公を急がせるため、もしくは未来の診療技術が進歩しているということで納得しましょう(無理やり)。
・目ん玉の真ん中に刺すことで、視床に神経伝達物質が届く医療器具。
んなことできるかー!
・ヒロインを殴る主人公
主人公はヒロインの髪を「コーヒー&トイレの水&オイル」で染め上げ、髪を切ることで変装させます。
その後、リアリティ追求のためにヒロインの顔面を殴る主人公。外道だぜ。
映画の最後にヒロインが「お返し」で主人公を殴り返すのは大好きです。でも先に消化器で殴ったのはヒロインだからね。
・脱出ポッドで地球に戻ったと思われたヒロイン→主人公「あ~行った行った」→ヒロインはまだ船内にいて「やあ」
脱出ポッドって無人でも出せるんですか。
・フライ・バイ・ワイヤのためにあと数時間で地球に墜落する監獄。
欠点ありすぎだろこの刑務所。
・大統領の権限剥奪
終盤、大統領は「娘が中にいるんだ!攻撃することは許さん」と至極真っ当なことを言うのですが、シークレットサービスの男は大統領に向かって「あなたは国家を危険にさらした、大統領の権威を剥奪します」とほざきます。あんた大統領よりえらいのか。
・最後は「スーツ」を着て大気圏に突入し、パラシュートを開いて地上に降りる主人公とヒロイン
未来の宇宙服ってこーせいのーですねー(棒読み)
序盤で主人公が言った「高いのは嫌いだ」という伏線を生かしてくれたのは嬉しかったです。大気圏だけで1000km超えてるもんね。そりゃ怖いね。
・主人公が捕まった理由
主人公は「殺人」の疑いをかけられていました。
その真相は「鏡に映っていたせいで、実際はほかの人間が殺したのに、主人公が殺したように見えた」という素っ頓狂なものでした。推理しようがねーだろ。
・真犯人バカだろ
宇宙の刑務所は、囚人たちを不当な人体実験をさせている場所でした。主人公が奪い、メースが預かった「ケース」はそれを証明するものが入っていたのでしょう。
真犯人である主人公のそばにいた黒人の男は、主人公に渡された暗証番号付きの空のケースを開けてしまい、お前なんで暗証番号を知ってるねんということだけで逮捕されます。間抜けすぎるぜ。
~思いの違い~
中盤、主人公とヒロインは目的地である脱出ポッドにたどり着き、あっさり脱出ポッドも射出することができますが、ヒロインはそれに乗っていませんでした。
その理由は「ほかの人質を助けないといけない」というもの。
ヒロインは「メースはケースの場所を言っていた」と嘘をつき(このときはその意味するものに気づけなかった)、主人公を協力させようとするのです。
しかし、結局人質は全員殺されてしまいます。
彼女は囚人の前で、父である大統領の通信を聞きます。
そのときの彼女の選択は「この監獄を撃ち落として」というものでした。
主人公の目的は大統領の娘と友人の奪還という限局的なものでしたが、ヒロインは知り合いでもない人間の救出を望んでいます。
主人公はチャラいけど、ヒロインは大真面目。
こうした主人公とヒロインの思惑の違いと、ヒロインの人間性はうまく描かれていました。
決していいやつなんかじゃない主人公が、ヒロインとキスをしない、という展開もよかった。
こういった思惑の異なるキャラクター像、そこから生まれるすれ違いの描写は大好きです。
いやー、素敵なB級でした(笑)
ボディーガード(シークレットサービス!?)の銃器チェックは甘いし、脱出ポッドに乗って宇宙に飛び出たはずのヒロインはなぜか余裕で戻ってきて「人質を解放するために力を貸し手(ペコリ)」
…………いやいや、貴女完全密室の宇宙ポッドから宇宙服も着ずに脱出って奇術師もびっくりの脱出芸ができるんだから、貴女行きなさいよと(笑)
しかし、そんな細かな突っ込みどころも無視した面白い作品でした(笑)
またB級で面白い映画がありましたらお願いしますm(_)m
2012.10.22 23:00
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未来のイメージって、「マイノリティ・リポート」や「ブレードランナー」など、SF映画に影響されることが多いですよね。じゃあ、そのイメージを総合すると未来はどんな世界になるのか? そんな疑問にお答えすべく、ビデオ・リミックスの重鎮アーティスト、エクレクティック・メソッド(Eclectic Method)が、SF映画における未来まとめ動画を公開しました。
みんなの大好きな映画をつなぎあわせた未来の世界、相当いっちゃってます。
エクレクティック・メソッドは、未来を予見する映画から名シーンをマッシュアップ。「ブレードランナー」のメガシティーが、「A.I.」の浸水したニューヨークや「26世紀青年」の荒廃したスラム街と立ち並びます。行く先々に取り付けられたカメラ、石油不足、中東における大規模な文化的反乱、網膜スキャン、X線、空飛ぶ車にホバーボード、ハイブリッド人間、ロボット、人工知能、テレポーテーション...映画に登場する未来のテクノロジーは、すでにその可能性が証明されているものもあれば、まだまだ遠い未来のもの、あるいは「ありえない!」というものもまじってますねー。
ふだん、映画の中のテクノロジーは、ストーリーと同じように単なるフィクションとして楽しんでいる気がします。でも、これが未来の世界だと信じて動画を見てみると、なにか新しい発見があるかもしれませんよ?
[Eclectic Method via Laughing Squid]
Casey Chan(Rumi/米版)
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SF映画(古すぎますか)が好きな方なら、幾つ知っている映画が出てくるのか数えるのも、一興かと。
すいません。
うまくコピーできませんでしたが、5分くらい長さです。
>sakuraさん
動画を貼りたかったのですね。
記事名で検索すると該当ページに行けたので問題なかったです。
ありがとうございます。また観てみます。
>名無しさん
素敵でしたね~
>ヒロインはなぜか余裕で戻ってきて「人質を解放するために力を貸し手(ペコリ)」
> …………いやいや、貴女完全密室の宇宙ポッドから宇宙服も着ずに脱出って奇術師もびっくりの脱出芸ができるんだから、貴女行きなさいよと(笑)
たぶんヒロインは乗っておらず、ポッドだけを射出したのだと・・・無人で出せるものなんでしょうかね。
主人公よりも主人公っぽいヒロインでした。
初めの方は、ブレードランナーです。
終わりの方は、意味のないスターウオーズの第1作目ですね。
あんなのミサイルを撃ち込めば、片付くのに・・・・
(戦闘機が必要なし)
宇宙からの帰還が、あれと云うのは、納得できませんね。
大気圏で跳ね飛ばされるか、マジで突っ込んでくるなら、なんか簡易型でも宇宙服を着てないと、イケマセン。
B級映画との評価は、正しいですね。
なんてったって「事件が起きる必然性」が可笑し過ぎるのです。
セキュリテーと云う意味を教えてやりたいですね。
それともう一つ、この映画の大きく欠けている点!
未来的な描写がなさすぎる点ですね。
でも、本当に、あの冒頭の街の中を逃げまくシーンは、B.ランナーみたいで凄かったんだがなあ・・・
ちょっとはしよりすぎじゃないか?もう少し長くても良かった。特に最後の地球落下シーンとか。
> ちょっとはしよりすぎじゃないか?もう少し長くても良かった。特に最後の地球落下シーンとか。
もう本当おっしゃるとおりですw
個人的にはラスボスとの対決が観たかったなあ、と。
>sakuraさん
B級でしたね~大気圏へ宇宙服でつっこむところは笑うしかなかったです。
確かに序盤からブレードランナーぽかったですね。名作映画の香りがするのもB級映画らしいです。
ちょっとひねったセリフや軽めの主人公キャラ。
キャラの掘り下げも一切なしで、とにかく見たものをそのまま楽しめる方向けの映画。
警備の薄さは、よくある建設中という言い訳で納得してあげてください。
個人的には二重丸のオススメ映画です。
主人公の軽さはバイオハザード4(ゲーム)のレオンに似てて好きです。