けっこうダメダメな新生スパイ「007 カジノロワイヤル」ネタバレなし感想+お気に入りシーン
主人公のジェームズ・ボンドを演じるのは、いまやハリウッドの超名優であるダニエル・クレイヴ。
今日はダニエル・クレイヴがボンドを演じたはじめの作品である「カジノロワイヤル」(制作:2006年)をご紹介します。
*11月28日にも地上波放送されました
![]() | ダニエル・クレイグ 1980円 powered by yasuikamo |
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:格好いいけど、格好悪いなあ
あらすじ
ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は英国諜報部「MI6」のスパイでである「00」の地位に昇格し、「殺しのライセンス」を得た。
工作員であるル・シッフル(マッツ・ミケルセン)は、使い込んだ組織の資金を穴埋めするため、カジノで一攫千金を狙っていた。
ボンドは、上司「M」(ジュディ・デンチ)からル・シッフルを負かして破滅させるよう命令され、同僚のヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)とともにカジノに向かう。
いや~シリーズ最高傑作の呼び声が高いことも納得。すごく面白いです。
本作はシリーズ21作目にして初のリブート作です。
内容もジェームズ・ボンドが初めての任務に挑むという「新シリーズの第一作」になっています。
時代背景も現代に設定されており。作中に「9.1.1」の話題が出ていたりします。
主人公・ボンドの見た目のイメージはいままでとは全く異なっており、実際にダニエル・クレイヴがボンド役に選ばれた時は批判が起こったほどでした。
しかしダニエル・クレイヴはこの批判を覆す名優&イケメン&相変わらずの女たらしっぷりを見せ、本作は新時代の007として全世界に受け入れられることになりました。とても喜ばしいことだと思います。
一番の魅力であるだろうアクション描写も素晴らしいです。
たとえば、はじめの「追っかけっこ」で逃げている男を演じているのは、激しく飛んだり跳ねたりする活動「パルクール(フリーランニング)」の第一人者です。
以下のようなすんごいアクションが映画で見られるというだけでお腹いっぱいでした。
<パルクールまとめ動画 - YouTube>
これについていってるダニエル・クレイヴの身体能力もすごいよなあ・・・
激しい「動」のアクション一辺倒ではなく、中盤のポーカーの勝負などの「静」の緊張感があったのもよかったです。
なにより本作のジェームズ・ボンドのキャラが、今までよりもはるかに好きになれたのが嬉しかったです。
相変わらずボンドは女性に対して軽口を叩くのですが、ヒロインは対等の立場にいようとします。
ボンドの荒っぽいやり方に上司が難を示すシーンや、ボンドが「(車の)駐車係」と呼ばれるシーンもあったりします。格好悪いです。
本作のボンドは格好はつけようとするけど、新人であり、ちょっとナメられており、ときどきミスもする「甘ちゃん」なのです。
今までのジェームズ・ボンドはある意味「完全無欠」っぽいキャラでしたが、本作の
これだけでも、シリーズを仕切りなおした甲斐があると思いました。
大人の魅力ムンムンなスパイに惚れ惚れしたい方は必見。
「スカイフォール」の予習というだけでなく、万人向けのアクション映画として幅広い方におすすめです。
以下は少しだけネタバレ↓ 重要なシーンは反転しているので未見でも大丈夫だと思います。
映画はモノクロームの映像からはじまります。
おなじみのコードネーム「007」にある「00(ダブルオー)」とは、任務中に容疑者を殺しても不問とされる「殺しのライセンス」のこと。
それを得たことを示すこのシーンは画が抜群に格好良く、新世代のジェームズ・ボンドが誕生したというワクワク感がありました。
途中に出てきた「監視カメラ」もボンドの未熟さをあらわしています。
ボンドはこのカメラに思い切り映るだけでなく、「大使館を盛大に爆破」しちゃう。危うすぎます。
面白かったのは、ボンドが相変わらずの軽口を叩くのに対し、同僚のヴェスパー(エヴァ・グリーン)が反対にボンドを「分析」するところ。
ヒロインに「あなたこそ孤児だからそう言うのでしょう」と図星をさされたボンドはあまりに格好悪いです(ボンドが孤児であることは事実)。
そして「ポーカー勝負に負けたボンドが、『残念ね』と言うヒロインに『残念って言うな!」と逆ギレ」するところも意外でした。本当器が小さいな。
「ナイフを手にする」のも、人として余裕がなさすぎです。
ポーカー勝負は「こんな強いやつに勝てるのか?」ではなく「こんなダメダメな主人公で勝てるのか?」というハラハラ感なのですよね。
さらに終盤には「ヒロインとラブラブになり、『スパイやめます』なメールを送る」始末です。
こんだけアマアマなボンドが、最後に「変化」を見せたように「M」に言ったことば、それに対する「M」の「誰も信じれないってわけね」という返答も、あまりに悲しいものがあります。
ですが、こうした出来事が今まで見てきた完全無欠のボンドを形作っていったのだと思います。
これからボンドは「MI6」の人たち、「M」と協力し、成長していくのでしょう。
そんな「ダメな子」の成長物語としても、これからの007を追いかけたくなりました。
おすすめ(ネタバレ満載注意)↓
007/カジノ・ロワイヤル(2006) - みんなのシネマレビュー
カジノロワイヤルについて(ネタバレ) - Yahoo!知恵袋
【ネタばれ】「3回見てしまいました」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画
「早くボンド映画を卒業させてくれ!」 ユーザーレビュー - Yahoo!映画
あと御馴染みのガンバレルがこれまでのシリーズと趣を異にするのは新たな挑戦だなと思います。
これまでのシリーズでもボンドの抜けたところが皆無だったわけじゃないですが今回のは成り立てということもあってかこれまでのと比べると確かに抜けてるところが…って自分も思います。
そこのところは好き嫌いあるかもしれませんが少なくとも自分は好きです。
ボンドガールが死ぬ作品は過去にもいくつかあってそのうちメインの方のが死ぬのは2作品ありました(特に「女王陛下の007」は後味が悪かったことに加え後のシリーズでも所々触れられてたりします)が今回の場合ボンドのために自分の意志で死ぬパターンなだけに暗い影を落としたろうなあ…って思います。
あと御馴染みのステアせずシェイクしたウォッカマティーニ(尤も、ムーア氏の頃は一部作品で口にしたことはあるもののボンド自らによる注文は一度もしてないですが)の中で有名なもののひとつである「ヴェスパー」(ゴードンズ・ジン3:ウォッカ1:キナ・リレ0.5の割合でシェイクしたものでイアン・フレミング氏が考案し原作に登場させた)が見られたりどうでもいいところではアストンマーチンが2台(DB5及びDBS。どちらもアストンマーチン車としてはシリーズ初となる左ハンドル車。因みに後者はもともと作品のためだけの製造だったのが完成度の良さから翌年以降量産車として販売されたとか)登場するのに注目したりしてました。
まあ後者は最終的に横転しちゃいましたけど()。