こいつぁマニアックだぜ!映画「テッド(吹き替え版)」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
個人的お気に入り度:7/10
一言感想:有吉、完璧。
あらすじ
少年ジョンはクリスマスの夜にお祈りをする。
それにより、お気に入りのテディベアが命を持ち、2人は最高の親友になった。
中年になったジョン(マーク・ウォールバーグ)は、今でもしゃべるテディベアの「テッド」といつも一緒。
テッドもまた、下品なギャグを吐きまくり、麻薬も吸う中年に成り果てていた。
ジョンの恋人ローリー(ミラ・クニス)はそんな2人の関係を疎ましく思っていたのだが・・・
初めに言っておきます。吹き替え版を大プッシュでおすすめします!
本作の吹き替えで、下品なギャグばかりを吐くテディベア「テッド」を演じるのはお笑い芸人の有吉弘行です。
自分は吹き替えに芸能人を起用するのは基本的に反対、ていうか大嫌いです。
プロメテウスのゴーリキーとか、アベンジャーズの米倉涼子とか、映画版シンプソンズのくだらねぇ配役とか心底やめてほしいと思っています。
でも今回はOK、最高のハマリっぷりを見せてくれました。
下品でキツい言動の言い方が上手く、感情表現もしっかりできています。
もうこの声以外考えられないくらい上手かったです。
本人は声優さんがやりゃあいいのにと言っていますが、あなたで本当によかったです。いやマジで。
有吉さん以外の吹き替えキャストも富田耕生、大塚芳忠、沢城みゆきと有名どころが揃っているので声優ファンも満足なんじゃないでしょうか。
そして爆笑したのがテッドの幼少時のころの声優!
これは公式ではけっこう伏せられているので↓のネタバレで書きますが本当にびっくりした!
これだけで吹き替え版を選んでよかったと思えました。
吹き替え版をおすすめする理由はほかにもあります。
それは本作のギャグがマニアック過ぎて、日本向けに改訳したところがあるのです。
調べてみたところ、これは字幕版も吹き替え版も共通のことでした(一部違うところもあります)。
字幕版では話されていることと、字幕で書かれていることが違うために戸惑う人も多いのではないでしょうか。
吹き替え版ではそうした戸惑いが多少は軽減して観れると思います。
まあこの日本向けに変更したギャグが面白いかは別問題だけど・・・自分はひとつだけ大笑いしました。
吹き替え版のことばかり触れたのでいい加減に内容を。
結論から言えば、大人になりきれない大人の成長物語として優れている印象を受けました。
主人公ジョンは長年の親友であるテッドと離れられず、恋人のローリーはそれを訝しく思っています。
ジョンとローリーが結ばれるには、ジョンが大人になり、テッドと離れるしかない。
そのことに葛藤し、失敗し、成長をする主人公は大人こそ感情移入ができるでしょう。
作品の大きな魅力である下品なギャグもほとんどすべり知らずでした。
R15+だけにハッパもプカプカ吸うし、地上波では放送できない単語が盛りだくさん。
これも映画でしかできない面白さでした。デートで選ぶには彼女の好みを見定めてから行きましょう。
難点はマニアックなギャグが多すぎることです。
とくに作中で大きくピックアップされている「フラッシュ・ゴードン」ネタは、なじみのない日本人にはおいてけぼり感が否めません。
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自分は予習のためTSUTAYAで3件回って探しましたが、ひとつも入荷していませんでした。
「テッド」はこの映画に最大級のリスペクトを捧げており、主人公のジョンもテッドもこの作品の大ファンという設定です。
好きな人にはたまらない、でもニッチすぎて多くの人が楽しめないのは本作の弱点です。
でもこうしたマニアックネタも、本当に小ネタではあるので、観ていて本筋の内容についていけないということはありません。
主人公ジョンとテッドが「フラッシュゴードンが大好き」ということが伝わるのであれば、知らなくても映画は十分に楽しめるのではないでしょうか。
どうしても観ることができないのであれば、以下の記事を参照してください
<フラッシュ・ゴードン Flash Gordon_1980>
<B級映画『フラッシュ・ゴードン』、でも、音楽は超A級!>(作中に流れるテーマ曲も聞けます)
ちなみに元ネタになっているのは、ほかにも「トップガン」「エイリアン2」などがあるので、観たほうがより楽しめるでしょう。
そんなわけでマニアックなギャグが多いけれども、作品の物語自体は意外と万人が楽しめるものと思います。
下品なギャグは本気でヒドい(褒めことば)ので全肯定でおすすめはできませんが、個人的には大ハマリした面白さでした。
この作品に感じた映画愛とギャグは、「宇宙人ポール」を思わせました。
そんなわけで映画ファンにこそおすすめです!
以下、結末も含めてネタバレです 鑑賞後にご覧ください↓
~声が・・・~
えー何がびっくりって、幼少時のテッド/内蔵音声の声がツンデレボイスでお馴染みの「釘宮理恵」さんだったことです。<同じ声です
この声がどうやったら有吉弘行のダミ声になるんだよ。
でも素晴らしかったです。「ダイチュキ」ボイスとか萌え萌えです。
ほかの吹き替え版のキャストを確認したい方はこちらで→<テッド-Wikipedia>
~日本語向けに訳されたネタ~
・テッドとジョンが追っかけの親子と出会ったとき、テッドは「この子の七つのお祝いに」と言っている
・テッドがスーパーの彼女の名前を「キラキラネーム」と言う
・ジョンとテッドが喧嘩をする寸前、ジョンは「『くまモン』のほうがよかった」と言う
・テッドがカーアクションをするとき「『ガチャピン』に負けていないだろ?」と言う
・ジョンがデブガキを殴ったとき「誰かが『星一徹』にならなきゃ!」と言う
正直これらは微妙でした。日本語訳監修は町山智浩さんがつとめているんだけどね。
ちなみに最後のデブガキを殴ったとき、実際に言ったのはジョーン・クロフォードで、児童虐待をしていたことで有名な女優です。
くまモンも実際はテディ・ラクスピンと言っていました。
でも面白かったのが、テッドがスーパーに面接に行くときに言った「柔軟剤のCMをパクっているだろ」でした。
ツンデレボイスがあったせいで、この動画を思い出してしまいました↓
~マニアックな映画ネタ~
・テッドは「スター・ウォーズエピソードI」を観にいくとき、体格を活かして「ヨーダ」のコスプレをしている
・トム・スケリットに会ったことのある上司に向かって、ジョンは「ばっちりだ、グース」という「トップガン」の台詞を言う
・ローリーとジョンは「5日間岩に足が挟まった男」の話(127時間)をする
・ジョンは「サタデー・ナイト・フィーバー」っぽい踊りを踊る
・ローリーはジョンの愛情のチェックとして、4年前に観た映画「007オクトパシー」を当てさせる
・テッドは風俗嬢とすっげー駄作である「ジャックとジル」を観ている。
・テッドは「チアーズ!」のメイキングを観ないかとジョンを誘う
・テッドは缶を投げながら「ジャバーだ、『死亡遊戯』のね」と言う
・テッドは起こったローリーのことを「『ブリジット・ジョーンズの日記』を観れば治るさ」と言っている(その後にローリーは本当に観てた?)
・胴体がちぎれてしまったテッドは『エイリアン2』のアンドロイド(ビショップ←微グロ注意)みたいだ」と言う
・そして「フラッシュゴードン」・・・
ジョンはローリーからの着信音を「ダースベイダーのテーマ」にしており、「きみに読む物語」だよと言い訳をしていました。
ジョンはテッドからの着信音を「ナイトライダーのオープニング」にしていました。
ダースベイダーはともかく、ナイトライダーは伝わりにくいようで、劇場で笑っている人はいませんでした。
トム・スケリットがジョンとローリーの結婚式に上司とともにいたこと、ノラ・ジョーンズ(歌手)や、フラッシュゴードンのサムジョーンズの出演も嬉しかったですね。
隣に住んでいたアジア人(超かわいそう)が敵の「皇帝」に見立てられたり、サム・ジョーンズとテッドが最後に「フラッシュ・ジャンプ」をしてくれるのも、ファンにはたまらないと思います。
また、
・テッドが誘拐され耳をちぎられるシーンは「トイ・ストーリー」
・クライマックスでたどり着くフェンウェイパークは「ダーティハリー」
・ジョンとローリーがテッドを縫い合わせて復活を祈るのは「フランケンウィニー」
それぞれのオマージュに思えました。
個人的には、「デブガキはテイラー・ロートナーになった」に一番笑いました。「トワイライト」で有名なイケメンです。
デブガキのころは、テッドにスーザン・ボイルと言われていたのに。
このネタが映画のラストカットというのもすごい話だな。
そうそう、テッドが生き返ったときにやったモノマネはビートたけしだよね?
タケシキタノの名は世界的に有名だから、ここは日本オリジナルとかではないんでしょうね。
~下品なネタ~
オナラネタはともかく、風俗嬢がもらしたウン〇ネタはきつかったですねwいやローリーがウエッてなるとこは笑ったけど。
「テッドがスーパーの店長に言ったシリーズ」は最高でした。
テッド「俺にできることはお前の嫁の股に顔突っ込んでクン〇することかな」
店長「そんなことを言うやつははじめてだ」
テッド「みんなあんたのカミさんのあそこで口がふさがっているからだよ」→店長「採用」
テッドは職務中にヤンママの彼女と野菜の上でセックス(きゅうりも使う)→店長「昇格」
テッドは職務中に彼女と「女体盛り」→店長「店長に昇格」
テッドも言っていましたが、(元)店長の精神状態がマジで心配になりますね。
ちなみに「あそこが口でふさがっているから」は字幕では「熊ん子(←18禁注意)(バイブのこと)って呼ばれてるよ」になっていたそうです。
驚いたのが、予告編で観ていた「テッドの見定めた『境界線』」が本編では違っていたことです。<これはまだヤンママは笑ってくれて「セーフ」
実際は「チョコバナナ(?)を口に入れてチュッパチュッパ」まではセーフで、
「顔中にソープをつけて顔射」はアウトでした。
顔射の意味を知らない人は知らないままでいいです。「ガンシャイ」でも観てください。
~上司・アレックス~
ローリーにちょっかいを出しまくる上司・アレックスはちょっと気の毒でした。
ランス・アームストロングの睾丸をコレクションしている趣味はわからんけれども。
彼はジョンが下手くそな歌を披露したとき「君に恥をかかせた」と言っていましたが、それもそんなにキツいセリフではないし、全体的にそれほど悪い奴とは思えません。
謎なのは、アレックスはジョンがフラッシュゴードンのパーティに行ったとき、ジョンの約束を守ってローリーに伝えなかったのか?ということ。
アレックスは「ローリーをやっちまおう」と言っていましたが、真偽のほどはわかりません。
まあ一番可哀想なのは、彼がオナラのガス爆発で他界したという事実なのですが。
ジョンの同僚の、ゲイであることを告白した「ガイ」もいい味を出していたキャラでした。
自分は気づかなかったのですが、「お相手」はライアン・レイノルズです。
字幕版では「グリーン・ランタン」とも言われていました。
ガイの吹き替え版の声優は、「エヴァ」のゲンドウでお馴染みの立木文彦さんでした。
~ジョンの成長~
ジョンはテッドとともに成長し、テッドを最高の友達と言っていました。
しかしその縁こそが、恋人ローリーとの軋轢につながっていきます。
恋人が犬に噛まれたと嘘をつき、そのことでもう二度と裏切らないと言ったのに、また勝手にフラッシュゴードンのいるパーティに言ってしまうジョン。
誘ったテッドが悪いのも事実ですが、テッドがジョンに言った「お前は一度も自分で責任をとったことがない」のも事実です。
そんな彼は責任を取り、ローリーに友達でいたいと言います。
恋人との軋轢はテッドのせいでしたが、テッドはローリーに「悪いのは俺だ」と言っていました。
テッドが誘拐され、ジョンがテッドを助け、ローリーがテッドが生き返ることを願い、テッドは生き返り、3人の関係は修復されました。
結果的に、テッドのおかげでジョンとローリーは結ばれたのです。
テッドとジョンは、ともにカミナリを怖がる「カミナリともだち」でした。
それはジョンが大人になれないことを象徴するものでもあります。<カミナリの歌を歌うジョンとテッド
しかしテッドは、ただのテディベアになってしまう前にローリーのことを「きっとカミナリともだちになってくれる」と言ってくれました。
テッドの胴体を縫い合わせたあと、もうジョンはカミナリを怖がっていません。
ジョンは、大人になったのです。
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『TEDテッド』の字幕に「くまモン」が出てくるわけ - ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記
「くまモンは『熊田曜子』にしたかった」「アレックスの死亡理由を変えた」など、翻訳の苦労が伺えます。